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今年観た映画50音順〈ま行〉

《ま》
『マン・フロム・トロント』(原題:Man from Toronto)
2022年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
ヴァージニア州ヨークタウンのフィットネスジムに勤めるテディは、
ろくでもないアイデアばかり出してオーナーから解雇される。
ちょうどその日は愛する妻ロリの誕生日。
クビになったことを言えないまま、ロリの誕生日を祝うべくオナンコックのロッジに到着。
ところが、インク切れのプリンターで予約書を印刷したせいで、ロッジの番号を間違う。
ロリを車の中で待たせて、まずはテディひとりでロッジへ。
シャンパンや花束を用意するはずが、そこで待っていたのは明らかにヤバイ筋の男たちで、
目の前には彼らによって天井から吊り下げられた男性が。
どうやらなかなか吐かない男性を吐かせるために雇われたのが伝説の暗殺者“マン・フロム・トロント”で、
テディはそいつと間違われたらしく、その場はなんとか脱出したものの、FBIから協力を要請され……。
テディ役にケヴィン・ハート、マン・フロム・トロント役にウディ・ハレルソン
血も涙もない冷酷無比な暗殺者だけど、利用価値がある間はテディを殺そうとしません。
そうこうしているうちにふたりはこれ以上ないコンビになります。
怖すぎるウディ・ハレルソンに何度も笑わされました。
ま、いちばん怖かったのはマン・フロム・トロントのハンドラー、デボラ役のエレン・バーキンですが。
あ、山下智久も“マン・フロム・トーキョー”役で出演しています。
山Pがトロントに瞬殺されるところをご覧ください。
 
《み》
『ミー・タイム』(原題:Me Time)
2022年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
親友同士のソニー(ケヴィン・ハート)とハック(マーク・ウォールバーグ)。
若い頃は常に共に過ごしてきたが、ソニーが結婚してから会う機会が激減。
ソニーの妻マヤ(レジーナ・ホール)は有名な建築家で多忙なため、
ソニーが専業主夫となって家事育児をすべておこなっているのだ。
“Me Time”(=ひとり時間)が一切ないソニーを気遣うマヤは、
休暇を取って子どもたちと実家に行くからその間ひとりで自由に過ごすようにソニーに言う。
いざひとりになってもどう過ごせばよいかわからないソニーのもとへ、
ハックから44歳の誕生日を一緒に祝ってほしいと連絡があり……。
想像していなかったほど下品でドン引き。でもまぁまぁ笑えるし、ハッピーエンディング。
ソウルミュージシャンのシールも本人役で特別出演。
学芸会のオーディションで“ハレルヤ”を歌った少年は誰ですか。超上手いんですけど。
本作でいちばん気になったのはそれだったりします。(^^;
 
《む》
『ムンナー・マイケル』(原題:Munna Michael)
2017年のインド作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
マイケル・ジャクソンを敬愛するベテランの男性バックダンサーは、
年齢を理由に解雇されたその日、ゴミ置き場で赤ん坊を見つけて連れ帰り、
「坊や」の意であるムンナーと名付ける。
幼少期からダンスに明け暮れたムンナーは、仲間と共にナイトクラブを巡り、
自信ありげなダンサー相手に挑発してダンスバトルに持ち込み、常に圧勝。
その掛け金で稼いでいたが、ある日の相手がたまたまヤクザの手下だった。
ダンス上手い、喧嘩強く、手下たちはムンナーにボコボコにされる。
翌日、ヤクザのボス・マヘンドラはムンナーを呼びつけると、
30日間で自分を踊れるようにしてほしいと言う。
美人ダンサーのドリーに想いを寄せるマヘンドラは、自分も踊れるようになって恋を成就させたいらしく……。
なぜこれを公開しなかったのかと思うほど面白かった。
ムンナーがドリーと恋に落ちて事がややこしくなるのは予想どおりだけど、
最近「踊らないボリウッド」が増えるなか、踊りメインは嬉しいじゃあないか。
ムンナー役のタイガー・シュロフ、タイプじゃないはずが凄く格好良く見えてくる。
ドリー役のニッディ・アゲルワール、美人!
マハンドラ役のナワーズッディーン・シッディーキー、気の毒で笑った。
しかしヤクザが兄弟の契りを交わすとき、手のひらを切って握り合うのって世界共通?
 
