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今年観た映画50音順〈ま行〉

《ま》
『マードレス 闇に潜む声』(原題:Madres)
2021年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
舞台は1970年代。
メキシコ人のベトとメキシコ系アメリカ人のディアナは夫婦。
まもなく第一子が生まれる予定で幸せいっぱい。
農園のマネージャーの職を得て、意気揚々とカリフォルニアへと引っ越してくる。
ところが新居は写真で見たものと違って古く、至るところに魔除けがあって不気味。
気を取り直して近所へ買い物に行けば、周囲はスペイン語を話すメキシコ人ばかり。
スペイン語の苦手なディアナは取り残されたような気持ちになる。
やがて体調を崩しはじめたディアナは、その原因が農薬だと考えるように。
それをベトに主張してもちっとも取り合ってくれない。
出産が近づいて入院したディアナは、自分が殺されるのではという疑念に駆られ……。
不可解な事象の原因は呪いなのか農薬なのか。
モンサント関連の映画をたびたび観ているから、農薬のせいだと推察していました。
ところが真相は、1970年代にアメリカで密かにおこなわれていた移民の断種。
この真相は確かに非常に怖いけれど、ホラーとしては怖さも何もかも中途半端。
そしていちばん怖かったのは、異常なスピードで人参を切るシーンです(笑)。
 
《み》
『ミリオンダラー・スティーラー 史上最大の作戦』(原題:El Robo del Siglo)
2019年のアルゼンチン作品。日本では劇場未公開。
2006年にアルゼンチンで実際に起きた銀行強盗事件に基づく。
事件が起きる1年前の雨の夜、歩行中だったフェルディナンドは車に水を浴びせられる。
おかげで濡れてしまったタバコを捨て、それが流れる先を見るとリオ銀行の前。
トンネルを掘れば銀行の貸金庫にたどり着けるのではなかろうか。
そう考えた彼は、元泥棒のマリオや信頼できる友人など5人を集め、銀行強盗を計画。
翌年彼らが決行したのは、地上で普通に銀行強盗が起きていると見せかけて時間を稼ぎ、
その隙にトンネルを抜けて貸金庫からすべてを頂戴するというもので……。
いや〜、賢い。ぬぼーっとしたオッサンたちに見えるのに、素晴らしいです。
人質は取ったものの死人はもちろん怪我人すら出さず、本物の拳銃に見えたのもモデルガン。
人質の誕生祝いをしたりなんかして、これは憎めない強盗たちです。
まんまと計画を遂行して大成功を収めたというのに、バレてしまったのはなぜか。
メンバーのうちのひとりが浮気して、怒った妻が天井裏のカネのことを警察に話したから。
バカだねぇ(笑)。モデルガンだったおかげで刑期はかなり短く済んだらしい。
 
《む》
『胸が鳴るのは君のせい』
2021年の日本作品。
原作は紺野りさの同名少女コミック。
篠原つかさ(白石聖)は、高1の3学期に転校してきた有馬隼人(浮所飛貴)に恋をする。
高2の最終日、友人たちに絶対に両想いだからと太鼓判を押されて隼人に告白するが、
「そういう目で見たことがない」とあえなくフラれてしまう。
ところが、つかさがフラれたことを言いふらした同級生を隼人が殴り、隼人は停学処分に。
つかさはフラれてもあきらめずに頑張ると隼人本人に宣言するのだが……。
つかさを狙うほかの男子が登場したり、隼人の元カノが出てきたり、定番。
キュンキュンするやつはいくつになっても好きなはずが、
これはキャストがあまり私の好みではなかったのか、キュンキュンできず。
それよりも、笑う演技って難しいよなぁなどということばかり考えてしまいました。
キャストのせいなのか、歳を取ったせいなのかは不明です。(^^;
 
