『マッド・フェイト 狂運』(原題:命案)
監督:ソイ・チェン
出演:ラム・カートン,ロックマン・ヨン,ン・ティンイップ,ン・ウィンシー,チャン・チャームマン,ウォン・チンヤン他
元日はなんばで映画を2本観て、2日は友人宅で昼からずーっと飲んで食べて。飲み疲れて正月休みの残り2日間は家でおとなしくしているつもりでしたが、2日の晩に体重計に乗ったらここ何年も見たことがないくらいに増加しているではないですか。こりゃいかん、家にいたらまた何か口にしてしまいそうだと、食べられない状況作りにまずはテアトル梅田へ。なんばと同じく梅田スカイビルも駐車料金の値上げなし。地下の有人駐車場の係員のおっちゃんたちはみんな物腰やわらかくて親切。
さてさて、本作は『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(2024)が大当たりしたソイ・チェン監督が、その前年の2023年に手掛けたという作品。『トワイライト・ウォリアーズ』のヒットを受けてこれも公開が決定したのでしょうね。主演は2人、ラム・カートンとロックマン・ヨン。私はどちらも知らないのですが、前者はアラ還で俳優歴も長く、後者は2018年にデビューした香港初の大規模な男性アイドルグループ“MIRROR”に属しているそうで。しかしロックマン・ヨンってあんまりアイドルって顔立ちでもない気がするのは役柄のせいなのか。それとも香港のアイドル顔は韓国や日本のそれとは違うのか。とか思いながら過去のブログ記事を調べてみたら、MIRRORのほかのメンバーが出演している作品を観てるやんか私。しかも「2025年の好きだった映画」に挙げてるし。
不幸な境遇に育ったホイは、救える人がいるならば救いたいという思いから風水に基づく占い師になった。ある晩、娼婦メイの悪運を祓っている途中に大雨に降られ、もう懲り懲りだとメイがその場から立ち去ってしまう。自宅兼仕事場のマンションに帰ったメイを待ち受けていたのは娼婦を狙う連続猟奇殺人鬼。たまたま部屋を間違えて配達に来た青年シウがメイの悲鳴を聞き、どうしたものかと思っていたところにメイを追いかけてホイが到着。ドアを蹴破って侵入すると犯人が飛び出してきて逃走。部屋には無残に殺されたメイの姿があった。通報するホイのそばで、メイの遺体を恍惚の表情で見つめるシウ。
ベテラン刑事ベテラン(←名前)にはシウと因縁があった。シウは生来の残虐性を持ち、鋭い刃物に惹かれ、動物を見れば殺したがる。実姉が寝ている隙に布団の周囲にナイフを並べ立て、起きた姉が顔を含む身体中に生涯消えない傷を負ったこともある。シウに手を焼き恐れる家族が安心できたのは、シウが刑務所に入っていた間だけ。そんなサイコパスのシウを少年時代から見てきたベテランは、今度こそシウが犯人かと思ったが、シウは例によって血を見て目をぎらつかせていただけらしい。警察に同行したホイがシウの相を見ると、まもなく殺人を犯して投獄される運命にあると出る。「人は殺したい、でも牢獄に入るのは嫌だ」と言い募るシウの運命を変えることこそが自分の使命だと感じたホイは……。
ノリが異様(笑)。ホイ役のラム・カートンがやかましすぎてちょっと辟易するほど。一方のシウ役のロックマン・ヨンは、えっ、彼がアイドルなの!?と思うような風貌。たぶんアイドル然としているときはカッコイイかカワイイのでしょうが、本作ではどう見ても世の中からはみ出たサイコパス男。この2人があーだこーだと言いながら奔走する様子はコメディとして観るのが正しいのか。猟奇殺人犯が怖すぎるから笑えないのに、奴を何度も見ていながら目の前にいるときにそうと気づかない刑事はマヌケそのもの。最後は憑依の話になって、もう闇鍋状態です。
睡魔に襲われることはなかったし、面白かったと言えます。だけどどう評価すればよいのかわからないというのが正直なところ。そりゃもう『トワイライト・ウォリアーズ』のほうが断然洗練されていて百倍くらい面白い。こうして監督としてのステップを上がって行くんだろうなぁ。
『ボディビルダー』
『ボディビルダー』(原題:Magazine Dreams)
監督:イライジャ・バイナム
出演:ジョナサン・メジャース,ヘイリー・ベネット,テイラー・ペイジ,ハリソン・ペイジ,ハリエット・サンソム・ハリス,マイク・オハーン他
元日、前述の『Fox Hunt フォックス・ハント』の後、なんばパークスシネマへ移動して。
