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2019年2月に読んだ本まとめ

2019年2月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3658ページ
ナイス数:1148ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■七つの会議 (集英社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作が凄く面白かったことは当然覚えていますが、記憶力が急降下している今日この頃、2年近く前に読んだ本の詳細なんてほぼ丸ごと忘却の彼方へ。問題の会社が何屋さんだったかも忘れている。それよりも池井戸作品のあちこちに出没する「ネジ」ですよネジ。萬斎さんが現代を舞台にした時代劇とおっしゃっているとおり、豪華おっさんキャストの大立ち回りを観ているかのよう。今どきのボソボソじゃなくて皆はっきり喋ってくれるから聴きやすい。大げさであっても共感を得やすいでしょうね。万人受け確実。
読了日:02月02日 著者:池井戸 潤
https://bookmeter.com/books/10352506

■甘い罠 (講談社文庫)
帯の「炭水化物は善か悪か」に惹かれて購入。終盤まで米も日本酒も菓子も毒扱いされ、糖質オフの推奨の仕方は新興宗教かと思うほど。ここまで否定するかと嫌な気分に。女優より美人の料理研究家に私が嫉妬しているのかもしれません(笑)。そういう意図だったのかとわかるのは著者のあとがきを読んでから。なるほど、経験談に基づいていたのですね。糖質を悪だと言いたかったのではないんだと、そこまで読んでようやく納得。「羊羹一切れで優しくなれる自分が愛おしい」、この一文にはホッとしました。何事もバランス、上手く取り入れたいものです。
読了日:02月03日 著者:鏑木 蓮
https://bookmeter.com/books/11143894

■原調 (講談社文庫)
交通事故の加害者側が契約する損保会社の保険査定員・滋野による原調=原因調査。滋野の心情はほとんど窺えず、淡々と調査を進めるデキる査定員という印象。かといって冷ややかなわけでもなく、事故を公平な目でつぶさに見ようという姿勢に好感を持ちました。ただ、事故の真相はやるせないものばかり。なぜこんな事故が起きたのかが明かされて、しんみりするというよりはやるせない気持ちでいっぱいになります。読後どんより。面白かったけれども、私の好みとしては、結末が「めっちゃいい話」か「どん底に突き落とされるほど嫌な話」のほうがいい。
読了日:02月06日 著者:遠藤 武文
https://bookmeter.com/books/11182832

■あひる (角川文庫)
ひっそりとした家庭であひるを飼い始めたら、近所の子どもたちが立ち寄るようになって一気に賑やかになった。それが嬉しい両親は、あひるの元気がなくなるたびに次のあひるに取り換える。子どもたちは気づいていないかと思いきや、言わないだけで知っている。同じあひるなんだもの、居さえすればいいのです。人も同じ。会社の中ではそこに誰か居さえすれば仕事は回る。あひると違うのは、人はそれを認めたくない場合が多いということか。『こちらあみ子』に惹かれた人にはお薦め。あっというまに読める薄さなのに余韻大。無邪気か無関心か無気力か。
読了日:02月07日 著者:今村 夏子
https://bookmeter.com/books/13357336

■魍魎桜 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)
何度も言っていることですが、今いちばん楽しみにしているシリーズです。春菜が今回はいきなりガールズトークを喜んでいる。そんなの春菜じゃねぇ!と思ったら最初だけでした。ほっ(笑)。地滑りが起きたせいで発掘されたミイラ。それを移送したら現れ始めた老婆の幽霊。お得意の悲恋は今回もたまらなく切ない。今までで最も怖くなかった気はするけれど、でも夜中に目が覚めてババアに乗りかかられていたら怖いか。何でも曳きますねぇ、仙龍さん。和尚といい棟梁といい、オジサンたちがステキ。パグ男はもうずっと出んでええし。はよ次たのんます。
読了日:02月11日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/13450851

