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『整形水』

『整形水』(英題:Beauty Water)
監督:チョ・ギョンフン
声の出演:沢城みゆき,諏訪部順一,上坂すみれ,日野聡,たかはし智秋,杉村理加,根本泰彦他
 
シネマート心斎橋にて3本ハシゴの3本目。
 
どこの国に限らず、できるだけ吹替版ではなく字幕版で観たいと思ってはいますが、
韓国のアニメならまぁええかなと思い、吹替版を選択しました。
同劇場では字幕版も上映しているので、動線次第では字幕版を観たかったですけれど。
 
ホラーのアニメ作品です。
この日、これより前に観た2本とはあきらかに客層が違う。
若くて綺麗な女性客が多いのは、美容整形に興味のある人が多いからでしょうか。
 
芸能事務所でタレントのメイクを担当するイェジ。
子どものときにはバレエを習い、コンクールでも上位入賞を果たしたが、
自分がブスのせいで1位にはなれなかったと思い込んでいる。
バレエをあきらめてからはブクブク太り、今はブスでデブ。
事務所一の人気美人タレント、ミリからはいつも蔑まれている。
 
コンビニで食料を大量に買い込めば、レジの店員は鼻で笑い、
路上で転べば、警備員から「痩せろよ」と言われる。
自分の気持ちをわかってくれる人など誰ひとりとしていない。
どうしてこんなブスに両親は産んだのか腹立たしい。
 
ある日、バカ食いする映像に出演してほしいとスタジオのスタッフから頼まれ、
顔はほとんど写らないと聞いて承諾する。
ところが帰宅すると「今日のブス」としてイェジの映像がSNSを賑わせていた。
あまりの言われようにひきこもるようになったイェジ。
 
何カ月も経った頃、イェジのもとに1通のDMが届く。
そこには、塗るだけで美人になれる不思議な水“整形水”の案内が。
訝りながらも注文して使用してみると、本当に美人になって……。
 
イェジにはあまり同情できません。
だって、顔がブスなだけでなく、すごい性格ブス。
どうせ私なんかと言いながらそれだけ食べたらあかんやろ。
 
美人になると、道行く人がみんな振り返り、
男性たちの対応も以前とは180度どころか540度ぐらい違う(笑)。
すっかり美しくなったイェジが性格もよくなるかというと、
手のつけようもないほどワガママな女になってゆきます。
 
顔だけ綺麗になっても体がそのままじゃ変ですからね、
体にも整形水を塗って肉をそぎ落として行く。
整形水の風呂に浸ってナイスバディが完成したというのに、
入浴時間を超過すると、浸かりすぎてゾンビに。怖い。
 
ナイスバディに戻すには肉が必要ということで、
娘のために両親が肉を削る。
それでもイェジは「自分をブスに産んだ責任」だと、
両親に肉と整形水を購入するための金を求め、
ナイスバディになったらなったでブランド服を買い漁る。
 
悲惨なエンディングが待っていますが、自業自得ですな。
ホラーらしい最後にニヤリとしてしまいました。
 
そりゃ女に生まれたからには美人のほうがいいですよ。
でも美人じゃないことを親のせいにして、世間を悪者にして、
それこそ豚みたいに食ってばかりじゃいけない。
性格ブスにはならないようにしなきゃいけませんね。

—–

『偽りの隣人 ある諜報員の告白』

『偽りの隣人 ある諜報員の告白』(英題:Best Friend)
監督:イ・ファンギョン
出演:チョン・ウ,オ・ダルス,キム・ヒウォン,キム・ビョンチョル,イ・ユビ,
   チョ・ヒョンチョル,チ・スンヒョン,キム・ソンギョン,ヨム・ヘラン他
 
シネマート心斎橋にて3本ハシゴの2本目。
最初こそ笑えなくてゲンナリしましたが、終わってみればめちゃめちゃ良かった。
 
野党の政治家イ・ウィシクは激しい弾圧から逃れて海外に身を置いていたが、
次期大統領選への出馬を表明して緊急帰国する。
 
ところが、なんとしてでも出馬を阻止したいキム室長率いる国家安全政策部は、
ウィシクを空港で拉致して自宅軟禁に処す。
軟禁している間に、ウィシクを共産主義者に仕立て上げようという魂胆。
 
