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『星くずの片隅で』

『星くずの片隅で』(原題:窄路微塵)
監督:ラム・サム
出演:ルイス・チョン,アンジェラ・ユン,パトラ・アウ,トン・オンナー他
 
シネ・リーブル梅田にて4本ハシゴの〆は香港作品。
 
ラム・サム監督の単独デビュー作品なのだそうです。
主演のルイス・チョンはシンガーソングライターとしても活躍するコメディ俳優らしい。
共演のアンジェラ・ユンはえらく可愛い人だなと思ったら、トップモデルなのだとか。
10代か、せいぜい20歳にしか見えないのに、今年30歳と知ってビックリ。
 
コロナ禍で静まり返る香港
“ピーターパン・クリーニング”という清掃会社を起業した青年ザクは、
今にも潰れそうな中古のバンで顧客のもとを走り回っている。
 
ある日、事務所を置くビルの階下に入居するシングルマザーのキャンディが、
どうしても雇ってほしいと言ってザクを訪ねてくる。
人を雇うような余裕はないけれど、このところ腰痛が酷いから、手伝いはほしい。
試用期間ということで3日間、キャンディを働かせることに。
 
仕事自体は丁寧で早いが、幼い娘ジューを抱えて生活に困っているキャンディは手癖が悪い。
かつて近所のコンビニでアイスクリーム万引きするのをザクは見かけたことがある。
今回は清掃に入った個人宅からマスクを数箱盗んだのがバレて、契約を打ち切られてしまう。
怒りが収まらないザクはキャンディをクビに。
 
しかしどうにもキャンディ母子のことが気になるうえに、
彼女がいるほうが明らかに仕事がスムーズに行く。
もう盗むなと約束させ、再びキャンディと仕事を始めるのだが……。
 
悪くはなかったのですが、期待していたほどには良くなかったかなぁ。
子どもを抱える母親には行きづらい世の中で、同情の余地はあるものの、
こんな信用の置けない女の面倒をどうして見続けるのか。
ザクおじさん、お人好しにもほどがあるやろ。
これがブスだったら同じように面倒を見たか。若くて美人だからだよねぇと思ってしまう(笑)。
 
ただ、香港の景色には息を飲む美しさがありました。
彼らが暮らしている付近はちっとも綺麗とは言えないのに、だから余計に切ない。
英語タイトルは“The Narrow Road”。狭い路地から彼らはいつ出ていけるのか。
 
清掃に使う機材はケルヒャーのもの。
去年亡くなったの部屋にあったケルヒャーのスチームクリーナーは私が使っています。
そんなこんなで、期待したほどの作品ではなかったのに、いろいろと想う。

—–

『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』

『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』(原題:QT8: The First Eight)
監督:タラ・ウッド
出演:ゾーイ・ベル,ブルース・ダーン,ジェイミー・フォックス,サミュエル・L・ジャクソン,
   ジェニファー・ジェイソン・リー,ダイアン・クルーガー,ルーシー・リュー,
   マイケル・マドセン,イーライ・ロス,ティム・ロス,カート・ラッセル,クリストフ・ヴァルツ他
 
シネ・リーブル梅田にて4本ハシゴの3本目は、この日いちばん楽しみにしていた作品。
もうめちゃめちゃ楽しかった!
 
私がクエンティン・タランティーノを知ったのはいつだったでしょうね。
デビュー作のレザボア・ドッグス』(1991)が最初だったかもしれないけれど、
もしかすると『パルプ・フィクション』(1994)を先に観たかもしれません。
映画オタクで、日本贔屓で、愛すべき人柄のタランティーノ。
かねてから10本撮ったら引退すると宣言していたそうです。寂しいやんか。
 
そんな彼について話しまくるのは、上記の俳優たち。
それに加えて、映画関係者やルームメイトなどが実に楽しげに話しています。
 
『ジャッキー・ブラウン』(1997)、『キル・ビル』(2003&2004)、
『イングロリアス・バスターズ』(2009)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)、
『ヘイトフル・エイト』(2015)それぞれについて、撮影秘話的な話も含めながら。
 
レオナルド・ディカプリオが「ニガー」と言えずに困っていた話などは、
翌日からのレオの演技が本当に黒人を奴隷扱いするものになっていたとか、
その後のシーンでも流血の惨事となっているのもかまわず演技を続けたとか、
レオ様やっぱり凄いんだわと思える話もあって楽しい。
 
