監督:松重豊
出演:松重豊,内田有紀,磯村勇斗,村田雄浩,ユ・ジェミョン,塩見三省,杏,オダギリジョー他
—–
—–
—–
聖なる地“クルクシェートラ”での戦いが終焉を迎えた頃、
ヴィシュヌの8番目の化身クリシュナの怒りを買ったアシュヴァッターマンこと導師グルの息子ドローナは、
クリシュナから不死身の呪いをかけられ、生きることも死ぬこともできずにさまよう。
呪いが解かれるのは、6000年後に生を受けるはずのカルキを救うとき。
それから6000年経った西暦2898年、地球は200歳のスプリーム・ヤスキンによって統治されている。
ヤスキンは空に浮かぶ巨大要塞“コンプレックス”を築き、コンプレックスで暮らせるのは特権階級のみ。
また、ヤスキンの命を保持するためには妊婦の血清が必要で、
妊娠可能な女性を拉致してはコンプレックスで監禁して妊娠させ、血清を集めていた。
不妊女性は妊婦の世話をする奴隷として仕えさせられる。
ある日、奴隷のうちのひとり、スマティが妊娠していることがわかる。
ヤスキンが望む血清は妊娠期間120日を経た妊婦のものだが、どの妊婦も120日もたず、血清の抽出後は死亡。
ところが不妊のはずのスマティはすでに150日に入っている。
彼女の子宮にいる胎児こそカルキ。
カルキの誕生が近いと知った不死身のアシュヴァッターマンは覚醒し、スマティを守ろうとする。
一方、コンプレックスで暮らす日を夢見る賞金稼ぎのバイラヴァは、
コンプレックスから逃亡した妊婦に高額の賞金がかけられていると知って追いかけるのだが……。
ヒンドゥー教の神やインドの叙事詩『マハーバーラタ』を多少なりとも知っていないとワケわからん。
わからないのにそれなりに面白いのはどういうことなんでしょうね。さすがボリウッド。
“バーフバリ”シリーズのプラバースといえばボリウッドのスーパースター。
彼がバイラヴァを演じていますが、ウザいのなんのって。
賞金を狙ってスマティを追い回すせいで、スマティを匿う反乱軍の村シャンバラにヤスキンの部下が乗り込み、戦いに。
実は彼は太陽神の子カルナなのですが、本人はそのことに気づいていません。
あるとき突然変身して、戦いが終わるとバイラヴァに戻り、またスマティを捕まえて賞金を稼ごうとします。
どうにも話が終わりそうにないと思ったら、これも“to be continued”かよ!
昨年観たボリウッドのほとんどが「続く」ですからね。頭の中で話がこんがらがります。
—–
1回目の鑑賞後に甲子園&飲み友だちの兄さんがエキストラで出演しているのを知ったのと、
料理が本職の人から本作の感想を聴いたこともあって、2回目でそれを確認しようと思いました。
ここで予想していなかったことが起きる。
18:30からの上映だった109シネマズ箕面のIMAXシアター、定員292名のところに客は私ひとり。
なんと1月初旬にして、今年初めての“おひとりさま”。
去年は劇場に私ひとりということが14回ありましたが、IMAXシアターでひとりというのはありませんでした。
過去に遡ると、まだコロナ完全終息とはいえなかった時期にこんなことがあったけど。
まぁ、IMAX上映を選ぶのはあんまり意味のない作品ですよねぇ。
それでもこれが客ひとりって凄くないですか。
2回目は1回目よりさらにユアン役のオク・テギョンに目が行きます。泣かされるのは常に彼がいるシーン。
ユアンはパリで大人気のパティスリーにパティシエとして勤めていたのに、
話題にのぼるのは店そのものの名前だけで、自分の名前がのぼることはない。
それは自分が東洋人のせいだと思っていた折にキムタク演じる尾花の料理を食す。
そのとき彼が涙を流すのを見て私もまず最初のもらい泣き。
次にそのときのことをユアンが尾花に話すシーンで2度目のもらい泣き。
そして最後は尾花がユアンのデザートに出会ったときのことを話すシーンで3度目のもらい泣き。
これらのシーンを観るためだけにもう一度観てもよいと思うほどです。たぶんもう観ないけど(笑)。
オク・テギョンってマルチリンガルなんですね。
こんな顔して賢くて、演技も上手いとなると、ファンにならずにはいられない。
映画への出演はまだあまりないようですが、もっと観たいやんか。
というわけで、贅沢を極めた今年初めての“おひとりさま”でした。
—–
テアトル梅田にて、前述の『型破りな教室』の次に。
奥山由之監督のことを存じ上げずすみません。映像監督であり写真家でいらっしゃるそうな。
本作は奥山監督による自主制作映画とのこと。
同監督は新海誠監督の『秒速5センチメートル』(2007)を松村北斗主演で実写化、今年公開されるそうです。
新海作品の中でいちばん好きな作品なので、とても楽しみです。その前哨戦として観ました、というと失礼か。
もともと公園があった河川敷から遊具などが撤去され、残ったのはたったひとつのベンチのみ。
そのベンチに腰かける人をとらえた5編のオムニバス作品です。
第1編、このベンチに最初に座る女性は広瀬すず。
公園がなくなったことに衝撃を受け、仲野太賀演じる幼なじみの男性を電話で呼び出します。
第2編、次にこのベンチにやってきたのは同棲中らしいカップルで、演じるのは岸井ゆきのと岡山天音。
買い物帰りにここで昼食をとることになりますが、ちょっとした口喧嘩が始まります。
それをベンチの後ろから密かに聴いている中年男性に荒川良々。
第3編、ベンチに座るでもなく罵り合う姉妹に今田美桜と森七菜。
どうやら姉は好きな男を追いかけて上京したけれど、男に相手にされずにホームレスに。
そんな姉を連れ戻しに来た妹と喧嘩になっています。
第4編、ベンチの撤去について討議するためにやってきた役所の職員たち。
草彅剛と吉岡里帆、神木隆之介が演じています。
第5編、第1編から何ヶ月か経ってまだベンチが撤去されていない模様。
またしても広瀬すず演じる女性が仲野太賀演じる男性を呼び出して再会中。
会話のみで成立する温かい作品ではあるけれど、話によってはとても眠い。
第4編は途中から聞き取れないような声になり、字幕が出るも小さくて読めませんでした。
第1編と第5編の脚本を担当しているのは生方美久、第2編は蓮見翔、第3編は根本宗子、第4編は奥山監督ご自身。
どれが好きだったかと聞かれたら第1編ですかね。仲野太賀の腰かけ方が絶妙(笑)。
—–