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『身代わり忠臣蔵』

『身代わり忠臣蔵』
監督:河合勇人
出演:ムロツヨシ,永山瑛太,川口春奈,寛一郎,森崎ウィン,本多力,星田英利,板垣瑞生,廣瀬智紀,濱津隆之,
   加藤小夏,野村康太,入江甚儀,野波麻帆,尾上右近,橋本マナミ,林遣都,北村一輝,柄本明他
ナレーション:森七菜
 
109シネマズ箕面にて。
 
原作は土橋章宏の同名小説、監督は“かぐや様は告らせたい”シリーズや『総理の夫』(2021)の河合勇人
で、ムロツヨシ主演と来ればそこそこ集客できそうなものですが、この日の客は私と1名のみ。
封切りからまだ1週間も経っていなかったのに、寂しいなぁ。
 
乞食同然の僧侶・吉良孝証(たかあき)(ムロツヨシ)は、高家旗本吉良上野介(ムロツヨシの1人2役)の弟。
生まれた順序が違うだけでこうも扱いが変わるものかとぼやきたくなる毎日を送っていた。
 
日々の食事にも事欠き、吉良家に潜り込んで心優しき女中・桔梗(川口春奈)の厚意に甘えていたところ、
兄に仕える家老・斎藤宮内(林遣都)がどうしても孝証に頼みたいことがあると飛び込んでくる。
 
斎藤によれば、江戸城内で赤穂藩主・浅野内匠頭(尾上右近)に兄が斬りつけられて瀕死とのこと。
もしも兄がこのような状態であることがバレれば、吉良家はお取り潰し確実。
顔も声も瓜二つの上野介のふりをしてしばらく過ごしてくれないかと。
断ろうとするも、目の前に積み上げられた金に釣られて引き受ける孝証。
 
ところが上野介が死亡してしまい、身代わりになるのはしばらく程度では済まなくなる。
浅野内匠頭は自らのけじめをつけるために切腹し、浅野家はお取り潰しに。
一方の吉良上野介はお咎めなしということでは納得がいかない浅野家の家臣たちは、
赤穂藩家老・大石内蔵助(永山瑛太)にどうしても仇討ちしたいと言い募る。
仇討ちなどしなくとも、願い出たお家再興が叶うかもしれないと家臣をなだめる内蔵助だったが……。
 
もともと時代小説が苦手で日本史バカです。世界史もですけれど。(^^;
最近は時代ものにもようやく抵抗が少なくなってきたというものの、まだまだ知らないこといっぱい。
本作の登場人物のことも名前ぐらいは知っていますが、何をした人かはわかっちゃいない。
これまで観た映画の記憶をたどっては、ああ、あの人か、程度の理解です。
 
だから、どこまでが史実に基づいていて、どこからが創作なのかがわかりません。
ただ、歴史上の人物って、そのとき死んだと言われていても亡骸は見つかっていなくて、
 
本作を観るかぎり、吉良上野介はものすごく横暴で嫌われ者。
どうしようもないボンクラっぽかった孝証のほうが人の心をわかっていて、家臣を大事にし、民衆にも優しい。
長ひとりが代わることによって、全体の空気が穏やかになってきます。
 
以前、川で溺れかけていた孝証を助けてくれたのが内蔵助で、後日再会して意気投合。
どちらも人の心を持つ人物だったから、こんなことが起こせた。
史実は違うとは思うけれど、こうだったらいいなというロマンを感じます。
 
演技にいちばん目を見張ったのは林遣都でしょうか。めっちゃオモロイやないかい。
彼を夫に選んだ大島優子は見る目あるなぁと思うのでした。

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『ナイアド その決意は海を越える』

『ナイアド その決意は海を越える』(原題:Nyad)
監督:エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ,ジミー・チン
出演:アネット・ベニング,ジョディ・フォスター,リス・エヴァンス,アナ・ハリエット・ピットマン,
   ルーク・コスグローヴ,エリカ・チョー,ジーナ・イー,カーリー・ローゼンバーグ,エリック・T・ミラー他
 
Netflixで「あなたへのオススメ」に出てくるたびにスルーしていました。
だって、アネット・ベニングジョディ・フォスターのシワシワの顔、見たいですか。
だけど第96回アカデミー賞主演女優賞助演女優賞にノミネートされて、スルーもしていられなくなりました。
 