《め》
『メインストリーム』(原題:Main Stream)
2021年のアメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
監督はフランシス・フォード・コッポラの孫娘ジア・コッポラ。
自作の映像をYouTubeにアップしている女性フランキーは、
街で見かけた男性リンクを撮影したところ、再生回数がどんどん伸びる。
リンクにカリスマ性を感じて彼をスカウト。
また、バイト先の同僚ジェイクも巻き込んで動画制作を始める。
ジェイクが考えたシナリオでリンクが演じ、フランキーが編集。
リンクはたちまち人気YouTuberとなるのだが……。
リンク役のアンドリュー・ガーフィールドって、私にとってはちょっとビミョー。
これでそんな人気者になれるだろうかと思ってしまいます。
スマホ嫌いで弱者の味方、若者の代弁者風だった彼が、実は金持ちの問題児。
いったん人気YouTuberになると、「いいね」がなければ生きていけない。
自分の言葉で傷つけて自殺者を出そうとも気にしない。
何が大事なのかわからなくなってしまいそう。
 
《も》
『モロッコ、彼女たちの朝』(原題:Adam)
2019年のモロッコ/フランス/ベルギー作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
カサブランカのメディナ(旧市街)で仕事を求めてさまよい歩く妊婦サミア。
住み込みで雇ってくれるところを探して1軒1軒、扉を叩いて回っている。
大きなお腹の素性の知れない彼女を雇うところなど当然ない。
疲れ果てて腰を下ろしたのは、小さなパン屋を営むまだ若い未亡人アブラの家の斜向かい。
店舗を併設した自宅で幼い娘ワルダを育てながら奮闘するアブラは、
ひと晩中動こうとしないサミアを見かねて数日の約束で泊めることに。
パン作りを手伝おうとするサミアをアブラは冷ややかな目で見つめるが、
意外や意外、サミアの作ったパンは美味しくて……。
イスラーム社会では未婚の妊婦がタブー視されるとか。
アブラもサミアを家に入れたはいいけれど、ご近所さんの目が気になります。
まぁこのふたりが揃いもそろって愛想のないご婦人なんですよ。
サミアは「迷惑はかけないから」と言うけれど、家に来られた時点で迷惑ですからね。
で、居着いたサミアは無礼な人ではないけれど、アブラとどっちもどっちの愛想のなさ。
そんな中にあって、娘のワルダの可愛いことといったら。
アブラとサミアの間の緊張が解けていく様子がよかった。

—–

今年観た映画50音順〈は行〉

《は》
『HUSTLE/ハッスル』(原題:Hustle)
2022年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
スタンリーはNBAのチーム、フィラデルフィア・セブンティシクサーズの有能なスカウトマン
各地を転々としては有望選手を探すこの仕事に疲れていたところ、
彼を高く買うチームオーナーからアシスタントコーチ就任を命じられて喜ぶ。
ところがオーナーが急逝し、ボンクラ息子のヴィンスが後釜に座り、
スタンリーは再びスカウトマンに戻らされてしまう。
スペインで彼が見つけたのは、建設現場作業員のボー。
若くしてシングルファーザーのボーをなんとしてでもNBAの選手にするべく、
スタンリーはボーをアメリカへと連れ帰るのだが……。
スタンリー役のアダム・サンドラーを久々に見たらオッサンになっていましたが、
スポーツ映画はやっぱりいいですよねぇ。胸が熱くなる。
本物のNBAの選手がわんさかゲスト出演しています。
エンドロールを見たら“himself”だらけで笑いました。
 
