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『ブラックアダム』

『ブラックアダム』(原題:Black Adam)
監督:ジャウマ・コレット=セラ
出演:ドウェイン・ジョンソン,オルディス・ホッジ,ノア・センティネオ,サラ・シャヒ,マーワン・ケンザリ,
   クインテッサ・スウィンデル,モー・アマー,ボディ・サボンギ,ピアース・ブロスナン他
 
公開初日だった先週金曜日、109シネマズ箕面にて21:30からのレイトショー。
 
監督は、ものすごく怖かった『エスター』(2009)以来注目し続けているジャウマ・コレット=セラ
しかもドウェイン・ジョンソン主演ならば面白くないわけがない。
と思ったのですけれど、うーむ、どないやねん、これ。スベってる。(^^;
 
破壊神“ブラックアダム”はDCコミックスを代表するアンチヒーローのひとり。
これに対決するのが、スーパーヒーローチーム“JSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)”らしい。
 
5000年前、カンダックの専制君主アクトンは、民衆を奴隷化してこき使っていた。
奴隷だったテス・アダムは、アクトンに強大な力を持たせ得る原石を発掘。
その原石を用いて悪の力を結集した王冠を作ったアクトンは、
本来なら褒美を取らせてもいいはずのテス・アダムを軽くあしらう。
 
それに腹を立てたのがテスの息子フルート。
奴隷たちが力を合わせればアクトンを倒せるはずだと立ち上がったフルートは、
テスの目の前で殺される。憎しみに燃えるテスは、その後、眠らされてしまう。
 
現代のカンダックは、インターギャングという傭兵組織に抑圧されている。
考古学者のアドリアナは王冠を探し当てるが、横取りしようとした傭兵たちに殺されかけ、
思わず地底に眠っているはずのテス・アダムを復活させる呪文「シャザム」を唱える。
 
眠りから覚めたテスは、復讐心から破壊の限りを尽くす。
彼を止めなければと考えた米国政府は、“JSA”に出動命令を出すのだが……。
 
思うに、ジャウマ・コレット=セラ監督にはコメディのセンスが足りないのかと。
そういえば『ジャングル・クルーズ』(2020)もスベり気味でしたよねぇ。
なんだか不出来なコントを見せられているかのよう。
 
アドリアナの息子アモンはとてもいい感じなので、
彼を演じるボディ・サボンギには今後も期待。
だた、ヒーローの中にはドウェイン・ジョンソン以外に魅力的な人物がいません。
 
いちばんアカンのは、巨大化する能力を持つスーパーヒーロー“スマッシャー”。
彼役のノア・センティネオがちっともイケてなくて、愚鈍な兄ちゃんにしか見えない。
行く先々で何かやらかし、でも風を操る“サイクロン”といい感じなのも余計。
オルディス・ホッジ演じる“ホークマン”のことも全然応援する気になれません。
彼は『透明人間』(2020)のほうが断然よかった。
この一団の中の最年長者で良き指導者でもあるドクター・フェイトにピアース・ブロスナン
何もこんな作品に出なくてもいいのではと思ってしまいました。
 
笑いも取りに来ていたのだと思うけれど、まったく笑えない。
続編は要らないんですけど、作られたら観に行くでしょうね、性懲りもなく(笑)。

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『天使の涙』【4K版】

『天使の涙』(原題:堕落天使)
監督:ウォン・カーウァイ
出演:レオン・ライ,ミシェル・リー,金城武,チャーリー・ヤン,カレン・モク他
 
大腸がんの手術を受けた母が想定外に早く帰ってきたと思ったら、
老健に入所中の父が発熱したとかで、病院の診察を受けることに。
今年の私はの付き添いに始まり、父→母→父と病院に入り浸り。
この日も父への届け物があって病院に寄った後、映画を1本。
 
本当は5回目の『RRR』を観たかったのに時間が間に合わず。
ほかに選択肢がなくて、本作を109シネマズ箕面にて。
 
1995年のウォン・カーウァイ監督作品の4Kレストア版らしい。
劇場で観た覚えはないので、おそらくDVDで観たのでしょう。
 
殺し屋(レオン・ライ)とそのエージェント(ミシェル・リー)。
コンビを組んではいるものの、お互いの顔は知らない。
なのにエージェントは殺し屋に恋をする。
 
殺し屋に恋をしているもうひとりの女性(カレン・モク)。
目立つように派手な髪色にして殺し屋に接触。つれない彼を懸命に誘う。
 
幼い頃に賞味期限切れのパイン缶を食べて口がきけなくなった男モウ(金城武)。
安宿を経営する父親のもとで暮らしながら、
夜な夜な閉店後の店に入り込んで勝手に強引な商売をしている。
 