監督は『MERU/メルー』(2015) や『フリーソロ』(2018)のエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チン。
後者では第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を獲得。
このふたりは『ニルマル・プルジャ 不可能を可能にした登山家』 (2021)の製作総指揮も務めています。
これまでドキュメンタリー作品ばかりを手がけてきたこのコンビが、初めて長編劇映画に挑む。
ドキュメンタリーではないと言っても、そこはこのコンビらしく、実在の人物を描いた作品です。
 
「マラソンスイミング」という言葉があるのを私は知りませんでした。
海や川、湖などの自然環境の中でおこなわれる水泳競技のことだそうで。
 
アネット・ベニング演じるダイアナ・ナイアドは1949年生まれ、今年75歳。
マラソンスイマーとして数々の挑戦をしてきた人ですが、
28歳のときにキューバからフロリダまで泳いで渡ろうとして失敗。
それをなんと60歳になってからやり遂げようと思い立ち、再び挑戦。
その後失敗を繰り返すも毎年挑戦し、成し遂げたのが64歳のときのこと。
 
泳ぐったって、ただ泳ぐだけじゃないんですよね。
キューバからフロリダまでは約160キロ。サメもいれば、強烈な毒を持つクラゲもいる。
海路を知り尽くしている航海士あってこその挑戦で、
航海士の指示で船を動かす船長も、サメやハコクラゲの専門家も必要。
そして何よりも、ダイアナが最大の信頼を置くコーチ、ボニー・ストールなしでは無理。
 
すべてを用意するにはお金がかかります。
ダイアナのみならず、ボニーも、航海士のジョンまで自宅を抵当に入れて金を工面。
執念でこのマラソンスイミングを成功させようとします。
 
海流のせいで予定していた進路と異なる選択をしなければならないこともあるから、
64歳で成し遂げたときは全行程で177キロ。
62時間眠ることなく、誰も手を触れることなく、見守られて。
 
少女のときには水泳のコーチから性的虐待を受けていたことも明らかになっていて、
フロリダまでの間にそのときのことを思い出したりもしてしまったりする。
こんなにもつらいのになぜ挑戦しつづけるんだろうと思いましたが、
チーム競技としてのマラソンスイミングを成し遂げたときの皆の顔を見れば納得。
 
凄い人がいたものです。
実際の映像も織り交ぜられ、エンドロールでは愉快な彼女の姿を見られます。

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『ニューヨーク・オールド・アパートメント』

『ニューヨーク・オールド・アパートメント』(原題:The Saint of the Impossible)
監督:マーク・ウィルキンズ
出演:マガリ・ソリエル,マルセロ・デュラン,アドリアーノ・デュラン,タラ・サラー,ジーモン・ケザー他
 
前述の『サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者』の後、同じく塚口サンサン劇場にて。
シネ・リーブル梅田で見逃した本作を鑑賞することができました。
 
監督はこれが長編デビュー作となるスイス出身のマーク・ウィルキンズ。
タイトルからセドリック・クラピッシュ監督の『スパニッシュ・アパートメント』(2002)のような群像劇を想定していたら、
そんなのほほんとした作品ではありませんでした。相当ヘヴィー。
 
シングルマザーのラファエラは、ウェイトレスをしながら双子の兄弟ポールとティトを育てている。
 
中華料理店のデリバリーのバイトをしながら英語学校に通うふたりは、
挙手しても教師から無視されるなど、まるで透明人間のような生活を余儀なくされていたが、
ある日、クロアチアからの移民だという絶世の美女クリスティンが転入してきてウキウキ。
 
クールなことこのうえないクリスティンからちょっと声をかけられるだけでメロメロになり、
妄想を膨らませていたふたりは、毎日彼女と会いたくてたまらない。
そのせいで、仕事上がりのラファエラを迎えに行く日課をすっぽかすことも。
 
一方のラファエラは、店の客で小説家のエワルドに言い寄られ、部屋に連れ込むようになる。
やがてエワルドはラファエラに店を辞めてブリトーのデリバリー店を始めようと言い出す。
メキシコ人でもないのにブリトーなんてと渋るラファエラだったが、
資金は出す、これはチャンスだなどとエワルドに言われて乗り気になってしまう。
 