《ひ》
『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』(原題:Hitman's Wife's Bodyguard)
2020年のアメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
『ヒットマンズ・ボディガード』(2017)の続編。わぉ、前作未見じゃあないか。(–;
一流のボディガードだったマイケル(ライアン・レイノルズ)は、
ある出来事がトラウマになって立ち直れず、休暇を取ろうとカプリ島へ。
ところが休暇先で宿敵の殺し屋ダリウス(サミュエル・L・ジャクソン)の妻ソニア(サルマ・ハエック)と遭遇。
ソニアによれば、ダリウスがマフィアに拉致されたらしく、救出につきあわされることに。
ダリウスこそマイケルのトラウマの根源なのに……。
マイケルに対するダリウスとソニアの扱いが雑すぎて気の毒になるほど(笑)。
アントニオ・バンデラスはともかく、モーガン・フリーマンが悪役で驚いた。
ボディガードにも賞があるなんて初めて知りました。これホント?
まぁ、要人の格もそれぞれでしょうから、ボディガードのレベルも違いますよねぇ。
 
《ふ》
『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』(原題:Botero)
2018年のカナダ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
そういえば見たことのあるユーモラスな画風のフェルナンド・ボテロ。
どんな人物も動物もいわゆる太っちょ、静物ですら膨らんでいるかのように見える絵。
こんな画風だから、のほほんと暮らしてきたアーティストなのかと思いきや、
コロンビアのメデジン出身。そう聞いただけで過酷な環境に思えます。
息子のひとりを亡くし、悲しみに暮れる彼が書いた男児の絵には胸打たれ、
憧憬の対象だったピカソと自分の作品が並べられた展覧会にはこちらも嬉しくなる。
 
《へ》
『ベスト・フレンズ・エクソシズム』(原題:My Best Friend's Exorcism)
2022年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
舞台は1988年。高校2年生の内気なアビーと快活なグレッチェンは親友同士。
まもなくグレッチェンは両親に帯同して引っ越す予定で、アビーは悲しくて仕方がない。
思い出を作りたい週末、ふたりは同級生のマーガレットとグリーも共に過ごす。
途中、マーガレットの恋人ウォレスが持ち込んだLSDを全員が摂取。
そのせいもあってハイになったマーガレットがアビーに無神経な発言をしたことから、
アビーはその場を立ち去り、グレッチェンが追いかける。
ふたりは森の奥に建つ廃屋へと足を踏み入れるが、そこは昔、殺人があったと言われる場所。
何者かの気配を感じて慌てて逃げ出したところ、グレッチェンが転倒。
その後、現場に戻ったアビーに救出されたものの、グレッチェンの様子が明らかにおかしく……。
ホラーコメディですが、悪魔に憑依されたグレッチェンの姿はそれなりに怖い。
悪魔祓いを引き受けるマッチョな男クリスチャンの頼りにならないことといったら(笑)。
上から数えて63番目の悪魔アンドラスは果たして本当にいなくなったのかしらん。
本作の人気次第では続編も作られそうな雰囲気です。
 
《ほ》
『ホーム・チーム』(原題:Home Team)
2022年のアメリカ作品。Netflixにて配信。実話に基づく。
2010年のスーパーボウルで優勝へと導いたヘッドコーチ、ショーン・ペイトン。
しかし2年後、敵チームの選手に怪我を負わせた自チームの選手に報奨金を出したとして
活動停止処分を言い渡される。処分撤回を求めるもすぐにはどうにもならない。
処分が解けるまでの間、元妻と息子コナーが暮らすテキサスを訪れたショーンは、
コナーが所属する少年アメフトチーム“ウォリアーズ”を見に行くが、
かつて1勝もしたことのないチームで何もかもボロボロ、あまりに弱い。
住民たちはショーンの不祥事を知ってはいるが、名コーチであることは事実。
皆から期待を寄せられて見て見ぬふりもできず、コーチを引き受けるが……。
試合を楽しめと子どもたちに言っていたはずが、いつのまにか勝利至上になっている。
ゲロしまくりのシーンは不要でしたが、スポーツドラマの定番として楽しい。
プレイブックを理解できない子どもたちにチップスを使って説明するところ、最高です。