モウが恋するのは、店先の公衆電話でしょっちゅう男に電話している女ヤン(チャーリー・ヤン)。
失恋したヤンは、しばらくモウとつきあうことにするのだが……。
 
当初は『恋する惑星』(1994)の中の1話となるはずだった本作。
もったいないのでシングルカットされたみたいな感じでしょうか。
 
今となっては、この監督って引き出しの数が多いのか少ないのかわかりません。
『2046』(2004)の後は特に話題になった作品もないような。
しかし当時は驚くぐらいスタイリッシュに見えたことでしょう。
 
私は『恋する惑星』のほうが好きだし、『欲望の翼』 (1990)なんかのほうが面白かった。
ただ、本作を観ると、香港映画をあれこれ観た頃のことが思い出され、
とても懐かしい気持ちになります。
 
金城武がやっぱり可愛くて、彼を見られるだけで幸せかも。

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『シスター 夏のわかれ道』

『シスター 夏のわかれ道』(原題:我的姐姐)
監督:イン・ルオシン
出演:チャン・ツィフォン,シャオ・ヤン,ジュー・ユエンユエン,ダレン・キム,
   ドアン・ボーウェン,リャン・ジンカン,ワン・シェンディー他
 
日曜日に1本だけ、大阪ステーションシティシネマにて。
どれを観るか、他劇場の他作品と迷いに迷って決めましたが、すごーくよかった。
 
背景となっているのは、2015年まで続いた一人っ子政策
こんなことになっていたのかと唖然としてしまいます。
 
アン・ランは望まれて生まれてきた子どもではなかった。
息子がほしかった両親、特に父親は、アン・ランに障害があるふりをさせ、
「第一子に障害があるため、第二子を持つことを許可してほしい」と申請。
両親の世話になることをあきらめてアン・ランは勉学に励み、
高校を卒業すると一人住まい。看護師の資格を得て働いている。
今も医者を目指して勉強中で、まもなく北京の大学院の試験を受ける予定。
 
ところが、アン・ランの両親が交通事故に遭って死亡。
葬儀の日に初めて会った弟でまだ6歳のズーシーを引き取るようにと言われるアン・ラン。
待望の男の子ゆえに甘やかされて育ったズーシーは超わがまま。
 
両親に恨みこそあれど感謝の念などない。弟なんてどうなろうが知るか。
憤るアン・ランはズーシーを養子に出すことに決めるのだが……。
 
酷い話があったものです。そこまでして男の子がほしいのか。
アン・ランのように悲しい思いをさせられた子どもがどれほどいたことか。
男の子さえ生まれれば、母体は死んでもかまわないとも思われているのですから、
子どものみならず母親だってつらい立場にあったでしょう。
 
早くから独り立ちして生きてきたアン・ランに、親族は好き勝手なことを言う。
金を稼いでいるんだから大丈夫だろう、姉なんだから弟を育てるのは当然だろ。
両親が名義をアン・ランにしていた物件を売ればいいじゃないか。
そればかりか、売った金を少しは回せ、みたいなことまで言う。
 
伯母さんの言い分にはいちばん腹が立ったけど、終盤になると、
この伯母さんが女だというせいでどれだけ割を食って生きてきたかがわかる。
彼女とアン・ランがふたりでスイカを食べるシーンにはボロ泣き。
ろくでなしの叔父だけど、子どもが女でも男でも気にしない、そこだけはイイ。
叔父さんがお父さんだったらよかったのに、という台詞にも少しホロリ。
 
そうそう、本作でいちばん驚いたのは、葬儀の席で皆が麻雀をすることです。
いくつも卓が並べられていて、麻雀をすることは故人の供養になるのですと。ひょえ~。
 
という驚きのシーンはさておき、めちゃくちゃ良い作品でした。
先月鑑賞した中でいちばん泣かされた作品。
泣ける映画がいい映画とは限らないけれど、これはとても良かった。

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『ミドリムシの姫』

『ミドリムシの姫』
監督:真田幹也
出演:河井青葉,大高洋夫,青野竜平,三田村賢二,樋渡真司,岡田正,
   ほりかわひろき,鈴木歩己,大草理乙子,今村美乃,仁科貴,金田賢一他
 
1本だけ映画を観られそうな時間ができた日。
キタやミナミの劇場の上映スケジュールをいくらめくっても、観たい作品と時間が合わない。
ならば十三はどうだろうと開いてみたら、ノーマークだったけどこれなら行ける。
シアターセブンにおじゃましました。たまたま公開初日で舞台挨拶付きの会。
 