2023年に公開予定だった作品なのに2年遅れることになったのは、主演のジョナサン・メジャースによる交際相手への暴行疑惑があったから。それを理由に彼が出演する予定だった映画や広告から次々と降板を言い渡され、本作もサーチライト・ピクチャーズが公開を断念。同社が配給権を製作者に返還した後、ブライアクリフ・エンターテインメントが新たに権利を獲得してこの度の公開に至った模様です。わりと客が入っているのはそういう経緯を知っている人が多くて興味を引いたのか、もしくは単にボディビルが人気なのか。原題はその“ボディビル”ではなく“Magazine Dreams”。雑誌の表紙を飾りたかった男の話。
両親を亡くし、祖父に育てられたキリアン・マドックスはボディビルディングに熱中。憧れのボディビルダー、ブラッド・ヴァンダーホーンにファンレターを送り続け、いつか自分も雑誌の表紙を飾れると信じている。美しい肉体を造り上げるため、過酷なトレーニングと食事制限を自らに課すが、ステロイドの多用で体も精神も蝕まれていく一方。それを認めたくないキリアンは……。
凄絶。両親を亡くしたというのも、父親が母親を殺した挙句に自殺したのだということがキリアン自身の口から明かされるシーンには絶句。しかもそれを聞かされるのはキリアンがデートに誘うことに成功した勤務先の同僚ジェシー。彼女にとっておそらくキリアンは暇つぶし程度の相手でしかなかったでしょうが、レストランで彼がまず料理をオーダーする様子にドン引き。頼むステーキの量は半端ではなく、付け合わせのポテトやサラダについては砂糖の量に至るまで細かく指示。ウェイトレスも困惑している状況下で楽しく食事なんてできるわけがありません。そのうえ話の内容が殺人に自殺なのですから。当のキリアンは何が悪いのかまったくわからず、ジェシーが途中で逃げ帰ってしまった理由に思い至らない。
キレると手がつけられないキリアンはカウンセリングも受けていますが、精神科医の前でも取り繕ってばかり。万事上手く行っていて、恋人もできたなんて嘘をつく。すべてが虚構。やっと返事をくれた彼にとってのスター、ブラッドに会ってみれば、向こうはキリアンと寝たかっただけ。こう言っちゃなんですが、ボディビルダーがあんな体つきでベッドにふたり横たわっている様子は見たくなかったなぁ。しかもキリアンはお世辞にもイケメンとは言えませんから。
『愛はステロイド』(2024)を観たときにも驚いたことですが、ボディビルダーってステロイドの使用は自由なんですかね。さまざまなスポーツではステロイドで肉体改造することは許されていませんよね。こんなにステロイド使いまくりだと、作り物の体だと思ってしまうのですが、それはOKということですか。まぁ、私は興味を持てない世界なのでどっちゃでもええけれど。
唯一キリアンに愛情を注いでくれた祖父。「そのままで誇りだよ」と言ってくれているのに。おじいちゃんのことを思うと切ない。とても不愉快な作品だけど、面白いことは否めません。
『Fox Hunt フォックス・ハント』
『Fox Hunt フォックス・ハント』(原題:猟狐行働)
監督:レオ・チャン
出演:ドアン・イーホン,トニー・レオン,エリカ・シアホウ,チャン・アオユエ,オルガ・キュリレンコ,オリヴィエ・ラブルダン,ジョゼ・ガルシア,チャン・ジージエン他
ここからが2026年に入ってから観た作品です。
元日、父に面会した後、お正月の駐車場事情も調べずにそのまま車でミナミへ。新御ガラガラでスイスイ走れて気持ちいい。駐車料金が爆上がりしていたらどうしようと思いながらいつも駐める黒門市場近くのコインパーキングへと向かったら、市場が閉まっているからか(それでも営業している店はあったけど)駐車料金の値上げなし。10時間990円のタイムズは満車。22:00まで最大料金1,000円のコインパーキングに空車あり。どっちみちこの日の私は映画→なんばグランド花月なので10時間では収まらない。NGKは21:40終演予定でちょうどいい。その後の余談ですが、結局NGKが押しに押して21:55に終演。あらら、22:00までに戻れないよ、追加料金が要るなぁと思いながらコインパーキングで精算したのが22:03。なんと、超過料金を取られませんでした。モールの駐車場ではあることだけど、ほかでは1分過ぎても取られると思っていました。良心的。
