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『緑の牢獄』

『緑の牢獄』(原題:Green Jail)
監督:黄インイク
 
ほかに開いている劇場がないんですもの、行きますよね、十三
ナナゲイは阪急電車で行くのも便利ですが、
休日のガラガラの新御を通れば30分かからないうえに、駐車場が安い。
日中の最大料金が500円だから、電車で行くより安いんです。
そんなわけで、第七藝術劇場にて。
 
日本/台湾/フランスのドキュメンタリー作品。
 
台湾出身で沖縄在住の黄インイク監督。
『海の彼方』(2016)に続き、越境者たちの歴史に焦点を当てています。
 
橋間良子さん、90歳。
10歳のとき、父親に連れられて植民地時代の台湾から西表島に移住。
以来、ひとりになってもずっとこの島に住み続けています。
 
炭鉱に出稼ぎにやって来た父親。
そんな台湾人が少なくはなかったけれど、学校に行けば日本人からいじめられる。
台湾には親日家が多いという認識があったため、この事実がもう辛い。
どこかでいい話が出て来ますようにと願っていたのに、
日本に来てよかったと思えることなんてひとつも出て来ません。
 
優秀だったはずの長男は注射を受けた後にポリオになった。
炭鉱で働く台湾人はモルヒネの虜になり、一旦故郷へ帰ることがあっても、
台湾ではモルヒネが手に入らないからまた日本に戻って来る。
幸せだった頃なんて、まったくなかったのではないでしょうか。
 
沖縄。青い空が広がり、濃い緑に包まれた島でしょうに。
確かに美しい緑あふれるけれど、それはまさに緑の牢獄。
出て行く機会はあったはずなのに出ていかなった良子さん。
その気持ちは観終わった今もわかりません。
ひたすら悲しい。

—–

『ベター・ウォッチ・アウト クリスマスの侵略者』

『ベター・ウォッチ・アウト クリスマスの侵略者』(原題:Better Watch Out)
監督:クリス・ペッコーヴァー
出演:オリヴィア・デヨング,リーヴァイ・ミラー,エド・オクセンボールド,アレックス・ミキッチ,
   デイカー・モンゴメリー,パトリック・ウォーバートン,ヴァージニア・マドセン他
 
2016年のオーストラリア/アメリカ作品。
「ツイストの利いた展開でホラーファンの評判を呼んだ」そうです。
昨年末にシネマート心斎橋で上映されていたとき、
面白そうだと思ったものの、時間が合わずに見送り。
DVD化されたのでレンタルしました。
 
腸が煮えくり返りそうなほど不愉快な作品って、そうそうありません。
つまらない訳じゃない、どちらかといえば面白い。でも嫌い、大嫌い。
ここまで嫌いな作品を観たのは久しぶり。
これをホラーファンが好きだというなら、私はやっぱりホラーが嫌いだ。
どこがコメディやねん。まったく笑えん。
 
12歳の少年ルークは、彼自身のベビーシッターで5歳上のアシュリーに片想い。
どうにか彼女を落とせないものかと、親友ギャレットと策を練る。
 
クリスマス休暇中のある晩、ルークの両親は外出。
今こそアシュリーと甘いひとときを過ごすチャンスだと思うが、
アシュリーは彼氏と電話ばかりで、ルークを相手にしない。
 
ふと玄関のチャイムが鳴り、頼んだ覚えのないピザが届く
不思議に思っていると、家の周辺に怪しい人影を感じ……。
 
あまりに腹が立っているのでネタバレ全開です。
 
最初の30分間で飛び上がりそうなほど驚いた瞬間が2度ほど。
面白いやんかと笑いつつ観ていたのですけれど。
 
怪しい人影の主はギャレットでした。
強盗に扮したギャレットがアシュリーに襲いかかり、
ルークが撃退してアシュリーに惚れさせるという幼稚な発想。
それにしては恐ろしすぎる強盗の手口。
 
アシュリーに見破られて叱責され、おしまいかと思いきや、
そこから血なまぐさい惨劇が始まります。
 
キレたルークはアシュリーを殴打して階段から突き落とす。
目覚めたアシュリーは椅子に縛り付けられています。
そのうちアシュリーの今彼元彼もルークの罠にはまって呼び寄せられ、
ふたりともえげつない殺され方をするのでした。
ルーク曰く、「ペンキ缶で人が殺せるかどうかの実験」。
 
途中、これはあまりにやりすぎだと思い始めたギャレット。
アシュリーを助けようとしてルークに撃ち殺されます。
普通殺しますかね、親友を。
 
小賢しいルークは、アシュリーと今彼元彼の三角関係の果てに見せかけ、
両親が帰ってくる頃にはベッドで寝たふり。
 
とにかくすべてが嫌いです。胸クソ悪い。
ラストは、喉を掻き切られたはずのアシュリーが生きていて、
救急車に乗せられるときに窓辺のルークに向かって中指を立てる。
おおっ、このオチだけはええなと思っていたら、エンドロール途中でまた奈落の底へ(笑)。
「ママ、アシュリーのことが心配だからお見舞いに行こう」。
 
