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『湖の見知らぬ男』

『湖の見知らぬ男』(原題:L’inconnu du Lac)
監督:アラン・ギロディ
出演:ピエール・ドゥラドンシャン,クリストフ・パウ,パトリック・ダスンサオ,ジェローム・シャパット,マチュー・ヴェルヴィッシュ他
 
昼呑みの後、シアターセブンで前述の『ごはん』を観てから階段を駆け上がり、第七藝術劇場で本作を鑑賞。
朝イチで観たのが『クィア/Queer』だったから、期せずして1日に2本のゲイムービーを観ることになりました。
 
アラン・ギロディは、現代フランスを代表する映像作家でありながら日本では劇場未公開という監督なのだそうです。
鬼才か奇才か、はたまたの異才か。そんなギロディ監督の特集がナナゲイで組まれていました。
監督作全7作のうち3作をこのたび公開。
本作は第66回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞とクィア・パルム賞を受賞した2013年の作品で、
ギロディ監督の名を世界に轟かせた作品なのだとか。
 
休暇のシーズンを迎えた湖のほとり。
ここはいわゆるハッテン場。対岸は普通の家族が訪れる場だが、こちら側はまるで男性だけのヌーディストビーチ。
裸体をさらして好みの相手を探し、お互い目配せして合意すれば湖の上の森に入って行為に及ぶ。
フランクも毎夏ここへやってくる常連のうちのひとり。
 
この夏初めてやってきたとおぼしきアンリはそんな男たちを見るでもなく、ひとり離れて湖を見つめている。
フランクのタイプではないから寝るつもりはないが、話してみると落ち着く。
以降、フランクはほぼ毎日挨拶がてらアンリの隣へ行き、言葉を交わすように。
 
ある日、もろにタイプのミシェルを見かけて惹かれるフランク。
ミシェルとフランクが話していると、怒った美男子ラミエールがやってきてミシェルを連れて行く。
タイプの男性にはたいていいつも彼氏がいると思わずアンリにぼやくフランク。
 
そろそろみんなが帰りはじめる頃、森の中をひとりで歩いていたフランクがふと湖のほうを眺めると、
湖上でミシェルとラミエールが口論中。
さらにはミシェルがラミエールを湖の中に沈めて溺死させるのを見てしまう。
 
ミシェルといたラミエールがいなくなり、フランクとミシェルはそういう仲に。
殺人現場を見たことは言えないまま、この恐ろしい相手ミシェルに惹かれてゆくのだが……。
 
これが監督賞を授与するなんて、カンヌはやっぱり凡人には理解できない映画賞なのだなぁと思います。
良かったかと言われると、変な映画だなぁと思ったという以上のことは言えません。
映像としても2013年の作品というのが嘘に思えるほどで、昔のポルノ映画ってこんな感じなのではと想像。
 
いくら芸術的に評価された作品であっても、男性同士の生々しいセックスシーンが無修正で上映されるとなると、
たとえば新世界国際劇場なんかだと絶対に行けないでしょう。その辺りで本番が始まりそうですし。(^^;
ナナゲイだからこそ女ひとりでも安心して観られます。
 
よそでは観る機会のまずない作品を上映してくれてありがとう、ナナゲイさん。
そういえば『童貞。をプロデュース』(2007)を上映してくれたときも嬉しかったなぁと思い出す。

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『ごはん』

『ごはん』
監督:安田淳一
出演:沙倉ゆうの,大淵源八,井上肇,紅壱子,小野孝弘,福本清三,浅野博之,
   森田亜紀,多賀勝一,福田善晴,戸田都康,鈴木ただし,枦川友彦,皷美佳他
 
中津で昼呑みの後、阪急電車で隣駅の十三へ。シアターセブンで本作を鑑賞。
 
『侍タイムスリッパー』(2023)で話題をかっさらった安田淳一監督が2016年に撮った作品。
安田監督のご実家が米作り農家なのだそうで、お父様がお亡くなりになった後を継ぎ、米農家と映画監督の兼業を続ける安田監督。
本作は日本映画史上もっとも美しい水田風景を描いた作品と言われています。
 
東京で派遣社員として勤めていたヒカリ(沙倉ゆうの)は、父親(井上肇)急逝の報せを叔母(紅壱子)から受け、慌てて京都へ帰省する。
母親(森田亜紀)はヒカリが小学生の頃に亡くなり、そのときも田んぼに出かけていた父親は母親を看取れず。
いつも田んぼ優先だった父親にヒカリは反抗し、以来、父娘の会話はほとんどなくなっていた。
就職先も東京を選んだから、父親が何をどのように考えてどうしていたのか、ヒカリは知る由もない。
 