■嫉妬事件 (文春文庫)
うんこうんこうんこって。270頁ばかしのこの本に、いったい何回「うんこ」という語が出てくるのか数えてみようかと思いましたが、アホくさいのでやめました。大学のミステリー研究会の部室、本棚の上のほうから1冊抜き取ろうとしたらうんこ被弾なんて、想像するだけでおぞましい。誰がどんな動機でこんなものを仕掛けたのか。最初は眉間に皺が寄り、途中から幾分慣れて笑いもしましたが、最後に至るまで相当に悪趣味です。他の推理作家に同じ設定で書いてみてほしいかも。高島先輩がうんこに突っ込んだ指を洗った様子がない。勘弁してよ、もう。
読了日:02月14日 著者:乾 くるみ
https://bookmeter.com/books/4348227

■浪花の歌う巨人パギやんの「在日」無頼控
浪速の歌う巨人パギやんこと趙博さんの「歌うキネマ」を初めて観に行ったのが3年前。1本の映画を語りと歌で丸ごと再現するというものです。凄く面白くて直ちにファンになりました。政治的な話は避けたい私がいますが、「歌うキネマ」に誘ってくださった方が貸してくださり、映画『アイ(子ども)たちの学校』を鑑賞したタイミングで読む。さまざまな歌や詩に涙が溢れ、これはパギやんから「あまり感動しないでください」と言われてしまうケース(^^;。相模原虐殺事件の犯人のTwitter的返信になるほど。私たち、無関心でいてはいけない。
読了日:02月17日 著者:趙 博
https://bookmeter.com/books/12860432

■向田理髪店 (光文社文庫)
最近、この手の本を読むと、自分が奥田英朗を読んでいるのか荻原浩を読んでいるのかわからなくなります。これは私のせいなのか、みんな歳取って似通ってきたせいなのか。なんにせよ、私はこういうのが好きなのでしょう。田舎の居心地良いとこ悪いとこさまざま。色っぽい四十路女が開業したスナックにおっさん共が通うくだりには「男って」。しかしそれに嫉妬するおばはん共には「女って」。村起こしに燃える若い衆を見て、親たちは「馬鹿が張り切ると始末に負えん」と笑うけれど、それでも夢を見させてくれるほうがいい。こぢんまりとした奥田さん。
読了日:02月19日 著者:奥田 英朗
https://bookmeter.com/books/13364308

■月光 (中公文庫)
私、誉田哲也慣れしていません。好きだったのは断トツで『プラージュ』だけど、凄惨な描写に定評のある人だから、悲惨なほうの作品も読んでみよかと。それにしても「衝撃のR18ミステリー」は煽りすぎじゃないですか(^^;。女性読者を不愉快にさせたくて書いたのかと思うほど嫌な話。しかし400頁近くを一気読みさせられてしまったのですから、面白かったと認めざるを得ないか。実際にどこかで起きているかもしれないことで、絶望的な気分にさせられます。何にせよ上手いんでしょうね、誉田さん。このシュッシュと読める感じは東野圭吾並み。
読了日:02月21日 著者:誉田 哲也
https://bookmeter.com/books/6522905

■ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス (新潮文庫)
芥川賞受賞作ではないけれど、選考会では結構推されていた模様。芥川賞っぽい。『ボ・ラプ』の「ジミヘンを知る俺が」という台詞が頭に残っていなかったら、この本を買わなかったかも。原付で走った東北の旅を振り返る。地震やテロがいかにもという感じで絡められている小説は正直言って苦手ですが、本作はさりげない。誉田哲也の『月光』を読んだ直後だったから、同じ教師と生徒でもこんなふうに描かれれば笑顔。女教師と男子生徒がお互いの裸体モデル、しかも生徒側は2人並んでフルチンなんてところを想像すると可笑しい。記憶はいったい何処へ。
読了日:02月22日 著者:滝口 悠生
https://bookmeter.com/books/12739644

■スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
今回はスマホは落としていないのに、スマホもPCもハッキングされまくり。ここに書いてあることって、本当にできることばかりなんだろうと思うと怖っ。この著者の作品はどれも、それなりにえぐい事件が軽い文体で書かれていて、私の好みとはちょい違う。でも速攻で読めるから、冊数稼ぎについ。そしてまずまず面白い。しかしこの人、すっかりスマホミステリー作家ですやん。新刊コーナーに並んでいるのもスマホでしょ。いつまでスマホネタで引っ張るつもりやねんと思うけど、読みやすいからたぶん次も買う。いまだにスマホを持っていない私です。
読了日:02月24日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/13210967

■城崎へかえる
城崎温泉へ行った人からお土産に貰い、昨日つぶやいたばかり。読メで登録するのは無理だろうと勝手に思い込んでいて何気なく検索したら、あるやん。さすが。メモ帳だったりしてと思ってしまう装丁に、くれた人の目の前で開封したらちゃんと本でした。外は茹でたカニ風、中は和綴じ風。著者が城崎温泉に縁があるのかどうか知りませんが、まるで彼女の自伝を読んでいるかのよう。イヤミスの女王による、イヤミスのかけらもない優しい話で、温泉に癒やされにきた人に売るにふさわしい。読書好きのツボを突くお土産だなぁ。万城目ちゃん版も読みたいぞ。
読了日:02月26日 著者:湊かなえ
https://bookmeter.com/books/11751442

■雪のマズルカ (創元推理文庫)
主人公のプライドの高さといったら、富士山ぐらいあるんじゃないかと思うほどなのです。探偵だった旦那が浮気相手と事故死して、その稼業を継ぐことにした彼女。男にナメられないようにするためなのか、常に上から目線。でもモテるのよと言いたげだし。肩の力を抜いているふうを装って実は常に緊張していそう。そんな彼女を好きにはなれなかったけれど、なんとなく気になってしまう、そんな存在。ミステリーとしては物足りない。ハードボイルドであることは間違いない。表紙に女性が描かれていることに気づいたのは読後。こんな可愛い人でしたか。
読了日:02月27日 著者:芦原 すなお
https://bookmeter.com/books/514980
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『笑顔の向こうに』

『笑顔の向こうに』
監督:榎本二郎
出演:高杉真宙,安田聖愛,木村祐一,池田鉄洋,佐藤藍子,聡太郎,阿部祐二,
   藤田朋子,丹古母鬼馬二,大平サブロー,中山秀征,秋吉久美子,松原智恵子他

高杉真宙主演の作品って、なぜいつもイオンシネマで上映されるのでしょう。
イオンシネマで上映というよりは、イオンシネマでしか上映されないというのか。
たぶんこれは単なる私の思い込み。

こんな思い込みの原因ははっきりしていて、昨年の大阪北部地震のときのこと。
とても楽しみにしていた『世界でいちばん長い写真』(2018)は、
私の行動範囲内にある映画館ではイオンシネマ茨木のみでの上映でした。
ところが地震のせいでイオンシネマ茨木はしばらく休館
上映予定だった『世界でいちばん長い写真』は再開後にかかることもなく飛ばされて。
致し方なくDVD化を待って鑑賞しましたが、これも高杉くん主演だったんだよなぁ。

今回は彼を見逃さないようにしようと、イオンシネマが安くなる20日、
午後休を取って観に行きました。
予告編開始時は私ひとりで、またしても“おひとりさま”かと思ったら、
本編が始まる寸前にあと3人の客が。良かったような残念なような。

公益社団法人日本歯科医師会全面協力。原案と製作総指揮は同会常務理事だそうな。
だったらもっと客を呼ぶ術がありそうなのに、こんなに少ないのはやっぱり残念では。

地元の金沢を出て、歯科衛生士として東京近郊の歯科に就職した真夏(安田聖愛)。
幼い頃、歯医者を怖がっていた真夏に優しく接してくれた歯科衛生士、
あんなお姉さんになりたいとこの職に就いた。
「しょまな(=金沢弁で「ドジ」)真夏」と呼ばれていたくらいの彼女は、
あれこれ失敗を繰り返すが、院長(木村祐一)と同僚たちが見守ってくれる。

