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『アイの歌声を聴かせて』

『アイの歌声を聴かせて』
監督:吉浦康裕
声の出演:土屋太鳳,福原遥,工藤阿須加,日野聡,大原さやか,
     浜田賢二,津田健次郎,咲妃みゆ,カズレーザー他
 
観そびれていたアニメ作品が日に一度だけまだ上映中。
イオンシネマ茨木にて。
 
コミックの映画化が多いなか、本作は吉浦康裕監督によるオリジナル。
原作も脚本も監督自身だというのはまぁまぁ珍しいような。
私は観たことがないけれど、『イヴの時間』(2008)の監督です。
 
タイトルの「アイ」は人の名前ではなく、AI(人工知能)のことです。
 
高校生のサトミが暮らしているのは、星間エレクトロニクスという大企業のある実験都市。
この町では星間エレクトロニクスが開発したロボットが農業などに従事している。
サトミの母親は星間エレクトロニクスの研究員で、現在、一大プロジェクトのリーダー。
 
ある日、母親の極秘プロジェクトで試験中の少女型AI“シオン”が
AIであるとは明かさずに転校生として学校に送り込まれることを知ったサトミ。
先生に連れられてやってきたシオンは、サトミを見つけるとなぜか一目散に走り寄る。
 
「サトミ、幸せ?」といきなり尋ねるシオンは急に歌い出し、学校中から変な子認定されるが、
成績優秀、スポーツ万能、変わっている点を除けば明るくて良い子。
皆が友だちになりたがるのに、シオンはサトミを追いかけ回す。
 
シオンがもしもバグなどを起こしてトラブルになれば、母親の立場が危うい。
逆に試験期間の5日間だけシオンが普通に振る舞うことができれば、母親の出世は間違いない。
なんとかシオンを守ろうとするサトミだったが、懸念通りトラブル発生。
偶然その場に居合わせた同級生4名にシオンの正体がバレてしまい……。
 
母親には結構イライラします。
男社会の中でやっかみを受けながらがんばる母親の気持ちは理解したいけれど、
自分が開発したAIを娘の学校で試用するのに、娘に何も知らせない。
娘が母親のためにトラブルを隠そうと必死なのに、上手く行っていると信じて疑いません。
トラブルが明らかになるとヤケ酒を煽って娘に八つ当たり。どうよこれ。
 
サトミが学校の嫌われ者だという設定は新鮮。
優等生だけど、かつて上級生の喫煙を先生にチクったことから、「告げ口姫」と呼ばれています。
そんな彼女には誰も近づこうとしない。シオンだけが近づいてくる。
やがて告げ口をした理由も明らかになり、そこはわりとジワーン。
 
シオンの声を担当するのは土屋太鳳
実写映画でヒロインを演じるときの彼女が声を作っていると揶揄されることがありますが、
本作のシオンにはその声がとても合っています。歌も上手い。
サトミの幼なじみで機械マニアのトウマの声は工藤阿須加が担当。彼も良いですねぇ。
 
このところ、AIが友だちみたいな作品が多くて、大丈夫かなのか子どもたち、と思ったりも。
科学バカの私は、AIがネットに逃げるとか、実際に考え得るのかどうか不明。
そのうちAIは本当に感情を持つようになるのでしょうか。もうなっていたりします?
本作ではそれがよかったけれど、悪用されると怖いなぁ。
科学による発明って、誰がどういう目的を持って使うかでやっぱり変わる。

—–

『エターナルズ』

『エターナルズ』(原題:Eternals)
監督:クロエ・ジャオ
出演:ジェンマ・チャン,リチャード・マッデン,クメイル・ナンジアニ,リア・マクヒュー,
   ブライアン・タイリー・ヘンリー,ローレン・リドロフ,バリー・キオガン,
   マ・ドンソク,アンジェリーナ・ジョリー,キット・ハリントン,サルマ・ハエック他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
『ノマドランド』で非白人女性として初のオスカーを受賞したクロエ・ジャオ監督。
その次に撮ったのがマーベル作品だなんて、ちょっとびっくりしませんか。
 
