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『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』〈吹替版〉

『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』(原題:Strange World)
監督:クイ・ヌエン
声の出演:原田泰造,大塚明夫,鈴木福,松岡依都美,沢海陽子他
 
字幕版を観たかったけれど、仕事帰りに寄れる劇場では吹替版の上映しかなし。
致し方ありません。イオンシネマ茨木にて。
 
アバロニアは周りを険しい山に囲まれた国。
この国に暮らす人々は外に出たことはないし、外に何があるかも知らない。
冒険家のイェーガー・クレイドは息子のサーチャーを含む仲間を引き連れ、
国の向こう側を目指す旅に出かけるが、その途中でサーチャーが不思議な植物を発見。
 
アバロニアの発展に繋がるやもしれぬこの植物を一旦持ち帰ろうとサーチャーは提案。
そんなものはどうでもいい、とにかく向こうへ行くのだと主張するイェーガーに対し、
仲間たちもサーチャーに賛成して、アバロニアへ帰ろうと言い出す。
イェーガーはたったひとりで山の向こうを目指すことに。
 
25年が経過し、サーチャーは妻メリディアンと息子イーサンと幸せに暮らしていた。
アバロニアはサーチャーが持ち帰った不思議な植物パンドのおかげで発展。
人々は行方不明のイェーガーを伝説の冒険家として崇めると共に、サーチャーを英雄視。
サーチャー一家はパンドを育てる農家として大繁盛している。
 
ところが、かつてイェガーと旅をした仲間で今は首相となったカリストがやってきて、
パンドの根っこの部分に異変が起きていると言う。
すべてをパンドに頼っているアバロニアがこのままでは危ない。
パンドの調査のために一緒に地底へ行ってほしいとサーチャーは言われ……。
 
自分たちが暮らしている国が実は巨大な生物の体内だったという。
へ〜っと驚く話でした。
心臓だ免疫だと言われても私にはよくわからなくて、これが子ども向けだとしたら、
全部理解できる子どもってめちゃくちゃ賢いなぁと思った次第。
 
首相は女性。サーチャーは白人、メリディアンは黒人という夫婦。
イーサンの恋する相手は男子で、サーチャーもメリディアンもイーサンをひやかす。
なんというのか、こういう世の中がもう普通ですよというディズニーのメッセージか。
なんだかちょっと偽善的な部分を感じなくもありません。
でもこのほうが教育的には絶対いいよなぁとも思う。

—–

『母性』

『母性』
監督:廣木隆一
出演:戸田恵梨香,永野芽郁,三浦誠己,中村ゆり,山下リオ,
   吹越満,高橋侃,落井実結子,高畑淳子,大地真央他
 
109シネマズ箕面にて。
 
好きな作家というわけではないのに読んでしまう湊かなえ
原作はずいぶん前に読んでいます。そのときの感想はこちら
5年半前に読んだ本の内容をつぶさに覚えているわけもなく、
ただ、とても不愉快な思いをした記憶はあります。
 
そんな不愉快な本だったうえに、監督は廣木隆一
1年に何本も撮る売れっ子監督ではあるけれど、私はあんまり得意じゃない。
それでも観に行くのは、観なきゃ文句も言えないし、
仕事帰りに寄れる劇場で観られるものがほかにないからです。
 
ところで、そう、この日この回の客は私ひとりでした。
なんと今年10回目の“おひとりさま”。なんか悲しいなぁ。
 
女子高生が自宅の庭で首吊り自殺をしたという記事で始まります。
ある学校の職員室でそれが話題になっている。
教師のうちのひとりが永野芽郁演じる清佳という女性。
 
確か、原作では誰が語り手なのかですでに騙されていたと思うのですが、
映画版では冒頭の女子高生が清佳というわけではなく
(だって清佳は現に生きているのだから、記事の女子であるはずがない)、
死んだ女子高生の境遇に思いを至らせて清佳の少女時代が語られるふう。
 
清佳の母・ルミ子(戸田恵梨香)はそのまた母(大地真央)のことが大好き。
ルミ子は常に母の望むように振る舞い、夫(三浦誠己)は母が気に入った相手。
生まれてきた清佳には、母が喜ぶようなことばかりさせる。
 
清佳は幼少の頃から祖母の無償の愛を感じていたが、
ルミ子からは愛されているように思えず、とにかく愛されたいと願う。
 
しかしある嵐の夜、倒れた大木がルミ子の家を直撃。
ルミ子の母は清佳をかばって亡くなってしまう。
 
家を失ったルミ子と夫、清佳は、夫の実家に身を寄せるのだが……。
 
原作ほどではありませんが、とにかく不穏な空気がつきまとう。
そもそもこんな感覚がおかしいお嬢様とその母親、今時どこにいるんだと思う。
加えて、異常な夫の母。高畑淳子演じる姑の恐ろしいこと。
こんないびり方は見たくない。
 
登場人物すべてがどこかずれていて、誰にも共感できません。
ただ、ルミ子がこれだけいびられながらも姑に敬意を払いつづけ、
誠心誠意尽くせばいつか気持ちが通じると思っている姿は凄い。
これはこれで幸せなことなのかなという気すらしてきます。
 
