「3冊」になっているけれど、1冊は既読本が映画化されたときの感想だから「2冊」です。ぜっんぜん読めません。ひと月に15冊とか読んでいた頃の私って何!? そして毎月、今月はがんばろ♪と思うけど、たぶん今月もムリ(泣)。
2025年8月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:1072ページ
ナイス数:563ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2025/8
■近畿地方のある場所について
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】封切り日に鑑賞しました。もともとホラーは苦手で何年か前までは完全に避けていたけれど、ここ最近は取捨選択せずにホラーも観ています。が、ビビりなのは相変わらずだから、「来そうだな」と思うと目を伏せる。そうしたら、ここ数年でいちばん「直視はしていない鑑賞」になりました(笑)。オカルトがお得意な白石監督らしく、映像も音もおどろおどろしい。だけど、物語としての面白さはイマイチで、特にオチには唖然呆然。ま、ほとんど画面を直視していない私に言われても……とは思います。(^^;
読了日:08月10日 著者:背筋
https://bookmeter.com/books/21248687
■怪談小説という名の小説怪談 (新潮文庫 さ 98-1)
ホラーを読むときの私は酒の力を借りて恐怖心を麻痺させることが多いのですが、先月末に夏風邪をひいてから飲酒欲が薄いせいで素面で読むはめに。ビミョーに怖い7編を前になかなか進めませんでした。今さら気づいたのは、都会を舞台にした話よりも森や山に囚われる話のほうが私は怖いということ。三津田信三の『八幡藪知らず』然り、宇佐美まことの『入らずの森』然り、本作中の『こうとげい』にも逃れられない大きな力を感じます。毎度怖い思いをしながらもホラーを読むのをやめられないのは、すでに取り憑かれているということですよね。(^^;
読了日:08月11日 著者:澤村 伊智
https://bookmeter.com/books/22640471
■俺ではない炎上 (双葉文庫 あ 71-01)
他人の使う日本語について、主人公の泰介のように指摘はしませんが、私も「ら抜き」や「さ入れ」がどうにも嫌いです。若いお母さんが子どもに向かって「歩けれる?」と声をかけているのを聞いたときは世も末だと思いました(笑)。そんなだから、「文字どうり」という字面を見るたびに眉間に皺を寄せていたら、なるほどそのおかげで泰介のことを信じてくれる人がいたとは。もともと好きか嫌いかは別にして、無実の人が理不尽な目に遭っているなら見ないふりをしてはいけない。無実の人を貶める行動に走ってはいけない。「正義の心」を持ちたいです。
読了日:08月21日 著者:浅倉 秋成
https://bookmeter.com/books/21939441
『親友かよ』
『親友かよ』(英題:Not Friends)
監督:アッタ・ヘムワディー
出演:アンソニー・ブイサレート,ピシットポン・エークポンピシット,ティティヤー・ジラポーンシン,タナコーン・ティヤノン,ナティチャ・チャンタラヴァリーレカ,インカラット・ダムロンサッククン,プラモート・スワングソーン他
シアターセブンにて前述の『おばあちゃんと僕の約束』とハシゴ。第96回アカデミー賞国際長編映画賞のタイ映画代表として出品されましたがノミネートには至らず。同賞にノミネートされたのは『PERFECT DAYS』(2023)、『雪山の絆』(2023)などで、受賞したのは『関心領域』(2023)でしたね。『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017)の監督ナタウット・プーンピリヤ(別名:バズ・プーンピリヤ)が製作に名を連ねています。もうひとりの製作者ワンリディー・ポンシティサックは『ホームステイ ボクと僕の100日間』(2018)や『バーン・クルア 凶愛の家』(2023)のプロデューサーでもあるのですね。
高校3年生の男子ペー(アンソニー・ブイサレート)は、あと1学期を残すのみという時期に恋人メイジからふられる。ペーの人格を否定するような言葉を投げつけられたうえに、彼女が新しくつきあうのは女子と聞かされてペーは激怒。カッターナイフで彼女に切りかかり、刃傷沙汰となって退学処分を言い渡される。
