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『ミーツ・ザ・ワールド』

『ミーツ・ザ・ワールド』
監督:松居大悟
出演:杉咲花,南琴奈,板垣李光人,くるま,加藤千尋,和田光沙,安藤裕子,中山祐一朗,佐藤寛太,渋川清彦,筒井真理子,蒼井優他
声の出演:村瀬歩,坂田将吾,阿座上洋平,田丸篤志他

MOVIXあまがさきに観に行ったのは、日本シリーズの第4戦の日でした。テレビ観戦するのが恐ろしかったから、逃げて映画を観ることにしたというわけです。今日振り返ると、プロ野球シーズンはもう遠い昔に終わっちゃったかのよう。

金原ひとみの同名小説を『ちょっと思い出しただけ』(2021)や『不死身ラヴァーズ』(2024)の松居大悟監督が映画化。松居監督は慶應卒のインテリで、ヨーロッパ企画の上田誠の演出を手伝った後に『アフロ田中』(2012)で映画監督デビュー。その頃は俳優としても『真夏の方程式』(2013)とか『昼顔』(2017)などに出演。監督としての彼のことを私が最初に面白いと思ったのは『男子高校生の日常』(2013)でした。と思っていたら、“バイプレイヤーズ”シリーズの監督と脚本を務めるように。ずいぶん前から活躍されているような気がしていましたが、これを書いている10月末はまだ39歳。11月初めに40歳の誕生日をお迎えに。

新宿・歌舞伎町。27歳のOL・三ツ橋由嘉里(杉咲花)は、ゲロ酔いしてうずくまっていたところに「救急車呼んだほうがいい感じですか」と声をかけてきてくれたキャバ嬢・鹿野ライ(南琴奈)の美しさに目を奪われる。「あなたのような顔に生まれたかった」と言う由嘉里に、ライは「300万あげるから整形したら。なれるよ」。実家に帰りたくない事情がある由嘉里はライのマンションへついて行き、そのまま転がり込むことになるのだが……。

腐女子の由嘉里のお気に入りは『ミート・イズ・マイン』焼肉を擬人化したアニメなんですと。艦艇を擬人化したり、競走馬を擬人化したり、世の中いろいろあるものですが、焼肉まで擬人化とは驚いた。これがかなり面白そうで、興味が湧きます。

歌舞伎町辺りで生きているさまざまな人との交流が描かれている作品で、時に眠くなったりもするけれど、キャストがとてもいい。ホスト板垣李光人、バーのマスターだかママだかわからんオッサンに渋川清彦、そこの常連客に蒼井優。由嘉里の母親役には筒井真理子。エンドロールに菅田将暉の名前がクレジットされているのを見つけて「えっ」。全然どこに出ていたのかわかりませんでした。それが悔しくてもう一度観に行きたくなります。杉咲花はこういう少々エキセントリックな役が本当に似合いますね。普通の恋愛ものは駄目だ。こういう彼女をもっと見たい。

歌舞伎町って、映るだけでちょっと泣けてくる街かもしれません。

『Mr.ノーバディ 2』

『Mr.ノーバディ 2』(原題:Nobody 2)
監督:ティモ・ジャイアント
出演:ボブ・オデンカーク,コニー・ニールセン,ジョン・オーティス,RZA,コリン・ハンクス,クリストファー・ロイド,シャロン・ストーン他

前作の『Mr.ノーバディ』(2021)が大好きだったからこれも見逃したくない。109シネマズ箕面にて、前述の『愚か者の身分』とハシゴしました。

一見冴えない中年男ながら実は凄腕の殺し屋ハッチ・マンセル。請け負う仕事をすべて片付けていたら家族と過ごす時間などなく、使えない親父として家庭では軽んじられている。そんな状況を打破すべく、思い切って休暇を取ることに決めたハッチは、昔たった一度だけ家族旅行に訪れたリゾート地プラマービルの遊園地に皆で行こうと計画。妻ベッカ、息子ブレイディ、娘サミーは苦笑いしつつもハッチの案に乗ることに。ハッチの父親デヴィッドももちろん連れて。

ハッチの休暇申請を一応聞き入れたハンドラー(暗殺を指示する管理官)“バーバー”は、「どっちみちおまえはおまえ、トラブルを呼ばずにはいられない性分だ」と断言。そんなことはないと言い返してみたものの、プラマービルに着くや否やすぐに地元民といざこざを起こすハッチ。するとその後なぜか保安官エイベルにつきまとわれるようになり、エイベルが差し向ける輩に命を狙われる。

このままでは落ち着いて休暇を楽しめない。たまらず情報を得ようとバーバーに連絡を取ったハッチは、プラマービルが麻薬や酒の密輸ルートとなっていることを教えられる。町を仕切っているのはワイアットという男で警察ともグル。だが、その上には世にも恐ろしきレンディーナという闇の女帝がいるらしい。レンディーナに逆らえば、一族が根絶やしにされてしまう可能性すらある。ハッチがレンディーナとやり合うのは自由、しかし援護はしないとバーバーから言われるが、見て見ぬふりをすることはできず……。

