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『35年目のラブレター』

『35年目のラブレター』
監督:塚本連平
出演:笑福亭鶴瓶,原田知世,重岡大毅,上白石萌音,徳永えり,ぎぃ子,辻本祐樹,
   本多力,江口のりこ,瀬戸琴楓,白鳥晴都,くわばたりえ,笹野高史,安田顕他
 
シアタス心斎橋にて、前述の『ウィキッド ふたりの魔女』の次に。
 
実話を基に『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(2008)や『今日も嫌がらせ弁当』(2018)の塚本連平監督が映画化。
 
西畑保は訳あって小学校低学年のときから学校に通えず、読み書きができない。
そのせいで仕事に就くのが難しかった保(重岡大毅)を受け入れてくれたのは鮨屋の大将(笹野高史)。
読み書きができずとも真面目に働く保に大将は目をかけ、一人前の職人に育て上げる。
 
大将がお得意さんから保への見合い話を持ち込まれ、保が会ったのが皎子(上白石萌音)。
ふたりは恋に落ちるが、保は読み書きができないことを打ち明けられないまま結婚。
半年後、ついにそのことが露見して保は別れを覚悟。しかし皎子は保の手となって支えることを選ぶ。
 
以後、長女(徳永えり)と次女(ぎぃ子)に恵まれ、今は孫もいる保(笑福亭鶴瓶)と皎子(原田知世)。
大将が亡くなってから鮨屋を守りつづけ、定年を迎える。
そのまま勤めることもできたが、ふと夜間学校を知り、退職して勉強することに決めるのだが……。
 
目標は妻にラブレターを書くこと。
この内容で悪い話にはなりようもなく、ほのぼの温かい感情に包まれながらの鑑賞。
中井くん騒ぎでCM出演をカットされたらしい鶴瓶ではありますが、そんなのは無視して観たい。
妻役の原田知世が同性として憧れる歳の取り方。綺麗、可愛い。そういえばが好きでした(笑)。
 
夜間学校の教師には安田顕。彼も良い味を出しています。
癖の強い役も多いけれど、こんな温かみのある教師役も似合っていますよねぇ。
皎子の姉役の江口のりこや西畑夫妻のご近所のおばちゃん役のくわばたりえも有効。
 
あれこれ言わずに優しく素直な気持ちで観るべき作品。

—–

『ウィキッド ふたりの魔女』

『ウィキッド ふたりの魔女』(原題:Wicked)
監督:ジョン・M・チュウ
出演:シンシア・エリヴォ,アリアナ・グランデ,ジョナサン・ベイリー,イーサン・スレイター,ボーウェン・ヤン,
   ブロンウィン・ジェームズ,キアラ・セトル,ミシェル・ヨー,ジェフ・ゴールドブラム他
声の出演:ピーター・ディンクレイジ
 
封切り日翌日、シアタス心斎橋にて字幕版を鑑賞しました。
 
アメリカの児童文学作家ライマン・フランク・ボームが1900年に著した『オズの魔法使い』は、
もともとはライマンが手作りして自分の姉妹に贈ったものなのだそうです。
と言っても、すでに『マザー・グースの物語』をヒットさせていたライマンですから、
手作りの本だからってそれで終わるわけもなく、すぐに出版された様子。
ライマンの友人ウィリアム・ウォレス・デンスロウによるカラーの挿絵が当時は革新的で、すぐに大人気を博す。
 
その後、世界中で翻訳され、映画化された『オズの魔法使』(1939)も大ヒット。注) 映画版のタイトルは「い」を送らない。
主演したジュディ・ガーランドは時の人となったせいで、波乱の人生を送る。
昨年公開された『ツイスターズ』(2024)にも『オズの魔法使い』へのオマージュが込められていました。
 
そして本作は、『オズの魔法使い』に登場する魔女ふたりを描いた、いわばスピンオフです。
西の悪い魔女エルファバと南の良い魔女グリンダはどのように生まれ、どんな関係があったのか。
監督は『クレイジー・リッチ!』(2018)や『イン・ザ・ハイツ』(2020)のジョン・M・チュウ。
エルファバをシンシア・エリヴォ、グリンダをアリアナ・グランデが演じています。
全2部作の第1部なんですが、子ども向け作品かと思ったら161分の長尺。げげーっ。
 
