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『アンティル・ドーン』

『アンティル・ドーン』(原題:Until Dawn)
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
出演:エラ・ルービン,マイケル・チミーノ,オデッサ・アザイオン,ユ・ジヨン,ベルモント・カメリ,マイア・ミッチェル,ピーター・ストーメア

109シネマズ大阪エキスポシティにて公開初日に。前述の『木の上の軍隊』とハシゴ。本作について何も知らなかったから、劇場に着いてからチケットを買えばいいと思っていたのですが、当日昼間に販売状況を確かめたら、なぬ!? エグゼクティブシートはすでに満席じゃあないか。ほかの席も想像以上に埋まっていました。慌てて購入。

世界的人気のホラーゲーム『Until Dawn 惨劇の山荘』を『ライト/オフ』(2016)や“シャザム!”シリーズのデヴィッド・F・サンドバーグ監督が実写映画化。この監督の代表作はどちらかといえば『アナベル 死霊人形の誕生』(2017)のほうだと思うのですが、数年前までホラーが苦手だった私は、特に人形もののホラーには怯えて手が出せませんでした。もう苦手意識はなくなったので(ほとんど目を瞑って観ているのですが(^^;)観ることにしましたが、R18+指定じゃあないか。エロによる指定じゃないなら、相当グロいスラッシャーホラーってことですよね。

母の死後、落ち込んで何もできずにいた女性クローバー(エラ・ルービン)。そんな彼女を見かねて、姉メラニー(マイア・ミッチェル)が突然出て行ってしまう。それっきり連絡が取れなくなって1年。メラニーのことを心配するクローバーは、元カレのマックス(マイケル・チミノ)、親友のニーナ(オデッサ・アザイオン)とその彼氏エイブ(ベルモント・カメリ)、ミーガン(ユ・ジヨン)らに協力を仰ぎ、わずかな手がかりを頼りにメラニーの行方を探すことに。

途中寄ったガソリンスタンドの中年男性店員にメラニーの写真を見せると、この先のグロアバレーという場所で多くの人が消息を絶っていることを聞かされる。一行がグロアバレーに向かうと暴雨に見舞われるが、急に視界が開けたかと思うとそこには観光案内所の看板のある一軒家が建っていた。足を踏み入れると無人で、宿帳にはメラニーを含む何人もの記名が繰り返され、しかも次第に判読不能な字になっていることがわかる。

いったい何があったのかと訝っていると、覆面をした殺人鬼が現れ、全員あっという間に惨殺されてしまう。ところが、全員死んだはずがすぐに目が覚め、殺される前に戻っているではないか。どうやら全員死ぬとゲームがリセットされ、生き返って最初からやり直しになるらしく……。

R18+らしくめちゃグロい(笑)。と言ってもホラーを観るときの常で、ほとんど目を伏せていたので、えげつないシーンはまったく観ていません。すみません。(^^;

要は『きさらぎ駅 Re:』と同じですね。あちらは誰か1人しか現実世界に戻ってこられないけれど、こちらは誰か1人犠牲になれば残りの人は全員無事に戻れます。誰が犠牲になるかで揉めそうなところ、いちばんイケメンでいちばん「友達ではない」エイブが冷たいことを言い出して彼女のニーナに「死ね」とぶった切られるシーンは笑えます。でもそれも全員が生き残るための方策であって、誰かが死んでしまったときには全員で生き返るためにとりあえずもう一度全員死んでおこうじゃないかということ。

ガソリンスタンドの店員で黒幕の心理学者ドクター・ヒルを演じるピーター・ストーメアが怖すぎる。グロアバレーではかつて町ごと水の底に沈む炭鉱事故が起こり、数百人が死亡。そのトラウマを調べるためにヒルが呼ばれたという話なんですが、私が目を伏せていた時間が長かったからか何なのか、ヒルが町のためを思ってやっていたことなのかどうかがわかりませんでした。それでも、全員生きて帰るために5人が試行錯誤を繰り返し、最後に見事生還するまでは結構ドキドキして楽しかった。この手のタイムループものは好きですね。

人生は一度きりだからこそ尊い。

『木の上の軍隊』

『木の上の軍隊』
監督:平一紘
出演:堤真一,山田裕貴,津波竜斗,玉代勢圭司,尚玄,岸本尚泰,城間やよい,川田広樹,山西惇他
ナレーション:松下洸平

シネコンで金曜日に公開された新作はたいてい翌週前半には制覇しているところ、本作の公開週は週末に遊び倒して翌週月曜日に発熱、3日間寝込みました。病み上がりで出勤した日の晩は甲子園だったから映画を観ることはできず、翌金曜日にやっと劇場へ。ふだんならば1週間経ってまた新作が次から次へと公開されているところ、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のせいかおかげか新作は数えるほどしかなし。私としましては「前週の金曜日に公開された作品を今週の金曜日に観る」というのは不覚に感じたりもするのですが(笑)、どんなプライドやねん。(^^;

