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2019年10月に読んだ本まとめ

2019年10月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4951ページ
ナイス数:1422ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
 
■犯罪小説集 (角川文庫)
どれも実際の事件がモチーフになっていると思うとやるせなさが募ります。5話の元ネタは、北関東連続幼女誘拐殺人事件、首都圏連続不審死事件、大王製紙事件、山口連続殺人放火事件、元千葉ロッテ投手強盗殺人事件。最もこたえたのが「万屋善次郎」。のけ者にされていても葬式と火事のときだけは呼ばれるのが村八分。村十分に遭ってもその土地にいるのはなぜなのか。元ネタと共に津山三十人殺しも思い出しました。映画『楽園』の原作は「青田Y字路」かと思ったら、「万屋善次郎」も混じっている様子。観るのが楽しみだけど、相当つらそうな予感。
読了日:10月03日 著者:吉田 修一
https://bookmeter.com/books/13269554

■アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】登場人物相関図がほしくなった原作をどう映画化するのかと思っていたら、意外にもわかりやすい。そして、原作を読んでいる人のほうがうんと楽しめそうです。事務じゃないねんジムやねんとかニヤニヤしながら鑑賞。原作中わりと好きだった免許更新時にだけ会う話はカットされていて残念でしたが、そりゃ原作の全エピソードを入れたら詰め込み過ぎか。『ベリーベリーストロング』はインストゥルメンタルでちょっと流れるだけで、主題歌は別の曲。たまらず鑑賞後は『ベリーベリーストロング』を聴きました。
読了日:10月04日 著者:伊坂 幸太郎
https://bookmeter.com/books/12136344

■BURN 上 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
このシリーズのグロいのにはずいぶん慣れたはずなのに、冒頭まるで屠殺かのような、いや、屠殺でももうちょっと対象への思いやりが感じられるよと思えるほど、血も涙もない(血ダダ流れやけど(^^;)殺害シーンにワタシ涙目。しかし、人の心を持たなかった永久くんが、野比先生を助ようと懸命だったり、友達の証として宝物を未来くんに渡したり、この辺りは嬉しいほうの涙目。それだけに、永久くんが危険にさらされたら平穏な気持ちでは読めそうにありません。永久&未来コンビが傷つけられることがありませんようにと祈るばかり。続けて下巻へ。
読了日:10月05日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/13359238

■BURN 下 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
同著者なら断然“よろず建物因縁帳”シリーズが好きだと思いつつ着手したこの“藤堂比奈子”シリーズだったのに、スピンオフと合わせて13冊も読んだら、そりゃ情も湧く。永久の変化を感じる言動に涙腺ヤバイ。終盤はあまりに派手な爆発シーンに、何がどうなったかイメージ描けず。でもまぁいいや、イケメン倉島が忍で華麗に突っ込んだと思っておきます。最初は軽いだけに思えた東海林のことも今や大好きだし、ぼんくらだった御子柴も頼れる存在に。死んでほしくない人はほぼ誰も死なないから、未読の人は安心してどうぞ。ちょっとした厚田班ロス。
読了日:10月07日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/13359237

■倚りかからず (ちくま文庫)
しっかり自分の頭で考えて、まっとうに生きなさい。そう言われているかのようです。表題作や『笑う能力』はきっちりオチがあり、やっぱり茨木さんって大阪の人。いまだにスマホもケータイも持ったことがない私は、『時代おくれ』を読んで苦笑い。でも、そうなのですよ、「格別支障もない」。なんて言いつつ、PC持ってSNSはしっかりやっているわけだから、茨木さんのように「もっともっと遅れたい」とは言えないところが中途半端だわ私。詩の解説を詩でしてくれている『ある一行』は凹んだときに思い出したい。何事にもとらわれすぎないように。
読了日:10月08日 著者:茨木 のり子
https://bookmeter.com/books/503893

■蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)
上下巻併せて千頁近くあることに怯み、イメージを描きながらのほうが読みやすいだろうと踏んで映画を先に観ました。結果的には本作に関しては原作をまず読むべきだったかと。雨の中を走る馬が映る理由も原作未読だとわかりません。コンクールへ至るそれぞれの背景も映画ではほぼ描かれていないから、ピアノの演奏シーンは確かによかったものの、振り返るとそのほかに特に心に残ることはなく。こうして原作を読んでみたら合点が行くことばかり。彼はピアノだけではなくトロンボーンまで趣味の域を超えた巧さなのか、なんてところもびっくり、楽しい。
読了日:10月09日 著者:恩田 陸
https://bookmeter.com/books/13658780

■蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)
原作を先に読むべきだったと後悔しながらの下巻。上巻は映画版を補完できる嬉しさがありましたが、下巻はいろいろと「えっ」。もっとも驚いたのは、映画で不可解だった亜夜逃亡の危機が原作にはまったくなかったこと。海に遊びに行く4人も、顔ぶれは異なるのですね。違和感をおぼえた数々の映画のシーンが原作にはないことがわかってスッキリ。でも、明石さんの映画オリジナルの台詞にもグッときたから、やっぱりこの本を読んだ人は映画版も観るべし。名前に「ちり」ってどうよと思っていたけれど、塵くんってまさに空から降ってきた星屑みたいだ。
読了日:10月10日 著者:恩田 陸
https://bookmeter.com/books/13658781

■死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相
レニー・ハーリン監督の『ディアトロフ・インシデント』(2012)を観てディアトロフ峠事件のことを知りました。1959年にウラル山脈で起きた学生9人の遭難事故、その遺体の異様さ。こんなにも好奇心を捉えて離さない事件がありましょうか。これまで唱えられてきた諸説には信じきれないところがあったけれど、この著者の説には納得。ハーリン監督のモキュメンタリーは、陰謀説を含む諸説をすべて盛り込んで化け物まで登場させるというぶっ飛びぶりでした。めっちゃ面白かったのに、周囲にこれを劇場で観たという人は私しかいません(笑)。
読了日:10月13日 著者:ドニー・アイカー
https://bookmeter.com/books/13035314

■トップリーグ (ハルキ文庫)
1億5千万円、埋め立て地に捨てに行く。そんな大きな裏金の話を聞いても私はピンと来ない。同著者なら『震える牛』や『血の轍』のほうが没頭できましたし、“みちのく麺食い記者”シリーズのほうが個人的には読みやすい。官邸がらみの事件を追う記者の話はまるで映画『新聞記者』を観ているよう。真相を知るとこんなにも簡単に抹殺されることが恐ろしい。命の心配をしなくてはならない記者の仕事に凄みを感じました。ドラマも観たいですが、悪役のイメージが強い池内博之がこの記者役とは意外です。これで終わられては続編も読まずにはいられない。
読了日:10月18日 著者:相場 英雄
https://bookmeter.com/books/14083956

■たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に (祥伝社文庫)
同著者の作品をこれまでに読んだことがなかったとすれば、このタイトルでこの表紙から切ない恋愛ものを想像していたと思います。しかし『ある少女にまつわる殺人の告白』を読んでいたから、手に握られた鋏にゾーッと寒くなる(笑)。思い込みが激しくて常識の通じない人は怖い。自分に都合の良い解釈しかしないという点では超ポジティブだと言えますが、こんな人に好意を持たれたら恐ろしい以外の何物でもない。そっか、嘘つきだったのはこっちなのか。殺されてまで守りたくなるほど魅力的な相手だったかなという気はするけれど、一気読みの苦い話。
読了日:10月20日 著者:佐藤青南
https://bookmeter.com/books/12527474