『それでも夜は明ける』(2013)とタランティーノ作品を比較して表した言葉も面白く、
また、スパイク・リーが『ジャンゴ』の黒人差別表現に怒っていたことに対して、
黒人俳優のジェイミー・フォックスがウケていた理由になるほど。
 
女優であり、スタントウーマンでもあるゾーイ・ベルの話も楽しかったなぁ。
スタントマンって、反射的に顔が映らないようにしてしまうそうですが、
女優として彼女がアクションシーンを演じたときは、
タランティーノが「君の顔は絶対映るようにしなきゃ」と撮り直しになったこととか。
 
なんだか書き出すとキリがないくらい、楽しい話てんこ盛りでした。
楽しくない話としては、ハーヴェイ・ワインスタインの話にも言及しています。
タランティーノ作品を必ず配給してきたミラマックス
あの事件が業界にどれほどの影を落としたことか。見るのもキモい、ハーヴェイ。残念なことです。
 
それを除けば、ずっとニヤニヤしながら観ていました。
タランティーノ作品のファンだと言っても、私なんて全部せいぜい数度観ただけ。
登場人物がこんなに繋がっているなんて知らなかったよ。
まるで伊坂幸太郎じゃあないか。遊びごころ満載。
こりゃ一度、全作品続けて観なきゃいいけませんね。
 
「クエンティン・タランティーノの書くものには、“不誠実さ”はまったくない。」by サミュエル・L・ジャクソン。

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『ふたりのマエストロ』

『ふたりのマエストロ』(原題:Maestro(s))
監督:ブリュノ・シッシュ
出演:イヴァン・アタル,ピエール・アルディティ,ミュウ=ミュウ,キャロリーヌ・アングラーデ,
   パスカル・アルビロ,ニルス・オトナン=ジラール,アンドレ・マルコン他
 
シネ・リーブル梅田にて4本ハシゴの2本目。
 
第64回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したイスラエル作品『フットノート』(2011)のリメイク。
『コーダ あいのうた』(2021)の製作陣が手がけたフランス/ベルギー作品です。
 
フランソワ・デュマールとドニ・デュマールは、共に著名な指揮者
父親のフランソワは40年以上のキャリアを誇るベテランだが、ここ最近はくすぶり気味。
それに対して息子のドニはヴィクトワール賞を受賞するなど、勢いに乗っている。
フランソワはドニの活躍を素直に喜べないばかりか、それを態度に露骨に出すものだから、
父子は顔を合わせれば喧嘩ばかり。
 
そんなある日、フランソワのもとへ1本の電話が入る。
それはミラノのスカラ座からで、音楽監督に就任してほしいという依頼。
夢にまで見た世界最高峰からの依頼に有頂天になるフランソワ。
自然とドニへの態度も和らぎ、ホッとする家族たち。
 
ところが翌朝、今度はドニにスカラ座の総裁マイヤーから電話があり、呼び出される。
聞けば、マイヤーの秘書カルラが父子を間違って電話してしまったらしい。
フランソワから何度も留守電が入っていたせいでそのことに気づいたと。
 
マイヤーはドニからフランソワに話をするように言うが、
あんなにも喜んでいるフランソワにどのように伝えればいいのか。
苦渋のまま時間が経ち、焦るドニだったが……。
 
予告編を観てとても良さそうだと思いました。
『テノール! 人生はハーモニー』並みの出来を期待して観に行ったのですが、うーん、だいぶ残念。
 
ピエール・アルディティ演じるフランソワにまったく魅力なし。
息子のほうが人気者でスネる爺ちゃんといえば可愛いかもしれないけれど、大物指揮者ですよ。
こんな器のちっちぇえところを見せられてもねぇ。
団員に八つ当たりして、自分の携帯が鳴っているのにも気づかず怒る。
このシーンって、本国ではウケるところなのですか。まったく笑えない。
 
だいたい、スカラ座が間違って電話したくせに、それを息子から父親に伝えろと言うのはいかがなものか。
「ウチの美人秘書が阿呆で間違っちゃったんだ。申し訳ないけど頼むよ」とでも言うならまだしも、
「おまえから父親に言え。時間はない。スカラ座だぞ。就任したい奴はほかにいくらでもいる」って、超高圧的。
 
