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『ベルファスト』

『ベルファスト』(原題:Belfast)
監督:ケネス・ブラナー
出演:カトリーナ・バルフ,ジュディ・デンチ,ジェイミー・ドーナン,キアラン・ハインズ,
   コリン・モーガン,ジュード・ヒル,ララ・マクドネル,ルイス・マカスキー他
 
自宅の雨漏り修理のため、平日に休みを取りました。修理が完了したのが14時頃。
死に体の阪神タイガースの試合を観るのもツライので、
逃避すべくTOHOシネマズ西宮へ向かい、日付が変わるぐらいの時間まで3本ハシゴ。
 
封切り後まだ2週間経っていないのに、すでに1日1回の上映になっている本作。
この日観られたことに大感謝したくなりました。
ガッカリさせられた『ナイル殺人事件』より100倍イイ、ケネス・ブラナー監督。
100倍は言い過ぎかなぁ。でも個人的にはそれぐらい良さが違いました。
 
ベルファストと聞いて私がすぐに思い出すのは『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)。
アレン・リーチ演じるマネージャー、ポール・プレンターが自らのことを
「ベルファスト出身でカトリックでゲイ」とぼやくシーンがありました。
それがどれくらい生きづらいことなのか、本作を観れば歴然とします。
 
1969年、北アイルランドの首都ベルファスト。
この地区で生まれ育った9歳の少年バディは、家族4人暮らし。
大工の父親はロンドンへの出稼ぎで週の大半不在だが、
美しく優しい母親と頼もしい兄ウィルがずっと一緒。
すぐ近所には愛情とユーモアに溢れる祖父母も住んでいる。
 
しかしある日、暴徒化したプロテスタントの若者が、カトリック系住民への攻撃を開始。
それまではここで平穏に共存してきたというのに、対立は激しさを増すばかり。
争いなど微塵も望んでいないバディ一家だが、カトリック系住民の排除に手を貸せと言われて……。
 
どんだけ宗教に疎いんだ私、と思うのですが、
最初はバディ一家がプロテスタントなのかカトリックなのかがわからず。
そうですか、ベルファストというのはプロテスタントが多い地区で、
でももともとは宗教に囚われずみんなが家族、という子育てにとって理想的な場所でもあったのですね。
 
誰の子どもに限らず、子どもがそこを通れば大人はみんな声をかける。
子どもも大人もみんな仲が良くて、知らない人は誰もいない。
そんな場所に一瞬にして憎しみが充満する。どうしてこんなことになるのでしょう。
 
ケネス・ブラナー監督の故郷もこのベルファストで、これは自伝的ドラマ。
自身の幼少期を投影したらしいバディ役、ジュード・ヒルがめちゃめちゃカワイイ。
もっと暗い作品を想像していたら、そこここで笑ってしまう。
バディの目から見た世界は、暴力と恐怖に包まれつつも、人の優しさが感じられるから。
教会の牧師の説教を聴くバディの顔なんて最高。
 
クラスでいちばんの秀才キャサリンに恋するバディ。
成績で席順が決まるから、キャサリンの隣に座るには2番にならなきゃいけない。
キアラン・ハインズ演じる祖父は、「算数と恋は厄介」だと説きます。
その後に伝授する「良い成績を取る方法」が可笑しすぎる。
数字を曖昧に書くようにすれば、先生が良いほうに解釈してくれると言うのですから(笑)。
 
音楽もすごくいいし、映画へのオマージュもいっぱい。
特に『真昼の決闘』(1952)は効果的に使われていますが、
個人的に嬉しかったのは祖母役のジュディ・デンチの口から『失はれた地平線』(1937)の名前が出るところ。
ベルファストはシャングリラになり得るのか。
 
キャサリンの家はカトリック。
「大人になったら結婚できるのかな」とつぶやくバディに、父親は言います。
「カトリックであろうとプロテスタントであろうと、ヒンドゥー教であろうと、
お互いを尊敬しあう気持ちがあれば大丈夫」。この言葉が今とても心に染みます。
 
いちばん笑ったのは、洗剤をかっぱらってきたバディが、
暴動の中で「どうして洗剤!?」と怒り心頭の母親から訊ねられ、
「環境に優しいから」とキョドりながら答えるシーンでした。
ケネス・ブラナーのこういうセンス、大好きです。
アイルランド人はもともと旅人だから、旅の途中で立ち寄れるように世界中にパブがあるんだよというのも素敵な話。 
 
