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『チャンシルさんには福が多いね』

『チャンシルさんには福が多いね』(英題:Lucky Chan-sil)
監督:キム・チョヒ
出演:カン・マルグム,ユン・ヨジョン,キム・ヨンミン,ユン・スンア,ペ・ユラム他
 
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの3本目。
 
キム・チョヒ監督は女性です。
ホン・サンス監督の作品10本でプロデューサーを務めた人らしい。
加瀬亮を起用した『自由が丘で』(2014)を撮った監督でもあるのですが、
私はサンス監督のことが苦手。というのか、好きになれません。
支持者の方には申し訳ないけれど、なんといえばいいのかなぁ、
「男性にとって女性はこうあってほしい」という妄想(笑)を感じます。
 
そんなサンス監督のプロデューサーを務めた人の作品って、ちょっと期待薄。
でも、どんな作品を撮るのかが気になって、この目で確かめに行きました。
ところどころ睡魔に襲われましたが、サンス監督より断然ええやん。
 
チャンシル(♀)は映画が好きで好きでたまらない映画プロデューサー。
映画に関わらない人生なんて考えたこともなかったが、
ある日、ずっと支えてきた映画監督が飲み会の席で急死する。
 
その途端、これまで目をかけてきてくれたはずの女社長は、
「プロデューサーなんて誰でもできる仕事でしょ」と言い出す。
仕事を失って金もない、独身だから家庭もないし、男もいない。
とりあえずは引越して、老女がひとりで暮らす丘の上の家に間借りする。
 
無職になったチャンシルは、妹分のような存在の女優に「働きたいのだ」とすがりつき、
彼女の家の家政婦として働きはじめるのだが……。
 
チャンシルさんは40歳。
女優の家にフランス語を教えに来ている年下の男性にひと目惚れします。
彼との映画の話が結構可笑しい。
チャンシルさんは小津安二郎を崇拝していて、小津こそ世界一の映画監督だと考えています。
それを恋する相手に話したのに、「小津は僕にはちょっと退屈だ」とかぬかしやがる。
じゃあ彼はどんな監督が好きなのかと思ったら、クリストファー・ノーラン
それを聞いたときのチャンシルさんの「ノーラン!?」には笑った。
 
また、チャンシルさんの目の前には幽霊が現れます。
幽霊がレスリー・チャンを名乗るのにもワラける。
レスリーにちっとも似ていないんだもの(笑)。
 
チャンシルさんが住む家の大家さんが泣かせます。
期せずしてこの日のハシゴ1本目と同じく、大家さんは読み書きができない。
いろいろと交渉や折衝は娘に任せてきたのに、その娘が早世してしまった。
請求書すら読めなくて困るから、市民センターで勉強を始めたと言うのです。
たまに大家さんの宿題を手伝うようになったチャンシルさん。
大家さんの詩を聴くシーンは一緒に泣きました。
 
そんなわけで、サンス監督の作品みたいだったらどうしようという懸念はどこかへ飛んで。
なんだか憎めない作品でした。

—–

『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』

『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』(原題:Mission Mangal)
監督:ジャガン・シャクティ
出演:アクシャイ・クマール,ヴィディヤ・バラン,タープシー・パンヌー,ソーナークシー・シンハー,
   シャルマン・ジョシ,ニティヤ・メネン,キールティ・クリハーリー他
 
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの2本目。
あんまり踊らないインド作品ですが、やっぱりボリウッドに外れなし。
 
さて、私は自分で政治経済に疎い(というのかアホ)と思っていたのですが、
政治経済のみならず、時事ネタ全般について物知らずだったようです。ガクッ。
火星探査機の打上げにアジアで初めて成功したのがインドだとは知りませんでした。
本作はその快挙に秘められた実話に基づく。
 
監督は『パッドマン 5億人の女性を救った男』(2018)で助監督を務めたジャガン・シャクティ。
主演も『パッドマン』のアクシャイ・クマール、
共演は『女神は二度微笑む』(2012)のヴィディヤ・バラン。
『ドリーム』(2016)がお好きだった人にはこちらもぜひお薦めしたい。
 
インド・カルナータカ州のベンガルールにあるISRO(インド宇宙機関)。
2010年、インドの宇宙事業の命運をかけた月へのロケット打上げが失敗に終わり、
プロジェクト責任者のラケーシュの立場が危うくなる。
暗にISROを退職するように求められるが、ラケーシュは辞めるつもりなどない。
 