自分の勘違いだと知った後にフランソワの取る行動も腑に落ちません。
ドニの家に押しかけ、陰で笑い者にしたんだろと悪態をつく。
どうやら帰り際にドニに言い渡したことは息子を羽ばたかせるための言葉だったようだけど、
私にはただ嫌味を言って帰ったようにしか思えません。
善人面、被害者面をしていて、顔を見ているだけで嫌になった(笑)。
 
一方、ドニ役のイヴァン・アタルはアラン・リックマンを彷彿とさせ、悪くありません。
別れた妻は変わらずドニのエージェントを務め、恋人は美人ヴァイオリニスト
彼女が難聴という設定は別に要らないんじゃないかと思いましたが、
その彼女から「クソじじぃ」呼ばわりされるところなんかは気の毒すぎてちょっと笑いました。
 
ニルス・オトナン=ジラール演じる一人息子マチューも良い。
両親が別れてもこんなに面白い子に育つ。ピアノに料理に、彼はいつでも楽しげ。
 
オチもあまりに唐突です。
万事オッケーということで後味は悪くないけど、丸くおさめすぎだってば。

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『アウシュヴィッツの生還者』

『アウシュヴィッツの生還者』(原題:The Survivor)
監督:バリー・レヴィンソン
出演:ベン・フォスター,ヴィッキー・クリープス,ビリー・マグヌッセン, ピーター・サースガード,
   ダル・ズーゾフスキー,ジョン・レグイザモ,ダニー・デヴィート,ミヒャエル・エップ他
 
シネ・リーブル梅田にて4本ハシゴ。
 
4本もハシゴするつもりはなかったのです。
目覚ましかけずに適当に起きて、昼ぐらいに家を出るつもりでいましたが、
そんなに長いこと寝ていられないんですよね。目が覚める(笑)。
 
昼から3本はあらかじめ予定を立てていたけれど、午前中にあと1本観るとすれば何にしよう。
本当は避けるつもりでいた作品。アウシュヴィッツと聞いただけでめげるから。
でも、だからこそ劇場で観ておかないと、DVDや配信では逃げてしまってきっと観ない。
気乗りせずに選んだ作品ではありますが、結論としては観てよかった。とても。
 
アウシュヴィッツを生き延び、ボクサーとして活躍したユダヤ人
ハリー・ハフトことヘルツコ・ハフトの人生を映画化したもの。
実話に基づくハンガリー/アメリカ作品。
 
1949年、ナチスドイツ強制収容所アウシュヴィッツから生還したヘルツコ・ハフトは、
アメリカで付けられたハリー・ハフトという名前でボクサーとして活躍していた。
しかし試合中に当時のフラッシュバックに悩まされることも多く、このところ敗戦続き。
 
ハリーは戦時中に生き別れた恋人レアのことを今も忘れられずにいる。
彼女は別の強制収容所へ送られたはずだが、無事なのか。手を尽くして探しても手がかりなし。
だが、自分がボクサーとして名を揚げれば、彼女のほうが知り得るかもしれない。
その一念でボクサーを続けているが、よほど強い相手と試合を組まないかぎり、
ハリーのことが全国紙で取り扱われる可能性はない。
 
悶々とする彼のもとに取材を申し込みに来た記者エモリー・アンダーソンは、
アウシュヴィッツでどのように生き延びたのかを聴きたいと言う。
もしハリーのことが話題に上れば、次期チャンピオンと言われるロッキー・マルシアノと戦えるのではと言われ……。
 
どうやって生き延びたか。凄絶です。
 
ハリーは収容所で殺されそうになっていた親友をかばって暴れました。
その場面に出くわした親衛隊員がハリーを拾う。
親衛隊員たちは、腕に覚えのあるユダヤ人を見つけると自分のペットとして飼い、
余興としてリングに上げて戦わせていました。
どちらか片方が倒れるまで戦わせ、負けたほうはその場で射殺されます。
賭け事として楽しんでいますから、勝ち続けるハリーは貴重な稼ぎ手。
儲けさせてくれるハリーにタバコを与え、風呂にも入らせて可愛がる。
 
