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『ジェントルメン』

『ジェントルメン』(原題:The Gentlemen)
監督:ガイ・リッチー
出演:マシュー・マコノヒー,チャーリー・ハナム,ヘンリー・ゴールディング,ミシェル・ドッカリー,
   ジェレミー・ストロング,エディ・マーサン,コリン・ファレル,ヒュー・グラント他
 
TOHOシネマズ西宮にて、前述の『アオラレ』の次に。
早く観たくてたまらなかった作品。
このまま劇場の営業が再開しなければ観逃してしまうのかと思っていたので、
こうしてちゃんと劇場で観られて本当に嬉しい。
 
ガイ・リッチー監督、かなり好きです。
もう「マドンナの元旦那」と言われることもないでしょうか。
 
アメリカ人のミッキーは、ロンドンで大麻ビジネスを展開して大成功。
莫大な資産を築いた裏社会の有名人。
そんなミッキーが利権を売却して引退するという噂が広まり、
裏社会の住人たちが我こそがその利権を手に入れようと画策していた。
 
そのすべてを潰すネタを持っていると言って
ミッキーの右腕レイのもとを訪れたのは、ゲスの私立探偵フレッチャー。
ネタを新聞社に15万ポンドで買い取らせる算段を整えたうえで、
レイには2000万ポンドで買い取ってくれるなら新聞社には売らないと言う。
なぜ15万ポンドのネタが2000万ポンドに跳ね上がるのかとレイが尋ねると、
フレッチャーは自分の調査に基づく推測を蕩々と語りはじめ……。
 
利権を我がものにしようとたくらむのは、
ロシアンマフィアはそれとは別口で絡みます。
 
曲者どもを演じる顔ぶれが面白い。
ミッキー役にはマシュー・マコノヒー
『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)でエイズ患者を演じるために
壮絶なダイエットをした彼は、その後もなかなか体重が戻らないのか、
ずっと体調を心配したくなる顔と体つきでした。
本作ではようやく元の彼に戻った気がして安心しました。
 
ミッキーの側近レイ役のチャーリー・ハナムがとてもいい。
ボスにどこまでも忠実、賢くて頼れる人。
自分のほうが賢いと思っているフレッチャー役にヒュー・グラント、喋る喋る。
よくこれだけの台詞を覚えましたよね。
 
そのほかもみんな自分がいちばん賢い、出し抜けると思っている。
善人役も悪人役もできる俳優が揃っています。
そうそう、新聞社の編集長を演じるエディ・マーサンもそうですね。
こいつら、みんな悪い。
 
いちばん気に入ったのは、ボクシングジムを経営するコーチ役のコリン・ファレル
本作の中では異色の存在で、彼だけはミッキーを騙そうなんて気はありません。
不良をジムで引き取って親代わりに面倒を見ているのに、
とにかく目立ちたい不良どもは、ミッキーの大麻栽培施設で盗みと暴行を働く。
それを知ったコーチはすぐにレイに謝りに行き、
大麻を全部返したうえで、お詫びに何か手伝うと申し出ます。
これが実に可笑しくて、彼の登場シーンはよく笑わせてもらいました。
 
化かし合いが小気味よい。楽しかった。
 
最初にミッキーがビールと共に注文するゆで卵のピクルスが気になりました。
“pickled egg”というのですね。ハードボイルドには卵が定番。食べたい。

—–

『アオラレ』

『アオラレ』(原題:Unhinged)
監督:デリック・ボルテ
出演:ラッセル・クロウ,カレン・ピストリアス,ガブリエル・ベイトマン,
   ジミ・シンプソン,オースティン・P・マッケンジー他
 
6月1日からシネコンの営業が再開されましたが、
大阪と兵庫は平日のみだから、休日にも営業してくれなければ行けません。
6月20日を過ぎてもこの状態は続くかもしれず、
再開を待っていられなくて平日に休みを取りました。
久しぶりのシネコンです。嬉しいったらありゃしない。
 
いつぶりでしょう、TOHOシネマズ西宮へ行くのは。このとき以来だわ。
 
アメリカ/イギリス作品。
原題の“Unhinged”は「気の動転した」「錯乱した」とかの意味なのだそうです。
 
夫と離婚の話を進めているレイチェルは、
ひとり息子のカイルを車に乗せて学校へと向かう途中、渋滞に遭う。
迂回してかろうじて遅刻せずに間に合うかというとき、
前方で停車していた車が、青信号になっても発進しない。
苛立ってクラクションを強く鳴らす。
それでも発進しない前方の車をレイチェルは横から追い抜いたのだった。
 
すると次に停車したさい、その車に横付けされる。
男は、少し考え事をしていたので気づかなかったと詫びると、
そちらも謝るべきではないかと言う。
あんな品のない鳴らし方はないだろう、それを謝れと。
 
カイルが小声で「謝って」と懇願しているというのに、
レイチェルは謝るどころか罵詈雑言を男に浴びせてそのまま車を走らせる。
 
すると、男が猛然と追いかけてくるではないか。
なんとかまいてカイルを学校まで送り届け、ホッ。
友人で弁護士のアンディとお茶を飲むべく会う約束を取り付け、
途中ガソリンスタンドに寄ると、あの男がそこへやって来て……。
 
