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『燈火は消えず』

『燈火は消えず』(原題:燈火闌珊)
監督:アナスタシア・ツァン
出演:シルヴィア・チャン,サイモン・ヤム,セシリア・チョイ,ヘニック・チャウ,ベン・ユエン,
   シン・マク,アルマ・クォク,ジャッキー・トン,ミミ・クン,レイチェル・リョン他
 
2日連続で仕事の後なんばパークスシネマに向かいました。
去年の暮れはそんな時刻になると新御大渋滞で、上映開始に間に合わなかったことも。
しかし年明けはたまたまなのか、がら空きとは言わないまでも空き空きで、
前日は18:05からの『レザボア・ドックス』、この日は18:00からの本作の上映開始に間に合いました。
 
タイトルの「燈火」は「とうか」ではなくて「ネオン」と読ませています。
香港夜景を彩っていたネオンサインが2010年の建築法改正によって撤去されるように。
2020年には元の約9割が姿を消してしまったそうです。
本作はネオンサインの職人だった夫を亡くした女性が主人公。
台湾出身の有名女優シルヴィア・チャンが監督。主演も彼女自身が務めています。
 
大好きだった夫のビルが亡くなり、妻のメイヒョンは悲しみの淵で立ち上がれずにいる。
ボーッとしたまま暮らしていたある日、夫の衣類の中から鍵を見つける。
それは昔気質のネオン職人だったビルの工房の鍵。
訪れてみると、そこでは今も誰かが作業している痕跡があった。
 
それを一人娘のチョイホンに話すと呆れ顔。
ビルがネオン職人を辞めてからもう長いのに、工房がまだ使われているはずがなかろうと。
しかし納得できないメイヒョンが再び工房に行くと、若者がいるではないか。
 
彼の名前はレオ。ビルの唯一の弟子なのだと言う。
ビルが死んだことを知らなかったレオは、家賃などの支払いに困り果てていた。
一方のメイヒョンは、夫に弟子がいたことも、まだ工房を開けていたことも初耳。
ビルは最後に作りたいネオンサインがあったらしく、
メイヒョンはレオに教えてもらいながら夫の願いを叶えたいと思うのだが……。
 
冒頭のビルとメイヒョンが一緒にいるシーンがとても好きだったのですが、
途中からなんだかメイヒョンに腹が立ってきます。
夫婦仲バッチリだと思わせられた冒頭だったのに、いつも不機嫌なチョイホンの話によれば、
おおらかで優しくて面白かった父親に対して、母親はまったく理解がなかった。
あれほどビルが情熱を注いでいたネオンサインの仕事も、メイヒョンは収入にならないと言って辞めさせた。
チョイホンが進学を望み、そのために金を工面しようとしたビルに対しても、
娘のために借金するつもりかと言い放ったメイヒョン。
 
つまり、ここでメイヒョンがしようとしていることは、ビルのためというよりも、
ビルのことをないがしろにしてきたメイヒョンの自己満足のためのように感じられます。
 
母親に冷たくしきれないチョイホンが、メイヒョンの老後を思って年金の契約などをしても、
そんなのは要らないから断れと言い、じゃあ生活費はどうするつもりかと聞かれると、
チョイホンに養ってもらうからいいとのたまう。そりゃ娘は呆れてしまうでしょう。
 
そんなこんなでイライラさせられはしたのですが、とても温かなエンディングに唸りました。
終わりよければすべて良し。なんかええ映画を観たなぁという気持ちに。
 
エンドロールでは何人もの本物のネオン職人の略歴と共にその作品が映し出されます。
ネオンサインぎらぎらの街なのに、下品ではない。どこか惹かれます。

—–

『サン・セバスチャンへ、ようこそ』

『サン・セバスチャンへ、ようこそ』(原題:Rifkin’s Festival)
監督:ウディ・アレン
出演:ウォーレス・ショーン,ジーナ・ガーション,エレナ・アナヤ,ルイ・ガレル,セルジ・ロペス,クリストフ・ヴァルツ他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『レザボア・ドックス』の次に。
 
