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『ツーリストファミリー』

『ツーリストファミリー』(原題:Tourist Family)
監督:アビシャン・ジーヴィント
出演:シャシクマール,シムラン,ミドゥン・ジェイ・シャンカル,カマレーシュ・ジャガン,ヨーギ・バーブ,ラメーシュ・ティラク,M・S・バースカル,エランゴ・クマラヴェル,スリージャ・ラヴィ,バガヴァティ・ペルマル,サウンダリヤ・サラヴァナン,ヨガラクシュミ他

本作が長編デビューとなるアビシャン・ジーヴィントによる低予算作品なのに、本国でサプライズヒットを飛ばしてロングランに。それというのも、『RRR』(2022)のS・S・ラージャマウリ監督やインドのスーパースターであるラジニカーントが絶賛したのが口コミで広がったから。ラージャマウリ監督が「この作品を見逃すな」と言っていると聞けば観たくなりますよね。タミル語作品です。イオンシネマ茨木にて。

経済危機に陥るスリランカを脱出、海を渡ってインドへと密入国した一家、ダースとその妻ワサンティ、長男ニドゥ、次男ムッリの4人家族。インドで面倒を見てくれることになっているワサンティの兄プラカーシュと海辺で落ち合うことになっていたのに、それより先に沿岸警備に当たっていた巡査バイラヴァンに見つかってしまう。不法入国者として捕らえられ、スリランカに送還されることは決定的だったところ、ムッリの機転が効いて、バイラヴァンは「おまえたちを見なかったことにする」と言って一家を逃がしてくれる。

プラカーシュはチェンナイに佇む人づきあいの薄い町に一家を案内し、ある大家から住居の2階を借りる話を取り付ける。スリランカからの不法入国者だとバレないように、くれぐれも近隣住民との交流を退けて言葉も極力交わさないようにとダースたちに言い聞かせる。ところが訪ねてきたご近所さんとワサンティが早速親しくなり、頻繁に行き来する仲に。一方のダースは仕事を見つけようと、近所の富裕な老人リチャードの運転手に応募して……。

「心温まり、抱腹絶倒、素晴らしい脚本、近年稀な映画経験」って、どんな称賛ぶり!? でもその評価に偽りなしと言いたくなる楽しく温かな作品。抱腹絶倒とまでは行かないまでも、ふきだしたシーンがいくつあることか。小学生のムッリは憎めない悪ガキで、めちゃくちゃ賢い。そもそも彼がバイラヴァンを見事に騙したおかげでインドで暮らすことが叶ったわけですが、以降もいいところでムッリが活躍します。

騙されたことを知ったバイラヴァンは怒り狂い、広場で起きた爆発事件の犯人としてダース一家を挙げます。バイラヴァンの上司は囚人を拷問し、今その囚人が死にかけている。もし死ねば上司はクビが飛ぶ。爆発事件の犯人を見つければクビにはならない上司は、バイラヴァンの申告を受けてスリランカ人一家を探しはじめます。こうなったらダースが見つかって拷問される展開かと思いきや。

このオチは最高。人づきあいもいいもんだ、信じられる人がいるっていいもんだと心がぽかぽかする1本です。オススメ。

『禍禍女』

『禍禍女』
監督:ゆりやんレトリィバァ
出演:南沙良,前田旺志郎,アオイヤマダ,髙石あかり,九条ジョー,鈴木福,前原瑞樹,平田敦子,平原テツ,斎藤工,田中麗奈他

公開初日、109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『ほどなく、お別れです』の後に。

言わずと知れた人気芸人ゆりやんレトリィバァが監督デビューを飾った作品。脚本を担当したのは、ナメていた『ヒグマ!!』が意外と面白かった内藤瑛亮。私はゆりやんの芸を面白いと思ったことがありません。だけど、海外にも進出していろんなことに挑戦する姿勢は凄いと思うし、応援したいとも思っています。しかし予告編を観て「こりゃ私はたぶんアカンな」と思ったから、これを先に観てその後『ほどなく、お別れです』という順番で観たいと思っていました。上映スケジュールの都合でそれは叶わず。観終わってから思う、こんなことなら『ほどなく、お別れです』を観てすぐに帰りゃよかった(泣)。

