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『ラブリセット 30日後、離婚します』

『ラブリセット 30日後、離婚します』(英題:30 Days)
監督:ナム・デジュン
出演:カン・ハヌル,チョン・ソミン,チョ・ミンス,キム・ソニョン,
   ユン・ギョンホ,ファン・セイン,イ・サンジン,ウォン・ウー他
 
「『死ぬ死ぬ詐欺』やな、いや、お母さんが死ぬ死ぬ言うてるわけやないし、
先生の『死にます死にます』詐欺か」などとと言っては笑っております。
 
母の余命を聞いたときにはすごく悲しかったし、いろんなことを思い出しては泣いてしまうけれど、
今日明日死ぬかもしれませんと言われてから1カ月近く経つと、気持ちが落ち着いてくる。
「またヤバイときにはすぐに病院から電話がかかってくるし」と映画へ。
この日はなんばパークスシネマまで足を伸ばしてみました。
 
監督は大好きだった『色男ホ・セク』(2019)のナム・デジュン。
カン・ハヌルチョン・ソミンのダブル主演で、たぶん、きっと面白い。
 
富裕な家庭に生まれ、映画プロデューサーとして働くホン・ナラ(♀)は、
弁護士を目指すも司法試験に毎年落ちているノ・ジョンヨル(♂)と交際していたが、
あるときジョンヨルの心にもない言葉が原因で別れる。
 
親が薦める相手と見合いしてすぐに結婚を決めたナラだったが、
挙式当日に別れを悔やむジョンヨルが酒に酔った勢いで会場に乗り込もうとしていたところ、
逆に会場からナラが逃げてくる。こうしてなんとも劇的に結婚したふたり。
 
それから3000日、つまり約8年が経過。
ナラの仕事は順調、ジョンヨルも無事に司法試験に合格して売れっ子弁護士になったというのに、
ふたりの仲は冷え切って喧嘩ばかり。お互いにもう我慢の限界だと離婚を決意する。
 
裁判所へ調停に出向くと、熟慮期間を設けて30日後に離婚を認めると言い渡されるが、
その帰り道、ふたりは交通事故に遭い、記憶喪失となってしまう。
病院で目覚めたときには家族のこともお互いのこともまったく思い出せず。
 
双方の親の仲も最悪だから、離婚は絶対に成立させたい。
記憶喪失のせいでふたりがまた恋に落ちたら厄介だと、
ナラの妹がふたりの家に同居して妙なことにならぬよう監視する役目を仰せつかり……。
 
険悪だったナラとジョンヨルがあらためて恋に落ちる。
展開は見え見えですが、キャストがよくてやっぱり楽しい。
 
特にナラの母親を演じるチョ・ミンスが素晴らしい。
最初にナラが挙式から逃げたときも、そうまでして一緒になろうとしたジョンヨルが無職だとわかったときも、
こぇぇオバハンではあるのですが、なんだかんだでいちばんに考えているのはナラの幸せ。
対するジョンヨルの母親役、キム・ソニョンが憎たらしいのなんのって。
貧乏人の劣等感ありありで、ナラが何かするたびに「金持ちのお嬢さんだから」と嫌みばかり。
こんな姑だったら嫌だなぁ(笑)。
 
ユン・ギョンホほか、ジョンヨルやナラの友人たちも笑わせてくれます。
なんということはないけれど、楽しい気分になることは間違いなし。
 
嫌なところばかり目につきはじめると、つきあいはじめた頃の気持ちは忘れてしまうもの。
思い出したとしても嫌なものは嫌ってこともあるでしょうが(笑)、
映画ならばこんなハッピーエンドが望ましい。

—–

『あの夏のルカ』

『あの夏のルカ』(原題:Luca)
監督:エンリコ・カサローザ
声の出演:阿部カノン,池田優斗,福島香々,浪川大輔,高乃麗,乃村健次,青木和代他
 
今夏公開予定の『インサイド・ヘッド2』の公開記念に、
ディズニー&ピクサーの“泣ける名作”として3作品が劇場公開されました。
3月中旬に『私ときどきレッサーパンダ』(2022)、3月下旬に本作、4月中旬に『ソウルフル・ワールド』(2020)。
いずれもコロナ禍だったからかなのか(どうかは知らないけれど)劇場公開が見送られて今に至る。
3作品とも観たかったのに、上映期間が著しく短くて、『私ときどきレッサーパンダ』は見逃す。
本作はなんとか観ることができました。109シネマズ箕面にて。
 