あっちもこっちも性加害のニュースばかりで本当に嫌になっちゃいます。
アレン監督も前作公開時にいろいろと取り沙汰されて、アメリカでは未公開の憂き目に遭いました。
『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)が大好きだった私は、やっぱりそんな人だとは思いたくない。
 
……と思っていたのですけれど、これは全然駄目だったなぁ。(T_T)
 
かつて大学で映画について講義していたこともある作家モートは、
映画の広報担当者として活躍する妻スーに同行し、スペイン北部バスク地方の街サン・セバスチャンへ。
この街では映画祭が開催されているのだ。
 
スーが現在広報を担当しているのは、フランス人の若くてイケメンの監督フィリップ。
どうやらスーはフィリップにぞっこんらしいのが見た目にも明らか。
 
スーの浮気を疑うモートは不安のあまり体調不良に陥り、地元の女性医師ジョーの診察を受ける。
ジョーの夫は自由奔放な芸術家パコで浮気もし放題だから、夫婦間の喧嘩が絶えない。
そんなジョーのことも気になりはじめるモートだったが……。
 
モート役のウォーレス・ショーンは、言っちゃ悪いけどハゲちび小デブ。
大画面で見ていたい人ではありません。ごめんなさい。
この人の妻役がもうオバハンではあるというもののイケイケお色気たっぷりのジーナ・ガーション
彼女がモートと結婚したのは知性に惹かれたからであって、
作家だといってももう小説を書けそうにもないモートに興味はありません。
 
スーが若い監督に入れ上げるのもたいがい「オバハンの妄想」ですが、
まったくイケてない中年男が美人女医と良い仲になれるなんて考えるのは確実に「オッサンの妄想」
ワインを飲んで酔ったふうのジョーに向かって、「酔ったのはワインのせい?
それとも僕との魅力的な会話のせいかな」なんてほざくシーンはゾワーッとしました。(–;
 
だから、大嫌いなんだってば、オッサンとかオバハンの妄想。
ものすごくがっかり。
『サンクスギビング』の序盤で無残にも頭をちぎられたジーナ・ガーションが
最後まで美しいまま出演させてもらえていたことだけで良しとしましょかね。
 
あー嫌い。大嫌い。
年間ワースト3入りする気配すらある。まだ2月初旬だけど。(^^;

—–

『レザボア・ドッグス』【デジタルリマスター版】

『レザボア・ドッグス』(原題:Reservoir Dogs)
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ハーヴェイ・カイテル,ティム・ロス,マイケル・マドセン,クリス・ペン,スティーヴ・ブシェミ,
   ローレンス・ティアニー,カーク・バルツ,エディ・バンカー,クエンティン・タランティーノ他
声の出演:スティーヴン・ライト
 
1991年のアメリカ作品のデジタルリマスター版がなんばパークスシネマで上映されていました。
クエンティン・タランティーノの名を一躍世に知らしめた作品として有名ですね。
2005年のイギリスの映画雑誌『エンパイア』が発表したインディペンデント映画ベスト50では1位に選ばれています。
当時の対抗馬は『ユージュアル・サスペクツ』 (1995)などなど。
 
それはきっと私が『パルプ・フィクション』(1994)を教えたからだと思います。
本作のDVDも弟の部屋にあったのを思い出し、観に行ったというわけです。
 
ロサンゼルスの裏社会を牛耳る大物ジョーは宝石店に押し入ることを計画。
息子エディを司令塔に指名し、確かな腕を持つと見込んだ6名を実行メンバーとして集める。
もしもお互いの本名や出身地などを知れば、何かの拍子にポロリとそれを口走ってしまうかもしれないと、
素性を隠すためにコードネームで呼び合うことに。
 
ジョーが決めたコードネームは、ミスター・ホワイト(ハーヴェイ・カイテル)、ミスター・オレンジ(ティム・ロス)、
ミスター・ブロンド(マイケル・マドセン)、ミスター・ピンク(スティーヴ・ブシェミ)、
ミスター・ブルー(エディ・バンカー)、ミスター・ブラウン(クエンティン・タランティーノ)。
 
