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『老後の資金がありません!』

『老後の資金がありません!』
監督:前田哲
出演:天海祐希,松重豊,新川優愛,瀬戸利樹,加藤諒,柴田理恵,石井正則,
   竜雷太,藤田弓子,哀川翔,毒蝮三太夫,三谷幸喜,草笛光子他
 
ペナントレースも終わったので、終業後に2本鑑賞モードを再開。
緊急事態宣言中は劇場も時短営業だったから、2本観ようにも観られませんでした。
それが再びできるようになったのは嬉しいことだけど、体はキツイ(笑)。
 
垣谷美雨の同名小説の映画化。この作家のことは嫌いではないのですが、
シリーズみたいなタイトルに食傷気味で、それほど読んでいません。
『あなたの人生、片付けます』『子育てはもう卒業します』『あなたのゼイ肉、落とします』、
『夫の墓には入りません』『姑の遺品整理は、迷惑です』『うちの父が運転をやめません』。
うーん、もうタイトルだけでおなかいっぱい。で、本作も原作未読です。
でも、惹かれるタイトルではありますね。観ますとも。
 
50代の主婦・後藤篤子(天海祐希)。
会社員の夫・章(松重豊)と長女・まゆみ(新川優愛)、長男・勇人(瀬戸利樹)の4人家族。
平均的な生活レベルで、一戸建ても購入し、上手くやりくりしてきたはず。
 
ところが、老舗の和菓子屋を営んでいた舅が亡くなってからがさぁ大変。
章の妹・桜井志津子(若村麻由美)とその夫・秀典(石井正則)から
「喪主はお兄ちゃんね。葬儀の費用も全部そっちで持って」と言われ、
断ろうとすると「これまでこっちでこんなにあれこれ払ってきた」と帳面を広げられる。
 
老舗のプライドがある姑の芳乃(草笛光子)の手前、あまり貧相な葬儀はできず、
最も大きな会場を借りて香典をアテにしたのに、会葬者はわずか30名。
かかった費用は400万円近くになり、後藤家の貯金の半分以上をつぎ込む結果に。
 
さらには娘のまゆみがワケのわからぬバンドマン・松平琢磨(加藤諒)とデキ婚。
琢磨の実家が宇都宮では知らない人がいないほどの餃子チェーン店ゆえ、
結婚式は多くの芸能人が利用している式場で挙げると言うではないか。
 
舅と姑には毎月9万円の仕送りをしてきたが、とてももう出していられない。
その件をめぐって志津子と言い争いになったため、
篤子は「お義母さんはこちらで預かります」と宣言してしまい……。
 
家のローンをまだまだ払い続けなければならないというのに冠婚葬祭。
そんなときに限って家電が壊れたり、パートをクビになったり。
妻のパートがなくなっただけでも家計が直ちに苦しくなるところへ、
夫の会社まで倒産したらどうしますかね。
 
妻がどれほど苦労して家計を切り盛りしているかに夫は無頓着。
娘も息子もお金は降ってくるとでも思っているのか。
嫁に行ったはずの娘はたびたび実家へ帰ってきて、
愛想のひとつも言わずに食料になりそうなものを根こそぎ持って行く。
もう本当に泣きたくなることでしょう。
 
本作ではそれを回避する手段が謳われているわけではありません。
ただ、観て「あるある」と笑えることは確か。
映画の出演者たちにこんな思いをしたことのある人がどれだけいるのか。
彼らが演じるのを見て、貯金が少なくて心配になるのは自分だけじゃないと思えるかどうか。
 
なんと言ってもいちばん笑ったのは、
姑役の草笛光子の「私、昔、宝塚を目指していたのよ」という台詞に対して、
「私もです!お義母さん!」と興奮しながら言った嫁役の天海祐希に向かって、
草笛光子が「あなたは無理よ」とせせら笑うシーンでしょう。
映画ならではのジョークで可笑しかった。ふきました。
 
