『レオ:ブラッディ・スウィート』(原題:Leo)
監督:ローケーシュ・カナガラージ
出演:ヴィジャイ,トリシャー・クリシュナン,サンジャイ・ダット,アルジュン・サルジャー,マシュー・トーマス,イヤル,プリヤ・アーナンド,マドンナ・セバスチャン,ガウタム・ヴァスデフ・メノン,ジョージ・マリヤーン他
休日、夜は庄内のカフェマタンゴにて太神楽とパーカッションのコラボイベント“衛藤玉之助”。それまでの予定は空けたままにしていましたが、予想外に朝早く目が覚める。父に面会に行き、サンドイッチを買いに行ってもまだまだ時間あり。庄内に行くのに都合のよさそうな劇場のスケジュールをいくつか調べてみたら、あるじゃあないか、塚口サンサン劇場で是が非でも観たいインド作品が。
ローケーシュ・カナガラージ監督による“ローケーシュシネマティックユニバース(ロキバース)”と銘打って贈る第3弾。っちゅうてもいまだにその“ロキバース”なるものがなんだかよくわかっちゃいないのですが、とにかく同監督の『囚人ディリ』と『ヴィクラム』を観ていれば、知った登場人物の名前が出てきてより面白い。主演は我らが大将ヴィジャイ。やはり相当な人気なのか、わりと良い客入り。
インド北部に位置する静かな町テオグでカフェを経営するパールティバン。動物保護活動家でもある彼は、愛する妻サティヤと息子シッドゥ、娘チントゥの4人家族。一家と親しい森林レンジャーのジョシは、パールティバンとお互いに信頼を置く関係。
警官たちが町に出没したハイエナを捕らえて殺そうと躍起になったとき、ジョシは直ちにパールティバンに応援を要請。シッドゥを高校まで車で送り届ける途中だったが、心配するサティヤにはくれぐれも内緒にと約束して共に現場へ向かう。獰猛なハイエナを殺すことなく麻酔銃で眠らせたあとは自ら保護することにしたパールティバンは人々から賞賛される。
ある晩、強殺を繰り返していたギャングがパールティバンの経営するカフェに乗り込む。最初は金だけ渡しておとなしく帰ってもらおうと計らうパールティバンだったが、女性従業員とまだ幼いチントゥをギャングが傷つけようとした瞬間にパールティバンはキレる。瞬く間に5人を撃ち殺したパールティバンは逮捕されたものの、正当防衛が認められる。ふたたび英雄として褒め称えられ、有名人に。しかし、復讐を誓うギャングの関係者があちこちに現れて落ち着いていられない。
久々に家族と共に出かけた市場でも襲撃されるが、パールティバンは無敵の強さを見せつける。孤児院育ちのパールティバンはいったいどうしてこのように強くなったのか。サティヤとジョシがなんとなく不思議に思いかけた頃、パールティバンの父親だという男アントニーがサティヤの前に現れる。
アントニーは麻薬を製造するマフィアのトップで、ずっと前に死んだはずのレオという息子がいた。パールティバンこそがレオで、その正体は血も涙もない殺人者だと。信じたくない話ではあるが、出会う前のパールティバンのことを知らないサティヤは、ジョシと協力してパールティバンの過去を調べはじめるのだが……。
死んだはずの息子が生きていたとか、普通の人だと思っていた夫が実は違いましたとか、毎度の展開。パールティバンが本当はレオでしたというところではまたかよと思いました。だけどパールティバンにはレオのときの記憶がないらしくて、これもまたかよと思う(笑)。ところが次第にパールティバンはレオと瓜ふたつなだけで別人らしい。これもよくある展開ではありますが。(^^;
よくある展開でも面白いんです。ヴィジャイの主演作は鉄板だねぇと改めて思う。全然タイプじゃないはずなのに、なんか格好良く見えてくるんですよねぇ。
ネタバレです。
パールティバンがレオと別人だというのは演技でしたというオチ。商売繁盛には生贄が必要だと考えるアントニーが、レオの双子の妹エリサを生贄にして儀式をおこない殺そうとしました。レオはエリサを助けようとするも、エリサは殺されてしまう。自分の子どもを生贄として差し出そうとする親なんて人間じゃない。復讐のときを待ち構えていたレオはアントニーやその弟ハロルドを死に至らしめる直前までパールティバンのふりをする。これには私も見事に騙されて、胸のすく最後。
おおっ、なるほど。こうして麻薬撲滅を誓うヴィクラムの話へと繋がるのですね。楽しい!
