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『少女は卒業しない』

『少女は卒業しない』
監督:中川駿
出演:河合優実,小野莉奈,小宮山莉渚,中井友望,窪塚愛流,佐藤緋美,宇佐卓真,藤原季節他
 
近所の劇場では観るものがなくなって、なんばパークスシネマまで遠征しました。
道が少々混んでいたせいで上映開始に間に合わず。
許しがたいことですが、最初の15分ほどを見逃しています。
 
原作は朝井リョウの同名小説。
校舎を取り壊すことになった理由は鑑賞後に知りました。
そうか、これが見逃した15分間に起きていたことだったのか。
 
他校との合併で廃校が決まった地方の高校。
明日に控えた卒業式が終われば、校舎は取り壊される。
 
卒業生を代表して答辞を読むことになっているのは山城まなみ(河合優実)。
料理部の彼女は、毎日昼休みに佐藤駿(窪塚愛流)と密会し、一緒にお弁当を食べている。
 
女子バスケ部の後藤由貴(小野莉奈)は男子バスケ部の寺田賢介(宇佐卓真)と交際中だが、
進路のことで年末に喧嘩して以来、口をきいていない。
 
卒業式後に体育館で開催するコンサートをめぐり、軽音楽部では議論中。
どのバンドがトリを務めるか、全校生徒で人気投票をおこなった結果、
あろうことか森崎剛士(佐藤緋美)が口パクボーカルのヘヴィメタバンドが1位になったから。
冗談としか思えないと怒る他バンドのメンバーをなだめる部長の神田杏子(小宮山莉渚)。
 
おとなしすぎて友だちがひとりもいない作田詩織(中井友望)の居場所は図書室
3年間通い詰めた図書室で、唯一話せる相手が教師の坂口優斗(藤原季節)。
 
こんな4人の視点で描かれています。
 
高校生のときってこんなだったかなぁと思う。
杏子が中学から同級生だった森崎に向かって、
「6年一緒だったんだよ。人生の3分の1だよ」という台詞があります。
6年間が人生の3分の1だった頃なら、今のように、3年と思ったら5年、
5年と思ったら10年経っていたなんてことはなかったかなぁ。
 
純粋で、透き通っていて、楽しいけど切ない青春。
朝井リョウの著作は数冊読んだきり。これは久しぶりに読みたいと思える物語でした。

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『湯道』

『湯道』
監督:鈴木雅之
出演:生田斗真,濱田岳,橋本環奈,戸田恵子,寺島進,厚切りジェイソン,浅野和之,
   笹野高史,吉行和子,ウエンツ瑛士,朝日奈央,吉田鋼太郎,夏木マリ,柄本明他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
世界的に評価された『おくりびと』(2008)の脚本家・小山薫堂が2015年から提唱している“湯道”。
華道茶道とともに入浴も日本の伝統文化に含めるべきだと小山氏はおっしゃっています。
今では給湯器メーカーのノーリツが“湯道百選”というのサイトを公開しているとのこと。
 
で、そんな小山氏が自ら脚本を手がけて映画にしたのが本作、お風呂エンターテインメント。
監督はこういうエンタメが大得意、TVドラマでも活躍する鈴木雅之
ロケ地はどこなのかなと思ったら、京都の松竹撮影所内だそうで。すごいセットだ。
 
建築家の三浦史朗(生田斗真)は、大手事務所に勤めていた頃に数々の賞を受賞したが、
いざ独立してみるとなかなか仕事を受注できず、肩書きの大きさを実感している。
東京でどう暮らして行こうかと迷うなか、久しぶりに故郷に顔を見せることに。
 
実家は地元の人びとに長年愛されてきた銭湯“まるきん温泉”。
先代だった父親の死後、次男の悟朗(濱田岳)が後を継ぎ、
住み込みで働く秋山いづみ(橋本環奈)とふたりで銭湯を切り盛りしているらしい。
そこへ帰ってきたのが、父親の葬儀にすら出席しなかった史朗。
 
