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『サンドラの小さな家』

『サンドラの小さな家』(原題:Herself)
監督:フィリダ・ロイド
出演:クレア・ダン,ハリエット・ウォルター,コンリース・ヒル,イアン・ロイド・アンダーソン,
   ルビー・ローズ・オハラ,モリー・マキャン,キャシー・ベルトン,アニータ・ペトリー他
 
大阪ステーションシティシネマにて、日曜日の朝8:15からの回を鑑賞。
こうして早い時間から上映してくれるのは嬉しい。
 
アイルランド/イギリス作品。
舞台を中心に活躍していたアイルランド出身の女優クレア・ダンは、
シングルマザーの友人が住む場所に困っている話を聞いてこの脚本を執筆。
自分が出演する舞台の演出を担当していたフィリダ・ロイドに送ったそうです。
ロイド監督はクレア自身の出演を条件に映画化を決意。
そしてクレアの脚本&主演により出来上がったのが本作。
 
夫ガリーのDVからなんとか逃げたサンドラ。
娘のエマとモリーと共に保護され、しばらくホテルで仮住まいすることに。
あてがわれたホテルは職場から遠く、ガソリン代もバカにならない。
公営住宅は長い順番待ちで、いつ入れることやらわからず。
 
そんなある日、元気のないサンドラにエマが聴かせてくれたお伽話。
自分で家を建てるという話に触発され、
もしやこれはお伽話などではなく実現可能なのではと考える。
ネットで調べてみると、そう難しいことには思えなかったのだが……。
 
家を建てるには土地が必要。
市が放置している更地に家を建てさせてほしいと直談判しますが、
まったく相手にしてくれない。
サンドラに手を差し伸べるのは、彼女が清掃に訪れる家の女主人ペギー。
とっつきにくいと思っていたペギーが実に温かい人。
裏庭に家を建てればいい、必要な金も払うと言ってくれます。
 
今までたったひとりで暴力亭主に立ち向かい、
娘たちを守ろうとしてきたサンドラは、ペギーの言葉に甘え、
家を建てるための知識を与えてくれる人を探し、
週末に家を建てるのに手を貸してくれる人も探します。
親しくもない彼女を誰が無償で助けるもんかと思うけれど、
そういう人が多少なりとも現れる。
 
ガリーがいつやってくるかと怯えるサンドラは、
時に情緒不安定になり、人に当たったりワガママを言ったりする。
でもみんな彼女の気持ちをちゃんとわかってくれるんだなぁ。
 
夫が暴力を振るうのは妻にだけ。娘たちには優しい。
長女のエマはパパのことも大好きですが、
ママが殴られるところを見てしまった次女モリーはパパのことが怖くて仕方ない。
パパには会いたくないと泣くモリーを守るため、
面会の約束を何度か破ったサンドラをガリーは訴えます。
 
親権を争う裁判の理不尽さ。
裁判官に「もっとマシなことを聴けば?」と憤るサンドラの気持ち、
まったくその通りだと思います。
養育費をちゃんと払っている夫だから大丈夫だとでも?
 
ずっと黙っているだけだったガリーの母親の言葉も重い。
父親が母親を殴るのを見て育った息子は、
妻は夫から殴られるものだと思ってしまうのかもしれません。
 
簡単には幸せになれないけれど、いつかきっと。

—–

『愛の旋律』

『愛の旋律』(英題:Rosebud)
監督:チョ・ソクヒョン
出演:ユ・ホジョン,パク・ソンウン,オ・ジョンセ,チェ・スビン,
   ハ・ヨンス,イ・ウォングン,チェ・ウシク他
初めての緊急事態宣言が発令された昨春。
4月初めにこの作品を観たのを最後にどこの劇場も休業に入りました。
そりゃもう悲しくて寂しくて、以後はなかば意地でネット配信の映画を観まくり、
休業明けには劇場で映画を観まくり、
おかげで一日たりとも休むことなくブログを更新できましたが、
今年はダンナがリモートワークでほぼ毎日家におるから、終業後の劇場通いができません(笑)。
一昨日まではなんとか毎日更新してきたものの、このままではネタが尽きる。
ええい、意地で更新するのは止めてしまえ。ということで昨日休んでみた。
今後は意地を張る必要もなくなったので、更新頻度をちょっと落とします。
 
さて、で、2016年の韓国作品をDVDレンタルにて。
日本では劇場未公開だった作品です。
この邦題はまちがいなく韓流大ヒットドラマ『愛の不時着』に乗っかったのでしょう。
と思ったら、『愛の不時着』に出演しているパク・ソンウンも出ているのか。
『愛の不時着』を飲み友だちのお姉さんに借りたまま、
まだ第1話の冒頭しか観ていないので、パク・ソンウンの役どころを知りません。
 
主演は『サニー 永遠の仲間たち』(2011)の主演女優ユ・ホジョン。
これは『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018)として日本でもリメイクされましたが、
韓国のオリジナルのほうが百倍ぐらいよかった。
ほかにもなんかわりと有名な俳優が出演しているようです。知らんけど。
 
