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『蛇の道』

『蛇の道』(原題:Le Chemin du Serpent)
監督:黒沢清
出演:柴咲コウ,ダミアン・ボナール,マチュー・アマルリック,グレゴワール・コラン,西島秀俊,青木崇高他
 
109シネマズ箕面にて前述の『ザ・ウォッチャーズ』の鑑賞後、一旦出庫。
ここの駐車サービスは本当に不満。2本観たら2本分サービスしてくれたっていいのに。
 
で、再入庫して駐車サービスを受け、本作の上映シアターに入場したら、え、またひとり!?
前週に続き、今年5度目の“おひとりさま”
 
フランス/日本/ベルギー/ルクセンブルク作品。
黒沢清監督が『蛇の道』(1998)の舞台をフランスに移してセルフリメイク
オリジナルは哀川翔香川照之のダブル主演だったようだけど、未見です。
 
8歳のひとり娘を何者かに殺されたアルベール・バシュレ(ダミアン・ボナール)は、
通院先で心療内科医・新島小夜子(柴咲コウ)から声をかけられる。
小夜子は犯人の追跡と復讐に手を貸してくれると言う。
 
小夜子が犯人と断定したティボー・ラヴァル(マチュー・アマルリック)を拉致監禁。
ラヴァルが会計係を務めていた児童福祉団体“ミナール財団”が
組織ぐるみで幼い子どもの人身売買をしていたのではないかと考え、
ラヴァルを拷問して証言を引き出そうとする小夜子とアルベール。
 
行方をくらましている財団の代表ピエール・ゲラン(グレゴワール・コラン)の居場所を
ラヴァルに吐かせたふたりは、ゲランも同じ場所で拉致監禁。
すると今度はラヴァルとゲランから別の者の名前が挙がり……。
 
もともと黒沢監督の作品が得意ではありません。
どうしてなのかわからないのですけれど、あまり面白いとは思えない。
この監督のもとでは、役者も魅力的に映らなくて。
 
本作も柴咲コウは美しく冷ややかで何が目的かわからない女医を好演しているものの、
バシュレ役のダミアン・ボナールの演技がなんだかぼんやりしていて、
患者役の西島秀俊は何のために出てきたのかわかりません。この役、要りますか。
 
マチュー・アマルリックら拷問されたうえに殺される3人は、
死体となった後に放置されているときの表情がまったくのアホ面で、
これは笑いをとるためのシーンかと思いました。これも要らない。
よくもこんな役を引き受けたなぁと思って苦笑い。
 
真相は悲しいものです。小夜子の「あなたがいちばん嫌い」も効いている。
でも後味が悪く、一日の終わりに観るにはつらい作品でした。うーむ。
評価の高いオリジナルのほうを観てみたいです。

—–

『ザ・ウォッチャーズ』

『ザ・ウォッチャーズ』(原題:The Watchers)
監督:イシャナ・ナイト・シャマラン
出演:ダコタ・ファニング,ジョージナ・キャンベル,オルウェン・フエレ,
   アリスター・ブラマー,オリヴァー・フィネガン他
 
109シネマズ箕面にて。
 
M・ナイト・シャマラン監督の娘イシャナ・ナイト・シャマランが長編監督デビュー。
父親のシャマラン監督はプロデュースに回っています。
シャマラン監督には娘がふたりいるのですね。
長女はシンガーソングライターだそうで、イシャナは次女とのこと。
主演にはダコタ・ファニングを起用。私には安達祐実に見えてしゃあない。
子役としての経歴のせいなのかしらん。順調にキャリアを築いています。
 
アイルランド西部の都市ゴールウェイに暮らすアメリカ人のミナ。
子どもだった頃に母親を交通事故で亡くし、その原因が自分にあると思って立ち直れない。
事故当時一緒にいた姉ルーシーにも心を開けず、疎遠になったまま。
 
ある日、勤務先のペットショップで上司から命じられた仕事は、
珍しいオウムを車で丸一日はかかるベルファスト動物園まで届けること。
夕刻ようやく現地に到着のはずが、鬱蒼とした森の中に迷い込む。
 
なぜか車のエンジンも止まってしまい、致し方なくオウムを連れて歩きだすミナ。
不気味さに震え上がって戻ろうとするも、停めたはずの車がなくなっている。
困り果てたそのとき、前を横切る人の気配を感じて追いかけると、小屋に到着。
 
