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『366日』

『366日』
監督:新城毅彦
出演:赤楚衛二,上白石萌歌,中島裕翔,玉城ティナ,稲垣来泉,齋藤潤,溝端淳平,石田ひかり,国仲涼子,杉本哲太他
 
新年、イオンシネマ茨木に行くのは初めてです。仕事帰りに2本ハシゴ。
 
モチーフとなっているのは沖縄出身のバンド“HY”の『366日』。私も大好きな曲です。
と思って↑リンク先の過去の記事を読み返してみたら、えっ、「シュミレーション」って言うたん、
赤楚くんやなくて板垣瑞生やんか。ご、ごめん。記憶間違いもいいところ。許して赤楚くん。(T_T)
 
沖縄に生まれ育つ高校3年生・真喜屋湊(赤楚衛二)はイケメンで成績優秀、剣道部のエースだったが、
父親を亡くした後、彼ひとりで看病していた母親(石田ひかり)も亡くなり、何もやる気が起きない。
そんな折、知り合ったのが同じ高校に通う1年生・玉城美海(上白石萌歌)。
 
美海とは病院で一度ぶつかったことがあり、そのときに落としたお互いのMDが入れ違っていた。
湊はそのことに気づいていなかったが、美海はずっと湊を探していたのだ。
生きる気力を失っていた湊に明るく話しかける美海と一緒にいるうち、湊は穏やかな気持ちに。
 
湊と美海はふたりともHYのファンで、そのほかにもお互いの好きな曲を贈り合うようになる。
東京の大学に行って将来は自分で曲を作りたいという湊に、いつか作った曲を聴かせてほしいと言う美海。
湊が卒業する日、相思相愛であることがわかって遠距離恋愛の仲に。
やがて美海も高校を卒業して東京の大学に合格、ふたりの同棲生活がスタートするのだが……。
 
えーっ。ビックリしましたねぇ。以下、超ネタバレです。
 
予告編を観たときに、美海が若くして病に倒れることはわかっていましたが、まさかの男女両方の病気ものとは。
まずは湊が急性骨髄性白血病だとわかり、それを美海に言えないばかりか、別れを切り出します。
急にフラれて訳がわからない美海がすがるも突き放します。
美海は美海で、妊娠したということを湊に告げられないまま沖縄へ帰るんです。
 
ひとり娘を東京の大学に行かせたら妊娠して戻ってきたことに美海の父親(杉本哲太)は激怒、母親(国仲涼子)は唖然。
産みたい、だけど父親の名前は言えないと美海が言うものだから、父親は余計に怒りまくる。
同じ故郷の先輩とつきあっていたことも、彼と同棲していたことも親に内緒のままだったのねと、ここでも軽く驚く。
 
助け舟を出したのは、美海に想いを寄せていることを隠してきた幼なじみ・嘉陽田琉晴(中島裕翔)。
自分がお腹の子の父親ですと言い出し、そんなこと絶対嘘だとわかりつつ両親はもう認めるしかありません。
生まれた娘を育てながら、夢だった通訳の仕事に就いて3年が経ち、やっと琉晴の想いに応えて結婚。
というときになって、病気が完治した湊が自ら作った曲を携えて帰郷するのですよねぇ。
 
琉晴との結婚式で幸せそうに笑う美海を見て、声をかけられずに東京へ戻る湊。
と思ったら今度は美海が病気で余命わずかってか。
 
高校生から30代半ばまでを演じていることには違和感がありません。
上白石萌歌が中学生の母親って、と一瞬思ったけれど、病床の彼女の姿は母親らしく見えます。
 
ひねりのない話やなぁと思っていたのに、まさかの男女共に病気とは。
お涙頂戴を通り越して私はドン引きだったけど、客席からはズビーっと鼻をすする音があちこちから聞こえていました。
 
なんにせよ、『366日』は良い曲です。エンディング曲ではなく、途中でかかります。

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『カルキ 2898-AD』

『カルキ 2898-AD』(原題:Kalki 2898-AD)
監督:ナーグ・アシュウィン
出演:プラバース,ディーピカー・パードゥコーン,アミターブ・バッチャン,カマル・ハーサン,シャッショト・チャタルジー他
 
