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『どうすればよかったか?』

『どうすればよかったか?』
監督:藤野知明
 
ここからしばらくは旧年中に観た作品です。
ナナゲイこと第七藝術劇場にて。
 
前月予告編を観たときから気になっていましたが、どうにもキツそう。
心が相当元気なときじゃないと観るのは無理だろうと思っているうちに公開になり、
あちこちのメディアで取り上げられて連日満席の模様。
んじゃやっぱり観ておきましょうかと覚悟してオンライン予約しました。
私が予約した時点でほぼ席が埋まっていて、当日は立ち見客が数十人出る盛況ぶりです。
 
北海道出身の藤野知明監督は1966(昭和41)年生まれで私と同年代。生きてきた時代背景が同じ。
姉と弟のふたりきょうだいというところも同じですが、環境はかなり異なります。
 
なにしろ藤野監督のご両親は共に医学に携わる人で、
藤野監督が生まれる前には監督の8歳上の姉・まこさんを連れて家族で欧州旅行。
当時の様子を収めた8ミリフィルムがたくさん残っていたり、
大正と昭和一桁生まれの両親が用意する食事はとっても洋風だったりして、
なんというのか、余裕ある暮らしだったように見受けられます。
 
まこさんも幼い頃から医学に興味を持ち、目指すは医者。
藤野監督曰く「姉は僕よりもずっと優秀で、中学・高校とずっとトップの成績」。
しかし医学部に入るのにはまぁまぁ苦労して、4年かかったそうです。
 
苦労して医学部に進学したといっても、まこさんは順調にその道を進んでいると思われていました。
ところが突然おかしくなる。夜中に大声で怒鳴りはじめ、救急車を呼ぶことに。
翌日にはまこさんを連れ帰ってきた親の「娘は100%正常」という言葉に藤野監督は疑問を持ちますが、
家族の中でまだ子どもの彼に発言権はありません。
 
やがて藤野監督も北海道大学に入学し、実家を離れたかったこともあって神奈川県で就職。
その後、映像制作を学んだ彼は、帰省して家族の姿を記録しはじめます。
最初に救急車を呼んだ日から18年後のことでした。
 
冒頭、本作は「統合失調症の原因を明らかにしたり治療法を追求したりするものではない」という、
監督自身の言葉によるテロップが映し出されます。
文言を正確に覚えているわけではありませんが、こんな意味だったかと思います。
 
娘が精神を患っていると認めたくない両親。けれど現状としてまこさんはおかしい。
まこさんが勝手に外出しては困るからと、玄関に南京錠などをつけます。
予告編からは彼女を部屋に閉じ込めたのだと思っていたので、そうではなかったのはまだマシに映りました。
 
冒頭のテロップで言われているように、本作は20年間の「記録」に徹しています。
 
まこさんの日常の行動、彼女と共に自らも外出しなくなった母親。
母親に認知症の兆候が現れはじめ、睡眠中のまこさんをわざわざ起こしたり、侵入者がいると言ったり。
その段になってようやくまこさんに診察を受けさせることに父親が同意し、
まこさんに合う薬が見つかって、3カ月入院したのち戻ってきます。
しかしまこさんがステージ4の肺癌だとわかる。
 
まこさんより先に亡くなった母親は、まこさんを病院に連れて行かないのは夫のせいだと話していました。
夫の言うことは絶対で、もしも娘を病院に連れて行けば夫は死ぬよ。
けれど、最後に残った父親に聞けば、妻が娘の病気を認めようとしなかったせいだと言う。
ふたりとも「せい」という言い方はしていないから、これは私の印象ですね。すみません。
 
「パパ」「ママ」と呼び合い、ただの一度も「僕」「俺」「私」等なかったことに違和感。
ずっとパパでありママであったのかなと思います。
記録に徹していたとはいうものの、監督が「復讐したいのか」などとまこさんに訊くところにも違和感。
 
どうすればよかったかはわかりません。
ただ、まちがった対処をしたとは思わないと断言する父親と父親のやり方を肯定する母親を見て、
自分たちは精一杯やったのだと、この人たちは満足だったかもしれないと思いました。
 
安易には何も言えない気がして、感想を書くのがとてもむずかしい。

—–

好きだった映画、嫌いだった映画〈2024年〉

2024年に劇場鑑賞した本数を2日前まで数えずにいました。
そろそろ数えてみるかと電卓を叩いてびっくり。
劇場鑑賞した作品は自分でも驚きの380本、配信やDVD鑑賞した作品は58本で、合計438本。
2023年は339本、2022年は300本ちょうど、2021年は278本、2020年は337本、2019年も300本ちょうど。
人生6度目の300本超ですが、自己最多だった2023年をはるかに凌ぐ。
 
