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『おいしい給食 Road to イカメシ』

『おいしい給食 Road to イカメシ』
監督:綾部真弥,田口桂
出演:市原隼人,大原優乃,田澤泰粋,栄信,六平直政,いとうまい子,高畑淳子,小堺一機,モーリー・ロバートソン他
 
封切り日にイオンシネマ茨木にて。
 
ひそかに楽しみにしている作品であると同時に、弟のことを思い出してちょっぴり悲しくなる作品でもあります。
本作は劇場版の第3弾。
どうでもいいことだけど、前作まではタイトルの前に「劇場版」と付いていたのに今回はそうじゃないのは何故だ。
 
北海道・函館の地に降り立った中学教師・甘利田幸男(市原隼人)。
忍川中学校で彼が待ちわびているのは、名物イカメシが給食の献立に登場する日。
 
給食をこよなく愛する甘利田のライバルは、給食マニアの生徒・粒来ケン(田澤泰粋)。
甘利田は自分こそが最高の給食の食べ方をしていると思っているのに、
粒来の食べ方のアイデアを見れば、いつも敗北感を味わう。くそっ。
 
街頭では地元出身の町長・等々力宗太(石黒賢)が食育を謳う日々。
等々力はフードロスを嘆き、給食の完食を目指すことを公約にする。
美味しくなくても食べ物を残すなと演説する等々力。
その場を通りかかった粒来が反対の叫び声を挙げ、周囲は一時騒然。
居合わせた甘利田が粒来を連れて立ち去る。
 
この後、等々力は甘利田と話す機会を持ちたいと言い出す。
給食完食のモデル校に認定された忍川中学校では、
給食は楽しく食べるものではないという等々力の意見に沿い、
机をくっつけることはなく授業のときのように前を向いてひとりで。
何よりも楽しかった給食の時間が会話も許されない暗いものとなるのだが……。
 
食べ物を残すのはもったいない、わかります。
等々力は、世の中には食べたくても食べられない人もいると言って、
テレビ取材の入る日にわざわざ不味いものばかり出す。
パサパサのコッペパン、かちかちなうえに辛すぎる塩鮭、脱脂粉乳。
それを前を向いて無言で食べろと言われてもできるわけがない。
 
給食がつらいのではなくて、給食の時間がつらい生徒だっている。
甘利田に匹敵する給食愛を持つ粒来のアイデアは本当に素晴らしい。
美味しくないものを美味しく、そして楽しく食べる工夫。
 
自分は別に給食なんてどうでもいい風を装う甘利田のバレバレなところにはいつも笑わされます。
市原隼人のこういう演技はやりすぎかなと思う半面、とても楽しい。
 
「豊かであること」とは何か。
ずっと続いてほしいシリーズです。1980年代後半が舞台だから、髪型なんかも懐かしくて。
シンプルに生きることの大切さ。
 
ひとつだけ苦言を呈するならば、忍川中学校の校歌の日本語に誤りがある。
「押しも押されぬ」は間違いよ。「押しも押されもせぬ」だから。
校歌には正しい日本語を使ってほしいと思うのでした。

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『SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’ THE MOVIE』

『SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’ THE MOVIE』(原題:SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’ THE MOVIE)
監督:パク・ジュンス
 
何の割引もない木曜日、実家の片付けで疲れているからあまり遅くなりたくない。
1本だけ観て帰ろうと思ったら、これしか観るものがないじゃあないですか。
でも去年観た『BTS: Yet To Come in Cinemas』(2023)が良くて、BTSが大人気なのは当然だと思いました。
観るものがないから観ようというよりは「観たい」寄り。
 
劇場の選択肢はふたつ。
109シネマズ大阪エキスポシティならば19:50から。109シネマズ箕面ならば18:15から。
そりゃ早く帰れる後者を選びたいところですが、箕面は“ARMY BOMB応援上映会”なんです。
私はARMY(=BTSのファン)とは言えないし、応援上映では浮くよなぁ。
と思いつつ、まぁいいや、ファンの人の応援ぶりを見るのも楽しいしと箕面を選択。
 
