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『スキャンダル』

『スキャンダル』(原題:Bombshell)
監督:ジェイ・ローチ
出演:シャーリーズ・セロン,ニコール・キッドマン,マーゴット・ロビー,ジョン・リスゴー,
   ケイト・マッキノン,コニー・ブリットン,マルコム・マクダウェル,アリソン・ジャネイ他
 
109シネマズ箕面にて。
 
アメリカでトランプ大好きなニュース専門局といえば“FOXニュース”。
他のメディアのリベラル偏向に対抗して中立の姿勢を貫くと言っているけれど、
中立の姿勢どころかがっつり保守系、共和党に肩入れ丸出し。
とても中立とは思えません。
 
本作は、そんなFOXニュースで2016年に起きたセクシャルハラスメント事件の全貌。
マーゴット・ロビーという美貌の女優陣を配して見た目抜群。
かつ、3人とも確かな演技力があるから、見応え十分の1本です。
 
FOXニュースの看板キャスター、メーガン・ケリーは、
保守的な発言しか許されない社風のなか、
ドナルド・トランプ大統領候補との対談で堂々と彼を非難する意見を述べる。
ツイッターでメーガンへの嫌がらせを執拗に繰り返すトランプ。
共和党の支持者からも罵詈雑言を浴びせられて身の危険を感じ、
FOXニュースのCEOロジャー・エイルズに相談するが、何もしてくれない。
 
その頃、FOXニュースのベテランキャスター、グレッチェン・カールソンは、
人気番組の担当を降ろされたのを機に、ロジャーを訴えようと考える。
降板はロジャーの性的誘いを拒絶したせいだったから。
アメリカTV界の帝王を訴えても勝ち目はないと思われるが、
なんとしてでも長年セクハラを繰り返してきたロジャーを負かしたい。
弁護士と綿密に計画を練り、告発の準備を密かに進めていた。
 
一方、グレッチェンのもとで働いていた若手ケイラ・ポスピシルは、
メインキャスターの座を狙っている。
このままでは将来がないと、ロジャーとの面接の機会を画策するのだが……。
 
シャーリーズ・セロン演じるメーガンが、
私たち観る者に対して社内を案内して回るふうに始まります。
彼女のメイクをカズ・ヒロが担当。京都のご出身だそうで。
第92回アカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しました。
このメイクがさすがに凄い。本物のメーガン・ケリーとそっくり。
そりゃシャーリーズのほうが綺麗なんですが、
よくここまで似せるメイクを違和感なくできたなと驚く。
そして違和感がないものだから、老けメイク苦手な私もメイクに気を取られなくて済む。
 
こんな親父が舌なめずりして若い女性の体を眺めて、
出世のためなら彼と寝ることを厭わなかった人たちがいることに絶句。
歩行器使っていてもやることはやれるのということにもびっくり。(^^;
夫を信じている妻も阿呆というべきなのか偉いというべきなのか。
 
ケイト・マッキノン演じる、実は民主党が好きでゲイだという社員が印象に残りました。
他局も受けたけど全部落ちて合格したのはFOXニュースのみ。
転職活動をこっそりしているものの、FOXニュースに勤めていると言うと即落とされる。
結果、民主党派であることもゲイであることもいちばん隠さなければいけないFOXニュースにいるなんて。
ここの部分は脚色でしょうけれど。
 
華麗で、上品で、描かれる世界は下劣。

—–

『グッドライアー 偽りのゲーム』

『グッドライアー 偽りのゲーム』(原題:The Good Liar)
監督:ビル・コンドン
出演:ヘレン・ミレン,イアン・マッケラン,ラッセル・トヴェイ,ジム・カーター他
 
109シネマズ箕面にて。
 
ニコラス・サールの『老いたる詐欺師』をビル・コンドン監督が映画化。
主演のヘレン・ミレンイアン・マッケランは、ふたりとも大英帝国勲章の受章者。
いわゆる“ナイト”とか“サー”とかの称号を授けられるというやつですね。
 
勲章にもいろいろランクがあって、上位2ランクならそれに該当。ヘレンはそうです。
イアン・マッケランは“ロード・オブ・ザ・リング”シリーズのガンダルフ役で有名な俳優ですが、
ゲイであることをずいぶん前にカミングアウトしています。
昔、自分がなかなか大英帝国勲章を授与されないのはそのせいだと嘆いていたような記憶が。
無事に授与されてよかった。
 
1年前に夫を亡くした老女ベティとひとり暮らしの老人ロイが出会い系サイで知り合う。
ネット上のやりとりのあと、実際に会ってみることに。
お互いに好感を持ち、以後たびたびデートを重ねるようになる。
 