そこら中に盗聴器を仕掛けたイ家を隣家から見張るように命じられたのは、
愛国心は強いがちょっと間の抜けた諜報員ユ・デグォン。
彼がチーム長となり、部下にドンシクとヨンチョルを従えて盗聴と監視を開始するのだが……。
 
冒頭、公園のボットン便所の中にデグォンが入って盗聴器を探すシーンがあります。
こんなクソまみれの汚いところは見たくないねん。
テンションがダダ下がりだったので、この後どうなることかと思ったら、心配無用でした。
 
ウィシク役には私が顔を見ただけで笑ってしまうオ・ダルス
本作ではいつものように観客を笑わす役目はデグォン役のチョン・ウに任せ、
根っからの善人である次期大統領候補を演じています。
 
前半は笑えるシーンがいっぱい。
まさか諜報員3人で隣に住んでいますなんて言えないから、
ウィシクと彼の家族や家政婦とは出会わないようにしていたのに、
何かと遭遇する機会が生まれてしまう。
そのたびにオタオタするところが本当に可笑しい。
 
中盤からは徐々にシリアス色が濃くなってゆきます。
キム室長たちが陰謀を企んでいるとはつゆとも知らないデグォンは、
ウィシクが共産主義者だという証拠を探しますが、
そうじゃないんだからそんな証拠が出てくるはずもない。
すると今度は証拠の捏造を命じられ、当然のごとくそれを受け入れる。
でもどこかでこんなことはおかしいと思いはじめます。
 
英語タイトルの“Best Friend”の意味がわかると泣けてくる。
このラストシーンはこれまでにもありがちと言えなくもない。
でもやっぱりこういうシーンが観たいのですよね。
 
家政婦役のヨム・ヘランも最高。今後はこの人の顔を見るたびに笑ってしまうかも。
 
さすが『7番房の奇跡』(2013)のイ・ファンギョン監督。
すごく良かった。

—–

『Summer of 85』

『Summer of 85』(原題:Ete 85)
監督:フランソワ・オゾン
出演:フェリックス・ルフェーヴル,バンジャマン・ヴォワザン,フィリッピーヌ・ヴェルジュ,
   ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ,メルヴィル・プポー,イザベル・ナンティ他
 
シネマート心斎橋にて3本ハシゴの1本目。
目当てはこの後に観た2本目と3本目でしたが、これもかなりよかった。
 
原題が“Summer of 85”の作品が過去にもあったんですね。
1981年のアメリカ作品で、どうもエロいやつらしいです。
だって邦題が『ワイルド・ポルノ/みだりに後ろから』だから(笑)。
と思ってさらに調べたら、原題が“Summer of ’72”で、
邦題が『ワイルド・ポルノ/みだらに後ろから』というのもあるよ。
何かの間違いでは。まぁ、どうでもええか。(^^;
 
さて、本作はポルノではありません。
フランソワ・オゾン監督によるボーイズラブものというには重い作品。
英国の児童文学作家エイダン・チェンバーズの『おれの墓で踊れ』の一部が原作ということですが、
たぶん原作には性的な意味合いはないのでしょうね。なんとなく。
と思って、今、原作のあらすじを調べてみたら、ちゃんと同性愛の話のよう。
特別なことじゃなく普通のこととして描かれるのはいいと思う。
 
1985年の夏休み。
16歳の少年アレックスは、友人から借りたヨットでひとり沖へと出る。
うとうと居眠りして目覚めると、遠方に大きな雨雲。
慌てて戻ろうとしたときに操縦を誤って転覆してしまう。
 
絶体絶命かと思われたが、偶然通りかかった18歳の少年ダヴィドに助けられる。
ずぶ濡れのアレックスはダヴィドの家に招じ入れられ、
彼の母親から風呂に着替えに食事にと手厚いもてなしを受ける。
 
すぐに意気投合するふたり。
やがてアレックスはダヴィドの母親が営む店でバイトをし始める。
始終一緒にいるふたりは親密な関係になるのだが……。
 
生気のない顔をしたアレックスを映し出すシーンから始まります。
どうやらダヴィドがすでに亡くなっているらしく、
ダヴィドの墓でアレックスが何かやらかしたこともわかる。
現行犯で捕まった彼がいったい何をしたのか、そしてどうしてそんなことをしたのか、
理由を徐々に明らかにする形で、回想シーンとして物語は進みます。
 