109シネマズ箕面にて今年初の“おひとりさま”の次にボリウッドテルグ語作品。
そもそもタイトルの“カルキ”が何か知らず、調べました。
ヒンドゥー教の神ヴィシュヌの10番目にして最後のアヴァターラ」と言われてもピンと来ないけど、
“アヴァターラ”とは「不死の存在」や「化身」を指すのだそうです。うん、ますますわからん(笑)。

聖なる地“クルクシェートラ”での戦いが終焉を迎えた頃、
ヴィシュヌの8番目の化身クリシュナの怒りを買ったアシュヴァッターマンこと導師グルの息子ドローナは、
クリシュナから不死身の呪いをかけられ、生きることも死ぬこともできずにさまよう。
呪いが解かれるのは、6000年後に生を受けるはずのカルキを救うとき。

それから6000年経った西暦2898年、地球は200歳のスプリーム・ヤスキンによって統治されている。
ヤスキンは空に浮かぶ巨大要塞“コンプレックス”を築き、コンプレックスで暮らせるのは特権階級のみ。
また、ヤスキンの命を保持するためには妊婦の血清が必要で、
妊娠可能な女性を拉致してはコンプレックスで監禁して妊娠させ、血清を集めていた。
不妊女性は妊婦の世話をする奴隷として仕えさせられる。

ある日、奴隷のうちのひとり、スマティが妊娠していることがわかる。
ヤスキンが望む血清は妊娠期間120日を経た妊婦のものだが、どの妊婦も120日もたず、血清の抽出後は死亡。
ところが不妊のはずのスマティはすでに150日に入っている。

彼女の子宮にいる胎児こそカルキ。
カルキの誕生が近いと知った不死身のアシュヴァッターマンは覚醒し、スマティを守ろうとする。

一方、コンプレックスで暮らす日を夢見る賞金稼ぎのバイラヴァは、
コンプレックスから逃亡した妊婦に高額の賞金がかけられていると知って追いかけるのだが……。

ヒンドゥー教の神やインドの叙事詩『マハーバーラタ』を多少なりとも知っていないとワケわからん。
わからないのにそれなりに面白いのはどういうことなんでしょうね。さすがボリウッド。

“バーフバリ”シリーズのプラバースといえばボリウッドのスーパースター。
彼がバイラヴァを演じていますが、ウザいのなんのって。
賞金を狙ってスマティを追い回すせいで、スマティを匿う反乱軍の村シャンバラにヤスキンの部下が乗り込み、戦いに。
実は彼は太陽神の子カルナなのですが、本人はそのことに気づいていません。
あるとき突然変身して、戦いが終わるとバイラヴァに戻り、またスマティを捕まえて賞金を稼ごうとします。

どうにも話が終わりそうにないと思ったら、これも“to be continued”かよ!
昨年観たボリウッドのほとんどが「続く」ですからね。頭の中で話がこんがらがります。

『砂の惑星』みたいで、『マッドマックス』のようなノリもあり、要塞を見れば『エリジウム』も思い出す。

『ブレードランナー』『スター・ウォーズ』に通ずるところもあり。めっちゃお金がかかっていそうです。

忘れないうちに続きをお願いします。

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2回目の『グランメゾン・パリ』は早くも今年初の“おひとりさま”。

『グランメゾン・パリ』は年末の封切り日に観て面白かったものの、2回観るほどでもない。
しかしこの日観るつもりだった後述のインド作品が20:45からの上映で、
お茶を飲んで時間を潰すには若干長いし、車だから飲酒するわけにも行かず。
ならばもう1本映画を観ようと思ったら、本作しか選択肢がなくて。

1回目の鑑賞後に甲子園&飲み友だちの兄さんがエキストラで出演しているのを知ったのと、
料理が本職の人から本作の感想を聴いたこともあって、2回目でそれを確認しようと思いました。

ここで予想していなかったことが起きる。
18:30からの上映だった109シネマズ箕面のIMAXシアター、定員292名のところに客は私ひとり。
なんと1月初旬にして、今年初めての“おひとりさま”。
去年は劇場に私ひとりということが14回ありましたが、IMAXシアターでひとりというのはありませんでした。
過去に遡ると、まだコロナ完全終息とはいえなかった時期にこんなことがあったけど。