各月の劇場鑑賞本数は、
1月28本、2月35本、3月25本、4月23本、5月27本、6月29本、
7月34本、8月32本、9月35本、10月40本、11月42本、12月30本。
母が入院した月亡くなった月はさすがに少なかったけれど、その後はなんかもう意地になっていたような。
 
DVD鑑賞した作品については「今年観た映画50音順」で昨日までにつぶやいたので、
ここに挙げるのは劇場鑑賞した作品について。
 
ベストを挙げる前にワーストを挙げます。
さすがにこれだけの本数を観ると、退屈な作品はまぁまぁあります。
けれど、途中で退席したくなるほどの作品はとても少ない。
とても少ないけどやっぱりあって、しょうもな〜と帰りたくなった作品を3本に絞るなら下記のとおり。
『映画 THE3名様Ω これってフツーに事件じゃね?!』←これは実際途中退席した唯一の作品です。
 
それ以外でどうにも好きになれなかった作品は下記5本でしょうか。
 
ワーストではないのだけれど、理解不能でまったくついていけなかったのは全部アニメ。
何も知らずに手を出してはいけない領域なのか。
ベストのほうは順位をつけることはできないので、好きだった作品を観た日付順に。
 
と、20本挙げてみましたけど、迷いますよね。
これやっぱりそれほどでもないかなぁと今さら思う作品もあるし(特に『アビゲイル』(笑))、
『ぼくとパパ、約束の週末』なども大好きだったから、これらを外すのもどうかなぁと思うのです。
あと、結局4回観た『ラストマイル』も面白かったですね。
 
また、下記2本の“美味しいものが出てくる作品”も捨てがたい。
 
そのほか、暗かったり悲惨だったり変だったりして、「好き」とはちょっと違うけど印象に残っているのは、
 
それから、『憑依』『破墓/パミョ』などの韓国ホラー、タイホラーの『バーン・クルア 凶愛の家』も強烈でした。
もはや絶対に外せないシリーズ、“ベイビーわるきゅーれ”“犯罪都市”には今後も注目。
応援したい『侍タイムスリッパー』も挙げておきたい作品です。
 
そして下記の作品はデジタルリマスター版などを鑑賞して、やっぱり好きだなぁと思ったもの。
『レ・ミゼラブル』
 
主演女優賞は『Shirley シャーリイ』エリザベス・モスに。『笑いのカイブツ』片岡礼子が演じたオカンも最高でした。
主演男優賞とはいえないけれど、いろんな作品で主演を張って楽しませてくれたグレン・パウエルにも賛辞を送りたい。
そしてなんといっても2024年に私が最ものめり込んだのは、8回観た『JUNG KOOK: I AM STILL』ジョングク
もう可愛すぎてたまらん。大好きです。(^O^)
 
これだけ観ると本を読む時間がつくれなくて、今年は86冊しか読めませんでした。
めっちゃ好きだった5冊を挙げると、まずは高殿円の『グランドシャトー』
映画と原作のエンディングどちらもよかった染井為人の『正体』でしょうか。
思い出に残っているのは、が息を引き取る直前まで病院の枕元で読んだ町田そのこ『ぎょらん』かな。
 
『四月になれば彼女は』は映画はまったく胸に響きませんでしたが、
2024年いちばん私の琴線に触れた曲はそのエンディングに流れる藤井風の“満ちてゆく”です。
 
まだまだなんぼでも書けそうなのですが、この辺にしておきます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