舞台は1950年代の北イタリア
海底で暮らすシーモンスターの少年ルカは、海の上には行かないよう、両親から厳しく言い渡されていた。
 
しかしあるとき海底に落ちてきたものを見てルカは好奇心に駆られる。
そんなルカの手を引っ張って海の上へと連れ出したのは、やはりシーモンスターで同世代の少年アルベルト。
毎日両親の目を盗んで海の上へと遊びに行くのがたまらなく楽しい。
 
ところがついに両親にバレてしまい、お仕置きとして深海に住む伯父に預けられることに。
悲しみと怒りでいっぱいになり、海を飛び出したルカ。
アルベルトは、向こうに見える港町ポルトロッソまで行けば両親も追いかけてこないだろうと言う。
 
ポルトロッソへ泳ぎ着いたルカとアルベルトは、少女ジュリアと出会う。
ジュリアがまもなく開催されるトライアスロンに出場する話を聞き、
ルカとアルベルトは一緒にチームを組んで出ることをジュリアに提案するのだが……。
 
洋画はアニメでも字幕で観る派ですが、これは吹替版しか上映なし。
そこはいささか不満ではあるけれど、とても楽しい物語でした。
 
シーモンスターは陸地に出ると人間の姿に変わります。
水に濡れさえしなければ、見た目も中身も人間とまったく変わりません。
ポルトロッソではシーモンスターが恐ろしいものと思われていて、懸賞金がかけられています。
だから、トライアスロン競技のうち、水泳はジュリアに任せ、
自転車漕ぎはルカ、パスタの大食いはアルベルトが担当することに。
パスタの大食いというのがいいですよね(笑)。しかもジュリアの父親がつくるパスタ料理が美味しそうで。
 
知らなかった世界に興味を持ち、ジュリアにあれこれ尋ねるルカ。
アルベルトはルカを取られるようで面白くない。
でも、喧嘩して、トライアスロンにひとりで出たルカのピンチにアルベルトが現れるシーンが最高です。
 
偏見が覆されるところも教育的に良い
子どもさんと観てほしい作品です。

—–

『アイアンクロー』

『アイアンクロー』(原題:The Iron Claw)
監督:ショーン・ダーキン
出演:ザック・エフロン,ジェレミー・アレン・ホワイト,ハリス・ディキンソン,スタンリー・シモンズ,
   リリー・ジェームズ,モーラ・ティアニー,ホルト・マッキャラニー,マイケル・ハーネイ他
 
この日の朝、が入院中の病院から電話があり、意識が低下していて危ないとのこと。
慌てて病院へ駆けつけましたが、私が到着したときには意識回復。
「今日はお釈迦さんの誕生日なんやて。お母さん、お釈迦さんに引かれて行くんかと思ってたのに」と言ったら、
母が「私もそう思ってたんやけど」と笑う。まったく、すごい生命力です。
 
そんなわけで映画を観に行っても大丈夫だろうと、109シネマズ大阪エキスポシティへ。
 
私はプロレスに詳しくないので、名前を聞いてもわからないのですが、
フリッツ・フォン・エリックは1960年代には日本でも活躍した伝説的プロレスラーなのだそうです。
本作は彼とその息子たちを描いた伝記ドラマで、プロレスファンでなくても楽しめます。
 
1980年代初頭のテキサス州
かつて“アイアンクロー(=鉄の爪)”の異名を取っていたプロレスラー、フリッツ・フォン・エリックは、
今はプロモーターとなり、息子たちを世界最強に育て上げるべく指導している。
 
エリックとその妻ドリスの間にはもともと5人の男児がいたが、長男ジャック・ジュニアは幼少期に事故死。
次男ケビン、三男デビッドがデビューを飾る。
四男ケリーはアメフトと円盤投げのスター選手でありながらプロレスの資質も十二分。
五男マイクはバンド活動に興味を惹かれつつ、プロレスの練習も強いられてまずまず。
 