魔法と幻想の国オズのマンチキンランド。
母親が父親スロップ総督の留守中に浮気してできた娘エルファバは生まれながらに全身緑色。
スロップはエルファバを忌み嫌い、乳母のダルシーベア(喋るクマ)に世話を任せる。
母親はエルファバの妹であるネッサローズを出産したさいに死亡。
ネッサローズを溺愛するスロップだったが、ネッサローズは車椅子生活を送る身に。
 
ネッサローズがシズ大学に入学した日、付き添いとして同行したエルファバ。
緑色の彼女を見て怯えたり嘲笑したりする学生らにエルファバが怒りをたぎらせた瞬間、まわりの物が空中へと舞い、ガラスが割れる。
その様子を見た魔法学部の学部長モリブルはエルファバの力を見抜き、魔法学部に迎え入れると決める。
寮のスイートルームを個室利用する予定だったお嬢様グリンダは、モリブルからエルファバと部屋を分けるように言われて憮然。
 
お金持ちで、育ちが良くて、明るく可愛いグリンダは皆の憧れの的。
一方のエルファバは、暗くて真面目で不気味だから、誰も近寄ろうとしない。
しかし、動物教師(喋るヤギ)のディラモンドはエルファバに目をかけ、また、モリブルはエルファバの力を引き出すべく指導に熱心。
そんななか、動物教師を排斥することが決まり、エルファバは激しく反対するのだが……。
 
素人にも玄人にも大人気、評価は高いようで。
確かに映像も歌声も素晴らしく、大画面で観る醍醐味はじゅうぶんに味わえますが、私はこの話自体は嫌いです。
悪い魔女と良い魔女の間の感動秘話、友情の物語みたいな触れ込みだけど、どこがそうなの?
 
みんなからちやほやされるグリンダはいじめっ子気質バリバリでしょ。
エルファバを見下していたのに、モリブルが彼女のことを褒めると対抗意識まる出し。
イケメンが現れると自分の運命の人と決めつけて駆け寄ります。
自分に気のある男子生徒には近寄ってほしくないから、「あの車椅子の哀れな女子に声をかけてあげたら?
そうしたら私はあなたのことを好きになるかも」とか平気で言うような奴。
どこが親友やねんと最初から最後までずーっと嫌でした。
まわりの人間もみんなグリンダのおこないを「優しい」とか賞賛するような奴ばっかりだし。
 
第2部が急に短くなるとも思えないから、きっとまた3時間ぐらいの長尺でしょ。
こんなにイライラさせられる作品に次も耐えられるか心配です。(^^;

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『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(原題:A Complete Unknown)
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ティモシー・シャラメ,エドワード・ノートン,エル・ファニング,モニカ・バルバロ,
   ボイド・ホルブルック,ダン・フォグラー,ノーバート・レオ・バッツ,スクート・マクネイリー他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
世代が若干違うということもあるかと思いますが、私はボブ・ディランに興味がありません。
どうやら私はメッセージ性の強い歌というのか、メッセージの圧が強い歌い方が苦手なようです。
だから本作も同週に公開された作品の中では優先度が低く。
でも、ボブ・ディラン役にティモシー・シャラメを起用するってどうなんだと思う。
気になって観てみたら、なんだかハマっているじゃあないか。
 
1941年生まれのボブ・ディランはもうじき84歳。本作は彼の半生を描く音楽伝記ドラマ。
ティモシー・シャラメは第97回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされました。
同賞には『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディもノミネートされ、受賞したのはブロディ。
どちらも素晴らしかったけど、うん、やっぱりブロディの受賞は当然かなぁ。
ちなみに、作品賞、監督賞、主演女優賞をさらったのは『ANORA アノーラ』です。
 
という余談はさておき。
 
1961年のアメリカ。
敬愛するフォーク歌手のウディ・ガスリーが入院したという新聞記事を見た青年ボブ・ディランは、
ウディに捧げる歌を作ってミネソタからニューヨークへやってくる。
病院にはウディを見舞うやはりフォーク歌手のピート・シーガーの姿があり、何か歌うように言われてボブは1曲披露。
ピートはボブの才能を高く評価し、世に送り出そうとする。
 
デビューを果たしたものの、フォークは古くならないという理由から、ボブが求められるのはカバー曲ばかり。
自作の曲を歌いたいのにちっとも歌わせてもらえずストレスが溜まる。
 