まったく、どんだけ引っ張り続けるのよ、“アベンジャーズ”
あれだけ人気だったシリーズを終わらせてしまったから、どれもこれも「その後の世界」。(^^;
 
アベンジャーズならぬ“エターナルズ”。
太古の昔から地球に存在し、人知れず人類を見守ってきた不死の種族。
邪悪なディヴィアンツを倒して人類を守るのが彼らの使命で、
ディヴィアンツが現れるたびにエターナルズが戦ってきた。
 
メンバーは、セルシ(ジェンマ・チャン)、イカリス(リチャード・マッデン)、キンゴ(クメイル・ナンジアニ)、
スプライト(リア・マクヒュー)、ファストス(ブライアン・タイリー・ヘンリー)、マッカリ(ローレン・リドロフ)、
ドルイグ(バリー・キオガン)、セナ(アンジェリーナ・ジョリー)、ギルガメッシュ(マ・ドンソク)。
 
ようやくディヴィアンツを殲滅したことから、エターナルズは解散。
地球で人間にまじり、平穏な毎日を送っていたが、
あるとき、殲滅したはずのディヴィアンツが現れる。
しかもエターナルズが知っているディヴィアンツよりもさらに強くなっている。
 
再びエターナルズが集結して人類を守らねばならないと、
リーダーであるエイジャック(サルマ・ハエック)のもとを訪ねたセルシとイカリス、スプライト。
ところがエイジャックはディヴィアンツに襲われて息絶えていた。
新しくリーダーとなったセルシは、離ればなれになっていたメンバーを集め、
なんとか人類を救おうとするのだが……。
 
いつも言っているように、覚えられないんです、
私にはイカリスが“スーパーマン”にしか見えません。
スーパーマンのヘンリー・カヴィル(次期ジェームズ・ボンドとも噂される人)と
イカリスのリチャード・マッデンの雰囲気が似ていることもあり、
終盤まで私はイカリス=スーパーマンだと思い込んでいました。
だから、えっ、スーパーマンってこんなに悪い人なのとびっくらこいた。あ、ネタバレだ。(^^;
 
最近の映画の傾向としてよく見られるのは、女性がリーダーであること。
アジア人、黒人、聴覚障害者、ゲイの人が含まれていること。
どんな人間であれ、スーパーヒーローになれるよという示唆が必ずあります。
 
いちばんウケたのは、セナとギルガメッシュの2ショットですけどね。
アンジェリーナ・ジョリーとマ・ドンソクのカップルを見られるなんて、想像できませんでした。
 
劇場で観ないならばどうでもよい作品かもしれません。
とはいえ、自分の彼女が魔術師以上のものだと知ったときの彼(キット・ハリントン)の顔は切なかったな~。
バリバリ続編におわせてのエンディングです。

—–

『リスペクト』

『リスペクト』(原題:Repect)
監督:リーズル・トミー
出演:ジェニファー・ハドソン,フォレスト・ウィテカー,マーロン・ウェイアンズ,オードラ・マクドナルド,
   タイタス・バージェス,マーク・マロン,ヘイリー・キルゴア,セイコン・セングロー,ヘザー・ヘッドリー他
 
109シネマズ箕面にて。
 
“クイーン・オブ・ソウル”と呼ばれる女性シンガー、アレサ・フランクリンの伝記映画。
彼女の曲は学生時代によく聴いたのに、こんな生涯だったとは知らなかった。
 
テネシー州メンフィスに生まれ、ミシガン州デトロイトで育ったアレサ。
父親は有名な教会の牧師。優れたゴスペルシンガーの母親とは別居中。
アレサ姉妹は厳しい父親のもと、祖母の世話で暮らしている。
 
父親は自宅に人が集まるたびにアレサに歌わせたがり、
幼い頃から彼女は天才少女として注目される。
大好きだった母親が急逝した折にはしばらく口を利けなくなったものの歌い続け、
やがて父親の熱心な売り込みにより、レコードデビューを飾る。
 
