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『異端者の家』

『異端者の家』(原題:Heretic)
監督:スコット・ベック,ブライアン・ウッズ
出演:ヒュー・グラント,ソフィー・サッチャー,クロエ・イースト,トファー・グレイス他
 
前述の『#真相をお話しします』の次に、同じく109シネマズ箕面にて。
 
ヒュー・グラント主演だし、イギリス作品かと思っていたら、カナダ/アメリカ作品。
そう言われると確かにカナダの暗さが漂っています
原題の“Heretic”は私は知らなかった単語で、「異教徒、異端者、異説を唱える人」の意。
 
末日聖徒イエス・キリスト教会(=モルモン教)の布教活動をおこなう若いふたり、
シスター・パクストンとシスター・バーンズは、森に囲まれた一軒家を訪れる。
 
応対した中年男性ミスター・リードは明るく気さくで、ふたりを家の中へと招き入れる。
布教活動のルールでは、男性しかいない家には入らないことになっているが、
ふたりは雨に濡れていたこともあり、人見知りの妻が奥でパイを焼いているというリードの言葉を信じる。
実際にブルーベリーパイの香りがしていたから。
 
最初は和やかに進む会話。リードはモルモン書を読み込んでいるらしく、やたら詳しい。
しかしふたりが不快に思う質問を連発され、答えれば容赦なく突っ込まれる。
奥にいるはずの妻はいつまで経っても姿を見せず、ふたりは次第に不安をおぼえるように。
 
教会に連絡を取ろうとするも、携帯は繋がらない。これは絶対にヤバい家。
リードが席を外した隙に逃げようとするが、玄関のドアがうんともすんとも言わない。
帰らせてほしいと頼むと、玄関は明朝まで開かないと言うリード。
 
玄関は開かないけれど裏口から出て行くのは止めないとリードから言われ、
ふたりが奥のドア2つを開けてみると、そのドアはどちらも地下へと繋がっていて……。
 
老いても笑い皺がチャーミングなヒュー・グラントは、善人を演じることが多かった。
なのにこの不気味な男の役は何なのか。ものすごく新鮮。
 
リードはモルモン教を憎んでいてこんなことをするのか。そうではない。
最も強い宗教とは何なのか。
誰でも一度はやったことがあるのではないかと思われるボードゲーム“モノポリー”のことが怖くなります。
何にも勝る宗教とはいったい何なのか。
 
配給元がA24でなければ、ふたりは助かってハッピーエンドなのでしょうけれど、
それでもみんなが死んだわけじゃないからマシか。(^^;
 
今はモルモン教という言葉は使わないのですね。
末日聖徒イエス・キリスト教会って、何!?と今ごろ驚いてすみません。
 
それにしてもヒュー・グラントの台詞の多さよ。
こんなに長くてややこしい台詞を覚えられるんだと尊敬の念を抱きました。
超サイコなオッサンだったけど。

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『#真相をお話しします』

『#真相をお話しします』
監督:豊島圭介
出演:大森元貴,菊池風磨,中条あやみ,岡山天音,福本莉子,伊藤健太郎,栁俊太郎,綱啓永,
   田中美久,齊藤京子,原嘉孝,桜井ユキ,山中崇,秋元才加,大水洋介,伊藤英明他
 
何の割引もない月曜日。55歳以上は1,100円で観られるイオンシネマへ行くのがどう考えてもお得なんですが、
家とは反対方向の茨木に向かうのが面倒になり、109シネマズ箕面にてポイント鑑賞しました。
 
結城真一郎の売れに売れた同名小説を映画化。原作の感想はこちら

いちばん最近観たのが『新・三茶のポルターガイスト』(2024)だったせいで、ホラーの得意な監督という印象。
だけど、『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』 (2020)なんかも撮っているし、引き出しの数が多い。
 