見限られたラケーシュの後任は、NASAに在籍していたインド人ルパート。
ラケーシュは火星探査プロジェクトに異動させられるが、
このプロジェクトは絶対に成功しないと思われているのだから、事実上の左遷。
共に異動となったのは、ラケーシュのもともとの部下タラ。
火星探査プロジェクトの予算は非常に少ないうえに、
ルパートが新しくあてがってきたスタッフは経験の浅い二軍クラス以下の面子で……。
 
タラは非常に優秀な女性研究者ですが、最初のロケット打上げに失敗したのは彼女のミス。
しかしラケーシュは彼女のことをまったく責めず、お偉方の非難をひとりで浴びます。
そんなラケーシュと共に働き、なんとか夢を叶えようとするタラがとても良い。
彼女には夫も息子もいて、夫は妻の仕事に理解のない駄目な奴(笑)。
でも息子は母親の応援団でもあります。そして彼女は実に良き母。
 
火星まで行くには燃料が足りない。
なんとか節約する方法はないものかと考えていたとき、
プーリー(揚げパン)を作る途中でガスが切れたことにヒントを得るのが面白い。
研究者の頭の中ってどうなっているんでしょうね。賢いなぁ。
 
プロジェクトの面々は若い女性か、童貞男子か、年金暮らしを待つ老人。
やる気のなかった面々をどう奮い立たせるか。
そして奮い立った彼女ら彼らがどうやってこのプロジェクトを成功させるか。
ぜひご覧ください。
と薦めてはみたものの、今まだどこかで上映しているかしらん。
100から数えるのは縁起が悪いから101からカウントダウンとか、
目からウロコの発言もちらほらあります。そこも面白いのにな〜。
 
しかし揃いもそろってみんな美人♪

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『GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生』

『GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生』(原題:Gogo)
監督:パスカル・プリッソン
 
外国人観光客が増えてから、駐車料金が急騰した梅田スカイビル周辺。
しかしコロナで人通りがめっきり減ったせいかおかげか、
今は駐車料金が最高値時期の半値ぐらいになっています。
1日中駐めても1,000円前後というのはありがたいこと。
そんなわけで車で梅田へ。最大料金900円の駐車場に空きあり。
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴ。
 
監督は『世界の果ての通学路』(2012)のパスカル・プリッソン。
今度はアフリカに暮らす94歳の現役小学生に密着。
 
ケニアの小さな村に暮らすプリシラ・ステナイさん。
みんなから“ゴゴ(=おばあちゃん)”と呼ばれ、愛され慕われている。
軍人の夫は早くに亡くなったが、3人の子どもがそれぞれ結婚し、
22人の孫と52人ものひ孫がいます。
 
彼女が生まれた村の人々は、女は学校になんて行かなくてよいと思っている。
少女だった頃、父親から牛の世話を手伝うように言われ、
それが当たり前だと彼女自身も思っていた。
でも、90歳を過ぎてから、就学していない女性たちを見て、
本当にこのままでよいのか、教育を受けるべきではと思うようになり、
自分がまずはお手本を示すつもりで小学校入学を希望します。
 
前代未聞のことだから、どの小学校もすんなりとは受け入れてくれない。
やっと彼女の思いに応えてくれた学校に、ひ孫のひとりと通い始めます。
 
村から離れて数カ月は寄宿舎暮らし。
ほかの小学生と同じ制服を着るゴゴのなんと愛らしいこと。
読み書きだけ学ぶのかと思ったら、数学も英語も習うし、
1週間の校外学習にも出かけて、野生のライオンとも遭遇。
90年以上生きてきて、村を出るのが初めてだという彼女の表情がまぶしい。
 
校外学習に出かける途中に立ち寄った村では、
少女の就学状況がゴゴの村と必ずしも同じではないと知ります。
彼女の村では妊娠すれば学校を辞めるのが当たり前。
でもほかの村では妊娠しても学校には通い続ける。
絶対に学校を辞めるべきではないと、ゴゴは自分の村の妊婦に説きます。
 
勉強することが如何に楽しくて大切かを皆に語ってきた彼女なのに、
ある日突然学校にはもう行かないと言い出します。
小学校の卒業試験に落ちたことにスネてかと思いきや、そうではなかった。
白内障を患った目では答案用紙も見えず、断念したのでした。
その事情を知った校長は都会の病院を手配。晴れて彼女の目はまた見えるように。
 
