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『ブラックベリー』

『ブラックベリー』(原題:BlackBerry)
監督:マット・ジョンソン
出演:ジェイ・バルシェル,グレン・ハワートン,マット・ジョンソン,リッチ・ソマー,マイケル・アイアンサイド,
   マーティン・ドノヴァン,ソンウォン・チョ,ソウル・ルビネック,ケイリー・エルウィズ他
 
2023年のカナダ作品。
NetflixでもAmazonプライムビデオでも視聴可能ですが、後者は有料。
帰国中のダンナが運転免許を更新するため門真まで行くと言うので送って行き、
駐車場で待っている間にスマホで鑑賞しました。
 
“BlackBerry”はカナダのブラックベリー社(旧リサーチ・イン・モーション社)が開発した元祖スマートフォン。
実話が基となってはいるものの、フィクションの部分もかなり入るモキュメンタリー
それにしてもよくもこんなに面白い作品に仕立て上げたものですねぇ。
監督は本作でダグ役を演じているマット・ジョンソン。この人が監督とは思いもよらず(笑)。
 
カナダ・オンタリオ州のウォータールー。
マイク・ラザリディスとダグ・フレギンは機械と映画に入れ込む立派なオタク
ふたりで立ち上げた会社リサーチ・イン・モーションの社員はほかもオタクばかり。
携帯電話にコンピュータを載せることを思いつき、
メールの送受信可能なキーボード付き携帯の案を大手企業に持ち込むが、良いようにあしらわれる。
やっと契約にこぎつけたはずの企業からはさっぱり金が振り込まれず。
 
このままではニッチもサッチもいかないとマイクが困っていたところ、
かつての売り込み先にいたジム・バルシリーが突然訪ねてくる。
 
ジムはマイクとダグの以前のプレゼンを徹底的にこき下ろすが、
ジム自身をリサーチ・イン・モーションのCEOに就任させればこの会社をなんとかしてやると言う。
あまりに尊大な態度にダグは抵抗。3人の共同CEOということでジムも手を打つ。
その後はジムの凄まじい営業力により、ブラックベリーと名付けられたそれは世界を席巻するのだが……。
 
カナダでは上回る者がいないとマイクが主張するほどの頭脳が揃うリサーチ・イン・モーション。
しかもみんなお気楽で、金が入ってこなくても実に楽しそう。
毎週“ムービーナイト”なんてイベントを設けて、社内で映画会を楽しんでいます。
マイクも最初はそれでよかったはずなのに、ジムの指示に従って動くうち、
ダグをはじめとする社員たちの能天気ぶりに苛立ち、目の色が変わって何かに取り憑かれたかのよう。
 
スマホがこんなふうに生まれたのだと思うと面白いし、
自分では何も開発せずとも大儲けしようとしている人はいっぱいいることに驚きます。
もちろん金を手にする人にはそれなりの労働と苦心が伴っているのでしょうけれど。
 
どこで手を引くべきか。後日談がまた滑稽で物悲しい。
キーボードを叩く音にこだわったマイク。その音も今は「ノイズ」とみなされる世の中です。

—–

『グレート・スクープ』

『グレート・スクープ』(原題:Scoop)
監督:フィリップ・マーティン
出演:ビリー・パイパー,ジリアン・アンダーソン,ルーファス・シーウェル,キーリー・ホーズ,ロモーラ・ガライ,
   リチャード・ゴールディング,アマンダ・レッドマン,コナー・スウィンデルズ,チャリティー・ウェイクフィールド他
 
2024年のイギリス作品。先々月よりNetflixにて独占配信中です。
 
「実話を基にした創作」と冒頭にロップが出ます。
そういえばこんな禍々しいニュースで世界中に激震が走ったのだったなぁと思い出す。
 
2000年代にアメリカ人実業家のジェフリー・エプスタインが児童買春の罪で逮捕されました。
謎の大富豪と言われていたエプスタインの交友関係は華やかで、
各国の首相やら王太子、そして英国王室のヨーク公アンドリュー王子も含まれていました。
 