中高年層にはオススメです。

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『ひらいて』

『ひらいて』
監督:首藤凜
出演:山田杏奈,作間龍斗,芋生悠,山本浩司,河井青葉,木下あかり,
   鈴木美羽,田中偉登,板谷由夏,田中美佐子,萩原聖人他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『DUNE/デューン 砂の惑星』とハシゴ。
 
封切り直後の週末は、朝イチで舞台挨拶付きの上映があり、
それはそれは結構な客の入りだったようです。
主演の子が人気なのかな、でも私、知らないし。
と思ったら、『ジオラマボーイ・パノラマガール』でも主演していた子なのか。
あのときは冴えない女子高生でしたが、
本作では可愛くて賢くて気が強くて、いけ好かん女子(笑)。
 
原作は芥川賞作家、綿矢りさの同名小説。
彼女の小説は芥川賞らしく読みにくいけど、映画化するとそうでもなくなりますね。
 
高校3年生の木村愛(山田杏奈)はクラスの人気者。モテるけれど彼氏はいない。
1年生のときから同じクラスの西村たとえ(作間龍斗)に密かに片想いしているから。
 
ところがあるとき、たとえに秘密の彼女がいることを知る。
その彼女とは、持病があっておとなしく友だちもいない新藤美雪(芋生悠)。
許せない思いに囚われた愛は、美雪に近づき、たとえのことを聞き出す。
そして愛の意中の相手が美雪だと思い込ませる。
 
高校で初めて友だちができたことを美雪は純粋に喜ぶ。
たとえとはキスもしたことがないという美雪に愛は迫り、肉体関係まで結ぶのだが……。
 
怖いんです、愛が。
美雪からたとえに送られた手紙を盗んで読み、嫉妬に狂いそうになる。
1型糖尿病の美雪のことを理解しているふうに近づき、
美雪はすっかり愛に心をひらいてしまいます。
 
美雪を見下し、何でも自分の思い通りにできると信じている愛。
でもたとえはそんな愛を見抜いていて、誘惑しても乗ってきてくれない。
イライラを募らせる愛を見て、いい気味だと感じます。(^^;
 
でも、たとえと美雪にもイライラする。
たとえのろくでなしの父親(萩原聖人)の評は愛の言うことが正しい。
ふたりに代わって彼をぶったたく愛にはスッキリしました。
 
愛の母親役に板谷由夏、美雪の母親役に田中美佐子。どちらもイイ。
「お母さんのこと、大好きだから」という美雪の表情もよかったなぁ。
 
美雪役の芋生悠はまだ23歳ですが、『ソワレ』(2020)でとっとと脱いでいます。
愛と美雪の絡みのシーンで悠ちゃんだけ裸体を披露させられるのではと心配していましたが、
それはなかった。ふたりとも何も見えないから、同じ扱いでよかったです(笑)。
 
ちょっといびつな青春。

—–

『DUNE/デューン 砂の惑星』

『DUNE/デューン 砂の惑星』(原題:DUNE)
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ティモシー・シャラメ,レベッカ・ファーガソン,オスカー・アイザック,
   ジョシュ・ブローリン,ステラン・スカルスガルド,デイヴ・バウティスタ,ゼンデイヤ,
   シャーロット・ランプリング,ジェイソン・モモア,ハビエル・バルデム他
 
先週、月曜日は仕事帰りにイオンシネマ茨木にて2本ハシゴしてへろへろ。
火曜日はどうせ負けると思いつつ直帰して阪神の最終戦をテレビ観戦。案の定、負ける(泣)。
水曜日はもうCSが始まるまで野球に用はないことだしと思い、
109シネマズ大阪エキスポシティにて2本ハシゴして帰ることにしました。
 