行ってみたら、小さめのシアターのエクゼクティブシート5席は埋まっている。
そしてそのすぐ後ろの席の中央に客2人。
私はずっと後ろの席の端っこでおとなしく。客は合計8人でした。
 
BTSのヒップホップ担当、リードラッパーのSUGAによる単独ワールドツアーの模様。
世界10都市、全25公演の最後の公演がフィルムに収められています。
BTSのメンバー3人もゲスト出演していて、ファンなら悶絶というところでしょうか。
 
応援したくて来ている人ばかりだと思うのですが、人数が少ないから恥ずかしいのか、掛け声も拍手も無し。
なにしろ私が前回行った応援上映は『カラオケ行こ!』だからギャップがありすぎる。
きっと誰かひとりが声を出せば、それにみんな乗れそうな気がします。拍手ぐらいは私がすればよかったかなぁ。
 
ヒップホップって歌詞もわからないし、一緒に歌いづらい。
でも一緒に歌えなくたって、合いの手を入れるタイミングやルールみたいなものがあるらしい。
次に行くときは少しぐらい曲を予習しておきたいと思います。
 
なんにせよ、綺麗な人を見るのは楽しい。
SUGAはちょっと松田龍平に似ていると私は思っているのですが、たぶんファンに言ったら怒られますよね。(^^;

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『マイ・スイート・ハニー』

『マイ・スイート・ハニー』(英題:Honey Sweet)
監督:イ・ハン
出演:ユ・ヘジン,キム・ヒソン,チャ・インピョ,チン・ソンギュ,ハン・ソナ他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『キラー・ナマケモノ』の次に。
 
脚本はあのイ・ビョンホンじゃないほうのイ・ビョンホン。
『サニー 永遠の仲間たち』(2011)の脚本家でもあり、
なんてったって大好きだった『エクストリーム・ジョブ』(2019)の監督でもあります。
本作のイ・ハン監督も『ワンドゥギ』(2011)や『無垢なる証人』(2019)を撮った人だし、
この監督と脚本家のコンビなら期待が増します。
 
とはいうものの、主演はお世辞にも男前とは言えない、どちらかと言えばブサイクなユ・ヘジン
恋愛ものなんて絶対にあり得ないイメージの彼主演のラブストーリーを撮っちゃうとは。
『LUCK-KEY/ラッキー』(2016)や“コンフィデンシャル”シリーズ同様に笑わせてくれることでしょう。
 
お菓子が大好物のチャ・チホは天才的な味覚を持ち、製菓会社に研究員として勤めている。
彼が開発したお菓子は大ヒットを連発、会社は彼のアイデアに頼っているが、
高給取りにも関わらず、彼の毎日は会社と自宅を往復するだけで、彼女いない歴45年。
ただお菓子を食べることができればそれで幸せだから、悲しくもなんともない。
 
ある日、兄弟でありながらチホとは真逆の生活を送る兄ソクホが帰ってくる。
ならず者のソクホは多額の借金をチホに返済するように言いつけ、チホは金を払いに出かける。
そこでチホのことを見かけたシングルマザーのイ・イルヨンは、
チホがよその子どもに優しく接する姿に一目惚れ。
 
すぐさまチホを追いかけ、なんとか恋に発展する機会を掴もうとするが、
生まれてこの方、女性にアプローチされたことなど皆無のチホはイルヨンの気持ちがわからない。
チホが栄養失調気味だと知ると、イルヨンはまずは「食べ友」になろうとチホを誘い……。
 
イルヨン役にはキム・ヒソン。美人です。ユ・ヘジンと並ぶと美女と野獣(失礼、すみません)。
これだけ可愛ければアラフィフになっても引く手あまただろうに、男運は無し。
常に前向きなところが良い。それを娘は嫌がっているわけですが、まったく意に介しません。
 
ソクホにはイケメンのチャ・インピョ。
スーツ姿のイメージしかなかったのですが、こんなチャラい見た目の役も似合うんですね。
軽く振る舞う彼の悲しい過去を盛り込むのが韓流。
どうしてチホはこんなろくでなしの兄貴のいいなりなんだよと思うけれど、
事情が明かされるとグッと来ます。
 