実は史朗の目的は、銭湯を畳んでマンションに建て替えるという計画を進めるため。
そうとは知らない悟朗も史朗に何か魂胆ありと考えるが、
もともと仲が良いとは言えない兄弟だから、悟朗は史朗とろくにしゃべろうとせず……。
 
めちゃめちゃよかったわけではないけれど、誰でも楽しめる作品だと思います。
 
生田斗真、濱田岳、橋本環奈以外のキャストもなじみのある顔ばかり。
寺島進戸田恵子は銭湯の近所で食堂を経営する夫婦。
笹野高史吉行和子も必ず一緒にやってくる老夫婦。
一番風呂で歌を唄うのを楽しみにしている客は天童よしみで、その息子役がクリス・ハート。
湯道の家元役が角野卓造で、彼の内弟子に窪田正孝
風呂だけが唯一の楽しみである定年間近の真面目な郵便局員小日向文世
彼の妻役が藤田朋子で、次女役は生見愛瑠。あれ?長女役って誰でした?
風呂に無償で薪を運んで火にくべては、入浴して帰ってゆく謎の風呂仙人に柄本明
浅野和之堀内敬子が夫婦役で、その娘役に森カンナ、婚約者役に厚切りジェイソン
源泉掛け流し主義者の評論家に吉田鋼太郎、その秘書に朝日奈央。
銭湯好きのDJにウエンツ瑛士などなどなど、知っている人だらけです。
 
そこそこ笑えて、たまにしんみりできて、ハッピーエンド。
テレビでじゅうぶんとも言えますが、この風呂は大画面で見るほうが楽しいかと。
 
銭湯を一緒に訪れた夫婦が桶を鳴らし合って会話する「ひびき桶」が○。
あと、やっぱり“上を向いて歩こう”は良い歌です。

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『エンパイア・オブ・ライト』

『エンパイア・オブ・ライト』(原題:Empire of Light)
監督:サム・メンデス
出演:オリヴィア・コールマン,マイケル・ウォード,トム・ブルック,ターニャ・ムーディ,
   ハナ・オンスロウ,クリスタル・クラーク,トビー・ジョーンズ,コリン・ファース他
 
実は本作を観る数日前にTOHOシネマズなんばへ『逆転のトライアングル』を観に行きました。
鑑賞前に1杯飲みに行ったところ、1杯では終わらず酔っぱらう。
あらすじを書けないぐらいになってしまったので、それはもう一度観ることにします。
 
で、本作はイオンシネマ茨木にて。
 
そういえばサム・メンデス監督って、ケイト・ウィンスレットと結婚していた時期があったのですよね。
現在57歳のメンデス監督が再婚したのは今から5年前。
お相手はトランペット奏者だそうで、ウィキペディアの掲載写真がえらく若い女性に見えたから、
ケイト・ウィンスレットとも10歳差だったけど再婚相手は娘ぐらいの年齢か!?と思ったら、
若い頃の写真が使われていただけで、44歳でした。っちゅうても13歳差やけど。
はい、映画とは何の関係もない、どうでもええ話です。失礼しました。(^^;
 
舞台は1980年代の映画館。それだけで郷愁を感じます。映画館の話、大好き。
 
イギリス・ケント州、マーゲイトという海辺の町に佇む映画館“エンパイア劇場”。
マネージャーとして勤務する中年女性ヒラリーは、心を打ち明けられるような友人もおらず、
自宅と勤務先とかかりつけの医者のもとのみを往復する日々。
上司のエリスは既婚者だが、時折ヒラリーをオフィスに呼び出し、性的行為を求める。
 
ある日、黒人青年のスティーブンが新入社員としてやってくる。
大学に進学したかったのに合格できなくてあきらめモードの彼を励ますうち、
ヒラリーは自分が彼に恋心を抱いていることに気づく。
彼女の態度に最初は戸惑っていたスティーブンだが、すぐにふたりの仲は発展して……。
 
