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『聖なる復讐者』

『聖なる復讐者』(英題:Christmas Carol)
監督:キム・ソンス
出演:パク・ジニョン,キム・ヨンミン,キム・ドンフィ,ソン・ゴニ,ホ・ドンウォン他
 
シネマート心斎橋にて、前述の『ショー・ミー・ザ・ゴースト』を観た後、
高校の同期生のライブを聴きに靱公園まで行き、
ライブ終了後にふたたびシネマート心斎橋に戻って本作を鑑賞しました。
 
韓国人って、同姓同名の人が多いですよねぇ。
パク・ジニョンで調べると、ネットで先にヒットするのはアラフィフのシンガーソングライター
ちゃうちゃう、この人、失礼ながら全然イケメンちゃうし。
 
本作の主演は「パク・ジニョン(1994年生の歌手)」となっているほうのパク・ジニョン。
男性アイドルグループ“GOT7”のメンバーで、通常は「パク」抜きの「ジニョン」と名乗っているそうです。
上記のシンガーソングライターはプロデューサーでもあり、
このジニョンが所属する事務所の代表だったというのですから、ややこしくてしゃあない(笑)。
 
で、アイドルだなんてことは私は知らなかったから、
えらく可愛い顔をしているわ、めちゃめちゃ演技が上手いわ、凄い俳優だなと思っていました。
これがアイドルだとは、アイドルをナメちゃいけませんね。速攻で彼のファンになりました。
 
イルとウォルは双子の兄弟。知的障害のある弟ウォルをイルがずっと見てきた。
両親はいないから、日々の暮らしのために汚い仕事もしなければならず、
イルは生活困窮者を住居から立ち退かせる職で稼ぎを得ていた。
 
クリスマスの朝、ウォルが貯水槽に投げ込まれた死体となって発見される。
顔には酷く殴打された痕があったのに、事故として処理されてしまう。
 
これは絶対に事故なんかじゃない。
真相を解明して復讐すると誓ったイルは、犯人が少年院にいることを突き止める。
自ら事件を起こして少年院に入ると、標的のジャフンに狙いを定めるが、
少しでも騒ぎを起こすと、“狂犬”と呼ばれる教官ハンから凄まじい体罰を受ける。
 
どうにも先へ進めないなか、地域ボランティアでウォルのことも知っていた教官スヌが、
イルの気持ちを察してそれとなく協力してくれるようになり……。
 
イルとウォルをパク・ジニョンが一人二役で演じています。
確かに顔は同じなのですが、これを同一人物が演じているのかと驚くほど上手い。
始終暗い表情で復讐しか頭にないイルは暴力的で怖く、
一方のウォルはイルのことが好きでたまらない、でもイルに迷惑をかけたくない純真な青年。
よく笑い、その笑顔の下の悲痛な思いを見せようとしません。だから余計に哀しい。
 
ウォルの唯一の友だちといえるファンを演じているのがキム・ドンフィ
少年院の凄絶ないじめに耐えている姿はつらくて仕方ありません。
ハン役のホ・ドンウォンが腹立つのなんのって。性的虐待もはびこる少年院がおぞましい。
 
ウォルの死の真相は、もっともあってほしくない形でした。許せない。
だけど、すべてが終わったときのイルとファンが笑い合うシーンにホッとする。

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『ショー・ミー・ザ・ゴースト』

『ショー・ミー・ザ・ゴースト』(英題:Show Me the Ghost)
監督:キム・ウンキョン
出演:ハン・スンヨン,キム・ヒョンモク,ホン・スンボム他
 
『冬のソナタ』の放送から20年が経ったことを記念して開催されている“韓流映画祭2023”。
私はペ・ヨンジュンはまったくタイプじゃないし、冬ソナも一度も観たことなし。
だけど韓国映画は大好きです。
 
本作は2021年の作品で、この映画祭のオープニングを飾りました。
大人気グループ“KARA”のメンバー、ハン・スンヨン主演。
ならば客が入りそうなものなのに、今年まで日本未公開だったのは何故。
 
ホドゥ(♂)とイェジ(♀)は異性であるにもかかわらず20年来の大親友。
成績優秀で望む仕事に即就けそうなイェジだったのに、就職試験に落ちまくり。
酔っぱらって泣きながらホドゥが勤めるコンビニを訪れる。
 
実家に帰れずにいるイェジは、ホドゥの新しい住まいへ。
そこは家具がすべて付いた格安の賃貸住宅
イェジが貸した金のおかげでホドゥはこの家に入居できたのだから、
自分にも住む権利があるとイェジは主張する。
 