ところで主演の大森元貴って、主題歌を歌うMrs. GREEN APPLEの人なんですね。
エンドロールを見るまで知らずにいてごめんなさい。上手いなぁ。
 
総合商社の社員だった桐山(菊池風磨)はある出来事をきっかけに退職。今は某ビルの警備員の職に就いている。
やむをえず借りた金は300万円に膨れあがり、明日返さなければどうなるかわからない。
金を作るためにエントリーしたのは、人気配信番組“#真相をお話しします”のスピーカーの座。
 
同番組を配信しているのはサテツ(岡山天音)。
サテツはその昔、離島の子どもたちの日常に密着した番組に登場した3人のうちの1人。
超人気番組だったのにある日突然配信が終了してしまい、世間にはその謎が明かされぬまま。
時を経てあのサテツが生配信番組を始めたものだから、皆がこぞって視聴するように。
 
視聴者は自分だけが知っているさまざまな事件の真相をまずはサテツに送る。
そしてサテツがこれぞと思う内容を送ってきた者をスピーカーに決定。
生配信番組でスピーカー自身が話し、視聴者はその話を面白いと思えば投げ銭するという仕組み。
スピーカーはアバターで表示されるから、匿名性は守られる。
 
桐山自身も強烈な体験を持っており、同番組にエントリーするよう背中を押したのは鈴木(大森元貴)。
同ビル内で働く鈴木は桐山と友人になり、桐山の体験ならきっとスピーカーに選ばれると言うのだ。
 
それを真に受けてエントリーした桐山だったが、サテツの口からはなかなか名前が出ない。
1人目、2人目と、いずれも世間を騒がせた事件の真相を語るスピーカーが現れ、ついに3人目に桐山が選ばれて……。
 
原作を読んだときに「記憶に残る話かと言われるとそんなことはない」と書きました。
実際2年半経った今、どの話もうろ覚え。だからこそ余計に、豊島監督は上手く映画にしたものだなぁと驚く。
あの『#拡散希望』で「殺したくなるほど下衆い親」を持つ息子、つまりサテツが生配信する番組の中で、投げ銭目当てに喋りたがるスピーカーたち。
匿名で10分ほど暴露話をして300万円とか500万円とか貰えるなら喋りたくもなりますかね。
 
1人目の『惨者面談』のスピーカー、カテキョ役は綱啓永。狂った隣の女に桜井ユキ。訪問先の夫に山中崇
2人目の『ヤリモク』のスピーカー、ミーコ役は福本莉子。父親役に伊藤英明
3人目の『三角奸計』のスピーカーが桐山で、その友人を伊藤健太郎栁俊太郎が演じています。
 
3話が披露された後に待ち受ける「#真相をお話ししますの真相」。
テンション高く振る舞う大森元貴と岡山天音の心の傷が感じられ、投げかけて閉じる幕もよかったと思います。
 
原作より面白かったと私は思う。

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『来し方 行く末』

『来し方 行く末』(原題:不虚此行)
監督:リウ・ジアイン
出演:フー・ゴー,ウー・レイ,チー・シー,ナーレンホア,ガン・ユンチェン,
   ホアン・レイ,フー・ヤオジー,ホワイト・K,スン・チュン,コン・ベイビー他
 
京都シネマにて2本ハシゴの2本目。
数カ月前に京都シネマに行ったときに予告編が流れていて、観たいと思った中国作品です。
 
一昨年の秋に開催された第36回東京国際映画祭での上映時は『耳をかたむけて』という邦題だった模様。
『来し方 行く末』という邦題のほうが私は断然好きです。
主演は『鵞鳥湖の夜』(2019)でも主演を務め、岩井俊二の監督作『チィファの手紙』(2018)にも出演していたフー・ゴー。
 
脚本家を目指すも叶わず、弔辞の代筆業で生計を立てている男性ウェン・シャン。
葬儀場に勤める友人の取次により仕事を受けているが、
丁寧な取材を重ねたうえでしたためるウェン・シャンの弔辞は依頼主の評判がとても良い。
 