第94回アカデミー賞の脚本賞を受賞しています。大納得。

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『映画 おそ松さん』

『映画 おそ松さん』
監督:英勉
出演:Snow Man,高橋ひかる,前川泰之,桜田ひより,濱田マリ,光石研,栗原類,
   八木莉可子,厚切りジェイソン,忍成修吾,加藤諒,南果歩,榎木孝明他
声の出演:櫻井孝宏,中村悠一,神谷浩史,福山潤,小野大輔,入野自由
 
観に行かなあかん!? いやいや、別に観に行かなくてもいいよねぇ。
Snow Manに興味があるならいざ知らず、全然興味ないし。
でも封切り週末の興行成績はトップだったというし、監督は英勉だし、
まぁ一応観ておくかなと思い直してイオンシネマ茨木へ。
 
心が躍ったのはオープニング。
アニメ版『おそ松さん』の人気声優たちの声が聞こえてきて、
やっぱりこっちの声のほうがええねんけどと思いました。
しかしそこから先は声優陣の出番なく、実写版がスタートします。
 
20歳を過ぎた松野家の6つ子、おそ松(向井康二)、カラ松(岩本照)、
チョロ松(目黒蓮)、一松(深澤辰哉)、十四松(佐久間大介)、トド松(ラウール)。
実家暮らしの彼らが慌ただしく起きて向かう先は開店前のパチンコ店
しかしそこでおそ松があり得ない行動に出たために、叩き出される。
 
やけ酒を飲んだおそ松が目の前の高級車にイラついていると、
その持ち主である見るからに金持ちそうな夫婦(榎木孝明南果歩)がやってくる。
それは世界に名を馳せる大企業の社長夫婦で、おそ松を見るなり、
死んだ息子に瓜二つだと驚喜。ぜひおそ松を養子にしたいと言う。
 
これで富裕な生活が送れるとニヤつくおそ松だったが、
ほかの5人が「みんな同じ顔なんだから、誰が養子になってもいいはず」と言い出す。
そこで誰が養子にふさわしいか、競い合うことになり……。
 
品がない(笑)。
冒頭のおそ松の「あり得ない行動」とは、パチンコ店の前でパンツ下ろして排便しようとすること。
下ネタは嫌いじゃないですよ。でもこれで笑いを取ろうとする姿勢が嫌だ。
さらには、おそ松が高級車に小便をひっかけるシーンも最悪。
 
金持ち夫婦の考えていたことも最低だし、話自体が感じ悪いんです。
兄弟の両親(光石研濱田マリ)まで金を手に入れようとしている台詞がありますからね。
 
若手女優たちはそれぞれ光るものがあります。
トト子ちゃん役の高橋ひかるは根性座ってそうでよかった。
兄弟を「ポッと出のまとめ売り」とぶった切るところはSnow Manのことかと笑ってしまう。
チビ太役の桜田ひよりはこんな役のオファーも断らないのですね。丸坊主ですよ。凄い。
マドンナ役の八木莉可子は初めて知りました。美人。
 
イライラしながらもそこそこ笑ったことは認めます。
でも終盤に出てくる知的障害を思わせる描写などもとても不愉快。
加藤諒はこの役に抵抗を感じなかったのでしょうか。
 
ついでに「抜け出せられなくなった」などという妙な日本語は、「ら抜き」より嫌かも(笑)。
「抜け出せなくなった」でいいんですけど、これって「れ足す」じゃなくて「られ足す」?
台詞にへんてこな日本語があるとき、これおかしいと気づかないのか、気づいても言えないのか。
変な日本語だと思っていたら、「来られた」という正しい日本語もあって、ようわからん。(^^;
 
Snow Manのファンならばこれでいいのかもしれません。でも私は勘弁してほしい。
ひとつわかったのは、どんなイケメンも髪型で台無しになるということです(笑)。
逆に髪型をなんとかすれば、見た目は変わるということですね。

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『桜のような僕の恋人』

『桜のような僕の恋人』
監督:深川栄洋
出演:中島健人,松本穂香,永山絢斗,桜井ユキ,栁俊太郎,
   若月佑美,要潤,眞島秀和,及川光博他
 
Netflixオリジナルの邦画を観るのはたぶん初めてで、ちょっと不思議な感覚。
桜が美しいので、そのシーンは大画面で観たかった気もします。
 
カメラマンになる夢をあきらめかけていた朝倉晴人(中島健人)は、
クーポン片手に入った美容院で担当してくれた有明美咲(松本穂香)に一目惚れ
会話の中で職業を聞かれて咄嗟にカメラマンだと嘘をつく。
 