ボブ・オデンカーク演じるハッチはなかなかカワイイおっさんだけど、どう見ても強そうではありません。ところがキレたら最後、誰も太刀打ちできないぐらいの強さを発揮します。前作同様それが可笑しくて。エイベルを演じるのはトム・ハンクスの息子コリン・ハンクス。これがもう憎たらしいのなんのって。本作を観ると、コリンは絶対に善人役はできないとすら思えます。父親似であることはまちがいないのに、どうしてこうも善人面した悪人役が似合うのか不思議(笑)。夫に愛想を尽かしかけているのにいちばんの理解者でもあるベッカ役のコニー・ニールセンは今年還暦。年相応の可愛い人だなぁと思います。

ハッチとデイヴィッド(クリストファー・ロイド)とワイアット(ジョン・オーティス)、そしてハッチと異母兄弟のハリー(RZA)が遊園地という場所をフルに生かしてレンディーナ(シャロン・ストーン)を迎え撃つのが最高に楽しい。セリーヌ・ディオンの“パワー・オブ・ラブ”の使い方も有効です。ただ、やっぱり前作のほうが面白かったかな~。

『愚か者の身分』

『愚か者の身分』
監督:永田琴
出演:北村匠海,林裕太,山下美月,矢本悠馬,木南晴夏,田邊和也,嶺豪一,加治将樹,松浦祐也,綾野剛他

109シネマズ箕面にて。本編の上映に10分ほど間に合わないことがわかっていたのですが、この週は予定目白押しだったため、今日観に行かなければ機会を逸するかもしれないと思ってとりあえず駆けつけました。

2019年に上梓された西尾潤のデビュー作を永田琴監督が映画化。もとは短編小説を対象とする公募新人文学賞・大藪春彦新人賞に応募した『東京愚男ダイアリー』という作品なのだそうです。2018年の受賞作で、翌年単行本化。途中まで読んだところで本作を鑑賞。読了時の感想はこちら。ハードボイルドな展開にてっきり男性作家だと思っていたら、作品からはまったく想像できない女性作家でビックリ。美容の専門家じゃあないですか。本作の後に書かれた著作もマルチ商法だったり無年金だったりをテーマにした痛そうな作品ばかりで惹かれます。

戸籍売買を扱う半グレ集団の一員、柿崎マモル(林裕太)。劣悪な家庭環境から抜け出すべく都会にやってきたものの、金も住むところもなく困っていたのを救ってくれたのが松本タクヤ(北村匠海)。

あるとき、タクヤは半グレ集団の幹部・坂口(嶺豪一)からタタキ(=強盗)の話を持ちかけられる。坂口が言うには、集団のトップであるジョージ(田邊和也)が隠し持つ1億円を奪い取り、集団を抜けたばかりの奴に罪を着せようと。断れなかったタクヤだが、危険を感じてすぐに逃げることもできるように準備を始める。彼をこの世界に引き入れた梶谷剣士(綾野剛)にパスポートの偽造を頼み、マモルのこともなんとかしようと考えて。

案の定タタキがバレ、坂口はあろうことかすべてタクヤがやったことだとジョージに告げる。自宅で襲われたタクヤは酷い目に遭わされる。角膜や臓器を望む富裕な買い手のためにもぐりの病院へタクヤを搬送することになったのは剣士で……。

原作を読んだとき、私がマモルとしてイメージしていたのは北村匠海のほうでした。マモルが北村匠海、タクヤが綾野剛だと思っていたから、林裕太が演じているのを見て最初は違和感を持ちましたが、そうか、タクヤに綾野剛だとちょっと年齢的に行きすぎていますね。

やばいことに手を染めていながら、人のことを放っておけない兄貴分のタクヤは、病で亡くなった自分の弟の姿をマモルに重ね、なんだかんだと世話を焼かずにいられません。で、そんなタクヤを可愛がっているのは剣士。上の命令に逆らえば自分が殺されることがわかっているけれど、タクヤを見殺しにすることなんてできません。観ているうちに、どうか彼らが生き延びて幸せを感じることができますようにと願ってしまう。

戸籍を売らなければ暮らせないさまざまな人。本作ではそのうちのひとりを矢本悠馬。カネほしさに情報集めを手伝う女性に山下美月。剣士の恋人役の木南晴夏の明るさに救われる。

生きていればいいこともあるよと言ったところでそれが真実かどうか。でも信じて生きていてほしい。暗くて凄絶な話ではあるけれど、救いもあります。

『2019 BTS WORLD TOUR ‘LOVE YOURSELF: SPEAK YOURSELF’ LONDON』【4Kリマスター特別編集版】

“BTS MOVIE WEEKS”のひとつめが『2016 BTS Live 花樣年華 On Stage : Epilogue』、ふたつめが『2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR THE FINAL』で、これらは連続した週に公開されました。その後1週あいてからこの3つめの公開に至る。