そんなふうに生き延びたハリーですが、それが新聞記事になった途端、
裏切り者と言われて唾を吐きかけられる。
戦争が終わったときに恥ずかしくないように。それは確かにそうだけど、それも生きてこそ。
誰かを密告したり、陰でこそこそ振る舞っていたりしたわけではないのに、
リングで同胞相手に戦って生き延びた彼を誰が責められましょうか。
 
次期チャンピオンと戦ったおかげで昔の恋人と再会できてめでたしめでたし、
というようなヤワな話ではありません。
 
主演のベン・フォスター、役者魂は認めますが、そこまで体重を増減させて大丈夫ですか。
『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)のときのマシュー・マコノヒーが思い出されて、ちょっと心配です。
ハリーが所属するジムのトレーナー役のジョン・レグイザモ、やっぱり大好き。
マルシアノのトレーナーを演じるダニー・デヴィートもさすがです。最高。
 
戦争が人々の心に残した傷は、戦争が終わった後に出会った人たちの絆にも影響を及ぼす。
どちらかと言えば最近はエンタメのほうに振れていたバリー・レヴィンソン監督。
久々に見応えのある作品でした。

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『SAND LAND』

『SAND LAND』
監督:横嶋俊久
声の出演:田村睦心,山路和弘,チョー,鶴岡聡,飛田展男,大塚明夫,杉田智和他
 
公開初日だった一昨日、109シネマズ箕面にてレイトショー。IMAX版を鑑賞しました。
 
鳥山明と言われても、“ドラゴンボール”しか私は知りません。
本作の映像や画像を目にしたときも、何もわからないから興味を引かれることなく、
“ドラゴンボール”の登場人物の誰かのスピンオフだと思っていました。
 
しかし、他に観るものもないので、どういう作品なのかチラリ覗いてみたら、
2000年に短期集中連載という形で『週刊少年ジャンプ』において発表され、
長らく伝説的漫画と言われてきたそうですね。
で、このたびアニメ制作会社のサンライズ、神風動画、ANIMAが共同でアニメ映画化。
 
世界のほぼすべてが砂漠と化し、生命線だった川までが枯渇し、水不足に苦しむ人々。
アラ還の保安官ラオは、人々になんとかすると約束したものの、どうすりゃいいのか。
悩んでいたところに、ペットボトルを携えた子どもが走ってくる。
聞けば、水がなくて困っていたら、通りすがりの魔物が分けてくれたと言うのだ。
 
そんな親切な魔物がいるのか。
ラオは意を決して魔物のもとへと向かい、魔物のトップに面会を求める。
大王サタンに代わって現れたのは、悪魔王子ベルゼブブ。
ラオは、この世界のどこかにあるはずの幻の水源探しにつきあってほしいと話す。
サタンはラオの人柄に興味を持ち、ベルゼブブに許可を出す。
 
数多の魔物のなか、ラオに同行することになったのは、ベルゼブブとシーフ。
砂漠でゲジ竜や盗賊団に遭いながらも、3人は協力して水源を探す。
すると、こんなにも水が不足しているのは、国家が水を独占しているせいだとわかる。
これはお飾りのバカ国王のもと、国を統べるゼウ将軍の策略で……。
 
何もわからずに観始めましたが、話がわかりやすくてキャラも魅力的。
山路和弘が声を務める保安官ラオが超シブい。戦車を操る姿もイケてる親父なのです。
声優に詳しくないのですけれど、田村睦心の声はベルゼブブにぴったりでカワイイ。
虚勢を張るだけで実はヘタレなのかと思ったら、めちゃくちゃ強いではないですか。
何が凄いのかを自らは知らず、心優しくて、めためたにやられてからパワーを発動。カッコイイ。
お目付け役のシーフの声はチョー。って誰ですか。知らんけど、面白い。
博識で、盗みが得意で、王子をちゃんとリスペクトしているけれど、運転席を取り合う。お茶目。
 
ゼウ将軍率いる国王軍の兵士たちがみんなおバカかと思ったら、
ツラ構えは阿呆だけど、すごくマトモな思考の持ち主アレ将軍などもいて、
彼がラオの正体を知った後に味方となるシーンなどは涙モノです。
砂漠で有名な悪党家族スイマーズも最高。
 
お気に入りのアニメとなりました。夏休みにオススメの1本。

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