老若問わず男性が眼球をくり抜かれて死亡するという事件が頻発。美大生の早苗(南沙良)は、片想い中の宏(前田旺志郎)が瑠美(アオイヤマダ)に夢中だと知って面白くない。ふたりのデートの様子をこっそり探っていると、宏が何者かに殺されるところを見てしまう。瑠美からは早苗こそが犯人ではないのかと疑われるが、あれは噂の“禍禍女”の仕業に違いない。

禍禍女は、好きになった男性を決して離さない。「スキ スキ ダイスキ」とつぶやき続けてのしかかると、眼球をくり抜いて死に至らしめる。禍禍女について調べはじめた早苗は、その正体がかつて好きだった男子から酷い仕打ちに遭って自殺した女子高生・百合子の霊だと言われていることを知る。早苗が百合子の実家を訪ねてみると……。

こうして書いていると、「好きだった相手を殺した犯人に復讐を誓う一途なヒロイン」みたいに思えますが、早苗はそんな可愛らしい女性ではありません。瑠美のことを「ブスのくせして」と蔑み憎んでいます。自室には宏の写真やら絵やら宏を模した彫刻やらを飾り立て、宏の部屋に忍び込んで細工する。怖い以外の何物でもないストーカー女です。彼女の発する言葉は下品そのもの。よくも南沙良にこんな台詞を吐かせたものだと思うと同時に、それがハマっている彼女は私が苦手だった『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2017)のときの彼女。『愛されなくても別に』(2025)の彼女が好きなんだけどなぁ。でもどんな役にもハマるってことは、上手なんでしょうね。

ネタバレになりますが、真相は世の中の幸せそうな男を憎む、たとえそれが子どもでも恨むこじらせ野郎。禍禍女と男の相合傘を書いて神木に鎌で打ち付ければ禍禍女が現れるということを利用していました。奴に憎まれる相手がクズの場合も多いので、勝手に殺されてくれって感じですが、子どもは可哀想ですよね。それを必死で止めようとする母親役の田中麗奈に殊勲賞。目ぇから血ぃ出してご臨終の祈祷師役、斎藤工にお疲れさま。

私にとっては不快なだけで途中退場したくなる作品でした。よく最後まで耐えたものです(笑)。高い評価をしている人も多いのが面白いとこ。それは否定しません。好みはそれぞれ。でもこれを一緒に観たとして、「面白かったなぁ」という男性は決して恋愛対象にならない(笑)。

『ほどなく、お別れです』

『ほどなく、お別れです』
監督:三木孝浩
出演:浜辺美波,目黒蓮,森田望智,古川琴音,北村匠海,志田未来,渡邊圭祐,英茉,野波麻帆,西垣匠,久保史緒里,原田泰造,新木優子,鈴木浩介,永作博美,光石研,夏木マリ他

公開初日、仕事帰りに109シネマズ大阪エキスポシティへ。浜辺美波目黒蓮に惹かれてか、原作である長月天音の同名ベストセラー小説ファンなのか、北摂の劇場にしては結構な客入り。原作はシリーズ化されているのですね。うん、なんぼでも続編ができそうだ。監督は『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)や『知らないカノジョ』(2024)の三木孝浩

