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『シャドー・ディール 武器ビジネスの闇』

『シャドー・ディール 武器ビジネスの闇』(原題:Shadow World)
監督:ヨハン・グリモンプレ
第七藝術劇場にて3本ハシゴの〆は本作を。
これも前述の『地球で最も安全な場所を探して』と同じく、
少し前の2016年のアメリカ/ベルギー/デンマーク作品ですが、
本邦公開は今年が初めてのドキュメンタリー。
ドキュメンタリーだけど原作があります。
アンドルー・ファインスタインの世界的ベストセラー、
『武器ビジネス:マネーと戦争の「最前線」』がそう。
なんだかもういろいろと目が点になりました。
武器の国際取引について描かれています。
アメリカの歴代大統領やサウジアラビアの王子の映像が流れ、
戦争や武器ビジネスの著書を持つジャーナリスト、
有名各紙の記者、武器ディーラーなどに取材。
武器ディーラーの悪そうなこと。笑ってしまうぐらい。
彼曰く、政治家は高級娼婦と同じ。お金で買えるって。
また、政治家から情報を引き出すには、金と女さえあればいいとも。
武器で儲けるには戦争の勝ち負けなんて関係ない。
どこかで戦争が起こっていればいいわけで。
アメリカを後ろ盾にするイスラエルが2年ごとにイランを爆撃し、
その直後に必ず武器の見本市が開催されるって、開いた口がふさがらない。
ブッシュをはじめとするアメリカの歴代大統領、
チェイニーなどその側近、鉄の女サッチャー
みんな途轍もなくうさんくさい。
在任中にどれだけ懐が潤ったんだろうと思わずにはいられません。
こりゃいつまで経っても戦争が終わらないわけだ。
終わっちゃうと儲からなくて困る人がいっぱいいる。
儲からなくて困るって?
もうさんざん儲けたでしょ。もうじゅうぶんとちゃうんかいな。

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『地球で最も安全な場所を探して』

『地球で最も安全な場所を探して』(原題:Journey to the Safest Place on Earth)
監督:エドガー・ハーゲン
第七藝術劇場にて2本目。
感染症対策のため、映画と映画の間は30分空けられていますが、
消毒等が終わるとスタッフが声をかけてくださって入場できます。
あまり広くはないロビーのこと、密にならなくて良いですね。
2013年のスイス作品ですが、日本公開は初。
監督はスイス出身のドキュメンタリー作家、エドガー・ハーゲン。
タイトルを聞いたとき、
ただ安全に暮らせる場所を指しているのだと思っていました。
ちがった。
放射能廃棄物を安全に処分できる場所という意味でした。
ハーゲン監督は反原発の立場を取っていますが、
彼が密着取材するのは原発を推進する核物理学者チャールズ・マッコンビー。
マッコンビーは原発の必要性を説き、だからこそそれを安全に使えるように、
放射能廃棄物の最終処分問題に取り組んでいます。
でも、ない。そんな場所はない。
中国、砂漠の中。住人は4家族だけだからって、なんとかなるのか。
アメリカ、先住民が暮らす土地では、
住民が聖なる山として崇めていた山をぶち抜きます。
そこまでしたのに、安定性に欠ける岩であることがわかって断念。
反原発の国、オーストラリアにどこよりも平坦で安全な土地がある。
オーストラリアを最終処分地にしようと秘密裡に話を進めますが、
どこからか環境保護団体に漏れてしまい、大反対を食らう。
当たり前ですよね、原子力を持たない国にゴミだけ引き取ってほしいだなんて。
最終処分地となれば、この先100年の雇用は確保されて町が潤う。
そう踏んで立候補したスウェーデンの町もあります。
でも、立候補したからと言って、安全な土地かどうかはわからない。
世界で唯一、放射能廃棄物処分施設の建設に成功した町がアメリカにある。
でもそこだって周りは油田だらけで、
エネルギー省が存在する限りは施設の真下の土地が掘削されることはないが、
いずれ誰ぞが掘ろうとする可能性も否めません。
10万年以上の間、放射能廃棄物を「安全に」保管できるところはいったいどこに!?

