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『ひとくず』

『ひとくず』
監督:上西雄大
出演:上西雄大,小南希良梨,古川藍,徳竹未夏,堀田眞三,
   飯島大介,田中要次,木下ほうか他
 
テアトル梅田へ観に行くかどうか迷っていた本作。
児童虐待をテーマにしているから相当重そう。
耐える自信がなかったのでパスするつもりでいたら、
イオンシネマ茨木で上映中。う~む、終業後に簡単に寄れるとこ。
ここからなら帰りも15分。行っときます。
 
上西雄大監督は、関西を拠点に活動する劇団“10ANTS(テンアンツ)”の主宰者。
自ら主演を務めて撮った本作が海外の映画祭でも高い評価を受けました。
お客さん、よく入っています。ちょっとびっくりするくらいの入り。
 
冒頭はやっぱり観に来たことを後悔するぐらいの辛い映像。
幼い少女がマンションの一室に閉じ込められています。
ゴミだらけの部屋に食べるものは何もなく、電気すら止められている。
外から鍵がかけられて、泣き叫んでも少女は外に出られない。
手の甲には「根性焼き」の跡。辛すぎる。
 
前科者の金田匡郎(上西雄大)は空き巣を生業としている。
ある日、彼が入った部屋の片隅に、怯える幼い少女がいた。
彼女は小学生の北村鞠(小南希良梨)。
母親の凛(古川藍)は一人娘を閉じ込めて、男と旅行。
その男から鞠は日常的に虐待を受けているらしく、
胸元にはアイロンを押しつけられた跡まであった。
 
自身も少年時代に母親の男から虐待を受けていた匡郎は、
鞠のことを放っておけず、食べ物や服を買い与える。
 
凜が男と帰宅。
母親とはおよそ言えない態度にキレた匡郎は男を刺殺。
半狂乱になる凜を脅し、男の死体を埋めさせると、
そのまま凜と鞠のいる部屋に居座るのだが……。
 
『ミッドナイトスワン』のように、虐待された子どもを引き取って
自分で育てる話だろうと思っていたら違いました。
虐待野郎を殺して自分は居座るって、想像できないことでした。
 
匡郎は決して褒められた奴ではありません。
とにかく口が悪いし、誰彼となく喧嘩をふっかける。
粗野そのもので、教養なんてものはどこにもない。
けれど心根は優しくて、だから鞠は彼のことを信頼しきっている。
 
凜も親から虐待を受けていた被害者。
愛されたという記憶がないせいで、自分の子どもをどう愛せばいいのかわかりません。
どうしようもない女だった凜が、鞠に穏やかな表情を見せ始めるときは
鑑賞している私たちも心から安心することができます。
 
このような虐待を本当に受けている子どもが世の中には居るし、
こんな酷いことを平気でする親やその同居人が居る。
でも、そんな酷い奴の中には、接するひと次第で変われる人間も
もしかすると居るかもしれない。
 
Vシネを観ているかのようなどデカい音楽と演出に
ちょっと過剰かなと思わなくはないものの、心に突き刺さる作品でした。

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『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』

『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』
監督:MTJJ
声の出演:花澤香菜,宮野真守,櫻井孝宏,斉藤壮馬,松岡禎丞,杉田智和,
     豊崎愛生,水瀬いのり,チョー,大塚芳忠,宇垣美里他
 
TOHOシネマズ西宮にて、5本ハシゴの5本目。
もともとオンライン予約をしていたのは前述の『さくら』まででしたが、
ええい、ついでにもう1本観てしまえと思って。
 
本作のことが気になっていました。
半年以上前だったか、十三の第七藝術劇場で上映されていた頃から。
そのときはまさかこんなロングラン、
しかもシネコンで上映されることになるとは夢にも思わず。
 
中国の漫画家でアニメ監督のMTJJが手がけた作品で、本国で大ヒット。
日本では昨秋に字幕版が公開され、予想外の反響があったそうです。
人気声優陣による日本語吹替版が作られて、このたび拡大公開。
最初は付いていなかったはずの副題「ぼくが選ぶ未来」が加わりましたねぇ。
 
小黒(シャオヘイ)は子猫の姿をした妖精。
まだ変化術は未熟だが、子どもの姿に化けることもできる。
森の中で平和に暮らしていたのに、
人間の森林開発により、居場所を失ってしまう。
 
街をさまよっていた小黒が人間に襲われたとき、
助けてくれたのがやはり妖精の風息(フーシー)。
風息は小黒を故郷の森に似た隠れ処に連れて行き、
仲間の洛竹(ロジュ)や虚淮(シューファイ)に紹介する。
平和を取り戻し、安心する小黒。
 
ところがそこへ人間最強の執行人と言われる無限(ムゲン)がやって来る。
無限の急襲に遭った風息はどこかへ逃げ、
その場に取り残された小黒は無限に捕らえられてしまう。
 