—–

2024年12月に読んだ本

2024年12月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1704ページ
ナイス数:689ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/12
■正体 (光文社文庫 そ 4-1)
読了してから映画版を観に行くはずが間に合わず、半分ほど読んだところで鑑賞しました。620頁弱の本作の登場人物を上手く組み合わせた映画化でした。原作よりもさらに時代が新しく、映画版では動画の中継によって真相が明らかになります。いとも簡単に冤罪を作る警察。面会に来た又貫から「なぜ逃げたか」と問われたときの鏑木の答え。涙がこぼれました。原作では鏑木は殺されてしまうけれど、生きて戦う映画版のほうがより感動的ではあります。現実には前者になる可能性のほうが高いと思うと悲しい。というわけでほぼ映画の感想ですみません。
読了日:12月02日 著者:染井為人
https://bookmeter.com/books/19195329
■ハンター・ハンター 憑依作家雨宮縁 (祥伝社文庫 な 25-5)
「慟哭の完結!」という帯の文字に気づかず読みはじめ、なんか続々と死んで行くよぉと思ったら終了か。思えばこのシリーズを読むきっかけとなったのは、最初に終わった“藤堂比奈子”と、もうじき終わりそうだった“よろず建物”のロスを回避するためでした。突如として再開された“坂口信”にはイマイチ惹かれないし、今のところは“ミカヅチ”“鳴瀬清花”でしのぎます。これよりも“堀北恵平”のほうが好きだったこともあり、終わっても特に感慨はないはずが、どういうわけか今はやっぱり寂しい。憑依作家はきっとどこかで生きていますよね!?
読了日:12月11日 著者:内藤了
https://bookmeter.com/books/22011836
■怖ガラセ屋サン (幻冬舎文庫 さ 48-1)
私が子どもの頃に聞いた都市伝説で覚えているものといえば、すぐに思い浮かぶのはやはり口裂け女。あんなの絶対ウソだとわかるから今は笑ってしまうけど、本作に収録されている中にはホントにありそうな話も登場します。特に昔だれかをいじめた過去があるなんて人は、見えないものが見えてしまうこともあるのでは。その点、幼稚園のときにいじめられっ子側だった私は大丈夫か!? そのことは何十年経とうが決して忘れませんし、もしもあのいじめっ子ふたりが現在も元気でいるならば、今からでも「怖がらせ屋さん」に頼みたいぐらいです。(^^;
読了日:12月13日 著者:澤村伊智
https://bookmeter.com/books/22087440
■たまごの旅人 (実業之日本社文庫)
近藤さんでしょ、「たまご」でしょ、表紙にはクロワッサンでしょ。てっきり卵料理が並ぶ話かと思ったら、「旅人」のほうでした。私自身は観光地にほぼ興味がなくて、どこかへ行っても同じ宿に連泊、出かけるのは近所のスーパーやモールぐらい。ボーッと本を読んで、美味しいものを食べるだけという旅が好きです。本作を読んで尚更思う、私にはツアーに参加するのは無理なのはもちろんのこと、添乗員は絶対にできそうにない。客のわがまま、聞けません(^^;。だけどこんなふうに観光地を巡るのも悪くはないかなと思うのでした。添乗員さん、凄い。
読了日:12月18日 著者:近藤 史恵
https://bookmeter.com/books/21918072
■超合理的!ミステリーの書き方 (幻冬舎新書 742)
映画でも本でも説教くさい作品は苦手です。本書を読んで、そっか、それで七里センセの本は説教臭がないんだわと合点がいきました。トリックを決めずに書き始めるとか、プロットがまとまったときにはタイトルも決まっているとか、もう目からウロコぼろぼろ。作家になりたいと思っている人は作家になれないものだとのこと。だけど本書はやはり作家を目指す人の参考になるのでは。応募先は賞金で決めろとは生々しい(笑)。健康に自信がおありのようで。あれれと言われないように、絶対倒れないでくださいね。とりあえずトマトジュースは買ってきたぞ。
読了日:12月22日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/22165471

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今年観た映画50音順〈わ行〉

《わ》
『ワンダーランド あなたに逢いたくて』(英題:Wonderland)
2024年の韓国作品。Netflixにて配信。
死亡、あるいは法的に死亡とみなされる脳死状態にある人をAI(人工知能)を用いて再現し
対話することが可能なサービス“ワンダーランド”。
ワンダーランド旅行社に勤務するヘリ(チョン・ユミ)とヒョンス(チェ・ウシク)は
サービスの提供を求めてやってくるさまざまな人々と契約を進めている。
たとえば、ファンドマネージャーで活躍していた女性バイ・リー(タン・ウェイ)は自分の病を知り、
考古学者として世界を飛び回りつつ仕事先から愛娘に連絡を取るという設定を選択。
また、航空機の客室乗務員ジョンイン(ペ・スジ)は意識不明のままの恋人テジュ(パク・ボゴム)を宇宙飛行士という設定に。
宇宙ステーションから毎日連絡してくるテジュとの会話を楽しんでいる。
若くして亡くなった孫ジング(タン・ジュンサン)と会いたい祖母(ソン・ビョンスク)はAIの孫に甘えられて喜び、
生前に家族と相談して自分を再現することにしたヨンシク(チェ・ムソン)は自分の葬式を見て大笑い。
こんなふうに、死んでしまった大切な人との対話を皆ありがたがっていたが、
AIには自分が死んだという意識がないものだから、そこここに矛盾が生じることがある。
やがて、病床で昏睡状態にあったテジュが奇跡的に意識を取り戻し、ジョンインの部屋に帰ることになるのだが……。
大切な人を亡くして、もう一度、いや、これからもずっと会いたいという気持ちはわかります。
けれどどこかで歪みを感じて、双方ともに幸せではいられなくなる。
自分がすでに死んでいると知ったときのバイ・リーの心の裡を思うと切ないし、
自分のAIがいると知ったときのテジュの表情も切なくてたまらない。泣きました。
コン・ユはほぼカメオに近い出演ですが、やっぱり印象に残る役。
 