足を痛めているロイの辛そうな歩き方を見かねて、
ベティはしばらく自宅で一緒に暮らさないかと提案。
ロイを紹介されたベティの孫スティーヴンは悪い予感を抱くが、
当のベティはロイへの好意を隠そうともしない。
 
実はスティーヴンの想像どおり、ロイはどうしようもない悪人。
ベテラン詐欺師で、あちこちであくどい詐欺を働いていた。
ベティに近づいたのも、彼女の資産を狙ってのこと。
詐欺師仲間のヴィンセントと共謀し、資産を丸ごと頂戴すべく、
ベティにふたり共同で口座を開こうと提案するのだが……。
 
女が一方的に騙される話ではないと事前に知っていたので、
最後は大逆転なのだろうと思っていました。
しかしこう来るかという感じで、いや、驚いた。
 
それがわかるまでのロイはものすごく嫌な奴です。
早く奴をぎゃふんと言わせてくれ~と願うばかり。
ベティの前では紳士的で優しい老人。
彼女から見えなくなるや、そのずるそうな顔といったら。
イアン・マッケランの演技に舌を巻きます。
 
一方のヘレン・ミレンもさすがの演技。
真実が明かされるくだりはその執念が怖くて怖くて。
 
ここまでするかと思わなくもないものの、
大御所ふたりの役者ぶりを堪能。
嫌な話ではありますが、面白かった。

—–

『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』

『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』
監督:成島出
出演:大泉洋,小池栄子,水川あさみ,橋本愛,緒川たまき,
   木村多江,戸田恵子,濱田岳,松重豊他
 
2日続けて仕事帰りに109シネマズ箕面へ。
 
原作は第23回(2016年度)読売演劇大賞最優秀作品賞の受賞作で、
ケラさんことケラリーノ・サンドロヴィッチのヒット舞台。
基になっているのは太宰治の未完の遺作なのだそうです。
凄いですよね、ケラさん。毎年何やらの演劇賞を受賞しているのですから。
 
ダメ男なのになぜかモテまくる文芸誌編集長・田島周二(大泉洋)。
青森にいる妻子を気にしつつも、何人もの愛人と別れられずにずるずると。
愛娘からの「お父さんと暮らしたい」という便りを読み、
ようやく生き方を改めてすべての愛人たちと別れる決意をする。
 
どのように別れを切り出せばいいだろうと旧知の漆山連行(松重豊)に相談すると、
偽の妻を金で雇って愛人たちのところに連れて行けば簡単さと言われる。
半信半疑ながらほかに良い方法もないから、
田島は担ぎ屋・永井キヌ子(小池栄子)にその偽の妻役を頼むことに。
カネにがめつく大食いのキヌ子は、報酬目当てに引き受けるのだが……。
 
妻役は木村多江。愛人役は3人。
1人目は花屋の店員で、緒川たまき。ケラさんのホンモノの奥様です。
2人目は挿絵画家で、橋本愛。3人目は女医で、水川あさみ
田島に関わる彼女たちは当然のこと、ほかのキャストがとても楽しい。
挿絵画家の兄役に皆川猿時、田島の部下役に濱田岳
易者役の戸田恵子が怪しすぎて絶品です。
 
序盤はちょっぴりもたもたしていて、シャレもスベリ気味に思えました。
それに小池栄子演じるキヌ子のしゃべり方が
『魔法使いサリー』のよし子ちゃんみたいであることにものすごい違和感。
いい女優なのに、どうしてわざわざこんなしゃべり方をさせるのか不思議でした。
しかし途中からはそのしゃべり方で「田島の妻でございます」と言うのが妙に可笑しく、
気になるどころか好きになっていました。
 
たぶん舞台のほうが面白いだろうなぁとは思うけれど、
戸田恵子演じる易者を真似れば、「だいたい」面白い(笑)。

—–

『1917 命をかけた伝令』

『1917 命をかけた伝令』(原題:1917)
監督:サム・メンデス
出演:ジョージ・マッケイ,ディーン=チャールズ・チャップマン,マーク・ストロング,
   クレア・デュバーク,コリン・ファース,ベネディクト・カンバーバッチ他
 
109シネマズ箕面にて。
 
サム・メンデス監督が彼の祖父アルフレッド・メンデス氏から聞いた話を基にしたそう。
エンドロールでお祖父さんへの謝辞も述べられています。
 
1917年4月6日、ヨーロッパは第一次世界大戦の真っ只中。
西部戦線ではドイツ軍が後退しはじめ、
連合軍はこの好機を逃す手はないと、一気にドイツ軍を叩くことを決める。
 