どれもこれも、マザコン少年がママの愛を取り戻したいがためにしたこと。
ものすごく気味が悪い。
 
おまえが死んどけ!と思ってしまった私です。(^^;

—–

『フローズン・ストーム』

『フローズン・ストーム』(原題:Centigrade)
監督:ブレンダン・ウォルシュ
出演:ジェネシス・ロドリゲス,ヴィンセント・ピアッツァ
 
2020年のアメリカ作品をTSUTAYA DISCASにてレンタル。
「悪天候の中で何か起きるやつ」をまた借りてしまいましたよ(笑)。
絶対素通りできない私です。きっとB級もしくはそれ以下でしょうが。
 
原題は“Centigrade”、つまり「摂氏℃」。
これじゃ意味わからんから 『フローズン・ストーム』にしたのでしょうけれど、
これまた内容とおよそ合っているとは思えません。
確かに一面雪です。凍ってます。でも、なんかちゃうねん。
 
暗闇で女性が目を覚ますシーンから始まります。
何が起きているのかわからないオープニングはなかなか好みではある。
少しずつわかってくる状況はこんな感じ。
 
アメリカ人のマットとナオミ夫婦。
作家であるナオミのサイン会がノルウェーで催され、
ふたりして車で赴いたその帰り道、荒天に遭う。
視界が悪い中で運転するのは危険だと、少し休むことにするが、
思いのほかふたりともぐっすりと眠ってしまったらしい。
 
朝になり、先に目覚めたナオミがドアを開けようとするも開かない。
慌ててマットを起こすが、やはりドアは開かない。
眠っている間に雪が降り積もり、車内に閉じ込められたのだと気づく。
 
ここから1カ月近くに渡る車内生活が描かれます。
時折映し出される車外の俯瞰図に、
車がどこにあるか確認できないほど雪に埋もれていることがわかる。
あとは約90分間、ほかに登場人物もなく、なんと安上がりな作品。
 
ジャケットの惹き文句には「なぜ車内に閉じ込められたのか」とあるけれど、
んなもん、謎でもなんでもない(笑)。
冬のノルウェーの荒野で爆睡してしまったからにほかなりません。
ドアも窓も開かず、行き交う車もない道。なんでこんなところで寝ちゃったの。
 
携帯も使えないんですけれど、1週間ほど経過したときにナオミの父親から電話が入る。
でもナオミが「車から出られないの」と泣き叫ぶうちにバッテリー切れ。
横から「ホテルから80km走ったところだ」というマットの声は届かず、
マットは「最後のチャンスだったのに、どうして俺に電話を替わらなかったんだ」とぶちギレ。
 
ナオミが抗うつ剤を飲んでいたことや、
マットが仕事をクビになったのを黙っていたことなどが判明し、
埋もれた車中でふたりが罵詈雑言を浴びせ合う展開に。
 
さらにすごいのは、妊娠中のナオミが産気づいて出産。
ある意味、『ターコイズの空の下で』の出産シーンより衝撃的です。
 
ついでにこの後どうなるかまで書いちゃいますと、
無事に出産、生きるんだという想いを込めて赤ん坊にリヴと名付ける。
しかしマットはなんと数日後に死亡。
リヴを抱えたナオミはなんとか生き延びて、
太陽が照って雪が少しだけ解け始めた頃、車外へ脱出に成功。
外へ出てはみたものの、見渡すかぎり雪原で、
どないするつもりやねんと思ったら、遠くに建物が見えてニッコリ。
というオチになっております。
 
「絶体絶命の密室パニックスリラー」ってか。う~む。
『[リミット]』(2010)なんかには遠く及ばない。
 
で、実際の出来事に着想を得た作品とのことですけれど、どこまでが実話なんですか。
かなり実話に近いのならばそれは怖い。

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『FUNNY BUNNY』

『FUNNY BUNNY』
監督:飯塚健
出演:中川大志,岡山天音,関めぐみ,森田想,レイニ,ゆうたろう,
   田中俊介,佐野弘樹,山中聡,落合モトキ,角田晃広,菅原大吉他
 
アップリンク京都で3本ハシゴの3本目。
 
シアターセブンでも上映中だから、京都で観ることもないかと思ったものの、
晩ごはん前にちょうどいいのはこれだったから。
おバカなコメディだろうと思っていたのに、想定外のヘヴィーさ。
1本目と逆の順で観てもよかったかなと序盤は後悔しました。
観終わってみれば、やっぱりこれを〆にしてよかったと思います。
 
飯塚健監督によるオリジナル脚本で、自ら演出も手がけた舞台劇の映画化。
 
ウサギの着ぐるみをかぶり、閉館直前の図書館に押し入ったのは、
小説家の剣持聡(中川大志)と相棒の漆原聡(岡山天音)。
司書の服部茜(関めぐみ)と新見晴(レイニ)を縛り上げ、
剣持と漆原が探し始めたのは「絶対に借りられない本」らしい。
 
