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『熱帯魚』

『熱帯魚』(原題:熱帯魚)
監督:チェン・ユーシュン
出演:リン・ジャーホン,リン・ツェンスン,シー・チンルン,ウェイ・イン他
 
台風が関東を直撃した先週の土曜日、晩ごはんは祇園のお店を予約していました。
お店から台風ゆえに閉めるという連絡がないかぎり、行かないわけにはいかん。
大阪や京都は百貨店など普通に営業するようだけど、
JR京都線は14:00頃から新快速を運休するとの告知。
阪急や京阪も場合によっては運転を見合わせるとのことだから、
止まる可能性も考えて日中に京都入りしておくことにしました。
そうすれば、車で向かうダンナと電車で向かう私と、
ふたりともが店に到着できないということにはならないし。
とにかくふたりともケータイを所持していないため、大変です(笑)。
それは私たちに連絡を取れないお店も同じだと思うのですけれど。すみません。
 
で、京都の映画館でできるだけ雨に濡れずに着けるところへ行きたい。
阪急烏丸駅すぐの京都シネマの上映スケジュールを調べたら、
あららん、ずいぶん昔の台湾作品が何本かかかっている様子。
確かDVDでは観たはずだけど、劇場では観たことがない。これに決定。
 
エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンと、
21世紀の台湾映画とをつなぐ90年代の最重要作品、
デジタル修復をへて遂に初の同時上映が実現!」だそうで、2本を上映。
これはそのうちの1本、1995年の作品です。
 
高校受験を目前に控えた中学生ツーチャン。
模試では目標の成績に遠く至らず、先生から厳しく叱られてばかり。
同じく勉強が苦手な父親も自分のことは棚に上げ、息子に小言。
 
ある日、級友とゲームセンターで遊んでいたツーチャンは、
私服で見回りをしていたとおぼしき警官に捕まるが、実はこいつは元警官。
退職して会社を興したものの資金繰りに困り、誘拐を計画していた。
その日は何事も起きなかったが、後日、ゲーセンで見かけた小学生ワンが奴に連れ去られるのを見かけ、
咄嗟に追いかけたツーチャンはワンと共に拉致監禁されてしまう。
 
ワンは養子で両親から見放されているらしく、金は要求できない。
ツーチャンの自宅に電話をかけて身代金を要求するが、受け取りに失敗。
主犯の元警官社長はなんとその帰りに車に撥ねられて死亡。
社長の部下アケンは少年2人をどうすればよいかわからず、
悩んだ末に台北を離れて田舎の実家に2人を連れて行くのだが……。
 
ぽや〜んとしたボンクラなんです、このツーチャン。
対するワンはもうちょっと賢そうだけど、チビで生意気なデブ。
誘拐されて両手両足を縛られて段ボールの中に入れられていても「お腹すいた」。
こんな2人を図らずも引き取ることになったアケンも阿呆丸出し。
 
事情を知ったアケンの母親をはじめとする家族は、
口をきこうとしない娘しかまともではなく、
誘拐を続行して身代金を取ってから返そうと考えます。
でもツーチャンが受験生であることを知り、
アヤンはとにかく受験に間に合わせたい、ここで勉強させたいと願う。
この辺りは、ろくに勉強してこなかったせいで良い人生を歩んでいないアヤンが、
ツーチャンに自分のような人間になってほしくないと思っているのが見て取れます。
 
誘拐事件として都会の人たちが騒ぎ立てているのに、
ツーチャンもワンも田舎暮らしが楽しくて仕方がない。
ちょっとした脱力系で面白いけれど、ヘヴィーな問題もはらんでいる。
軽く観るだけにはとどまらない作品でした。
 
空に浮かぶ熱帯魚、とてもいいシーンです。
夢をあきらめちゃ駄目だって。
 
そういえば、冠水した家で水にちゃぷちゃぷ浸かりながら
普通に食事している姿がなんとも言えん光景です。
タイ人は洪水のときにボートを浮かべて遊んだり、
校舎の屋上から先生も生徒も一緒に飛び込んではしゃいだりすると、
タイに出張の多いダンナが言っていました。
日本のように水流の激しいところでは絶対無理でしょうが、
お国柄を思って不思議な感じがします。