計画は簡単に実行できるものと思われたが、警報が鳴るが早いか警官が駆けつける。
ホワイトは、銃で撃たれて重篤なオレンジを抱えて車に乗り、なんとか集合場所の倉庫にたどり着く。
しばらくして現れたピンクは、メンバーの中に警察のイヌがいるに違いないと主張。
次にやってきたブロンドは、現場から人質として連れてきた若い警官を拷問し、誰がイヌかを吐かせようとするのだが……。
 
それぞれのキャラクターがよく書き込まれていて面白いですよねぇ。
自分で脚本を書いて、出演もして、明らかな低予算でこんな1本を撮り上げたタランティーノ。
そりゃみんな大騒ぎしたことでしょう。
 
私も30年以上ぶりに観ましたが、やっぱり楽しい。グロいシーンも多いけど。
弟のお気に入りだった作品であることも含めて、いろいろと懐かしくなります。
エディを演じたクリス・ペンはその後40歳のときに亡くなり、もうとっくにこの世にいません。
一方で、ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、スティーヴ・ブシェミといった俳優たちは、
相当なオッサン、いえ、ジジイになってはいるものの、まだ現役。
 
懐かしさでいっぱい。
観に行ってよかったと思います。

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『哀れなるものたち』

『哀れなるものたち』(原題:Poor Things)
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:エマ・ストーン,マーク・ラファロ,ウィレム・デフォー,ラミー・ユセフ,ジェロッド・カーマイケル,
   クリストファー・アボット,キャスリン・ハンター,ハンナ・シグラ,ヴィッキー・ペッパーダイン他
 
109シネマズ箕面にて。
 
スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説をギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督が映画化。
この監督の日本で初めて公開された作品『籠の中の乙女』(2009)を観たときの衝撃はいまだに忘れられません。
鬼才か奇才かと言うけれど、やっぱり変態だと思います。好きですけどね(笑)。
 
ある日、医学生のマックス・マッキャンドルズは、心酔する天才外科医ゴドウィン・バクスターに呼ばれる。
ゴドウィンの邸宅について行くと、そこには世にも美しき痴人がいた。
 
その痴人の名はベラ。
ゴドウィンはベラの行動の一部始終を書きとめて記録するようにマックスに言う。
大人の女性の容姿でありながら、まるで幼児のごとき振る舞いのベラに驚きつつ、
彼女の魅力に取り憑かれたマックスは、ベラの事情を知りたいと思い、ゴドウィンに詰め寄る。
 
するとゴドウィンが語ったのは信じがたい話。
橋の上から女性が身投げする瞬間を目撃したゴドウィンが駆け寄ると、
女性はすでに息絶えていたが、彼女は妊婦だった。
ゴドウィンは腹の中の胎児を取り出すと、胎児の脳を遺体の脳に移植し、女性を生き返らせる。
肉体は女性、脳は赤ん坊のベラを育てる実験をしているゴドウィン。
マックスはその成長過程を記録する役目を与えられたのだ。
 
目覚ましい成長を見せるベラは、自我の芽生えと共に、外の世界に興味を持ちはじめる。
彼女を外に出したくないゴドウィンは、ベラとマックスを結婚させて邸宅に閉じ込めようとするが、
婚姻の書類を作成しに訪れた放蕩弁護士ダンカン・ウェダーバーンは、ベラを連れて行こうとする。
 
ダンカンとの駆け落ち計画をもゴドウィンに素直に報告するベラは、
いずれ戻ってマックスと結婚するから、しばらく冒険の旅に出たいと告げる。
ゴドウィンとマックスはそれを了承してベラを送り出すのだが……。
 
グロさの点では『サンクスギビング』の上を行く。しかしとても面白い。
この監督のことですから、ひょえ~というオチか、なんじゃいこれというオチを予想していたのに、
なんだかんだでこれはハッピーエンドじゃあないですか。
 
見た目は女性だけれど頭の中は赤ん坊だったベラが成長して行くと、
食べるものへの興味と性への興味がいちばんに出てきます。
性行為を「熱烈ジャンプ」と評する彼女が可笑しい。字幕翻訳松浦美奈さん。最高です。
 