封切りから10日ほど観ずにいたのは、これも長尺だからです。155分。
しかもなんとなく睡魔に襲われそうな雰囲気がなきにしもあらず。
 
原作はフランク・ハーバートのSF巨編で、第1弾が刊行されたのは1965年のこと。
それを含めて計6冊が1985年に至るまでに刊行されましたが、
1986年にフランク・ハーバートが他界して未完に終わってしまいました。
 
アレハンドロ・ホドロフスキーが映像化に挑んだものの挫折。
1984年にイタリアの有名プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが手がけ、
デヴィッド・リンチがメガホンを取って本作の映画化に初めて成功。
しかし、監督本人がその出来に満足するものには遠く及ばず。
 
そんな「とっても無理」な作品にこのたび挑んだのは、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。
私がこの監督を知ったのは、『灼熱の魂』(2010)です。
これを劇場で観なかったことを10年以上建った今も後悔しているから、
以後、この監督の作品は決して見逃さないようにしています。
『メッセージ』(2016)以降は本作まで3作続けてSF。もうすっかりSF作品の監督のイメージ。
現代が舞台のドラマもまた撮ってほしいけど、何にせよ好きだなぁ。
 
砂に覆われた惑星アラキス、通称デューン。ここでは貴重な香料が産出される。
宇宙帝国の皇帝に命じられてデューンを統治しているのは、ハルコンネン家。
その長であるハルコンネン男爵は、デューンに暮らす砂漠の民フレーメンを弾圧してきた。
 
あるとき皇帝は、デューンの統治をハルコンネン家からアトレイデス家に変更すると言い渡す。
しかしこれは両家をいがみ合わせようという皇帝の罠。
皇帝はハルコンネン男爵にアトレイデス家を殲滅させようとする。
 
襲われたアトレイデス男爵は命を落とすが、その息子ポールと、
彼の母親(アトレイデス男爵の側女)ジェシカはなんとか生き延び、
フレーメンに協力を求めるため、砂漠をさまよい歩くのだが……。
 
こんな感じで合っているのかなぁ、あらすじは。
SFを観るといつも、そのときはわかっているつもりでも後から書こうとすると「ん?」となります。
 
中盤に差しかかると懸念通り睡魔に襲われたのですが、それも一瞬だけ。
広大な砂漠が幻想的に思えて、見入りました。
 
キャストも魅力的です。
このふたりは生き残るからいいのですけれど、
いい役者が早いうちに次々と亡くなるのは残念な気も(笑)。
アトレイデスの戦士役、ジョシュ・ブローリンジェイソン・モモアがそうです。
誇り高く死すアトレイデス男爵役のオスカー・アイザックもタイプじゃないけどイケメン親父。
笑ったのはデブすぎて浮遊するハルコンネン男爵役のステラン・スカルスガルド
いちばん死んでほしい役柄だったのに、しぶとく生きてます。(^^;
フレーメンの長役がハビエル・バルデムなのは嬉しいですね。
 
この先、何作目まで映画化するつもりか知りませんが、
まだ1作目ですから、面白いかどうかの判断もできません。
ただ、次も観たいのは確かです。
美少年ティモシー・シャラメが今後どんなオッサンと化すのかも同時に興味あり。
 
砂の中をダダーッと走ってガボッと出てくる砂虫、怖いよ。

—–

『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野』

『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野』(原題:The Harder They Fall)
監督:ジェイムズ・サミュエル
出演:ジョナサン・メジャース,ザジー・ビーツ,イドリス・エルバ,レジーナ・キング,
   デルロイ・リンドー,ラキース・スタンフィールド,ダニエル・デッドワイラー他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『最後の決闘裁判』の次に。
 
11月3日(つまり明日)よりNetflixで独占配信されるオリジナル作品
一足先の10月22日から劇場公開されています。
契約しているんだから家で観てもいいのですけれど、
なんとなく大きな画面で観ようかという気持ちになりました。
 