《め》
『めまい 窓越しの想い』(英題:Vertigo)
2019年の韓国作品。
高層ビルにオフィスを持つ企業の契約社員ソヨン。
女子社員に一番人気のバツイチ上司ジンスと密かにつきあっている。
幼い頃に父親から殴られて鼓膜が破れたせいで、
このところよく耳が聞こえなくなったり吐き気をもよおしたりする。
再婚した母親からはヒステリックな電話がしょっちゅうかかり、
何もかも不安に感じているソヨンを外から見つめる窓拭き清掃員グァヌだったが……。
深夜のオフィス。エロ系かと思うような冒頭シーンにちょっと引きました。
そんな作品だとはまったく思っていなかったから(笑)。
男子社員からも人望の厚かったジンスが実はバイセクシュアルで、
深夜のオフィスで行為に及んでいた相手はソヨンだけでなく男性もいたという、なかなかヘヴィーな話。
ジンスがクビになった後、ソヨンのことも社内の噂になって彼女は死を考える。
姉を亡くしているグァヌは、ソヨンまでも死なせたくない。
静謐な雰囲気はありましたが、静かすぎてなんだか物足りない。
 
《も》
『モデル・シチズン 忍び寄る魔の手』(原題:Model Citizen)
2020年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
モデルのアマンダは看護学校にも通うシングルマザー
一人娘で8歳のゾーイの親権を巡って元夫のニックと係争中。
大病院の顧問弁護士ニックが相手ではアマンダの分が悪いが、親権は絶対に勝ち取りたい。
ある晩、モデルの大手事務所が面接してくれることになり、
突然の話ではあったが、このチャンスは逃せない。
急遽ベビーシッターにゾーイを預け、指定された面接場所へと向かうのだが……。
面接なんて大嘘で、危険を感じたアマンダはすぐに逃げますが、拉致監禁されてしまいます。
アマンダはいったい誰にどのような目的で襲われたのか。黒幕はニック。
しかしニックの企みではアマンダだけを誘拐、犯人もアマンダだけを連れ去ったはずが、
ゾーイまで行方不明で、作戦が狂う。
母親と離れたくなかったゾーイがアマンダの車に隠れて乗っていただけで、
ニックとしてはアマンダが殺されてくれれば好都合なわけですが、
犯人はニックから金を引き出さなければ収まりがつかない。
ニックがマジでクソ野郎で、憎々しかった犯人にも同情したくなる。面白かった。

—–

今年観た映画50音順〈は行〉

《は》
『ハリウッドを斬る! 映画あるある大集合』(原題:Attack of the Hollywood Cliches!)
2021年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
ロブ・ロウがナビゲーターを務めるドキュメンタリー。
登場する映画はアメリカ映画に限らず、フランス映画もあれば、
インドネシア映画の『ザ・レイド』(2011)も登場して、「映画あるある」てんこ盛り。
逃げる女性はなぜいつもハイヒールなのか。ハイヒールで走れるわけがないのに。
恋愛映画の出会いはいつも不自然。こんな出会いは絶対ない。
“ダイ・ハード”など、アクション映画のシリーズものは、
第1作はリアルにありそうな設定だったのに、シリーズが進むと超人化。
怒りは机の上のものを払い落として表す、などなど。
黒人差別を描く作品は、白人の贖罪を示すために存在していることにほかならず、
同性愛を描く作品に登場する同性愛者の約4割は亡くなって終わる。
“ウィルヘルムの叫び”(=音響素材としての叫び声)のことは初めて知りました。
めちゃめちゃ面白かったから、今後も繰り返し観てしまいそう。
 