依頼人はいろいろ。
例えば、亡くなった父親とは交流の少なかった男性。
そのまだ幼い息子は祖父のことが大好きで、父親と共に祖父と最期の時を過ごせると思ったのにそうならなかった。
 
一緒に会社を立ち上げた同僚でありCEOでもあった友人を突然亡くした男性。
窓のない地下の部屋から大きな窓のある上階の明るい部屋へ会社を移す直前だったのに。
 
癌で余命宣告を受けた自身の弔辞を依頼してきた老婦人。
ネットで親しくなったものの面識はない男性の死を知り、弔辞に文句を付けてきた女性。
 
ウェン・シャンはさまざまな人の話に耳を傾け、故人や依頼者のことを知ろうとします。
 
彼は非常に穏やかな人柄に見える半面、感情の起伏もなくて、人生が楽しんでいるようには見えません。
だけど、そんな彼のことを葬儀場の友人が表す言葉がとても的を射ています。
 
特に好きだったのは、CEOを亡くした会社員の話。
故人の身内からの依頼を受けるのは普通でも、会社のCEOが故人となると葬儀の大きさも意味も変わる。
この話は受けられないと一旦は断ったウェン・シャンと会社員の会話にはしんみり。
 
緩やかに話が進むから、ちょっと睡魔に襲われた瞬間もあるけれど、(^^;
知らない誰かのことをきちんと知って弔辞を書こうとする姿には胸を打たれました。
人の見え方はひとつではなくて、相手によって捉え方も違うのですね。
 
弔辞って、親しい人が自分で書くものだと思っていましたが、こんなビジネスもあるんだなぁ。
これはこれでありかなと思います。ウェン・シャンみたいな人が書いてくれるならば。

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『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』

『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』(原題:Joika)
監督:ジェームズ・ネイピア・ロバートソン
出演:タリア・ライダー,ダイアン・クルーガー,オレグ・イヴェンコ,ナターシャ・オルダースレイド,
   ナタリア・オシポワ,シャーロッテ・ウベン,ボリス・シィツ,トマシュ・コット,カロリーナ・グルシュカ他
 
祇園花月へ“辻本茂雄GW還暦特別公演 笑って感動して元気になったらど~や!”を観に行く前に、
京都シネマで3本ハシゴするはずが疲れ果てて早起きできず。2本にとどめたうちの1本目。
 
実在のバレエダンサー、ジョイ・ウーマックを取り上げた伝記で、イギリス/ニュージーランド作品。
彼女自身がダンスシーンのボディダブルやアドバイザーを務めているほか、
共演者のオレグ・イヴェンコはウクライナ出身、本物の世界的ダンサー。
ロシア・タタルスタン共和国のタタル国立歌劇場のプリンシパルなのだそうです。
 
バレエの才能に恵まれたアメリカ人、15歳の少女ジョイはスカウトされ、
名門ボリショイバレエ団のプリマになるという夢を叶えるべく、単身ロシアへと渡る。
アカデミーの練習生となり、不安を抱えながらもそれに勝る自信を持っていたはずが、
自身元プリマで伝説的存在の教師ヴォルコワのレッスンは想像以上に過酷。
 
オーディションを受けるのは毎回5千人にのぼり、その中で合格する者はいるかいないかぐらいの数。
ライバルをひとりでも減らすためにほかの練習生たちは妨害工作も厭わない。
熾烈な生き残り競争をかけるうち、心身ともに追い詰められていくジョイだったが……。
 
オープニングの美しさに魅入られます。
2本ハシゴもきつくて1本だけにしようかと思ったところ、這うように観に行ってよかった。
 
バレエの世界って、凄絶、壮絶。
スクールへの入学を認めておきながらきっちり差別するのは『ネネ エトワールに憧れて』(2023)も同じ。
あっちは黒人だから踊らせないってことでしたが、こっちはロシア人じゃなきゃ踊らせたくない。
オーディションで最高評価を得てもアメリカ人だからと不合格にする。じゃあなぜスカウトなんてするの。
 