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『サマーショール 遺言 第六章』

『サマーショール 遺言 第六章』
監督:豊田直巳,野田雅也
 
次年度に繰り越せない有休消化月間。
近場のシネコンは“エヴァンゲリオン”一色で、しかも155分の長尺だから、
それを観ると下手すると2本しか観られない。せっかく丸一日休みなのに。
少なくとも3本は観たいから、会員証を更新しがてら第七藝術劇場へ。
十三は駐車料金が安くていいですねぇ。日中の最大料金は500円也。
 
2人のフォトジャーナリストがフィルムに収める福島・飯舘村の様子。
前章は『遺言 原発さえなければ』(2014)は225分の大作。
その続編として撮られたのが本作なのだそうです。
 
2011(平成23)年3月11日に起きた東日本大震災
超巨大地震に襲われて福島では原子力発電所事故が発生しました。
あれから10年が経ち、飯舘村はどうなっているのか。
 
放射能に汚染されため、村人全員が避難することになった飯舘村。
6年後、避難指示が解除されることにはなったものの、
除染作業は継続中、本当に戻って大丈夫なのかどうかはわかりません。
 
若い人は出て行ったまま戻ってこないだろうから、
村に戻るかどうかの決断を迫られるのはそこそこの年齢の以上の人ばかり。
「放射能が効く前に俺はどうせ死ぬからいいんだぁ」と言う男性。
町場で暮らすには家賃や駐車場代がかかるから、
最低でも月20万の収入がなければ無理、帰ってくるよと言う男性。
みんな明るく笑ってそう言うけれど、寂しさが伝わってきます。
 
朝ごはんにちょっと野菜が足りんねというときは、
家のすぐ外から野生のクレソンやウルイを採ってきて食卓に並べた。
今もそれらは同じ場所で育っているのに食べられない。
 
セシウムに侵されているなんて信じたくない。なかったことにしたい。
でもこの先もここで暮らすならば真実から目を背けるわけにはいかず、
作物のセシウム含有量を定期的に調べている人もいます。
 
チェルノブイリを旅して現実をつきつけられた元酪農家の男性。
原発事故から30年経ったその地は廃墟と化した家ばかり。
夢を打ち砕かれた思いを抱きながらも、現実を見られてよかったと言います。
 
どうなろうが生まれ育った故郷。
そこから離れられずに田畑を耕し続ける人がいる。
 
タイトルの「サマーショール」とは、
チェルノブイリの原発事故で立ち入りを禁止された区域に
自らの意志で暮らす人々のこと。
飯舘村へは帰ってもよいことにはなっている。
帰郷したい思いはある、でも帰郷すべきかどうか、
本当に帰郷しても大丈夫なのか、人々は考えています。

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『シークレット・ジョブ』

『シークレット・ジョブ』(英題:Secret Job)
監督:ソン・ジェゴン
出演:アン・ジェホン,カン・ソラ,パク・ヨンギュ,キム・ソンオ,チョン・ヨビン,
   パク・ヒョックォン,ソ・ヒョヌ,チャン・スンジョ他
 
月20本以上は劇場で観ていますから、そんなに少なくはないと思うのですけれど、
それでも去年は40本観た月もあることから考えれば激減。
去年1日も休まずにブログを更新した意地で今年もそうしたいとなると、
劇場で観た作品を挙げるだけでは追いつきません。
致し方なく、DVDで観た作品についても書くことにします。
一応まだTSUTAYA DISCASの契約継続中。
 
昨夏に公開され、秋にはDVDレンタル開始となった韓国作品。
大好きだった『エクストリーム・ジョブ』(2019)の制作チームの最新作という触れ込み。
 
見習い弁護士テスが勤める大手法律事務所は、よからぬ噂でメディアを賑わし中。
事務所ビル前に詰めかけた抗議デモやその様子を撮影するマスコミから
身を挺して幹部を守ろうとしたところを買われたか、
後日、テスは役員室に呼び出され、ある大きな仕事を任せたいと言われる。
 
