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『雪の華』

『雪の華』
監督:橋本光二郎
出演:登坂広臣,中条あやみ,高岡早紀,浜野謙太,箭内夢菜,田辺誠一他

TOHOシネマズ伊丹で1本だけ。

監督は『orange オレンジ』(2015)、『羊と鋼の森』(2017)の橋本光二郎。
中島美嘉の同名曲をモチーフにしたラブストーリーで、
主演が登坂広臣中条あやみと来れば、そりゃ客は入るでしょう。

「東京とフィンランドを舞台にした」と聞いた時点でイヤ~な予感。
フランス・リヨンを舞台にした『白夜』(2009)があまりにもショボかったので、
邦画でわざわざ欧米に行って撮る恋愛ものには引き気味。
『白夜』ほどではなかったけれど、いろいろワロてしまいました。スマソ。

幼い頃から体が弱かった美雪(中条あやみ)は、
長いつきあいの担当医師・岩村(田辺誠一)から、ついに余命1年を宣告される。
悔いのないように生きなさいと言われるが、前向きにはなれそうにもない。
その帰り道、ひったくりに遭い、もはや立ち上がれずにいると、
前方を歩いていた悠輔(登坂広臣)がひったくりに気づいて犯人を追いかけたうえ、
美雪のバッグを取り返して戻ってきてくれる。
座り込んだままで礼も言わない美雪に、悠輔は言う、「声出せよ」。

後日、偶然悠輔を見かけた美雪は、彼が“Voice”というカフェの雇われ店長であることを知る。
悠輔は美雪のことなど全然覚えていない様子だが、まぁいいかと思う。

カフェのオーナー・岩永(浜野謙太)と悠輔の話を立ち聞きしてしまった美雪は、
岩永が今すぐに100万円用意できなければ、店を手放さなければならないことを知る。
そうなれば当然、悠輔も店長ではいられない。

店の前で落ち込み座っていた悠輔に、美雪は思わず声をかける。
自分の貯金100万円を使ってほしい、
その代わり、1カ月だけでいいので自分の恋人になってくださいと。
ホストじゃあるまいし、金で買われるなんて。
そう思いつつも悠輔は岩永のため店のため、美雪の条件に従う。

こうして美雪と悠輔は「恋人」の契約を交わしたうえでつきあいはじめるのだが……。

若手人気俳優が出演する作品にありがちな、「想像できることしか起こらない」
美雪と岩村が一緒にいるのを見て悠輔が勘違いするのなんて、ありすぎて笑う。
勘違いしないと話が進まないことになっているんですかね。(^^;

だいたいないですよね、100万円払って彼氏になってなんて。
あ、そこは「想像できること」じゃないから斬新か。

ラストチャンスだとオーロラを見にひとりでフィンランドへ向かった美雪を追いかける悠輔。
アンタどんだけ軽装備でフィンランドまで行くねんとツッコミ入れたくなる。
ヒッチハイクで車に乗せてもらったはいいけれど、
倒木が道を塞いで通れないとわかるとそこから走るのよ。
行き先の地名しかわからんのに、走れるわけがないやろ!とまたツッコミ。
この辺で客席からはすすり泣きも漏れています。笑ってもてごめん。

音楽は葉加瀬太郎。さすがにそれはよかったです。
作品自体も、私がこれより駄目だったのはい~っぱいあるから、
主演のふたりともわりと好きだし、耐えられます。はい。
—–

『恐怖の報酬』【オリジナル完全版】

『恐怖の報酬』(原題:Sorcerer)
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:ロイ・シャイダー,ブルーノ・クレメル,フランシスコ・ラバル,
   アミドウ,ラモン・ビエリ,ピーター・カペル,カール・ジョン他

前述の『アメリカン・ミュージック・ジャーニー』と同じく、塚口サンサン劇場にて。
ちょっと前にナナゲイで観逃して後悔していたら、塚口に来てくれました。

『エクソシスト』(1973)のウィリアム・フリードキン監督が
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督のフランス/イタリア作品、
『恐怖の報酬』(1953)をリメイクしたのが1977年。

『フレンチ・コネクション』(1971)はアカデミー賞で5部門も受賞したし、
フリードキン監督がコケるわけはない。そう誰もが思ったのでしょう。
ユニバーサルパラマウントが現在の100億円に相当する額を出資。
数年にわたる製作期間を費やして完成させたものの、
当時は折しもの“スター・ウォーズ”ブームで、この超大作も入り込む隙なし。
フリードキン監督に無断で約30分カットされた【短縮版】が配給→公開→即終了。
さらにはユニバーサルとパラマウントというメジャーすぎる会社が共同出資したために、
誰に権利があるねんとワケわからん状態になって、
アメリカ以外では上映もできず、ビデオもDVDも発売不可に。