扉の前で待っていた白髪の女性が「時間がないから早く来い」と手招き。
猛然と小屋の中に駆け込むと、そこには先客がいた。
 
白髪の女性はマデリン。ほかに若い女性キアラと青年ダニエル。
彼女らによれば、昼間は外に出ても大丈夫だが、日が暮れると謎の存在がやってきて、
ガラス越しにマデリンたちの様子を監視しているのだと言う。
ルールを守っていれば、扉のこちら側に侵入してくることもない。
 
何が目的なのかもわからない存在を相手にして、脱出する気もない様子の3人。
ミナはなんとかここから逃げようと、ルールを破っていろいろ試みるのだが……。
 
お父さんと作風がそっくりで、こりゃ父親としては嬉しいだろうなぁと思います。
「ウォッチャーズ」たちの風貌があまりに陳腐で笑っちゃうし、
つくりとしては雑な感じが否めないけれど、出ようとしても出られない森の中、
いったいどうしてこんなことになって、何が起きて、
どんなオチが待っているのかと思うと、それなりにドキドキします。
 
そもそもお父さんがトンデモ映画を撮る人ですもの、
娘の監督デビュー作は温かい目で観て楽しまなきゃ損じゃないでしょか。
 
かなり無理のあるオチかもしれませんが、私は嫌いじゃない。少しは切ないし(笑)。
なんか、甘甘になってます!?
 
ところで自分の監督作には必ず「えっ!?」というカメオ出演を果たしているシャマラン監督
この娘の作品でもどこかに出ているのかなと思ったけれど、見つけられませんでした。
出ている?出ていない?知りたい~。

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『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(原題:The Holdovers)
監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ポール・ジアマッティ,ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ,ドミニク・セッサ,キャリー・プレストン,
   ブレイディ・ヘプナー,イアン・ドリー,ジム・カプラン,ジリアン・ヴィグマン,テイト・ドノヴァン他
 
TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『九十歳。何がめでたい』の次に。
 
これが6年ぶりの監督作となるアレクサンダー・ペイン
ペイン監督といえばやっぱり『サイドウェイ』(2004)で、あれを超える同監督作品は私の中では未だなし。
だけど、同じくポール・ジアマッティを主演に起用した本作はとても好きになりました。
 
1970年12月。
まもなくクリスマス休暇を迎えるボストン近郊の名門、全寮制のバートン校。
生徒はもとより教師の大半もそれぞれの実家へ帰るなどして休暇を過ごそうというなか、
歴史学のベテラン教師ポール・ハナムは校長から「子守役」を命じられる。
ほぼ全員が寮を去るといっても、家庭の事情から5人だけが居残ることになったから。
 
バートン校には富裕層の子どもたちが多い。
親は多額の寄付金を積んで、息子がたとえアホでも良い成績をつけるよう学校に望んでいる。
教師たちは皆そのとおりにするが、ハナムだけはまったく迎合せず正直に採点。
そのせいで生徒たちから嫌われるのはもちろんのこと、教師の間でも嫌われている。
 
そんなハナムと共に2週間を過ごすはずだった5人の生徒たちだったが、
うち1人の親が予定を変更して息子をスキーに連れて行きたいと、ヘリコプターで迎えに来る。
ほかの生徒たちも一緒に連れて行ってもよいとのことで、
ハナムがそれぞれの親に電話したところ、うち3人の親が了承。
 
しかしアンガス・タリ―の親とだけは連絡がつかず、親の承諾なしには行かせられないと、
タリーひとりがハナムと寮に残ることを余儀なくされてしまい……。
 
“holdovers”とは「残留物」の意味なのだそうです。
 
寮にはハナムとタリーともうひとり、息子をベトナム戦争で亡くした料理長メアリー。
ハナムは頑固で皮肉屋のうえに見た目も冴えなくて、斜視でトリメチルアミン尿症。
好かれる要素なんてひとつもないからこんな嫌みったらしい人間になるのか、
それともこんなに嫌みったらしいから好かれないのか。
たとえ魚の腐ったようなにおいがしようとも、メアリーだけがハナムに普通に接します。
 
一方のアンガスもたいした皮肉屋。
だけど家庭のことで深い傷を抱えているのだと察せられます。
厄介なハナムとタリー、そして優しくて適度に厳しいメアリー。
彼らの過ごす時間がとてもいい。
 
