『ENHYPEN WORLD TOUR [FATE] – HYBE CINE FEST IN ASIA』(英題:ENHYPEN World Tour [FATE])
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
7月中旬から下旬にかけて、HYBEが誇る人気グループのライブ映像を期間限定で上映する映画祭“HYBE CINE FEST IN ASIA”が週替わりで開催されていました。第1弾はTOMORROW X TOGETHERでしたがそれは見送り、まずはオマケ的上映の『HYBE CINEMA NORAEBANG』へ。次に観るのは第3弾のBTSのはずだったけど、オマケを観たときに気になったのがENHYPENで、第2弾の彼らも観に行くことにしました。どうせこの週はどこの劇場も『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』にジャックされて他作品の上映はほとんどなく、あるのもすでに観た作品ばかりでしたから。
ちなみにどうしてENHYPENが気になったのかというと、メンバーのひとりがサトテルこと阪神タイガースの佐藤輝明にちょっと似ていると思ったから。ENHYPENを「エンハイフン」と読むことすら知らなかった私が、そのメンバーの名前を知っているはずもなく、後日調べたらニキでした。ファンの方には絶対怒られますよね。どっちのファンって、もちろんニキのファンに。
ゴリラみたいな(すみません)サトテルに似ているなんてアンマリだとおっしゃるでしょうけれど、サトテルを綺麗にしたらニキだなぁと思って観ていました。さらにその後も調べると、彼はメンバーの中で唯一の日本人ではないですか。俄然応援したくなって。ニキはまだ19歳の最年少メンバー。お母様がダンススクールの経営者なのですね。幼少期にダンスを始め、SHINeeのキッズダンサーとしてステージに立った経験もあるとのこと。
サトテル似だとあんなに気になっていたのに、本作ではなかなか見つけられない私。目を凝らしてみたら、おおっ、髪の毛の色がこの前と変わっているからわからなかったんだわ。あらためて見たら全然サトテルには似ていない。いや、やっぱり似ているような気がする。もちろん美形だけど。身長が高くて、手足も長いし、しかも19歳とは思えない色気もあります。ダンスが好きなだけではこんな人気K-POPグループのメンバーになれるはずもないでしょう。歌って踊れて、そして言葉もできなくちゃならない。こんな美しい男子が並々ならぬ苦労をしているのかと思うとなんだか切なくて涙が出そうになるのです。というのは大げさだとしても、やっぱり相当な覚悟と努力なしではこんなステージには立てません。
『HYBE CINEMA NORAEBANG』で聴いたのがどの曲かもわからず、1曲も知らないまま観た本作ですが、ライブの雰囲気を存分に楽しめて、イケメンたちの顔もはっきり見えて、ウキウキする時間でした。応援上映なのに誰も何もしないのは残念ではあるけれど。私が歌えるようになったら頑張ってみようかしらん(笑)。
『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』
『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』
監督:二宮崇
出演:原田泰造,中島颯太,城桧吏,大原梓,東啓介,渡辺哲,曽田陵介,井上拓哉,芦原優愛,堀丞,ゆうたろう,工藤綾乃,山崎紘菜,池田朱那,赤ペン瀧川,鳥居みゆき,徳重聡,雛形あきこ,トータス松本,松下由樹,富田靖子他
前述の『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』とハシゴ。同じく109シネマズ大阪エキスポシティにて。これもタイトルすら聞いたことがなかったからスルーしかけていた作品です。原作は『LINEマンガ』で連載中の練馬ジムによる漫画。お~、私は『LINEマンガ』なるものがあることも初めて知りました。昨年TVドラマ化されて、今回の劇場版制作に至る。監督はTVドラマ版で演出を担当した二宮崇。全然期待せずに観はじめたら、オモロイやんか。
