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『そして、バトンは渡された』

『そして、バトンは渡された』
監督:前田哲
出演:永野芽郁,田中圭,岡田健史,稲垣来泉,朝比奈彩,安藤裕子,
   戸田菜穂,木野花,石原さとみ,大森南朋,市村正親他
 
109シネマズ箕面にて、仕事帰りに2本ハシゴの2本目。
 
2019年の本屋大賞受賞作。原作のレビューはこちら
なんと監督はハシゴの1本目だった『老後の資金がありません!』と同じ、前田哲。
瀬尾まいこ原作の小説の映画化は、好きなとき嫌いなときがあります。
そして、前田監督の作品も、とても好きなときイライラもやもやするときがある。
これはどうやら後者✕後者、つまり私にはどうにも受け入れがたい作品でした。
 
泣き虫でみぃみぃ泣いてばかりだから、みぃたん(稲垣来泉)。
実の母親はみぃたんを産んでまもなく他界。
父親の水戸秀平(大森南朋)は男手ひとつでみぃたんを育ててきたが、
あるとき綺麗なお姉さん、梨花さん(石原さとみ)と再婚する。
 
しかし水戸は仕事でブラジルへ行くことになり、梨花さんはついて行かないと言う。
パパと一緒にブラジルへ行くか、このまま梨花さんと日本で暮らすか。
悩んだ末、みぃたんは梨花さんと残ることを選ぶ。
 
というみぃたんと梨花さんの生活が描かれる一方で、こんな生活も描かれます。
 
高校3年生の優子(永野芽郁)は、継父の森宮壮介(田中圭)と二人暮らし。
高校生の父親として森宮はいささか若すぎるが、
優子のママが森宮と再婚後しばらくして出て行ってしまい、
森宮はずっとひとりで優子の面倒を見てくれているのだ。
 
原作未読でも既読でも映画を楽しみにされている方はこの先を読まないでください。
原作が好きだった私としては、どうしてこんなふうに映画化したんだろうと疑問ばかり。
 
まず、原作には「みぃたん」と呼ばれる少女はどこにも出てきません。
みぃたん=優子で、原作では優子は幼いときも今もずっと「優子ちゃん」。
それをわざわざみぃたんとしたのは、みぃたんが優子だと気づいたときに
映画鑑賞者が驚くようにという仕掛け以外の何物でもないでしょう。
そんなことをする意味があったとは私には思えない。
 
そして、映画のほうが原作よりもずいぶんと意地が悪い。
原作では優子には心を許せる友だちがいたのに、映画ではひとりもいない。
それどころか、何を言われようがへらへらと笑っている優子はうざがられています。
初めて彼女の友だちになったのは、優子の生い立ちを先生から聞いたいじめっ子たち。
あんなに嫌みばかり言っていたのに、いきなり優しくなるって。
それで友だちになりますか。表面的には仲良くできても、親友なんて無理でしょ。
 
原作では、父親が3人、母親が2人いるにもかかわらず、
誰からもたっぷりの愛情をかけられて育った優子が、
先生や周囲の人たちから「本当は大変なんでしょ」と思われていることに困惑していました。
まるで誰しもが、こういう境遇の子どもは不幸に違いないと決めつけていて、
それを望んでいるかのようにすら思えることに困っているのです。
 
でも映画では梨花さんとの暮らしでずいぶん苦労していて、
それを押し隠しながら今まで来た子どものような印象を受けます。
短大卒業後の就職先も原作とは異なり、大きなところへ就職して辞める。
つまり、原作にはなかった苦労がいっぱい描かれているのです。
 
梨花さんの描き方にも違和感がつきまとう。
子どもを産めない体の梨花さんが再婚で子どもを手に入れ、
みぃたんを手放したくないがためになりふりかまわず男を捜し、
最後には病気が再発して死んでしまうのですから。
原作では梨花さんは死にません。
 
泣く方向へ持って行きたかったのだろうと思わざるを得ない。
始終もやもやして、途中で退席したくなるほどでした。
だけど映画レビューサイトを見ると、ものすごい高評価です。
あーそうですか、私のほうがアマノジャクなんですね。はいはい。ムリっ!(笑)

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『老後の資金がありません!』

『老後の資金がありません!』
監督:前田哲
出演:天海祐希,松重豊,新川優愛,瀬戸利樹,加藤諒,柴田理恵,石井正則,
   竜雷太,藤田弓子,哀川翔,毒蝮三太夫,三谷幸喜,草笛光子他
 