ある日、若くて仕事ができてイケメンの歯科技工士がいると同僚から聞く。
「王子」と呼ばれているその歯科技工士と会って真夏はビックリ。
彼は金沢にいた頃の幼なじみ、大地(高杉真宙)だったから。

昔から真夏は「しょまな」と大地にいじめられていたが、
23歳になった今も、大地は会えば嫌みばかり言ってくる。
しかし彼が仕事に取り組む姿は確かにカッコイイ。

休日、ひとりで出かけた真夏は、「しょまな真夏ちゃん」と声をかけられる。
振り返るとそこには大地の祖母(松原智恵子)がいた。
いきなり大地に会いにきたらしく、真夏は彼女を大地のもとへと連れていくのだが……。

ご当地ムービーでもないのにこのご当地ムービー感は何故。
観ているこっちが時折気恥ずかしくなってしまうような真面目さですかね。

大地の父親に池田鉄洋、母親に佐藤藍子。
佐藤藍子が23歳の高杉くんの親を演じる年齢になったのかと驚く。
えっ、でも調べてみたらまだ41歳やん!?
秋吉久美子が歯科大学の教授役で出演するなど、何気なく豪華。

歯科技工士の仕事を映画で観たことなどなかったので、
それだけで十分に興味を引かれます。
たとえば入れ歯をつくるとき、歯科で診てもらったのち、
歯科から歯科技工所へ依頼するわけですよね。

歯科技工士は直接患者を見ていないから、歯形から患者を想像する。
歯形だけ見ればできるものだと思っていましたが、
患者がどんな体格で、歯が無くなる前にその人がどんな生活をしていたか。
趣味は何で、どんな食べ物が好物だったか。
なるほどそれがわかれば、出来上がる入れ歯も変わってくる。

寝たきりだった老人も、歯を治療することで歩けるようにすらなる。
内科と歯科の連携も興味深いと思いました。

思いやりが大事なのは何ごとも同じ。相手の身になって考えること。
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『女王陛下のお気に入り』

『女王陛下のお気に入り』(原題:The Favourite)
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:オリヴィア・コールマン,エマ・ストーン,レイチェル・ワイズ,ニコラス・ホルト,
   ジョー・アルウィン,マーク・ゲイティス,ジェームズ・スミス他

TOHOシネマズ梅田にて、『フォルトゥナの瞳』とハシゴ。
本館から別館へ移動しました。

アイルランド/アメリカ/イギリス作品。
ギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督。明らかに変人です。
『籠の中の乙女』(2009)を観たときの衝撃と言ったら。
その次に観た『ロブスター』(2015)を観たときもぶっ飛びました。
受ける印象はミヒャエル・ハネケ監督と似ています。

18世紀初頭のこと。
イギリスは植民地をめぐってフランスと戦争の真っ最中。
君主であるアン女王の体調が思わしくないことを理由に、
宮廷の実権を握るのは側近のレディ・サラ。
何も決められないアン女王に代わり、戦争賛成派のサラは戦費の調達に奔走する。

そんな折り、サラの従妹だというアビゲイルが宮廷にやってくる。
元は上流階級の出だが、ろくでなしの父親のせいで没落。
サラを頼ってやってきたらしく、女中として働くことに。

可愛い外見とは裏腹にしたたたかなアビゲイルは、アン女王に取り入ることに成功。
サラも仕方なくアビゲイルを女官に据える。
以降ますますアン女王の歓心を買うようになったアビゲイルは、
サラの追い出しをも目論み、その計画を着々と進めるのだが……。

各国で高い評価を受けているからと言って、
映画をたまにしか観ない人には絶対に薦められない作品です。
つきあいたてのカップルとかは知的で面白そうだなんて思って観に行っては駄目ですよ(笑)。