風息が憎んでいた人間、そして敵の無限のことを小黒も憎むが、
思いのほか無限は善い奴で、小黒を傷つけるどころか、
技をいろいろ教えてくれるではないか。
風息のことが好き、でも無限のことも好きになる小黒。
 
やがて、風息が人間を滅ぼすために陰謀を企てているとわかり……。
 
めちゃめちゃ面白かった。
個人的には『鬼滅の刃』に匹敵するほど。
予備知識なしで観るならこっちのほうが面白いと思うほど。
 
中国のアニメではありますが、日本のアニメとして観ても違和感なし。
花澤香菜宮野真守櫻井孝宏の声がやたらハマっていて驚きました。
無限がイケメンで、言動もやたら格好良くて惚れそうに。
 
ヒットするには訳がある。
中国のアニメを観る機会はそうそうないけれど、これは推し。

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『さくら』

『さくら』
監督:矢崎仁司
出演:北村匠海,小松菜奈,吉沢亮,小林由依,水谷果穂,
   山谷花純,加藤雅也,趙民和,寺島しのぶ,永瀬正敏他
 
TOHOシネマズ西宮にて、5本ハシゴの4本目。
 
原作は西加奈子の同名小説。
監督は矢崎仁司で、この監督の『太陽の坐る場所』(2014)が好きじゃなかったから、
どうかなぁと一抹の不安を感じつつ鑑賞に臨む。
同監督の作品の中ではいちばん好きだったかも。
っちゅうのか、単に北村匠海が好きなだけちゃうんか、私。(^^;
 
大阪・和泉市に暮らす仲良し5人家族の長谷川家。
父親・昭夫(永瀬正敏)、母親・つぼみ(寺島しのぶ)、
長男・一(はじめ)(吉沢亮)、次男・薫(北村匠海)、長女・美貴(小松菜奈)と、
子犬のときにもらわれてきた雌犬サクラ。
 
内気な薫とちがい、格好よくてスポーツもできる一は学校の人気者。
薫はそんな兄を妬むことなど一切なく、ヒーローだと思っている。
末っ子で甘やかされ放題に育った美貴も一のことが大好き。
 
そんな一が彼女だという優子(水谷果穂)を連れてくる。
大はりきりの昭夫とつぼみだったが、優子は無愛想なことこのうえない。
美貴は優子に挨拶しようともせず、不穏な空気が流れる。
一に接するうち明るくなった優子に対しても美貴は頑なな態度。
 
ある日、親の都合で優子が引っ越すことに。
欠かさず手紙を書く一に優子からの返事は届かない。
そうこうしているうちに大学生になった一が事故に遭って……。
 
途中から壮絶。
あんなに美しい吉沢くんの顔をこんなにする!?
直視するのが辛くなるほどメタメタにされます。
 
美貴が嫌な子なんですよ(笑)。
兄を溺愛するあまり、優子のことを許さない。
ブラコン通り越して偏執的。
小松菜奈の薄笑いを浮かべた表情が怖いのなんのって。
 
その中にあって北村くん。
仲の良い家族だけれどもどこか歪んでいる。
微妙な心を上手く表していると思います。
 
舞台となっているのは原作者の生まれた地そのままなんですね。
映画化するに当たって、これだけ関西以外の出身者を起用するなら、
いっそ舞台をよそに移してもよかったのではないでしょうか。
だってどうしても関西弁が気になってしまうから。
みんながんばっていたことは認めます。
でも間違いない関西弁をしゃべっているのはオカマ役の加藤雅也だけ。
京都出身だという寺島しのぶは、どれだけ京都にいたんだか、
ほぼちゃんとした関西弁のイントネーションでさすがだと思いました。
方言に気を取られてしまうのはもったいないと思う。
 
誰が笑おうが悲しみに暮れようが、変わらず尻尾を振るサクラ。
立派すぎる脇役。

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『日本沈没 2020 劇場編集版 シズマヌキボウ』

『日本沈没 2020 劇場編集版 シズマヌキボウ』
監督:湯浅政明
声の出演:上田麗奈,村中知,佐々木優子,てらそままさき,
     吉野裕行,森なな子,小野賢章,佐々木梅治他

TOHOシネマズ西宮にて5本ハシゴの3本目。
 
1973年に発表された小松左京の大ベストセラー『日本沈没』。
幾度となく映画化され、テレビやラジオでドラマ化され、
漫画化もされて、そしてこのたびWebアニメ化。
Netflixで配信されて大きな話題を集めたそうですが、知らん。
全10話として配信されたものを劇場版として再編集したのだとか。
 
原作に何の思い入れもないうえに151分という長尺、
しかもこれにはポイントが使えないんです。特別料金1,800円也。
スルーしかけていましたけど、湯浅政明監督だから観てみましょう。
 