前方の車を追い抜いて怒らせ、執拗にあおられる話といえば、
あれはとことんシンプルな話でした。
最後まで運転手の顔が見えなくてとても不気味でもあり。
 
これはそこまでシンプルではありません。
まずは男役のラッセル・クロウがある一軒家に押し入り、
住人を殺してその家に火をつけるシーンから始まります。
どうやら彼の元妻が住んでいる家らしい。
 
妻から離婚を突きつけられた男が自暴自棄になり、殺人をしでかして、
逃走中にカレン・ピストリアス演じるレイチェルにクラクションを鳴らされる。
レイチェルに対する彼の反応は八つ当たりっちゃ八つ当たりなのですが、
レイチェルにあまり同情の余地はありません。
 
というのも、彼女のほうも離婚目前で、夫から家を取り上げられそう。
そういうことが積み重なって心身共に疲れているのは気の毒だけど、
目覚まし時計もかけずにソファで寝てしまって、派手に寝坊。
毎日自力で起きている息子は、母親のせいで連日遅刻。
美容師のレイチェルは仕事にも遅れ、いちばんの顧客から解雇を言い渡される。
学校にも仕事にも間に合うように起床していれば
焦って車を走らせることも、前方の車に苛立つこともなかったのに、
彼女こそ八つ当たりのクラクションを鳴らしてしまったと言えます。
 
だから、こんなふうに追いかけられていい気味とまでは思えないものの、
大変だとも可哀想だとも思えません。
 
しかし、男が居合わせた人を平気で殺すぐらい恐ろしいのと、
カイル役のガブリエル・ベイトマンがあまりに健気で愛らしいおかげで、
がんばって逃げろレイチェル!と思い始めるのでした。
 
昔、職場の人から遅刻しますと電話があり、その理由が
「車のエンジンをかけたらいきなりクラクションが鳴った。
エンジンを切らないと鳴り止まないので車屋さんに見てもらう」でした。
後ほど出勤したその人が「自分の車のクラクションの音を初めて聞いた」と言うので、
「えっ、鳴らしたことないんですか」と聞いたら、
「ありませんよ、そんなの。鳴らすことなんてないですもん。
あ、鳩に鳴らしたことはあったかもしれませんけど」と言う。
その人は広島出身。広島に車で遊びに行った折、確かにクラクションの音を聞きませんでした。
鳴らさないのか、広島の人!
……って書いてみたら、以前に同じネタを書いていました。(^^;

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『残酷で異常』

『残酷で異常』(原題:Cruel & Unusual)
監督:メルリン・デルヴィセヴィッチ
出演:デヴィッド・リッチモンド=ペック,バーナデット・サキバル,ミシェル・ハリソン,
   マイケル・エクランド,リチャード・ハーモン,モンスール・カタクィズ他
 
2014年のカナダ作品。
これもAmazonプライムビデオ見放題作品の中にあります。
家の中で意識を失った誰かに蘇生術を施しているとおぼしき声で始まります。
カメラはバスルームへ移動。
男の必死の救命処置も実らず、倒れている女は亡くなった模様。
その後、男も呼吸困難に陥り、死亡します。
……というのは夢。男エドガーが気づくと自分は運転中。
助手席には夢の中で死んだ女メイロンがいる。
メイロンはエドガーの妻でフィリピン人移民
様子がおかしいエドガーのことを心配するメイロン。
ふたりで家に帰り、メイロンの息子のことでしばし言い争ったのち、
エドガーが自室に戻ろうと扉を開けると、そこは別の建物の一室。
グループセラピーをおこなっているのか、
どうやら参加者はみんな殺人を犯した者ばかりらしい。
エドガーも殺人者だと言われ、何が何だかわからず……。
不条理スリラーというやつですね。
エドガーが自分の罪を悟るまで何度でもグルグル回ります。
Amazonプライムビデオでは高得点を上げていますが、地味すぎる。
クソ真面目に進んで行くので少々退屈。スッキリ感もなし。
自分が何者かわからない不条理な話なら、
先日観た『消えた時間』のほうがずっと面白い。
とはいうものの、DVD化されていない劇場未公開作品を観られるのは嬉しい。
未公開作品を観て思うのは、未公開になった理由はやっぱりあるということ。
未公開だなんてもったいないと思う作品が稀にあるけれど、
本作などは公開したところで集客はできなかったでしょう。
カナダの作品って暗いのが多いと改めて思った作品でもあります。

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『Viva!公務員』

『Viva!公務員』(原題:Quo vado?)
監督:ジェンナーロ・ヌンツィアンテ
出演:ケッコ・ザローネ,エレオノーラ・ジョヴァナルディ,ソニア・ベルガマスコ,
   マウリツィオ・ミケリ,カテリーナルドビカ・モドゥーニョ他
 
2015年のイタリア作品。
2016年の“イタリア映画祭 2016”にて日本初公開。
そのときの邦題は『オレはどこへ行く?』でした。
翌年2017年にヒューマントラストシネマ有楽町のイベント、
“Viva!イタリア Vol.3”で上映されたそうです。
 
