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『リンダ リンダ リンダ』【4K】

『リンダ リンダ リンダ』
監督:山下敦弘
出演:ペ・ドゥナ,前田亜季,香椎由宇,関根史織,三村恭代,湯川潮音,山崎優子,甲本雅裕,松山ケンイチ,小林且弥,小出恵介,三浦哲郁,三浦誠己,りりィ,藤井かほり,浜上竜也,山本浩司,山本剛史,近藤公園,ピエール瀧他

芦屋でランチしてべろべろに酔っぱらった後、朝イチで『パルテノペ ナポリの宝石』を観た大阪ステーションシティシネマに戻り、2005年製作の本作を観ました。2005年当時、『バカのハコ船』(2002)や『リアリズムの宿』(2003)を観て山下敦弘監督のことを面白い作品を撮る人だなぁと思っていました。なのにそれよりもずっと話題になった本作はなぜか観ていなかったのです。20年経った今、再上映してくれて嬉しい。

芝崎高校軽音楽部。高校生活最後の文化祭を3日後に控えて途方に暮れる女子3名。もとは5名だったのだが、ギター担当者が指を骨折したことに端を発してメンバーが決裂。ギターとボーカルがバンドを抜け、残ったのはドラムの響子(前田亜季)、キーボードの恵(香椎由宇)、ベースの望(関根史織)。そんなとき、偶然耳にしたブルーハーツの“リンダ リンダ”。これなら3人しかいなくても演奏できるんじゃないだろうか。そこをたまたま通りかかった韓国人留学生ソン(ペ・ドゥナ)に声をかけ、ボーカルに抜擢。ギターは必須だから、キーボード担当だった恵がやむを得ずギターを弾くことに。こうして誕生した急造バンドは、本番に向けて猛練習を開始する。

韓国から来てなかなか周囲になじめずにいたソンが恵から突然声をかけられてふたつ返事で引き受けるところに笑う。ソンには何でも適当に返事をしてしまうところがあって、このときも深く考えずにした返事。けれど終盤、恵に「ありがとね。バンドに誘ってくれて」と言うシーンを見れば、やっぱり嬉しかったのだろうなぁと思います。青春って素敵だなと思わずにはいられない。

この4人ももちろん今でも活躍中ですが、それよりもむしろ脇役だった男子たちが成長して俳優としていま活躍しているのが興味深い。響子が片想い中の一也を演じる小林且弥『水平線』(2023)で俳優としてのみならず監督デビューを果たし、ソンに好意を寄せる裕作役の松山ケンイチの売れっ子ぶりについては言わずもがな。恵の元カレ役が三浦誠己で、小出恵介ピエール瀧はいろいろあったけど復活していますし。今の彼らを知っていれば、かつての彼らを見られるのはうんと楽しいものですね。あ、周知の事実でしょうが、ブルーハーツの甲本ヒロトの実弟である甲本雅裕の先生役もとても良い。

カラオケ店が出てくるのは同監督の『カラオケ行こ!』(2023)の伏線かしらと思っちゃいませんか(笑)。

『パルテノペ ナポリの宝石』

『パルテノペ ナポリの宝石』(原題:Parthenope)
監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:チェレステ・ダッラ・ポルタ,ステファニア・サンドレッリ,ゲイリー・オールドマン,シルヴィオ・オルランド,ルイーザ・ラニエリ,ペッペ・ランツェッタ,イザベラ・フェラーリ,ロレンツォ・グレイジェセス,ダニエレ・リエンツォ,ダリオ・アイタ他

友人とナポリ料理のお店でランチする約束をしていた日曜日、その前に映画を1本観られるのではないかと思い、あちこちの劇場スケジュールを調べてみたら、おおっ、うってつけの作品があるじゃあないか。ナポリを舞台にした本作に即決して、大阪ステーションシティシネマで8:45からの回を予約しました。

監督はまさにそのナポリ出身のパオロ・ソレンティーノ。イタリアの巨匠と言われていますが、私の中では巨匠って80歳ぐらいの爺さんのイメージ。ソレンティーノ監督はまだ50代なかばです。監督作だってそれほど多くないですしね。巨匠とか名匠って、いつどの時点で呼ばれるようになるのかしらん。

1950年の南イタリア・ナポリ。裕福な家庭に長女として生まれた娘はパルテノペと名づけられる。パルテノペとはもとはギリシャ神話に登場する人魚の名前で、ナポリの街を意味する言葉。長男のライモンドはパルテノペの誕生をほかの家族と共に見守り、妹にこのうえない愛情を抱いている。パルテノペと幼なじみのサンドリーノ、そしてライモンドは共に楽しい子ども時代を過ごし、美しく成長するパルテノペを女神と崇めて見守る。勉学も好むパルテノペは聡明さでも人々を魅了。大学では人類学を専攻し、試験の審査に当たる教授たちをも舌を巻く解答をしてみせる。