ここへ来てようやく監督自ら配給会社を提訴、権利者を特定。
勝手にカットされた30分を戻して修復に着手。
2013年のヴェネツィア映画祭でプレミア上映されたのを皮切りに、
欧米各地で再上映されてやっと正当な評価を得たという大変な作品です。

とはいうものの、私はクルーゾー監督のオリジナル版を観ていないし、
フリードキン監督の短縮版も観ていません。
それで面白さがわかるのか。いんや~、面白かったです。

実は上映中に前代未聞のハプニングがありました。
前方の席に座っている兄ちゃんと爺ちゃんが喧嘩を始めたんです。
おそらく爺ちゃんがケータイをいじり、兄ちゃんが注意した。
それに爺ちゃんがキレた模様。兄ちゃんが劇場スタッフを呼びに行くも、
爺ちゃん「おまえは映画だけ観とけばええやろ。やかましいんじゃ!」。
そんな恐ろしいジジイをスタッフが追い出せるわけもなく。
結局兄ちゃんのほうが退場。たぶんスタッフから返金の申し出でも受けたのでしょう。
上映中の喧嘩なんて迷惑だけど、ここまで大声の怒鳴り合いは申し訳なくも逆にワラけます。

という話はさておき、
私のように『恐怖の報酬』まったく知らんという人のために簡単にあらすじを。

メキシコ・ベラクルスで標的を射殺した殺し屋
イスラエル・エルサレム爆弾テロを実行した男。
フランス・パリで不正取引を追及された投資家
アメリカ・ニュージャージーで教会を襲撃してビンゴ売上金を強奪した男。
いずれも身を隠さねばならなくなった男4人が流れ着いたのは南米奥地。
油井で火災が発生し、責任者らは消火の手段を考える。
唯一の方法として思いついたのは、ニトログリセリンを使用すること。
しかし、そのニトログリセリンは油井から200マイル離れた小屋にある。
ヘリコプターで運ぶのは無理、トラックに積んで運ぶしかない。
高飛びをするための金を得たくて、運搬役に応募する4人。

ジャングルの中、ニトログリセリンを積んで200マイル。
22マイルでも大変なのに、200マイルって。
雨がじゃんじゃか降る日もあれば、吊り橋に遭遇する日も。
道の真ん中に大木が倒れていたり、ものすごくハラハラドキドキ。

「特別音響上映」とやらだったため、楽しさたぶん倍増。
そこへ例の客同士の喧嘩もあったものだから(最初は劇中の登場人物の会話かと思った)、
忘れられない鑑賞となりました。

上映終了後、出口でスタッフが深々と頭を下げて、
「ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ありませんでした」と招待券を全員に。
いや、劇場の方々は誰もちっとも悪くないし。
招待券をいただけるなんてラッキーです。すみません。

ひとつ気になるのは、あの爺さんもその招待券を貰ったのかということ。
それはちょっとどうかと思う。(^^;
兄ちゃんは気の毒でしたねぇ。あなたのほうが正しいのに。
でも、腹が立っても劇場で注意はできません。
相手がいったいどんな人なのかわからないし、
そもそも注意してやめるような人は、最初からケータイを見ないから。
困ったものですねぇ。
—–

『アメリカン・ミュージック・ジャーニー』

『アメリカン・ミュージック・ジャーニー』(原題:America’s Musical Journey)
監督:グレッグ・マクギリヴレイ

24回目の『ボヘミアン・ラプソディ』を観たあと、
この日は武庫之荘で晩ごはんの予定だったから、
そっち方面であと2本映画を観ようと思って塚口サンサン劇場へ。

109シネマズ大阪エキスポシティに行ったときに予告編を上映していて、
観たいなぁと思っていたのに、1週間限定上映だった様子。
知らない間に始まって知らない間に終わっていました。
サンサン劇場って、ロードショー上映もしつつ、
その階下でちょっと前の作品をこうして上映してくれていて嬉しい。

しかしなぜ字幕版ではないのかがわかりません。
サンサン劇場だけが吹替版の上映というわけではないようで、どこもかしこもその様子。
ナレーションをモーガン・フリーマンが担当しているのに、
彼の声は聴けないわけで、それがとても残念。
しかも吹替版ではいったい誰が担当しているのかわからないのはどーゆーこと!?