面白いです、とても面白い。でもとても嫌な話。善人はひとりもいない。
アン女王はわがままでヒステリーなデブ女だし、サラはとにかくきつい。
いちばん食えないのはアビゲイルで、女の敵(笑)。

アン女王役のオリヴィア・コールマン、アビゲイル役のエマ・ストーン
サラ役のレイチェル・ワイズ、三者三様、皆上手。
彼女たちの演技を見るだけでも十分価値があるけれど、
下ネタも相当に生々しいから、想像してキモ!と思う人もいるかも。

わがまま言い放題のアン女王が何度も流産死産を繰り返し、
17人もの子どもを亡くしたことを語るときの表情はたまりません。
オリヴィア・コールマン、アッパレです。
エマ・ストーンのヌードは私は初めて見た気がします。
過去に脱いだことありましたかね。これで脱ぐんや。

実在の人物ばかり、よくもこんなに破廉恥といえば破廉恥に描くことが許されたなぁと思います。
許されるぐらい面白くはあるのですけれど。
これが史実だと信じたら怒られると思う(笑)。

本作にて第91回アカデミー賞の主演女優賞をオリヴィア・コールマンが獲得。
おめでとうございます。
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『フォルトゥナの瞳』

『フォルトゥナの瞳』
監督:三木孝浩
出演:神木隆之介,有村架純,志尊淳,DAIGO,松井愛莉,
   北村有起哉,斉藤由貴,時任三郎他

TOHOシネマズ梅田にて2本ハシゴ。
ほかにも観たい作品がいろいろあったけど、時間の効率のみで本作を選択。

原作未読。というのも実は百田尚樹があんまり得意じゃないのです。
いちばん好きだったのは、たぶん『探偵!ナイトスクープ』の番組構成をされていた頃。
『永遠の0』(2015)は読んだけどイマイチ、
『海賊とよばれた男』(2016)は人から借りて読まないまま。
唯一好きだったのが『ボックス!』(2010)で、
でもこれも先に映画版を観ていたから、原作に入り込みやすかったのかと。

そんなわけで、本作の原作も積極的に読む気になれず。
とか、うだうだ思いながら鑑賞。
青春恋愛ものが十八番の三木孝浩監督らしい仕上がりだと思います。

原作では横浜が舞台なのだそうですが、映画版はオール関西ロケだとか。
そのわりに関西臭がゼロなのは、みんな標準語だからですね(笑)。
神戸は三宮、塩屋、ポートアイランドにハーバーランド、須磨など、
奈良は橿原神宮に榛原、桜井の病院といったところが登場します。
見慣れている人ならば「おっ!」と思えるかもしれません。

高級車のコーティングを主としたメンテナンス店に勤める木山慎一郎(神木隆之介)。
幼い頃、家族と共に搭乗した飛行機が墜落、自分だけが生き残った。
彼の父親代わりとなって面倒を見てくれたのが社長の遠藤哲也(時任三郎)。

このたび2号店を出すことになり、遠藤はその店長に慎一郎を抜擢。
そのせいで、先輩社員で腕も確かな金田大輝(志尊淳)から妬まれ、
突き飛ばされた拍子にケータイが壊れてしまう。

ケータイショップで応対してくれた店員・桐生葵(有村架純)を見て慎一郎は驚く。
葵の手の一部が透けて見えたから。
慎一郎には「死が近づいている人間が透けて見える」という能力があるのだ。
葵を救いたい一心で、大事な話があるからと終業後に待ち合わせ。
ところが、再び会った葵はどこも透けて見えなかった。安心する慎一郎。

後日、わざわざ慎一郎の店を訪ねてきた葵は、慎一郎のことを命の恩人だという。
もしも終業後に会うことなくまっすぐ家に帰っていたら、
葵がふだん通る道に面した工場で起きた爆発事故に巻き込まれていたはずだと。