さて本作はNGK前に2本ハシゴの1本目。TOHOシネマズなんば別館にて鑑賞しました。主演はドアン・イーホンとトニー・レオン。トニー・レオンはアンディ・ラウほどには「正しい人」のイメージはないけれど、それでも1990年代は胸がキュンキュンする恋愛もので主役を張っていた人。それがこんな悪役を演じるようになるなんてねぇ。
騙し取った額174億8000万元(約2780億円)にのぼる金融詐欺を働いた“狐”ことダイ・イーチェン(トニー・レオン)は海外へと逃亡。イエ・ジュン(ドアン・イーホン)をリーダーとする“狐狩り隊”はダイを追い続けて7年が経つ。やっとダイが偽名のウィリアム・ジェームズを用いてフランスに潜伏していることを突き止めた狐狩り隊は、今度こそとっ捕まえようとパリへ。ところがウィリアムは資産家バスティアン(ジョゼ・ガルシア)が立ち上げたファンドのパートナーとして誰もが認める実業家となっていた。彼を逮捕しようとフランス警察に協力を求めるも、指揮を執るノエル(オリヴィエ・ラブルダン)はウィリアムはフランスが守るべき人物だという態度で、ウィリアムの弁護士エルサ(オルガ・キュリレンコ)の言い分もまかり通る。ダイと部下のグオ・シャオジア(エリカ・シアホウ)、チャオ・イー(チャン・アオユエ)はなんとかノエルを味方につけようとするのだが……。
トニー・レオン演じるウィリアム=ダイが憎たらしすぎる。すっかり二流女優になってしまった感のあるオルガ・キュリレンコは美人のままではあるものの、整形していますよね、きっと。以前のほうが印象に残る顔つきだったのに、いまは普通の美人。金を持っているウィリアムに心酔していたのに、利用されるだけ利用されてお払い箱どころかお陀仏って、今の顔そのまんまの役のような気がして気の毒になりました。
これが実際にあった事件に基づいているというのは驚き。でも、どこまでが本当でどこからが脚色なのでしょう。ちょっと出来すぎなところが逆にしらけてしまうほど。最初はウィリアムに買収されているのではとすら思われたノエルが途中からイエたちと強い絆で結ばれるのも見え見えで。薄っぺらいよなぁと思いながら観ていたのに、最後の最後、空港に見送りに来たノエルが生まれたばかりの第三子の名前を告げるシーンは泣いてしまった。はい、新年も映画を観て泣きたいと思います。(^^)
『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』
『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』
監督:常廣丈太
出演:天海祐希,田中哲司,速水もこみち,鈴木浩介,大倉孝二,塚地武雅,比嘉愛未,野間口徹,工藤阿須加,中村静香,生島勇輝,丸山智己,佐々木蔵之介,石丸幹二,勝村政信,徳重聡,山崎一,平泉成,小野武彦,杉咲花,眞島秀和,草刈正雄,でんでん,小日向文世他
TOHOシネマズ西宮にて、前述の『Afraid アフレイド』の次に。
そうなんですよね。もともとは2023年6月に公開されるはずだった作品です。当時、予告編を目にして面白そうだなと思っていたのに、なんらかの理由で公開されず。その理由をすっかり忘れ、そのままお蔵入りなのかと思っていたら2025年最終週に公開。公開延期理由を調べてなるほど。メインキャストのうちのひとりだった市川猿之助の騒動が公開前月に起きたのでした。内閣総理大臣役だった彼を石丸幹二で撮り直してこのたび公開に至った模様。
TVドラマ『緊急取調室』はテレビ朝日系の“木曜ドラマ”枠で断続的に放送されている人気シリーズなのだそうです。2014年に開始となったの第1期では、天海祐希らに加えて今回もちらりと姿を見せる草刈正雄が出演。以来20年以上続いているというのですからたいしたドラマです。ウィキをよくよく読んでみると、市川猿之助の前には永山絢斗も不祥事を起こして放送中止になった回がある様子。よくぞこうしてファイナルまでたどり着いたものです。
日本列島が超大型台風に連続して見舞われるなか、災害対策会議に10分遅れてやってきた内閣総理大臣・長内洋次郎(石丸幹二)。記者らはその「空白の10分間」に何をしていたのかと問うが、長内ははっきりとは答えないまま。後日長内が医療関係者を労いに訪れた病院で、突如として現れた男が長内に切りつけようとする事件が発生。「死ね」と言って飛びかかったその男は森下弘道(佐々木蔵之介)。警視庁はこの事件を早急に解決するために「緊取」の緊急招集を決定。真壁有希子(天海祐希)らが取調べを開始すると、森下はここへ長内を連れて来いというばかりで、動機も何も語ろうとしない。取調べをどう進めるべきかと思っていたところ、長内と森下が同じ大学のヨット部に属し、学生時代の事故で仲間をひとり失っていることがわかり……。