それは、廃業寸前の動物園“ドンサンパーク”の経営再建。
新園長に指名され、もしこの仕事を上手くこなしたあかつきには、
事務所の経営パートナーにしてやると約束される。
 
意気揚々とドンサンパークに乗り込んだテスだったが、
集客を見込める動物はすでに売り払われた後。
大半の従業員が解雇され、旧園長を含む何名かがわずかに残っているだけで……。
 
素直なテスは幹部のお眼鏡に適ったと信じていますが、
法律事務所は悪事に手を染めていて、
馬鹿っぽいテスなら何も気づかずにドンサンパークを潰すだろうと思われています。
ヌボーッとした印象のテスがそれに気づいて奮闘するところからが見物。
 
『エクストリーム・ジョブ』と比べると、そりゃもう全然。
顔ぶれが地味だし、話も地味。アクションも何もない。
でも、まるで落語の『動物園』なんですよね。そこが可笑しい。
 
客を呼べる動物がいない、新たに買う金もない。ならばどうしましょ。
従業員たちが着ぐるみを着て動物のふりをします。
信じていいのかこの人をというような職人に着ぐるみの製作を依頼し、
できあがった着ぐるみは見る方向によっては完璧。
ライオンの正面ショットとか、キリンの上半身とか(笑)。
 
ゴリラの着ぐるみを着た従業員が、誰も見ていないだろうとコーラを飲んだら、
それがバッチリ撮影されてSNSにUPされる。
はからずもそれが凄い集客になってしまって、さぁ大変。
 
落語『動物園』をご存じの方にはご覧いただきたい1本です。

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『野球少女』

『野球少女』(英題:Baseball Girl)
監督:チェ・ユンテ
出演:イ・ジュヨン,イ・ジュニョク,ヨム・ヘラン,ソン・ヨンギュ他
 
TOHOシネマズ伊丹にて、『太陽は動かない』の次に。
 
韓国では1996年の規約改定により、女性もプロ野球選手になることが可能に。
本作は実在の女性選手アン・ヒャンミをモデルとしているそうです。
彼女は1997年に韓国の高校で初めて野球部に所属したのち、
プロ野球選手となって公式戦に先発登板したとのこと。
 
高校の野球部に所属する唯一の女子チュ・スイン。
彼女は130km/hの速球を投げることができ、
中学の頃から天才野球少女として称えられてきた。
彼女の夢はプロ野球選手になること。
 
しかし、実際には女子というだけでトライアウトさえ受けられない。
パク監督は温かい目で彼女を見守っているものの、
彼が連れてきた新任コーチのチェ・ジンテは実に冷ややか。
とっととあきらめるようにスインに言い放つが、
監督から彼女の面倒を見るようにそれとなく言われ……。
 
本当はジンテ自身がプロ野球選手になりたかった。
男の自分がなれなかったのだから、こんな女子になれるわけがない。
でも、スインは指導してほしい、代わりに私がプロ野球選手になるからと言います。
 
序盤は、スインの練習の様子を観ていて納得できませんでした。
なんぼ速い球を投げるといっても130km/h。
女子だから凄いといわれるわけで、男子ならなんちゅうこともない。
練習にいそしんでいくら投げたところで、
それ以上速くなるはずもなく、肩を壊すだけでしょう。
もっと足腰鍛えるとかさぁと思っていました。
 
中盤以降、ジンテの指導を受けるようになってからは納得。
そうです、速球で勝負しようということ自体が間違い。
スインの長所はほかのところにあるはず。
 
野球好きだから、こんな野球の話が楽しいのはもちろんのことですが、
彼女の家族や友人とのやりとりがまた良い。
娘が高校の野球部に入りたいと言ったときに父親がどうしたかを知って涙。
反対に、娘の野球を許そうとしなかった母親の心が溶けるときにも涙。
スインとずっと一緒に野球をしてきた男子イ・ジョンホもすごくカッコイイ。
 
本人が「できない」と言わないのに、
周囲が「できない」と決めつけてはいけない。

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