《ひ》
『100日間のシンプルライフ』(原題:100 Dinge)
2018年のドイツ作品。
世界的に話題となったフィンランドのドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』(2013)をベースにしたコメディ。
アプリ開発の会社を共同で経営する幼なじみで親友同士のパウルとトニー。
パウルが開発した人工知能搭載アプリ“ナナ”をトニーの営業力でアピールし、
400万ユーロ(約5億円)で売ることに成功する。
社員らと共に祝杯を挙げた日、ナナを金儲けの道具としか見ていないトニーに腹を立て、
パウルはある勝負をトニーに持ちかける。
それは、自分たちの持ち物をすべて倉庫に預け、丸裸からスタートし、
1日に1つだけ倉庫から取り戻しながら100日間生活するというもので……。
トニーはナナの価格をつり上げることにも成功し、結局買い取ることになった人物の名はザッカーバーグ。
Facebookの創業者と同じ、しかもこいつが悪い奴という設定で(笑)。
見た目ばかりを気にするトニーのことが好きになれなかったのですが、
実はトニーこそコンプレックスの塊でした。
それがわかる終盤がとてもよくて、ラストシーンもじんわりと心に沁みます。
 
《ふ》
『ファナティック ハリウッドの狂愛者』(原題:The Fanatic)
2019年のアメリカ作品。
映画オタクのムースは、人気俳優ハンター・ダンバー(♂)の大ファン。
サイン会の日、意気揚々と出かけたのに、ムースのひとり前で終了してしまう。
そのさいのハンターのアンマリな言い様に納得が行かず、
有名人の自宅を調べるアプリを知ったムースは、
さっそくハンターの自宅を見つけ、サインを貰うべく押しかけるのだが……。
ムースには軽度の知的障害があるようなのですが、それについての説明はなく。
ただそのせいで不良からいじめられたり、
彼をかばう友人や警備員から声をかけられたりするシーンがあるだけ。
大好きなスターと会うことを楽しみにしていたのに、彼のスターはあまりにも冷たい。
結局、ハンターを監禁したムースは返り討ちに遭い、脚切られて目玉抉られます。
本作でムース役のジョン・トラヴォルタラジー賞を受賞したとのこと。
それはちょっと気の毒なように思います。だって、彼の演技が悪かったわけじゃない。
作品として不愉快だっただけ。
 
《へ》
『隔たる世界の2人』(原題:Two Distant Strangers)
2020年のアメリカ作品。日本では未公開ですが、Netflixにて配信中。
第93回アカデミー賞にて短編映画賞を受賞しました。
黒人青年カーターは、一夜を共にしたチャーミングな女性ペリーとの出会いを喜びつつ、
家で留守番をさせている愛犬ジーターのことが気になって、ひとまず帰ることに。
ペリーの部屋を出てリモートでジーターの様子を確認し、路上で喫煙していたところ、
その匂いがおかしいと通りすがりの警官から難癖をつけられたうえに絞め殺される。
苦しさに目覚めると、そこはさっきまでいたはずのペリーの部屋。
以降、ペリーと別れて外に出て、同じ警官に殺されて目覚めることが繰り返され……。
決定的に違うのは、タイムループの面白おかしい話ではないということ。
黒人が白人警官に不条理に殺される、それをタイムループとして描いています。
エンドロールでは警官に殺された黒人の被害者の名前が映し出されます。
「どれだけ時間がかかっても、何度繰り返しても、俺は絶対に犬が待つ家に帰るんだ」。
 
《ほ》
『星の王子ニューヨークへ行く2』(原題:Coming 2 America)
2021年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
『星の王子ニューヨークへ行く』(1988)の続編が30年以上経って製作されるとは。
ザムンダ王国の王子アキームがニューヨークでリサと恋に落ち、結婚してから30年。
アキームが国王に就任する段になり、彼の息子ラヴェルがアメリカにいることが判明。
自身に息子がいることなど知らなかったアキームは、ラヴェルを皇太子として迎えるべく、
国王の側近セミと共にニューヨークへと向かうのだが……。
前編に愛着のある人なら楽しめたでしょうが、そうじゃない私はさっぱり楽しめず。
「ニューヨークに行く」というけれど、ニューヨークほとんど映ってへんし。
ほぼすべてと言っていいほどザムンダ王国の中の話です。
久しぶりに見たエディ・マーフィーが全然変わっていないことにただただビックリ。
今年還暦なんですね、彼。10人も子どもがいるそうで、それにもビックリ。