—–

『蜜蜂と遠雷』

『蜜蜂と遠雷』
監督:石川慶
出演:松岡茉優,松坂桃李,森崎ウィン,鈴鹿央士,臼田あさ美,ブルゾンちえみ,
   福島リラ,眞島秀和,片桐はいり,光石研,平田満,斉藤由貴,鹿賀丈史他
 
TOHOシネマズ梅田にて、前述の『ジョーカー』とハシゴ。
 
直木賞本屋大賞のダブル受賞を果たした史上初の作品だそうです。
恩田陸の原作は友だちからずいぶん前に借りたまま、まだ積読の中。
上下巻あるために躊躇していました。→鑑賞後に読みました。レビューはこちら
これに関しては先に原作を読んでおいたほうがよかったでしょうね。
 
国際ピアノコンクールが開催されている何日間かが舞台。
執筆に当たって原作者が取材したのは、浜松国際ピアノコンクール。
3年に1度、5日間にわたって、予選と本選がおこなわれるとのこと。
 
世界中の若手ピアニストの登竜門、芳ヶ江国際ピアノコンクール。
天才少女とあがめられていた栄伝亜夜(松岡茉優)は、13歳だった7年前、
ピアノの先生でもあった母親を亡くして表舞台から消えていたが、
このコンクールに復活をかけて挑戦。
 
会場で再会を果たしたのは、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)。
亜夜とマサルは幼なじみで、彼は名門音楽院に在籍中。
ライバルではあるものの、懐かしさで双方胸がいっぱい。
 
ほかに、亜夜の前に立ちはだかるのは、
妻子を養いながらピアノを弾くサラリーマン、高島明石(松坂桃李)、
ピアノの神様と呼ばれる故ホフマン氏が推す無名の少年、風間塵(鈴鹿央士)。
 
ライバルたちとお互いに刺激を受け合いながら、
まだ自分の音を取り戻せずにいる亜夜だったが……。
 
悪くはないです。良いです。
良いですけれど、心に沁み入るところまでは行かない。
原作を読んでいたら、それぞれの思いをもっと感じ取れていたかも。
亜夜がなぜふっきれて会場に戻ったのかなどなど、
心境の変化のきっかけがちょっと伝わって来にくい。
 
そもそも、日本が舞台の映画に、著名ではない外国人俳優がいっぱい出て、
英語でいろいろやりとりしているのがたぶん苦手なんです、私。
これが本なら違和感ないのにと思いました。
 
私の心に響いたのは、明石の「好きなことを続けていていいのかなって」かなぁ。
笑ったのは片桐はいりのクローク係です(笑)。

—–

『ジョーカー』

『ジョーカー』(原題:Joker)
監督:トッド・フィリップス
出演:ホアキン・フェニックス,ロバート・デ・ニーロ,ザジー・ビーツ,フランセス・コンロイ,
   マーク・マロン,ビル・キャンプ,グレン・フレシュラー,シェー・ウィガム他
 
TOHOシネマズ梅田にて。
 
ずいぶん前から劇場で予告編を目にしていました。
何度目かまでこの“ジョーカー”がDCコミックス“バットマン”シリーズに登場するジョーカーだとは思いもせず、
あのジョーカーなのだと知ったときは驚きました。
 
かつて映画実写版でジョーカーを演じたことがある俳優は、
『バットマン』(1989)でジャック・ニコルソン
『ダークナイト』(2008)でヒース・レジャー
ジャック・ニコルソンはもとからおかしいとして(笑)、
ジョーカーを演じると取り憑かれたようになるふしがあります。
 
取り憑かれた結果なのかどうかはわかりませんが、
ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞の受賞を果たしました。
アメコミが原作の作品としては史上初となる快挙だそうで。
さらには本作の内容がアメリカで物議を醸しているらしく、
ものすごい話題作となっています。
 
いやはや、すごく多彩であることは明らか。
 
アメリカの大都市ゴッサム・シティ(架空の都市)。
コメディアンとして成功することを夢見る中年男アーサー・フレックは、
ピエロのメイクを施した大道芸人として日銭を稼いでいる。
 