ボストンの美術館で、ハナムがタリーに古代史について説明するシーンは
思わず真剣に耳を傾けたくなりました。ホント、授業がこんなだといいのに。
 
ペイン監督のことだから、超ハッピーエンドとはいかないところも切なくて○。
ハナムの行く先に小さくてもいいから幸せが転がっているように祈るのみ。
 
この余韻が大好きです。

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『九十歳。何がめでたい』

『九十歳。何がめでたい』
監督:前田哲
出演:草笛光子,唐沢寿明,藤間爽子,片岡千之助,中島瑠菜,オダギリジョー,
   清水ミチコ,LiLiCo,宮野真守,石田ひかり,三谷幸喜,木村多江,真矢ミキ他
 
TOHOシネマズ伊丹にて。
 
同名のエッセイは6年以上前に読んでいます。そのときの感想はこちら
昨年百歳の誕生日をお迎えになった作家・佐藤愛子、今も健在。
そして彼女の役を演じた草笛光子も実際90歳。
本作は草笛光子の生誕90年を記念する作品でもあるそうです。
どうですか、この婆ちゃんパワー。凄すぎて驚く。
 
2014年、長編小説『晩鐘』を最後に断筆宣言をした90歳の佐藤愛子(草笛光子)。
のんびりとした生活を満喫するはずったのに、なんだか日々に張り合いがない。
口を開けば面倒くさいを連発し、同居する娘の響子(真矢ミキ)や孫の桃子(藤間爽子)も呆れ顔。
 
そんな愛子を訪ねてきたのがベテラン編集者の吉川真也(唐沢寿明)。
吉川は編集長を務めていた部署で部下からパワハラを訴えられる。
誰も引き取り手がなかったところ、後輩のよしみで倉田拓也(宮野真守)が自分の部署に吉川を迎え入れる。
 
パワハラで訴えられたというのに、異動先でもその態度はほぼ変わらず。
自分に否などないと思っていた吉川だが、家に帰ると妻の麻里子(木村多江)と娘の美優(中島瑠菜)がいない。
机の上には麻里子の記入済みの離婚届が置かれていて呆然。
 
麻里子に連絡を取ろうと必死になる一方で、
若い編集者が断られたというエッセイ連載の企画を携え、吉川は愛子のもとを訪れるのだが……。
 
はい、前田哲監督の作品は、私にとって微妙です。
たいてい無難に面白いけど、好きになれない作品もままあって。
でも年に何本も撮っていたりするから、避けては通れない監督なのです。
 
90歳になってなおパワフルで可愛らしいおばあちゃん、草笛光子には敬意を払います。
しかし、『九十歳。何がめでたい』を出版したら町ゆく誰もがその本を手にしている光景とか、
同書がベストセラーになると押しかけるメディアの様子とか、結構うざい。
こういう笑うに笑えない演出は好きになれません。
しかも、記者役の人たちみんな、笑うのが下手に見えてしゃあない。
記者会見会場の模様なんてドン引きです。
 
笑いの路線としては三谷幸喜風とも言えるけど(彼もタクシー運転手役で出演)、
ヨイショだらけなのは冷めちゃいます。
申し訳なくも言わせていただくと、予告編のほうが面白かった。
と、私は思うのですけれど、万人受けするでしょうねぇ。素直な人には薦めます。

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2024年6月に読んだ本まとめ

2024年6月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1734ページ
ナイス数:607ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/6
■COLD 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花 (角川ホラー文庫)
そろそろ梅雨入りという時期に雪女の話とは。このシリーズのことなので、最終的には非科学的ではない正体に落ち着きます。健気な桃ちゃんの今後が気になるところ。いずれ大人になって、内藤さんのどのシリーズかに刑事として登場するのではと密かに期待してしまいます。内藤さんには今後そこにたどり着くまでの年月を生きて書き続けていただきたい。余談ですが、の出身が秋田県大仙市、もとの仙北郡刈和野です。その地名を聞くだけで切なくなると言う父。父にこの本を読ませたいような、でも「切ない」じゃなくて悲しくなっちゃうかなとも思う。
読了日:06月05日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/21918259
■人生最後のご馳走 (幻冬舎文庫)
先々月がんで亡くなったは、昔この病院でボランティアをしていました。母に本作を見せたら当時のことが懐かしそうでした。そりゃ美味しそうだけど、いったいいくら要るのかと思いながら私も読んだら、高額の入院費を払った人のためのサービスではないとのこと。素晴らしいことです。ただ、よそに移ったら食欲が失せて体調が悪化したというような話には、がんが進行しているのだからそのせいとも言えないのではと思う。食事は大切、でも食事以外の面でも患者と共に前向きな気持ちになれるようにしたい。というのは私が言うまでもないことですよね。
読了日:06月10日 著者:青山 ゆみこ
https://bookmeter.com/books/14437148