が、しかし、『最後の決闘裁判』は上映時間153分。
その後25分空けて上映される本作は138分。長っ。
月曜日からこんな夜更かしして大丈夫かよ私、と思いながら。
 
監督はイギリス出身のシンガーソングライター、ジェイムズ・サミュエル。
製作国はアメリカで、出演者はイギリス人とアメリカ人が入り交じっています。
 
幼い頃、目の前で両親を殺されたナット・ラブは、復讐を誓って生きてきた。
今は仲間のビル・ピケット、ジム・ベックワースを従え、
銀行強盗を働いた輩集団から金を強奪している。悪い奴らから頂戴するだけ。
 
ビルとジムがある強盗団を待ち伏せて金を奪い取り、
最後のひとりを撃ち殺そうとしたときに、そいつが妙なことを口走る。
「誰の金だと思っているんだ。タダじゃ済まねぇぞ」。
そのまま殺すのも気になって、そいつを連れてナットのところへ戻る。
 
ナットの夢は、両親を殺したルーファス・バックを殺すことだったが、
当のルーファスは死ぬまで獄中にいるはず。
ところがこのたび釈放されたとそいつは言うのだ。
 
信じようとしないナットの前に今度は昔なじみの警官バスが現れ、
ルーファス釈放が真実であることを知らされる。
ナットとバスは手を組み、ルーファスを仕留めようと決めて……。
 
西部劇はイマイチ得意じゃないのに、なんと面白いことよ。
ナットとバス、ピケット、ジム、そこに加わる美女メアリーとカフィー。
タランティーノ作品を観ているような気もちょっぴりします。
 
ナット役にジョナサン・メジャース、ルーファス役にイドリス・エルバ
実はこれを観に行こうと思ったのは、イドリス・エルバが出ていると知ったから。
憎いだけのはずの彼の隠された秘密を知ったときにはホロリ。
 
バス役には久しぶりに見るデルロイ・リンドー
彼はもうじき70歳なのですね。こんな爺ちゃんがいたら素敵だ~。
敵の紅一点、トルーディー役のレジーナ・キングがとても嫌な女で○。
メアリー役の美人、ザジー・ビーツも、
凄腕の女ボディガードのカフィー役、ダニエル・デッドワイラーもイカしています。
ジム役のRJサイラーって、氷川きよしに似てませんか。
 
上映終了時刻は23時50分。帰宅すると当然日付が変わっている。
でも面白い映画を2本続けて観られた日は、夜更かししても翌日しんどくない。

—–

2021年10月に読んだ本まとめ

2021年10月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:6529ページ
ナイス数:1789ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■護られなかった者たちへ (宝島社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】本日封切りです。観に行くと言ったら、複数の人から「震災の映画ですね」と言われました。原作を読んだ者としては、震災の映画というよりは生活保護の映画だと説明したくなる。利根、けいさん、カンちゃんが住んでいた場所も原作からイメージしていた雰囲気とはずいぶん異なります。瑛太も緒形直人もこれまであまり悪人を演じることはなかったと思うから、このキャスティングは奇抜。映画では犯人はバレバレ。何もかも震災のせいでこうなったと言いすぎの感があるような。桑田佳祐の主題歌はとてもいい。
読了日:10月01日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/18106934

■うちの社食がマズくて困ってます 総務部推進課 霧島梓の挑戦 (富士見L文庫)
働き方改革推進課へ飛ばされた主人公。何も教えてくれない同僚に好きにすればと言われて開き直り、健康診断受診の促進に始まり、イベントの発案、そしてマズすぎる社食の立て直しまで。現場の人を置き去りにせず、業者の人たちとしっかり話し合って納得できるものにしようとする姿が◯。ウチの職場のカレーフェアは「カレーライス、カレーうどん、カレースパゲッティ」で目が点になったことがあります(笑)。料理長の機嫌の良いときの日替わり定食はステーキランチ、悪いときはラーメンライスだったけど、後者は男性陣に大好評だったのを思い出す。
読了日:10月02日 著者:黒崎 蒼
https://bookmeter.com/books/16028059