ペナントレースも終わったので、終業後に2本鑑賞モードを再開。
緊急事態宣言中は劇場も時短営業だったから、2本観ようにも観られませんでした。
それが再びできるようになったのは嬉しいことだけど、体はキツイ(笑)。
 
垣谷美雨の同名小説の映画化。この作家のことは嫌いではないのですが、
シリーズみたいなタイトルに食傷気味で、それほど読んでいません。
『あなたの人生、片付けます』『子育てはもう卒業します』『あなたのゼイ肉、落とします』、
『夫の墓には入りません』『姑の遺品整理は、迷惑です』『うちの父が運転をやめません』。
うーん、もうタイトルだけでおなかいっぱい。で、本作も原作未読です。
でも、惹かれるタイトルではありますね。観ますとも。
 
50代の主婦・後藤篤子(天海祐希)。
会社員の夫・章(松重豊)と長女・まゆみ(新川優愛)、長男・勇人(瀬戸利樹)の4人家族。
平均的な生活レベルで、一戸建ても購入し、上手くやりくりしてきたはず。
 
ところが、老舗の和菓子屋を営んでいた舅が亡くなってからがさぁ大変。
章の妹・桜井志津子(若村麻由美)とその夫・秀典(石井正則)から
「喪主はお兄ちゃんね。葬儀の費用も全部そっちで持って」と言われ、
断ろうとすると「これまでこっちでこんなにあれこれ払ってきた」と帳面を広げられる。
 
老舗のプライドがある姑の芳乃(草笛光子)の手前、あまり貧相な葬儀はできず、
最も大きな会場を借りて香典をアテにしたのに、会葬者はわずか30名。
かかった費用は400万円近くになり、後藤家の貯金の半分以上をつぎ込む結果に。
 
さらには娘のまゆみがワケのわからぬバンドマン・松平琢磨(加藤諒)とデキ婚。
琢磨の実家が宇都宮では知らない人がいないほどの餃子チェーン店ゆえ、
結婚式は多くの芸能人が利用している式場で挙げると言うではないか。
 
舅と姑には毎月9万円の仕送りをしてきたが、とてももう出していられない。
その件をめぐって志津子と言い争いになったため、
篤子は「お義母さんはこちらで預かります」と宣言してしまい……。
 
家のローンをまだまだ払い続けなければならないというのに冠婚葬祭。
そんなときに限って家電が壊れたり、パートをクビになったり。
妻のパートがなくなっただけでも家計が直ちに苦しくなるところへ、
夫の会社まで倒産したらどうしますかね。
 
妻がどれほど苦労して家計を切り盛りしているかに夫は無頓着。
娘も息子もお金は降ってくるとでも思っているのか。
嫁に行ったはずの娘はたびたび実家へ帰ってきて、
愛想のひとつも言わずに食料になりそうなものを根こそぎ持って行く。
もう本当に泣きたくなることでしょう。
 
本作ではそれを回避する手段が謳われているわけではありません。
ただ、観て「あるある」と笑えることは確か。
映画の出演者たちにこんな思いをしたことのある人がどれだけいるのか。
彼らが演じるのを見て、貯金が少なくて心配になるのは自分だけじゃないと思えるかどうか。
 
なんと言ってもいちばん笑ったのは、
姑役の草笛光子の「私、昔、宝塚を目指していたのよ」という台詞に対して、
「私もです!お義母さん!」と興奮しながら言った嫁役の天海祐希に向かって、
草笛光子が「あなたは無理よ」とせせら笑うシーンでしょう。
映画ならではのジョークで可笑しかった。ふきました。
 
中高年層にはオススメです。

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『ひらいて』

『ひらいて』
監督:首藤凜
出演:山田杏奈,作間龍斗,芋生悠,山本浩司,河井青葉,木下あかり,
   鈴木美羽,田中偉登,板谷由夏,田中美佐子,萩原聖人他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『DUNE/デューン 砂の惑星』とハシゴ。
 
封切り直後の週末は、朝イチで舞台挨拶付きの上映があり、
それはそれは結構な客の入りだったようです。
主演の子が人気なのかな、でも私、知らないし。
と思ったら、『ジオラマボーイ・パノラマガール』でも主演していた子なのか。
あのときは冴えない女子高生でしたが、
本作では可愛くて賢くて気が強くて、いけ好かん女子(笑)。
 