—–

今年観た映画50音順〈な行〉

《な》
『悩める失恋の処方箋』(原題:Resort to Love)
2021年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
クラブの歌手エリカは、婚約者ジェイソンに逃げられたうえに、
プロデビューする話まで立ち消えて傷心の日々を送っている。
そんなエリカを心配する親友アンバーがSNSで見つけてきたのは、
モーリシャスのリゾートホテルのレストランで歌う仕事。
気乗りせずに現地に向かったところ、イケメンのケイレブと知り合う。
ところが、ケイレブはなんとジェイソンの兄で、弟の結婚式がここであると言う。
ジェイソンと新しい婚約者ビバリーと鉢合わせしてしまうが、
何も知らないビバリーとその妹ジャネルは、エリカのことをジェイソンのただの友人だと信じている。
お互いにまだ未練があるというのに、エリカはふたりの結婚式で歌うことになって……。
エリカ役は本業が歌手のクリスティーナ・ミリアン。
たいして期待もせずに観はじめましたが、結構楽しかった。
ちなみにエリカとジェイソンは元サヤには戻りません。
軟弱なジェイソンよりケイレブのほうが断然いいでしょ(笑)。
モーリシャスは美しい。こんなところで一日中ごろごろできたらいいなぁ。
 
《に》
『ニルマル・プルジャ 不可能を可能にした登山家』(原題:14 Peaks: Nothing Is Impossible)
2021年のネパール作品。Netflixにて配信。
原題に“14 Peaks”とあるように、世界に8,000メートル級の山は14しかないそうです。
しかしその14座すべてを制覇した登山家はとても少ない。
初めて全制覇したのはイタリアの登山家ラインホルト・メスナーで、
1970年から1986年に16年間かけてこの偉業を達成しました。
常識的に考えれば、準備期間等も考慮すると1座のために2カ月は要るらしい。
メスナー以降の最短制覇記録は8年。
ところが2019年、ネパールの登山家ニルマル・ニムス・プルジャは、
7カ月で14座の制覇に挑戦すると宣言、それをやってのけたのですから凄い。
不可能だよと周囲から言われた彼が名づけたプロジェクト名は“Team Possible”。
時には二日酔いの状態で山に登るプルジャのことは無謀にも映りますが、
「無理だと思っていることのうち本当に無理なのは45%くらい」というプルジャの言葉は力強い。
そっか、無理じゃないほうが無理を超えているものなのかと、根拠はなくても思えました。
実際には7カ月かからず、6カ月と6日。この間に病床の母を見舞いにも行っています。
一時危篤と言われたお母さんは持ち直し、息子に「成功しまくれ」と声をかけていました。
ネパールでは末の息子が親の面倒を見るのが習わしだそうで、
それを守らずに登山家になったプルジャだから、お母さんのこの言葉は心に沁みたはず。
こんな凄いことをやってのけたのに、それほど話題にならなかったのはネパール人だから。
欧米の人間が成し遂げていたならばこの10倍は話題になっただろうとプルジャは話しています。
 
《ぬ》
『盗まれたカラヴァッジョ』(原題:Una Storia Senza Nome)
2018年のイタリア/フランス作品。
人気脚本家アレッサンドロはいつからか書けなくなり、
彼の秘書ヴァレリアがゴーストライターを務めている。
彼女が書いた脚本は次々とヒットを飛ばすが、このところネタ切れ。
アレッサンドロから早く書いてくれと急かされて困っていると、
未解決のカラヴァッジョの名画盗難事件について、
誰も知らない話を教えてやろうとラックと名乗る怪しげな男から言われ……。
監督は『ローマに消えた男』(2013)のロベルト・アンドー。
カラヴァッジョの“キリスト降誕”盗難は1969年に実際に起きた事件です。
面白そうだと思ったけれど、絵の行方そのものよりも、
絵が盗まれたことであたふたする国家の偉いさんの様子などが描かれていて、
もっと盗難の真相に迫る想像を聞きたかった私としては期待外れ。
 
