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『ステージ・マザー』

『ステージ・マザー』(原題:Stage Mother)
監督:トム・フィッツジェラルド
出演:ジャッキー・ウィーヴァー,ルーシー・リュー,エイドリアン・グレニアー,
   マイア・テイラー,アリスター・マクドナルド,オスカル・モレノ他
 
予告編を観て絶対に良さそうだと思った作品。
同じくTOHOシネマズ西宮にて。
 
テキサス州に暮らすジェブ・メトカフとその妻メイベリンは、
息子リッキーがゲイであることを受け入れられず、
家を飛び出してサンフランシスコへと向かったリッキーと疎遠に。
 
ある日、リッキーの恋人ネイサンからメイベリンに連絡が。
リッキーは薬物を摂取してショー出演中に倒れ、そのまま息を引き取ったという。
 
ジェブはリッキーのことを決して認めようとしないが、
メイベリンは葬儀に参列せずにはいられない。
ひとりでサンフランシスコへやってくるが、
そこでリッキーがネイサンと共にゲイバーを経営していたことを知る。
 
リッキーの財産はすべて親族でなければ相続できない。
すべてを手放さなければならなくなったとやけっぱちのネイサンを見て、
メイベリンはしばらくサンフランシスコにとどまることに。
 
もっとゲイバーを繁盛させようとメイベリンが考えついたのは、
今まで口パクだったドラァグクイーンたちにナマ歌を歌わせることで……。
 
凡庸な物語といえなくもありません。
でも、経営の知識などゼロだったメイベリンがなんとかゲイバーを盛り上げようと考え、
徐々にドラァグクイーンたちすべての母親的存在となってゆく過程はやっぱり良い。
ネイサンやバーテンダーなどのスタッフがイケメンで目の保養にもなります(笑)。
 
父親と母親の違いは本作にも表れています。
わが子がどうであろうと受け入れる母親。
世間体を気にして息子がゲイであることを絶対に認めない父親。
逆の場合を映画では観たことがないんですけど。
実際はどうなんでしょうか。やっぱりこの通り?
 
私はこの映画が好きです。

—–

『半径1メートルの君 上を向いて歩こう』

『半径1メートルの君 上を向いて歩こう』
監督:山内大典,紙谷楓,品川ヒロシ,粗品
出演:小池徹平,じろう,白石聖,後藤淳平,般若,秋山竜次,倉科カナ,徳井義実,
   海宝直人,亜生,水川あさみ,近藤春菜,松井玲奈,山崎静代,岡村隆史,豆原一成他
 
梅田と西宮、たぶんわが家からの直線距離はさして変わらないと思うのですけれど、
西宮までは信号が多くて、新御でシュッと行ける梅田のほうが所要時間は短い。
梅田で映画を観るほうが楽やけどなぁ、でも駐車場代要るしなぁ、
先週いつも駐める有人駐車場のおっちゃんに「おっ、久しぶりやね」と言われたしなぁ、
今週も梅田へ行っとく!?などと思いながら、結局西宮へ行きました。
貯まったポイントを使って無料鑑賞、TOHOシネマズ西宮にて。
 
コロナ禍、エンタメの火を消したくないと企画されたオムニバス作品。
斉藤和義が歌うエンディング曲“上を向いて歩こう”がとても良い。
 
1つめ『真夜中』。脚本は又吉直樹
2012年に売れたものの、近頃は落ち目の芸人(じろう)と、
退社を決めたマネージャー(小池徹平)の真夜中のバーでの会話。
 
2つめ『まわりくどい二人のまわりくどい気持ちの伝え方は大胆でむしろまわりくどい』。
ミルクレープが看板商品のカフェを経営する女性(白石聖)と、
近所のアパレルショップの経営者である男性(後藤淳平)のまわりくどい恋。
脚本を担当するのは後藤の相方、福徳秀介。
 
3つめ『戦湯〜SENTO〜』。脚本と監督は品川ヒロシ
ある銭湯に初めて来た客(般若)と常連客(秋山竜次)のバトル。
 
4つめ『やさしい人』。脚本は放送作家の高須光聖。
事故に遭ってもう何年にも及んで植物人間状態の女性(倉科カナ)。
彼女が好きだった花を持って毎週見舞う男性(徳井義実)にどうしても言いたいことがあり、
それを言うまではどうしても死ねない。
 
5つめ『同度のカノン』。監督と脚本は粗品。
精神病棟に入院中の青年(海宝直人)と彼を見舞う有人(亜生)。
ちょっとした細工があり、この中では異色。
 
6つめ『バックヤードにて』。脚本は劇団ヨーロッパ企画主宰の上田誠。
『前田建設ファンタジー営業部』(2020)の脚本もこの人でした。
万引きした女(近藤春菜)とそれを見つけてバックヤードに連れてきた店員(水川あさみ)。
 