ヒラリーとしてはこの関係をおおっぴらにしてもいいと思っていますが、
歳の差があるうえに白人と黒人。スティーブンは居心地が悪い。
スティーブンにうなずいてもらえなかったことでヒラリーは沈みます。
 
ずいぶん後になってからわかることですが、ヒラリーにはつらい過去があるらしい。
統合失調症で医者にかかっていて、薬のせいで体重が増減したりも。
彼女がそんな状態にあることを知っていながら自分に屈服させようとする上司はクズ。
そのクズの役をコリン・ファースが演じているのがどうにも可笑しい。
 
序盤、ヒラリーがスティーブンにあられもない感情を見せるのは
私の苦手な「オバハンの妄想」そのもので、きついなぁと思いました。
どこからどう見てもオバハンのオリヴィア・コールマンの絡みのシーンなんて見たくないですからね。
しかも相手は息子ほども歳の離れているマイケル・ウォードですから。
 
どうにか気分を持ち直せたのは、ヒラリーの純粋な心が見えたからでしょうか。
また、背景にある黒人差別が横行していた時代だということでも印象が変わる。
1980年代のイギリスでこんなふうに白人至上主義者による暴動が起きていたのだと思うと驚きます。
 
映写技師役のトビー・ジョーンズがとてもよかった。
プレミア上映される作品として『炎のランナー』(1981)が登場したり、
最後にピーター・セラーズの『チャンス』(1979)がかかったり、
さまざまな映画が出てくるのも嬉しいところです。
 
映画館が舞台というだけで点数が甘くなる(笑)。

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『ワース 命の値段』

『ワース 命の値段』(原題:Worth)
監督:サラ・コランジェロ
出演:マイケル・キートン,スタンリー・トゥッチ,エイミー・ライアン,テイト・ドノヴァン,
   シュノリ・ラマナタン,ローラ・ベナンティ,タリア・バルサム,マーク・マロン他
 
109シネマズ箕面にて、公開初日にレイトショーに行きました。
 
9.11アメリカ同時多発テロ事件で被害に遭った約7,000人に対して補償金を公平に分配するため、
犠牲者それぞれの命に値段を付けるという難題に挑んだ弁護士の実話に基づく。
 
同時多発テロが発生して間もないとき、弁護士のケン・ファインバーグのもとへ政府から依頼が入る。
政府は訴訟を回避するために補償基金を設立しようとしているのだが、
遺族が政府の提示する補償金をすんなり受け入れるとは思えない。
補償金を受け入れることを拒否して集団訴訟を起こしたりしないように、
犠牲者の遺族たちに補償金の申請を促すのがケンの役目。
 
ケンは犠牲者たちそれぞれの収入を基にした計算式を打ち出し、補償金の額について説明するが、
その算定方法に納得できない遺族たちの猛反発を食らう。
7,000人全員の申請を取り付けるのは無理だろうが、8割には到達させたい。
弁護士事務所の部下たちが遺族らと面談し、なんとか納得してもらおうとするのだが……。
 
犠牲者たちは年齢も違えば、事件に遭った状況も異なります。
ワールドトレードセンターに勤務していた人、消防士として現場に向かい、死んでしまった人。
個々なにもかも違うのに、収入のみで補償金を決めると言われてもそりゃ納得できない。
 
当初、ケン自身は面談しない。部下にまかせっきり。
遺族の話に耳を傾ける部下たちは、どうしても事務的には考えられなくなります。
たとえば、ゲイのカップルのうちひとりが命を落とし、彼が最期に電話をかけたのはパートナーだった。
しかしゲイを憎みすらしている被害者の両親は、それを認めようとしません。
自分の息子はストレートで、パートナーは金の亡者だ、補償金を受け取るのは私たち親だと言って譲らない。
録音された最期の電話を聴けば、誰だってパートナーの権利を認めるべきだと思うのに。
 