あ、イルヨンの元夫(というのか未婚のままイルヨンは出産したらしいけど)役として
チョン・ウソンがカメオ出演しています。彼を見られて得した気分。
ほかにもエラく美形の俳優が脇の脇役で出演していると思ったらイム・シワン
女性アイドルグループ“Secret”(知らんけど)の元メンバー、ハン・ソナも超かわいく、
チホが立ち寄る薬局の薬剤師役にはヨム・ヘランが扮していて凄く可笑しい。
 
アラフィフ男の初恋の物語、いいじゃあないか。
やっぱりイケメンを見るほうが楽しいのは確かだけど(笑)。

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『キラー・ナマケモノ』

『キラー・ナマケモノ』(原題:Slotherhouse)
監督:マシュー・グッドヒュー
出演:リサ・アムバラヴァナー,シドニー・クレイヴン,アンドリュー・ホートン,オリヴィア・ルワイア,
   ビアンカ・ベックルズ=ローズ,ティフ・スティーヴンソン,ステファン・カピチッチ他
 
スルー予定だったのですが、なんとなく観に行ってしまいました。
なんばパークスシネマにて。
 
原題の“Slotherhouse”は「屠殺場」の意の“slaughterhouse”と「ナマケモノ」の意の“sloth”をもじった造語らしい。
また、『スローター・ハウス/13日の仏滅三隣亡』(1986)という日本未公開のB級ホラーコメディ作品がありまして、
それになぞらえたもののようでもあります。
アメリカ作品の邦題に「仏滅三隣亡」と付けるセンスが素晴らしくないですか(笑)。
 
ナマケモノって、生涯の大半を樹木にぶら下がって過ごし、
週に1回程度のみ、排泄のために地上に降りてくるのだそうです。
機敏に動けないから鷲などには簡単に捕食され、ストレスに弱くて温度変化にも敏感。
でも泳ぐのは得意とウィキにあります。って聞いても、愛着も何も湧きませんけれど。(^^;
 
さて、そんなナマケモノが殺人モンスターと化して暴れ回るって、もう観る前から絶対B級かC級ですよね。
でもなんとなくワクワクするぅ。
 
女子大生のエミリーは、女子寮生たちの社交クラブ“シグマ・ラムダ・シータ”に所属。
クラブの会長はここのところ2年連続でブリアナが務めている。
その華やかな存在に憧れる大半の寮生たちは、ブリアナのご機嫌取りに必死。
 
かつてはエミリーの亡くなった母親も会長だった。
エミリーだって会長になりたいが、ブリアナに太刀打ちできるわけもなくてあきらめ気味。
 
そんな折、モールで出会った男オリヴァーが妙な話を持ちかけてくる。
人気者になるためには注目される要素を持てばいいのだと言う彼は、
自分が所有している珍しい動物“ナマケモノ”をペットにすれば夢が叶うと。
 
しばし考えた末に確かにそれは魅力的な話だと思ったエミリーは、
翌朝、ナマケモノを購入するためにオリヴァーのもとを訪ねる。
ところがそこにオリヴァーの姿はなく、ナマケモノが愛らしい表情で佇んでいた。
 
ナマケモノを連れ帰ったエミリーは、親友のマディソンが「野生に戻すべきだ」と主張するのも聞かず、
このナマケモノを女子寮のマスコットにすることを皆に提案。
アルファと名付けたナマケモノの人気に比例してエミリーも瞬く間にスターとなるのだが……。
 
もうホント、笑っちゃいます。
冒頭はパナマの密林の中、ワニを返り討ちにしたナマケモノが密猟者に捕まるシーン。
 
アルファの動きはカクカクしていて、全然リアルじゃありません。
だから、一応はホラーというものの、まったく怖くない。
とっても賢い(笑)アルファは、ブリアナの手先が自分を消しに来たと知るや惨殺します。
こんなに次から次へと人が消えればおかしいと思うはずなのに、
あの子どこへ行ったのかしら、実家へ帰ったらしいよなんて会話が。
いやいや、実家へ帰ったって、誰が連絡してん!?
 