と、先にぼやいてみましたが、とても良い作品です。
シンガーソングライターのアロー・ブラックが、
アメリカの歴史を学ぶためにアメリカ音楽が生まれた街を巡るというドキュメンタリー。

アローはロサンゼルス、メンフィス、シカゴ、ナッシュビル等々を巡ります。
ポップスやロック、ジャズ、サルサ、ブルース、カントリー
ヒップホップモータウンと、さまざまな場所で生まれた音楽。

アロー自身のヒット曲“Wake Me Up”のフラッシュモブのシーンでは
思いがけず涙腺が刺激され、感動。
見事な足さばきのダンスにも目を奪われます。

ルイ・アームストロングが少年院に入ることがなければ、
彼がトランペットと出会うこともなかったかもしれない。
そうしたら、“What a Wonderful World”も生まれなかったかもしれない。

音楽のるつぼ。至福のドキュメンタリーでした。
—–

『メリー・ポピンズ リターンズ』

『メリー・ポピンズ リターンズ』(原題:Mary Poppins Returns)
監督:ロブ・マーシャル
出演:エミリー・ブラント,リン=マヌエル・ミランダ,コリン・ファース,
   メリル・ストリープ,ベン・ウィショー,ディック・ヴァン・ダイク他

TOHOシネマズなんばで5本ハシゴの4本目。
『七つの会議』『フロントランナー』『バーニング 劇場版』→これ。
「映画の日」だったことと、時間がちょうどよかったこともあり、
せっかくだからとIMAX版を鑑賞。
なんばでIMAXを観るのはこのとき以来。ここのIMAXシアターも結構好きです。

ディズニーが1964年に製作したミュージカル『メリー・ポピンズ』の続編。
といっても、その年に私はまだ生まれていないので、全然わかりません。
だから思い出も懐かしさもない。単に初めて観るミュージカル映画の認識で。

前作から25年が経過したロンドンが舞台。

妻を喪い、3人の子どもをひとりで育てなければならなくなったマイケル・バンクス。
長年バンクス家に仕えてくれているエレンは少々ボケてきたかのようで、
子どもたちの面倒をまかせっきりにはできない。
マイケルの姉ジェーンがそんな弟と姪っ子甥っ子を気にしてしばしば立ち寄る。

世の中は大恐慌で、家計も火の車。
それでもなんとかやってきたのに、急に銀行が訪ねてきて、家を差し押さえられる。
数日後までにローンを完済しなければ家を失うことになり、
マイケルはどうすればいいのかわからない。

ふと、マイケルの亡き父が銀行の株を所有していたことを思い出す。
あの株券さえあれば、家を渡さなくて済むではないか。
マイケルとジェーンは家のあちこちを探しはじめる。

その間にお使いに出かけた子どもたち。
長女アナベル、長男ジョン、次男ジョージーは、メリー・ポピンズと出会う。
凧に乗って舞い降りた瞬間を見たジョージーは大興奮。

子どもたちが彼女と共に帰宅すると、昔と変わらぬその姿にマイケルとジェーンは唖然。
涼しい顔のメリー・ポピンズは、子どもたちの世話をしにきたと宣言するのだが……。

睡魔に襲われる危険がありましたが、大丈夫でした。普通に楽しい。

ロブ・マーシャル監督のミュージカルといえば『シカゴ』(2002)。
あれは完全に大人向けでしたが、この『メリー・ポピンズ リターンズ』はどうなのか。
子ども向けだとしたら、130分超はちょっと長すぎるように思います。
そこから考えても、これはかつての『メリー・ポピンズ』が大好きだった年齢層向けですね。

こんなふうに美人の魔法使いが現れて、海底と化したお風呂の中を泳いだり、
陶製ボウルの中を走り回れたりしたらどれだけ愉快なことでしょう。
子どもだった頃の夢見る気持ちを大人だって持ち続けたっていい。

なお、マイケル役のベン・ウィショーは、
『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリー役として一時名前の挙がっていた俳優です。
こうして見ると、彼がフレディ役でなくてよかった。
サシャ・バロン・コーエンでなくてもっとよかった。

なお、ハシゴの〆だった5本目は明日はUPしません。
なぜなら『ボヘミアン・ラプソディ』だったから。23回目の。(^^;)
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『バーニング 劇場版』