うん、確かに猿之助が総理大臣役のほうが合っていたかもと思わずにはいられません。だけど、石丸幹二のほうが毒がないぶん、国民に人気があって支持率最高なのに実は独善的な人というのが似合っているようにも思います。TV版の延長の感は否めませんが、単独で観ても話がわからないことはないし、そこそこは楽しい。今は国民の命を第一に考えている国のリーダー。けれどその人が過ちを償わないままを正直に話すこともなく自分は偉いと言ってのけたらどうしますか。
猿之助さん、今どうしているのかな。
『AFRAID アフレイド』
『AFRAID アフレイド』(原題:Afraid)
監督:クリス・ワイツ
出演:ジョン・チョー,キャサリン・ウォーターストン,ハヴァナ・ローズ・リウ,ルキータ・マックスウェル,デヴィッド・ダストマルチャン,キース・キャラダイン他
塚口サンサン劇場で前述の『殺し屋のプロット』を鑑賞後、今度は西宮ガーデンズへ。年内が有効期限の招待券を2枚持っていたため、それを使用すべくTOHOシネマズ西宮でハシゴ。
前知識なしで観に行ったから、オープニングロールでこれがブラムハウスの製作だと知る。そうですか、ならばジャンプスケアの覚悟をしておかなくては。はい、座席から跳ね上がりそうになるのを予測して、その前に目を瞑ったから平気です。それにしてもこんなホラーを撮ったのが『アバウト・ア・ボーイ』(2002)のクリス・ワイツ監督だなんて意外も意外。そもそもこの監督の名前は知らんのだけどと思ったら、監督としてよりも脚本家としてご活躍なのですね。『シンデレラ』(2015)、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)、『ザ・クリエイター/創造者』(2023)などなど、めっちゃ大作の脚本を担当していらっしゃるではないですか。へ〜っ。
“アイア”と呼ばれる超高性能ホームアシスタントAIを使用する家庭で、幼い娘が突如いなくなったシーンから始まります。アイアに薄気味の悪さを感じはじめた母親が使用をやめると決めた晩のことでした。ここから場面が変わって主人公家庭へ。
カーティスとメレディスの間には子どもが3人。長女アイリスは高校生で、恋人のソーヤーからヌード画像を送るように言われて戸惑っている。長男プレストンは学校に馴染めないらしく、家でゲームばかりしては不安を口にする。次男カルには呼吸器疾患あり。こんな5人家族がアイアのテストモニターとなることに。なんだか監視されているようで不安に思うカーティスだったが、アイアに声をかけられた息子たちは食事の片付けを積極的にするようになり、プレストンは笑顔で登校。ソーヤーに画像をばらまかれて思い悩むアイリスに代わってアイアが仕返し。それはやりすぎなほどではあったが、名門大学入学への準備もアイアが手を貸してくれ、メレディスも家事が楽になったおかげで専門とする昆虫学の論文を執筆できそう。しかし、家族がアイアに頼れば頼るほどカーティスの心配は募る。何から何まで一瞬で理解してデータとして取り込み、「家族のために」問題を解決するアイア。人の命を奪うことも厭わないアイアを破壊しなければと考えるのだが……。
冒頭のシーンからは『WEAPONS/ウェポンズ』(2025)を思い出しましたが、中身は全然違いました。簡単に言えばこちらはいわゆるAIの暴走。でも仕組みがまったくわからないのが不満です。カーティスがメインシステムを壊しに行ってみたら、それはアルミホイルと段ボールでできている。じゃあアイアって誰がどうやって作って誰が動かしているの。なんだかわからないものの存在が怖いとも言えるけど、なんか中途半端だなぁ。これじゃ怖がりようがありません。結局人類みんなアイアに支配されて、アイアの言うことを聴かなきゃならなくなるのよというオチ。冒頭の娘をさらわれた親もアイアに命じられてカーティス一家を襲いに来たのでした。いずれこうしてAIが家庭に入り込んで家族の一員となる時代が訪れるのでしょうかね。怖っ。