ケビンは逆ナンパされ、獣医として開業を目指すパムと結婚、子どもも授かって順風満帆に思われたが、
エリックの期待がいちばん高かったデビッドが全日本プロレスの興行で来日中に腸破裂で急死。
デビッドの穴を埋めるべくプロレスに絞ったケリーは見事期待に応えたが、バイク事故で右足首より下を失う。
また、プロレスデビューしたマイクも、毒素性ショック症候群に見舞われ、後遺症に苦しんだのち、服薬自殺。
やがてリングに復帰したケリーも拳銃で自らを撃ち抜いて死んでしまい……。
 
よくもこれだけ男の子ばかり生まれたものだと思いますが、この兄弟、本当に仲良し。
兄弟のなかでも父親が寄せる期待には多少の差があるから、
そのせいでお互いに嫉妬して気持ちがザワザワしたりもするけれど、
常に一緒に過ごして、一緒に試練を味わい、助け合ってきた兄弟。
 
みんな好きでプロレスを始めたとは思えません。
でも父親の跡を継ぐことを当たり前だと思っていて、マイク以外は厳しい練習に異議を唱えることもない。
エリックは毒親と紙一重で、力を以て子どもたちを押さえ込もうとしているけれど、
一定の時期まではそれに逆らうことなんてまったく考えていないのですよね。
 
自らが家族を持ったとき、当たり前だと思ってきた家族のイメージが歪だと気づく。
呪われた家族としか思えなくなって、ケビンは妻と向き合えなくなります。
やっと向き合えるようになったラストがいい。
 
次々と亡くなってしまった兄弟たち。
空の向こうにこんな世界が待っていたら幸せだと思いませんか。
 
それにしてもザック・エフロンの肉体改造ぶりには驚いたなぁ。
『ハイスクール・ミュージカル』(2006)の頃の彼はもういない。

—–

『パスト ライブス/再会』

『パストライブス/再会』(原題:Past Lives)
監督:セリーヌ・ソン
出演:グレタ・リー,ユ・テオ,ジョン・マガロ他
 
イオンシネマ茨木にて、『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』の次に。
 
監督は韓国系カナダ人のセリーヌ・ソン。
12歳のときに家族と共にソウルからトロント移住、その後ニューヨークへ渡ったという経歴の持ち主。
本作は長編デビュー作ながら、各国の250近い映画賞でノミネートされたうち、3分の1ほど受賞。
なんとも凄いことなのでしょうが、私にはその凄さがよくわかりませんでした。(^^;
 
ソウルで同じ小学校に通う少女ナヨンと少年ヘソン。
成績の1番と2番を常に競うふたりは互いに恋心を抱く両想い同士。
しかしナヨンは一家でカナダへ移住することになり、離れ離れに。
 
12年後、ニューヨークで一人暮らしをしていたナヨンは、
映画関係の仕事に就く父親のSNSにヘソンが書き込んでいることに気づく。
ヘソンは「幼馴染のナヨンを探している」と書いているではないか。
 
懐かしさからヘソンにメッセージを送るナヨン。
初恋の相手からのまさかの連絡に喜びを隠せないヘソン。
聞けば、ずっとナヨンを探していたらしいが、
今は英語名のノラを名乗るナヨンにたどり着くことができなかったのだ。
 
ニューヨークとソウル、スカイプで会話を楽しむふたりだったが、
時差もあったりしてもどかしく、お互い別の人とつきあうように。
 
さらに12年後、小学校時代の別れから24年が経過。

36歳になったナヨンは、作家のアーサーと結婚してグリーンカードを手に入れ、
劇作家として充実した毎日を送っていた。
ところが、ナヨンへの想いを断ち切れないヘソンがニューヨークへやってきて……。
 
24年後の再会。設定は素敵です。
会えばやっぱり初恋の相手だと思う。
けれど、すっかりアメリカに馴染んでいる彼女と比較して、
ニューヨークまでやってきた彼は、とても「韓国人」。
アーサーの大人の対応が素晴らしいから、そこが余計に際立つ。
英語もたどたどしいヘソンが頑張る姿はちょっと痛々しさすら感じます。
 
と書いていて気づきましたが、たぶん私がそこまで良い作品だと思えなかったのは、
主演のふたりがあまりタイプでなくて、観ていて楽しくなかったせいだと思っていたのですが、
たぶん本作を観ているとつらい気持ちになるのでしょうね。
時が流れていることを認められずに生きてきて、彼女と会ってそれを認めざるを得なくなる。
アーサーが善人なだけに、文句のひとつも言えなくて。
帰国の途につくヘソンの表情を思い返すと寂しい。
 