父親は、田んぼを持て余す近隣の米農家30軒の頼みを聞き入れて5町(甲子園球場約4個分)もの田んぼを預かっていたらしい。
1年前、食うに困ってトマト泥棒を働いた九州出身の源八(大淵源八)という青年を雇い入れ、丁寧に米作りを指導。
父親と源八ふたりで田んぼを見てきたわけだが、父親は亡くなり、源八は現在骨折で入院中。
ヒカリが田んぼをなんとかできるはずなどないから、30軒に詫びて田んぼを返したら東京に戻ろうと考える。
 
ところが、今さら田んぼを返されてもと言う家ばかりでヒカリは困り果てる。
唯一、致し方のないことだ詫びるのはこちらのほうだと言ってくれた西山老人(福本清三)の話を聴き、
せめて源八がまた働ける体になるまではこちらに残って田んぼを見ようとヒカリは決意するのだが……。
 
米作りエンターテインメントと銘打たれているとおり、米作りについてこんなにわかりやすく描写されている作品は初めて。
何の知識もない若い女性が田んぼを守るなんて無理だと思いましたが、
実際に米を作っている安田監督が描くならば、可能なのかもしれないと思いはじめました。
そもそも無理だと決めつけたらそれは無理ですよね。無謀だったとしても、無理だと思い込まないことが大事なのかも。
 
言わずと知れた名斬られ役の福本清三が稲刈りを手伝うシーンで「刃物の使い方は任せしとけ」という台詞で笑わせてくれます。
今はもうこの世にいないのがとても寂しい。
生きていたなら絶対『侍タイムスリッパー』にも出演オファーがあったでしょうに。
でもきっと『侍タイムスリッパー』の大ヒットや本作の再上映を喜んでいらっしゃいますよね。
 
上西雄大監督やその上西組の徳竹未夏もキャストに名を連ね、みんなで作り上げた作品だということがわかります。

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『クィア/QUEER』

『クィア/QUEER』(原題:Queer)
監督:ルカ・グァダニーノ
出演:ダニエル・クレイグ,ドリュー・スターキー,ジェイソン・シュワルツマン,ドリュー・ドローギー,
   アンドレア・ウルスタ,デヴィッド・ロウリー,リサンドロ・アロンソ,レスリー・マンヴィル他
 
中津昼呑みの約束をしていた日、大阪ステーションシティシネマにて8:15上映開始の本作を観に。
仕事に行く日より早起きして向かいました。
 
イタリア/アメリカ作品。
監督は『君の名前で僕を呼んで』(2017)のルカ・グァダニーノで、自身ゲイであることをカミングアウトしています。
原作は、同性愛が精神疾患だとされる時代に生きたウィリアム・S・バロウズの同名小説。
ダニエル・クレイグ演じる主人公はバロウズ本人を投影しているようで、自伝的作品とのこと。
 
ちなみにあの『ブレードランナー』(1982)は、バロウズ原作でも何でもないのに、バロウズの著作にこのタイトルがあって、
単にその語感の響きがよかったからまったく別の映画のタイトルに使われたという逸話があります。という余談はさておき。
 
3つの章とエピローグから成る構成。
 
1950年代のメキシコシティ
アメリカ人のウィリアム・リーはゲイでアヘン中毒者。そのせいでアメリカには身の置き所なくここにいる。
酒場に入り浸っては男を物色する生活を続けていたある日、ひとりの美しい青年に目が釘付けになる。
 
彼はユージーン・アラートン。店では上品な御婦人メアリーといつもチェスに興じていて、彼がゲイかどうかはわからない。
しかしウィリアムに気を持たせるような態度を取るものだから戸惑ってしまう。
いつもはタイプの男を見れば躊躇なく誘うウィリアムなのに、ユージーンにはそうできないまま。
 
店の客でやはりゲイのジョン・デュメにユージーンが何やら尋ねているのを見て、ウィリアムはついに声をかけずにいられなくなる。
すると思いのほかあっさりとウィリアムにつきあってくれるようになったユージーン。
ウィリアムの想いは募る一方で、ユージーンが他の誰かと話しているのを見るだけで居たたまれない。
 