アレックス役のフェリックス・ルフェーヴルとダヴィド役のバンジャマン・ヴォワザンは
共にオーディションで選ばれたそう。
フェリックスは男女どちらからもモテそうな美少年。
一方のバンジャマンはワイルドな感じで、この顎はヴァンサン・カッセルを思い出す。
目つきも何もかもやらしいので、こんな奴にハマるなよアレックスと思わなくもない(笑)。
 
アレックスに文学の才能を見いだしていた教師は、
心を閉ざしたアレックスに気持ちを文章にしてみることを勧めます。
イケメンのメルヴィル・プポーがその教師役なのですが、
頭頂部が薄くなったモジャモジャ頭をしていたので、最初そうだとは思わずビックリ。
イケメンのままじゃ駄目だったのかしら。
 
自分が将来何をしたいのかなんて聞かれてもまだわからない年頃。
「僕に何をしてほしいか」と問う息子に対して、
父親はひたすら「仕事に就け」と言い、母親は「あなたが幸せだと感じることをしてほしい」と言う。
ゲイであることを公表しているフランソワ・オゾンやグザヴィエ・ドランの作品を観ると、
両親共に葛藤があるとしても、息子にとってはやっぱり母親なのかなと思わずにはいられません。
 
重い部分もありますが、クスッと笑えるシーンもあって爽やかな余韻も。
女性向きだと思う。

—–

『レミニセンス』

『レミニセンス』(原題:Reminiscence)
監督:リサ・ジョイ
出演:ヒュー・ジャックマン,レベッカ・ファーガソン,タンディ・ニュートン,
   クリフ・カーティス,ブレット・カレン,アンジェラ・サラフィアン他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
原題も邦題も“Reminiscence”。こんな単語、知らんっちゅうの。
「記憶潜入」という意味なのかと思っていたら、「回想」なのですね。
 
監督のリサ・ジョイは、人気TVドラマ“バーン・ノーティス 元スパイの逆襲”シリーズの脚本家。
また“ウエストワールド”シリーズでは企画と製作総指揮を務めています。
映画を撮るのはどうやらこれが初めてのよう。
なんと言っても気になるのは、本作の製作者にジョナサン・ノーランの名前があること。
『ダークナイト』(2008)や『インターステラー』(2014)の脚本家でもあります。
こういう兄弟の会話って、どんなふうなんでしょうね。
 
さて、そんな弟プロデュースの本作は、兄監督の作品よりもわかりやすい。
SFを理解するアタマのない凡人にもわかりやすいように作ってくれてありがたい。
ま、難しいSFでも、鑑賞時は理解できた気がしているんですけどね。
 
舞台は近未来。海面上昇が進んで、各地の都市は水に覆われています。
主人公のニックが暮らすマイアミもそうで、人々は暑さを逃れ、
自然と夜型の生活を送るようになっています。
 
ニックの仕事は、顧客が見たいと望む記憶を呼び起こして追体験させること。
顧客の誰しもが幸せな記憶に浸る時間のために金を払う。
 
ある日、自室の鍵をどこに置き忘れたか記憶を辿りたいという女性メイが現れる。
その美しさに一目惚れしたニックは、後日彼女が歌う店を訪れ、交際を開始。
深く愛し合っていたはずなのに、突然ニックの前から姿を消すメイ。
 
どうしても彼女のことが忘れられず、ニックは来る日も来る日も自分の記憶を辿り、
メイの行き先についてヒントが隠されていないかを調べる。
やがて、ギャング組織の犯罪に彼女が巻き込まれていると知り……。
 
驚いたのは、ギャング組織のボス役がダニエル・ウーだったこと。
なんだかもうすっかりたるんだオッサンになってしまって、
『美少年の恋』(1998)の頃の彼はいったい何処へと思うけど、
こうして元気で活躍しているのは嬉しい。
 