歪んだ幼少時代を送ってそのまま大人になった清佳が教師とは、
大丈夫なんだろうかと思ったりも。
居酒屋でやかましくしているわけでもない隣のテーブルの客に
串を捨てるマナーについて説教する女、ありですか。怖いです。
 
ここに出てくる人、誰の人生も送りたくない。
だけど幸せと感じるところは人それぞれなのかなって。
 
記事になった女子高生が自殺したのはなぜなのでしょうね。
学校でいじめを受けて自殺した子どもや会社で上司のパワハラを受けて自殺した人の記事はよく目にするけれど、
親から愛されなくて自殺した子どもの話は見たことがない。
それは「事件」ではないからなのでしょうか。

—–

『ザ・メニュー』

『ザ・メニュー』(原題:The Menu)
監督:マーク・マイロッド
出演:レイフ・ファインズ,アニャ・テイラー=ジョイ,ニコラス・ホルト,ホン・チャウ,
   ジャネット・マクティア,ジュディス・ライト,ジョン・レグイザモ他
 
仕事帰りにイオンシネマ茨木にて2本ハシゴの2本目。
前述の『ある男』の次に。
 
知らないのですよ、マーク・マイロッド監督。
何を撮った監督なのだろうと調べてみたら、ほとんどがTV番組。
過去に3本撮っている劇場映画のうち、2本は日本未公開。
あと1本はサシャ・バロン・コーエン主演の『アリ・G』(2002)だけど未見です。
あらすじをチラリと読んだら主演が主演だからふざけています。
本作の主演はレイフ・ファインズゆえ、そういうふざけ方ではないはず。
でも超ブラックでした。凄絶(笑)。
 
太平洋岸の孤島に存在する高級レストラン“ホーソン”。
船でなければたどり着けないこの島に今宵招待されたのは8組の客。
なかなか予約が取れない有名店に招かれて、皆、鼻高々。
 
そんななか、店の凄さをわかっていない唯一の客がマーゴ。
グルメ評論家や俳優などセレブたちが並び、
マーゴを誘った男性タイラーも自らの舌に自信を持つ美食家だが、
シェフのスローヴィクが出す料理にマーゴは一向に魅力を感じず。
 
ラグジュアリーな雰囲気でスタートしたディナーに、やがて不穏な空気が漂い始める。
どうやらここに集められたのはスローヴィクが恨みを持つ客たちばかりで……。
 
アミューズからメニューを見せられる形式なのが楽しい。
マーゴは魅力を感じない料理でも、やっぱり料理が出てくる映画は外せません。
 
以降ネタバレを含みますのでご注意ください。
 
完璧なディナータイムを計画していたスローヴィクにとって、
本来の招待客の代理としてやってきたマーゴは受け入れがたい。
彼女のせいで計画が台無しになってしまうと考えてマーゴを呼びつけ、
奪う側と与える側、どちらの側につくか決めろと迫ります。
 
スローヴィクから恨みを買っていた理由がさまざまで、中には理不尽なものも。
つまらん映画に出ていたから許さないとか、ちょっと気の毒ですけどね(笑)。
 
ひとり1250ドルの食事を何度もしにくるような客でも、前回食べたものをひとつも覚えていない。
自分の料理は褒めてくれたけど、ほかの才能ある料理人を何人も潰した。
不正を働いて金を儲けておいて、オーナーの肩書きを自身のものと勘違いしている。
そしてアルコール漬けの母親もスローヴィクが憎んでいるうちのひとりです。
 
レストランのスタッフを含めて全員死ぬことが企図された夜、
マーゴは自分はターゲットではなかったのに殺されてしまうことを知ります。
さてこれをどう乗り切るか。
 
マーゴ役のアニャ・テイラー=ジョイ、私にはまだ『ウィッチ』(2015)のイメージが強いですが、
不思議な魅力を持つ女優だと思います。
落ち目の俳優役のジョン・レグイザモは悲壮感漂って可笑しい。
タイラー役のニコラス・ホルト『トップガン マーヴェリック』でルースター役に名前が挙がっていたそうだけど、
こうしてポヤンとした顔を見ると、やっぱりルースターはマイルズ・テラーですね。
 
結局、いちばん美味しそうだったのはハンバーガーか。
こんなふうに食べてもらうことこそ、シェフの望みなのかもしれません。

—–

『ある男』

『ある男』
監督:石川慶
出演:妻夫木聡,安藤サクラ,窪田正孝,清野菜名,眞島秀和,小籔千豊,坂元愛登,山口美也子,
   きたろう,カトウシンスケ,河合優実,でんでん,仲野太賀,真木よう子,柄本明他
 
仕事帰りにイオンシネマ茨木にて2本ハシゴの1本目。
 
芥川賞作家の作品はどうも難解な気がして及び腰になってしまいます。
だから本作の原作、平野啓一郎の同名ベストセラー小説も未読。
読むならこの石川慶監督による映画版を観てからにしたい。
 