就活中の清水美空(浜辺美波)は連日届く不採用通知に凹みながら、知人の葬儀に参列するために坂東会館へ。そこで美空が見かけたのは、別の会場の喪主・柳沢亮太(北村匠海)の亡くなった妻・玲子(古川琴音)の姿。幼い頃から死んだ人が見える美空は、それを誰かに話せば気味悪がられると知って以来、「見える」ということを秘密にしてきたが、玲子は夫への伝言を美空に託したいと言う。故人からの伝言があると言ったら引かれるだろうと思いつつ、坂東会館のスタッフ・漆原礼二(目黒蓮)を捕まえて話す美空。驚いたことに信じてくれた礼二が亮太にそれを伝えると、さっきまで絶望の淵で誰の話も耳に入らなかった亮太の目から涙が溢れ出して……。

死んだ人が見える能力を買われた美空は礼二にスカウトされます。葬儀場に勤めるなんて毎日死んだ人とばかり会うわけでしょうと眉をひそめる美空の両親(鈴木浩介永作博美)を礼二が説得。まずはインターンとして働きはじめた美空が次々と出会う故人たち。先天性の病で亡くなった少女・久保田比奈(英茉)や、事故で亡くなったシングルマザー・長野桂子(野波麻帆)。

比奈がずっと病院暮らしのせいで不幸だったのではないか、どうせ終わる命なら、もっと本人がしたいということをさせてやればよかったと悔いる両親(志田未来渡邊圭祐)。桂子は今は成人した息子・翔一(西垣匠)と娘・玲奈(久保史緒里)がまだ子どもだった頃に夫・正史(原田泰造)と離婚。その理由を「父親が自分たちを捨てて逃げた」と思い込んでいる翔一は、母親の葬儀にも父親は呼ばないと決めています。しかし、事情があって離婚したことを知っている玲奈は、父親に母親の訃報を届けたい。

こういった遺族の思いなら、美空でなくても聴くことができます。しかし故人の思いは美空でなければ聴くことができません。姿を現した故人から話を聴き、遺族にとっても故人にとっても最善の葬儀となるように努める礼二と美空、そして赤坂陽子(森田望智)をはじめとする葬儀場のスタッフと坂東会館の社長(光石研)。

最初の話からどれも泣けて泣けて。美空自身の姉も美空がこの世に生まれた日に事故死しており、そのとき一緒にいた美空の祖母・花子(夏木マリ)の余命はあとわずか。礼二が葬儀プランナーとなったのは妻(新木優子)を事故で失ったのがきっかけだなんて、泣く要素しかないんです。お涙頂戴に決まっているからそんなに簡単に泣くもんかと思っていたのに、序盤から泣き通しでした。何度も涙を拭っていた私のふたつ向こうの席の客は鼻をズビーッと鳴らしてしゃくり上げながら泣いていましたよ。そうなるのも普通だと思える作品です。

葬儀なんて、所詮遺された人のものだからと思っていましたが、想いを馳せるのはやっぱり大切なことですね。余談ですが、光石研はやっぱり悪人役じゃなくて善人役のときに見たい。

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
監督:村瀬修功
声の出演:小野賢章,上田麗奈,諏訪部順一,斉藤壮馬,津田健次郎,石川由依,落合福嗣,武内駿輔,早見沙織,松岡美里,天崎滉平,田中光,宮崎遊,綿貫竜之介,草野峻平,永瀬アンナ,山崎真花,喜屋武和輝,佐藤日向,内田修一,木村太飛,猪股速十,白熊寛嗣,高橋伸也,観世智顕,山下タイキ,山寺宏一,佐々木望,種崎敦美他

イオンシネマ茨木にて。

知らないアニメでも劇場版だけは観に行くようにしていますが、“機動戦士ガンダム”シリーズだけはまったく意味がわからなくて、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(2024)を観たのを最後に二度と観るまいと思っていました。ところがそう思いつつもその後に観た『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』(2025)だけはちょっと面白くて、こんな感じならまた観てもいいかもと思ったのが1年前のこと。ただ、執着は一切ないから、ほかに観るものがなければ観ようかなという程度。で、今回は『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』とハシゴするに至る。