南米に生息する“ヤハ”という植物に以前から興味を持っていたウィリアムは、一緒に旅行しようとユージーンを誘う。
ユージーンを縛りつけないという約束のもと、ふたりはエクアドルへと向かうのだが……。
 
ジェームズ・ボンドを引退したダニエル・クレイグが同性愛者役、
しかも若い男性に骨抜きにされる役ということに興味を惹かれて朝イチで観に行ったわけですが、難解だなぁ。
序盤はそう難しい話でもないのですけれど。
 
ウィリアムが男を漁る姿は痛々しい。
ターゲットを決めて「これは行ける」と思ってもやんわり断られ、彼が立ち去ると嘲笑が聞こえてきたりも。
確かにかなりウザいオッサンです。いくつになってもベビーフェイスではあるけれど、立ち居振る舞いが古すぎて、話も面白くない。
下心丸出しで近寄ってこられて退屈な話を聞かされると嫌になるでしょう。
そんなオッサンに対してユージーンもつまらなそうにしているくせに、寝ることには応じるのが罪作り。
 
エクアドルに行く話なんて断りそうなところ、ついて行くユージーン。
ウィリアムによればヤハという植物はテレパシーの力を向上させる効能を持つらしく、ロシアなどが戦争で用いようと狙っているとのこと。
もちろんウィリアムはそんなことに使うつもりはなくて、想いを寄せる相手と心を通わせたいと思っているのです。
 
ジャングルで暮らす女性研究者コッター博士を訪ね、ヤハを煎じて服用するふたり。
この辺りからは一瞬ホラーかと思うような描写もあり、だんだん話について行けなくなりました。
『ミセス・ハリス、パリへ行く』(2022)であんなに愛らしいおばちゃんを演じていたレスリー・マンヴィル
コッター博士と同一人物とは思えません。怖すぎる。ホラーですよ、ホラー。(^^;
 
とどめは晩年のウィリアムの姿。だーかーらー、老けメイクは嫌いなんだってば〜
 
ユージーン役のドリュー・スターキーはこれまで主にTVドラマに出演していた俳優らしい。
うん、こんな知的で美しい青年が現れたら、目も心も奪われるでしょうね。
それにしたってダニエル・クレイグの姿が痛々しすぎて、見ているのがつらかった。

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『新幹線大爆破』【リバイバル上映】

『新幹線大爆破』
監督:加藤弘之
出演:高倉健,山本圭,田中邦衛,織田あきら,郷鍈治,宇津井健,千葉真一,小林稔侍,志村喬,永井智雄,中田博久,千葉治郎,
   志穂美悦子,渡辺文雄,竜雷太,丹波哲郎,鈴木瑞穂,青木義朗,黒部進,北大路欣也,川地民夫,林ゆたか,伊達三郎,
   山内明,多岐川裕美,露木茂,近藤宏,宇津宮雅代,藤田弓子,風見章子,渡辺耐子,高月忠,清水照夫,畑中猛重,宮地謙吾他
 
監督・樋口真嗣、主演・草彅剛リブート版がNetflixで公開されるなんてつゆ知らず。
それに合わせて1975年のオリジナル版もこのたび特別公開されています。イオンシネマ茨木にて。
 
東京発博多行きの新幹線“ひかり109号”の乗客、約千人を人質にとった爆弾脅迫事件が発生。
犯人からの電話によれば、爆弾は走行中の新幹線に仕掛けられており、列車の速度が80km/h以下になれば爆発するという。
どうせ悪戯だと高を括っていると、嘘ではないことを示すために同じ爆弾を仕掛けたという貨物列車が爆発。
警察は身代金15億円を米ドルで用意するようにとの指示に従わざるを得なくなる。
 
という話なんですが、キアヌ・リーヴスをスターダムにのし上げた『スピード』(1994)を20年先取りしたと言われています。
国鉄の協力を得られず、特撮を使用したというのは当時の技術を思えば凄いのかもしれません。
 
てっきり高倉健は捜査する側の役だと思っていたので、犯人役なのねとビックリ。
健さんと組むのは2人で、山本圭と織田あきらが演じています。
犠牲者を出すまいと奮闘する国鉄の運転司令長を演じるのが宇津井健
彼からの連絡を受けて緊張感をみなぎらせながらひかり109号を操縦する運転士役が千葉真一
 