2020年の日本。
武藤家は、日本人の父親・航一郎、フィリピン人の母親・マリ、
中学3年生の長女・歩、小学2年生の長男・剛の4人家族。
 
陸上部のエースとして将来を嘱望されている歩はいつものように部活、
航一郎は仕事、マリは日本に帰国したばかり、剛は留守番。
そんな日に巨大地震が発生し、列島全体が沈み始める。
 
大混乱のなか、航一郎が神社に灯したネオンサインを目印に、
なんとか家族が集結。東京から脱出を図るのだが……。
 
疲れ気味だったので、150分超の映画なんて観たら絶対寝ると思っていました。
ところがどっこい、湯浅監督のなせる技か、楽しい脚本のおかげか、
まったく睡魔に襲われずに最後まで鑑賞することができました。
 
初代の映像化のさいにはこんな光景は予想もされなかったでしょう。
避難する人々がみんなスマホを持っている。
剛は幼いながらも筋金入りのゲーマーで、ゲームの知識が役に立つ。
 
生存者は善人ばかりじゃなし、車に乗せてはくれたけど、
「乗せてやったんだからヤラせろよ」なんていう不届き者も。
そういう奴があっさり撃沈されるのは痛快。
 
父親は不発弾を踏んでわりとあっけなく亡くなり、母親も命を落とす。
残された姉弟と力を会わせるのは歩の先輩と世界的YouTuber
ユーチューバー、凄いっす。
新興宗教の信者たちが集団生活する場ではそのユーチューバーがDJに。
 
姉弟が漂流しているときの会話に笑った。
歩は「今日何曜日かな。連続ドラマを見損ねた」と言う。
んなもん放映しているわけもないのに。
一方の剛は、「Amazonどうなったかな。海の上にあったりして。
もう家がなくなっちゃったから配達してもらえない」とか。
 
とにかく今の時代を映し出した新しい『日本沈没』です。
そういえば『日本以外全部沈没』(2006)なんてのもありましたね。
そっちは観なくていいけれど、こっちはちょっとオススメです。
そうそう、エンガチョに笑った。
欧米では“Good Luck”の意味なのですね。

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『ドクター・デスの遺産 BLACK FILE』

『ドクター・デスの遺産 BLACK FILE』
監督:深川栄洋
出演:綾野剛,北川景子,岡田健史,前野朋哉,青山美郷,石黒賢他
 
TOHOシネマズ西宮にて、5本ハシゴの2本目。
しかし何ですね、5本ハシゴで劇場スタッフに駐車券を差し出して、
「5本分お願いします」というときの反応は結構おもしろいです。
12時間分つけていただきました。
 
ハマっております、中山七里に。
『さよならドビュッシー』(2012)の映画版があまりにしょうもなくて、
ずっと読まず嫌いだった作家なのですが、今やだだハマり。
七里センセの“刑事犬養隼人”シリーズにはまだ手を出していないけど、
結構お気に入りの綾野剛で映画化なんて嬉しいじゃないですか。
読むのは後にしてまずは観なきゃ。
監督は深川栄洋。本作みたいな刑事ものを撮るのはちょっと意外。
 
警視庁ナンバー1の検挙率を誇る捜査一課刑事、
犬養隼人(綾野剛)と高千穂明日香(北川景子)のコンビ。
ある日、「初めて家に来た医師に父親を殺された」と少年から通報がある。
犬養と高千穂が火葬される寸前だった遺体を解剖に回すと、
死亡する1時間前に塩化カリウム製剤が投与され、
心不全を起こしたように見せかけられていたことが判明。
 
同様に亡くなった患者はいないかを調べたところ、
闇サイトを通じて“ドクター・デス”を名乗る医師の存在が明らかになる。
難病に苦しむ患者あるいはその家族がドクター・デスに安楽死を依頼したらしい。
こうして捜査している間にも増えるであろう依頼を止めるため、
犬養と高千穂は安楽死した遺族のもとへ出向いて情報を求めるが、
遺族たちはいずれもドクター・デスに感謝しており、捜査に非協力的で……。
 
七里センセはドンデン返しの帝王です。
読書中、どれだけ頭を働かせて考えてみても、その斜め上を行かれる。
映画を観たら、おおっ、これよこれと可笑しくなり、
原作でも「さよか!」と唸ったやろなと思いました。
 
ところで、映画の公式サイトのキャストには刑事しか載っていないのですね。
キャストを載せたらドンデン返しも想像できそうだからかしらん。
犬養と高千穂の同僚には岡田健史前野朋哉青山美郷
上司役を石黒賢が演じています。
岡田くん、カワイイ。仮面ライダー顔だと思っていたのに、ライダー出身じゃないのか!
 
で、キャストを書くぐらいじゃネタバレにならんと思うんですけど、
柄本明木村佳乃、特に後者の怪演に身の毛もよだちました。
あ、やっぱりこれってネタバレですよね。(^^;
 
オープニングもエンディングもテレビの連続ドラマっぽい。
そこが軽く観られていいんでしょうけど。
フツーに面白かったし、カッコいいコンビです。
 
やっぱり騙されるわ~。

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