母親のことが気になりつつもクリスティンにぞっこんのふたりは、
自分たちがいつまで経っても透明人間なのはイケていない童貞だからなどと自嘲していると、
クリスティンからある条件と引き換えに童貞卒業を持ちかけられ……。
 
なんだかこうして書いていても軽い青春ものに感じられますが、全然そうじゃない。
 
冒頭、おでこを負傷したラファエラが友人らしき女性に伴われてやってきた部屋は、
保健衛生局から立ち入り禁止の貼り紙をされていて、中は荒れ放題。
そこにいるはずの息子たちの姿が見えず、ラファエラが動揺するシーンから始まります。
 
時系列をいじりながら物語は進行。
貧しいながらもまぁまぁ幸せに暮らしていた3人に思えましたが、
クリスティンとの出会いやエワルドの登場によってそれが少しずつ変わってしまう。
 
みんな恋をしたいし、より良い生活を送りたいと思っているのに、それが全部悪い方向へ。
良いことなんていっさい望んではいけないのだろうかと思わされます。
 
金だけは持っているのかと思えたクリスティンも、高級娼婦として体を売っているのには訳がある。
だけど金目当てに騙されていると知ったときの彼女の気持ちは計り知れません。
 
どう考えても行く先は暗い。それでも前向きに生きる人たち。
最後は少しだけホッとする。

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『サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者』

『サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者』(原題:Sye Raa Narasimha Reddy)
監督:スレーンダル・レッディ
出演:チランジーヴィ,ナヤンターラー,タマンナー,スディープ,ジャガパティ・バーブ,ヴィジャイ・セードゥパティ,
   ヘンリー・メイナード,オスカー・スカガーバーグ,アミターブ・バッチャン,アヌシュカ・シェッティ他
 
最近ハマっている“ひとりなんばグランド花月”。
ひとりでオンライン予約すると、出入り口すぐ横の端っこ席を取れることが多いんです。
前日は祇園で酔っぱらっているから、翌日朝イチの回を取るのは無謀だと思いましたが、
3連休の中日だもの、頑張れば翌日もまだ休み。這うように起きてなんばへ。
 
その後、さらに無謀だとは思いましたが、吉本新喜劇を見て泣くほど笑ったら元気が出て、
塚口サンサン劇場へ向かい、気になっていた本作も観ることができました。
 
昨秋、“熱風!!南インド映画の世界”で上映されていた2019年のインド作品。
『RRR』(2022)のラーマ役、ラーム・チャランの実父チランジーヴィの主演です。
ラーム・チャランがこの先お父さんそっくりになったら嫌だなぁと思っていましたが、親父の印象が変わる。
この人、今年69歳になるというのに、なんだ、カッコイイじゃあないか。
長尺ボリウッドの例に漏れず、本作も167分。寝るかと思ったけど、面白くて寝る暇なし。
 
1840年代、南インドのレーナードゥ地方には61の領主国家がありました。
それを征服しようとしていたのがイギリス東インド会社。
冒頭に登場するのは1857年のウッタル・プラデーシュ州の都市ジャーンシー。
イギリス軍に包囲されて怯える兵士たちを鼓舞しようと女王が話すのがサイラー・ナラシムハー・レッディのこと。
 
領主のうちのひとりだったサイラーは、イギリス東インド会社の言いなりになることに反発。
自分たちの畑を自分たちで耕して育てた穀物を、何もしない連中が根こそぎ持って行くなんて許してはならない。
今後は穀物による税をいっさい支払わないと言い切ります。
 
そんなことを言えばどんな目に遭わされるかわからないと、おとなしく増税に応じようとする領主も多いなか、
サイラーはイギリス東インド会社によって禁じられていた祭りなども再開。
領民たちはサイラーと共に戦うと決め、覚悟を決めて賛同する領主も出てきます。
 
こうして一致団結した彼らは、自分たちを見下して搾取する白人をインドから追い払う戦いに挑みます。
けれど、そこではやはり金が動いて、裏切る者もひとりやふたりではありません。
 
何が何だかわからずにハマった『RRR』も、これを観てからまた観ればよくわかりそう。
『RRR』のエンドロールに登場するインドの英雄たちの始祖がサイラーだということですね。
 