まぁ、IMAX上映を選ぶのはあんまり意味のない作品ですよねぇ。
それでもこれが客ひとりって凄くないですか。

2回目は1回目よりさらにユアン役のオク・テギョンに目が行きます。泣かされるのは常に彼がいるシーン。
ユアンはパリで大人気のパティスリーにパティシエとして勤めていたのに、
話題にのぼるのは店そのものの名前だけで、自分の名前がのぼることはない。
それは自分が東洋人のせいだと思っていた折にキムタク演じる尾花の料理を食す。
そのとき彼が涙を流すのを見て私もまず最初のもらい泣き。
次にそのときのことをユアンが尾花に話すシーンで2度目のもらい泣き。
そして最後は尾花がユアンのデザートに出会ったときのことを話すシーンで3度目のもらい泣き。

これらのシーンを観るためだけにもう一度観てもよいと思うほどです。たぶんもう観ないけど(笑)。
オク・テギョンってマルチリンガルなんですね。
こんな顔して賢くて、演技も上手いとなると、ファンにならずにはいられない。
映画への出演はまだあまりないようですが、もっと観たいやんか。

というわけで、贅沢を極めた今年初めての“おひとりさま”でした。

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『アット・ザ・ベンチ』

『アット・ザ・ベンチ』
監督:奥山由之
出演:広瀬すず,仲野太賀,岸井ゆきの,岡山天音,荒川良々,今田美桜,森七菜,草彅剛,吉岡里帆,神木隆之介

テアトル梅田にて、前述の『型破りな教室』の次に。

奥山由之監督のことを存じ上げずすみません。映像監督であり写真家でいらっしゃるそうな。
本作は奥山監督による自主制作映画とのこと。
同監督は新海誠監督の『秒速5センチメートル』(2007)を松村北斗主演で実写化、今年公開されるそうです。
新海作品の中でいちばん好きな作品なので、とても楽しみです。その前哨戦として観ました、というと失礼か。

もともと公園があった河川敷から遊具などが撤去され、残ったのはたったひとつのベンチのみ。
そのベンチに腰かける人をとらえた5編のオムニバス作品です。

第1編、このベンチに最初に座る女性は広瀬すず
公園がなくなったことに衝撃を受け、仲野太賀演じる幼なじみの男性を電話で呼び出します。

第2編、次にこのベンチにやってきたのは同棲中らしいカップルで、演じるのは岸井ゆきの岡山天音
買い物帰りにここで昼食をとることになりますが、ちょっとした口喧嘩が始まります。
それをベンチの後ろから密かに聴いている中年男性に荒川良々

第3編、ベンチに座るでもなく罵り合う姉妹に今田美桜森七菜
どうやら姉は好きな男を追いかけて上京したけれど、男に相手にされずにホームレスに。
そんな姉を連れ戻しに来た妹と喧嘩になっています。

第4編、ベンチの撤去について討議するためにやってきた役所の職員たち。
草彅剛吉岡里帆神木隆之介が演じています。

第5編、第1編から何ヶ月か経ってまだベンチが撤去されていない模様。
またしても広瀬すず演じる女性が仲野太賀演じる男性を呼び出して再会中。

会話のみで成立する温かい作品ではあるけれど、話によってはとても眠い。
第4編は途中から聞き取れないような声になり、字幕が出るも小さくて読めませんでした。

第1編と第5編の脚本を担当しているのは生方美久、第2編は蓮見翔、第3編は根本宗子、第4編は奥山監督ご自身。
どれが好きだったかと聞かれたら第1編ですかね。仲野太賀の腰かけ方が絶妙(笑)。

 
面白かったのは第2編のやりとり。岸井ゆきの演じる彼女が岡山天音演じる彼氏に挙げる不満がすごく可笑しい。
彼氏が「そんなのそのときに言ってくれないと」と言うと、彼女が「単体では別に嫌じゃない」と言います。
それですよそれ。ひとつひとつは些細なことで、不満として口にするほど嫌なことではないけれど、
積もり積もって不満になるのですよね。寿司桶からあふれ出るように。
女はそれを見過ごせない。『サイドウォーク・オブ・ニューヨーク』(2001)を思い出しました。