原作は芥川賞作家、綿矢りさの同名小説。
彼女の小説は芥川賞らしく読みにくいけど、映画化するとそうでもなくなりますね。
 
高校3年生の木村愛(山田杏奈)はクラスの人気者。モテるけれど彼氏はいない。
1年生のときから同じクラスの西村たとえ(作間龍斗)に密かに片想いしているから。
 
ところがあるとき、たとえに秘密の彼女がいることを知る。
その彼女とは、持病があっておとなしく友だちもいない新藤美雪(芋生悠)。
許せない思いに囚われた愛は、美雪に近づき、たとえのことを聞き出す。
そして愛の意中の相手が美雪だと思い込ませる。
 
高校で初めて友だちができたことを美雪は純粋に喜ぶ。
たとえとはキスもしたことがないという美雪に愛は迫り、肉体関係まで結ぶのだが……。
 
怖いんです、愛が。
美雪からたとえに送られた手紙を盗んで読み、嫉妬に狂いそうになる。
1型糖尿病の美雪のことを理解しているふうに近づき、
美雪はすっかり愛に心をひらいてしまいます。
 
美雪を見下し、何でも自分の思い通りにできると信じている愛。
でもたとえはそんな愛を見抜いていて、誘惑しても乗ってきてくれない。
イライラを募らせる愛を見て、いい気味だと感じます。(^^;
 
でも、たとえと美雪にもイライラする。
たとえのろくでなしの父親(萩原聖人)の評は愛の言うことが正しい。
ふたりに代わって彼をぶったたく愛にはスッキリしました。
 
愛の母親役に板谷由夏、美雪の母親役に田中美佐子。どちらもイイ。
「お母さんのこと、大好きだから」という美雪の表情もよかったなぁ。
 
美雪役の芋生悠はまだ23歳ですが、『ソワレ』(2020)でとっとと脱いでいます。
愛と美雪の絡みのシーンで悠ちゃんだけ裸体を披露させられるのではと心配していましたが、
それはなかった。ふたりとも何も見えないから、同じ扱いでよかったです(笑)。
 
ちょっといびつな青春。

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『DUNE/デューン 砂の惑星』

『DUNE/デューン 砂の惑星』(原題:DUNE)
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ティモシー・シャラメ,レベッカ・ファーガソン,オスカー・アイザック,
   ジョシュ・ブローリン,ステラン・スカルスガルド,デイヴ・バウティスタ,ゼンデイヤ,
   シャーロット・ランプリング,ジェイソン・モモア,ハビエル・バルデム他
 
先週、月曜日は仕事帰りにイオンシネマ茨木にて2本ハシゴしてへろへろ。
火曜日はどうせ負けると思いつつ直帰して阪神の最終戦をテレビ観戦。案の定、負ける(泣)。
水曜日はもうCSが始まるまで野球に用はないことだしと思い、
109シネマズ大阪エキスポシティにて2本ハシゴして帰ることにしました。
 
封切りから10日ほど観ずにいたのは、これも長尺だからです。155分。
しかもなんとなく睡魔に襲われそうな雰囲気がなきにしもあらず。
 
原作はフランク・ハーバートのSF巨編で、第1弾が刊行されたのは1965年のこと。
それを含めて計6冊が1985年に至るまでに刊行されましたが、
1986年にフランク・ハーバートが他界して未完に終わってしまいました。
 
アレハンドロ・ホドロフスキーが映像化に挑んだものの挫折。
1984年にイタリアの有名プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが手がけ、
デヴィッド・リンチがメガホンを取って本作の映画化に初めて成功。
しかし、監督本人がその出来に満足するものには遠く及ばず。
 
そんな「とっても無理」な作品にこのたび挑んだのは、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。
私がこの監督を知ったのは、『灼熱の魂』(2010)です。
これを劇場で観なかったことを10年以上建った今も後悔しているから、
以後、この監督の作品は決して見逃さないようにしています。
『メッセージ』(2016)以降は本作まで3作続けてSF。もうすっかりSF作品の監督のイメージ。
現代が舞台のドラマもまた撮ってほしいけど、何にせよ好きだなぁ。
 
砂に覆われた惑星アラキス、通称デューン。ここでは貴重な香料が産出される。
宇宙帝国の皇帝に命じられてデューンを統治しているのは、ハルコンネン家。
その長であるハルコンネン男爵は、デューンに暮らす砂漠の民フレーメンを弾圧してきた。
 
あるとき皇帝は、デューンの統治をハルコンネン家からアトレイデス家に変更すると言い渡す。
しかしこれは両家をいがみ合わせようという皇帝の罠。
皇帝はハルコンネン男爵にアトレイデス家を殲滅させようとする。
 