性犯罪者のエプスタインが釈放された後もつきあい続けたアンドリュー王子について、
自身も未成年だった少女と性交渉を持ったのではないかという疑惑が取り沙汰され、
2019年にBBCが『ニュースナイト』という番組で独占インタビューをおこなうことに成功。
そこに至るまでの模様が描かれています。
 
原作は、インタビューの権利を勝ち取った編集者サム・マカリスターの“Scoop”。
本作ではビリー・パイパーが演じています。
サムは自分の使命は「インタビューに応じない人を引っ張り出すこと」だという信念を曲げません。
それができれば誰になんと言われようがかまわないという態度で、遅刻も日常茶飯事。
番組は視聴率さえ取れれば何でもいいというスタンスで、サムをよく思わない人と揉めます。
 
しかし、サムがアンドリュー王子の個人秘書アマンダとの接触に成功し、
アンドリュー王子へのインタビュー実現が見えてくると、皆が興奮。
世紀のスクープの現場に自分たちが居合わせることを想像するわけです。
 
アンドリュー王子がインタビューに応じるに当たり、
国民の疑念を払拭すべく答え方をレクチャーするアマンダやブレーンたち。
シナリオどおりに答えた王子を見て安堵するけれど、
こんな答えが誠意あるものに映っていると思うこと自体がおかしい。
このインタビューをきっかけに、公的地位をすべて失うこととなったアンドリュー王子。
 
ルーファス・シーウェルがあまりにもアンドリュー王子に似せられていてビックリ。
 
見応えがあります。

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『インフィニット・ストーム』

『インフィニット・ストーム』(原題:Infinete Storm)
監督:マウゴジャータ・シュモフスカ,ミハウ・エングレルト
出演:ナオミ・ワッツ,ビリー・ハウル,デニス・オヘア,パーカー・ソーヤーズ他
 
ダンナが1週間帰国中のため、私は好き勝手に出かけられずにいます(笑)。
劇場通いもできないから、家で映画を観る。
 
2022年のイギリス/ポーランド/オーストラリア作品。
ナオミ・ワッツ主演のうえに私の大好きな雪山ものなのに知らんがなと思ったら、劇場未公開の配信のみ。
Netflixで観ました。Amazonプライムビデオでも視聴可能ですが有料。
 
監督はおふたりともポーランド出身。
ミハウ・エングレルトはこれまで主に脚本や撮影を担当してきた人のよう。
私が観たことのある作品では『コングレス未来学会議』(2013)の撮影がこの人でした。
 
本作は実話に基づく
本人が執筆した体験談ではなく、タイ・ガニエという人が書いた記事、
The Last Traverse: Tragedy and Resilience in the Winter Whites”の映画化とのこと。
作家かジャーナリストなのかなと思いましたが、ネットで調べて直訳したところ、
ニューハンプシャー州の地方自治体にサービスを提供する、
公的機関のリスクプールであるニューハンプシャー州公共リスク管理取引所の最高経営責任者」ですと。
余計意味わからん。(^^;
とにかく大自然に関わって危険を説いている人、という認識で良いですか。
 
アメリカ・ニューハンプシャー州、ワシントン山の麓。
ひとり暮らしのパム・ベールズは捜索救助隊に属する中年女性で、
ワシントン山に登っては幼くして亡くなった娘2人のことを想いつづけている。
 
ある日の天気予報は大荒れ。
パムの旧友であり同僚でもあり、今は登山客向けのダイナーを経営するデイヴは、
今日は山に登るのをやめておくべきだと諭すが、パムが聞かないのも知っている。
デイヴに見送られていつものとおりワシントン山頂を目指すパム。
 