—–

今年観た映画50音順〈な行〉

《な》
『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』(原題:Glass Onion: A Knives Out Mystery)
2022年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
まさか『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)の続編が配信とは。
登場人物はダニエル・クレイグ演じる探偵ブノワ・ブランが同じだけ。
ハイテク億万長者のマイルズ(エドワード・ノートン)の邸へ招待された彼の友人たち。
知事、化学者、YouTuberなど、いずれもマイルズの恩恵に与る者ばかりで、
マイルズは招待したおぼえのないブノワまでやってきたものだから驚く。
もうひとり、マイルズの招かざる客は、金儲けに走るマイルズを止めたかつてのパートナー、アンディ。
邸が建つ孤島へと船で向かった面々だったが、その晩、YouTuberが殺されて……。
つい先日配信開始になったばかりだけどネタバレしちゃいます。
アンディだと思われていたのは彼女の双子の妹ヘレン。
アンディが何者かに殺害され、その真相を暴こうとブノワに依頼し、
ふたりで相談、協力して島へと乗り込んだのでした。
アンディとヘレンを演じるジャネール・モネイがめちゃめちゃ綺麗でカッコイイ。
対するエドワード・ノートンが彼女にやり込められるシーンは最高です。
焼け落ちるモナ・リザ、ざまあみろ。
前作の丁寧さはないし、コロナに寄せたコメディみたいになっている感はあるけれど痛快。
 
《に》
『二十世紀のキミ』(英題:20th Century Girl)
2022年の韓国作品。Netflixにて配信。
20世紀の終わり。
女子高校生ボラ(キム・ユジョン)の親友ヨンドゥ(ノ・ユンソ)が海外で心臓病の手術を受けることに。
渡米直前、ヨンドゥは同校の男子ヒョンジン(パク・ジョンウ)に一目惚れ。
こんなときに海外で手術を受けねばならぬことを嘆くヨンドゥに、
ボラはヒョンジンについて日々調べて情報をメールで知らせると約束する。
ヒョンジンの身長、好きな音楽、ポケベルの番号などを調べるうち、
ボラはヒョンジン親友ウノ(ピョン・ウソク)のことが気になりはじめ、両想いになったのだが……。
ヨンドゥが帰国してみたら、実は彼女が一目惚れした相手はウノでした。
恋愛を採るか友情を採るかというありがちな展開ですが、
ありがちな展開って王道なわけで、やっぱりいいんですよねぇ。
連絡の途絶えたウノを忘れられないボラ。15年前にウノは亡くなっていましたというオチは悲しすぎるけど。
パク・ジョンウの三枚目の演技が光っていました。
 
《ぬ》
毎年困る音。ありません。
 
《ね》
『ネイバー大戦争 隣の芝はサンバの香り』(原題:Fenced In)
2022年のブラジル作品。Netflixにて配信。
リオの楽器店に勤務していたヴォルテルは、無作法な客がかき鳴らす楽器の音で神経を患う。
医者から騒音のない暮らしを勧められ、妻ジョアナとともに静かな郊外へ引っ越し。
数日間は夢のように穏やかな生活を送っていたが、ある日、信じがたいほどの騒音で目覚める。
どうやら留守にしていた隣人が帰ってきたらしく、苦情を申し入れに向かう。
隣人は有名なサンバチームの主催者で、家に何十人ものメンバーを招いてドンチャン騒ぎ。
訳のわからぬペットを何匹も飼っているうえに、
子どもたちがドラムやらチューバやらそれぞれに練習しはじめ……。
弁護士見習い中の娘が隣人を訴えてくれるかと思いきや、いつのまにか隣の息子とくっつく。
リオに戻ろうにも元の家は売り払ってしまい、田舎へ引っ越したせいで妻の仕事の顧客も激減、貯金が底をつきます。
気の毒なはずが、ヴォルテルが格好良くもなんともないオヤジのせいで同情できず。
ブラックなドタバタコメディだけど、ノリが違うせいか全然笑えない。(^^;
 
《の》
『残り火』(原題:Loving Adults)
2022年のデンマーク作品。Netflixにて配信。
友人と共に起業した建設会社が大当たりして富を築いたクリスチャン。
才能あふれる音楽家だった妻レオノラは、大病を罹う息子の世話にかかりっきりで、
音楽の道を歩むことを断念せざるを得なかったが、後悔はしていない。
ところがある日、夫が部下のセニアと浮気していることを知り、激怒する。
夫に不倫を精算するように言い募るが、クリスチャンはレオノラと離婚してセニアと再婚したい。
レオノラは決してそれを許そうとせず、もしも自分と別れるつもりなら、
クリスチャンが詐欺を働いて金を儲けたことを通報すると言う。
困り果てたクリスチャンは、ジョギング中のレオノラ殺害計画を立てるのだが……。
ジョギング中の妻を轢き殺したはずが別人でしたって、どこまで不運なのか(笑)。
妻のすべてが怖すぎて震え上がります。最後は夫の浮気相手まで殺されちゃいますから。
とても恐ろしくて面白いスリラーでした。