そんなとき、すでに大人気を博していた女性歌手のジョーン・バエズがボブの曲を歌う。
一躍有名になったボブはスターダムにのし上がるのだが……。
 
ボブ・ディランにも彼の歌にもほぼ興味がなかったのに、これはとても面白かった。
上記の歌手のほか、ジョニー・キャッシュとかアル・クーパーとか、実在の歌手が次々登場。
音楽業界の歩んできた道を見せてもらえたように思います。
 
フォークのフェスでは純粋なフォークを歌うことを主催者は求めている。
ロックの演奏を許さないのは大半の客も同じ。
どんなジャンルの曲であっても、音楽って楽しくないですか。私はどのジャンルの音楽も好きです。
フォークを定義する主催者。代表曲の演奏を求める聴衆。
後者はわかります(笑)。どんな歌手のコンサートに行こうが、やっぱり代表曲は聴きたいもの。
 
主催者の言いなりにならずにやりたいことをやってみせたボブ・ディラン。
そのほとんどを役者が演奏し歌う。ティモシー・シャラメ、凄いやんかと思うのでした。
ジョーン・バエズ役の女優、知っている顔だけど誰だっけと思ったら、
『トップガン マーヴェリック』(2022)でフェニックスを演じたモニカ・バルバロじゃあないか。
あまりにイメージが違っていたから気づきませんでした。美人だなぁ。
 
予想外に良かった1本。

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『あの歌を憶えている』

『あの歌を憶えている』(原題:Memory)
監督:ミシェル・フランコ
出演:ジェシカ・チャステイン,ピーター・サースガード,メリット・ウェヴァー,ブルック・ティンバー,
   エルシー・フィッシャー,ジョシュ・チャールズ,ジェシカ・ハーパー他
 
なんばパークスシネマにて2本ハシゴの2本目。前述の『デュオ 1/2のピアニスト』の次に。
 
評判がとても良さそうだったから観に行ったのに、私にはまったく刺さらなかったアメリカ/メキシコ作品。
と最初に書くのもどうかと思うけれど、期待していただけにガッカリ度が高くて。
監督は『ニューオーダー』(2020)のミシェル・フランコ。『母の聖戦』(2021)のプロデューサーでもあります。
 
ニューヨークで13歳の娘アナと暮らすシングルマザーのシルヴィア。
アルコール依存症を克服して12年。今も断酒会には通っている。
障害者の支援施設ソーシャルワーカーとして働き、利用者や同僚たちの信頼も厚い。
 
ある日、妹のサラに誘われて、気乗りせずも高校の同窓会に出席する。
飲酒はできないし、社交的でもないシルヴィアは退屈で仕方ない。
すると、そんなシルヴィアを部屋の片隅からじっと見つめていた男が近づいてくる。
咄嗟に退出して帰途につくが、男は彼女についてきたばかりか、
自宅までたどり着いたシルヴィアがドアを閉めると、雨のなかずっと家の前に佇んでいるではないか。
 
翌朝、そのまま居眠りをしていた男に声をかけて彼の身元を確認。
電話をかけると、ソールというその男の弟アイザックが迎えにくる。
 
アイザックとその娘サラによれば、ソールは若年性認知症
大学生のサラがソールの面倒を見ていたが、休暇が終わって大学があるボストンに戻るらしく、
アイザックが勤めに出ている間、シルヴィアにソールの世話をしてほしいと頼まれ……。
 
きっといい話だろうと思ったし、このタイトルだから音楽を絡めた作品だと思っていました。
 
個人的にはあり得ないです。
こんな言い方はどうかと思うけど、ソールは額の禿げ上がって腹の出た、しかも認知症の中年男。
恋に落ちる相手ですか。
しかも、アイザックがソールの携帯を取り上げて連絡が取れなくなると、
ソールはシルヴィアの勤務先を訪ねて呼び出し、表でいきなりキスですよ。そしてベッドイン。
これって、『ドライブ・イン・マンハッタン』と変わらぬオッサンの妄想だと思うんですけど。
ハゲようが小太りになろうが頭おかしくなろうが(すみません)、女性と寝られますよっていう。
 