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『型破りな教室』

『型破りな教室』(原題:Radical)
監督:クリストファー・ザラ
出演:エウヘニオ・デルベス,ダニエル・ハダッド,ヒルベルト・バラーサ,ヴィクター・エストラーダ,
   ジェニファー・トレホ,ミア・フェルナンダ・ソリス,ダニーロ・グアルディオラ他

新年、仕事帰りに2本ハシゴするのは初めてです。テアトル梅田にて。

本国メキシコのみならず全米でも大ヒットしたという作品。2011年の実話に基づく
「感動」という言葉はあまり安易に使いたくはないですが、感動的な話であることはまちがいありません。
主演は『コーダ あいのうた』(2021)で音楽教師役を演じたエウヘニオ・デルベス。教師役がよく似合う。

メキシコ東部のタマウリパス州、アメリカとメキシコの国境に位置するマタモロス。
銃声が鳴り響くのは日常茶飯事、まともな職に就くのは不可能、治安最悪の町

そんな町にあるホセ・ウルビナ・ロペス小学校は、学力テストで国内最下位にランキング。
校長のチュチョをはじめとする教師たちはなんとか状況を打破したいが、どうにもなりそうにない。

教師に欠員が出て、新しく着任したのはセルヒオ・フアレス・コレア。
この学校に希望してやってくるなんて正気の沙汰ではないとは思われていたが、セルヒオは堂々の変わり者。

そもそも進学など考えられる家庭環境ではない児童たちのほとんどは、登校してもやる気なし。
特に不良の兄貴分を持つ少年ニコは、自分も早く学校を辞めて「仕事」を任されたくてたまらない。
一方、ゴミ山の向かいに建つ家で父親と二人暮らしの少女パロマは、本当は勉強が大好きで、

宇宙工学を学んで将来宇宙飛行士になりたいと思っているが、学校では何事にも興味のないふりをして過ごしている。

セルヒオは着任初日にまずは机を使わない授業を始め、児童たちに浮力とは何かを問う。
これまでとはまったく違う先生の登場に児童らは驚くと共に面白がり、授業を熱心に聴くようになる。

ほかの教師たちはセルヒオのやり方に否定的。
セルヒオがいったい何をやりたいのかを理解しかねるチュチョが問いただすと、セルヒオが言うには、
子どもたちは馬鹿じゃない、子どもたちの可能性を信じて、子どもたち自身にやりたいことを考えさせるべきだと。
半信半疑だったチュチョも、セルヒオに任せてみようと思い……。

セルヒオの授業方法は彼独自が編み出したわけではなく、悪い言い方をすれば、動画で知ったほかの教育者の受け売りです。
しかし子どもたちを見る目は確かで、子どもたちの能力が彼によって引き出される。
自分に勉強などできるわけがないと思っていた子どもたちがセルヒオから疑問を投げかけられることにより関心を持ち、
自分たちで調べて結論を導き出そうとします。それがわかったときの子どもたちの破顔が最高。

哲学に興味を持った少女ルペが自分の学校の図書室で本を借りようとするも、
司書を務める教師から「小学生が読むには早すぎる」と断られます。
致し方なく大学の図書館に足を踏み入れてみると、そこではルペのことをちゃんと図書館利用者として扱い、
哲学書の棚に案内してくれるし、借りようとする本についても笑ったりしない。
子どもの可能性を最初から否定しては駄目なのだと強く思わされます。

巻き込まれる校長チュチョも愛すべき人柄で、彼とセルヒオのやりとりにはしばしばふきだす。
それにひきかえ、偉そうに振る舞うお役人の腹立たしいこと。
学力テストを事前に受け取るための収賄もあって、おまえら全員いっぺん死ねと言いたくなりました。

実際にパロマがメキシコの学力テストで1位を取り、大変な騒ぎに。次代を担う人として話題に。
セルヒオ先生が今も同小学校で教鞭を執っているのが嬉しいですね。

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