致し方なく別の高校へ最終学期に転入したペー。隣席のジョー(ピシットポン・エークポンピシット)が人懐っこい笑顔で話しかけてくるが、どうせすぐに卒業するんだもの、友達なんか要らない。ほぼ無視してもなんだかんだと話してくるジョーだったが、ある日、ペーの目の前でジョーが事故に遭って死んでしまう。
同級生の死を最初はみんな悼むけれど、じきに忘れてしまうだろう。ペーだって特に感慨はない。そう思っていたところへやってきた大学生が、短編映画のコンテストにエントリーすることを勧めてくる。もしも入賞すれば無試験で大学に入学できるというではないか。成績が良いわけでもなく、大学に合格しなければ家業の製粉工場を継ぐように父親から言われているペーは、絶好のチャンスを逃す手はないと考える。
ジョーに返し損ねたUSBの中を確かめると、そこにはジョーが書いた感動的な短編が収められていた。それはジョーが短編小説コンクールに応募した作品で、大賞受賞が決まっていたのに、ジョーの死亡により取り消されたらしい。ペーは自分がジョーの親友だったと偽り、この短編を映画化して大学への推薦入学を狙いたい。校長やジョーの親もペーの企画を喜び、卒業式でジョーを追悼する会を開催して映画を上映しようということになる。
ところが自分こそがジョーの親友だったという女子ボーケー(ティティヤー・ジラポーンシン)が現れ、ペーのことを嘘つき呼ばわり。実際に嘘つきだから反論できずにいたところ、ボーケーも映画の撮影につきあうと言い出す。さらには、学校に古いパソコンしかなくて嘆いていた映画オタクたちを捕まえて協力を要請。校長がペーのために最新のパソコンを用意してくれると言うからそれで釣って。
映画オタクには嬉しいネタ満載。クリストファー・ノーランやスタンリー・キューブリックやマーティン・スコセッシ、J・J・エイブラムス、“スター・ウォーズ”シリーズの数多くのキャラクター創造者で、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023)で製作総指揮を務めたジョージ・ルーカスなどなど、登場する名前は数知れず。『TENET テネット』(2020)を参考に映画を撮影しようとするシーンは相当おもしろい。映画じゃないけど、男子高校生の夢に「日本へ行って“一蘭”のラーメンを食べる」なんて夢もあって笑っちゃいます。
ジョーが想いを寄せていたリウ(ナティチャ・チャンタラヴァリーレカ)との関係、実はジョーのことが好きだったとおぼしきボーケーとの関係、それぞれに切なくてめちゃめちゃ青春。本当はそんなに親しくなかったとしてもこうして思い出せばいい。今まで観たタイ作品の中でいちばん好きでした。
『おばあちゃんと僕の約束』
『おばあちゃんと僕の約束』(英題:How to Make Millions before Grandma Dies)
監督:パット・ブンニティパット
出演:プッティポン・アッサラッタナクン,ウサー・セームカム,サンヤ・クナコーン,サリンラット・トーマス,ポンサトーン・ジョンウィラート,トンタワン・タンティウェーチャクン他
世間のお盆休み最終日と思われる日曜日、朝イチで十三のコインパーキングに入庫してから阪急電車と地下鉄を乗り継いでなんばへ。NGKで漫才と吉本新喜劇を観た後になんばでひとりランチ、そしてまた十三へ戻る。シアターセブンにて2本ハシゴの1本目。ランチに寄ったお店が数カ月前とは別の店になったのかと思うほど『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』一色。『ファンタスティック4』はヒット中とは言えない程度の客入りでしょうから、なんだかちょっと痛々しい。
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017)の製作陣が手がけて本国で大ヒットしたというタイ作品。“バッド・ジーニアス”のTVドラマ版の監督パット・ブンニティパットの長編デビュー作なのだそうです。
青年エム(プッティポン・アッサラッタナクン)は母親と二人暮らし。金を儲けて母親シウ(サリンラット・トーマス)に楽をさせてやりたいと言って大学を中退したくせに、家の手伝いすらろくにせずにゲーム三昧の日々を送る口先だけのお調子者。一人暮らしの祖母メンジュ(ウサー・セームカム)は慎ましい生活を心がけ、シウの兄弟に当たるキアン(サンヤ・クナコーン)やスイ(ポンサトーン・ジョンウィラート)らと先祖の墓に集まることを大事にしているが、そんな場でもエムのふるまいは超適当。メンジュから「どうしようもない子だ」と言われたところで気にも留めない。
