『映画 クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』
監督:橋本昌和
声の出演:小林由美子,ならはしみき,森川智之,こおろぎさとみ,真柴摩利,林玉緒,一龍斎貞友,佐藤智恵,賀来賢人,小峠英二,西村瑞樹,山寺宏一,速水奨他
TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『近畿地方のある場所について』の次に。
常々書いていますが、“ドラえもん”よりも“名探偵コナン”よりも“クレしん”が好きです。本作は『映画 クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』からきっちり1年ぶりの劇場版第32弾。“クレしん”が好きだと言っても、いまだにTVドラマ版は一度も観たことがなくてすみません。
予告編を観たときは、ついにしんのすけはインドに行くのか。これは『RRR』の大ヒットの影響やなと喜びましたが、ふたを開けてみればそうでもない(笑)。このダンスは全然ボリウッドとはいえないもの。まぁいいや。(^^;
春日部市がインド・ハガシミール州のムシバイと姉妹都市となったことを記念するフェスティバルが開催される。そのダンス大会で優勝すればインドに招待されると知り、カスカベ防衛隊の5人はダンスの練習に勤しんで見事優勝。しんのすけ、風間くん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃんと野原一家、園長先生はインドに入国。通訳のウフンアハーン氏ガイドのもと、インド観光を満喫する。
しんのすけとボーちゃんは怪しげな雑貨店で鼻の形をしたリュックサックを見つけて購入。その直後、覆面刑事2人が雑貨店にやってくる。リュックサックの鼻部分に詰められていた紙こそが刑事の探していたブツで、その紙を鼻に詰めた者は暴君と化すらしい。販売当時不在だった雑貨店の店主も戻ってきて、留守番がリュックサックを売ってしまったことを知って青ざめる。誰かが鼻に紙を詰める前に止めなければと、しんのすけとボーちゃんを追う刑事たち。
ところが紙を鼻に詰めてしまったのはほかならぬボーちゃん。自らのすべての願望を叶えることが可能となったボーちゃんは、もはやしんのすけたちの知るハナ垂れの優しい小僧ではなく、世界最強の暴君。しんのすけはインドで知り合った前回のダンス大会優勝者アリアナの協力を得て、なんとかボーちゃんの鼻から紙を抜き取ろうとするのだが……。
まったく、こうして書いていてもバカバカしさ全開です。何よ、鼻に紙詰めたら暴君になるって(笑)。ハナを垂らしていないボーちゃんはちょっと凛々しかったりもして、このままでよくないかと思ったり。「ボーちゃんらしくない」と言うしんのすけたちに対してアリアナが言うことは一理あります。世間に勝手にイメージを作り上げられ、それとちょっとでも違うことをすれば「こんな子じゃないはずなのに」と言われて責められる。アリアナの言葉を聴いて、しんのすけたちはボーちゃんがどうあろうと「オラたちはボーちゃんと遊びたいのだ」と気づきます。
笑ったのは『トップガン マーヴェリック』(2022)のパロディシーン。そうなんですよね、しんのすけの父親、野原ひろしの声を担当する森川智之は、トム・クルーズの吹替を担当していることでも有名な声優。ひろしとトムの声が一緒だなんていつも笑ってしまうのですが、本作ではそれを最大限に生かして、ケニー・ロギンスの“デンジャー・ゾーン”を歌いながら戦闘機を操縦するというサービスで楽しませてくれます。
頑張れ、永遠の幼稚園児たちと野原一家。シロも大活躍だぞ。
『近畿地方のある場所について』
『近畿地方のある場所について』
監督:白石晃士
出演:菅野美穂,赤楚衛二,九十九黄助,夙川アトム他
封切り日にTOHOシネマズ伊丹にて。原作が大ヒットしたからか、予想外に多い客入り。当日劇場に行ってからチケットを買おうとしたら、前方の列しか空いていませんでした。ちなみに原作は怖そうで読むつもりなんてなかったのに、SNSで友人から「怖くて読めないから代わりに読んでくれませんか」と私名指しでリクエストがあり、仕方がないから読みました(笑)。そのときの感想はこちらです。
オカルト雑誌の次の企画をひとりで進めていた編集長(夙川アトム)が妻を連れて失踪。データの入ったファイルも一緒に持って行ってしまったものだから、このままでは頁が空くことになるやもしれぬ。困り果てた編集部員の小沢悠生(赤楚衛二)は、オカルトライターの瀬野千紘(菅野美穂)に協力を依頼する。