ある夏、ライモンドはパルテノペとサンドリーノをカプリへ行こうと誘う。パルテノペが歩けばその美貌に誰もが目を奪われて注目の的。プールサイドで声をかけてきたのが彼女の憧れの作家ジョン・チーヴァーだとわかり、パルテノペは興奮。ジョンについて行くが、その様子をヘリコプターで上空から見つめていた富豪も彼女を誘おうと必死。こんなふうにモテまくりのパルテノペを見るにつけ、どうしてよいかわからないライモンドとサンドリーノ。特にライモンドの苦悩は深まるばかりで、ついに海に身を投げてしまうのだが……。

ソレンティーノ監督の年齢を知ったのは鑑賞後でした。だから、もっとジジイだと思っていて。オープニング、ビーチや街で映し出されるセクシーな美女やマッチョなイケメンに、ジジイの妄想丸出しやなと思いました(笑)。ところが、ソレンティーノ監督はまだ若かった。そもそも1950年って、監督はまだ生まれてもいないじゃあないですか。最初はそんな感じで好意的に観ることはできなかったのですけれど、それでも風光明媚なナポリを眺めるのはそれだけで楽しいなと思っていたら、話はジジイの妄想ではなくなってゆきます。

パルテノペ役のチェレステ・ダッラ・ポルタはこれが映画デビューだそうで。大抜擢。確かに美しい。ただ、クールビューティーという感じではなく、誰にでもニッコリ微笑んで思わせぶりな態度を取るから罪。みんな骨抜きにされちゃうんです。こんな女性が裸に近いような服を着て歩いていても襲われないんだろうかと心配になるけれど、そうはならないのはナポリだからなんですか。知らんけど。

普通に終わるのかと思ったら、終盤度肝を抜かれるシーンがあります。教授の息子、それ!? 塩と水でできている? 彼を見ても驚かず、「美しい」と微笑むパルテノペは只者ではない。だからこそ教授は息子をパルテノペに紹介したのでしょうね。このパルテノペの感覚は素敵だと思いました。

近親相姦的な雰囲気や、ゲイなのかゲイじゃないのかという雰囲気が印象に残ります。パルテノペ同様に思わせぶりな作品。退屈はしません。これだけ美しければ、何でもいい。

『大統領暗殺裁判 16日間の真実』

『大統領暗殺裁判 16日間の真実』(英題:Land of Happiness)
監督:チュ・チャンミン
出演:チョ・ジョンソク,イ・ソンギュン,ユ・ジェミョン,ウー・ヒョン,イ・ウォンジョン,チョン・ベス,ソン・ヨンギュ,チェ・ウォニョン,カン・マルグム,パク・フン,イ・ヒョンギュン,チン・ギジュ,ユ・ソンジュ,キム・パブレ他

に面会するため老健に寄り、そのまま車で大阪市内へと向かう。この日の最終目的地はなんばグランド花月だったから、新喜劇を観る前にTOHOシネマズなんばかなんばパークスシネマで何か映画を観たいと思っていました。しかし『隣のステラ』『バレリーナ The World of John Wick』は封切り日だった前日にすでに鑑賞済みで、相変わらず『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』『国宝』が席巻中のなんばでは観るものがない。で、駐車場代がバカにならんなぁと思いつつ、途中梅田スカイビルに入庫してテアトル梅田でこれ1本だけ観たのでした。

『KCIA 南山の部長たち』(2020)や『ソウルの春』(2023)でも描かれたパク・チョンヒ暗殺事件。こうも何度も同じ事件を取り上げて映画化しなくてもいいのではと思うのですが、それだけこの事件が衝撃的だったということですよね。「またぁ!?」と思いつつ観に行ったのに、結局私も居眠りする隙なんて一瞬たりともないまま最後まで。監督は『王になった男』(2012)のチュ・チャンミン。

1979年10月26日、独裁者と言われていた韓国大統領パク・チョンヒが暗殺される。犯人として逮捕され起訴されたのは、韓国中央情報部部長以下7名。民主主義のために闘おうとした彼らを見殺しにしてはならないと弁護団が結成されるが、中央情報部部長随行秘書官パク・テジュ(イ・ソンギュン)のみ弁護人が見つからない。なぜならテジュは7名のうち唯一の現役軍人だから。ほかの6名が三審制で裁かれるのに対して、テジュについては軍法に則った単審となるのだ。弁護団は彼の弁護を引き受ける者を手を尽くして探す。ようやく引き受けることになったのは、「裁判は善悪を決めるものではなく、勝つか負けるか」と言ってはばからないチョン・インフ(チョ・ジョンソク)で……。