運命を感じた慎一郎は、葵に交際を申し込む。
こうしてふたりの幸せに満ちた日々が始まるのだが……。

鑑賞したら読んでみたいという気にさせられました。
原作に忠実なのかどうかわかりませんが、
百田さんの作品なら、戦争と関係のない話のほうが私は好きなのかも。

社長の妻に斉藤由貴。遊び人で上から目線の常連客にDAIGO
私がめっちゃ気に入ったのは、医者役の北村有起哉
この人はいつも存在感のある立派なバイプレイヤーですね。

これって、みんなオチを知っている話なのでしょうか。
私は知らずに観たのでより面白かった。
だから知らないほうがいいと思うのですが、ネタばらしすると。

葵も同じ力を持つ人間でした。
目の前に死が近い人がいるとき、慎一郎の選択と葵の選択と。
泣けるなぁと思っていたら、いくつか向こうの席に座っていたオッサンがボロ泣きで笑った。

いいよねぇ、オッサンだってこんな純愛に泣いたって。
—–

『半世界』

『半世界』
監督:阪本順治
出演:稲垣吾郎,長谷川博己,渋川清彦,池脇千鶴,杉田雷麟,信太昌之,菅原あき,
   堀部圭亮,岡本智礼,原田麻由,牧口元美,小野武彦,石橋蓮司他

TOHOシネマズなんば別館へ、土曜日のレイトショーを観に行きました。
昨日じゃなくて、1週間前のこと。

『北のカナリアたち』(2012)も『エルネスト』(2017)も阪本順治監督の作品ですが、
私にとっては『顔』(2000)の「お日さんが西からのぼったら、
うちと一緒になってください」という台詞のインパクトが強すぎて、
同監督のその後の作品をいくら観ても『顔』しか出てこないのです。

オープニングは沖田修一監督の『キツツキと雨』(2011)みたいな感じ。
単に木こりのいそうな風景だからというだけか。(^^;

過疎化の進む地方都市(車のナンバーは三重でした)。
39歳の高村紘(稲垣吾郎)は妻・初乃(池脇千鶴)と息子・明(杉田雷麟)の三人暮らし。
意地で父の仕事だった備長炭づくりを継いだが、生活は決して楽ではない。
中学生の明は学校でいじめに遭っている様子。
しかし紘は家庭のことを初乃に任せっきりで、明はそんな父親と口もきかない。

自衛隊員になった親友・沖山瑛介(長谷川博己)がある日突然帰郷する。
瑛介は妻子と別れ、仕事も辞めてきたという。
今は誰もいない実家を掃除して住むつもりらしく、
紘は地元で中古車店を営むもうひとりの親友・岩井光彦(渋川清彦)を誘うと、
3人で久々に酒を酌み交わす。

酒を呑んでいる間はたまに笑顔を見せるものの、瑛介は明らかに昔と違う。
暗い表情の彼のことを紘も光彦も心配するが、瑛介は何も話そうとしない。

一方、明へのいじめはエスカレート。
紘が自分の息子に対して無関心であることを明は見抜いていた。
それを指摘され、どうしていいのかわからない紘だったが……。

『まんぷく』ですっかりおっちゃんおばちゃんたちの馴染みになった長谷川博己。
いえいえ、その前から大河ドラマですっかり知られているのですよね。
だけど朝の連ドラも大河も観ていない私には、
彼はいつまで経っても一風変わった不思議な役者。
そもそも私が彼を認識したのは『映画 鈴木先生』(2012)と『地獄でなぜ悪い』(2013)ですから。
そのイメージが抜けきれないまま(好きだけど)今まで来ましたが、
本作で印象が変わりました。上手いなぁ。

自衛隊で部下を統率する立場にあった瑛介は、ある出来事にとても責任を感じている。
それを払拭できずに辞職して帰郷した彼の心の傷はいつか癒えるのか。
稲垣くんの映画なのでしょうけれど、印象に残るのは長谷川博己のほう。

住む世界がちがうと感じることってよくあると思うけど、
その世界が大きくても小さくても、みんなそれなりにいろいろある。
大小に関わらず、自分が住む世界以外に住む人のことも考えてみることは必要。
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