《ね》
『NETFLIX 世界征服の野望』(原題:Netflix VS The World)
2019年のアメリカ作品。
1997年にレンタルDVDの会社として設立されたNetflix。
それが今や世界を牽引する配信会社に。
創業メンバーなどの関係者に取材し、成功の秘密を解き明かすドキュメンタリー。
アメリカに初めてレンタルビデオ店が開店したのは1977年とのこと。
レンタルビデオ、レンタルDVD、ネット配信の歴史がわかって面白い。
Netscape Navigatorなんて、ほぼ忘れかけていた名前が出てきて、
そうそう、最初はそうだったねぇと懐かしさを覚えます。
本作を配信ではなくTSUTATA DISCASでDVDレンタルして観ているのがなんだか可笑しい。
 
《の》
『ノンストップ』(英題:Okay Madam)
2020年の韓国作品。
揚げパン屋を営むミヨン(オム・ジョンファ)とその夫でパソコン修理工のソクファン(パク・ソンウン)。
ソクファンが2等の洗濯機を狙って買い続けていた栄養ドリンクで、1等のハワイ旅行に当選。
いくら航空券がタダでもそれ以上にお金がかかるから行かないというミヨンだったが、
一人娘のナリに泣かれ、家族3人でハワイへ行くことに決める。
ところがその飛行機には北朝鮮のテロリストが乗り合わせていた。
金を要求するものではなく、乗客の中に誰かを探しているらしく……。
実はミヨンは北朝鮮の元諜報員で、脱北して整形手術を受け、一般人として生活していました。
そして実は実はソクファンは韓国の国家情報院の元職員で、
ミヨンを監視すべく彼女に近づいたのに、本当に恋をして退職していました。
諜報員時代、モクレンと名乗っていたミヨンの顔はイ・ソンビン
それが整形したらオム・ジョンファの顔になるというのですから、可笑しい。
イ・ソンビンは冒頭の出演だけで終わりかと思いきや、
モクレンに瓜二つの人気アクション女優アン・セラという乗客として登場。華麗です。
テコンドーを習いたいのにバレエを習わされ、
バレエの衣装を着ていると同級生男子から「力士」とからかわれて憤るナリや、
エージェントになってみたい男性客室乗務員ヒョンミンなど、皆おもしろい。
ドタバタのアクションコメディ。めっちゃ楽しかった。

—–

今年観た映画50音順〈た行〉

《た》
『タイプライター 崖っぷちの30日間』(原題:Mr. Write)
2016年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
出版社に編集者として勤めるドリは、恋愛小説家マイケルの大ファン。
ところが自社の会議で彼の出版企画が打ち切られそうだと知り、
マイケルの魅力を蕩々と語ったところ、彼の担当者となるよう命じられる。
大好きなマイケルと仕事ができるとはりきるドリだったが、
実物に会ってみると、マイケルは落ちぶれて覇気のない男でガックリ。
マイケルの名誉を挽回する期間として与えられたのは30日間。
その間に彼にやる気を取り戻させて良質の小説を書かせることはできるのか。
毎晩外出して遊び呆けるマイケルに憤り、ドリは彼に張り付くことにするのだが……。
それなりのイケメンと美人が並んでワクワクするはずが、
劇場未公開だったことにうなずいてしまうような薄さ。暇つぶしにはなるかも。
 
《ち》
『血筋』
2019年の日本のドキュメンタリー作品
撮影当時は大学生だった角田龍一監督。中国朝鮮族自治州生まれ。
両親は彼が子どもだった頃に離婚。
母親の再婚に伴って来日した彼は、大学で文学と哲学を学んでいました。
20歳を迎えたのをきっかけに、音信不通だった父親を探すことを決意。
中国・吉林省に住む祖父母と叔父を訪ね、父親の行方を突き止めます。
18年ぶりに再会した父親は、韓国・ソウルに在住。
不法滞在者として日雇い労働をしながら、借金取りに追われる日々を過ごしている模様。
感動の再会とはおよそ呼べるものではありません。
父親のあまりの駄目っぷりに、角田青年は早く父親を忘れて逃げるべしと思いました。
 