前作があるそうです。『ミドリムシの夢』(2019)は現在Amazonプライムビデオで視聴可能。
突然十三へ行くことに決めたので、その存在も知らず未見ですみません。
 
ミドリムシとは何なのか。
大阪市内でもよく見かけるあの駐車監視員の人たちを揶揄してこう呼ぶらしい。
前作ではおじさん駐車監視員2人を主人公にしていたそうですが、
この第2弾では訳あって駐車監視員になった女性をが主人公。
 
幼少期の夢は「お姫様」になることだった野上幸子(河井青葉)。
駐車監視員になって数週間経つが、駐車違反のシールを貼られて憤る運転手にどやされたり、
蔑むような態度を取られたりして、一向にこの仕事に自信を持てない。
 
そんなとき、ベテランで成績もダントツの知念道夫(大高洋夫)とコンビを組むことに。
とっつきにくくて変わっているという評判の知念だったが、
何を言われようが毅然とした態度で臨む彼に幸子は尊敬の念を抱く。
 
「どうやったら駐車監視員になれるのか」と突然聞いてきた青年トミーもやがて仲間入り。
プライドを持つところまでは行かずとも、この仕事に楽しさを感じはじめた幸子。
 
ところが街で駐車監視員を追いかけまわして動画を撮る若者たちが現れる。
その行為は“ミドリムシ狩り”として話題になり……。
 
駐車監視員に確かに良い印象はありませんが、
若者たちの人でなしぶりは本気でハラワタ煮えくり返りそう。てめぇら、鬼畜。
 
幸子と知念が拉致されて、ほかの監視員たちが助けに来る展開は見え見えですが、
そのほうがいい話であることは明らかだし、応援しながら観ることができました。
 
上映終了後の監督の話で「へーっ」と思ったのは、駐車監視員というのは「みなし公務員」だから、
職務に関するあれこれを喋ってはいけないのだそうです。
だから、彼ら彼女らがどこへ出勤してどんなふうに仕事するのかは想像の域を出ない。
本作に登場するような事務所があるのかどうか定かではないし、
もしかすると警察署の一角にこんな部屋があるのかもしれず。
 
少しぐらい停めててもええやん。駐車場代高いし。
5分と停めてないのに切符切るって。思います、とても。
でも、車をそこに停めていたせいで死角ができ、誰かの命が奪われたら。
確かに、事故が起きてからでは遅い。
 