■満月珈琲店の星詠み (文春文庫)
占星術にはまるで興味がないけれど、凹んでいる人の前に突如として現れる満月珈琲店は実に居心地がよさそう。前向きになって、気持ちが晴れる珈琲店。占星術には興味なしと言いながら、読み終わる頃にはどの天体がどのハウスに入っているのか気になって仕方がない。しかし身長2メートルの二足歩行の猫は怖いからやめて(笑)。バッティングセンターで見て衝撃を受けたキティちゃん投手を思い出してしまうんです。せめてその半分くらいの背丈でお願いします。巻頭の挿画が素敵すぎる。どれもこれも食べたいけれど、私はできればアルコールがいいな。
読了日:10月06日 著者:望月 麻衣
https://bookmeter.com/books/14637967

■黙過 (徳間文庫)
いやいやいや、たまげました。60頁前後の短編4つと160頁ほどの中編1つ。久坂部羊っぽいと思いながら読み始めた短編4つは、完全に独立した読み物でした。病院から突然消えた危篤患者。重病人のふりをする元官僚。子豚が忽然と消えた養豚場。科研費の不正受給に関わっていたと見られる研究者の自殺。それが中編に入ろうというとき、前の4つを必ず先に読むように言われる。えーっ、これが全部ひとつにまとまるのか。正直なところ、その4つはさして心に響くものではなかったのですが、最後にこうなるとは。お見事としか言いようがありません。
読了日:10月08日 著者:下村敦史
https://bookmeter.com/books/16445749

■稲荷書店きつね堂 ヨモギたちの明日 (ハルキ文庫 あ 26-13)
あら、最終巻ですか。こう言っちゃなんですが、冊数稼ぎにピッタシ、約200頁の読みやすいシリーズでした。もちろんそれだけではなくて、和む。帯に「さようならヨモギ」とあれば、彼が元の狛狐に戻るのだと思いきや、皆の想いが届く。しかし彼はこの先ずっと少年のままなのかしらん。読者の「学校はどうなっとるんだ」の謎は消えそうにありません。人間の姿でいられることになったとはいえ、尻尾はあるし、うっかり隠すのを忘れないようにね。いっそ狛狐の化身であることを明かしてしまえばいいかも。彼ならきっと誰からも受け容れられるでしょ。
読了日:10月10日 著者:蒼月 海里
https://bookmeter.com/books/18366314

■自由研究には向かない殺人 (創元推理文庫 M シ 17-1)
『女には向かない職業』を知っている人ならこの邦題に食いつきませんか。私も釣られた一人です。いくら自由研究だからって、解決済みとされる殺人事件を取り上げ、自殺した容疑者の無実を証明するだなんて。主人公の高校生ピップと容疑者の弟ラヴィ、共に良い子で賢すぎる。真相を解明することだけに走らず、解明することによって友人やその家族がどうなるか考えているところがいい。日本で翻案映画化しても面白いかもしれません。浜辺美波とかどうですか。それだと“屍人荘”になっちゃうか。でも剣崎さんよりはピップのほうが普通だと思う(笑)。
読了日:10月13日 著者:ホリー・ジャクソン
https://bookmeter.com/books/18277935

■年表で読む近代日本の身装文化
『日本人のすがたと暮らし 明治・大正・昭和前期の身装』『新聞小説の挿絵で見る近代日本の身装文化』の姉妹編に当たる、いわば完結編。これら3冊は〈近代日本の身装電子年表〉〈身装画像データベース「近代日本の身装文化」〉として国立民族学博物館のウェブサイトから公開中。「身体と装い」に関する事象をまとめた年表なので、読破するという本ではないけれど、拾い読みするだけでも面白い。『鬼滅の刃』の舞台である大正時代の装いを知るつもりで覗いてみるのもいいかも。とはいうものの17,600円、とても手が出ない。まずは図書館で。
読了日:10月14日 著者:大丸弘,高橋晴子
https://bookmeter.com/books/18719259