■犯罪小説集 (角川文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】かねてからピンク映画出身監督に注目しています。“ピンク四天王”のひとりである瀬々監督の作品は、私にはいつも少し説教くさい。「罪」「罰」「人」の三章仕立て。短編集のうちの2編を合わせたはずの作品だけど、同じ村で起こった事件だということのみが2編の繋がり。火だるまになる綾野剛の姿は映像になるとよりおぞましい。佐藤浩市はさすがに近寄りがたい汚さではありません(笑)。Y字路で消えた少女は結局どうなったのかわからんと原作にもやもやしていた人なら、この映画版で安心できるかも。
読了日:10月22日 著者:吉田 修一
https://bookmeter.com/books/13269554

■佳代のキッチン (祥伝社文庫)
食材を持ち込めば一品500円で「いかようにも調理します」。木札の掛かったバン、本当に見かけたら絶対利用したくなる。母をたずねて三千里かどうかは知らんけど、こうして全国各地を回る佳代。ちょっと人の家庭に首つっこみすぎではと思わなくもないけれど、行く先々でお世話になる人々との人情話には胸が熱くなる。でも何がひっかかるって、中学も卒業していないわが子ふたりを残して消えた両親、あり得ない。いくら両親に恩を感じる人の話を聞けたとしても、許せない私は心が狭いか。佳代の料理が気になるから続編も読むけど。鮨天、食べたい。
読了日:10月23日 著者:原 宏一
https://bookmeter.com/books/6994357

■高校事変 III (角川文庫)
最近気づいたことなのですが、どうやら私は「取って付けたような海外ロケをしている邦画」が苦手なようなんです。日本人が主役の娯楽大作で、無駄にお金をつぎ込むためだけに海外ロケシーンのあるやつ。本作がそんな映画と同じ印象を受けるとまでは言わないけれど、前作のようには乗れません。凄い戦いをしているのでしょうが、結衣率いる少年少女たちの動きを思い浮かべることが私にはできなくて、とにかくダーッと行ってバーっと勝ったのね、ということだけしか。この戦闘シーンがわかる人って、戦闘能力高いだろうなぁ。私は確実に死ぬな(笑)。
読了日:10月27日 著者:松岡 圭祐
https://bookmeter.com/books/14426490

■あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 (時代小説文庫)
四代目だった夫を皮切りに旦那が次々と亡くなったり失踪したりすれば、どんだけ不幸を呼び寄せる女やねん、名前は幸やけど。と言いたくもなるところ。しかし幸の商売に対する姿勢は見習いたいものばかり。ごまかさず、誠実であることは、商売のみならず生きていくうえでとても大事なことだといつも思わされます。ほぼ毎巻何かが起こるから、今度は何が起こるのよと用心。そうしたら意地悪なことはほぼ何も起こらない。伊勢型紙についてやたら詳しくなれそうな安心の一冊。これもネタバレになりますか。すんません。だって私なら安心して読みたいし。
読了日:10月30日 著者:高田 郁
https://bookmeter.com/books/14169823

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『スペシャルアクターズ』

『スペシャルアクターズ』
監督:上田慎一郎
出演:大澤数人,河野宏紀,富士たくや,北浦愛,上田耀介,清瀬やえこ,
   仁後亜由美,宮島三郎,淡梨,三月達也,櫻井麻七,川口貴弘,
   南久松真奈,山下一世,津上理奈,小川未祐,広瀬圭祐,原野拓巳他
 
TOHOシネマズ西宮にて3本ハシゴの3本目。
 
大変ですよね、前作があんなに当たったら。
社会現象にまでなった『カメラを止めるな!』(2018)の上田慎一郎監督作品。
『カメ止め』の後、『イソップの思うツボ』(2019)を劇場で鑑賞。
DVDで『カメ止め』のスピンオフ作品『ハリウッド大作戦!』(2019)も観ました。
どっちもイマイチで、う~んと残念感満載のうなずき。
これは多大な期待は寄せずに観たところ、結構おもしろかったです。
 