サイラーの妻役のナヤンターラー、想い人役のタマンナー、ふたりともめちゃめちゃ綺麗。
チランジーヴィのみならず、ヴィジャイ・セードゥパティなどボリウッドの人気俳優も出ていることが嬉しい。
 
大作です。面白かった。

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『夜明けのすべて』

『夜明けのすべて』
監督:三宅唱
出演:松村北斗,上白石萌音,渋川清彦,芋生悠,藤間爽子,久保田磨希,足立智充,
   宮川一朗太,内田慈,丘みつ子,山野海,斉藤陽一郎,りょう,光石研他
 
イオンシネマ茨木にて、封切り日のレイトショーを鑑賞しました。
その前日に瀬尾まいこの原作は読了。原作の感想はこちら
 
映画版はまず男女ダブル主人公の片方、女性のほうがPMS(月経前症候群)で苦しむ様子や、
PMSとはどういうものかをモノローグで話すシーンで始まります。
 
25日から30日間の周期で1度、生理が始まる前に途轍もないイライラに襲われ、
それを口に出さずにはいられずに爆発させてしまう藤沢美紗(上白石萌音)。
大学卒業後に大手企業に勤めたものの、PMSが原因で上司に暴言を吐くなどの悪態をつく。
それを抑えようと飲んだ薬の副作用で会議室で居眠りも。
どうにも居たたまれずにわずか数ヶ月で辞表を提出した。
現在勤めているのは面接の段階でPMSを打ち明けて採用してくれた唯一の会社・栗田科学。
 
中年以上の社員が何人かいるだけのこの小さな会社に、藤沢の後に入社してきたのが山添孝俊(松村北斗)。
やる気はまるで感じられず、仕事もたいしてしないくせして誰よりも早く帰る。
ある日ちょうどPMSに見舞われた藤沢は、山添についにイライラを爆発させる。
 
しかしそんな山添も実はパニック障害を抱えて苦しんでいた。
希望先に就職して希望の仕事をし、誰とも上手くやってきていたはずなのに、
突然、電車に乗ったり食事に行ったり、人のいるところでは発作を起こすようになったのだ。
 
山添が服用している薬を見て自分と同じような障害に悩まされていると知った藤沢は……。
 
主に原作との違いについて書いてみると、まず原作では「栗田金属」、映画版は「栗田科学」。
「夜明けのすべて」というタイトルから「夜」→「プラネタリウム」としたのでしょうか。
確かに映像にするなら金属を見せるよりもプラネタリウムのほうが美しいか。
 
原作では山添のパニック障害発症後にとっくに別れていた彼女が登場、映画版ではまだ交際中です。
芋生悠演じる彼女は正直言って本作に要らないと思いました。
山添の定期診察についていって精神科医(内田慈)に詰め寄るなど、山添を追い込むことしかしていない。
藤沢のことをわざわざ呼び止めて「彼に寄り添ってくれてありがとうございます」と言うなんて、
心から藤沢に感謝しているというよりは、自分の存在を藤沢に見せつけたいかのようで好きじゃない。
ただ、実際に自分の恋人がこんなふうになったら、カノジョはこう出るでしょうかね。
 
藤沢の母親(りょう)は車椅子生活を送っているなんていうのも原作にはない設定。
母親の介護のために藤沢は実家へ戻ろうと、栗田科学から転職を検討中。
こんなにもいろいろと原作にない設定を盛り込む必要を私は感じません。
映画にするならばこれぐらい「ない」設定を入れなきゃいけないということなのかなぁ。
 
と文句を言い気味になってしまいましたが、キャストはよかったと思います。
主演のふたりに好感が持てるし、会社の人たちを演じる役者陣がとてもいい。
栗田科学の社長に光石研、山添の元上司に渋川清彦
あ、そういえば、このふたりが共に身内を亡くしていて、グリーフケアの会で顔なじみというのも原作にない設定でした。
 
そして何よりも残念だったのは、
原作ではあれほど盛り上がった『ボヘミアン・ラプソディ』の話が映画版にはまったくなかったこと。
ま、映画版にそんな話を入れたところで、ボラプ未見の人にはどうでもいいですもんね。(^^;
 
こんな会社があれば救われる人がいっぱいいると思う。

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