編集長が残していた資料を調べてみると、幼女の失踪や中学生の集団ヒステリーなどの事件、都市伝説、心霊スポットでの動画配信騒動などを追っていたことがわかる。小沢と瀬野が編集長の取材相手に会いに行くと、ひとりの青年曰く、寺院に救いを求めるもお祓いの途中で住職がおかしくなり、自分には祓えないと言い出したらしい。住職の勧めに従って絶えず生き物を飼うようにしたが、その生き物が次々に死んでゆくのだと。
やがて小沢の様子にも変化が現れはじめる。あの青年と同じく何かに憑かれたとしか思えず、祓う方法を知っているとおぼしき編集長の居場所をようやく突き止めるのだが……。
オカルトがお得意な白石晃士監督のことなので、映像も音もかなりおどろおどろしい。そのせいで、もともとホラー苦手な私はほとんどのシーンで目を伏せているはめに。地下の編集室で編集長が目ん玉くり抜かれる冒頭のシーンから「無理だ」と思いました(笑)。だけど、目を伏せていたせいではなくて、話自体にあまり惹かれるところがありません。原作も好きだったとは言えないものの、頁を開くことも戻ることも躊躇われるような恐怖感にはつきまとわれていました。それが映像化されると何でもかんでも登場人物の台詞によって説明されてしまうから、こちらが考える面白みは無し。
笑うしかないオチに唖然呆然。なんだかなぁ。それと、キャストが大勢いるにもかかわらず、公式サイトで赤楚衛二と菅野美穂しか紹介されていないのは、こうするほうが関心を向けられるという戦略なんですかね。確かに「おおっ!」という出演者はいないけれど、そこまで出し惜しみしなくてももうちょっと紹介してあげてください。出演したことを後悔する作品でないのであれば。
『星つなぎのエリオ』〈吹替版〉
『星つなぎのエリオ』(原題:Elio)
監督:ドミー・シー,マデリン・シャラフィアン,エイドリアン・モリーナ
声の出演:川原瑛都,清野菜名,佐藤大空,松山ケンイチ,野呂佳代,渡辺直美,中谷(マユリカ),関智一,沢城みゆき,安原義人,子安武人他
毎年恒例の全館停電の日、まずは老健に入所中の父に面会に行き、次に予約していた眼鏡屋さんで眼鏡の調節をしてもらう。先日椅子の上に眼鏡を置いたのを忘れて腰掛けてしまったためです。その後、市役所でマイナンバーの電子証明書の更新手続きをしてから109シネマズ箕面へ。病み上がりでみんなから「映画は自重するように」と釘を刺されていたので、これ1本だけ。
アニメであっても洋画は字幕で観る派ですが、『リロ&スティッチ』同様に本作は字幕版を上映している劇場が少なすぎて近隣では見当たらない。字幕版の声優陣を調べたところ、名前を知っているのはゾーイ・サルダナぐらいだし、まぁいいかと吹替版で妥協するしかありません。
両親を亡くした少年エリオは叔母オルガに引き取られる。空軍少佐のオルガは宇宙飛行士になることを目指していたが、その夢をあきらめてエリオと過ごすことを選択。しかしオルガにどれだけ優しい言葉をかけられようともエリオの心は塞ぎきったままで、両親以外に自分を愛してくれる人はいないという思いが消えない。エリオは宇宙人がこの地球から連れ出してくれたらいいのにと考える。
海辺で来る日も来る日も宇宙人へのメッセージを送りつづけていたエリオは、オルガが勤務する空軍基地で、無線オタクのメルマックの話を耳にする。遠い星との交信を力説するメルマックをオルガは無視するが、皆がその場を離れた隙にエリオがこっそり交信を試みると、基地は停電に陥って大問題に。そのせいで怒ったオルガはエリオをユースキャンプに送り込む。
キャンプでいじめっ子たちと遭遇し、まさに殴られんとしたときにエリオ以外の時が止まる。そこへ飛来した宇宙船に吸い込まれたエリオは、星々の代表が集まる“コミュニバース”へ地球の代表として招かれる。まさか自分がまだ子どもで、地球の代表ではないなどとは今さら言えず、地球には還りたくない一心で必死に代表のふりをするエリオは……。
最初はなんとなく嫌でしたねぇ。だいたいいつも同じ流れの話じゃないですか。親を亡くして孤独な子どもがわがままにふるまい、周囲は手を焼く。それが異次元に飛んだり異空間から来た何かと出会ったりして心を開き、自分の態度を改める。そりゃ突然親が死んじゃったら辛いに違いない。でも愛情を注いでくれる相手にそこまで冷たく当たる子どもの勝手ぶりはどうですかと思わなくもない。