警備員のバイトをしながら役者として稼げる日を夢見る青年・和人。
しかし、極度の緊張を強いられる場面、特に男性から詰め寄られる場面になると、
意識が朦朧としてくるうえに失神してしまう持病がある。
そのせいでオーディションも上手く行かない。
禁煙場所で喫煙していた客に注意したら凄まれて失神、バイトもクビを宣告される。
 
そんなある日、疎遠になっていた弟・宏樹と偶然遭遇。
宏樹はなんと役者をしていると言い、彼が所属する俳優事務所“スペシャルアクターズ”に誘われる。
そこでは映画やドラマの仕事のほかに、演技することで依頼者の問題を解決する仕事も引き受けていた。
持病のある自分には無理だと断るが、やってみると意外になんとかなって楽しい。
 
少しずつ仕事に慣れた頃、女子高生・祐未が仕事の依頼にやってきて、
実家である旅館カルト教団から守ってほしいと懇願する。
祐未によれば、両親が他界して今は姉・里奈が女将を務めている。
いずれ祐未も旅館を手伝うつもりだったが、
里奈はカルト教団“ムスビル”にハマり、旅館を教団に譲ると決めてしまったらしい。
 祐未の話だけを鵜呑みにすることはできないから、
和人と宏樹らがまずは入団希望者を装ってセミナーに参加することになり……。
 
よくできていると思います。
ふだん見ている著名な役者とはちがってフレッシュ。
舞台にもなりそうな大げさな演技が可笑しくて笑えます。
もしも『カメ止め』がなかったら、人にも「おもろいで」と薦めていたことでしょう。
もうほんと、『カメ止め』さえなければと感じることしきり。
 
撮影現場の楽しさが伝わってくる作品ですね。
彼らのうちどれだけの人が役者として生きていけるのかわかりませんが、
役者を続けるために働いている、そんな人も多いかと。
全力で応援したい皆さんです。スペシャル!

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『楽園』

『楽園』
監督:瀬々敬久
出演:綾野剛,杉咲花,佐藤浩市,村上虹郎,片岡礼子,
   黒沢あすか,石橋静河,根岸季衣,柄本明他
 
TOHOシネマズ西宮で3本ハシゴの2本目。
 
原作は吉田修一の短編集『犯罪小説集』。
どれも実際にあった事件がモチーフとなっています。
このうちの「青田Y字路」と「万屋善次郎」を合わせて映画化。
原作を読んだときのレビューはこちら
 
田園が広がるのどかなある地方都市。
地域の顔役といえる藤木五郎(柄本明)の孫娘・愛華が行方不明に。
住民総出で捜索にかかるが、愛華のランドセルが見つかったのみ。
彼女の生死もわからないまま12年が経過する。
 
当時、愛華と帰り道を共にした湯川紡(杉咲花)は、
自分だけが幸せになってはいけない気がして笑えないまま。
そんな折り、地元の青年・中村豪士(綾野剛)と知り合う。
小学生のときに母親(黒沢あすか)とこの町にやってきた豪士は、
友だちもおらず、いつもひとりだが、紡とは心を通わせる。
 
しかしある夜、12年前と同じように、Y字路で少女が失踪する。
住民たちは豪士に疑いの目を向け、大勢で彼の部屋へ押しかける。
 
ちょうどその場に居合わせた田中善次郎(佐藤浩市)は、
親の介護のために愛犬レオを連れて東京からUターンしたところ。
養蜂を始めて村おこしを考えていたが、
よかれと思って行動に出たことが住民の反感を買い……。

短編集のうちの2つが合わされているので、
どんなふうに繋がるのかを楽しみにしていましたが、
同じ町で起こった事件ということのみ。
せっかく2編を合わせるならば、無理にでも繋げてほしかった気も。
 
共通するのは豪士と善次郎がいわばよそものだったこと。
善次郎の場合は、親の面倒を見に帰ってきたのですから、
よそものともいえないはずなのに、町の長老たちの機嫌を損ねると恐ろしいことになる。
面子を潰されたというやつなんですかね。プライドだけが高い人たち。
 