プレイボーイを自認し、ベラとちょっと遊ぶつもりだったのに骨抜きにされるダンカン。
豪華客船に乗ってベラと外界との関わりを断とうとするも失敗し、困り果てます。
船上で知り合った老女に知識欲を刺激され、どんどん賢くなっていくベラ。
ダンカンはベラを思い通りにできずに荒れて泣き崩れるだけですが、
ベラのほうはパリの娼館にたどり着くとそこでたくましく生きるすべを覚えます。
 
凄い脱ぎっぷりを見せてくれたエマ・ストーンの演技が素晴らしい。
ダンカン役はマーク・ラファロ“アベンジャーズ”“ハルク”のイメージが強いですが、
こんなダメダメ男もよく似合っていて上手い。
つぎはぎだらけの顔のゴドウィン役、ウィレム・デフォーは言うまでもなくさすがです。
マックス役のラミー・ユセフにも温かみがあってよかった。
 
万人には鑑賞を勧められませんが、面白くて良い映画を観たなぁと思えます。

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『サイレントラブ』

『サイレントラブ』
監督:内田英治
出演:山田涼介,浜辺美波,野村周平,吉村界人,SWAY,中島歩,円井わん,辰巳琢郎,古田新太他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
TVドラマでも同タイトルのものがあったと思っていたら、あっちは『サイレント・ラヴ』なのですね。
こっちは原案と脚本を内田監督ご自身が担当されたらしい。
私の惹かれるオリジナル脚本というやつなのですけれども。
 
音大ピアノ科で首席を取ると目されていた生徒・甚内美夏(浜辺美波)は、交通事故に遭って視力を失う
自暴自棄になって校舎の上から飛び降りようとしたところを助けたのが清掃員・沢田蒼(山田涼介)。
 
蒼はある出来事をきっかけに声が出ないのか出さないのか、ひと言も発することがなくなった。
美夏が落としたガムランボールを拾い、その音色によって雑踏の中で戸惑う美夏を導く。
何も話さない蒼を不思議に思いつつも、蒼といるときには落ち着きを見せはじめる美夏。
 
一度は自殺しかけたものの、いずれ視力が回復する可能性はあると医者から言われており、
作曲科への転向を教師から勧められても絶対にピアノをあきらめたくない。
通常は立ち入り禁止となっている旧校舎に潜り込み、ピアノの練習を始める美夏。
鍵の在処を知っている蒼は、美夏のためにその校舎の扉を開けてやるようになる。
 
蒼のこともピアノ科の生徒だと思い込んでいる美夏は、そのうち蒼のピアノも聴かせてほしいと言う。
困惑する蒼がある日偶然耳にしたのは、金持ちの御曹司・北村悠真(野村周平)のショパン
非合法カジノギャンブルに手を出し、借金をつくっている悠真に、
目の見えない美夏の前で蒼のふりをしてピアノを弾いてほしい、金を払うからと頼み込み……。
 
今まで何作か観てきて思うのは、内田監督のラブストーリーは私はちょっぴり苦手かもしれないということ。
私にはいずれの作品も男性陣が素敵に見えないのです。
『ミッドナイトスワン』でトランスジェンダー役を演じて絶賛された草彅くんも含めて。
 
だいたい、ピアノを弾く人の手なんてすぐわかるでしょうし、
清掃人と御曹司では着ているものもその人もにおいも、たぶん何もかも違う。
なのに美夏がいつまでも気づかないはずがなく、無理があります。
事実、美夏はとっくに気づいているから、無理のない話とも言えますが。
 
野村周平くんは可愛いので好きだけど、この役は似合っていない。
とにかく、出演陣でいちばんカッコイイと思ったのが古田新太なのですから(笑)。
 
この身分違いの恋が果たして上手く行くと思いますか。
そこはまったく描かずなのですから、夢があるといえばあるし、でも無理だって。
殺人の前科のある日雇い労働者とお嬢様。
どんな理由があっても前科のある人間が生きていくところがないなんてのも辛いけど、夢過ぎる。
すれていないカップルで観に行くにはオススメかもしれません。(^o^;
 
唯一嬉しかったのはちょっと私のツボになりつつある円井わんが出演していることかな。

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