ある日、メンジュがステージ4の大腸がんで余命わずかであることがわかる。エムとかつて交際していたこともある友人ムイ(トンタワン・タンティウェーチャクン)が看護師の資格を取って彼女の祖父を介護した結果、その祖父は自身の子どもたちには遺産を相続させず、豪奢な家も何もかも孫のムイに遺したらしい。それを聞いたエムは、今からメンジュが死ぬまで面倒を見れば、きっと孫の自分に遺産を相続させるだろうと考える。メンジュはムイの祖父のような金持ちではないものの、持ち家もあるし、どれぐらいかは不明だが貯金だってあるはず。下心バリバリでメンジュの家に移り住んだエムだったが……。
クズなんです、このエムが。今までは婆ちゃんの言うことなんてまるで聞こうとしなかったのに、ムイの件を知ってからはいきなり婆ちゃんに優しく接しようとする。バレバレですよね。メンジュは告知を受けていなかったのに、エムがベラベラとしゃべってしまうし。しかし金の目算をしているのはエムのみならず、メンジュの息子ふたりも同じこと。長男のキアンはそれなりの社会的ステータスがあるようだけど、メンジュが大腸がんだと知ると途端に妻子を連れて実家に顔を出すようになる。さらに次男のスイはエムに輪をかけたほどのクズで借金だらけ。実家を頂戴して自らの借金返済に充てたいと思っています。実家から金をくすねることもある。唯一、娘のシウだけは、母親に残された時間をできるだけ一緒に過ごそうと仕事を夜勤に変えるけれど、息子のエムから「母さんだって遺産を狙っているんじゃないの」と言われてしまう。バカ男3人。
メンジュが実家をスイに相続させるつもりなのがわかってガッカリしたエムは、メンジュの面倒を見るのをやめてしまいます。一銭もくれないなんてと責めることすらするのですから、どこまでクズなんだと思っていたら、やっぱり最後はそうならない。メンジュが亡くなってから思い出す、祖母と自分の約束。いや~、これは泣く。
大腸がんと聞くと、母のことも思い出します。幸いにして(?)、母はメンジュほど闘病生活が長くなかったし、年齢的なものもあって化学療法は受けず、ここまでつらそうな顔は見ませんでした。できるかぎりのことはすべてしたつもりでも、後からいろいろ思うのですよね。あのときこうすればよかった、ああすればよかったなどと。お母さん、空の上はどうですか。死んでいるのにこんなことを聞くのも変だけど(笑)、元気だといいなぁといつも思う。
『ChaO』
『ChaO』
監督:青木康浩
声の出演:鈴鹿央士,山田杏奈,シシド・カフカ,梅原裕一郎,三宅健太,太田駿静,岡野友佑,川上ひろみ,土屋アンナ,くっきー!,山里亮太他
前述の『Sky ふたつの灯火 前篇』を109シネマズ大阪エキスポシティで観たあと、109シネマズ箕面へ向かう。上映初日だった本作を鑑賞。客は私を含めて2人のみで、エグゼクティブシートの端っこに私、中央に男性客。これってなんか気まずいのですよねぇ。エグゼクティブシートの端と端ならまだしも、小さめシアターのエグゼクティブシートの端っこ席と中央席って、間に1席しかないですから。もう少し離れて座ってほしかったと言いたくないこともない。(^^;
『鉄コン筋クリート』(2006)、『ムタフカズ』(2017)、『海獣の子供』(2019)、『映画 えんとつ町のプペル』(2020)のSTUDIO4℃がアニメーションを制作。監督は本作が長編デビューとなる青木康浩。
人間と人魚が共存する世界で船舶製造会社に勤務する平々凡々な男性ステファン。船のスクリューが海洋生物を傷つける事故が頻発するなか、ステファンがかねてから開発を望んでいるのはエアスクリュー。この開発が実現すれば人魚をはじめとする海洋生物が安心して海で暮らすことができるだろう。しかし社長のシーはそんな開発をしたところで会社は儲からないと一笑に付す。社長室の窓から見えるシー所有の船を羨望の眼差しで見つめるステファンは、乗りたいなら乗せてやるとシーから言われて小躍りするも、ステファンに与えられた仕事は甲板掃除。文句を言うこともできずに掃除していたステファンは、突然大波に襲われて海中に落ち、意識を失う。
目覚めるとベッドの上で、あんなにも冷ややかだったシーがなぜだか嬉しそうな顔をしている。目の前にはステファンに熱い視線を向ける大きな魚がいて、しゃべりだしたものだからビックリ。とても人魚とは思えないその魚は人魚王国のお姫様で、どういうわけだかお姫様とステファンが結婚することになったらしい。一生一緒にいると約束してくれたと言うお姫様。そんなことを言った覚えのないステファンは戸惑うが、この結婚はビジネスに吉と見るシーはステファンを昇進させ、エアスクリューの話も直ちに進めようと言う。
