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『アンブッシュ』

『アンブッシュ』(原題:The Ambush)
監督:ピエール・モレル
出演:マルワーン・アブドゥッラ・サーリフ,ハリーファ・アル・ジャースィム,ムハンマド・アフマド他
 
2023年も押し迫った12月30日の晩、昨年最後の寄席に動楽亭へ行きました。
2本ハシゴの1本目は、ピエール・モレル監督のアラブ首長国連邦/フランス作品。
モレル監督がアラブ首長国連邦(UAE)に招聘されて実話を基に撮り上げたのだそうです。
 
2018年、内戦が続くイエメン南部に駐在するUAE軍の兵士たち。
帰国が間近に迫ったアリ、ビラル、ヒンダシの3人は装甲車に乗り、
戦闘地帯の住民へと支援物資を配りながら、渓谷をパトロールする。
 
すると、待ち伏せしていた敵が現れて急襲を受ける。
どこからともなくRPG(ロケット弾)が飛んできて、回避しようとすると下には地雷が。
必死で背走するうち、装甲車がスタック、どうにも動けなくなる。
3人を捕まえて人質に取ろうとしているのか、煙を焚いて燻り出されそうに。
しかし敵の狙いはパトロール隊を餌に本隊を出動させることで……。
 
タイトルの「アンブッシュ」が「奇襲」を意味すると知らなかったから、
ブッシュ?アン?ブッシュなの?ブッシュじゃないのかなどと阿呆なことを思っていました。
ポスターがまたちょっと私には気持ち悪くて、蟻に狙われる話なのかと思ったりも。(^^;
蟻に見えていたのは、UAE軍を狙う敵で、人海戦術でUAE軍に襲いかかるのですね。
 
装甲車でやってきたUAE軍を足で走って追い詰める。
土地勘がある者ばかり。遥か高い岩の上にはスナイパーがいて、怖いのなんのって。
装備的にはUAE軍のほうが勝っているはずなのに、敵の術中にハマってしまう。
 
正直なところ、敵の正体が何だったのかも私にはよくわからない。
なぜこんなに戦ってばかりいるのかもわかりません。
 
支援物資を運び込んだ村で、アリが子どもたちとボールを蹴るシーンがあります。
サッカーを教えてもらって喜ぶ子どもたち。
駐屯地の兵士たちの会話はサッカーのことで盛り上がっているのに、サッカーをせずに戦う。
子どもたちもいずれボールを蹴らずに銃を持って人の殺し方を覚える。
 
皆が仲間を助けようと必死になるのは素晴らしいこと。
でも、何のために戦っているのかを考えると、虚しくなります。
戦争はなくならない。戦場はいつまで経っても戦場のまま。
 
エンターテインメント性の高い作品で非常に面白いですが、
「面白かった」で済ませると罪悪感に苛まれる。

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『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』(原題:Perfect Days)
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:役所広司,柄本時生,中野有紗,アオイヤマダ,麻生祐未,石川さゆり,田中泯,三浦友和他
 
イオンシネマ茨木にて前述の『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』を観た後、
15分後から予告編上映開始の本作に向けて、109シネマズ箕面へダッシュ。
予告編には間に合わないのはもともとわかっていたこと。本編には間に合います。
 
ヴィム・ヴェンダース監督が東京・渋谷を舞台に撮り上げた日本/ドイツ作品。
なんでまたヴェンダース監督が?と思いませんでしたか。私は思いました。
きっかけは、渋谷区内17か所の公共トイレを刷新するプロジェクト“THE TOKYO TOILET”なのだそうです。
このプロジェクトのPR映画の制作が企画され、ヴェンダース監督に依頼が届いたとか。
で、当初は短編が検討されていたものの、ヴェンダース監督が長編作品として撮ることに。
 
下町のアパートに一人で暮らす中年男性の平山(役所広司)は、公衆トイレの清掃員。

毎朝きっちり決まった時間に起き、歯を磨き、軽自動車に乗り込むと、

お気に入りのカセットテープをかけて音楽を聴きながら、渋谷の公衆トイレへと向かう。
 
昼食は公園のベンチに腰掛けてサンドイッチと牛乳。
何十年も使っているカメラで木々をパチリと撮影。
黙々と清掃作業をこなして帰宅した後は、自転車で銭湯へ向かい、駅構内の居酒屋で食事する。
フィルムがいっぱいになれば写真屋に現像に出し、時折行きつけのスナックに顔を出すことも。
 
ほかに寄るところといえば、コインランドリー古本屋ぐらい。
夜は寝床に入って本を読み、眠くなれば就寝。
 
こんなふうに平山のひたすら規則正しい毎日が描かれているといえばそれだけで、
だからちょっと気を抜くと睡魔に襲われそうにもなります。
けれど、なんだかそれがとても心地よい。
平山に過去に何があったかは明かされないままですが、たぶん凄く悲しいことがあったはず。
それでも、日々の幸せを感じ、生きている姿っていいなぁと思う。
 