軍法に則った裁判では確実に不利になるから、インフはなんとか方法を見つけてテジュにも三審制の裁判を受けさせようとしるのに、自分は軍人だから軍人として裁きを受けると言ってテジュは聞きません。寡黙で実直、上からも下からも軍人の鏡と言われていた彼にインフは自らの父親の姿を重ねます。インフの父親は牧師で、罪なき学生がアカ扱いされているのを見過ごせずに匿い、投獄されました。拷問を受けても屈することなく、学生たちをアカだとは決して言わなかった父親。そのせいで家族がつらい思いをしても主張を変えなかった父親。いまテジュの妻子も同じような目に遭っているのに、嘘はつけないと言うテジュ。

同事件を描いたなかでもいちばん柔らかめというのか、笑えるシーンが多々あります。それだけに最後は心が削り取られるよう。テジュを演じたイ・ソンギュンのこれが遺作となりました。エンドロール後の「彼を忘れない」という追悼句にも涙が出そうになります。

独裁者でも崇拝する人が多いのはなぜですか。独裁者につく人なんて、みんなすぐに寝返りそうな人ばっかりじゃないかと思ってしまうのですけれど。

『バレリーナ:The World of John Wick』

『バレリーナ:The World of John Wick』(原題:From the World of John Wick: Ballerina)
監督:レン・ワイズマン
出演:アナ・デ・アルマス,アンジェリカ・ヒューストン,ガブリエル・バーン,ランス・レディック,カタリーナ・サンディノ・モレノ,ノーマン・リーダス,イアン・マクシェーン,キアヌ・リーヴス他

封切り日、前述の『隣のステラ』の次に、同じくイオンシネマ茨木にて。

“ジョン・ウィック”シリーズのスピンオフ作品。予告編が流れはじめた頃どころかこうして本編を目にするまでスピンオフだとは知らなくて、そっか、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023)でキアヌ・リーヴス演じるジョン・ウィックは死んだから、彼の身内の少女が敵討ちでもするんだわと思っていました。全然ちゃうやん。時系列としては、『コンセクエンス』とその前作『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019)の間に位置づけられるのだそうです。

監督は主にTVシリーズで活躍するレン・ワイズマン。リブート版『トータル・リコール』(2012)の人ですね。映画監督としては“アンダーワールド”シリーズでデビュー。それが縁でケイト・ベッキンセイルと結婚するも十数年後に離婚したそうです。ジョン・ウィックの身内でも何でもない女性(笑)を演じるのは『ブレードランナー 2049』(2017)や『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)のアナ・デ・アルマス。同性が憧れるスカヨハ姐さんとはタイプが違うけれど、こっちもカッコイイ。

目の前で父親を殺された少女イヴ・マカロは、“コンチネンタルホテルニューヨーク”の支配人ウィンストンの計らいでジョン・ウィックを輩出した闇組織“ルスカ・ロマ”に預けられる。ルスカ・ロマのディレクターのもと、バレエの指導を受けるとともに殺しのテクニックを叩き込まれたイヴは、12年後、バレリーナとしてのみならず一流の暗殺者へと成長。

父親を殺したのが何者なのか知りたいと考えたイヴはウィンストンを訪ね、世にも恐ろしい暗殺教団の存在を示唆される。ただし、その教団とルスカ・ロマの間にはお互いに干渉しないという暗黙の協定が結ばれており、もしもイヴが教団に乗り込めば掟破りということになる。ディレクターから止められるのも聞かず、教団がいるとおぼしきヨーロッパのとある田舎町へと向かったイヴは……。

ネタバレになりますが、教団は過去千年の間、町ごと統括してきました。一見のどかなこの町では、よそ者が来ればすぐさま排除するのが当たり前。住民たちはおそらく何の疑いもなく自分たちが教団に守られていると感じています。外の世界は危険で、ここにいるからあなたたちは平穏に暮らしていられる。某国のことかと思いましたが(笑)、某国より暮らし向きは良さそうで、住民の誰もが安定した生活を送っていそう。だったら出て行こうとは思わないか。

こんな町から出て行くことを決意したのがイヴの父親でした。イヴの母親が教団の一族で、一族に生まれついたからには教団から抜けることは決して許されない。娘に暗殺者の人生を歩ませたくなかった父親はイヴを連れて脱出。その責任を母親は取らされて亡き者に。教団の主宰はイヴを奪還すべく追ってきて、イヴの父親を殺したというのが冒頭のシーン。後に主宰の息子もイヴの父親同様に自分の娘を連れて教団から脱出しますが、血族を絶やすことがあってはならないと考える主宰は、自らの息子すら暗殺の対象にする。それをこの町の住民は誰もおかしいと思わない。感覚が狂っています。