そのまま通い詰めたある日、決死の思いで美咲をデートに誘おうと、
髪を切ってもらっている最中に振り向いたものだから、
美咲のハサミが耳たぶをかすめ、その場は流血の惨事に。
 
必死に謝る美咲が「何でもします」と言ったものだから、これは絶好のチャンス。
晴人は言う、「デートしてください」と。
 
美咲の気を引きたくて嘘をついていたこと、
美咲に胸を張れるようにがんばって仕事をすることを誓った晴人は、
一旦は辞めたスタジオに戻り、懸命に働きはじめる。
 
そんな晴人に美咲も好意を持ち、交際をスタート。
両親を亡くしてから美咲の親代わりの兄・貴司(永山絢斗)がやかましいが、
貴司の婚約者・吉野綾乃(桜井ユキ)は諸手を挙げて応援。
 
このうえなく幸せな日々を送るふたり。
しかし体調に異変を感じた美咲が病院に行くと、
医師の神谷(要潤)から悪い冗談のような診察結果を聞かされて……。
 
若手人気俳優を起用するのが上手な深川栄洋監督のお得意悲恋もの
 
あるんですね。こんな病気が。
早老症といって、人の十倍ほどの速度で老いていくそうです。
25歳の美咲がその病に罹り、半年後には老女になる。
見た目が老けるだけでなく、肉体も老いて死に至ってしまうという。
 
幸せの絶頂期、プロポーズまでしてくれた大好きな人。
その人にこんな事実は告げられず、最後の想い出をつくる美咲。
あんなに楽しく過ごした翌日から、ピタッと連絡が途絶える。
晴人にしてみりゃ、どういうことなのかまったくわかりません。
 
本作の序盤は本当によかった。晴人と美咲の表情を見ているだけで幸せ。
なのにこんな不幸に襲われて、そりゃもう泣くしかありません。
この手の作品を観ると、正直に言っちゃえばいいのにと思います。
でも言っちゃうと映画にならないかしらん。(^^;
 
泣きましたよ。でも私はやっぱり老けメイクがチョー苦手だと再認識。
おばあさんになった美咲の顔、自然ですか? 絶対そうは見えん。
いっそ老けメイクを施した松本穂香の顔は映さずに話を進めてほしかった。
泣けるなぁと思いつつ、いやいやいや、これはどう見ても特殊メイクでしょと冷めずにはいられない。
老けメイクに違和感をおぼえたことがない人は素直に泣けると思います。
 
自分の大好きな相手がこんな病に冒されて、日に日に年老いていくとしたら、
どうしましょう。むずかしいなぁ。看取りたいとは思うかも。

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『モービウス』

『モービウス』(原題:Morbius)
監督:ダニエル・エスピノーサ
出演:ジャレッド・レトー,マット・スミス,アドリア・アルホナ,
   ジャレッド・ハリス,アル・マドリガル,タイリース・ギブソン他
 
109シネマズ箕面にて、先週の公開初日に観ました。
IMAX版も似たような時間の上映回があったので、通常版と迷いましたが、
原作のマーベルコミックを読んだことはないし、
主演のジャレッド・レトーが私の中ではすっかりキワモノ化しています。
直近の出演作である『ハウス・オブ・グッチ』のハゲヅラにもゲンナリしていたから、
わざわざより大きな画面で観ることもないかと通常版を選択。
 
スパイダーマンの宿敵として描かれているのがモービウスだということ自体、知らんかったよ。
そうなんですね!?
 
マイケル・モービウスは幼い頃から血液の難病に冒されて苦しんでいた。
しかし療養施設で起きた医療機器の故障をいとも簡単に直してみせたことから、
彼の良き助言者エミール・ニコラスは彼に施設を出て学校に行くことを勧める。
マイケルならば医者になって自身を含む多くの人を救えるだろうと。
同病患者で親友のマイロのためにも治療法を見つけると誓うマイケル。
 
年月が経ち、人工血液の開発に成功したマイケルは時の人となり、
女性研究者マルティーヌ・バンクロフトと共にさらなる研究を進めていた。
ノーベル賞まで授与されることになったのに、受賞を拒否して話題になる。
彼の研究に出資しているのはあのマイロ。
 