平山とシフトを組む実にいい加減な清掃員に柄本時生。彼が入れあげる女性にアオイヤマダ
家出して平山を尋ねてくる姪っ子に中野有紗、その母親(=平山の妹)に麻生祐未
駅構内の居酒屋の大将には甲本雅裕、スナックのママには石川さゆり、客にはモロ師岡
公園で踊るホームレスに田中泯、昼食時に隣のベンチに座るOLに(長井短)。
柄本時生演じるいい加減な清掃員が突然辞めた後のピンチヒッター清掃員に安藤玉恵
なんだか観ていて安心できる面々でした。
 
特別なことは何も起こりません。
万人にはお薦めしないけれど、落ち着けます。
公衆トイレのデザインを見るだけでもいいかも。

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『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』

『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』(原題:Talk to Me)
監督:ダニー・フィリッポウ,マイケル・フィリッポウ
出演:ソフィー・ワイルド,アレクサンドラ・ジェンセン,ジョー・バード,オーティス・ダンジ,ミランダ・オットー,
   ゾーイ・テラキス,クリス・アロシオ, マーカス・ジョンソン,アレクサンドリア・ステファンセン他
 
まだまだ続くよ、旧年中に観た作品。
イオンシネマ茨木にて、懲りもせずに(笑)ホラー映画を
 
兄弟監督のダニー&マイケル・フィリッポウは、オーストラリア出身の双子で人気YouTuberなのだそうです。
配給元のA24は『ヘレディタリー/継承』(2018)や『ミッドサマー』(2019)など優れたホラー作品の配給でも有名で、
本作も全米で公開されるやいなやスマッシュヒットとなったとか。
 
冒頭、一軒家で繰り広げられる若者たちのパーティーに姿を見せた青年。
彼は弟を探しにきたらしく、人が溢れる庭と邸宅の中を歩き回っています。
やっと見つけた弟の様子は明らかにおかしく、連れ帰ろうとする兄に切りつけると、自らを刺して死亡。
このあと場面が変わるため、この先の話とどう関係があるのかは終盤までわかりません。
 
大好きだった母親を亡くした高校生ミアは、深い悲しみから立ち直れず、
心配する父親とも距離を置いて、親友ジェイドの家に入り浸っている。
 
どんな形であれ、もう一度母親と会えないものか。
そんな思いから、最近友人たちの間で話題になっている降霊会に参加したくなり、ジェイドを誘う。
ジェイドの弟ライリーも連れて、友人たちが集う家へ。
 
降霊会を仕切るヘイリーとジョスがテーブルの上に出したのは、人の手の形をした置物。
ふたりによれば、本物の死人の手に防腐処理を施して石膏か何かで固めたものらしい。
ミアを含め、誰もそんなことは信じずにケラケラと笑う。
 
この手の形をした呪物を握って「トーク・トゥ・ミー」と唱えた後、霊を自分の中に招き入れれば憑依するらしい。
ただし、制限時間は90秒。それを超えると霊にそのまま取り憑かれる可能性があるのだ。
自ら挙手してこの日のそれを体験したミアは、スリルと高揚感を味わう。
その後も次々と若者たちが挙手して、大興奮の90秒に大盛り上がりを見せる。
 
危険を伴うため、年端もいかない子どもに体験させるのは御法度としていたが、
取り残された感を味わっていたライリーが、自分もやってみたいと言い出す。
姉のジェイドは反対するが、悲しそうな顔を見せるライリーにミアは同情。時間を50秒にして体験させることに。
 
ところが、ライリーに憑依したのはミアの母親らしく、母親と離れたくないミアのせいで50秒を遙かにオーバー。
霊に憑依されたままのライリーは大暴れして、自らを傷つけて死のうとしている様子。
なんとか取り押さえて病院へと運び込むのだが……。
 
ホラー作品を観に行くと怖くて直視できないのが常
本作もそのつもりで視線を下げていましたが、最近のホラー作品の中ではいちばん直視に耐えたかも。
最初にミアが見た幻影は別として、ほかの若者たちが見るものはほぼ出てこないのです。
何かを見て怯え、憑依されている姿を私たちは見せられるだけなので、さほどビビらずに済みます。
むやみやたらと怖がらせるシーンがないのは私にとってはありがたいこと。
 
それでも目を伏せていたシーンが結構あるから(笑)、見落としているところはあるかもしれません。
特に終盤は顔を上げられなくて、何がどうなっているのやらわからなくなったところも。
 
冒頭のシーンはそれほど重要だと思えなかったものの、
亡くなった人の魂で遊ぶのはよくないことだというのは心に突き刺さります。
興味本位で立ち入ってはいけない領域は絶対にある。
 
顔を上げられなかったせいで、肝心のラストの解釈が合っているのかどうか不明です。(^^;
でも結局、そういうことになるのね。さまよい続ける魂。

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『女優は泣かない』

『女優は泣かない』
監督:有働佳史
出演:蓮佛美沙子,伊藤万理華,上川周作,三倉茉奈,吉田仁人,青木ラブ,
   幸田尚子,福山翔大,緋田康人,浜野謙太,宮崎美子,升毅他
 