ジョン・ウィックの出番はさほどないのかと思いきや結構ある。掟破りのイヴを処刑するためにディレクターが彼を町に送り込みます。主宰とディレクターは、ジョン・ウィックがイヴを殺すまで周りは手出しをしないという約束を交わすけど、我らがジョン・ウィックは最終的にはイヴの味方。胸のすく展開。

コンチネンタルホテルニューヨークのコンシェルジュ役、ランス・レディックは確か亡くなったはずが出演していたので、嬉しくなるとともに私の勘違いだったかと思っていましたが、本作のクランクアップ数週間後に急逝とのこと。本当に残念です。次のスピンオフでは誰がコンシェルジュを演じるのでしょう。あと、どうでもいいことだけど、コンチネンタルホテルの支配人役のイアン・マクシェーンって、教団主宰役のガブリエル・バーンと雰囲気似すぎでややこしい。

余談ですが、トム・クルーズと野原ひろしの吹替を担当する森川智之って、キアヌ・リーヴスの声も担当しているのですよね。俄然、吹替版も観たくなってきました。

『隣のステラ』

『隣のステラ』
監督:松本花奈
出演:福本莉子,八木勇征,倉悠貴,横田真悠,西垣匠,田鍋梨々花,清水美砂,宮崎吐夢,紺野まひる,野波麻帆,浜野謙太他

封切り日にイオンシネマ茨木にて。

原作は餡蜜の同名人気少女漫画で、2022年2月より『別冊フレンド』にて連載中。監督は『明け方の若者たち』(2021)の松本花奈。彼女はもとは女優で慶應大卒で容姿端麗、『サイドカーに犬』(2007)などにも出演。『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)の脚本家でもあります。学歴差別だルッキズムだというけれど、与えられた役を演じる側だった才色兼備な女性が自分でメガホンを取るようになればそりゃ話題になります。天は二物を与えずということはない(笑)。

高校生の天野千明(福本莉子)と柊木昴(八木勇征)は同い年、家が隣同士の幼なじみ。幼少期から今までいつも一緒にいる仲だったが、昴が芸能界入りしてたちまちスターに。昴への想いを打ち明けられないまま、何かと忙しい昴の母親・透子(紺野まひる)に代わって昴を起こすなど、すっかり世話係となっている千明。寂しくはあるが、昴のそばにいられることは嬉しい。

ある日、昴はドラマのオーディションに合格。人気女優の篠原葉月(横田真悠)と共演することが決まり、キスシーンもあると聞いた千明は気が気ではない。親友たち(西垣匠田鍋梨々花)からも発破をかけられて昴に告白するが、幼なじみ以上には考えられないとの返事。落ち込んでいたところ、バイト先の先輩・高橋雄大(倉悠貴)からデートに誘われて……。

評判良いようですが、中盤すこし寝ました(笑)。すみません。なんというのか王道すぎて、想定外のことが何も起こらないんです。ちょっと違うのは「幼なじみの片方がアイドルになってしまった」、それだけだし。八木くんはこういうスターの役にはどうもハマらない気もして、『矢野くんの普通の日々』(2024)なんかのドンくさい彼のほうが好きでした。倉くんに注目しはじめたのは主役を張っていた『OUT』(2023)のときからですが、『傲慢と善良』(2024)のようなチョイ役でも温かみがあるし、直近の『リライト』では脇役ながらいちばん奮闘する根っからのイイ奴で存在感ありあり。

この人を見れば必ず思い出す1990年のドロドロ大ヒットドラマ『クリスマス・イブ』。その清水美砂(2008年に清水美沙に改名→2022年に再び清水美砂に戻す)がこうして福本莉子の母親役を演じているのだから、時の流れを感じます。彼女が親友(仙道敦子)の恋人(吉田栄作)を寝取ろうとする姿は強烈でした。この時代はこんなドロドロのやつが大流行りで、同年のドラマ『想い出にかわるまで』では姉(今井美樹)の婚約者(石田純一)を妹(松下由樹)が寝盗ったり。しかもオトコはみんなその術中にドボンとハマるんですよね。アンタらワラける。あ、脚本はどちらも内館牧子だ。

あ、話がすっかり逸れちゃった。つまり、こんなドロドロにはならないから、話が読めすぎて眠くなるってことです。それほど意地悪な人が出てこなくてドロドロじゃないほうが安心できていいですけどね。これは安心できすぎて、会話もちょっとオバハンが観ると恥ずかしい。ひとりで照れている自分が可笑しかった。