駐車場には車が2台。1台は昨日までキャンピングしていたカップルで、帰るところ。
もう1台は空っぽで、誰も見かけていないとそのカップルも言う。
いざ山に登りはじめると、スニーカーらしき足跡が残っていてパムはビックリ。
冬の山にスニーカーで登ろうとするって、どんな奴なんだ。
 
途中、予期せぬ危険に見舞われながらもなんとか山頂にたどり着いたパムは、
そこでまるでビーチに行くかのごとく軽装備で意識朦朧としている男を発見。
まだ息はしていることがわかり、パムは彼を救出すると決める。
自分の名前も言おうとしない彼に、パムは「ジョン」と名付けて下山を開始するのだが……。
 
スニーカーで来ている奴なんて正気なわけがないし、
自分よりガタイのいい男をパムが連れて帰れるのかどうか。
フィクションなら、このジョンが急変して襲いかかってくるのではなんて思うところです。
でもそうはならない。そうはならないから、地味といえば地味(笑)。
 
取り立てて大変なことが起こることもなく、ただひたすら麓を目指します。
あ、道中、ジョンが川に落っこちたりするのは大変か。
 
ジョンは生きる意欲を失っている様子で、投げやりなところを見せるわりには、
思い出したように家に帰りたいと泣きわめくし、困ったもんです。
 
パムの愛娘たちがどうして亡くなったのかは想像がつきますが、
すべて明かされるのは最後の最後。
途中のパムと娘たちが幸せそうに暮らすシーンは切ないものがあります。
 
山もののダイナミックさには欠けますが、私はやっぱり山もの大好き。
同様の人には鑑賞をお勧めします。

—–

『ジガルタンダ』

『ジガルタンダ』(原題:Jigarthanda)
監督:カールティク・スッバラージ
出演:シッダールト,ボビー・シンハー,カルナーカラン,ラクシュミ・メノン,アードゥカラム・ナーレン,ナーサル他
 
2014年のインド作品。
これを観られる劇場は全国探してもそうそうありません。
もちろん塚口サンサン劇場ならば引っ張ってきてくれる。
1週間限定だったから、この機会を逃すものかと思って駆けつけました。
 
主人公の名前はカールティク。
カールティク・スッバラージ監督とあえて同じ名前にしているのですね。
スッバラージ監督は当時タミル語映画界の俊英ともてはやされた人で、本作は彼の出世作となり、
ギャング役のボビー・シンハーはインドの主たる映画賞で助演男優賞を総なめにしたそうです。
 
映画監督を目指すカールティクはショートフィルムを制作し、新人発掘番組に応募。
審査員を務める著名な映画監督ムキルから糞ミソに言われてセミファイナルで落選しかけたところ、
もうひとりの審査員でプロデューサーのサンダルからはベタ褒めにされる。
実はサンダルは、自身と犬猿の仲のムキルに対抗したかっただけで、
カールティクを評価していたわけではなかったが、勢いでカールティクを監督にして長編映画を撮ると宣言。
サンダルの言葉を真に受けたカールティクはやる気満々。
 
カールティクが書いた脚本に興味などないサンダルは、映画を撮らせる条件として、
このテーマで映画を撮り上げて、なんとしてでも映画監督として認められたい。
カールティクは親友のオーラニに協力を頼み、南インドのマドゥライに向かうと、
悪名高きギャングのボス、セードゥについて調べはじめるのだが……。
 
寝不足で観に行ったせいもあり、最初の30分くらいは眠気に誘われるときもありましたが、
話が進むにつれて俄然面白くなります。
 
セードゥ本人に取材するのは恐ろしいから、なんとかその周辺にいる人物とお近づきになろうとするカールティク。
セードゥ家に出入りする家政婦の娘が自分に気があると知ってそれを利用したり、なかなかしたたか。
それでも様子を探るのに苦労していたのに、カールティクを怪しむセードゥのほうから手下を監視につけられて、
こいつがまた阿呆なものだから、簡単に手なずけて情報を引き出すことに成功。
そうしたら、カールティクとオーラニの行動がバレちゃって。
 