何でもいいからとにかくヒットさせたい父親。
そこに疑問を持たず、言われるがままの選曲で歌っていたアレサだが、
あるとき、“ブルースの女王”と謳われていたダイナ・ワシントンから、
いったい何を歌いたいのかと問われる。答えられないアレサ。
 
その後も鳴かず飛ばずの日が続き、出会ったのはテッド・ホワイト。
悪い噂ばかりのテッドとの交際に父親は断固として反対するが、
アレサはテッドと結婚、彼がマネージャーを務めることになり……。
 
何が驚いたって、アレサがまだ生理が始まったかどうかぐらいの少女の頃、
自宅にやってきた客のうちのひとりからレイプされて妊娠したということ。
こんな事実があったとは知らなかったので、愕然としました。
彼女は何も悪くないのに、レイプされたのは自分のせいだと責め続けた様子。
娘を支配下に置いておきたかったのであろう父親の態度も残酷です。
 
勘当も覚悟して一緒になったテッドは、最初こそよかったけれど、とんだDV亭主
自身を制御することができなくて、アレサを殴る。
とっとと別れればいいのに、詫びられると元サヤに戻ってしまうんですね。
 
大変な人生を送ったアレサ。
酒に溺れたりもして、見ているのが辛いところもありましたが、
黒人バンドと組むと聞かされていたのに、行ってみれば白人バンド。
しかしバンドの面々は人種差別主義者などではありません。
良い音楽を作れるならば、人種なんてまったく関係ないと思っている。
アレサと彼らが奏でる音楽はサイコー。
 
『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』と併せて観るのがお薦めです。

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『ほんとうのピノッキオ』

『ほんとうのピノッキオ』(原題:Pinocchio)
監督:マッテオ・ガローネ
出演:ロベルト・ベニーニ,フェデリコ・エラピ,ロッコ・パパレオ,マッシモ・チェッケリーニ,
   マリーヌ・ヴァクト,ジジ・プロイエッティ,パオロ・グラジオッシ,マリア・ピア・ティモ他
 
ヤケ映画の2本目。
1本目と同じく大阪ステーションシティシネマにて。
 
マッテオ・ガローネ監督の作品はいつも、すごく良かったとかじゃないのに、
ただいつまでも頭の中に残ります。不穏な雰囲気がたまらない。
 
“ピノッキオ”はイタリアの作家カルロ・コッローディによる児童文学。
1880年代に出版され、今なお読み継がれている物語です。
でも、小さいころ読んだこの話をあまり覚えていません。どんな話でしたっけ。
ピノッキオと名付けられた木の人形で、嘘をつくと鼻が伸びる。
その程度の記憶しかないんです。こんなに試練がありました?
 
ある日、木工職人のジェペットは、近所にやってきた移動人形劇に目を奪われる。
自分もあんな人形を作れるのではないかと考えた彼は、
サクランボ親方のもとを訪ね、丸太を分けてほしいと頼む。
ちょうどその直前、するすると勝手に動く丸太に驚いていたサクランボ親方は、
一も二もなくジェペットにその奇妙な丸太を持ち帰らせる。
 
勝手に動く丸太だとは思いもしないジェペットは、さっそく人形を作り始める。
するとその人形がしゃべり出す。
びっくりしつつも、まるで子どもができたようだと大はしゃぎするジェペット。
その人形をピノッキオと名付けて可愛がる。
 
しかしなかなかやんちゃなピノッキオは、ジェペットの言うことを聞こうとしない。
勝手に駆け出すわ、わがままを言うわ、好き放題。
ジェペットが自らの衣類を売ってまで用意した教科書をピノッキオはひそかに買い戻させると、
その金で移動人形劇を観に。楽しくて仕方がない。
そしていつのまにか一座と一緒に車に乗せられてしまって……。
 
すぐに泣くおしゃべりコオロギだとか、床をぬるぬるにするカタツムリとか、
人面魚みたいなマグロとか、ダークな感じが面白い。
ゴリラの裁判長の裁判などは、善人が投獄されて悪人は生き延びるのが世の中だと言いたげで、
ピノッキオってこんなに奥深い話だったんだなぁと今さらながら驚きます。
 