服部と新見以外に図書館には誰もいないはずが、
退館し遅れた客の遠藤葵(森田想)が事態を目撃して息を潜めており、
剣持と漆原が油断した隙に服部と新見を助ける。
形勢はあっけなく逆転し、通報しようとした服部は、
「絶対に借りられない本」とは何なのかが気になり、剣持と漆原に問いただす。
 
剣持に引きずられてここへ来ただけの漆原こそ事情を知りたい。
理由次第で本探しに協力してもよいと言われた剣持の話は……。
 
ネタバレです。
 
剣持は高校時代に親友を失っていました。
その親友は、剣持の知らないところで凄絶ないじめを受け、
やられ放題はもう嫌だと反撃のために体を鍛え始めた折、
逆にそれがあだとなって死に至ったのでした。
親友があるものを図書館に隠したことに気づいた剣持が、
親友を殺した相手に復讐すべく、そのあるものを探しに来たというわけ。
 
これはほんの序盤で、話は一気に4年後へと飛びます。
あのとき復讐の念に駆られていた剣持は、
捨て身でそれを止めようとする漆原と図書館に居合せた3人のおかげで、
暴走には至りませんでした。
以降、ずっと続いていた5人の交流。
 
ここに新たな問題が発生。
剣持は自殺しようとしていた菊池広重(落合モトキ)を助けます。
この落合が、偶然にも服部の元彼の友人で、
しかも服部の元彼はずいぶん前に事故死している。
それでも服部は力強く生きているというのに、
元彼と同じバンドで活動していた落合は絶望して死にたいと思っている。
心の中は悲しみでいっぱいなのに気丈な服部の姿が凛々しい。
 
短時間で剣持の信奉者になるタクシー運転手役の菅原大吉や、
隔日で24時間営業、へんてこな中華料理屋の店主役の角田晃広がとっても○。
中華料理のみならず、美味しいコーヒーも淹れてくれるこんな店、
あったら行ってみたくないですか。
 
「忘れるという前進はあるけど、あきらめるという前進はない」。
剣持のその言葉は、真実かもしれないと思いました。

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『パーム・スプリングス』

『パーム・スプリングス』(原題:Palm Springs)
監督:マックス・バーバコウ
出演:アンディ・サムバーグ,クリスティン・ミリオティ,ピーター・ギャラガー,J・K・シモンズ,
   メレディス・ハグナー,カミラ・メンデス,タイラー・ホークリン他
 
初見参のアップリンク京都で3本ハシゴの2本目。
バカっぽいのに知的な匂いもするアメリカ作品。
 
カリフォルニア州南東部リバーサイド郡に位置するパームスプリングス。
2019年11月9日、この砂漠のリゾート地で結婚式がおこなわれる。
 
新郎はエイブ、新婦はタラ。
参列しているナイルズは、タラの友人ミスティの恋人だが、
タラの姉サラと意気投合し、ふたりで披露宴を抜ける。
 
ふたりでイチャイチャしていたところ、ボーガンの矢が飛んできてナイルズを直撃。
ボーガンを撃ち放ったのはロイという中年男性らしく、
ロイの姿を見るや駆け出したナイルズをサラは追いかける。すると奇妙な洞窟に到着。
ナイルズが「来るな」と叫ぶのを無視して飛び込むと、閃光に包まれる。
 
翌朝目覚めたサラは、今日も11月9日であることに気づいて呆然。
プールでくつろぐナイルズを見つけて問いただすと、
洞窟で閃光に包まれてタイムループにはまったのだと教えられる。
 
ナイルズはすでにずっと前からこのタイムループの中にいて、
11月9日を何千回と繰り返しているという。
ロイもナイルズのせいでそうなったことを恨みに思っており、
復讐したい気持ちから隙あらばナイルズを殺しに来るらしい。
どう殺されようが、ナイルズは翌朝また11月9日に目覚めるのだが。
 
最初は憤るサラだったが、ナイルズと毎日11月9日を過ごすうち楽しくなり……。
 
めちゃくちゃ面白かった『ハッピー・デス・デイ』(2017)と
その続編『ハッピー・デス・デイ 2U』(2019)を思い出す、これも佳作。
 
今日何をしようが明日はまた同じ日がやってくる。
好き放題しても明日会う人はそのことを知らない。
そんな状況でハメをはずしまくりのナイルズとサラが楽しい。
 
しかし、ふたりでそんな日を過ごすうち、サラはやっぱり元に戻りたくなります。
ナイルズのことが好き、元に戻っても一緒に居たい。
でもこのまま同じ日を過ごし続けるのは嫌。
一方のナイルズは、もう戻れなくてもいいやと思っています。
うだうだ言うナイルズを見限り、ひとりで戻る決意をしたサラは、
同じ日が続くのを利用してひたすら勉強する。めちゃくちゃ賢い。
 
『相対性理論を楽しむ本』を読んだばかりだったのでタイムリーでした。
いや、やっぱりその仕組みはさっぱりわからないのですけれど。
 
良い日であれば一生その日でもいいかもしれない。
でも終わりが来なくて永遠に生き続けるのはどうなんでしょうね。
明日は明日、今日は一日しかないとわかっているからこそ、今日を大事にしたい。

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