7つめ『とある家のこと』。脚本は3時のヒロインの福田麻貴。
母親を亡くした姉妹。姉(山崎静代)と妹(松井玲奈)の間で始まる喧嘩。
 
8つめ『本日は、お日柄もよく』。
脚本は『七つの会議』(2018)の脚本家、丑尾健太郎。
ある記念日、娘の父親(岡村隆史)と娘につきまとう青年(豆原一成)。
 
実はこうして8つ並べてみましたけれど、順番に自信がないんです。
1つめから4つめと8つめは確かなのですが、
5つめから7つめは順序が合っていないかもしれません。
私の記憶力ってこの程度のものなんですね。(^^;
 
断トツによかったのが8つめ。
ナイナイ岡村の演技の上手さが光っていました。
彼演じる父親と、単なる娘のストーカーと思われた青年。
その関係がわかるとき、泣いてしまいました。
 
岡村隆史の演技力に対して、静ちゃんはなんとかならんかったものか。
松井玲奈が上手いので、余計に大根ぶりが光ってしまう。
これだからこそ静ちゃんなのかもしれません。
 
倉科カナの話も結構好きだったなぁ。
 
テレビで観てもじゅうぶんと思わないことはないけれど、
いろんなタイプの話をこうして劇場で観るのは楽しいものです。

—–

『私は確信する』

『私は確信する』(原題:Une Intime Conviction)
監督:アントワーヌ・ランボー
出演:マリナ・フォイス,オリヴィエ・グルメ,ローラン・リュカ,ジャン・ベンギーギ,フランソワ・フェネール,
   フィリップ・ウシャン,インディア・エール,アルマンド・ブーランジェ,スティーヴ・ティアンチュー他
 
シネ・リーブル梅田で3本ハシゴの3本目。
 
2000年にフランスで起きた未解決事件を基にした作品。
事件自体は実際にあったことですが、
本作の登場人物の人柄等についてはフィクションだと最後にテロップで示されていました。
アントワーヌ・ランボー監督にとってはこれが長編デビュー作。
 
フランス南西部のトゥールーズに暮らすヴィギエ家は、
夫ジャックとその妻スザンヌ、息子2人と娘1人の5人家族。
ある日、スザンヌが忽然と姿を消し、
数週間後にジャックが妻殺害の容疑で逮捕される。
 
しかし、妻の遺体は発見されず、殺されたのかどうかすらわからない。
確たる証拠なく、第一審では無罪となるが、検察が控訴。
まもなく第二審が始まろうとしている。
 
シングルマザーのノラは、自分の息子の家庭教師がヴィギエ家の娘クレマンスだったことから、
ジャックの無罪を信じ、なんとか力になりたいと考える。
そこで、自ら調べ上げた記録を手に、敏腕弁護士のデュポン=モレッティに会いに行く。
多忙なデュポン=モレッティはノラの依頼を即座にはねのけるが、
ノラから強引に渡された記録を見て考えを変える。
 
ジャックの弁護を引き受けることにしたデュポン=モレッティは、
250時間にも及ぶ関係者の通話が録音されたテープをノラに委ね、
すべて聴いておかしなところがあれば教えてほしいと言い……。
 
法廷劇ではあるのですが、法廷ばかりが舞台じゃない。
こんな長時間の通話記録をひたすら聴くなんて。
ノラはレストランのシェフを務めているし、息子もまだまだ母親べったりの年頃。
仕事と育児の合間を縫ってテープを聴くことに没頭するノラですが、
次第にそれが最優先になり、仕事は手につかず、息子のこともほったらかしに。
裁判以外のこの辺りも見過ごせないシーンです。
 
それにしてもこの事件の捜査は杜撰すぎる。
何の証拠もないのに夫が犯人と決めつけ、
その決めつけのもとになっているのがスザンヌの愛人オリヴィエの話。
実物がどんなだか知らないけれど、ジャックとオリヴィエをふたり並べたら、
どう見てもジャックのほうが善人でオリヴィエは悪人でしょう(笑)。
それ以前に、不倫関係は密かにおこなわれるものでしょうに、
こんなふうに愛人が大きな態度で夫を貶める様子にお国柄の違いを思いました。
仕事さえできれば別に愛人がいたってかまわない国だというのは本当なのですね。
 
デュポン=モレッティ役には名優オリヴィエ・グルメ
ノラ役のマリナ・フォイスとの掛け合いは緊張感があって面白い。
 
結局、愛人が怪しいという話にはなったけれど、事件はいまだに解決されぬまま。
スザンヌはいったいどこへ消えたのでしょうか。
 
冤罪はどこの国にもある。冤罪を生む過程が怖い。

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『藁にもすがる獣たち』

『藁にもすがる獣たち』(英題:Beasts Clawing at Straws)
監督:キム・ヨンフン
出演:チョン・ドヨン,チョン・ウソン,ペ・ソンウ,チョン・マンシク,チン・ギョン,
   シン・ヒョンビン,チョン・ガラム,ユン・ヨジョン他
 