とにかくいろんなことが起こります。
産気づく妊婦(多岐川裕美)、彼女を看る医師を乗客の中に募ると藤田弓子登場。
80km/h以下にスピードが落ちないように努めるも、前方を走る車両にトラブルがあって遅れたり、
対向車両とあわや接触するかというのを回避するのに大変だったり。
移送中の犯罪者(郷鍈治)が逃走を図るわ、それ以前に客が大騒ぎしはじめるわ。
犯人が金を受け取った後に爆弾の解除の仕方について書いたメモを預けた喫茶店が火災に遭うシーンは、
そんな上手いこと燃えるかとちょっと笑いそうになりました。
 
ほかにも往年の名優がいろいろと出ているから、この人まだ生きてたっけ? もうあの世に行っちゃったっけ?などと考えながら観るのも楽しい。
すみません。(^^;
 
リブート版もNetflixですでに公開されているので、早く観ることにします。

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『裏社員。スパイやらせてもろてます』

『裏社員。スパイやらせてもろてます』
監督:瑠東東一郎
出演:重岡大毅,桐山照史,中間淳太,神山智洋,藤井流星,濱田崇裕,小瀧望,恒松祐里,
   森香澄,剛力彩芽,赤井英和,トータス松本,草村礼子,藤原紀香,竹中直人他
 
前述の『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』の次に、同じく109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
ジャニーズWESTあらためWEST.のメンバー全員が出演しているそうですが、私がわかるのは重岡くんだけなんです。
ほかの皆さん、ごめんなさい。メンバーが全部で何人かも今知ったところです。(^^;
 
たいして期待せずに観に行きましたが、監督が“おっさんずラブ”シリーズの瑠東東一郎だけあって面白かった。
大阪の人以外が観て楽しいだろうかというのはいささか疑問ですが、大阪人と大阪弁に抵抗のない人、
というのか大阪が好きな人にならばオススメできるかなぁ。
 
宴(桐山照史)は阿川建設のそこそこのポジションまで上り詰めたある日、
部下である羽根田美里(剛力彩芽)の裏切りに遭って退職を余儀なくされるが、
社長の阿川小百合(藤原紀香)から裏社員として会社に残る道を提示される。
裏社員の仕事は、表では解決できない問題を秘密裏に処理すること。
狙ったものを奪うためなら手段は選ばない小百合は、これまでも裏社員を使って契約を取り続けてきたのだ。
 
宴が次の仕事として命じられたのは、シャッター商店街を取り壊す方向に持って行くこと。
小百合が用意した商店街内の物件に移り住み、この土地を盛り上げようと見せかけて潰す腹づもりだ。
この仕事は宴ひとりでは無理だろうと、小百合が組むようにと言って寄越したのは宝田(神山智洋)と詳敷(濱田崇裕)。
ところが、3人が始める予定の居酒屋の向かいに店を出すジン(中間淳太)とチャラ(藤井流星)も
実は阿川建設と同じくこの土地を狙うライバル会社・川端建設の裏社員だとわかる。
 
商店街の土地の所有者は地主の兵藤平八(竹中直人)。
平八の娘・寧々子(森香澄)と結納を交わしたばかりの陽一郎(重岡大毅)が、
あまり表には出てこない平八に代わって商店街を守っているらしい。
 
建設会社2つの裏社員同士は敵対関係にあるものの、商店街を取り壊すという目的は同じ。
とりあえず両者共に陽一郎の懐に入り込んで平八を紹介してもらい、ご機嫌を取ろうと考えるのだが……。
 
えーっと、ここまでにWEST.のメンバーの名前って全部出ましたかね。出てないやん。(–;
あと1人は陽一郎と共にこの商店街で生まれ育ち、今はちょっとこじらせているマコト(小瀧望)。
これで7人制覇ですね。
 
テンポがよくて飽きません。
商店街を潰すつもりでやってきたのに、商店街の人に愛されていつのまにか情が移る。
こうなることは見え見えなんですが、とにかく藤原紀香と剛力彩芽が嫌な奴なので、
こてんぱんにしてやってくれっ!と心の底から願いました。
 
いちばん笑ったのは、もともと陽一郎のことが好きで今はマコトと同棲中の女子サクラ(恒松祐里)の酔っぱらい姿。
巻き舌でまくし立てるシーは、いかつすぎて笑いました。彼女の大阪弁もよかった。東京の人なのに。
 
「嫌いな人を見返すよりも、好きな人に見直されるほうがいい」。心に残る台詞です。

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