病弱な母親ペニーは、30年前にゴッサムの名士トーマス・ウェインの屋敷で働いていたと言い、
この貧しい暮らしから助け出してほしいと毎日のようにトーマスに手紙を書いている。
当然のことながら、トーマスからの返信はない。
 
真面目で優しいアーサーだが、ピエロとして派遣された先で時に不気味がられ、
また、不良少年たちから暴行を受けたりも。
ある日、そんなアーサーのためを思ってか思わずか、同僚が彼に銃を押しつける。
その銃が派遣先の施設でポケットから滑り出てしまい、場は騒然。
雇い主からクビを宣告される。
 
うちひしがれて帰る途中、地下鉄で金持ちの酔っぱらい3人が女性に絡んでいるのを見て、
注意を引こうと笑い声を上げたところ、3人から殴られ蹴られる。
つい銃を発砲すると思いのほか気分がスッキリ、3人とも追いかけて撃ち殺すのだが……。
 
貧富の差が激しく、街には不満を抱く者がいっぱい。
そこへ登場した正体不明のピエロを英雄視する貧困者たち。
人生に絶望した男が無差別に銃を乱射する事件を思い起こさせ、
それをまるで称賛しているかのようだと批判があるようです。
 
私はといえば、あのジョーカー誕生の物語として観ているから、
そことはまったく繋げて考えることはしませんでした。
ただ真面目につましく生きている人が虐げられ、
援助も打ち切られて誰も頼ることのできない状況に、
これって貧乏人は死ねと言われているのと同じやなと辛くなりました。
 
アーサーの憧れのコメディアン役にロバート・デ・ニーロ
彼の番組でアーサーを取り上げたら、反響大きくアーサーに出演要請。
しかしアーサー自身が言うように、善意で呼ばれたとは思えない。
彼を笑い者にしようという意図が見え見えで、これも辛い。
金持ちの、人気者の、奢った様子が透けて見えます。
 
あばら骨が見えるほど痩せたホアキン・フェニックスの役者魂に脱帽。
これ、最初はレオナルド・ディカプリオに打診されていたのですね。
ディカプリオだったらどうなっていたかなぁ。

—–

『仁侠学園』

『仁侠学園』
監督:木村ひさし
出演:西島秀俊,西田敏行,伊藤淳史,葵わかな,葉山奨之,池田鉄洋,
   佐藤蛾次郎,桜井日奈子,白竜,光石研,中尾彬,生瀬勝久他
 
TOHOシネマズ梅田にて。
前述の『ヘルボーイ』と10分かぶっていて、無謀なハシゴではありました。
きっと『ヘルボーイ』はエンドロールの後に何かあるだろうと思いながら、
でもそこまでおもろかったわけでもないし、そこを確かめなくてもええわと、
本作上映の劇場に走ったのでした。
 
木村ひさし監督、すみません、存じ上げません。
調べてみたらTVドラマを多く撮られている模様。
映画の代表作は『ATARU』や『TRICK』の劇場版だから、
TVドラマを観る時間まではなかなかつくれない私の優先度低いやつ。
どうりで存じ上げないわけです。
 
原作は今野敏の“任侠”シリーズのうちのひとつ。
私はこれと『任侠書房』を本棚に積んでいるのですが、
シリーズを順番に読もうと思っているうちに数年経ってしまいました。
どちらもまだ読んでおりません。
そろそろ映画版のキャストを思い浮かべて観ましょうかね。
 
組長を入れてわずか6人しかいない任侠団体、阿岐本組。
ヤクザではあるが、指定暴力団ではない。
 
組長の阿岐本雄蔵(西田敏行)は義理人情に厚すぎる。
そんな人柄につけ込んで、しょっちゅう厄介事を持ち込むのが、
兄弟分の永神組長、永神健太郎(中尾彬)。
数々の不良債権を阿岐本に巧く押しつけたこと数知れず。
 
今回永神が阿岐本に持ち込んだのは、経営不振に陥った私立高校の再建。
話を振られた阿岐本組のナンバー2、日村誠司(西島秀俊)は大弱り。
中卒で学校嫌いだった日村なのに、理事に就任することに。
しかし、阿岐本に命じられれば拒絶なんてできない。
 