もっと完璧な治療法を見つけたいとマイケルが挑んだのは、
地球上で唯一、血液のみを摂取して生きる生物、コウモリの血清から薬をつくること。
マウスを用いた実験に成功し、あとは人体実験の結果を確かめるのみ。
マルティーヌの協力を得て自らの身体にコウモリの血清を投与するのだが……。
 
あまり気乗りしないまま観に行ったけれど、とても面白かった。
ジャレッド・レトーのことがあまり好きでないと思っていたのは、
結局彼の演技が上手いからなのですね。
 
悪のスーパーヒーローだと思っていたモービウスの生い立ちは気の毒としか言いようがありません。
施設で過ごすしかなく、そこから出れば悪ガキどもからいじめられる。
マイロにも施設からは出ないように教えていたのに、
マイケルの最後の手紙が窓から飛んで行ってしまって、それを追いかけたマイロは袋叩きに遭います。
そんなマイロのために治療薬を開発しようとするマイケル、泣かせるじゃあないですか。
 
コウモリの血清を投与すると、病気が治るばかりか、
コウモリ同様に飛行能力が身について、音を関知する能力まで手に入ります。
そりゃもう万々歳なわけですが、血に飢えるとそれを抑制するのが大変。
偏屈でも根は善良なマイケルは、なんとか制御する方法を覚えて人を傷つけないようにしたいけど、
マイロは超人となった自分が嬉しくて仕方なく、人殺しも厭わない奴に変貌してしまいます。
 
マイケルじゃなくてマイロの仕業だということぐらい、調べりゃすぐわかるだろうに、
しばらくそれに気づかないFBI捜査官はアホだと思いました(笑)。
うちひとりはタイリース・ギブソン。カッコイイですけどね。
最後にマイケル・キートンが映りますが、エイドリアン・トゥームスって誰だっけ?と思う私。
モービウスには善人のままでいてほしいです。

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『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』(原題:A Christmas Gift from Bob)
監督:チャールズ・マーティン・スミス
出演:ルーク・トレッダウェイ,クリスティーナ・トンテリ=ヤング,
   ファルダット・シャーマ,アンナ・ウィルソン=ジョーンズ他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『オートクチュール』とハシゴ。
 
オープニングタイトルでは“A Gift from Bob”と表示されていましたが、
“A Christmas Gift from Bob”として宣伝されている模様。
「クリスマス」という言葉はそれほどまでに重要なのかしらん。
 
ホームレスだったジェームズはサポートワーカーのおかげで住居を手に入れ、
ドラッグをきっぱりやめると誓った頃に茶トラの猫ボブと出会いました。
ボブと自分のことを綴った本が売れ、立派に作家の仲間入り。
作家たちの集いに招かれて断れず出席したものの、
場違いだと感じてこっそり退席したところから本作は始まります。
 
路上で歌っていた青年ベンが警官に虐げられているのを目撃。
助けに入ったジェームズは、ベンにハンバーガーをおごります。
自暴自棄になりかけているベンに「5分だけ話を聞いて」と語り出す中身がこれ。
 
かつてのジェームズは、ベンと同じように路上で歌い、『ビッグイシュー』を売っていた。
肩の上にはいつもボブが乗っかっている。
 
ところがある日、動物福祉担当職員のレオンに目をつけられ、
ジェームズに猫を飼う資格があるかどうかを問われ、ボブを取り上げられそうになる。
レオンと小競り合いになっているときの動画がネットに公開されて、メディアが注目。
 
ジェームズとボブを知る人々から嘆願の声が届けられる一方で、
お役所はなんとかジェームズのアラを探そうと必死。
そんなとき、傷んだチキンを口にしたボブが体調を崩し……。
 
電気料金がチャージ制というのを初めて知り、驚きました。
何十ドル分かチャージして、それを使い果たすと電気が切れる。
留守中に電気が止まって冷蔵庫に入れていたものが腐っちゃったりするんですね。
 
ボブといくら一緒に居たくても、自分と居ることがボブにとって幸せなのかどうか。
悩むジェームズの姿がつらい。
だけど、どんなに困窮していても、人としての優しさを忘れずに。
そうすれば、幸せが舞い込んでくることもあるよと教えてくれます。
 
CGで作成された猫とはちがって、ボブは本物。
演技力を求めても無理というものでしょうから、これは素(す)のボブなんですね。
めちゃくちゃ可愛くて賢い。
ボブは2020年に亡くなってしまったことをさっき知りました。
鑑賞前に知っていたら、涙でスクリーンを見られなかったかもしれません。
ボブのご冥福を心から祈ります。天国で元気にしているかなぁ。

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