—–

今年観た映画50音順〈た行〉

《た》
『タール 因縁の荒野』(原題:Thar)
2022年のインド作品。Netflixにて配信。
タール砂漠が広がるラージャスターン州パキスタンとの国境近くの町ムナバオ。
ある夜、ひそかに麻薬の倉庫となっている民家に強盗団が押し入り、住人が殺される。
結婚間近でありながら別の男と外出先で浮気していた住人の娘は無事だったが、
捜査に訪れた警部補スレーカとその部下に正直に話そうとしない。
また、耳を掻き切られた男性の遺体が発見され、続いて悪名高き数名の男が次々と行方不明に。
これも麻薬絡みの犯罪かとスレーカは考えるが、
どうも後者の犯人は正義のために悪人を罰しているように思えてきて……。
デリーからやってきたという骨董商シッダールトが後者の犯人であることは早いうちにわかります。
ただ、耳を切ったり指を折ったり、捕らえた男たちをすぐには殺さずに、
吊して拷問にかけてからじわじわ殺そうとするのはなぜなのか。
その理由が凄絶で、今までに観たインド作品のなかでいちばん怖かったかも。
妻をいたぶり殺されたシッダールトには同情すべきものがあります。
が、はたして強盗団の話は必要だったのかどうか疑問。
 
《ち》
『TUBE チューブ 死の脱出』(原題:Meandre)
2020年のフランス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
愛娘を亡くした悲しみから立ち直れずに自らも死ぬことを考えていた女性リザ。
なのに死ねずにいたところ、通りすがりの車に拾われる。
運転手に襲われて気を失った彼女が目覚めると、暗くて狭い檻のような部屋の中。
手首にはカウントダウンの表示が光るブレスレットが取り付けられており、
開いた扉から外に出てみると、そこにはチューブ状の通路が迷路のように広がっていた。
邦題から想像できるとおり、設定が『CUBE』(1997)そのまま(笑)。パクリです。
目覚めたときに彼女が着せられている服が凄いんです。どういうコスプレ!?
いきなり通路の幅が狭くなったり、天井が下がってきたり、火炎が噴き出したり。
化け物に追いかけられるシーンなんて怖い怖い。でもなんか雑でワラける。
臍に管が直結されてかつて幸せだった映像を見せられ癒やされるところは斬新か(笑)。
無事脱出して終わりかと思いきや、死ぬんかい。いや、死んでない!?
 
《つ》
『ツイン・ミュータント』(原題:Transference: Escape the Dark)
2020年のカナダ作品。劇場未公開。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
幼い頃に事故で親を亡くした兄妹ジョシュアとエマ。
エマはある能力が持っているが、もしもそれが悪用されるととんでもないことになる。
ジョシュアはエマを守ろうと、隔離された部屋に彼女を閉じ込め、
親しい病院関係者に彼女の能力を抑える薬の投与を頼むが効果なし。
あるとき、エマを探しているらしい怪しい人影にジョシュアは気づき……。
邦題から想像していたのはミュータントが生まれてウギャーとなるようなB級作品。
ところがミュータントっぽさは全然なくて、詐欺みたいなタイトル。
エマの隠された能力とは、ジョシュアが痛めつけられるとそれがエマに伝わり、
怒りに駆られて人を殺すほどの力を発揮するらしい。
そもそも英語作品ではないと思っていたので、始まってみてびっくり。
 