はいはい、いつものディズニーですよねと思いながら観ていましたが、結局いつものディズニーで、最後にはホロリとさせられてしまうわけです。宇宙人の少年グロードンとエリオが友情を育み、オルガと協力してグロードンを救う。定番だけど、定番ゆえの安定感。
ところで、夏休み中で子ども連ればかりの映画館。予告編で『プレデター:バッドランド』を流したら子どもらビビりませんか。プレデターの容貌ももちろん怖いけど、白目剥いてるエル・ファニングの顔も怖い(笑)。それと、ここ数週間、私が吐きそうなぐらい嫌いなのが無印良品のCMです。映像ではなくて、流れている曲が超苦手。これを観ると『ミッドサマー』(2019)や『関心領域』(2023)を思い出して嫌な気持ちになります。どちらも作品としては好きでしたが、不気味すぎる。無印は何を思ってこんなCMを制作したのか私にはわかりません。
『劇場版 TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション』
『劇場版 TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション』
監督:松木彩
出演:鈴木亮平,賀来賢人,高杉真宙,生見愛瑠,宮澤エマ,菜々緒,中条あやみ,小手伸也,佐野勇斗,ジェシー,フォンチー,江口洋介,玉山鉄二,橋本さとし,渡辺真起子,鶴見辰吾,石田ゆり子他
前述の『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の後、同じく109シネマズ箕面にて。通常版とは上映スケジュールが合わず、こんなの別にIMAX版を観なくてもええやろと思いつつIMAXシアターで鑑賞しました。『劇場版 TOKYO MER 走る緊急救命室』(2023)に続く、人気TVドラマシリーズの劇場版第2弾。
“東京MER”は都知事直轄の救命医療チーム。日本各地でMERが活躍するなか、鹿児島と沖縄にまたがる海に浮かぶ島々を担当する“南海MER”が試験的に始動。メンバーは元町医者でチーフドクター候補の牧志(江口洋介)、看護師兼臨床工学技士でNK1(オペ室を搭載した特殊車両)とNK0(MER専用船舶)の操縦も担う常盤(高杉真宙)、同じく看護師兼臨床工学技士の知花(生見愛瑠)、麻酔医の武(宮澤エマ)。その育成指導役として東京MERのチーフドクターで救急救命医の喜多見(鈴木亮平)と看護師の蔵前(菜々緒)が帯同する。
ところが、南海MERが発足して半年が経過するというのに、緊急出動件数はゼロ。平和な証拠ともいえるが、MERの活動を自分の点数稼ぎとしか見ていない厚生労働省の久我山(鶴見辰吾)は早くも南海MERの解体を言い出す。ほかのお役人とて同じこと。久我山に目立たれては面白くないから、南海MERを働く場のない無用のものとみなそうとする。
そんな折、鹿児島県諏訪之瀬島で噴火が発生。ようやく南海MERに出動要請がかかるが、噴火は想定外に大規模。島に近寄ればMERの面々の命まで危険にさらされるため、久我山はただちに退避を命じて……。
東京MERの活躍に憧れる常盤や知花は、いつも釣りに勤しんで島民と楽しくおしゃべりするのみの牧志のことが信用できません。彼にMERのチーフドクターが務まるなどとは思えないし、上司として敬意を払えない。だけど、本当に大噴火に見舞われて島民の命どころか自らの命までが危うくなったとき、牧志の日々の記録と信念が何よりも大切なものであったことを知ります。牧志は何気ない島民との会話から人々の生年月日はもちろんのこと、人柄、家族構成、交友関係、病歴までつぶさに把握しているのです。
保身のことしか考えないお役人。失敗は部下に押しつけ、手柄は丸ごとかっさらおうとする。どうしようもない久我山の隣で常に冷静かつ人としてこうあるべきという判断をくだす音羽(賀来賢人)はカッコイイですね。ちょうど『フロントライン』の松坂桃李のような存在。
わざわざIMAX版を観なくてもと思っていましたが、これはこれで大画面で観る価値あり。賞レースなどとは無縁だとしても、誰が観ても面白い娯楽作品だと思います。もともとTVドラマシリーズのファンの人は中条あやみやジェシーをはじめとする東京MERの面々を見られるし、都知事役の石田ゆり子は相変わらず素敵で可愛い一面を覗かせるのがお茶目だし、厚生労働大臣役の渡辺真起子はいかつく、玉山鉄二は人情に厚い地元の漁師役がピッタリ。『サマーウォーズ』(2009)的な展開に胸を熱くしない人はいないでしょう。