この広さでこんなに安いのはおかしいと訝るイェジと、意にも介さないホドゥ。
そればかりか、自分の交渉術が巧みだったから大家がまけてくれたのだと言い張る。
 
しかし、完璧に思えたその家に異変が起きはじめる。
電気がチカチカしたり、ポルターガイストが起こったり、ついには女の幽霊も出没。
たまらず隣家へ駆け込み、過去に何があったか教えてほしいと訊くと、
住人が首を吊って自殺していたことがわかり……。
 
瑕疵物件であることを伏せて貸しただろうと大家に詰め寄ると、無言で契約書を見せられます。
ホドゥがよく読みもしなかったその契約書には、幽霊が出ても解約できないとある(笑)。
解約できないのなら自分たちで新たな契約者を見つけようとしますが、
今まさに契約という段になって怪奇現象が起こるのでした。
 
逃げることしか考えていなかったイェジが、幽霊が何か伝えたいことがあるから出てくるのだと考え直し、
幽霊の無念を晴らして成仏できるようにと行動するところがとても良い。
ドタバタのホラーコメディでありながら、少し涙が出てしまうほどしんみり。
 
イェジ役のハン・スンヨンが可愛いのはもちろんのこと。
ホドゥ役のキム・ヒョンモクの三枚目ぶり(実際、イケメンではないですし(^^;)、
元アイドルの除霊師を騙るギドゥ役のホン・スンボムにも笑った。
 
「セルフ退魔」は面白かったけれど、ビジュアル的にはまぁまぁ怖くてビビりました。
やっぱり韓国映画は楽しい。

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『レッド・ロケット』

『レッド・ロケット』(原題:Red Rocket)
監督:ショーン・ベイカー
出演:サイモン・レックス,ブリー・エルロッド,スザンナ・サン,ブレンダ・ダイス,
   ジュディ・ヒル,ブリトニー・ロドリゲス,ツォウ・シンチン他
 
シネ・リーブル梅田にて2本ハシゴの2本目。
監督は『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)のショーン・ベイカー。
 
AV男優のマイキーは、2,000本にのぼるポルノ映画に出演、
1,300人のAV女優と絡んだ経歴を持つが、今やすっかり落ちぶれて一文無し。
衣食住に困って17年ぶりに故郷テキサスの田舎町へと戻る。
 
マイキーが頼ったのは、まだ籍を入れたままの妻レクシーと義母リル。
家に入ることを拒否するふたりをなだめて泊まらせてもらうことに。
 
翌日から仕事を探しはじめたマイキーだったが、どこも雇ってくれない。
仕方なく近所に住むゴッドマザー、レオンドリアの指示のもと、マリファナを売りさばくように。
 
ある日、ドーナツ店を訪れたマイキーは、バイトの高校生ストロベリーの色気にやられる。
さっそく口説きにかかって成功、彼女と甘い日々を送るようになるのだが……。
 
ポルノスターがどう生きるのかが面白そうで、期待して観に行ったのですが、
マイキーが想定外のろくでなしで、最初から最後までイライラ(笑)。
だいたい、アラフィフの男が17歳の高校生に入れ込むところからしてキモい。
速攻でフラれろと思ったのに、ストロベリーがまたヤリマンで。
 
こんな夫を持ったレクシーも気の毒だと思いたいところ、彼女もたいがい。
そもそも昔、夫婦でポルノ映画に出るべく、故郷を去ったらしく。
手に職も何もないレクシーは、ネットで相手を見つけて売春するしかない。
彼女もまたまたヤリマンなんです。(^^;
 
とにかく、共感できる登場人物がひとりもいません。
唯一えらかったのは、かつての同級生で隣人のロニー。
軍人歴を詐称しているけれど、たぶん善人は善人。
マイキーのことなんか相手にしなければいいのに、ポルノスターだった彼のことを崇めているから、
車に乗せて買い物に連れて行ってやったり、マイキーの自慢話を聴いてやったり。
挙げ句の果てにこんなことになって、マイキーの罪をかぶる。えらいけどバカですね。バカ。
 
口先だけのダメ男は、何があってもそのまんま。
そんな立派なイチモツをお持ちならAV業界にいるほうが稼げたでしょうに。
なんといっても、AV男優の数はAV女優よりもずっと少ないですからね。
まぁ、ギャラはAV女優ほどないと聞きますから、やっぱりツライか。
 
おぉぉぉ、主演のサイモン・レックスって、ゲイポルノに出演経験のある本物のAV男優なのか!
いま調べて知りました。

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『EO イーオー』

『EO イーオー』(原題:EO)
監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:サンドラ・ドルジマルスカ,ロレンツォ・ズルゾロ,マテウシュ・コシチュキェヴィチ,イザベル・ユペール他
 