沖田家は4人家族。誠(原田泰造)は事務機器のリース会社で営業戦略室の室長を務め、妻・美香(富田靖子)は推し活の資金作りのためにパートを始めて今は正社員に。長女・萌(大原梓)は大学生で、二次創作の同人活動をしている。長男・翔(城桧吏)は美容に目覚めた高校生で、メイクが大好き。
一家で親しくしているのは、カミングアウトしている獣医学部の学生・五十嵐大地(中島颯太)とその先輩でパートナーの砂川円(東啓介)。大地の母親で動物病院を経営する美穂子(松下由樹)とも家族ぐるみのつきあい。縁あって誠は大地と円の仲人の役目も果たした。家族みんなそれなりに穏やかな毎日を送っているはずだったのに、ちょっとした不幸が襲いかかる。
誠の部下・山本が突然退職し、退職代行会社経由だったものだから、辞めるに至った理由がはっきりしない。誠は自分がパワハラまがいのことをしていたのではないかとふと不安になっていた矢先、山本が担当していたペットグッズの販売店で不手際が起こる。誠が謝罪に行こうとすると、その販売店の店長がかつて誠の部下だった佐藤(曽田陵介)だとわかる。彼こそ誠のパワハラに遭って辞めた人。
美香は美香で、せっかく正社員になったというのに、ずっと年下の上司・堀田(山崎紘菜)とのつきあい方に頭を悩ませている。萌は二次創作ではなくオリジナルの物語を描きたいのに、自分の描きたいものがわからない。翔は以前に所属していた野球部の部室が台風による浸水で多大な被害を受けたことを知り、力になりたいと女子たちに相談。
こんな感じで、実際になくもなさそうな出来事に家族それぞれが見舞われます。TVドラマ版を一度も観たことがないので、以前の誠がどうだったか知りませんが、とにかく古い常識に囚われた、パワハラさもありなんな人だったらしい。ゲイにも思いっきり偏見があり、そのせいで佐藤が退職に追い込まれたことは終盤にわかります。人なんてそう簡単に変わるわけはないと思っていた佐藤と誠が肩を並べて酒を飲むようになるシーンは、観ているこちらまで楽しくなる。
何のためにパートを始めて正社員になったのかを忘れていた美香が、そうだ、韓流アイドルの推し活をするんためだったと思い出すシーンも最高。富田靖子の絶叫が可笑しすぎる。それに匹敵する面白さを最後に見せてくれるのが山崎紘菜です。トータス松本が演じる伝説の編集者のひと言も奥が深い。
何年何十年と経ったときに振り返ってみて、「これを好きだった自分」を好きでいられることって、大事かもしれません。
『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』
『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』
監督:石原立也
声の出演:長縄まりあ,田村睦心,桑原由気,高田憂希,高橋ミナミ,杉浦しおり,小野大輔,中村悠一,加藤英美里,石原夏織,立木文彦,島﨑信長,小林幸子,高橋伸也,田所あずさ他
ほかに観るものがなくなったので、人気漫画だという原作もTVアニメ版も何も知らずに観に行きました。『月刊アクション』に2013年から10年以上連載された後、『漫画アクション』にて昨夏から連載中の同名シリーズ初の劇場版とのこと。原作者の名前がクール教信者って何なのよ、怪しさ満開じゃあないかと思いつつ109シネマズ大阪エキスポシティへ。そうしたら、ちょっと信者になりそうなぐらい気に入ってしまいました。
一見幼い女の子、中身もそうだけど、その実ドラゴンのカンナと同居しているOLの小林さん。小林さんの家にはもうひとり、カンナよりもずっと大人の女性ドラゴン、トールもいます。なぜにドラゴンと小林さんが一緒に暮らすようになったのか、まったくの初見の私は知らんけど、何か事情があるのでしょう。当たり前か。(^^;
ある日突然、カンナをほったらかしにしていたお父さんドラゴンのキンムカムイが、魔法使いのアーザードと共に小林さん宅に来訪し、その昔カンナが壊した龍玉を返すように言います。壊したものをどうやって返せばいいんだという疑問に対し、壊した龍玉はカンナの体内に取り込まれているからカンナが再生することができるのだと。アーザード曰く、ドラゴンの世界では戦争勃発の危機を迎えていて、龍玉があれば確実に勝てるらしい。