■デッドマン (角川文庫)
6つの死体からそれぞれ頭と胴体と四肢が持ち去られていたら、私のような凡人は、継ぎ接ぎだらけの人間を想像してそのおぞましさに涙目になってしまう。乙一の『暗黒童話』を読んだときと同じです。でもあっちは一体ではなかったから、こっちのほうがグロさはまだマシかもなどと思いながら。真相は継ぎ接ぎじゃなくてホッとしましたが、物語のどの部分よりもロボトミー手術の恐ろしさが頭にこびりついて離れません。そのような手術がおこなわれていたとおぼしき精神病院跡地を舞台にした映画『セッション9』(2001)を思い出して震えています。
読了日:10月15日 著者:河合 莞爾
https://bookmeter.com/books/8208920

■セイレーンの懺悔 (小学館文庫)
法曹、医療、音楽、映画、どんな分野の話でも書いてみせて、時にめちゃめちゃ面白く、そこまで行かずともまぁ面白い七里センセ。マスコミをテーマにした本作も勢いよく最後まで読ませてはくれますが、宮藤刑事を除く登場人物がちょい苦手。どんな時事ネタを盛り込もうが説教臭くならない七里センセが好きなのに、最後の熱弁は原田マハかと思いました(笑)。しかしシリーズ化されるならば、彼女が記者として成長していく過程を間近で見られるような楽しみもあるかもしれない。たぶんそのうち「ええ記者になったねぇ」と偉そうに言う私がいる(笑)。
読了日:10月16日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/16195870

■本と鍵の季節 (集英社文庫)
図書委員の男子高校生2人が主人公で、日常の謎を解くと来れば、爽やかな青春ミステリーを想像するじゃないですか。第1話で憧れの先輩から相談を持ちかけられてニヤニヤしていたら、夢は打ち砕かれます。えっ、そんな暗黒の設定なの!? 小市民シリーズを愛した人は必ずや気に入るでしょう。図書委員ならではの謎解きでありつつも能書きはほぼなくて、かつ、図書室に無縁の人にもわかりやすい説明。第4話の「ない本」では映画『FUNNY BUNNY』の「絶対に借りられない本」を思い出しました。時折苦く、悲しい。だから米澤穂信が好き。
読了日:10月19日 著者:米澤 穂信
https://bookmeter.com/books/18101443

■はぶらし (幻冬舎文庫)
友人とも言いがたい友人から連絡が来てしばらく泊めてくれなんて言われたら、即断るべきだと思う。断りきれずに承諾したとしても、歯ブラシを貸してと頼まれて買い置きを貸し、翌日新品を買ってきた友人が昨日使ったほうを返してきたら、そりゃもう即刻追い出すべきでしょう。感覚がズレている。そんなふうに始まるから、ものすごいイヤミスに違いないと思っていました。事実、終盤まで、盗癖もあって自己中な友人にしか見えません。だから、最後は呆然としてしまう。後悔のない人間関係について考える。結局、自己満足にしか過ぎないのですけれど。
読了日:10月20日 著者:近藤 史恵
https://bookmeter.com/books/8319732

■52ヘルツのクジラたち (単行本)
凄惨な主人公の人生。育児放棄に遭ったうえに介護要員にさせられ、ようやく親から離れた後にまだまだ不幸が訪れる。いったいどうやって生きていけばいいというのか。いちばん心に染みたのは、「私のことが好きですか」と尋ねた相手が、「あなたのしあわせを祈るくらいには」と答えるくだり。一緒に泣くのは割と簡単。だけどその人の幸せを心底喜べる相手って、実はそんなにいない。ちょうど直前に近藤史恵の『はぶらし』を読んだから、"人にやさしくするのは、ドラマほど簡単じゃない"。でも、簡単じゃないからこそ、こうだったらいいなと思う。
読了日:10月21日 著者:町田 そのこ
https://bookmeter.com/books/15533416