シネ・リーブル梅田にて2本ハシゴの1本目。
 
第95回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたポーランド/イタリア作品。
監督はポーランドの鬼才と言われるイエジー・スコリモフスキ。
鬼才か奇才かいつも迷います。そして、結局変態だわというところに落ち着く(笑)。
だけど本作はもっと変態度が高いと身構えていたため、意外に穏やか(?)でした。
 
主人公はロバ。CGで擬人化されたやつとかじゃないですよ。
正真正銘ホンモノだから、もちろん何も喋りません。嘶(いなな)いたり、鼻息荒くなったりするだけ。
 
サーカス団の心優しき美女カサンドラの相棒として大切に扱われてきたロバのEO。
あるとき突然、動物愛護を理由にサーカス団から引き離される。
カサンドラとも離ればなれになったEOは、ポーランドからイタリアへ。
 
物言わぬロバのロードムービーとは、なんと斬新。
サーカス団から没収されたEOがどれだけ手厚く扱われるのかと思いきや、
相変わらず荷物を運ばされたり子どもを乗せさせられたり。
 
トラックから抜け出して街をうろついているところを捕まえられるけど、
捕獲者がサッカーの試合に出場している間はEOもそれを観る。
すると勝利の馬と崇められて、祝勝会にも連れて行かれます。
それが災いして、乱入したライバルチームに殴打され、死にそうになる。
 
けれど死なせてはもらえない。
死の淵から生還したEOはまたしても働かされ、やがてサラミになる運命。
 
EOが何を思っているのかを考えると、なんだか悲しくなってしまう。
ロバって、とはえらく扱いが違うのですね。
 
なんと表現してよいかわからない作品です。
ロバにもこんなにも表情があるのだということを知りました。
人間って、勝手です。

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『帰れない山』

『帰れない山』(原題:Le Otto Montagne)
監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン,シャルロッテ・ファンデルメールシュ
出演:ルカ・マリネッリ,アレッサンドロ・ボルギ,フィリッポ・ティーミ,エレナ・リエッティ,
   エリザベッタ・マッズーロ,ルポ・バルビエロ,クリスティアーノ・サッセッラ他
 
『ウィ、シェフ!』を観るためになんばパークスシネマまで行ったから、
1本で帰るのはもったいなくて、これも観ました。
パオロ・コニェッティの同名ベストセラー小説を映画化したイタリア/ベルギー/フランス作品。
原作はイタリア文学界の最高峰であるストレーガ賞を受賞しているそうです。
 
都会育ちの少年ピエトロは、山好きの両親に連れられて休暇を山麓で過ごすのが恒例。
山以外に何もないその村には同年代の子どもなど見当たらずひとりぼっちだったが、
ある日、牛飼いの同い年の少年ブルーノと出会う。
 
もやしっ子だったピエトロは、たくましいブルーノについて回るのが楽しくて仕方がない。
毎夏を共に過ごすようになったふたりは友情を育んでゆく。
 
しかし、成長したピエトロは父親に対する不満を募らせて家を出る。
恒例だった山麓での休暇に行かなくなったせいで、ブルーノとも疎遠に。
やがて父親の訃報が届いたのをきっかけに村を訪れたピエトロはブルーノと再会。
ピエトロが父親と会わなかった間、ブルーノが息子のごとく父親と交流を深めていたことを知る。
 
父親は山に横たわる草原を理想の地として手に入れており、
そこに家を建てることを切望していたらしい。
死んでも約束は残るからと、ブルーノは建てると言ってきかない。
ピエトロもブルーノに教えられながら一緒に家を建てはじめて……。
 
147分の長尺で、寝てしまうのは当然と思われました。
実際、途中で睡魔に襲われたところはありますが、意外と大丈夫でした(笑)。
 
何よりも大自然が美しい。
これを「自然」と呼ぶ時点で、ブルーノに言わせれば地元の人間ではないらしい。
普通に山、草原、川というふうに、当たり前の風景があるだけ。
山とピエトロとブルーノ、それだけでよかったはずなのに、
人生には恋愛なども含めていろいろなことが起こるから、それだけでは済まなくなる。
 
山に籠もるのは孤独か。そこで死ぬことは気の毒か。
ふたりにしかわからないこと。他人には理解してもらえなくてかまわない。
カラスを見て、こんな葬式もありかなと思いました。
 
やはり私は海の映画より山の映画のほうが好きなようです。

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