とはいうものの、鈴木亮平演じる喜多見先生って人間ができすぎではないでしょうか。鈴木亮平本人もそういう人のような気がしますよねぇ。できた人なんだろうなぁ。
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(原題:The Fantastic Four: First Steps)
監督:マット・シャックマン
出演:ペドロ・パスカル,ヴァネッサ・カービー,ジョセフ・クイン,エボン・モス=バクラック,ジュリア・ガーナー,ナターシャ・リオン,ラルフ・アイネソン他
風邪の余波を受けて観逃しそうになっていた本作を109シネマズ箕面にて。
スーパーヒーローが多すぎて、もう誰が何やらさっぱりわかりません。本作もマーベル・コミックの人気スーパーヒーローチームだそうですが、映画化されるのは初めてじゃないでしょ、“ファンタスティック4”って聞いたことあるもんと思ったら、『ファンタスティック・フォー』(2015)でした。あらためてそのときのキャストを見たら、おおっ、10年経った今、売れっ子になっている俳優が多いではありませんか。『トップガン マーヴェリック』(2022)のルースター役で知名度急上昇のマイルズ・テラーが主役だったのか。“クリード”シリーズで主役を張る前のマイケル・B・ジョーダンもいる。逆に子役でブレークしてから久しいジェイミー・ベルがベテランの立ち位置で、なかなか面白い顔ぶれだったのに。『ファンタスティック・フォー』で転んだからってその後も鳴かず飛ばずだったわけじゃないから、むしろ踏み台として良い作品だったのかもしれません。
さて、それはそうとしても、映画化するたびにスベってもまたキャストを替えて映画化する意味は何なんでしょう。これから売りたい俳優を起用するならともかく、ペドロ・パスカルはアラフィフのオッサン、ヴァネッサ・カービーはすでに売れっ子ではあるけれど(好きですよ)客を呼び込む女優としては弱いし、ジョセフ・クインに至っては「誰!?」っちゅう感じで、エボン・モス=バクラックのことはさらに知らず、しかもこんな特殊メイクじゃ顔もわかりません。
とにもかくにも観はじめる。これまでの映画化作品と繋がっているのかどうかは不明です。どうせどれも一度しか観ていないし、復習する時間を取る気もありませんから、なんでもいいやと半ば投げやりな気持ちで(笑)。
宇宙飛行士だった4人。リードとその妻スー、その弟ジョニー、そしてベンは、4年前のミッション中に事故に遭う。命の危険はなかったものの、4人それぞれに事故の影響で特殊能力を得たことにより、人類を守る神的存在となって崇められている。リードは全身がゴムのように伸び、スーは自分とその周囲を透明化させる力を持つ。ジョニーは全身に炎を纏って飛行可能。唯一見た目も変わってしまったベンはその外見通り岩のごとく頑丈で怪力に。
不妊で子どもをあきらめかけていたスーの妊娠が判明し、リードは喜びを隠せない。甥っ子の誕生を心待ちにするジョニーとベンも赤ん坊を迎える準備で大忙しとなっていたところへ、全身金色メタルでサーフボードで疾走する女性が地球に飛来する。彼女は惑星を次々と食らう怪物ギャラクタスの使者で、次のターゲットは地球だと言う。ギャラクタスと交渉を試みた4人だったが、ギャラクタスはリードとスーの間に生まれる子どもを引き渡すなら地球に手出ししないと言い……。
敵の使者がサーファーということに笑ってしまう。どないな設定やねんこれとも思うし、ギャラクタスとの交渉に失敗して次の案を練るときに、そうだ!地球ごとギャラクタスの目の届かないところへ転送してしまおう!って、人類がすぐに納得するんですかと頭の中に疑問符いっぱい。ギャラクタスに罠を仕掛けるときには人類を地底へ避難させるけれども、えっ、人類全員そんなバスに乗り込んで地底へ誘導できるものですか。なんというのか、適当で実に大雑把。
で、また“アベンジャーズ”が始まるわけですね。アベンジャーズ人気に頼らなければ、スーパーヒーローものは存続できないようです。あ、そうそう、ひとつ嬉しいことがあった。久しぶりにナターシャ・リオンを見られたこと。『Fカップの憂うつ』(1998)の頃の面影はあるようなないような。元気な姿が見られるのは幸せです。あ、もうひとつ驚いたことがありました。スーが設立したフューチャー財団の職員リン役のサラ・ナイルズって、『F1/エフワン』でジョシュアのオカン役だった人ですよね。彼女、まだ38歳なのに、33歳のダムソン・イドリスのオカン役を演じさせられていたっていったい何なの!?