■豹変 (角川文庫)
先日観た『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』をそのまんま思い出してしまうような設定です。『死霊館』では、悪魔に取り憑かれた少年を祓ったら、その場に居合わせた青年に悪魔が乗り移り、青年が殺人を犯します。本作同様に、悪魔憑きだということを関係者に納得してもらわなきゃならない。目を丸くする刑事の姿なども可笑しくて、怖いけど見入ってしまうホラーでした。しかも実在の心霊研究家の体験談に基づいているのですから。あら、本の感想のはずが、ほとんど映画の話になっちゃった。富野さんは心霊研究家のアシスタントも務められそうです。
読了日:10月22日 著者:今野 敏
https://bookmeter.com/books/13117573

■店長がバカすぎて (ハルキ文庫 は 15-1)
学生の頃に小さな書店でバイトしていた身としては、グイッと興味を惹かれます。店長、社長、同僚、客、そして自分にもイライラした日を思い出す。しかし、覆面作家の正体が序盤でバレバレすぎませんか。まさか私ごときの推理が当たったまんまで終わることはあるまいなと思ったのに、そうですか。別にそれが話の肝というわけじゃないからいいけれど、正体について延々と取り沙汰される場面はちょっと白けちゃいました。気づけよ(笑)。そこを差し引いてもじゅうぶんに面白かったことは間違いありません。バカバカ言ってるほうがバカ。人は自分の鏡。
読了日:10月24日 著者:早見 和真
https://bookmeter.com/books/18229943

■身分帳 (講談社文庫)
劇場鑑賞した後すぐ読もうと思って購入したのに、気がつけば8カ月経過。フィクション仕立てのノンフィクション。原作では44歳とのことだから、役所広司では歳を食いすぎだけど、彼のイメージでしか頭に入ってきません。周囲は本当にこんなにいい人ばかりだったのだろうかと確かに思わなくもない。でもこの純朴さを知れば、彼を気にかけたくなったでしょう。弁護士役の橋爪功、ケースワーカー役の北村有起哉、スーパーの店主役の六角精児の温かさを思い出すと共にキムラ緑子の台詞が蘇る。「シャバは我慢の連続だってさ。でも、空は広いってよ」。
読了日:10月27日 著者:佐木 隆三
https://bookmeter.com/books/15957560

■EVIL 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫)
こんなところでto be continuedとは。藤堂比奈子シリーズなら上下巻となりそうな展開。そろそろ大詰めということなのでしょうか。昭和前半と現代を行ったり来たり、突飛なはずなのに違和感なく、物語に毎度没頭させられます。なぜだか最近狐憑きや悪魔憑きの話に縁があり、これもそうだからビビる。おぞましいプロローグに始まり、憑かれた人を切り刻めば祓えると信じている様子を想像すると怖すぎます。ケッペーが初心を忘れることはきっとない。死んじゃう伝説は吹き飛ばして、立派なおまわりさんになって。次、早くお願いします。
読了日:10月29日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/18480722

■そして、バトンは渡された (文春文庫)
瀬尾まいこの本は、温かいエンディングを迎えるものと、最後にどん底に突き落とされるものと、二通りあるように思います。どちらも切なさを伴いつつ。本作は映画版の予告編を観たとき、どん底とは言わないまでも、隠されていた秘密のようなどんでん返しがあるのかと思っていました。温かいまま終わってくれてよかった。ごはんと音楽、どっちも大事だけど、食べなきゃ死ぬから、音楽よりごはんだと私も思った。でも、どんな人にも届くのは音楽。瀬尾さんの作品ではいつも食べ物と音楽が絶妙のスパイス。ちなみに私は朝からカツ丼食べられます(笑)。
読了日:10月31日 著者:瀬尾 まいこ
https://bookmeter.com/books/16239752

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