《を》《ん》
なし。
 
今年もおつきあいをありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。

—–

今年観た映画50音順〈ら行〉

《ら》
『ラッキー・シスターズ これってチャンス?!』(原題:Las Hermanas Fantasticas)
2024年のアルゼンチン作品。Netflixにて配信。
異母姉妹のジェシカとアンジェラは父の訃報を受けて遺体確認の場で再会。
ふたりとも父親とは長く会っていないから、それが父親かどうかすらわからない。
遺体を確認した父親の秘書に「遺産とかはないの?」とジェシカが尋ねると、
マンションは持っているが悪事を疑われて差し押さえ中だとの返事。
とりあえず父親を偲びたいからと秘書から鍵を預かり、姉妹はマンションを訪れる。
いったい父親は何をしていた人なのか、とにかく凄いマンション。
ふたりで部屋を見てまわるうち、壁の向こうに大金が隠されているのを発見して……。
姉妹ともに父親から捨てられ、幸せに暮らしているとは言えません。
ジェシカはイケイケ女子風なのにファストフード店でバイトしてつましい暮らし。
アンジェラは子どもが嫌いなのに幼稚園教諭になり、全然なついてもらえなくてクビ寸前。
好きでもない男とつきあって、彼の母親の世話になっています。
真面目なアンジェラはそれでも金を盗むのは駄目だと思っているし、父親が悪い人間だったとは思いたくない。
それに対してジェシカは金を持ち逃げして新しい人生を始めたいと思っています。
父親が亡くなるまではジェシカから姉妹の絆を求められても無視してきたアンジェラが、
妹を大事に思うようになったのがわかるシーンが好きでした。
 
《り》
『Lift/リフト』(原題:Lift)
2024年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
インターポールからも目をつけられるほどの泥棒サイラスは、
ものの価値をわかっていない単なる金持ちが美術品を持つことを許さない。
良いものはその価値をわかっている人が所有するべきというのが持論。
彼のチームには金庫破りハッカー、パイロットなど凄腕が集まっている。
ある日、国際的なオークションに堂々と出席したサイラスは、覆面NFTアーティストのN8の作品を2000万ドルで落札。
その後N8の誘拐を偽装すると、騒動を巻き起こしてまんまとゴッホの絵画を盗み出す。
インターポールの捜査官アビーとサイラスは、かつてお互いの素性を偽って1週間だけ恋人だった仲。
そのことを知るアビーの上司ハクスリーは、近日中に計画されている犯罪を防ぐため、サイラスに「泥棒」を依頼するよう、アビーに命じる。
計画されている犯罪とは、大金持ちでその実テロリストのヨルゲンソンが
ハッカー集団リヴァイアサンと組み、金塊を移送しようとしている件。これを阻止しなければ、多くの人命が危機にさらされることになる。
ヨルゲンソンは金のためなら平気で人を殺すような人間。
つまり、恐ろしいヨルゲンソンの強盗計画を潰すためにそのヨルゲンソンから盗みを働けという依頼。
さすがに引き受けられないと断るサイラスだったが、チームのメンバーが話を受けようと言い出し……。
サイラス役がケヴィン・ハートだったので、もっとコメディに振っているかと思いきや、意外とシリアス。そこが逆に面白い感じ。
チームのメンバーがみんな信頼の置ける良い奴で楽しかった。
ヨルゲンソン役にはジャン・レノ。クソ野郎のハクスリー役にはサム・ワーシントン。これも意外なキャスティング。
 