『バーニング 劇場版』(英題:Burning)
監督:イ・チャンドン
出演:ユ・アイン,スティーヴン・ユァン,チョン・ジョンソ他

この日、TOHOシネマズ西宮に行くかTOHOシネマズなんばに行くかを迷って
結局なんばに決めた
のは、本作の上映がなんばのみだったからです。
どうして劇場版なのかと思ったら、昨年末にNHKで短縮版が放映されたとのこと。知らなんだ。

第91回アカデミー賞外国語映画賞に韓国代表作としては初めて最終選考に残ったとか。
韓国の公開初日動員記録が歴代2位。ちなみに1位は『デッドプール2』(2018)。
『デッドプール2』とは作風が違いすぎてワラける。

原作は村上春樹の短編『納屋を焼く』で、客層も村上春樹ファンっぽい。
私は学生時代にはよく読んだものの、今はとんとご無沙汰で、
これが収録されている『螢・納屋を焼く・その他の短編』も読んだはずですが覚えていません。

とにかくしかし、こんな殺人が絡むミステリードラマではないですよね。
この原作が村上春樹だなんてとしばし呆然。
監督がイ・チャンドンだということを失念していたせいです。
『ペパーミント・キャンディー』(1999)、『オアシス』(2002)の監督で、
『フィッシュマンの涙』(2015)では製作総指揮を担当、
『わたしたち』(2015)の企画もしているイ・チャンドン。
そんな人が撮ったら、そりゃこうなるかとニヤリ。ヘヴィーだぁ。

大学を卒業後、小説家を目指してアルバイト生活を送るイ・ジョンスは、
街で見覚えのない女性から親しげに声をかけられる。
彼女は幼いころ近所に住んでいたシン・ヘミで、整形をしたのだという。
すっかり美しくなり、プロポーションも抜群のヘミにジョンスはびっくり。

ヘミから飲みに誘われたジョンスは、彼女がしばらくアフリカへ行くと聞かされる。
その旅行期間中に、ヘミのアパートで飼っている猫の餌やりを頼まれるが、
何度訪れても猫の姿は見えない。そこに猫は本当に存在するのか。

2週間後、帰国するとの連絡があり、喜んで迎えに行くジョンス。
ところがヘミはひとりではなく、旅先で知り合ったという男性ベンと一緒。
高級マンションに住み、ポルシェに乗り、料理が得意なベン。
ジョンスは自分とさほど歳の変わらないベンに嫉妬を感じるのだが……。

ネタバレ全開です。

妙な三角関係が続いたあと、ジョンスはヘミと一切連絡が取れなくなります。
ベンが何か知っているにちがいないと尋ねても、ベンは知らないと言う。
ベンのマンション前に張り込んで行動を監視するうち、
ヘミは彼に殺されたのかもしれないと思いはじめるジョンス。

ベンの部屋には、ヘミが飼っていたとおぼしき猫がいるし、彼女の腕時計も抽斗に隠されている。
ジョンスがベンを殺すという凄惨な場面で幕が引かれ、
これはどういうことなのか、意味不明だと思う人も多そう。

ベンのことを連続殺人鬼だとする解釈もできそうですが、それではすっきりしない。
私なりに納得の行く解釈をしてみると、ベンの新しい彼女は整形をしたヘミ。
ヘミがアフリカで見たという踊りは、パントマイム教室の踊りと同じだったから、
おそらくヘミはアフリカになど行っていない。
借金の返済に追われて姿を隠すために整形し、その事情をすべて知る協力者がベン。
彼女の猫がいるのも、飼い主が殺されたからではなく、そこに整形した飼い主がいるから。
事情を説明しようとジョンスに会いに来たのに、ベンはいきなり刺されてしまった。

……というのでどうですか。

いずれにしても、村上春樹の原作とは異質だろうと思うのですが、
レビューサイトを覗くと、村上春樹を感じるという感想がありますね。
30年ぶりに『納屋を焼く』を読んでみなければ何とも言えません。
『納屋を焼く』の項をウィキペディアで読んでみると、
なるほど、納屋をビニールハウスに置き換えただけで、あらすじだけ読むと同じだわ。
同じだけど、違う。

村上春樹と関係なく、映画として非常に面白かったけれど、
これは絶対、私のまわりの誰にも薦められません。
いや、ごくわずか、何人かは薦めてもよさそうな人がいるかなぁ。

イ・チャンドン、重すぎる。
—–