1970年代なかば。
昼間は町工場、夜はライブ喫茶“ルノアール”でウェイトレスとして働くローズ。
ある晩、ライブ予定のバンドが来ず、客が文句を言い始めて暴動が起きる寸前。
店長から「なんとかしろ」と言われたローズが舞台に上がって歌ったところ、大盛り上がり。
ちょうど来店中だったレコード会社の女社長の目に留まり、スカウトされる。
 
同じ夜、来店していたソウル大学医学部の学生ミョンファンはローズに一目惚れ。
思わずローズに声をかけ、デートに誘う。
交際を始めたふたりは毎日幸せで楽しくてたまらない。
 
しかし、ミョンファンの父親はこの交際に大反対。
ハーバード大学への留学を息子に強いる。
ローズに相談するつもりで会いに行ったミョンファンだったが、
彼女がチームを組む男性と一緒に歌を練習するのを見て嫉妬し、
そのままアメリカへと旅立ってしまう。
 
歌手デビューも夢ではなくなったというのに、ローズは妊娠。
シングルマザーとして娘ヒョナを育てるのだが……。
 
韓国も日本もおそらく1970年代は似ているのでしょう。
こんな化粧をして、こんな服を着て、音楽のかかるお店にたむろする。
ノスタルジックな雰囲気がなんともいえず楽しい。
 
ローズとミョンファンが偶然再会したのち、
ミョンファンはすぐにヒョナが自分の娘であることを知ります。
可愛らしい顔立ちのミョンファンが中年になったらパク・ソンウンの顔というのは
なんだか納得がいきませんが(笑)、
わりと悪役のイメージがあるパク・ソンウンがこんな温かみのある役とは。
 
ミョンファンに手を差し伸べられても固持し、
自分ひとりでヒョナを育てることにこだわるローズは、
友人から誘われてそうとは知らずにマルチ商法でモノを売ってしまう。
客から「安全なのか」と尋ねられて、
「国が破産しないかぎり大丈夫です。国が破産なんてするわけがない」と
マニュアルで用意されたとおりに答えるけれど、国家が破産する日が来ます。
 
自分が叶えられなかった夢を娘も追っていると知り、
ヒョナをミョンファンに託すことにしたローズ。切ないです。
 
切ないんですけれど、製作当時に日本で劇場公開が見送られたのも納得。
涙が止まらないなんてこともない。
はぁ、この程度ですかという出来具合。
 
『愛の不時着』が大ヒットしたせいで慌ててDVD化したのか、日本語字幕も雑。
「子どもを堕ろす」と書くべきところ「子どもを降ろす」になっているし、
「浴びれた」などほぼすべてら抜き
「している」が「しいてる」になっていた箇所もありました。
なんぼ急いでいたとはいえ、もう少し丁寧にお願いしたいものです。
 
ちなみに、パク・ソンウンの『愛の不時着』での役どころは、
名もなきタクシー運転手だと、同僚に教えてもらいました。
私も早く観なくちゃ、『愛の不時着』!

—–

『ノマドランド』

『ノマドランド』(原題:Nomadland)
監督:クロエ・ジャオ
出演:フランシス・マクドーマンド,デヴィッド・ストラザーン,リンダ・メイ他
 
TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『映画 モンスターハンター』とハシゴ。
 
原作はジェシカ・ブルーダーの『ノマド:漂流する高齢労働者たち』。
世界的ベストセラーとなったノンフィクション。
監督はアメリカ在住の中国人監督クロエ・ジャオ。
このところ、在米アジア系監督の活躍がめざましい。
彼女自身が原作を読んで衝撃を受け、映画化権を購入したのだそうです。
 
リーマンショックを受けて存続が立ちゆかなくなった町エンパイア。
愛する夫を喪った後も独りこの町で暮らしていたファーンは、
家を手放してノマド(遊牧民)生活を始める決意をします。
 
ノマドとは、キャンピングカーで全米を移動しながら季節労働の現場を渡り歩く人々のこと。
こんな生活を送っている人々の存在をまったく知らなかったので、驚きました。
 
季節労働と言っても、農作物の収穫というわけではありません。
Amazonの倉庫での梱包や国立公園の清掃などなど。
キャンピングカーの駐車スペースがちゃんと確保されていて、
その駐車料金はAmazon等の雇い主が払ってくれるのですね。へ~っ。
 
同じような生活を送っている人が多いから、
次の季節労働に行けばまた会うこともしょっちゅう。
次の仕事が決まっていない人には「あるよ~」と紹介したり。
 
ホームレスじゃなくてハウスレス。
皆お金持ちではないけれど、車の維持費を払えるのだから、
そんなに困窮しているようには見えません。
家を持たないことをわざわざ選んで生きているような感じ。
 
ノンフィクションの映画化で、大自然の中の話だから、
私は時折眠たくなってしまいました。←毎度のこと。(^^;
でも、こんな生活もありだなとは思う。

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『映画 モンスターハンター』

『映画 モンスターハンター』(原題:Monster Hunter)
監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ,トニー・ジャー,ティップ・“T. I.”・ハリス,山崎紘菜,ロン・パールマン他
 