村八分が怖すぎる。
限界集落にいくら人を呼び込もうとしても、
こういう実態があるかもしれないと思うと行けない。
 
瀬々敬久監督は私には少々説教くさい。
村上虹郎演じる紡の幼なじみ役、要りますかね。要るにしては軽い。
原作ではフィリピン人という設定だった豪士の母親。
黒沢あすかが演じるならば(上手いですけど)、別に片言の日本語をしゃべらせなくてもいいのでは。
 
わかりやすいっちゃわかりやすいので、
原作の結末に「結局どやってん」ともやもやした人は安心できるかも。
役者はみんな上手いけど、片岡礼子のヌードとか、いろいろ要らない設定が多すぎる。(^^;

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『フッド:ザ・ビギニング』

『フッド:ザ・ビギニング』(原題:Robin Hood)
監督:オットー・バサースト
出演:タロン・エガートン,ジェイミー・フォックス,ベン・メンデルソーン,イヴ・ヒューソン,
   ティム・ミンチン,F・マーレイ・エイブラハム,ジェイミー・ドーナン他
 
22日が祝日になっているとは1カ月ほど前まで知らず。
アルバイトさんの勤務予定表を提出したら、
人事係から「22日は祝日ですが、本当に出勤されますか」と連絡があり、
え〜っ、そうだったのと驚く始末。失礼しました。
 
で、TOHOシネマズ西宮にて3本ハシゴ。
 
嫌いなタイプじゃないけれど華はないなぁと思っていたタロン・エガートン
それが『ロケットマン』でなんかええ感じになってきたやんと見直し、
本作の予告編でカッコええやんと惚れかけました。ええ感じ継続中。
 
よく考えたら、私、ほとんど知らないんです、“ロビン・フッド”
中世イングランドの伝説上の人物。
詩曲を歌いながら各地を訪ねたいわゆる吟遊詩人が編んだ1編だそうで。
何世紀ものあいだ語り継がれ、今なおこうして映画化されるのが凄い。
なお、監督は本作がデビューのオットー・バサースト。
レオナルド・ディカプリオがプロデューサーを務めています。
 
イングランドのノッティンガム。
若き領主ロビンは、馬を盗みに邸に入った美女マリアンと恋に落ちる。
幸せで優雅な毎日を送っていたが、徴兵されることに。
生きて帰るとマリアンに約束し、十字軍の兵士として出征する。
 
敵兵の息子が丸腰にもかかわらず斬首されそうになった折り、
思わず助けようとしたロビンは、領主でなければ反逆罪に問われるところ、
命は取られることなくイングランドへ送り返される。
 
出征してから4年が経過しているが、マリアンは待ってくれているはず。
そう思っていたのに、なぜかロビンは戦死したことになっており、
領地を含む財産すべて、ノッティンガム州長官によって没収されていた。
幼なじみの修道士タックは、死んだとばかり思っていたロビンが現れてビックリ。
 
タックからマリアンが鉱山で働いていると聞き、ロビンは直ちに向かう。
ところが、マリアンは民衆のリーダー格の男ウィルと暮らしていた。
物陰から彼女の姿を見て凹むロビンに声をかけてきたのは、
あの戦地で斬首された青年の父親ジョンだった。
 
息子が殺されるのを阻止しようとしてくれたのはおまえだけ、
そういうジョンは、一緒に政府を叩き潰そうとロビンに持ちかけて……。

うん、好きですね。映画らしい映画で。
美男がいて美女がいて、頼れる相棒がいて、わかりやすい悪役がいる。
州長官役のベン・メンデルソーンなんて王道の悪役そのもの。
この人、善人役を演じているところを見たことない気がします。
整った顔をしたオッサンなのに、いい人役は回ってこないんですねぇ。
憎たらしくて憎たらしくて、最期は吊るされろと思っていました(笑)。
 