109シネマズ大阪エキスポシティにて。

実話に着想を得た井上ひさし原案、こまつ座原作の舞台劇の映画化とのこと。監督はダイナマイト平の別名も持つ平一紘。沖縄に生まれ、ずっと沖縄で過ごし、沖縄国際大学在学中に自主映画制作チームを立ち上げる。昨年は沖縄観光大使にも就任という、まんま沖縄の人。本作はもとが舞台劇とあるように、ほぼ堤真一山田裕貴二人芝居のような体裁を取っています。

1945年4月、太平洋戦争末期の沖縄・伊江島に米軍が上陸。宮崎から派兵されたベテラン兵士・山下(堤真一)の指揮のもと、地元出身の新兵・安慶名(山田裕貴)ら日本軍は応戦を試みるがどうにも太刀打ちできず。次々と仲間が殺られるなか、追い詰められた山下と安慶名は大きなガジュマルの木の上に逃げ込む。戦闘経験なく不安に怯える安慶名に対し、山下は援軍が来るまでこの場で待機することを示唆するのだが……。

山下は戦闘に長けているとはいえ、島のことを熟知しているのは安慶名のほう。携帯していたわずかな食糧が底をつくと、安慶名は食べ物を探しに行かせてほしいと言い出します。殺されるかもしれない恐怖よりも空腹のつらさが勝つわけですね。島の植物や生物について詳しい安慶名に偉そうにしつつも教えを請う山下の様子は、こんな絶望的な状況の中でもたまに笑いを誘います。ソテツもそのまま食べれば大変なことになるけれど、調理方法次第では食べられる。米軍が残した缶詰等を見つけたときに安慶名は狂喜、しかし山下は敵軍の食糧など食ってたまるかと断固拒否します。そんな山下になんとか生きていてほしくて安慶名が考え出す案。山下もきっと気づいていたのではないでしょうか。

終戦を知らないままに2年もこんな日々を送りつづけた2人。観るのがしんどくなる描写の続出だったにもかかわらず、堤真一と山田裕貴の好演によって時にはホッとしながら最後まで観ることができました。それでも、いったい何のための戦争かと思うし、とにかく帰りたいんだという安慶名の気持ちは当たり前だと思います。生きて帰ることが恥ずかしいなんて思わせちゃいけない。

『逆火』

『逆火』
監督:内田英治
出演:北村有起哉,円井わん,岩崎う大,大山真絵子,中心愛,片岡礼子,岡谷瞳,辻凪子,小松遼太,金野美穂,島田桃依他

キノシネマ心斎橋にて3本ハシゴの3本目。

監督は『ミッドナイトスワン』(2020)や『異動辞令は音楽隊!』(2022)の内田英治。これが最新作かと思ったら、『マッチング』(2024)や『誰よりもつよく抱きしめて』(2024)よりも製作年は前なんですね。正直言って、私はこの監督の作品があまり好きではありません。でも、観なきゃ文句も言えないし北村有起哉主演というところに惹かれて。

映画監督になりたくて夢を追い続ける野島浩介(北村有起哉)。現在助監督を務めているのは、話題性に富み、ヒット間違いなしの作品。貧困家庭ヤングケアラーとして父親を介護した末に実業家として成功した小原有紗(円井わん)の自伝の映画化だ。撮影現場にいる誰しもがこの作品に賭けている。

しかし、取材の鬼と言われている浩介は、有紗を知る人たちに話を聴くうち、この美談がまったくのでたらめであることを知る。有紗の父親はとんでもないゲス野郎で、有紗が父親のことを大好きだったというのはまったくの嘘。また、父親が亡くなった後に有紗が受け取った保険金2千万円も、父親が有紗のために掛けていたものではなく、母親が「あの人、早く死にそうだ」と掛けていたもの。パパ活していたという事実も掴んだ浩介は、本当は有紗が父親を殺したのではないかとすら思いはじめ……。

美談がまったくの嘘だとわかり、浩介は監督の大沢祥平(岩崎う大)やプロデューサーの橘郁美(片岡礼子)にこのまま話を進めるのはまずいんじゃないかと進言します。けれど、撮影スタートの日が迫り、すでにいろんなお金が発生していることを思えば、じゃあやめようとはなりません。たとえ嘘だったとしても、この作品がいま思い悩んでいるヤングケアラーたちを救うことになるかもしれないと監督は言う。それを聞いた浩介は、貧困家庭の子どもたちがこんな映画を観る金を持っているわけがないと思う。仮にお金を持っていたとしても、子どもたちが観たいのはもっと別の映画だろうと。

仕事で思い悩んでいる浩介ですが、実は家庭のほうが大問題。父親がこんなふうに映画監督になりたいがために、一家はじゅうぶんな収入がありません。そのせいで一人娘の光(中心愛)はすっかりグレ、そんな娘にどう接してよいかわからない母親の幸(大山真絵子)に浩介は光を見張れと言うばかり。

前述の『三日葬/サミルチャン』で嫌なオチを想像していたらそうでもなく、こっちのほうが愕然とします。苦手な内田監督ですが、本作にはちょっと驚かされました。後味はよくありません。とてもつらい話だったけど、引きずり込まれる。