『脱走』
『脱走』(英題:Escape)
監督:イ・ジョンピル
出演:イ・ジェフン,ク・ギョファン,ホン・サビン,ソン・ガン,イ・ソム,イ・ホジョン他
109シネマズ大阪エキスポシティにて『メガロポリス』を観て呆然としたのち、109シネマズ箕面へ向かって本作を鑑賞。金持ちのオッサンが私財を投じて撮った『メガロポリス』とはスケールが違うとはいえ、絶対にこっちのほうが面白い。監督は『サムジンカンパニー1995』(2020)のイ・ジョンピル。タイトルそのままに、命懸けで脱北に挑む北朝鮮兵士を描くサスペンスアクションです。
軍事境界線で警備に当たる軍曹イム・ギュナム(イ・ジェフン)は10年間に渡る兵役をまもなく終えるが、兵役後に北朝鮮に残ったところで何も未来はない。今が韓国へ脱走するとき。長い時間をかけて脱走の計画を立ててきたのに、下級兵士のドンヒョク(ホン・サビン)がそれに気づいてギュナムに詰め寄る。
自分も連れて行ってほしいというドンヒョクにギュナムがシラを切り通したところ、その夜、ドンヒョクが単身で脱走を図る。ドンヒョクの逃走経路に心当たりがあるギュナムは、ほかの下級兵士たちによそを回らせ、ドンヒョクを探しに。案の定、ギュナムが考える場所にドンヒョクはいた。見つかれば銃殺刑は免れない。なんとかドンヒョクを救おうと画策するも、ふたりでいるところを見つかってしまう。ドンヒョクはギュナムが作成して隠していた地図等を盗み出していたため、ギュナムが共犯とされて拷問を受ける。
ふたりとも銃殺まちがいなしと思われたが、保衛省から様子を見にやってきたリ・ヒョンサン(ク・ギョファン)は、ギュナムは脱走兵を捕らえた英雄としてむしろ賞賛すべきだと言う。脱走兵が2人も出ればその管理体制が疑われるからと。ヒョンサンのおかげで殺されずに済んだわけだが、兵役終了後も軍にとどまるように言われたギュンナムは……。
『メガロポリス』で襲われた睡魔から覚醒するのにもってこいの作品でした。
実はギュナムとヒョンサンは幼なじみの間柄。幼なじみと言っても、ふたりの会話からわかるのは、ギュナムの父親がヒョンサンの父親の運転手を務めていたということ。そこには歴然とした上下関係があり、だけど、ギュナムはヒョンサンのことを兄のように慕っていたことがわかります。ヒョンサンも今は冷酷な少佐として皆から恐れられていますが、ギュナムを本当の弟のごとく可愛がっていた模様。しかし、どうにかして北朝鮮から逃げ出そうとしているギュナムを殺すしかないヒョンサン。そこに躊躇はなくてとても恐ろしい。
「どうせ失敗するだけなのに、どうしてそこまでして南に行きたいのか」と問うたときのギュナムの答えが心に響きます。「この国では失敗が許されない。人は失敗して、挑戦して、また失敗して、夢を見ながら挑戦するもの。ひとつミスを犯しただけで殺される国で生きていたくはない」。
ヒョンサン役のク・ギョファンの怪演がとてもよかったです。最後の彼の表情に救われる。
『メガロポリス』
『メガロポリス』(原題:Megalopolice)
監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:アダム・ドライヴァー,ジャンカルロ・エスポジート,ナタリー・エマニュエル,オーブリー・プラザ,シャイア・ラブーフ,ジョン・ヴォイト,ローレンス・フィッシュバーン,タリア・シャイア,ジェイソン・シュワルツマン,ダスティン・ホフマン他
封切り日に109シネマズ大阪エキスポシティにてIMAXレーザーGT版を鑑賞。