12月24日、クリスマスイブ
夙川で凄く美味しいひとりランチで盛大に酔っぱらったあと、十三のシアターセブンへ。
絶対爆睡するパターンだとわかっているのにまたやってしまいました。(^O^;
 
CMディレクターやTVドラマの脚本家として活躍する有働佳史監督の長編映画デビュー作。
有働監督は熊本県荒尾市のご出身だそうで、その故郷が舞台です。
 
スキャンダルで転落した女優・園田梨枝(蓮佛美沙子)。
再起を図るために密着ドキュメンタリー撮影の話を受け、帰郷する。
 
少なからずちやほやされる女優人生を送ってきたはずが、
現場にやってきたのはテレビ局のバラエティー班でADを務める瀬野咲(伊藤万理華)ただひとり。
実家には内緒で撮影を進めたかったのに、宿すら用意されていない有様。
 
撮影を始めるも、田舎町のこと。梨枝の知り合いが次々と通りかかる。
実家の親にも知られることになって梨枝は困惑するのだが……。
 
この辺りから睡魔に襲われまして、ほとんど話を覚えていません。
升毅演じる父親が末期癌はいつ出た話なのか。母親の宮崎美子はいつ登場したのか。
あら、懐かしの双子の片っぽ、三倉茉奈ちゃんも出てるやないの。何の役!?
 
酔っぱらっていても面白そうな出だしだったのですけれど。
おそらくシャキッとした状態なら、とても楽しめる作品だったと想像します。
もしも今年塚口サンサン劇場辺りで上映してくれたら必ず観に行きます。
 
なんでこないに学習能力ないんやろ。
すみませんねぇ、こんな状態で観た作品まで去年観た数の中に含めて。(^^;

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『アンダーグラウンド』【4Kデジタルリマスター版】

『アンダーグラウンド』(英題:Underground)
監督:エミール・クストリッツァ
出演:ミキ・マノイロヴィッチ,ミリャナ・ヤコヴィッチ,ラザル・リストフスキー,スラヴコ・スティマチ,
   エルンスト・シュトッツナー,スルジャン・トドロヴィッチ,ミリャナ・カラノヴィッチ他
 
シネマート心斎橋にて、『スイッチ 人生最高の贈り物』の次に。
 
1995年のフランス/ドイツ/ハンガリー作品です。
いつだったか、テレビで放映されていたときに母に録画を頼みました。まだVHSだった時代。
観よう観ようと思っていたのに、3時間近い長尺だから集中力がもたず、家で観るのは断念。
これを観ないまま私は死ぬのだろうかと思っていたら、鑑賞の機会が巡ってきました。
 
第48回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞しています。
エミール・クストリッツァ監督の作品は、ふだんあまり映画を観ない人にはお薦めできません。
ハリウッド映画とはまったく違いますし、そもそもこの音楽。慣れていないとビビる(笑)。
けれども凄く難解というわけでもなくて、『ウェディング・ベルを鳴らせ!』(2007)のように、
結構いろんな人が楽しめるんじゃないかという作品もあります。
 
本作は、1941年から始まった旧ユーゴスラビアの戦いと動乱の歴史を描いています。
「ユーゴスラビア」という国名が出てくることはなく、ただ「くに」と呼ばれるだけですが、
ベオグラードだったりザグレブだったりという都市名は頻繁に登場します。
 
主人公はマルコとクロというふたりの男性。
詩人で共産党員のマルコは、元電気工のクロを入党させ、共にパルチザンに参加。
ナチスの爆撃を受けたベオグラードは焼け野原となり、
マルコの弟で吃音症のイヴァンが飼育係として勤めていた動物園も壊滅。
イヴァンは生き残ったチンパンジーのソニを連れて命からがら逃げ、兄マルコを頼ります。
 
クロの妻ヴェラは、息子のヨヴァンを出産する際に亡くなりましたが、
妻の生前から舞台女優のナタリアに入れあげていたクロは、恋敵であるナチス将校フランツを殺してナタリアを奪う。
マルコの助けによりナチスからなんとか逃げおおせたクロでしたが、大怪我を負います。
 
こうしてマルコのもとに集結した生き残りの人々。
それはイヴァンやクロ、ナタリアのみならず、爆撃を避けて地下に身を潜めていた人たちで、
彼らは戦争が終わったことを知らずにずっと地下で暮らし続けることに。
戦争の終結を知っているのはマルコとナタリアだけで、クロは怪我のせいで地下室に寝たきり。
マルコは地下の住人に戦争が続いているものと思わせて武器を造らせます。
武器商人として金を稼ぎまくるマルコ。
 
3時間はなかなかにつらくて、途中少しだけ寝そうになりました。
でもこれは壮大な作品ですよね。
 
本作から30年近くが経過しようとしているのに、世界のどこかで途切れることなく戦争が続いています。
なぜ争うことをやめられないのでしょうか。

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