先の2本はARMY(と名乗ってよいのかどうかもわからないけれど)になってまだ1年ちょいの私は知らない曲も多かった。本作は『LOVE YOURSELF 結 ‘ANSWER’』を聴きまくったこともあり、知っている曲ばかり。それもあって、これまでの3作の中でいちばん楽しいライブでした。2016年から3年経つと、だいぶ大人になっているなぁと感慨深かったりも。昔からのARMYじゃないのにすみません。

ピンクがここまで似合う人たち、何なん。パステルピンクが致命的に似合わない私は、あまりにピンクが似合っている彼らを見て苦笑い。カッコイイだけじゃなくてお茶目な面をライブでもいろいろ見せてくれて、さらに沼状態に陥ります。

この日は日本シリーズをテレビ観戦するのが怖くて本作に逃げました。帰りの車に乗り込んだら案の定、大差で阪神が負けている。だけどこれを観ていたおかげで悔しさよりもジョングクの可愛すぎる表情を思い出してニヤニヤ。これはもう1回観たいけど、2回観る機会はないだろうなぁ。4つめを楽しみに待つことにします。

『ローズ家 崖っぷちの夫婦』

『ローズ家 崖っぷちの夫婦』(原題:The Roses)
監督:ジェイ・ローチ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ,オリヴィア・コールマン,アンディ・サムバーグ,アリソン・ジャネイ,ベリンダ・ブロミロウ,スニータ・マニ,チュティ・ガトワ,ジェイミー・デメトリウ,ゾーイ・チャオ,ケイト・マッキノン他

北新地でひとりランチのあと、大阪ステーションシティシネマにて。この2日前にぎっくり腰になったところだったから、ついつい歩くのも慎重になるのですが、私の着席後に通路を上がって来られた男性が階段につまずいて派手に転倒。ポップコーンをお連れの方に託してすぐに退場されたので、手でも洗いに行かれたのかと思っていたら、劇場スタッフに清掃を頼みに行かれたのでした。痛いし恥ずかしいしポップコーンは台無しになるし、悲しかったでしょうに、偉い。あの男性も本作を楽しまれたならいいなぁと思います。

さて本作は、ダニー・デヴィート監督、マイケル・ダグラスとキャスリーン・ターナーの共演で大ヒットした『ローズ家の戦争』(1989)のリメイクです。おそらく公開年に観たはずで、なんとなくは話を覚えているものの35年以上前のこと。ウィキで調べてみたら、オリジナル版は夫の職業が企業内弁護士、妻はケータリング会社を設立。そして夫婦仲はリメイク版よりずっと早くに破綻して、ふたりの応酬もえげつなかったような感じです。

リメイク版の監督は“ミート・ザ・ペアレンツ”シリーズのジェイ・ローチ。夫役にベネディクト・カンバーバッチ、妻役にオリヴィア・コールマン。このキャスティングはバッチリだと思います。結構笑いました。

ロンドンで運命的な出会いを果たした建築家のテオ・ローズと料理人のアイビーは一緒にアメリカに移住してすぐに結婚。10年後、カリフォルニア州メンドシーノ郡の海に面した町で、男女の双子ロイとハティを育てながら幸せに暮らしていた。建築家として波に乗るテオは、アイビーがレストラン“カニカニクラブ”を開業できるようにアシスト。週3日程度の営業でのんびりとカニカニクラブを切り盛りしながら子育てを楽しむアイビー。まさにローズ家は順風満帆。

ところがある嵐の夜、テオが手がけた海軍歴史博物館のてっぺんに設けた帆船のオブジェが強風でぶっ飛び、そのせいで博物館の建物自体も大きく破損する。一方、カニカニクラブには嵐による道路の封鎖によって身動きできなくなった人々が押し寄せる。その中にいた著名なグルメ評論家がアイビーの料理を絶賛。翌日からSNSを見てやってくる客たちで連日大盛況。テオは壊れた博物館の責任を問われて解雇されたものだから、アイビーに代わって子どもの世話を一手に引き受けることになるのだが……。

英語、わかりません。わかりませんよ。でも、この主演ふたりのイギリス英語でやり合っているのを聞いているのがなんとも言えず楽しい。お互いに一瞬にして恋に落ちる出会いのシーンが可笑しくて、双子に恵まれてからも絵に描いたような幸せな家庭を築いていたのに、男女の役割が反対になるとこうも悪い方向へ進むものでしょうか。

35年前だと、今よりもっと「男が稼ぎ、女は家庭を守る」という時代だったかと思います。たぶん今もその意識はあるから、専業主婦だった妻が突然もてはやされて金を稼ぎまくるようになると、逆に無職になった夫は素直に喜べない。美味しいものを食べさせてくれるママのことが大好きだった子どもたちも、いつしか運動マニアのパパに鍛えられて甘いお菓子には見向きもしなくなります。子どもたちが離れてゆくのは寂しいのに、仕事が楽しくて辞められない。両立するのはむずかしいものなのだとつくづく思わされるのでした。

殺し合いにまで発展していながら、最後は気持ちを取り戻す。ハッピーエンドだと思ったところでこのオチ。だけどこれも一種のハッピーエンドなのではないでしょうか。