ネタバレになりますが、シルヴィアの過去は衝撃的でした。
12歳のときに17歳の少年からレイプされたという話は序盤に出てきていたけれど、
実は父親からも性的虐待を受けていて、その事実を母親に訴えたのに母親は娘を嘘つき呼ばわりをした。
妹もそのことに気づいていたのに、母親に怒られるのが怖くて言えなかったんですね。
 
こんなシルヴィアだから、セックスに対して恐怖があるのかと思いきや、ソールとすぐ寝るし。
めちゃくちゃ良い娘のアナの前ですっぽんぽんになるようなイカれた男と同居って、信じられません。
認知症だから仕方ないとは思えない。だって全部覚えてるじゃん。
 
何にも解決されないままのエンディング。
最後まで観終わって、思わず「しょうもな!」とつぶやいてしまいました。

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『デュオ 1/2のピアニスト』

『デュオ 1/2のピアニスト』(原題:Prodigieuses)
監督:フレデリック・ポティエ,ヴァランタン・ポティエ
出演:カミーユ・ラザ,メラニー・ロベール,フランク・デュボスク,イザベル・カレ,レナート・ベッツェン
   ローラ・オーブリエール,エリザ・ダウティ,アウグスト・ヴィトゲンシュタイン他
 
お笑いコンビ“ドーナツ・ピーナツ”が上方漫才大賞を受賞したとかで、初冠番組を持つことに。
その初回の収録をスタジオなどではなくよしもと漫才劇場でおこなうに当たり、招待の企画がありました。
応募したら当選したので、午後休を取ってなんばへ向かう。
マンゲキに行く前にひとり昼酒、ドーナツ・ピーナツとゲストのアキナで笑った後はなんばパークスシネマへ。
 
2本ハシゴの1本目は、実在する双子ピアニストであるプレネ姉妹をモデルにしたフランス作品。
 
双子の姉妹クレールとジャンヌをピアニストにするべく、厳しく育ててきた父親セルジュ・ヴァロア。
本人は水泳の選手で、ピアノの経験など一度もないのに。
 
その甲斐あって、ふたりはドイツの名門カールスルーエ音楽大学に進学。
入学初日、ピアノ科の生徒全員がピアノを弾いてみるように言われ、クラスが振り分けられる。
クレールは筆頭教師のレナートが指導する上級クラスへ、ジャンヌは別の教師フィッシャーのクラスへ。
 
そんなふうになってもクレールを応援しつづけるジャンヌだったが、
クレールは声をかけてきたドラム科の上級生ダニエルに好意を抱いている様子。
以前のような始終一緒という時間が少しずつ減ってゆく。
 
あるとき、ジャンヌに嘘の片棒を担がせてダニエルとデートに出かけたクレール。
それを知ったセルジュが強引に連れ戻そうとしたさいにクレールは手首を痛める。
 
次期開催のコンサートでソリストに選出されていたのに、ピアノを弾けなくなったクレール。
彼女の様子がおかしいことに気づいたレナートはジャンヌを呼び出す。
ジャンヌはクレールの肩を持つも、レナートはクレールに見切りをつけると、
コンサートで楽団を率いる予定の有名な指揮者アイヴァン・レンネの前でジャンヌに演奏をさせる。
ジャンヌの演奏に驚喜するレンネ。
 
ところが、クレールの手首の痛みは遺伝性の骨の疾患だとわかる。
双子であるジャンヌにもその症状がいずれ出るのは間違いないと思われ……。
 
父親に練習を強いられていたとはいえ、クレールもジャンヌも心からピアノを愛していました。
ピアノを弾けない人生なんてあり得ないと、関節に負荷をかけない演奏法を考えてこっそり練習する。
ふたりの意思を尊重したい母親カトリーヌに対し、セルジュは手まで失う危険を無視できません。
ピアノの演奏を禁じようと練習先に乗り込んだそのとき、娘たちがこのうえなく楽しそうに演奏しているのを見ます。
 
どうせもう病気で弾けないのだからと、姉妹の復学を認めようとしない学長。
そのときのカトリーヌの頼もしさと言ったら。笑ってしまいました。素晴らしい。
 
クレール役のカミーユ・ラザとジャンヌ役のメラニー・ロベールのダブル主演。
セルジュにはフランク・デュボスク、カトリーヌにはイザベル・カレ
フィッシャー先生役のエリザ・ダウティもすごくよかった。
 
障害があっても弾きたいという強い気持ち。とても好きな作品になりました。

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