『ベスト・キッド:レジェンズ』(原題:Karate Kid: Legends)
監督:ジョナサン・エントウィッスル
出演:