妖精役のマリーヌ・ヴァクトがとても美しいと思ったら、
イヴ・サンローランやルイ・ヴィトンのモデルなのですね、この人。
『フランス、幸せのメソッド』(2011)にモデル役で出演したのが女優になるきっかけとのこと。
そのときはまだ20歳。30歳になった今、さらに美しい。
 
ピノッキオを騙す男ふたりの描写がかなり気持ち悪いし(笑)、
ハリウッド作品とはまるで違うから、万人受けはしそうにありません。
ジャン=ピエール・ジュネがお好きな人なんかはお気に召すのでは。
ヨーロッパのファンタジーだなぁ。

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『アンテベラム』

『アンテベラム』(原題:Antebellum)
監督:ジェラルド・ブッシュ,クリストファー・レンツ
出演:ジャネール・モネイ,エリック・ラング,ジェナ・マローン,ジャック・ヒューストン,
   カーシー・クレモンズ,ガボレイ・シディベ,マルク・リチャードソン,リリー・カウルズ他
 
CS(クライマックスシリーズ)第1戦の敗戦に打ちひしがれ、ヤケ酒ならぬヤケ映画。
もっと明るい作品を観ればよいものの、時間的にちょうどよかったのがこれ。
大阪ステーションシティシネマにて。
 
監督は本作で長編デビューを飾ったコンビ、ジェラルド・ブッシュとクリストファー・レンツ。
批評家の評判は芳しくないそうですが、私にはかなり面白かった。暗いけど。
 
アメリカ・ルイジアナ州、綿花を栽培するプランテーション
奴隷として白人に虐げられている女性エデンは、何度か脱走を試みたが失敗。
毎晩のように陵辱され、声を潜めながら次の脱走を計画している。
 
一方、黒人女性のリーダーとして活躍するベストセラー作家ヴェロニカ。
いくら知名度が上がろうとも、ホテルで、レストランで、まだまだ差別を受けている。
ある日、友人たちと食事した後、何者かに拉致されて……。
 
どこから話してもネタバレになりますので、鑑賞予定の方はご注意ください。
 
エデンとヴェロニカはジャネール・モネイの一人二役。
エデンは南北戦争前夜の時代に生きる女性。ヴェロニカは現代に生きる女性。
同じ容貌のふたりの人生が交錯する、てな話かと思っていました。
 
そうしたら、このふたりは本当に同一人物だったのですよ。
160年の時を超えて、とかではなく、どちらも現代。
 
最初に「えっ!?」と思ったのは、エデンを手込めにしている白人のオッサンが、
夜中にスマホの音で目覚めるシーンです。
1860年代にスマホってなんでなの、どーゆーこと!?と目が点に。
ありえないファンタジー仕様の映画なのかこれは?と、疑問がぐるぐる頭の中を回る。
その謎がわかるのは最後の最後なんですけれど。
 
拉致されたヴェロニカが連れて行かれたのがこのプランテーション。
エデンと名乗らされ、過酷な日々を送らされている。
プランテーション自体がテーマパークだとわかるのはラストシーンで、
なんたる悪趣味なテーマパークなんだとたまげました。
 
こんなテーマパークを作るのは人種差別主義者以外の何者でもないわけで、
ジェナ・マローン演じる地主の妻かと思われた女がテーマパークの経営者一家のひとり。
命懸けの脱走をはかったエデン=ヴェロニカを物凄い形相で追いかけながら、
「私だけ殺したところで、この状況は変わらない」と告げるのが怖い。
 
いつになろうが人種差別主義者は必ず存在する。
ヴェロニカがなんとか生還して夫と愛娘に再会できたことにホッとしながら、
恐ろしい現実を思うのでした。
 
“Antebellum”は「南北戦争前の」の意。南北戦争前のテーマパークの名前を指すとは。
「恐怖が不足してたいして面白くもない作品になっている」というのが批評家のコメントらしいけど、
じゅうぶん怖くないですか。私はおぞましさに震えました。

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