幼い頃から夢だった公務員になった男ケッコ。
終身雇用で一生安泰のはずなのに、政府の方針で公務員削減。
リストラ対象者1,244名の中に入ってしまう。
 
どうしても辞めたくないケッコは激しく抵抗。
退職金を上乗せすると言われても決してうなずかない。
1,243名を退職に追い込むことに成功したリストラ担当者は、
自分の評価のためにもケッコに辞めると言わせたくて、
厄介な部署に次々と異動させるが、それでもケッコは辞めない。
 
困ったリストラ担当者がついに命じた異動先は北極圏
過酷な環境にすぐにケッコは音を上げると思われたが……。
 
主演はイタリアで人気の喜劇俳優ケッコ・ザローネ。
役名もそのままケッコにするぐらいですから、
彼で客が取れるぐらいの人気者なのでしょう。知らんけど。
 
人気者が主役のおかげか、本作はイタリアで大ヒットを飛ばしたそうです。
だけど、面白いですか?これ。日本人が好みそうだとは思えません。
容貌も私のタイプじゃないし(笑)、マザコンで偉そう。
しかもいまどき男尊女卑の意識あらわな差別主義者。
リストラ担当者が女性なのを見て彼女に吐く暴言にウンザリ。
おぞましい下ネタなどもあって、イライラします。
 
キュートな女性ヴァレリアと知り合って心を入れ替えるわけですが、私はムリ。
ちっとも心に響かなくて、早く終わってくれないかと祈るばかりでした。
 
北極へ追いやったせいで危険手当なるものを払わなければならなくなり、
リストラ部長が上司から怒鳴られるはめに。気の毒なことこのうえなし。
でも最後にはケッコがリストラ部長に素晴らしい話を持ち込んで、って、
良いようにまとめられても、なんだかなぁ。始終、上から目線だし。
このユーモアの感覚は異国のものに感じます。
本国で大ヒットというのはあまり当てにならない。
この人が主演の映画はもう観たくありません。すんません。

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『ブレイキング・イン』

『ブレイキング・イン』(原題:Breaking In)
監督:ジェームズ・マクティーグ 
出演:ガブリエル・ユニオン,ビリー・バーク,リチャード・カブラル,エイジオナ・アレクサス,
   リーヴァイ・ミーデン,セス・カー,マーク・ファーズ,ジェイソン・ジョージ他
 
2018年のアメリカ作品で、日本では劇場未公開。
監督はいまいちパッとしない(失礼)、ジェームズ・マクティーグ
脚本は『ランペイジ 巨獣大乱闘』(2018)のライアン・イングル。
主演のガブリエル・ユニオンはAXNジャパンで放映されていた、
“LA's FINEST/ロサンゼルス捜査官”シリーズでジェシカ・アルバ演じる刑事の相棒役だったそうな。
『パブリック 図書館の奇跡』 (2018)にも出演していた女優。
 
字幕が上下に分かれて出るのって珍しいタイプじゃありません?
劇場で観たらどう感じたかわかりませんが、PCではわりと見やすい。
 
主婦のショーンは、急逝した父親の遺産整理のため、
長女ジャスミンと長男グローバーを連れて、
かつてショーン自身も住んでいた湖畔の豪邸へと向かう。
 
父親は実業家で、ジョギング中に車に撥ねられて亡くなった。
事故だと思われていたがそうではなく、彼の財産を狙われてのこと。
たどり着いた邸には父親の隠し財産を狙う4人の強盗が潜んでいて……。
 
豪邸にオカンと子どもだけ。
子どもを守ろうと必死のぱっちで強盗と対決するオカンといえば
思い出すのはジョディ・フォスター主演の『パニック・ルーム』(2002)。
あれでもたいがいハイテクセキュリティーシステムでしたが、
20年近く経てばさらにハイテク。まるで要塞のような邸です。
 
ジャスミンとグローバーは幼子などではなく、年頃。
要塞じみた邸に不気味なものを感じるショーンに対し、
子どもたちはそれなりに楽しんでいます。強盗の存在など知らずに。
ドローンを飛ばして遊んでいたら、強盗に拉致されてしまいます。
 
3人とも邸内に監禁されるのかと思ったら、子どもたちだけ捕まって、オカンは外。
邸外から子どもたちが閉じ込められている部屋を見つけてガラスを割ろうとしたら、
ハイテクなガラスは割れないうえに、割ろうとしたせいでシャッターが降りてしまう。(T_T)
 
珍しいストーリーではありませんが、この手のやつはまぁ外れない。
最悪の結末にはならないこともわかっているから、スリリングでも安心。
ハイテクなのは邸内だけで外には武器もない。
この状況でショーンがどう戦い、どう子どもたちを助け出すか。
怯えるだけじゃない子どもたちも頼もしい。
ふだんは憎まれ口を叩き合っている姉弟の、この状況下での会話には涙が出そう。
 
しかし賢いなぁ、強いなぁ、オカンって。
そして、逞しいオカンに育てられた子どもたちはやっぱり逞しい。
オトンは最後の最後に登場しますよん。ちゃんと、家族の絆。

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