《つ》
『月子』
2017年の日本作品。
多くの作品の製作に関わってきた越川道夫が監督。
自死した父親を殺したかのように言われて行き場を失った青年・タイチ(井之脇海)と、
施設を逃げ出してきた知的障害のある少女・月子(三浦透子)が出会う。
連れ戻しにきた施設職員を振り切り、家に帰りたいという彼女と共にタイチは旅を続けるのだが……。
すっかり売れっ子の三浦透子。『ドライブ・マイ・カー』とはまた違うロードムービーです。
拠り所のないふたりの逃避行というのは観ているのがつらい。
海にたどりつき、やがて手を繋いで雑踏の中へと戻ってゆくラストシーンは○。
 
《て》
『テスラ エジソンが恐れた天才』(原題:Tesla)
2020年のアメリカ作品。
何かとトーマス・エジソンと比較される発明家ニコラ・テスラを描いた伝記ドラマ。
憧れのエジソンのもとで働いていた移民のテスラは、
1884年、直流システムを掲げるエジソンに交流システムを主張して対立、辞職する。
実業家のウェスティングハウスと手を組んで、シカゴ万国博覧会で大成功を収めたテスラだったが……。
脚本は40年前に書き上げられて、映画化の話が持ち上がったのに、なぜか頓挫して今日に至るそうです。
『エジソンズ・ゲーム』(2019)のほうが私は面白かったですが、
本作と併せて観れば、エジソン側からとテスラ側から、双方のことがわかって良いですね。
キャストの違いも楽しめます。天才には天才の悩みがあるんだなぁ。
 
《と》
『トゥルーノース』(原題:True North)
2020年の日本/インドネシアのアニメーション作品。
梅雨時にあちこちのシネコンで公開していたのをことごとく観そびれました。
DVDレンタルできるのは来年かと思っていたら、結構早くNetflixにて配信開始。
1960年代、帰還事業で北朝鮮へと渡った在日朝鮮人のパク一家は、
あるとき、父親が政治犯として捕らえられ、家族も政治犯強制収容所に送られる。
収容当時は小学生だったヨハンは収容所で過酷な生活を送り、やがて青年に。
生き延びるために同胞への裏切りともいえる行為にも走るのだが……。
これが初監督作となる清水ハン栄治は在日コリアン
帰還事業で北朝鮮に渡ったまま消息不明の在日の人たちの話を聞いて育ったそうです。
本作は幼い頃に聞いたそんな話がモチーフになっている模様。
今なお北朝鮮に存在するという完全統制区域のことを知りました。
こんなアニメは初めて。心をえぐられます。

—–

今年観た映画50音順〈さ行〉

《さ》
『サンダーロード』(原題:Thunder Road)
2018年のアメリカ作品。
監督・脚本・編集・音楽・主演までひとりでおこなったジム・カミングス
インディーズ映画界の期待の新鋭なのだそうです。
主人公の名前も監督と同じジムだけど、別に自叙伝というわけではありません。
警察官のジムは最愛の母親の葬儀でいきなり踊り出し、参列者はドン引き。
妻とは別居中で、一人娘のクリスタルと過ごす時間だけが心の支えだが、
そのクリスタルもいつも不機嫌で素っ気ない態度。どうしていいのかわからない。
そんな折、妻がクリスタルの単独親権を主張して裁判を起こし……。
劇場公開中すごく観たかったのに観損ねた作品でした。
結果、これは劇場で観なくてよかったかも。ノリについていけないのです。(^^;
でも、不機嫌なクリスタルに手遊びのできないことで駄目出しされた後、
いつのまに練習したのか、翌朝、完璧にそれをやってみせたジムには感激。
最後もよかったから、終わりよければすべてよしということで。
 