もっと多くの少女が安心して教育を受けられるよう、
ゴゴは少女たちのための寄宿舎の造成にも携わりました。
 
何事も、始めるのに遅すぎることはない。
おばあちゃんの思いが世界中に届きますように。

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『香港画』

『香港画』
監督:堀井威久麿
 
TOHOシネマズ梅田で『おとなの事情 スマホをのぞいたら』を観た後、
阪急大阪梅田駅3階改札内のワインバルで1杯飲み、十三へ移動。
第七藝術劇場で本作を鑑賞。
 
2019年10月、仕事でたまたま香港に滞在していた堀井威久麿監督が、
民主化のデモ隊に遭遇して撮影することになった作品なのだそうです。
 
30分を切る短い作品ですが、凄まじいデモの様子が映し出されます。
上映後には堀井監督とプロデューサーの前田穂高氏のトーク映像もあります。
 
堀井監督は、デモに若年層が多いことに驚き、
彼らが何を考えているのか聞きたいと思ったとのこと。
生の声を聞かせてくれる人にインタビューしています。
 
暴力に走る若者の中には、本当に民主化を謳っているのか、
単に破壊行動をしたいだけなのか疑いたくなる者もいます。
でも、大半は過激な思想を持つ若者ではなく、とても「普通」の若者。
彼らが「黙っていてはいけないと思った」と言う。
 
デモの様子にも愕然としましたが、それと共に映る香港の街並みを見ていたら、
なぜか胸が押しつぶされそうになりました。
 
香港はどうなるのか。周庭さんのことが気になって仕方ありません。

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『おとなの事情 スマホをのぞいたら』

『おとなの事情 スマホをのぞいたら』
監督:光野道夫
出演:東山紀之,常盤貴子,益岡徹,田口浩正,木南晴夏,
   淵上泰史,鈴木保奈美,室龍太,桜田ひより他
成人の日、梅田と十三をハシゴ。
まずはTOHOシネマズ梅田にて本作を。
オリジナルのイタリア版『おとなの事情』(2016)はそりゃもう面白かった。
スマホの見せ合いっこをすればどこの国でも修羅場になるのか、
あちこちの国でリメイクされ、その数はギネス世界記録に認定されたほど。
どの国のリメイク版にも興味はありますが、
全部が全部、日本で劇場公開されたわけでもない。
私が観たのは韓国版リメイクの『完璧な他人』(2018)だけ。
フランス/ベルギー版リメイクの『ザ・ゲーム 赤裸々な宴』(2018)は
日本でも観られるようなので観てみたいですねぇ。
さて、韓国版リメイクはイマイチだった印象があります。
日本版リメイクはどうなのかと思ったら、最初から設定が違う。
幼なじみという設定じゃないんだ。そこでまず驚く。
訳あって親しくなった7人の男女。
毎年1度集まってワイワイやるのが恒例となっている。
今回は内1人が雇われ店長を務めるカフェに集合。
7人の内訳は、3組の夫婦と1人の独身男性。
美容外科医の六甲隆(益岡徹)とその妻で精神科医の絵里(鈴木保奈美)。
法律事務所のパラリーガル・園山零士(田口浩正)とその妻でパート勤めの薫(常盤貴子)。
カフェの雇われ店長・向井幸治(淵上泰史)とその妻で獣医の杏(木南晴夏)。
そして唯一独身の塾講師・小山三平(東山紀之)。
和気藹々と始まったパーティだったが、杏がふと暗い表情を見せる。
メンバーの中ではいちばん若く、いちばん最近結婚した杏は、
どうやら幸治の女癖を疑っているらしい。
先輩夫婦である六甲や園山に夫婦とは何かを問い、
夫婦の間に秘密は存在しないのかを聞きたがる。
夫婦だからって何もかも話しているわけではないが、
バレて困るような秘密はないという六甲・園山両夫婦の答えを聞き、
杏は「ならばここにスマホを出して、みんなで見せ合いましょう」と言い……。
こんなことになったらどうしますか。
自分のスマホに着信があるたびにドキドキし、迷惑メールだったりするとホッと胸をなでおろす。
母親からの電話だと安心したら、母親が隣にいる嫁の悪口を言い始めたり。
会話はスピーカーにして皆も聞ける状態にするというルールです。
もちろん浮気相手からのメールも届くのよん。
ヒガシがダサくてモテない男という設定からしておかしいけれど(笑)、
なかなか楽しめるキャストで劇場内にも笑いが飛び交っていました。
ゲイであることをカミングアウトできずにいる三平が
その思いを吐露するシーンは演じるヒガシに泣かされます。
笑いと涙のバランスの良いエンタメ作品だと思います。
7人が親しくなった理由もこれまでのリメイク版と異なるし、
今後に希望を持たせる展開は日本ならでは。
でも、仲間内に浮気相手がいたり、愛人に子どもができていたり、
希望を持たせるとはいっても、実際にこんなことがあれば無理だと思うんですけど(笑)。

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