アルファはパソコンもスマホもすぐに使えるようになり、SNSにも自ら投稿。
承認欲求すらありそう。
 
最後は女子寮がまさしく「スローターハウス」と化します。
誰にも薦めないけど、私は嫌いじゃありません。
こんな阿呆な映画を観に行っている自分のことも好きになれます(笑)。

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『ミッシング』

『ミッシング』
監督:吉田恵輔
出演:石原さとみ,青木崇高,森優作,有田麗未,小野花梨,小松和重,
   細川岳,カトウシンスケ,山本直寛,柳憂怜,美保純,中村倫也他
 
イオンシネマ茨木にて暗い暗い2本ハシゴ。
1本目大森立嗣監督、2本目のこの吉田恵輔監督ともに、ハッピーエンドは望めません。
精神状態のよくない人は観ないほうが良いと思います。
 
静岡県沼津市に暮らす森下沙織里(石原さとみ)と豊(青木崇高)が授かった一人娘・美羽(有田麗未)。
目の中に入れても痛くないほど可愛がっていたが、あるとき失踪する。
 
その日、沙織里は大好きなバンドのコンサートに行くため、
弟の圭吾(森優作)に美羽を預けて出かけていた。
公園で遊んだ後に美羽を徒歩5分の距離の自宅へ帰らせたという圭吾。
しかし豊が帰宅しても美羽の姿はなかった。
 
6歳だった美羽が失踪してから半年が経ち、沙織里と豊は街頭でビラを配り、
ローカルテレビ局の砂田(中村倫也)に依頼してその様子を流してもらうなど懸命。
ところが当日沙織里がコンサートに行っていたことがわかると、SNSは炎上。
また、圭吾を無理やり取材に応じさせたところ、圭吾まで嫌がらせを受けるように。
 
何の手がかりもないまま2年が経ち、同市内でまた女児失踪事件が起きる。
母親の交際相手が怪しいと言われるなか、沙織里は同一犯の仕業ではないかと、
その女児を捜すためのビラを作成し、美羽も見つけられればと思うのだが……。
 
吉田監督作品は、大森監督に負けず劣らず暗い。
私が初めて吉田監督を知ったのは『机のなかみ』(2010)で、それは暗くなかったのに、
いまや撮る作品すべて暗い。というのは言い過ぎですね(笑)。
でも、『机のなかみ』も含めて明らかなハッピーエンド作品というのは見当たらない。
 
本作の石原さとみの演技は鬼気迫っていて、楽しいものではありません。
娘をひとりで帰らせた弟を責め、自分よりも落ち着いて見える夫のことも責める。
だけど本当は、自分がコンサートに行ったせいだという思いが消えない。
子育てに明け暮れて、2年ぶりに行ったコンサート。
たまには息抜きしたっていいじゃないかと思いつつも、罪の意識が消えません。
 
これだけヒステリックに責め立てられたら離婚も不思議ではないのに、耐えて妻に寄り添う夫。
青木崇高が宿泊先の喫煙所で別の家族の姿を見て涙をこらえる表情は堪らない。
 
警察に行けば「お気持ちはわかりますが」と言われる。
愛娘がどこに行ったかわからない人の気持ちなんて、わかるわけないですよね。
「気持ちはわかる」は同じことを体験した人しか言ってはいけない言葉。
 
こうした親の気持ち、そしてそれを取り上げるテレビ局の視聴率至上主義
「面白くするつもりはない、事実を撮りたいだけだ」と言う砂田に、
警察官が言う、「事実が面白いんだよ」。だから報道は過熱する。
そして、視聴者は飽きるのも早い。進展がなければ忘れられるだけだし、所詮他人事。
 
失踪した子どもが見つかってよかったぁというエンディングを期待している方は鑑賞不可。
『チェンジリング』(2008)のことも思い出します。

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