『三日葬/サミルチャン』

『三日葬/サミルチャン』(英題:Devils Stay)
監督:ヒョン・ムンソプ
出演:パク・シニャン,イ・ミンギ,イ・レ,パク・ミンジョン,ウォン・ミウォン他

キノシネマ心斎橋にて3本ハシゴの2本目。怖いくせしてなんでまたこんなもんを観に行くのか(笑)。監督はこれが長編デビューとなるヒョン・ムンソプ。脚本も彼が担当しています。

高名な心臓外科医チャ・スンド(パク・シニャン)は、生まれつき心臓に疾患のある愛娘ソミ(イ・レ)の心臓移植手術を自ら執刀する。手術は成功したはずが、術後にソミが不可解な行動を取るようになる。悪魔憑きとしか思えず、スンドは祓魔師のパン神父(イ・ミンギ)に悪魔祓いを依頼する。一時的に正気を取り戻したソミだったが、すぐにまた正気を失ったかと思うと息絶えてしまう。

葬儀は通常3日間。葬儀屋は当日すべてを終わらせる略式を勧めるが、スンドもほかの親族たちも略式に反対。3日間にわたる葬儀を始めることに。しかしスンドはソミがまだ生きているような気がして仕方がない。パン神父が言うには、ソミには複数の悪魔が取り憑いていると。移植した心臓はどのように入手したものなのかを明らかにしなければソミを救うことはできないと言い……。

遺体を安置する保冷庫が壊れたり、やっと保冷庫に入れたと思ったら急に扉が開いて遺体が出てきたり。何度か飛び上がりそうになりましたが、怖そうなところはほとんど目を閉じているか薄く目を開けているかの状態で観たので、えげつないシーンは直視せずに済みました。

パン神父自身もかつて悪魔に憑かれたことがあり、そういう人が祓魔師になるのは異例なのだそうです。そりゃそうですよね。自分が誰かの悪魔を祓おうとしたら、フラッシュバックが起きる。だからこそほかの人に憑いた悪魔をなんとか祓いたいと思うのかもしれませんけれど。

悪魔崇拝、怖いです。こういう人たちって、悪魔に何を求めているのですか。悪魔が復活すれば世の中がよくなるとでも!? これは絶対嫌なオチのやつだと思いながら観ていましたが、そうはならず。でもソミから本当に悪魔がいなくなったのかどうかは信用できません。

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(原題:九龍城寨之圍城)
監督:ソイ・チェン
出演:ルイス・クー,サモ・ハン,リッチー・レン,レイモンド・ラム,フィリップ・ン,テレンス・ラウ,ケニー・ウォン,トニー・ウー,ジャーマン・チャン他

名古屋から来阪した先輩夫妻と前日はNGK→甲子園。この日はマンゲキ→昼呑みして解散。私はそのあとキノシネマ心斎橋にて映画を3本ハシゴ。その1本目が本作。「観るなら飲むな、飲んだら観るな」の掟をまたまた破ってしまったわけですが、これは面白くて一瞬たりとも睡魔に襲われず。

九龍城砦といえば19世紀末に香港・九龍地区に存在した城塞で、当時の清朝は英国から圧力をかけられるも城塞を手放さず。迷路のような造りに違法建築バリバリの500棟もの建屋が並ぶこの地区は戦後に巨大なスラム街と化す。ここに逃げ込めば警察も探すのが無理だからあきらめる。1993年に取り壊しが始まるまではずっとそんな場所だったのだそうです。

1980年代の香港。密入国したチャン・ロッグワン(レイモンド・ラム)は地下格闘技に参加して勝利を収め、金を受け取る。その金で身分証を手に入れるはずが、黒社会の大ボス(サモ・ハン)にまんまと騙される。金がなければどうすることもできず、大ボスのもとにあった袋をひとつ掴んで逃走。追っ手をかわして九龍城砦へと逃げ込む。かっさらってきた袋を開けてみると、金ではなくドラッグ。とにかくここで売りさばこうとしたところ、今度は九龍城砦を仕切るロン・ギュンホン(ルイス・クー)にのされてしまう。

殺されるかと思いきや、チャンが盗んできたドラッグをロンは大ボスのもとへ詫びの金を付けて返しに行ったばかりか、しばらくここにいてもいいと言う。人を疑うことしかできなくなっていたチャンだが、九龍城砦で仕事を与えられ、やがて住民に受け入れられるようになる。特に、ロンの手下のソンヤッ(テレンス・ラウ)、医者のセイジャ(ジャーマン・チャン)、別のボスの手下でありながらロンを命の恩人と慕うサップイーシウ(トニー・ウー)の3人は、ロンを弟のごとく可愛がり、ようやくチャンも笑顔になれる日が来るのだが……。

めちゃめちゃ面白かったです。キノシネマ心斎橋の前身シネマート心斎橋でも香港作品はよく上映されていましたよね。香港映画ファンがこぞって観に来るのか、割と良い客の入り。

ウォリアーズ4人のカッコイイことと言ったら。彼らを仕切るロンも俠気に溢れていて、この情の深さを見せられると思わず涙ぐみそうに。九龍城砦自体にも興味が湧きます。こんな迷路を最大活用した面白くてたまらんエンターテインメント作品なのでした。