仕方なく組員たちを率いて高校を訪れる日村。
生徒たちのレベルは中の中の中。部活は無く、面白いことなど何もなさそう。
無気力、無関心を決め込む生徒たちと事なかれ主義の教師たちを見て、
日村は危機感をおぼえる。
 
ところが、何も問題はないと校長が話していたのに、
夜中に何者かが校内に忍び込んでガラスを割る事件が頻発。
事を荒立てたくないと校長(生瀬勝久)が言うものだから、
日村たちは監視カメラを設置、犯人をつかまえようとするのだが……。
 
単純に面白い。
阿岐本組の三ヶ条は、実にわかりやすくて清々しい。
1. カタギに手を出さず、

2. 勝負は正々堂々、
3. 出されたものは残さず食う。
 
シリアスな西島秀俊もいいけれど、こういう彼もいいですね。
高校生には葵わかな葉山奨之、福山翔大、桜井日奈子など。
ずっと葵わかなが苦手だったのですが、
この不貞腐れた女子高生役の彼女はすごくいい。
 
遺影の中にだけ登場する高木ブー。
強面のほかの組長に白竜
生徒の父親でとても感じの悪い野郎(笑)に光石研
 
ここのところ、可愛い子ちゃんではない豪華キャストで魅せる邦画多し。
どれも笑えてホロリと来て、万人にお薦めできます。
 
“また逢う日まで”が頭から離れない。やっぱり名曲!

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『ヘルボーイ』

『ヘルボーイ』(原題:Hellboy)
監督:ニール・マーシャル
出演:デヴィッド・ハーバー,イアン・マクシェーン,ミラ・ジョヴォヴィッチ,
   ダニエル・デイ・キム,サッシャ・レイン,トーマス・ヘイデン・チャーチ他
 
大阪ステーションシティシネマで2本観てからTOHOシネマズ梅田へ移動。
ここでも2本ハシゴ。
 
ヘルボーイ役はロン・パールマン一択だと思い込んでいたら、こんなリブート版公開。
原作者のマイク・ミニョーラが監修を担当しているのだそうです。
 
地獄生まれの“ヘルボーイ”。
そのおぞましい容貌からは想像もつかない心根の優しいダークヒーロー。
育ての親であるブルーム教授を父親と信じるヘルボーイは、
いまや教授が勤める超常現象調査防衛局(B.P.R.D.)のエース。
 
そんななか、英国に人を食う巨人が3体も出没。
魔物退治隊の応援に向かうことを命じられるが、
隊員たちから攻撃を受けて殺されかけ、間一髪のところで逃げる。
隊員たちは出没した3体の巨人に無残に食いちぎられて全滅。
ヘルボーイはひとりでなんとか3体を退治して帰る。
 
味方のはずの隊員から命を狙われた憤りを教授にぶつけたところ、
今はそれについて愚痴っているひまはない様子。
“ブラッドクイーン”と呼ばれる最強の魔女ニムエが封印を解かれ、
1500年の眠りから目覚めたらしい。
 
その昔、アーサー王に体をバラバラにされたニムエは、人類に復讐したい。
人間界に魔物を解き放ち、地上を地獄に変える計画を実行に移し……。
 
かなりグロいです。直視できなかったシーン多数。
ギレルモ・デル・トロ版『ヘルボーイ』にそんな記憶はなく、
醜くも愛らしいヘルちゃんとその仲間たち、みたいな印象があったから、
このリブート版は私にとってはかなり衝撃的。
 
でも、グロい部分を除けば、グッとくる台詞もいろいろ。
魔物を退治する立場にありながら、ヘルボーイを拾い上げて育てた教授。
幼い頃に自分を助けてくれたヘルボーイのことを忘れず、
今度は自分が彼を救おうとするアリス。
ヘルボーイの相棒で最初は嫌な奴でしかなかったダイミョウ。
このチームが凄くいい。
 
ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるニムエについて「豊満な胸」とかいう表現があって、
そこは「冗談やろ」と突っ込み入れたくなりました(笑)。
 
続編もあるようで。まぁ観るかな。 
偏見を持たないことって難しい。でもそんな人間になりたい。

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