《て》
『テーラー 人生の仕立て屋』(原題:Raftis)
2020年のギリシャ/ドイツ/ベルギー作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
少年の頃からスーツを着て仕立て屋になるべく育てられたニコス、50歳、独身。
このところ経営不振が続き、銀行から差し押さえを宣告される。
ショックで入院した父親の留守中、ニコスはなんとか事態を立て直そうと、
生地や仕立て道具を詰めた屋台を単車で引っ張って、移動式の仕立て屋を始める。
しかし屋台でスーツを作ろうという客などいるはずもなく困っていたところ、
ウェディングドレスを作ってほしいという注文が舞い込む。
戸惑いながらも手探りで婦人服の仕立てに着手。すると思いのほか人気を呼び……。
ディミトリス・イメロス演じるニコスはどうみても変人で、台詞もほとんどなし。
几帳面で毎日ルーティンの行動しかできない彼ですが、どうにも憎めない。
隣家の少女ヴィクトリアだけは最初からニコスに好意的だったのに、
自分の母親オルガがニコスとあまりに親しくなると不機嫌になる。
父親に密告はせずとも、ニコスに意地悪な態度を取りはじめるのは、
思春期の少女の複雑な思いが表れていて苦い気持ちになりました。
ラストの風を切って走る“ウェディングドレス屋 ニコス”のシーンがとても良い。
ふだんあまり映画を観ない人にはお薦めしづらい作品だけど、私は好き。
 
《と》
『Togo/トーゴー』(原題:Togo)
2022年のウルグアイ作品。Netflixにて配信。
モンテビデオの通りの1区画で駐車場の誘導係をしながら路上生活を送る男性トーゴー。
すぐ隣の区画ではコカインの取引が横行しているが、
自分の区画には決してそんなものを持ち込ませたくない。
ある日、富裕な家庭に育ちながら両親に反抗して家を飛び出してきた少女メルセデスが、
自分も路上生活を送りたいと言ってトーゴーを頼ろうとする。
最初は取り合おうとしないトーゴーだったが、放っておけずに面倒を見ることに。
しかし、トーゴーの区画を狙う組織が従うように脅しをかけてきて……。
ウルグアイってスペイン語が公用語なんですね。それすら知りませんでした。(^^;
これほど怖い国だとは知らず、ビビるビビる。警察はまったく当てにならないし。
足をひきずり杖を突きながら歩くトーゴーはどうみても弱そうな爺さんなのに、
もとはプロボクサーで結構強かったらしい。
事故に遭ってこんな体になってしまったけれど、絶対悪には屈しません。
過去に荒んだ時期はあっても、誠実に生きてきた彼に優しい町の人もいる。
実際にはむずかしいことでしょうが、ハッピーエンドが嬉しい物語。
メルセデスのTシャツの字“悪兆候”には目が釘付けになりました。これかなぁ。

—–

今年観た映画50音順〈さ行〉

《さ》
『殺人鬼から逃げる夜』(英題:Midnight)
2021年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
通販会社のお客様対応を手話で務めるギョンミ。
生まれつきの聴覚障害者であり、彼女の母親も同じ障害を持っている。
ある日の帰宅途中、路地裏で負傷して倒れている女性ソジュンを発見。
ギョンミは助けようとするが、ソジュンは実は連続殺人鬼ドシクのターゲット。
ドシクは目撃者となったギョンミを追いかけることに。
警察に逃げ込んだギョンミは、後からやってきたドシクの犯行を伝えようとするが、
とても殺人鬼には見えないサラリーマン姿のドシクのことを警察官は信用。
この危険な状況を上手く伝えられないことをもどかしく思うギョンミ。
そこへソジュンの兄ジョンタクが帰らぬ妹を探しにやってくるのだが……。
ギョンミ役にチン・ギジュ、ドシク役にウィ・ハジュン。怖い怖い。
ナイフを手にした聴覚障害の女性が健常者の男性に追いかけられていたら、
「錯乱状態にある妹」だと男性が周囲に話すと、皆それを信じてしまうのですね。
そして男性に手を貸そうとする。なんと理不尽なことか。
最後はギョンミの頭脳戦勝ち。スッキリいい気味です。
ジョンタクとの関係も予感させられてハッピーエンディング。
 