襲われたアトレイデス男爵は命を落とすが、その息子ポールと、
彼の母親(アトレイデス男爵の側女)ジェシカはなんとか生き延び、
フレーメンに協力を求めるため、砂漠をさまよい歩くのだが……。
 
こんな感じで合っているのかなぁ、あらすじは。
SFを観るといつも、そのときはわかっているつもりでも後から書こうとすると「ん?」となります。
 
中盤に差しかかると懸念通り睡魔に襲われたのですが、それも一瞬だけ。
広大な砂漠が幻想的に思えて、見入りました。
 
キャストも魅力的です。
このふたりは生き残るからいいのですけれど、
いい役者が早いうちに次々と亡くなるのは残念な気も(笑)。
アトレイデスの戦士役、ジョシュ・ブローリンジェイソン・モモアがそうです。
誇り高く死すアトレイデス男爵役のオスカー・アイザックもタイプじゃないけどイケメン親父。
笑ったのはデブすぎて浮遊するハルコンネン男爵役のステラン・スカルスガルド
いちばん死んでほしい役柄だったのに、しぶとく生きてます。(^^;
フレーメンの長役がハビエル・バルデムなのは嬉しいですね。
 
この先、何作目まで映画化するつもりか知りませんが、
まだ1作目ですから、面白いかどうかの判断もできません。
ただ、次も観たいのは確かです。
美少年ティモシー・シャラメが今後どんなオッサンと化すのかも同時に興味あり。
 
砂の中をダダーッと走ってガボッと出てくる砂虫、怖いよ。

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『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野』

『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野』(原題:The Harder They Fall)
監督:ジェイムズ・サミュエル
出演:ジョナサン・メジャース,ザジー・ビーツ,イドリス・エルバ,レジーナ・キング,
   デルロイ・リンドー,ラキース・スタンフィールド,ダニエル・デッドワイラー他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『最後の決闘裁判』の次に。
 
11月3日(つまり明日)よりNetflixで独占配信されるオリジナル作品
一足先の10月22日から劇場公開されています。
契約しているんだから家で観てもいいのですけれど、
なんとなく大きな画面で観ようかという気持ちになりました。
 
が、しかし、『最後の決闘裁判』は上映時間153分。
その後25分空けて上映される本作は138分。長っ。
月曜日からこんな夜更かしして大丈夫かよ私、と思いながら。
 
監督はイギリス出身のシンガーソングライター、ジェイムズ・サミュエル。
製作国はアメリカで、出演者はイギリス人とアメリカ人が入り交じっています。
 
幼い頃、目の前で両親を殺されたナット・ラブは、復讐を誓って生きてきた。
今は仲間のビル・ピケット、ジム・ベックワースを従え、
銀行強盗を働いた輩集団から金を強奪している。悪い奴らから頂戴するだけ。
 
ビルとジムがある強盗団を待ち伏せて金を奪い取り、
最後のひとりを撃ち殺そうとしたときに、そいつが妙なことを口走る。
「誰の金だと思っているんだ。タダじゃ済まねぇぞ」。
そのまま殺すのも気になって、そいつを連れてナットのところへ戻る。
 
ナットの夢は、両親を殺したルーファス・バックを殺すことだったが、
当のルーファスは死ぬまで獄中にいるはず。
ところがこのたび釈放されたとそいつは言うのだ。
 
信じようとしないナットの前に今度は昔なじみの警官バスが現れ、
ルーファス釈放が真実であることを知らされる。
ナットとバスは手を組み、ルーファスを仕留めようと決めて……。
 
西部劇はイマイチ得意じゃないのに、なんと面白いことよ。
ナットとバス、ピケット、ジム、そこに加わる美女メアリーとカフィー。
タランティーノ作品を観ているような気もちょっぴりします。
 
ナット役にジョナサン・メジャース、ルーファス役にイドリス・エルバ
実はこれを観に行こうと思ったのは、イドリス・エルバが出ていると知ったから。
憎いだけのはずの彼の隠された秘密を知ったときにはホロリ。
 
バス役には久しぶりに見るデルロイ・リンドー
彼はもうじき70歳なのですね。こんな爺ちゃんがいたら素敵だ~。
敵の紅一点、トルーディー役のレジーナ・キングがとても嫌な女で○。
メアリー役の美人、ザジー・ビーツも、
凄腕の女ボディガードのカフィー役、ダニエル・デッドワイラーもイカしています。
ジム役のRJサイラーって、氷川きよしに似てませんか。
 
上映終了時刻は23時50分。帰宅すると当然日付が変わっている。
でも面白い映画を2本続けて観られた日は、夜更かししても翌日しんどくない。

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