そんな中、イギリス軍のエリンモア将軍から呼びつけられた若い兵士ふたり。
トム・ブレイクとウィル・スコフィールドは将軍の話を聞いて驚く。
航空偵察をおこなったところ、ドイツ軍の後退は罠であることがわかったという。
もしも連合軍がドイツ軍の後退を鵜呑みにして総攻撃をかければ、
引き込まれたところでドイツ軍が待ち構えているというのだ。
 
ドイツ軍を叩こうと進撃中のデヴォンシャー連隊に
なんとしてでも攻撃中止を伝えなければならないが、電話線は切れている。
直接走って伝えに行くしかなく、それを命じられたのがトムとウィル。
 
デヴォンシャー連隊にはトムの兄ジョセフもいる。
兄を救いたい一心で命令を受けたトムに対し、
ウィルは白昼に向かっても撃たれるに決まっていると主張するが、トムは出発。
致し方なくウィルもついて行くのだが……。
 
昨年から何度も目にしていた予告編。
「全編ワンカット」の触れ込みに、全編ワンカットがホンマなら凄いけど、
そんなことできるんかいな、無理やろと思っていました。
正確には「全編ワンカットで撮影したように見える」、そういう撮り方。
実際そう見えます。緊迫感が凄くて圧倒されました。
 
前途は当然多難。
ドイツ軍が後退したとはいえ、彼らがいた場所には爆弾も仕掛けられている。
別の隊と出会って車に乗せてもらったものの、道はぬかるんでいるし、
橋が壊されていて思うように前には進めない。
やっぱり自分の足で歩くしかなくなってしまうのです。
 
ホラー映画でもサスペンス映画でもないのに、
戦場で何が起こるかわからないからやけに緊張して、
座席の上でなんどかビクッとしました。
 
任務を果たしたところで戦争は終わらない。
しかも明日になればまた違う伝令が届くかもしれない。
戦うことが何になるというのか。
 
最後まで走り通すことになるウィル役のジョージ・マッケイと、
途中で命を失ってしまうトム役のディーン=チャールズ・チャップマンを除けば、
あとはちょこっと映る程度。
なのに将軍役のコリン・ファース、大尉役のマーク・ストロング
大佐役のベネディクト・カンバーバッチの素晴らしい存在感。
 
重い。
すっごく見応えがあります。

—–

『黒い司法 0%からの奇跡』

『黒い司法 0%からの奇跡』(原題:Just Mercy)
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
出演:マイケル・B・ジョーダン,ジェイミー・フォックス,ブリー・ラーソン,
   ロブ・モーガン,ティム・ブレイク・ネルソン,レイフ・スポール他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『プレーム兄貴、王になる』とハシゴ。
 
原作は全米ベストセラーのノンフィクション『黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う』。
監督は『ガラスの城の約束』(2017)のデスティン・ダニエル・クレットン。
これもとてもよかった。
 
ハーバード大ロースクールにかようブライアン・スティーブンソンは、
インターンのときに「おつかい」でアラバマ州刑務所を訪ねた折、
たいした捜査もされないまま死刑囚にされた囚人が多いことに驚き、
弁護士となって彼らのために無償で働きはじめる。
 
南部アラバマ州は人種差別がはびこる土地。
自身も黒人のブライアンは、刑務所訪問のさいにも看守から侮蔑的な態度を取られる。
怒りを抑えて、複数の死刑囚と面会したところ、
大半が物的証拠なし、黒人だからという理由だけで犯人に仕立て上げられている。
 
特に、ウォルター・マクミリアンという男性は明かな冤罪
近隣の店で若い白人女性が殺害された事件で、
ウォルターを昔から知る前科者が偽証言をしたらしい。
 
過去に担当した弁護士からは裏切りに近い好意を受けているウォルターは、
ブライアンのことも信じようとしなかったが、
ウォルターの家族に会って丁寧に話を聞くブライアンの様子を知り、
再審請求に賭けてみようと考えるのだが……。
 
白人だけどブライアンをサポートする女性にブリー・ラーソン
 
こんな酷いことがあっていいのだろうかと憤りたくなる実話。
黒人を除く住民全員が差別主義者かと思うほど。
しかし住民たちにはその自覚がないのか、
この土地が『アラバマ物語』(1962)の舞台だと誇らしげに言う。
あんな差別に満ちた土地だと明らかにされた映画が自慢って、どうよ。
 
黒人を犯人に仕立て上げるためなら何だってやる。
法の番人すら公平な目では見てくれない。
それでも負けなかったブライアンが凄い。
 
いくら信じてみてもどうにもならないことは世の中にあるけれど、
絶望は正義の敵になる。
駄目だとあきらめたら終わっちゃうんですね。
 
良い映画でしたが、ウォルターを陥れた保安官が、
つい昨年まで6期に渡って再選されたという事実。
差別はちっともなくなっていないことの証しのようで悲しい。

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