「どうやったらもっとお客さんを呼べるでしょうか」。切実です(笑)。
シネコンでの上映は無理だとしても、十三にはまたぜひお越しくださいませ。待ってます。

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2022年11月に読んだ本まとめ

2022年11月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2971ページ
ナイス数:886ナイス
■今宵も喫茶ドードーのキッチンで。 (双葉文庫)
コロナ下にあってこその物語。この連作短編集に登場する主人公たちは、ていねいな暮らしや免疫力、ワクチン接種、在宅勤務、オンライン会議などにさまざまな思いを抱いているようです。喫茶ドードーの店主は相当変わり者とお見受けしますが、飲み物とお料理お菓子が彼女たちの心を癒やす。絵本にでもなりそうな雰囲気で、イラスト入りで読みたかった。第4話までは店主の様子を描くときだけ「ですます調」なのも面白い。ご存じでしたか、ブータンってインフラは進んでいないけどネット環境は発達していて、江戸時代にスマホがあるみたいな国だって。
読了日:11月01日 著者:標野 凪
■その本は
160頁目で「悪魔にも若気の至りがあるのか」と笑い、第12夜174頁目でさざなみのような感動が押し寄せる。そうだ、だから本がある、私は本を読むのだと。メッセージを受け取る人が世界にたったひとりであっとしても、本がこの世に存在する意味があると。エピローグ、王様逝去の様子にまた胸打たれていたのに。189頁目で「やられた」とひっくり返って笑いました。又吉さんとの共著ゆえ油断して、ヨシタケさんの絵本にオチが付き物だということを忘れていた。たとえどこにも行けなくても、その本を開けば世界中いつの時代へも飛んでゆける。
読了日:11月03日 著者:ヨシタケシンスケ,又吉直樹
■Aではない君と (講談社文庫)
心身共にそれなりに元気なときじゃないと読めない薬丸さん。妻と離婚したものの仕事は絶好調だし、新しい彼女もできて毎日が楽しい。唯一の気がかりは妻が引き取った息子のことぐらいだが、会うのは数ヶ月に一度。そんな折、息子が同級生を殺した罪で捕まったとしたら。両親、特に父親が「どうするどうする」と悩むだけの約470頁と言えなくもありません。だけど一緒になって深く考えさせられてしまう。心と体、どちらを殺すほうが悪いのかについては父親の返答に唸りました。著者が誰であろうと京極さんの選評にはついつい注目してしまう私です。
読了日:11月08日 著者:薬丸 岳
■むらさきのスカートの女 (朝日文庫)
変ですよね、むらさきのスカートの女。でもそれよりももっと変なのが、むらさきのスカートの女に異常に執着している語り手。むらさきのスカートの女のために席を空け、求人誌をさりげなく置き、自分の勤め先に彼女が就職するのを待ちわび、日々の彼女をつぶさに観察しつづける。あなたの生活こそどうなっているのですかと言いたくなる。正体がわかるシーンは予期せぬサスペンスを見せられた気分。芥川賞作家なのに読みやすく、だからってどんな小説だったかと人には説明しづらく、なのにクセになる作家。まさにスルメイカのような人。ずっと書いて。
読了日:11月13日 著者:今村 夏子
■ミュージアムグッズのチカラ
博物館に勤めています。自分が働いている博物館が出ているとなるとついつい嬉しくて買ってしまう。楽しい本ではありますが、熟読するには字が小さめでツライ。写真中心に眺めては気になる箇所を拾い読みする感じになり、1冊読みましたと言うのは後ろめたいような気が(笑)。載ってますよとミュージアムショップに言いに行ったら、該当する販売品の前にドーンとこの本が鎮座ましましていました。撮影しに来られているのだから当たり前か。失礼しました~。ウキウキわくわくするミュージアムグッズ。毎年クリスマスセール期間が来るのが楽しみです。
読了日:11月14日 著者:大澤夏美
■母性 (新潮文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】5年以上前に読んだ本の内容を覚えているはずもなく、とても不愉快な気分になりながら読んで最後に呆然としたことだけを思い出す。とすると、この映画版はずいぶんと救われるラストだから、原作とは趣を異にしているのか。高畑淳子演じる義母が菓子をほおばるシーンや、大地真央演じる母親の最期のシーンはあんなに写さなくてもいいのに。戸田恵梨香のこんな疲れた顔を見ると結構堪えます。どれだけ虐められようが、義母に敬意を払うよう努める姿は凄い。所詮、幸か不幸かなんて人が決めるものじゃない。
読了日:11月24日 著者:湊 かなえ
■渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ文庫)
地味に公開されてひっそり終映になった感のある映画ですが、とても気に入ったので原作を購入。良い感じに歳を取っているエリック・バナに見惚れ、そのイメージで原作も読む。自殺を装って銃殺してバレないものなのかというのは映画版を観たときにも引っかかったことですが、それが瑣末なことに思えるぐらい面白かった。ただ、映画版を観ていなければ、読むのにもっと時間がかかったことでしょう。この分厚さならやはり先に映画版を観たい。あっと驚く真相。こんな職業の人が犯人であるはずがないと頭のどこかで思っているのかもしれません。余韻大。
読了日:11月26日 著者:ジェイン ハーパー
■ファミリーランド (角川ホラー文庫)
生まれも育ちも阪急宝塚沿線の者としてはタイトルからしてウキウキ。しかし内容は決してウキウキできるものではありません。澤村さんってこんなSFも書いちゃうのか。連作短編とまでは言わないけれど、あらこの人という人物が後のお話にもちらりと姿を現します。日々の生活も出産も葬式もシステム化されて人間の考える余地なし。果たして狂っているのは誰なのでしょう。会話にしばしば登場する映画の名前や亡くなった芸能人=逸見(いつみ)さんを知っていれば、その頃が懐かしくてノスタルジーを感じたりも。今のお葬式の良さを改めて教えられる。
読了日:11月27日 著者:澤村伊智
■背中の蜘蛛 (双葉文庫 ほ 10-03)
映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2014)と『スノーデン』(2016)を公開当時に観ています。最初に観たとき、スノーデン氏のことを被害妄想に囚われたおかしな人だとか思えませんでした。事実だと知って、こんな恐ろしいことがあってよいものだろうかと衝撃を受けました。犯人は誰かと推理しながら読むはずだった本作も、読み始めたら犯人のことはどうでもいい。こんなふうに自分のやることなすことすべてが政府に監視されているのだとしたら怖すぎる。犯罪に無関係の気にくわない人を潰すことも可能。メール一語にも気をつけて。
読了日:11月30日 著者:誉田 哲也

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