心をずたぼろにされたジョイは、ロシア人ダンサーと結婚してロシア国籍となる道を選びます。
そうしたらいとも簡単にボリショイに入団が認められるも、ずっと群舞どまり。
そこから上に行くためにはスポンサーを見つけて体を売らなきゃいけないって、どんな世界なのか。
それを暴露したら今度は裏切り者扱いで、ロシア中から非難を浴びるのです。
両親がアメリカに帰って来いと言ってくれても帰らずに、結局トイレの掃除人として暮らす。凄い人生です。
 
ジョイ役のタリア・ライダーも良いけれど、なんといってもヴォルコワ役のダイアン・クルーガーが素晴らしい。
散々持ち上げられておきながら用済みにされるのも容易いというところも
『ネネ エトワールに憧れて』のお飾り校長と似ています。彼女たちの意地が見えるのが良いなぁ。
 
これは最終的に「FUCK!! ボリショイ」ってことで良いですかね。(^^;

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『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』
監督:大九明子
出演:萩原利久,河合優実,伊東蒼,黒崎煌代,安齋肇,浅香航大,松本穂香,古田新太他
 
封切り日、なんばへライブを聴きに行く前にTOHOシネマズなんばにて。
 
原作は、ジャルジャル福徳秀介が小説家デビューを飾った同名小説。
平日の昼過ぎなのに、若者から高年層までの客でほぼ満席。
テレビで頻繁に予告編が流れていたのかどうかは知りません。ジャルジャル人気のせいなのか。
それとも関西ロケだということが知れ渡っているのでしょうか。
 
『私をくいとめて』(2020)などなど、女優起用の上手い印象がある大九明子
 
関西大学に通う男子学生・小西徹(萩原利久)は雨の日も晴れの日も傘を差して歩く。
その理由を知っているのは唯一の友人・山根(黒崎煌代)のみ。
 
ある日、小西はキャンパスで見かけた女子学生・桜田花(河合優実)に心を奪われる。
なんとか彼女と話すきっかけを作ると、その後セレンディピティ(=幸せな偶然)に見舞われて何度もばったり。
わずかな期間でふたりの距離は縮まり、小西の日々に陽が差し込む。
 
そんな小西にずいぶん前から想いを寄せているのに打ち明けられずにいるのは、
小西と同じ銭湯でバイトする京都の女子学生・さっちゃん(伊東蒼)。
最近親しくなった女子学生(=花)のことを楽しそうに話す小西の表情を見て、彼は恋しているのだとさっちゃんは確信。
バイトの帰り道に思わず小西に告白しつつ、その気持ちをこの場で終わらせると宣言。
 
呆然とする小西だったが、それ以降なぜか花には会えず、さっちゃんもバイトに姿を見せなくなり……。
 
ジャルジャルのコントや漫才を舞台で何度か観ているから、本作はいかにもそんな感じがします。
「幸せ」を「さちせ」、「好き」を「このき」と読ませるというくだりは、正直言って苦手です。
小説で読むとそれほど抵抗がないかもしれませんが、映画でこの台詞を聞くと私はちょっとゲッ(笑)。
こういう表現を使う人とは感覚が違いすぎて親しくなれない気がします。
 
これを抜きにしても、全体的に台詞の言い回しが私には寒く感じられてのめり込めません。
銭湯のオーナー役の古田新太だけは、演技がオーバーであろうが何であろうがさすがと思わせるところがあるけれど。
 
萩原利久よりも河合優実よりも、本作でいちばんよかったのは伊東蒼じゃないかなぁ。
『世界の終わりから』(2023)で堂々の主役を張った彼女は、最近は脇役に回ることが多いけど、
「このき」の部分を除けば(そういう台詞なんだから仕方なし)、彼女の告白は心に訴えるものがありました。
 
松本穂香推しなので、彼女の出番が少ないのは残念至極。
と、いろいろ文句を並べてみたものの、関大、関大前、出町柳河原町など馴染みのある場所が映ったり、
南千里という地名が出てきたりしただけでも嬉しいのでした。

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