“ゴッドファーザー”シリーズや『地獄の黙示録』(1979)のフランシス・フォード・コッポラ監督が自ら私財を投じて撮った作品。いわば「巨匠によるインディーズ作品」で、道理でコッポラなのに上映回数が少ない。たいして長尺なわけでもないのに1日1回の上映ってどういうことよと思ったらそういうことですか。期待してムビチケを購入済み。IMAX版だから追加料金まで払って観ました。
舞台はローマ帝国に重ね合わせた近未来のアメリカの大都市ニューローマ。都市計画局の局長を務めるのは、格差が進む一方のこの国の行く末を悲観する天才建築家カエサル(アダム・ドライヴァー)。誰もが平等に暮らせる理想都市メガロポリスをつくる計画を推進。しかし、市長キケロ(ジャンカルロ・エスポジート)はカジノ建設を主張して、両者は激しい対立を見せます。キケロの娘ジュリア(ナタリー・エマニュエル)は最初こそカエサルを毛嫌いしていましたが、メガロポリス計画を聴くうちに共感。カエサルとキケロの仲をなんとか取り持とうと、カエサルのもとで働く道を選びます。
なんといってもエキスポシティのIMAXレーザーGT版ですし、画面の大きさには毎度圧倒され、本作を観るにふさわしいスクリーンだと思って観はじめました。私同様にコッポラ監督に期待してこの初日に観に来た客も多そうでしたけれど。
まったくもって意味不明。魅入られたのは映像の壮大さと美しさのみ。苦手な顔のアダム・ドライヴァーが主演ということも少なからずあるのでしょうが(笑)、冒頭から彼の台詞が陳腐というのか何を語っているのか全然わからず。
シェイクスピアの現代版、いや、未来版を観ているとでも思えばいいのか。ジョン・ヴォイトやダスティン・ホフマンといった大御所やシャイア・ラブーフを見られたのは嬉しいものの、誰も彼も狂人にしか見えません。オーブリー・プラザ演じるワオ叔母さんなんて、演じているのが気の毒になるほど滑稽。
拷問のように感じた138分でした。30分で立ち上がったお客さんがいて、トイレかなと思ったけれど、ポップコーンやドリンクのトレイを持っていました。飲食の終わった時点で見切りをつけて帰るのね。当然戻って来られず。気持ちがわかる。(^^;
ま、自分のお金をどう使おうが勝手ですから。好きなように撮れてよかったんじゃないですか。
『青春イノシシ ATARASHII GAKKO! THE MOVIE』【応援上映】
『青春イノシシ ATARASHII GAKKO! THE MOVIE』
監督:清水恵介,オ・ユンドン
観るものがなくなって前述の『TOMORROW X TOGETHER: HYPERFOCUS IN CINEMA』を観たついでに、“新しい学校のリーダーズ”のライブ&ドキュメンタリー作品も観てみることにしました。同じく109シネマズ箕面にてScreenX版、一応応援上映です。
TOMORROW X TOGETHERよりはわかるけど、新しい学校のリーダーズのこともほとんど知りません。初めてちゃんと認識したのは『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(2023)を観たときだと思います。商店街か何かのイベントで歌って踊る制服の4人組。エンドロールに「新しい学校のリーダーズ」とあるのを見て、これはなんぞやと思いました。そうしたら、すでにたいそう売れっ子のダンスボーカルユニットらしくて。斬新というのか変わっているというのか、面白いグループがあるんだなぁと驚く。
とはいうものの、1曲も知らないまま本作の鑑賞に臨みました。私以外は間違いなくファンで、最後方の列にぽつりぽつりと座っている模様。ScreenXって、エグゼクティブシートより後ろのほうが断然良いんです。ファンの人たちに並んで後方に座るのもおこがましく、私はエグゼクティブシートに座る。