《し》
『しあわせのマスカット』
2020年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
北海道出身の相馬春奈(福本莉子)は、高校の修学旅行で岡山を訪れたさい、
病床の祖母が切望するマスカット・オブ・アレキサンドリアをお土産にしたかったのに、
財布を落としたせいで叶わず、代わりにその葡萄を使った和菓子を買って帰る。
祖母が美味しいと言って食べるのを見て、この和菓子を作っている会社に就職を志望。
面接に遅刻したにもかかわらず、社長のお眼鏡に適って採用される。
しかし、ドジな春奈は研修期間中に失敗三昧。
配属先に困った人事部は、春奈を商品部社員という扱いにして、
マスカット・オブ・アレキサンドリアを作っている葡萄農園へと送り込む。
農園主の秋吉伸介(竹中直人)は気難しく、これまで誰も長続きした試しがなく……。
岡山のご当地映画だと思っていたら、源吉兆庵の宣伝映画でした(笑)。
私たち、こんなに良い会社なんですよ~と言われているようでドン引き。
ま、悪くはないです。頑張る女子の姿を見るのは。
田中要次がお店のガードマン役で出演しています。ほぼ台詞なしで笑った。
 
《す》
『スターフィッシュ』(原題:Starfish)
2018年のイギリス/アメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
知名度ゼロに等しいキャストゆえ未公開になりそうだったところ、
出来のあまりの良さにもったいないと、“未体験ゾーンの映画たち 2022”で上映。
オーブリーは急死した親友グレイスの葬儀に参列。
その折、グレイスが自分に手紙を出そうとしていたことを知る。
グレイスの部屋にこっそりと侵入して物思いにふけっている間に外で異変が起こり、
人々が町から忽然と消え、不気味な怪物が徘徊するようになっていた。
グレイスが残したミックステープをもとに、オーブリーは町を救おうとするが……。
冒頭に「実話に基づく」と表示されます。
そんなアホなと笑ってしまったのですが、途中で気づく。
これは、大切な誰かを亡くした人が現実と向き合えるようになるまでの話だと。
怪物こそが現実。ミックステープの隠し場所を辿ることが気持ちの整理
人が死ぬのは運命。でも物語が喪われるのは悲しい。泣いてしまった。
 
《せ》
『世界で一番美しい少年』(原題:The Most Beautiful Boy in the World)
2021年のスウェーデン作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
何十年かぶりに『ミッドサマー』(2019)でその姿を見せて話題になったビョルン・アンドレセン。
1970年、15歳のときに『ベニスに死す』(1971)のオーディションで巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督に見いだされ、
その完璧な美貌が“世界で一番美しい少年”と称賛された俳優。
『ベニスに死す』に出演したせいで世界中の美少年好きから性的な目で見られるようになり、
ゲイを公言するヴィスコンティ監督は、撮影後には彼を「もう歳を取り過ぎだ。
1年前は美しかったけど」のようなことを言ってこきおろす。
そのくせ、ほかの作品には今後3年間出演させないという契約を彼の祖母と取り交わし、
アンドレセン本人の望まない形で彼の人生は進んで行く。
父親は誰かわからず、母親は森で首吊り自殺、祖母に無理やり芸能界入りさせられた彼。
もう悲しくて切なくて、やるせない気持ちになりました。
 
《そ》
『ソウルメイト/七月と安生』(原題:七月與安生)
2016年の中国/香港作品。TSUTAYA DISCASにてレンタル。
デレク・ツァン監督の『少年の君』(2019)の高評価を受けて昨年初公開された模様。
プロデューサーをピーター・チャンが務めています。
ネットで人気の小説『七月(チーユエ)と安生(アンシェン)』を映像化しようと、
映画会社が作者の林七月を探すが見つからない。
実話を基にした物語のようだからと、李安生を探し当てて交渉する。
ところが安生は七月なんて人は知らないと言い張り……。
実は作者は安生で、物語は幼なじみだった七月と安生の激動の人生を描いています。
優等生の七月と自由気ままな安生は蘇家明という男性を愛し、ぶつかりあう。
ふたりの間に何があったのかがすべてわかるときはかなり衝撃的。
家明と婚約した七月は挙式当日に家明に逃げられ、地元には居づらくなって脱出。
でも実はこれは七月が家明に頼んだこと。そうでもしなければ地元から出られないから。
しかし七月はその後、家明との間にできていた子どもを出産。
その子どもを安生が育てていました。しかもそれだけじゃないのです。
魂の結びつきに圧倒されました。

—–