戦争に加勢するのは嫌だと考える小林さん。しかし、トールやその仲間のイルルが言うには、ドラゴンの世界は言っちゃなんだけどもう自分たちには関係のないことだし、カンナにそのつもりがあるならば、龍玉だけ渡してハイさよならでいいんじゃないのと。ずっとお父さんを恋しく思っていたカンナは、父親に褒められたくて龍玉を作ることにします。
って、書いてみたけど、合っていますか。タイトルが“メイドラゴン”となっているところを見ると、小林家でメイドの役目を果たしているトールがシリーズの主役なんですかね。とすると、これはスピンオフなんですかね。
カンナやトール、イルルたちがドラゴンであることを小林さんを除く人間たちが知っているのかどうかは本作を観てもわかりません。隠しているふうでもないけれど、人間と一緒にいるときに尻尾が出ちゃうなんてこともないし、ドラゴンだとわかってつきあっているのかしら。私には謎のまま。カンナには才川さんをはじめとする友達もいっぱいいて、学校が楽しくてたまらない。
ドラゴンには人間の気持ちはわからない。親が子を思う気持ちを理解するのは無理。けれど酒の美味しさはわかるところなんて笑ってしまいました。小林さんたちと一緒に暮らすカンナはちゃんと人の気持ちを持っているがゆえに、お父さんがお父さんらしく子どもを愛してくれないことが寂しくてたまりません。カンナがあまりに健気で可愛いから、泣かされてしまいます。
すべてはドラゴンに恨みを持つアーザードが仕組んだこと。コウモリのように振る舞ってドラゴンたちを戦わせ、殲滅してしようとしていたのでした。アーザードはドラゴンが誰かを助けるなんてことはあり得ないと思っていたのに、カンナとトールのために人間界にいたドラゴンたちが力を貸します。そして、小林さんも決してドラゴンを見捨てない。
京都アニメーションが事件に見舞われてから丸6年が経過しました。本作のTVアニメ版は、事件後アニメ制作を再開した初の作品となるそうです。知らないからってスルーしなくてよかった。
『韓国ミュージカル ON SCREEN エリザベート』
『韓国ミュージカル ON SCREEN エリザベート』
演出:パク・ジェソク
出演:オク・ジュヒョン,イ・ヘジュン,イ・ジフン,ギル・ビョンミン他
先月の三連休の中日、NGKの夕方の回を取っていました。その前に何か観るものはないだろうかと物色。なにしろどこの劇場も『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』一色で、それ以外にかろうじて上映している作品はほとんどすでに観たものばかり。と思ったら、あら、こんなのがあるじゃあないか。韓国映画はずっと前から好き、K-POPにハマったのはごく最近(といってもほぼBTSのみだけど)、でもミュージカルは知らないよ。観てみることにしようと、大阪ステーションシティシネマへ。
すっごい人気なんですね。観ようと決めたのがオンラインチケット販売開始の日の朝。21:00に発売だと知って映画のハシゴの合間にちょうど買えるやと思っていたのに、買うのを忘れる。帰宅した深夜に思い出して慌てて購入しようとしたら、えっ、もう最前列しか残っていないのですけれど。ナメていてすみません。最前列の端っこ席を押さえました。
「ブロードウェイとは異なる作風のミュージカルを」という想いで始められたウィーンミュージカル。その代表作品がこの『エリザベート』なのだそうです。ミヒャエル・クンツェが脚本と歌詞、シルヴェスター・リーヴァイが作曲と編曲を担当し、初演は1992年にウィーンにて。日本では1996年に宝塚歌劇版、2000年に東宝版の公演がおこなわれて今も大人気。韓国ではパク・インソン、キム・ムンジョン、クォン・ウンアが韓国語の作詞をして2012年に初演、その後も繰り返し上演されているとのこと。本作は2022年の公演版で、2024年に映画館にて公開された作品。
オーストリア皇妃エリザベート(オク・ジュヒョン)を暗殺したとされるルキーニ(イ・ジフン)の語りによって話は進められます。100年前のことだというのに今もまだ暗殺の動機を厳しく問い詰められるルキーニが、エリザベート自身が望んだことであり、彼女は“死(トート)”(イ・ヘジュン)とこそ愛し合っていたのだと答えます。
舞台は19世紀半ばへと遡る。オーストリア皇帝フランツ(ギル・ビョンミン)のもとへと嫁いで皇后となったエリザベートを待っていたのは、フランツの母親で皇太后のゾフィー(ジュア)との確執。どこへ行こうが自分は自分、いつまでも自由でありつづけられると思っていたのに、皇太后がそんなことを許さない。娘が生まれると勝手に自分と同じゾフィーという名前をつけるわ、エリザベートに子どもの世話をさせないわ。