州長官と枢機卿が悪事を働いているっていうのは、
カトリック教会からクレームが出ないものなのでしょうか。
ローマ法皇が怒ってもおかしくない内容で、興味が湧きます。
 
原題が“Robin Hood”のところ、邦題の副題はわざわざ『ザ・ビギニング』に。
そーですか、続編やるんですね。あんまり意地悪な話にしないでね。
 
あ、ロビンがジョンの特訓を受けるシーンは
『巨人の星』の星一徹と飛雄馬親子を思い出してウケてしまった。(^^;

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『ボーダー 二つの世界』

『ボーダー 二つの世界』(原題:Grans)
監督:アリ・アッバシ
出演:エヴァ・メランデル,エーロ・ミロノフ,ステーン・リュングレン,
   ヨルゲン・トゥーソン,アン・ペトレン,シェル・ウィレルムセン他
 
前日に飲み会帰りの映画鑑賞に挑んで爆睡してしまったにもかかわらず、
この日も出かけた帰りにシネ・リーブル梅田へ。
劇場の売店でエビスプレミアムブラックとつまみを少々。
ロビーで飲みながら本を読んで20:40の開映待ち。
 
スウェーデン/デンマーク作品。
原作は『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008)と同じくヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの同名短編小説。
シネコンでメジャー作品しか観たことがないという人には決して鑑賞をお勧めできません。
変態の極みとも言える作品で、第71回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリ受賞。
 
スウェーデンの税関で働く女性ティーナには人間の感情を嗅ぎ分ける才能がある。
違法な物を持ち込もうとする人間は、怒りや恐れ、あるいは羞恥などの感情を持つから、
ティーナは入国審査でそういった人間を即座に見極めることができる貴重な人材。
 
しかし、その容貌はあまりにも醜い。
犬のハンドラーであるローランドとティーナの持ち家で同棲中ではあるものの、肉体関係はなし。
求められてもティーナが自分には無理だと頑なに拒んでいる。
 
ある日、いつもどおり税関で勤務中のティーナは、
自分と非常に似通った醜い容貌の旅行者ヴォーレと出会う。
彼にどこか良くない匂いを感じ取り、ティーナの同僚が身体検査をしたところ、
見た目はれっきとしたヴォーレにペニスはなく、膣があった。
性転換手術を受けたわけでもないらしい。
 
犯罪者のごとく調べたことを謝るティーナだったが、ヴォーレは気にする必要はないと言う。
ティーナは自分の家の離れを貸すとヴォーレに提案、彼はその提案を受け入れる。
 
一方、町では児童ポルノビデオを撮影している場所があることがわかり、
悪事に対する嗅覚が優れているティーナが摘発に協力するのだが……。
 
ネタバレすると、己を単なる醜い人間だと信じていたティーナは人間ではなくて、
ヴォーレによれば「トロール」
同類だからか、ヴォーレにどうしようもなく惹かれてしまったティーナが、
お互いに欲情して繋がるところは、かなりキモい。
見た目は男なのに膣があるヴォーレに、股からいきなりニョキニョキとペニスが生えてきたティーナが挿入。
普通にシネコンで上映している映画しか観ない人は引きますよ、きっと(笑)。
 
同じトロールであったとしても、人間を激しく憎み、復讐しようとするヴォーレに対し、
ティーナは人の心を持っている。
いくら醜い容貌であっても、同僚は彼女をきちんと認めているし、
近隣の住人も彼女の人となりを知っていて、普通につきあっている。
だから、ティーナはみんながみんな悪い人間だなんて思っちゃいないんですね。
 
ヴォーレに惹かれつつも、彼のおこないは許せない。
彼の思いどおりにしてはいけないと思う。
でも、目の前に自分と同じ遺伝子の赤ん坊がいるとしたら。
 
人にはよう薦めないけれど、観たことを決して忘れない作品です。
あ、ここまで強烈だと、なんぼへろへろでも睡魔には襲われません(笑)。

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