《し》
『シンデレラ』(原題:Cinderella)
2021年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
今年2月に公開予定が、配給元のソニー・ピクチャーズが5月に劇場公開を断念。
それをアマゾン・スタジオが購入して9月に配信を開始。
あらすじを説明するまでもない、誰もが知っているお伽噺“シンデレラ”の現代版。
意地悪な継母と姉たちに地下室に追いやられつつも
ファッションデザイナーになる夢を持ち続ける女性エラ(=シンデレラ)。
彼女に魔法をかけるのは、サナギのときからエラが見守っていた蝶。
かぼちゃの馬車も出てこない。馬車の従者はねずみたちだけど。
王子に見初められた後もプロポーズを断り、デザイナーになる夢を叶えます。
そんなエラと共にいることを選んだ王子は王位を妹に譲る。なんと現代的。
シンデレラと継母が最後に和解までしちゃうのですから。心が広い(笑)。
監督は“ピッチ・パーフェクト”の脚本家ケイ・キャノン。
ジャネット・ジャクソンの“リズム・ネイション”に始まり、
クイーンの“愛にすべてを”、マドンナの“マテリアル・ガール”、
アース・ウィンド・アンド・ファイアーの“シャイニング・スター”などなど、
選曲が楽しいミュージカルです。
 
《す》
『ストックホルム・ケース』(原題:Stockholm)
2018年のカナダ/スウェーデン作品。
1973年、ストックホルム最大の銀行にひとりで押し入った男ラース。
彼はフロアにいた客全員を外に出し、職員のビアンカ、クララ、エロヴだけを残し、
服役中の親友グンナーを連れてくるよう、警察署長マットソンに要求する。
それが叶えられると、今度は逃走資金と車を要求。
人質たちと共に車に乗ってその場から逃走することを計画するが、
マットソンはラースたちを銀行内に閉じ込める作戦に出て……。
誘拐事件や監禁事件が起きた場合、被害者が犯人と心理的に繋がる現象“ストックホルム症候群”。
こんな行動に走ってしまったものの、元は善人で誰かを殺すなんてできないラース。
人質のことをあまり考えているとも思えない警察の行動を知れば、
ビアンカのような気持ちになっても不思議はありません。
でも、ストックホルム症候群ってこういうものなのねという感想しか出てこない作品でした。
 
《せ》
『セカンド・チャンス 甘くほろ苦い初恋』(原題:Advance & Retreat)
2016年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
学生の間、キャンプ場でバイトしていたアリソンは、
マーケティング会社に就職する夢を叶えて都会へ旅立つことに決める。
同じキャンプ場に勤める交際中の相手コディに挨拶に行くと、コディは浮気の真っ最中。
傷心のアリソンは、それでも就職先で新しい恋人ブライスと幸せに暮らしていた。
数年後、毎年恒例のリゾート地での野外研修が、この年は経費削減かキャンプ場でおこなわれる。
まさかのあのキャンプ場、しかも今はコディがオーナーになっていて……。
浮気現場を見られたのに、「誤解なのに話も聞いてくれなかった」と怒っているコディ。はぁ?(笑)
イケメンだけど嫌な男に思われたブライスに最後は泣かされます。
でもねぇ、キャンプ地という設定が少し斬新なだけで、話はまったく目新しくない。
 
《そ》
『ソング・トゥ・ソング』(原題:Song to Song)
2017年のアメリカ作品。
夢を追い求める人々で溢れる音楽の街であるとともに、裏切られ傷ついた人が去ってゆく街。
そこに暮らす音楽業界の大物とウェイトレス、作詞家たちのカップル。
“マジック・アワー”と呼ばれる言葉を生み出したテレンス・マリック監督のことだから、映像は確かに美しい。
女優陣がルーニー・マーラナタリー・ポートマンというものすごく豪華な共演。
人脈の広さを示すかのような一流ミュージシャンたちのカメオ出演もあります。
でもこれは退屈すぎる。『天国の日々』(1978)1本だけ俳優たちを虜にしちゃったんですねぇ。
イギー・ポップのしわしわの裸体が痛々しかったけど、これは以前からか(笑)。

—–