■成瀬は天下を取りにいく
読んでいるときはめちゃくちゃいいと思っていたわけではありません。が、時折ふきだしてしまうほど可笑しい。「ほなミルクボーイやないか」なんてもうツボ。成瀬はいわゆる空気の読めない人なのかもしれない。でも、誰にも迷惑をかけていないし、誰かを傷つけてもいない。人の顔色を窺って嫌われることを恐れないで、こんな生き方をするのはありだよと言われているかのよう。成瀬について話すときに楽しそうな島崎のことも大好きです。残りの頁が少なくなるにつれ、どうかこのまま終わらないでほしいと思いました。ゼゼカラ解散じゃなくてよかった。
読了日:06月16日 著者:宮島 未奈
https://bookmeter.com/books/20716260

■アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録 (文春文庫 き 49-1)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】良い話なのにこんな感想で恐縮ですが、私は「老けメイク」が何よりも苦手なため、のっけから大泉洋菅野美穂の爺婆メイクにドン引き。ずっとこのメイクを見せられたらどうしようかと思いましたが、最初と最後だけでホッ。淡々としていた原作と比べて、映画らしくというのか、泣きに寄せられている感はあります。そこに乗せられるもんかと言いたいところだけど、やっぱり泣きますね。専門的な話も映像になるとわかりやすい。できる、やるぞという心を持ち続けること。頭の下がる思いです。
読了日:06月16日 著者:清武 英利
https://bookmeter.com/books/21826790

■九十歳。何がめでたい
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】佐藤愛子役の草笛光子の生誕90年記念作品なのだそうで、本当に90歳とは驚きました。とても魅力的なキャストですが、実は私は前田哲監督のことが少し苦手。本作も、町ゆく人の誰もがこの本を手にしてゲラゲラ笑っているシーンなどがヨイショのしすぎじゃなかろうかと思って冷め気味に。記者会見会場ではマスコミの人たちのとってつけたような笑い声が気になって、泣く演技よりも笑う演技のほうがうんと難しいことを感じました。とはいえ、万人受けしそうな作品で、老いも若きも楽しめると思います。
読了日:06月25日 著者:佐藤愛子
https://bookmeter.com/books/11058890

■能面検事の奮迅 (光文社文庫 な 39-4)
御子柴弁護士シリーズは別格の面白さとして、ここ最近読んだ七里作品を思い返すと、どれも無難には面白いけれど期待以上ではない、むしろそれ以下でした。本作は久しぶりにさすがと思えるもの。いつものことながら、実際にあった新旧いくつかの事件を彷彿させる出来事が盛り込まれているから、事件そのものをいろいろと思い出しつつ楽しむことができます。社会派でありながら大いなるエンタメ。残り10頁になってからまだどんでん返しがあるのは、七里ファンにはネタバレでも何でもないですよね(笑)。御子柴弁護士と並んで不破検事に惹かれます。
読了日:06月28日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/21882182

■君の余命、買い占めました
正直言うと、「サッと読めて感動できる」というキャッチコピーは大嫌いです。本でも映画でも「ほらほらココ、感動的でしょ」みたいなアプローチは冷めまくる。それでも本作を読み始めたのは、「サッと読める」ならばありがたいから。短編12話のうち、最初のほうは「やっぱりね」。だけど、2年前にを、2カ月半前に母を亡くした身だからか、先へ進むほど心に染みる。特に最後の2編。最期に母の目を伝って落ちた涙を思い出すし、母の死によって実家を退去に当たり、父の蔵書約5千冊を片付けたことがすでに懐かしい。感動できたことを認めます。
読了日:06月29日 著者:青井青
https://bookmeter.com/books/21845503

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