K-POPグループのドキュメンタリーを観ても、一度では顔と名前が一致しませんが、日本人のこんなグループなら、4人それぞれタイプも違うし、ちゃんと覚えられます。てっきりリーダーだと思っていたリードボーカルのSUZUKAは、ファンの人に怒られそうですけど、女版・横山剣みたい。歌を聴いていてそう思いました。MC力も凄いし、なんだか引きつけられますよね。リーダーは最年長のMIZYU。可愛いけど、リーダーらしくしっかりしていてグループをまとめている模様。KANONは美人ゆえついつい顔に目が行っちゃいますが、ダンスも○。また、なんじゃこの髪型はと思ったRINは堂々のラッパー。
せっかくの応援上映ですが、客席にそう人は多くないし、やっぱり照れがありそう。ひかえめな手拍子が聞こえるぐらいではありましたが、終了時には大きな拍手が起こっていました。
今年が結成10周年なのだそうです。その成長ぶりを親の気持ちで観ていたくなるグループですね。
『TOMORROW X TOGETHER: HYPERFOCUS IN CINEMA』
『TOMORROW X TOGETHER: HYPERFOCUS IN CINEMA』(英題:TOMORROW X TOGETHER: HYPERFOCUS in Cinema)
監督:キム・キュングク
毎週水曜日までに前週シネコンで上映が始まった作品はたいてい全部観ています。で、木曜日になると観るものがなくなり、大阪市内まで出るのも面倒だなぁと思うと、こうしてスルー目前だった作品を観るしかない状況になります。
スルー目前だったなんて言いましたけど、ここ数年はK-POPグループのドキュメンタリーは必ず観ているような。本作も「観るものがなくなったら真っ先に観よう」と思っていたやつです。
“TOMORROW X TOGETHER”をなんと読むのか知ったのもわりと最近のこと。『ZEROBASEONE THE FIRST TOUR [TIMELESS WORLD] IN CINEMAS』を観たときと同様に、トゥモロー・バイ・トゥギャザーが何人でどういう構成のグループなのか知りません。ゼベワンとかセブチよりカタカナ長いな、どうやって略すのかなと思ったらトゥバトゥとかトゥバというのですね。へ~。前者はともかく、トゥバってさすがに略しすぎやない!? そのほうが言いやすいけど。(^^;
本作はそんなトゥバが2024年に開催したVRコンサートツアー“HYPERFOCUS : TOMORROW X TOGETHER VR CONCERT”をScreenXあるいは4DXまたはULTRA4DX対応劇場で公開したもの。私は109シネマズ箕面のScreenX版を鑑賞しました。
彼らはBTSと同じ事務所から2019年にデビューしたグループで、日本でも昨年30万人を動員した4大ドームツアーを開催。NHK紅白歌合戦にもK-POPボーイグループとして唯一出場していたのですね。知らなんだ。
コンセプトは、彼らと共に失われた光のかけらを探しにいく旅。メンバー5人がMOA(モア)と呼ばれる彼らのファンたちに語りかけながら、森や深夜の駐車場など凝った設定のもと、全6曲を披露します。普通のコンサートなどの映像と違って、最初からVRコンサート用につくられているから、MVみたいな感じ。それをScreenXで観れば、より臨場感あふれて楽しめるってとこです。
おおっ、このグループは5人なのか、というところから始まっている私は、どの子の顔が好きかなぁ、でもこれ、髪型とか色が変わったらまたわからんなぁとか、そんなことしか考えていません。だけど思えば最初にBTSを観たときもそんな感じで、ジョングクを知らずにいたら今もそのままだったでしょうから、何がきっかけになるかわからないものです。
というわけで、これからも観る機会があればどのグループのものでも観に行きます。