これも「縁」。

—–

『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』

『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』(原題:Call Jane)
監督:フィリス・ナジー
出演:エリザベス・バンクス,シガーニー・ウィーヴァー,クリス・メッシーナ,ケイト・マーラ,
   ウンミ・モサク,コーリー・マイケル・スミス,グレイス・エドワーズ,ジョン・マガロ他
 
『オーメン:ザ・ファースト』を観た後、と面会して実家を少々片付けてから、
再びイオンシネマ茨木へ戻ってこの日に上映開始の作品を2本ハシゴ。
と言っても、本作は数週間前からシネ・リーブル梅田で上映されていて、
梅田まで行かなきゃ観られないのかと思っていたら、茨木でも上映してくれてラッキー。
どういう配給になっているのだか知りませんが、イオンシネマはこんなこともしてくれるから有難い。
 
しまったなぁと思ったのが、時代が『オーメン:ザ・ファースト』とかぶること。
しかもあっちは悪魔の子の出産話とはいえ、こっちも妊娠にまつわる話だから、
こうして思い出しながら書いているうちに、あれれ、どっちの話だったっけと混乱するはめに。
 
あっちは1971年の話でしたが、こっちは1968年の話。
1960年代から1970年代初頭まで実在した団体“Jane Collective”をモチーフにしているそうです。
監督は『キャロル』(2015)の脚本で第88回アカデミー賞にノミネートされたフィリス・ナジー。
 
アメリカ・シカゴの富裕な家庭に暮らす主婦ジョイ。
夫のウィルは弁護士で、多感な年頃を迎えた娘シャーロットとの関係も良好。
ウィルの同業者が集まる会合は退屈きわまりないものの、
隣家の未亡人ラナとカウチで昼間から優雅に酒を飲み、愚痴り合って発散。
何ひとつ不自由のない毎日を送っている。
 
しかし2人目を妊娠して以来、しばしば体調不良に陥る。
診察を受けると、心臓の疾患に妊娠が悪影響を及ぼしているとのこと。
ジョイが助かるには中絶が唯一の治療方法だと説明を受ける。
 
1960年代のアメリカでは人工妊娠中絶は違法。
のっぴきならない事情がある場合は、病院の医師たちによって審議される。
ウィルと共に審議会の席に呼ばれたが、ジョイの気持ちなどどこへやら。
母体がどうなろうと中絶は許さないと言われたも同然。
 
途方に暮れるジョイに何人かの医師は親身になってくれるが、
こっそり紹介された闇医者はその建物自体が治安の悪い地区にあっておののく。
逃げ出そうとしたときにバス停でふと目にした1枚のチラシ。
「妊娠に支援が必要な人はジェーンに電話を」と書いてある。
 
意を決して電話をかけたジョイは、安全な中絶手術を提供する地下組織“ジェーン”の存在を知る。
自分の中絶手術が終わればそれで終わりのはずだったが、
ジェーンの創設者バージニアに半ば強引に誘われ、運営を手伝うことになり……。
 
中絶を望む理由は問いません。望まない妊娠をした人に中絶を施す。
無料では運営が立ち行かないから、600ドルを支払える人が対象。
ジョイのように難なく払える人もいれば、どうにも払えない人もいます。
金を払えば施術してくれる男性医師ディーン頼みでやってきましたが、
ディーンが実は医師免許を持っていないことを知ったジョイが脅しに近い形で施術方法の指南を希望。
施術できるようになったジョイが以降は執刀するように。
活動期間中、ひとりの死者も出していないことが誇りだとありました。
 
お腹の中の子をあきらめなければいけないのはつらいけれど、
子どもを産めばその母親が死んだって知ったこっちゃないというのは変だろうと思うジョイ。
中絶が許されるかどうかを審議するのは全員男性医師だというのもおかしい。
 
自身の中絶後に夫と娘に隠れてジェーンの運営を手伝いはじめますが、
今まで家事完璧だった妻が出歩くようになり、冷凍食品を多用しだす。
この家庭は崩壊するかと思いきや、いつしか娘は母の活動に理解を示し、
犯罪に手を貸していると嘆くばかりだった夫もやがて妻を援護する側に。
この辺りは事実かどうかはわかりませんけれども、良い話でした。
『あのこと』(2021)のような悲劇を招かないためにも。

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