いとも簡単に人を殺すセードゥですが、カールティクが映画を撮っていると知ると態度が変わる。
取材をさせるようになるけれど、困ったことに自分で演じると言い出します。
主演はヴィジャイ・セードゥパティにオファーしようと、カールティクは考えていたのに。
 
ボリウッドのご多分に漏れず171分の長尺だけど、話は意外とシンプル。
登場人物が多くても、誰が誰やらわからなくなることもなし。
演技ド素人のセードゥを起用して凄い映画を作れるわけもなく、あきらめ気分だったカールティクはどうするか。
笑いものにされたと憤るセードゥの表情が変わってゆくのも面白いです。

暴力で支配して怖がられるのは敬意を抱かれるのは別物だという台詞が印象的。
主演のシッダールト、男前やんか。もっとほかの出演作も観たい。

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『告白 コンフェッション』

『告白 コンフェッション』
監督:山下敦弘
出演:生田斗真,ヤン・イクチュン,奈緒他
 
前述の『碁盤斬り』を109シネマズ大阪エキスポシティで観た後、イオンシネマ茨木へ移動して。
21時半も過ぎてから劇場を移動してのハシゴなんてしんどいこと極まりないのですが、
見逃したらどうしようという強迫観念に駆られて行ってしまいました。(^^;
 
長尺作品が多いなか、80分を切る作品は結構珍しい。74分。
福本伸行・原作、かわぐちかいじ・作画の同名漫画を山下敦弘監督が映画化。
山下監督は最近撮りまくりですね。
『カラオケ行こ!』『水深ゼロメートルから』から一転してサスペンスフル。
近頃はホヨヨ~ンとした雰囲気の作品が多かったから、こういうのを観ると、
『松ヶ根乱射事件』(2006)の頃の同監督を思い出します。
 
出演者はほぼ3人、いや、2人と言っていいでしょう。魅せますねぇ。
 
浅井(生田斗真)とジヨン(ヤン・イクチュン)は大学時代からの親友。
学生時分、同じく山岳部に所属していたさゆり(奈緒)といつも3人で過ごしていたが、
16年前のある日、さゆりが遭難して死亡する。
以降もふたりはさゆりの慰霊の意味で毎年欠かさず雪山に登り続けている。
 
今年も変わらず登りにきたが、吹雪の中でジヨンが負傷し、動けなくなる。
死を覚悟したジヨンは浅井に自分がさゆりの首を絞めて殺したのだと告白。
ところがその直後、開けた視界の中に山小屋を発見。
浅井がジヨンに肩を貸してそこに到着。なんとか死なずに済みそうだ。
 
しかし、死ぬはずだったからこその告白。
言わなければよかったと悔やんでいる様子のジヨンに、浅井は「聞かなかったことにする」と言うが、
そんなことにできるわけがないとジヨンが怒り出して……。
 
ホラーという触れ込みの『関心領域』よりもよっぽどホラーです(笑)。
ヤン・イクチュンの鬼気迫る演技が怖いのなんのって。
普通に行けば生田斗真を応援したくなるところ、以下ネタバレです。
 
ジヨンが怒るのも当然の、浅井がクズだと途中でわかる。
脚の怪我のせいで身動きを取りにくいジヨンと、高山病を発症したらしい浅井。
外は大雪で逃げ出すのは無理。いったいどうなるのかとドキドキします。
見せられているものすべてが実際に起きていることなのか、浅井の妄想なのかがわからないから、余計にドキドキ。
 
山下監督、明るくてあったかい作品を撮るのと、こんな陰鬱な作品を撮るのとどちらがお好きですか。
今後もどちらも撮ってほしい。
 
ジヨンの「やっと息ができる」という台詞は、ヤン・イクチュンの初監督作にして大きな話題となった、
『息もできない』(2008)に掛けて遊んでいるのだと思われます。粋だなぁ。

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