良き夫であり良きパパだと思われていた男性には隠し子がいたことがわかります。
隠し子の家庭にも補償金を受け取る権利があるわけで、
だけどそれをどのように妻に伝えるかがまた悩ましいところ。
 
私の大好きなハゲ俳優、スタンリー・トゥッチがここでも素晴らしい役者ぶり。
この事件で妻を亡くした身でありながら、最初の説明会でケンの話を怒号で遮る遺族らを一喝。
いま責めるべきはこの弁護士ではないから話を聴こうと。
だけど説明会後には「基金には全然納得していないから今からあなたを叩きますよ」とケンに言う。
 
ある程度事務的でなければこの問題は片付けられない。
けど、遺族の話に耳も傾けずにいては駄目。
それを気づかせてくれるのがトゥッチ演じるチャールズであり、部下たちでした。
 
集団訴訟を起こさせて儲けようという金持ちもいたりして、愕然とします。
何が正解かなんてわかることではないですけどね。こういう話がありましたということで。

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ライブ音響上映にて3本観る。

なんばパークスシネマにて、ライブ音響上映のラインナップ中3本を鑑賞。
 
もとは9回目の『RRR』を観るためでした。
その前後にも久しぶりに観たい作品が上映されるのがわかり、
ええい、翌日も仕事だけれど、この機会に観ておくかと思い。
 
1本目は『バーレスク』(2010)。
2本目は9回目の『RRR』。
 
1本目の『バーレスク』は公開当時劇場で観てテンションが上がった1本。
シェール目当てで観に行ったのを覚えています。
10年以上ぶりに観てもやはりド迫力で、画面に目が釘付けになりました。
本作で知ったクリスティーナ・アギレラの歌声にも度肝を抜かれる。
彼女が演じるヒロインのアリと恋仲になるバーテンダー役はカム・ジガンデイでした。
本作では善人の役だったけれど、どうにもあのニヤケ顔だから、
先日UPした『バイオレント・ナイト』では富豪の長女の恋人でろくでなしの役でしたねぇ。
 
なんといっても素晴らしいのは、シェール演じるテスを支えるショーン役のスタンリー・トゥッチ
あ、顔はジェイソン・ステイサムのほうが好きですけど。
ま、いくらライブ音響上映で観ようとハゲはハゲですから、
歌とステージあってこそのライブ音響上映。
6割ぐらいの客入りでしたが、めちゃくちゃよかった。
 
大人気の『RRR』は満席。これについては説明もう要らないでしょ(笑)。
エンドロールが終わるとあちこちで拍手が起こりました。
最近『RRR』を観ると必ず拍手が沸き起こります。なんか嬉しい。
 
ここで帰ってもいいはずでしたが、当時劇場鑑賞はしていないドイツ作品がどうにも気になる。
レンタルDVDで観た『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』、
これは遅い時間からの上映だったこともあり、2割ぐらい客入りでしたが、
ジワジワと来る名作で、観てよかったと心から思えた1本。
 
病院の同室に入院したふたりの男は真逆のタイプ。
一方は見るからにワルで、列車内でも病院内でもプカプカ喫煙。
女にモテそうではあるものの、明らかに手が早そう。
もう一方は地味で冴えない奴で、気も弱い。
このふたりがどちらもあと数日の余命だというのですから、
自然との姿と重なることもあり、私はちょっと涙目モード。
生まれてから一度も海を見たことがないふたりは、最期に海を観に行きます。
 
ワルのほうの役のティル・シュヴァイガーが脚本も担当しています。
この人は演じるだけの人だと思っていたから、ちょっとビックリ。
本作の後はたいして話題になった作品もなく、TVシリーズに出ているぐらい。
でもこの1本があればじゅうぶんなようにも思います。
 
コロナで開催されなくなってしまった爆音映画祭ですが、
こうしてライブ音響上映があるというのはありがたいものです。

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