もっと観たい映画はいっぱいあったのに、雨の日曜日、
大阪市内の劇場まで行く気になれず。
車でシュッと行けるTOHOシネマズ伊丹で2本ハシゴ。
 
1人は佳作の多い監督、もう1人は駄作の多い監督。
そして本作の監督は後者のほうです(笑)。
でもいいんじゃないでしょうかねぇ、こんな娯楽に徹した作品ばかりなのも。
開き直りみたいなものが感じられて、むしろ潔い。
 
始まりのシーンは、砂漠に雷が轟き、砂上を走っていた船を衝撃が襲います。
その船に乗っていたのは、ロン・パールマン山崎紘菜トニー・ジャー
砂の中からモンスターが出てきて、乗員を次々と惨殺。
トニーは船から投げ出され、そこで映像が切り替わる。
 
次に登場するのがミラ・ジョヴォヴィッチ率いる特殊部隊。
突然消息を絶った別チームの隊員たちを探していると、激しい砂嵐に見舞われます。
嵐が去ったかと思うと、そこは未知なる世界。
やはり砂の中から出てくるモンスターから逃げ惑ううち、隊員たちは皆死亡。
残るはミラのみ。
 
で、ミラとトニーが出会ってタッグを組み、モンスターと戦いつつ、
雷を発信している謎の塔を目指して突き進みます。
 
二人劇かと思うぐらい、終盤までずっとミラとトニーとCGのモンスターしか出てこない。
最初は敵か味方かわからずに投げ合い蹴り合いをするふたりの格闘が楽しい。
何しろ彼ってタイの至宝でしょ!? 私が勝手にそう思っているだけ?
言葉の通じないふたりがジェスチャーでコミュニケーションを取り合う姿に笑いました。
 
ロンと山崎紘菜は最初のあれだけで死んでもうたんかい。
と思っていたらそうじゃなかった。
私たちが住んでいる世界とロンたちが住んでいる世界、ふたつの世界が存在したんですねぇ。
 
元のゲームをまったく知らないから、ゲームファンの反応は知らないけれど、
こんな映画を小さな画面で観たってしゃあないし、大画面で観られて楽しかったです。

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『騙し絵の牙』

『騙し絵の牙』
監督:吉田大八
出演:大泉洋,松岡茉優,宮沢氷魚,池田エライザ,斎藤工,中村倫也,佐野史郎,
   リリー・フランキー,塚本晋也,國村隼,木村佳乃,小林聡美,佐藤浩市他
 
109シネマズ箕面にて。
 
当初の公開予定は昨年6月でした。
予告編をさんざん見せられて楽しみにしていたのに、
コロナのせいで延期され、このたびようやく。
 
原作は塩田武士の同名小説。読了時のレビューはこちら
主人公を大泉洋と想定して書かれた本。
そう聞いていたから、大泉洋の顔がちらついて仕方ありませんでした。
 
ところが吉田大八監督によるこの映画版はだいぶ違う。
映画化のために原作をいったんバラバラにして脚本を書き上げたのだとか。
大泉洋以外に主演がオファーされることはなかったけれど(笑)、
えーっ、原作とオチが全然ちゃうやんとたまげました。
 
大手出版社の薫風社の社長である伊庭が急逝する。
社長の息子・惟高(中村倫也)は修行の名目でアメリカへ。
惟高の後見人的存在の常務・宮藤(佐野史郎)と、
他社を渡り歩いてきた専務・東松(佐藤浩市)の間で権力争いが勃発。
とりあえずは東松が社長に就任する。
 
薫風社の看板雑誌は、江波(木村佳乃)が編集長を務める“小説薫風”。
一方、カルチャー雑誌“トリニティ”の編集長・速水(大泉洋)は、
強引な改革を進める東松にトリニティの売り上げ激増を約束。
小説薫風にいた編集者・高野(松岡茉優)をトリニティに引き入れると、
これまでとはまったく異なる目玉企画を次々と打ち出すのだが……。
 
やっぱり紙の本がいいでしょ、と思っていたら……というのが原作でした。
最後にほくそ笑む大泉洋を当て書きされた速水。
映画版もてっきりそうなるのだと思っていたら、あれまぁ。
 
高野が推す新人作家に宮沢氷魚
高野の実家は町の小さな書店で、その店主である父親役に塚本晋也
速水がその才能を認めて書くことを勧めるモデルに池田エライザ
偉そうな作家大先生に國村隼。謎のオッサンにリリー・フランキー
東松にくっついて画策するなんだかよくわからん立場の男に斎藤工
文芸評論家役の小林聡美が異色の存在で面白い。
 
監督の人脈を駆使しましたみたいな豪華キャストだし、
話も決してつまらないわけではありません。
文芸誌主催の文学賞の裏側も見せてもらったし、いろいろと興味は惹かれます。
しかし原作とちがいすぎていてなんだか腑に落ちません。
 
最後に笑うのは、本についていちばん真面目に考えていた人ということなのかも。
このオチを観れば、まだまだ本はこれから。

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