原作は“ガンダム”シリーズの生みの親である富野由悠季が手がけた1989年出版の同名小説で3部作。『虐殺器官』(2017)の村瀬修功監督が劇場版として映像化したわけですが、これはその第2作に当たり、私は第1作の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(2020)を観ていません。冒頭、「これまでのハサウェイ」ということであらすじの紹介映像があるものの、これで何をわかれというのですか。全然わからず。早々について行くのを断念しました。

ハサウェイが人の名前だということも知らなかったし、“マフティー”も人の名前かと思っていたら組織の名前なんですね。誰と誰が味方で誰と敵対しているのかも理解できず。ギギが不思議な能力を持っているのはわかったけれど、いつどこで彼女がハサウェイと出会ったのかも知らんし。最後に敵か味方かどちらかが「ガンダムもどきが」と言っているのを聞いて、「え、もどきなの!?」と衝撃を受ける(笑)。

私のテンションがいちばん上がったのはエンドロール、ガンズ・アンド・ローゼズの“Sweet Child o’ Mine”がかかったときでした。わからないなりにも映像は美しいし、観ていて楽しいのは楽しいけれど、やっぱり初見でガンダムは無理っ!

『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』

『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』
監督:矢野博之
声の出演:戸田恵子,中尾隆聖,増岡弘,佐久間レイ,山寺宏一,鶴ひろみ,肝付兼太,島本須美,柳沢三千代,かないみか,富永みーな,長沢美樹,坂本千夏,三ツ矢雄二,滝沢ロコ,原えりこ,中村ひろみ,西村朋紘,安達祐実他

こんなものまで観に行く必要ある!?と思いながら、ほかに観るものがなくて。じゃあまっすぐ家に帰ればいいやんという説もあるけれど、観に行ってしまいました。大人気TVアニメ“それいけ!アンパンマン”の劇場版第18弾。って、私、過去に2度劇場版を観たことがあり、1度目は『それいけ!アンパンマン ブルブルの宝探し大冒険!』(2017)、2度目は『それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星』(2018)でした。前者が劇場版第29弾、後者が第30弾だったのに、どうして今回観たこれは第18弾なのかと思ったら、これって2006年の作品なのですね。てっきり新作だと思って観ていました。今頃ゲスト声優が安達祐実ってどーゆーこと!? 声若いやんなどと思いながら。20年前の作品なんだから当たり前か。

ある日、パトロール中のアンパンマンは、海に浮かぶ箱の中に剥き出しの人形を見つける。持ち帰るとみんな大はしゃぎ。可愛い服を作って着せてあげようなどと話しながら就寝するが、その晩、人形はアンパンマンと同じように“いのちの星”から命を授かる。剥き出しだった人形は可愛い顔をして綺麗な洋服も着た状態で目覚めると、「ドーリィ」と名乗る。「生きたいという願いが叶った」と大喜びの彼女は、自分のしたいことしかしないと決めてワガママ言い放題し放題で……。

相当ムカつきますよ、ドーリィには(笑)。アンパンマンが人を助けるために生きていることなど信じられず、いい格好をしたいだけでしょと罵る。お祭りでみんなが披露する歌の練習をしていると、真ん中に自分のポジションを取りますが、つまらない歌だと文句を言って退散。そんなふうに振る舞っている間に命の光がどんどん陰ってゆくのです。

私はもっぱら霜降り明星のネタでしか見ないアンパンマンですが、長年愛され続けているのがわかりますよねぇ。でもやっぱり、元気のない人に自分の顔をちぎって差し出すのはグロいと思う(笑)。

客は私ともう一組、女の子をふたり連れたお母さんでした。その家族だけならば子どもたちが騒いでもよかったでしょうに、私に気を遣ってくれたお母さんが、子どもたちがちょっと喋るとすぐに「静かにしなさい」と言っていて、申し訳なかったです。わいわい言いながら観てかまわない作品だから。私が行くのは控えるほうがいいかもしれないと反省。