《る》
『ルー・ガルー 人狼を探せ!』(原題:Loups-Garous)
2024年のフランス作品。Netflixにて配信。
音楽教師のジェロームは、妻子を連れて認知症の兆候が見える父親ジルベールを訪ねる。
実家にあった“人狼ゲーム”をみんなで楽しもうと提案するが、みんなシラけた顔で中止に。
がっかりしながらジェロームがゲーム盤をしまった瞬間、地震が起きる。
その後どうも家周辺の様子が妙だと家族全員で町に繰り出すと、
中世を再現した祭の最中のはずが、やけに大がかりな再現率。
実はそれは再現どころか本物で、一家は1847年にタイムスリップしていたのだ。
しかし息子のテオがここはゲームの中であることに気づき、
ゲームをつくった先祖に聞けばゲームをを終了させる方法がわかるのではないかと考える。
そこで、一家は魔術師だと疑われて投獄されている先祖に会いに行き……。
冒頭、ゲームをしようとはりきっていたジェロームがそれぞれに役をあてがいます。
タイムスリップ先のゲームの中では各々がその役の能力を持っている。
ジェロームは読心術、テオは物を盗む術、ジルベールは屈強な狩人、娘のクララは透明人間に変身。
末娘のルイーズは人狼になっちゃうんですけど。
人権派の弁護士である妻マリーが中世の横暴な男どもに腹を立ててつい口を出したせいで魔女扱いされるところが面白い。
音楽も絶大な力を放ちます。大画面で観たい物語。
あ、爺ちゃんのジルベール役はジャン・レノ。久しぶりに彼を見た、と思ったけれど、《り》で見とるがな。
 
《れ》
『レディ加賀』
2023年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてレンタル。
樋口由香(小芝風花)は加賀温泉の老舗旅館のひとり娘。
子どもの頃に観たタップダンスに魅了され、タップダンサーになるべく上京するが、
そろそろ潮時かと感じていたタイミングで実家に呼び戻され、観念して女将修行を始めることに。
想像以上に厳しい修行に悪戦苦闘しつつも、加賀温泉を盛り上げたいと考える。
新米の女将たちを集めてタップダンスチームを結成、開催を計画するのだが……。
実際に加賀温泉郷で働く女性PRグループ“レディー・カガ”をモチーフとしているとのこと。
町おこしのためのご当地ムービーで、能登半島地震の復興支援映画でもあります。
配給収入の一部を石川県への義援金に充てることも発表されていて、
こりゃもう応援するしかない作品ではありますが、話としてはありきたり。
夢破れた女性が地元に帰って奮起、最後は大盛り上がりで終わるけど、
よく考えてみたら、実は何も解決していないんだもの。
しかもモデルとなった旅館の経営会社がコロナ対策の雇用調整助成金を不正に受給していたことが発覚。
水を差された感が否めません。
 
《ろ》
『ロ・ギワン』(英題:My Name is Loh Kiwan)
2024年の韓国作品。Netflixにて配信。
脱北して中国・吉林省の延吉市で母親と暮らしていた青年ロ・ギワン(ソン・ジュンギ)。
理不尽に虐げられている友人を助けようとしたせいで当局から目をつけられ、お尋ね者に。
母親に守られてなんとか生活していたが、あるとき見つかってしまう。
ロ・ギワンを逃がそうとした母親は車にはねられて死亡。
母親の希望はロ・ギワンが幸せに暮らすことだったから、
彼が中国から出国できるようにと親戚が母親の遺体を病院に売り、金をつくる。
偽造パスポートでベルギーに到着して難民申請するもすぐには認められず。
審査の日まで2ヶ月近くあり、その日までどうしても生き延びなければならない。
公衆トイレや路上で生活していたところ、若者たちから暴行を受ける。
意識を失って倒れている間に財布を盗まれるが、犯人はベルギー在住の韓国人マリ(チェ・ウソン)だった。
マリは裕福な家庭に育ちながら、母親の死を受け入れられず、父親のことを憎んでいた。
ロ・ギワンから盗んだ財布は今は手元にないらしく、必ず返すと言われても信じられない。
それでもマリと会ううち、ロ・ギワンはここで生きる希望を持ちはじめて……。
終始暗く、つらく重い話ですが、飽きることなく最後まで観ました。
北朝鮮からなんとか脱出しても、ほかの国で生きるのは簡単なことではないのですね。
ソン・ジュンギがもう少しタイプだったらもっと好きになれたかもしれませんが、
アイドル並みのイケメンをキャスティングしたらこの悲壮感は出ないかなぁ。

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