シネ・リーブル梅田で3本ハシゴの2本目。
 
曽根圭介の同名小説を韓国で映画化。
監督は本作が長編デビュー作となるキム・ヨンフン。
 
とても面白かったんです、原作。レビューはこちら
映画化するにはかなり難しそうな展開でしたから、
ネタバレせずにどう話を運ぶのだろうと思っていました。お見事。
 
父親から継いだ刺身店を潰してしまったジュンマン(ペ・ソンウ)は、
母親(ユン・ヨジョン)の世話をしながらサウナでバイトしている。
妻のヨンソン(チン・ギョン)も清掃のパートをしつつ母親の面倒をよく見てくれているが、
認知症の兆候がある母親は、ヨンソンに暴言を吐いてばかり。
 
ある日、サウナの客がロッカーに入れたまま取りにこなかったヴィトンのバッグを
保管庫に移そうと中身を確かめたジュンマンはビックリ。
そこには札束が詰め込まれていたのだ。
一旦は保管庫の隅に置いたものの、そのバッグのことが気になって仕方がない。
 
一方、出入国審査官のテヨン(チョン・ウソン)は、恋人のヨンヒ(チョン・ドヨン)に逃げられたばかり。
ヨンヒがヤクザのドゥマン(チョン・マンシク)から借りた多額の金を直ちに返済するはめに陥る。
ちょうどその頃、テヨンの高校の同級生が詐欺罪で告訴される。
これはカモだと考えたテヨンは、儲けた金を持ち逃げするようにその同級生をそそのかし、
逃走経路の確保を約束して自分が金を横取りすることを目論むのだが……。
 
ほかに夫から凄まじいDVを受けている主婦ミラン(シン・ヒョンビン)、
風俗店で彼女と知り合い、夫から彼女を救おうとする青年ジンテ(チョン・ガラム)、
詐欺事件を追ってソウルから出向いてきた刑事(ユン・ジェムン)、
ドゥマンの手下デメキン(ペ・ジヌン)といった登場人物がみんな強烈。
 
原作で最後までネタバレしなかったように、映画版でもネタバレすることなく、
そのときになって初めて、あぁ、そうだったのかと驚かされる。
 
この映画版では港に近い町という設定が生かされています。
血生臭いシーンも結構あるけれど、耐えがたいほどでもなく、
それ以上にストーリーが面白い。
 
映画版オリジナルのオチもイケてます。
あなたはお金を貰ってもよい人。

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『天国にちがいない 』

『天国にちがいない』(原題:It Must Be Heaven)
監督:エリア・スレイマン
出演:エリア・スレイマン,ガエル・ガルシア・ベルナル,タリク・コプティ,
   アリ・スリマン,ヴァンサン・マラヴァル,ナンシー・グラント他
 
2月23日ってなんの祝日なのでしたっけと、まだ慣れない天皇誕生日。
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの1本目。
 
フランス/カタール/ドイツ/カナダ/トルコ/パレスチナ作品。
監督はイスラエルに住むパレスチナ人、エリア・スレイマン。
お腹は中年らしくちょっと出ているけれど、端正な顔立ちでとてもお洒落。
そんなご本人が主演を務める本作は、なんとも言えずシュール。
 
イスラエルのナザレに暮らす映画監督エリア・スレイマンは、
新作映画の企画を売り込もうと世界各地を訪れます。
特にパリとニューヨークで遭遇した日常の風景にびっくり。
 
……という感じなのですけど、スレイマンが発する台詞はほとんどありません。
内心ドキドキ、唖然呆然としている様子が少し表情に表れるくらい。
 
ホテルの窓の下では若者と警官が追いかけっこ。
ひとりで歩いていると、棍棒のようなものを持った集団と出会う。
地下鉄で会ったやたらいかつい兄ちゃんに凄まれる。
噴水のまわりで繰り広げられるまるで椅子取りゲームのような光景。
タクシーに乗って、パレスチナ人だと言っただけで珍しがられ、
料金をタダにしてもらったり。
 
わが家に帰れば、隣人が勝手に庭に入り込んで(ノックはしたと言う)、
レモンをもいでいるし、でも剪定や水やりもきちんとしてくれている。
気さくに声をかけられても、なんと返事してよいのやらわからないスレイマン。
 
自国では過激な椅子取りゲームのような争いが起きているのに、
他国では追われていても追いかけていてもどこか平和。
隣人が自分の敷地にいとも簡単に入ってきて、
だけど争いなど起こらず、庭の手入れをしてくれる。
パレスチナで起きていることはこれと似たようなことなのに、
どうしてこうも違うのかと思っているのかもしれません。
 
スレイマン監督が願う平和が訪れますように。

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