序盤のニックとメイのやりとりには結構イライラ。
ニックはメイにぞっこんで、彼女が姿を消したときも騙されていたなんて微塵も思わない。
みんなが彼女のことを悪く言うけれど、本当の彼女を知っているのは俺だけ、なんて、
男性にありがちじゃないですか(笑)。
本当の彼女はそんなじゃないし、もしそうだとしても立ち直らせることができるのは自分だけだなんて、
思い込みも甚だしいぜ。傲慢だよ。そう思いませんか。
タンディ・ニュートン演じるアシスタント女性のほうがよっぽどええのに、
もう、美人に弱いんだからっ!などと若干憤ったりもする私(笑)。
 
でね、傲慢だなんて方向には話は進みません。
やっぱり彼女のことをわかっているのは彼だけだったのだから、
男性の夢を叶えていますよねぇ。
 
と、一見文句に聞こえるかもしれませんが、わかりやすくて面白かったです。
観る人に夢は与えなきゃいけないし、映画の中だけでも夢は叶えてほしいもの。
 
『グレイテスト・ショーマン』(2017)でもイチャイチャしていました。
このような共演が多いと、ほんとにデキちゃうのではと思ったり。
レベッカの歌はどの作品のときも素晴らしいです。聴き惚れた。
 
やっぱり自分が愛した相手は善人だった。ちょっぴり切ないです。

—–

『岬のマヨイガ』

『岬のマヨイガ』
監督:川面真也
声の出演:芦田愛菜,粟野咲莉,大竹しのぶ,伊達みきお,富澤たけし,宇野祥平,
     達増拓也,天城サリー,江原正士,桑島法子,佐藤拓也,広瀬裕也他
 
歌うようになってからの大竹しのぶがなぜか苦手なんです。
おかげで映画までなんとなく避けてしまい、
原作が大好きな『漁港の肉子ちゃん』も観ないまま終映してしまいました。
 
本作も芦田愛菜は気になるものの、積極的に観に行く気分にはなれず。
イオンシネマ茨木で早い時間帯の上映のみになっていましたが、
ある日ふとスケジュールを覗いたら、晩1回の上映になっている。
ちょうどほかに観るものもなくなりかけていたので、思いきって鑑賞。
 
やっぱり観なきゃわからんもんです(笑)。
私は『竜とそばかすの姫』より好きでした。
 
東日本大震災に見舞われてからしばらく経った岩手県のある町。
避難所を訪れた訳ありの17歳のユイは、8歳のヒヨリと出会う。
ヒヨリは両親を交通事故で亡くした後、親戚に引き取られてこの町に来たが、
震災でみんな亡くなり、たったひとり生き残ったらしい。
 
行き場を失ったふたりのことを自分の孫たちだと市役所の職員に偽り、
一緒に暮らそうと言ってくれたのは、キワという不思議なおばあさん。
キワに連れられて向かった岬に建つ古民家は「生きていた」。
 
驚くふたりにキワは言う。
心配しなくていい、この家はふたりのことを決して傷つけない。
温かくもてなしてくれるマヨイガだよ。
最初は訝っていたユイだが、マヨイガでの生活に少しずつ心が解きほぐされてゆく。
 
やがてキワはマヨイガに客を呼ぶ。その客とはなんと河童たち。
人々の悲しみを食べて巨大化していくアガメという魔物が
どうやらこの町を乗っ取ろうとしていることに気づいたキワが、
河童をはじめとする“ふしぎっと”と呼ばれる善き妖怪たちに相談したのだが……。
 
まずマヨイガの建つ岬の風景が素敵です。
そして、家も人と同じできちんと育つのだという考え方。
実際に家が動いたりしたらポルターガイストを疑いますが、
こんなふうに家が笑えば怖くない(笑)。
 
震災や虐待で心身共に傷つけられた子どもたちが、
優しく不思議なおばあちゃんによってたくましく育ってゆく姿が良い。
ユイはいったいどこから逃げ出してきたのか、
学校はどうなっているんだという疑問が最初こそ湧きますが、
キワおばあちゃんならそんなことを片付けるのはお茶の子さいさい。
魔法使いではないようだけど、こんなふうに生きていれば、
人間じゃないものとも心を通わすことができるのかもしれません。
 
今、自分にできることをする。
良いアニメでした。

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