お姫様には歴とした名前があるらしいが長すぎる。「チャオ」と呼ぶことにしてふたりの生活を開始する。人魚とは名ばかりの、しゃべる魚との暮らしに憂鬱になるステファンだったが、エアスクリューが正式に商品化されることになったのは嬉しくてたまらない。一方のチャオは日々の生活の中でもステファンに喜んでもらおうと、彼の靴を洗ったり料理を学んだりするのだが……。
こんな魚と結婚することになって喜ぶ人間がおるはずないやんか。予告編を観たときにそう思っていました。こうして観はじめてからもムリムリ、ステファンがかなり気の毒などと思っていました。それでも絵が楽しくて魅入られる。“モノノ怪”シリーズを目にしたときの高揚感の再来。日本のアニメーション作品なのに、どうしてこんな上海の街並みっぽくしているんだろうという疑問もすぐに消え去り、上海だからこそのわちゃわちゃ感が楽しく見えてきます。オッサン顔の赤ん坊が歩いている姿なんて可笑しくてニヤニヤしてしまう。
人魚が人間に完全に心を許したときは、水の中でなくても人の姿になれるらしい。なんだ結局、魚のままじゃなくて美人が目の前にいるほうがええんやんかとは思います(笑)。だけど、チャオがステファンの前に現れた理由がわかりはじめるとジワジワ心が動かされる。
ステファンの声を担当するのは鈴鹿央士、チャオは山田杏奈、ステファンの友人ロベルタには梅原裕一郎。ロベルタの片想いの相手でチャオの良き友人となるマイベイにはシシド・カフカ。ステファンに取材する記者ジュノーは三宅健太、その上司である編集長の声は土屋アンナが担当。社長のシーはこれ誰の声だと思ったら山里亮太でした。なるほど、みんなピッタリ。
後味もよくて夏休みにはオススメの作品ですが、これをUPする頃には夏休みも終わりだろうなぁ。
『Sky ふたつの灯火 前篇』
『Sky ふたつの灯火 前篇』(原題:Sky: The Two Embers Part1)
監督:エヴァン・ヴィエラ
ナレーション:梶裕貴
どういう作品なのだか知らないままずっと気になっていましたが、上映は朝か真昼間の1回のみの劇場が多くて観に行けずにいました。週が変わってようやく終業後に駆けつければギリ間に合いそうな17:20からの上映あり。109シネマズ大阪エキスポシティへ。
アクションアドベンチャーゲーム“Sky 星を紡ぐ子どもたち”はアメリカのゲーム開発会社“thatgamecompany”が開発して2019年7月より配信開始。世界中にファンがいるゲームなのだそうですが、私は何もかもわからないまま観はじめました。どこの国の作品なのかすら知らなくて、あら、梶裕貴がナレーションを担当しているけれど日本のアニメーション作品ではないのねと驚いたぐらいで。はい、アメリカのアニメ作品です。以下、前知識なしで観た私が書くあらすじ。
孤児らしき少女。誰にもかまわれることなく、自分で作った木彫りのおもちゃを売って日銭を稼いでいる。ある日、海から引き上げられた生物の赤ん坊が政府に連れて行かれそうなのを見て、咄嗟にその赤ん坊を連れて逃げる。以来、身を隠しつつ暮らしていた少女と生物だったが見つかってしまい……。
本編後に日本人デザイナーらを含む制作関係者のコメント映像があり、これを観るまではいろいろとわからないことばかりでした。ゲームのファンを対象としている作品でしょうから、このゲームの存在すら知らなかった私が観るものではなかったかもしれません。しかし、コメント映像を観ればなるほどとわかって面白い。
舞台となっている国こそが“Sky”なのですね。『エリジウム』(2013)みたいな帝国が築かれているのかと思っていました。光を失ったSkyで人々が生きるためにはなんとかして光を集めなければならない。そこで体内に光を蓄えている生物を捕獲しては光を採取しています。このイルカのような見た目の生物が“マナティ”と呼ばれていることもコメント映像で知りました。光を採取されたマナティは死んでしまう。本編だけ観ると、政府のお偉いさんが自分たちのために光を採取しているように感じたけれど、民のためを思ってのことだったとは。
光を作る術を知る人はずっと前にいなくなってしまった世界でしたが、マナティを連れて逃げた先で蝋燭を見つけた少女が蝋燭の作り方を覚えます。暗闇に包まれた国で蝋燭に火の灯る様子のなんと美しいこと。
台詞はなし。少女の「あ」とか「う」とか、マナティの鳴き声がある程度。木で作られたかのような人物の顔は、目の部分に穴があいているだけで鼻も口もなし。最初は不気味にすら感じていましたが次第に慣れる。なんとも不思議で幻想的な作品でした。コメント映像のおかげでなんとなくどういう世界かわかったから、後篇までにもとのゲームのことももう少し知っておきたいですね。