離婚して故郷である宮崎県の田舎町に戻った里枝(安藤サクラ)は、
家業の文具店で店番をしていたある日、客としてやってきた谷口大祐(窪田正孝)と知り合う。
伊香保温泉の老舗旅館の次男坊でありながら家を飛び出したという大祐は、
この町で林業に携わることに決めたらしく、真面目な人柄で仕事に馴染んでゆく。
 
やがて里枝と結婚。前夫との間の子である悠人(坂元愛登)も「お父さん」のことが大好き。
妹も生まれて家族4人、穏やかで幸せな日々を送っていた。
 
ところが大祐が仕事中に事故死。
里枝が連絡したことにより一周忌の場に現れた大祐の兄・谷口恭一(眞島秀和)は、
遺影を見るなりこれは大祐ではない、まったくの別人だと言う。
ならばずっと大祐だと思っていたこの人はいったい誰なのか。
 
困った里枝は、以前離婚調停のさいに世話になった人権派弁護士・城戸章良(妻夫木聡)に相談。
自分の夫だった人物の身元調査を依頼するのだが……。
 
大祐を騙っていた人物のみならず、今の名前ではない人生を送れたらと思っている人はきっと多い。
本当の大祐もそう。息子をひとり失った過去のある里枝ももしかするとそう思ったことがあるかもしれない。
妻夫木聡演じる章良は在日3世で、裕福な妻の実家でも心ない言葉を浴びせられ続けています。
困ったことに、そういう言葉を発し続けている人に自分が差別主義者だという意識はない。
それどころか自分は物分かりがよくて頭の良い人間だと思っている。
 
大祐がなぜ他人を名乗っていたか、その理由は納得できるもの。
こんな境遇に生まれた辛さがわかるなんていうと、それこそ自分を賢い人間に思っているふう。
本人でなければ決してわからないことでしょうけれど、
世間から偏見の目で見られ続け、自身もあの血を受け継いでいると思い続け、
幸せに生きることが許されないように思っていたであろうことは想像できます。
 
辛い話でしたが、里枝の言うように、「わかってみれば、知る必要がなかったことかも。
あの人がここにいたことは事実なのだから」。幸せだったと思いたい。
 
それにしても、名優・柄本明大阪弁があまり上手じゃないですよね。
彼に大阪弁をしゃべらせる必要はなかったと思うのですけれど。
章良の事務所で相棒を務める小籔千豊551の豚まんについてチルドはアカンという台詞を
大阪人として絶対に言えないとして、チルドもイケるに変えた話、ご存じですか。

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『ランディ・ローズ』

『ランディ・ローズ』(原題:Randy Rhoads: Reflections of a Guitar Icon)
監督:アンドレ・レリス
高校生の頃、の部屋からイングヴェイ・マルムスティーンが聞こえることはあったけど、
やかましいだけの音楽みたいな偏見がずっとありました。
って書いたけれど、いま思い出しました。
そもそも弟がヘヴィメタを聴くようになったのは、
私が中学生のときに買ったレインボーのアルバム“Difficult To Cure”がきっかけだと。
あひゃひゃ、私も聴いていたじゃないか、ヘヴィメタを。
そうなんですけど、ランディ・ローズのことは知らないんです。
ただちょっと気になったのと、上映時間がちょうどよかったのとで、
シネ・リーブル神戸で鑑賞することに。
ランディ・ローズはクワイエット・ライオットの結成者であり、
凄いギターテクニックを持ち、かつ美形で、大人気だったのに、
わずか25歳の若さで乗っていたセスナ機が墜落、亡くなってしまったそうです。
私はランディ・ローズについて何も知らない状態で観はじめたわけですが、
見れば見るほど早世が悔やまれてなりません。
だって、こんなスター要素満載でありながら、めちゃめちゃいい奴。
シングルマザーだった彼の母親は音楽教室を営み、
彼もその影響を受けて幼い頃から音楽に親しみました。
アコースティックギターのみでは物足りなくなって母親にねだったエレキギターを手にしてからは、
彼のギター教師が「もう教えられない。こちらが教えられるぐらい」と舌を巻くほどの技量を発揮。
この美貌なのに、女にだらしなくない。ドラッグやらない。
酒はほどほど飲むけれど、決して酒に飲まれない。
飲んだ翌日も約束をすっぽかしたり遅刻することすらない。
有名になってからも音楽教室の教師として生徒に教え、
生徒が(ライバルと言われていた)エディ・ヴァン・ヘイレンを弾きたいと言ってくれば、
エディの曲を自ら練習して生徒に弾いてみせる。
傲慢さのかけらもなかった好人物そのもの。
好き放題荒れ放題の生活を送っているオジーが今も生きていて、
こんなランディが早死にしちゃうなんて、神様はひどいことをするもんです。
オジーが酒浸りになったのはランディを失ったからという話もあるけれど。
音楽であればジャンルを問わず、どんなものも聴いて、弾いたランディ。
活動期間は短かったにもかかわらず、昨年“ロックの殿堂”入りしたことを天国で喜んでいてくれるでしょうか。
照れくさそうに笑っているかもしれませんね。

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