このまま皇太后の言いなりになるものかと誓うエリザベートは、自分をハンガリー遠征に同行させたいならば皇太后から娘を取り返すことが条件だとフランツに言い、フランツもそれを飲みます。嫁が姑に勝利した初めての瞬間ではありますが、娘が病死してしまう。悲しみの淵に立つエリザベートは、やがて息子ルドルフを授かるも、またしても姑に息子を取り上げられることになってしまうのでした。
『エリザベート1878』(2022)を観るまではエリザベートなる人がどういう人なのかもよく知らなかったほどですから、どこ版のミュージカルも未見でした。観るまではなんでこんなに人気があるのと思っていましたが、これは面白いですねぇ。当たり前のことですが、キャストはみんな歌が上手い。ルキーニは観客を楽しませる役目も担っていて、手の届きそうなところまで降りてきてくれる。みんな舞台化粧ゆえ素顔が男前かどうか知らんけど、たぶん男前でしょ!? ルドルフ役のチャン・ユンソクを調べたところ、アイドル顔♪
途中10分間の休憩を挟み、とても楽しかった3時間弱。ほかの演目もぜひ観たい。
『ロスト・チルドレン』【リバイバル上映】
『ロスト・チルドレン』(原題:La Cite des Enfants Perdus)
監督:ジャン=ピエール・ジュネ,マルク・キャロ
出演:ロン・パールマン,ジュディット・ヴィッテ,ドミニク・ピノン,ダニエル・エミルフォルク,ジュヌヴィエーヴ・ブリュネ,オディール・マレ,ジャン=クロード・ドレフュス,セルジュ・メルラン,ジョセフ・ルシアン他
声の演出:ジャン=ルイ・トランティニャン
ナナゲイで『「桐島です」』を観た後、シアターセブンで『還暦高校生』を観て、再びナナゲイに戻ったら大盛況。この混雑ぶりは何故かと思ったら、『事実無根』の舞台挨拶がおこなわれるところだったようで。『還暦高校生』を観るよりそっちのほうがよかったかもしれませんが(笑)、『事実無根』は4カ月以上前に京都で鑑賞済みだったもので。ナナゲイのロビーにて本を読みながら本作の開場まで静かに待つ。
ジャン=ピエール・ジュネ監督、大好きです。代表作は『アメリ』(2001)ということになるのでしょうが、私は『デリカテッセン』(1991)とこの『ロスト・チルドレン』(1995)のほうがずっと好きで、DVDも持っています。けれど、劇場で観たことはもしやなかったのではないかと思い、このたびのリバイバル上映に飛びつきました。4Kレストア版を上映している劇場があるようですが、ナナゲイでは残念ながら2K版の上映。「残念ながら」と言っても、そこに歴然とした差があるのかどうか私にはわからんし、本作を劇場で観られるならそれでいいのだ。
幼い子どもが一つ目の強盗団に誘拐される事件が頻発。カーニバルで怪力の見世物に出演していた大男ワンも、幼い弟を連れ去られる。強盗団は子どもたちを海上の石油掘削装置につくられた隠れ家に住まう男クランクに売っていた。科学者に創造されたクランクは、夢を見ることができないせいで異様に速く老化が進み、老化を止めるためには子どもたちから夢を盗まねばならないと考えている。隠れ家にはクランクのほか、やはり科学者に造られた同じ顔の6人の男と小さな女、そして水槽のような容器に入れられた脳だけの男アーヴィンが共に暮らしているが、創造主の科学者が姿を消したため、どうにもできずにいるのだ。弟を探すワンは、ちびっこ窃盗団のリーダー的存在である少女ミエットと出会う。なりゆきで一緒に行動することになったふたり。
知的障害のあるワンと、見た目はまだ子どもでもワンよりずっと精神年齢の高いミエット。彼女はワンのことを放っておけなくなります。ダニエル・エミルフォルクはその容貌がこれ以上ないほどクランクにぴったりでコワ面白い。科学者と6人のクローンを演じるドミニク・ピノンが今も健在なのは嬉しいこと。同じく、ワン役のロン・パールマンも変わらないですよねぇ。ミエットを演じたジュディット・ヴィッテが凄い美少女なんですが、彼女は今どうしているのでしょう。食べることにしか興味がなくてゲップが可愛すぎる弟役ジョセフ・ルシアンのその後も気になります。
この世界観はいま観てもすごい。何度でも観たい作品です。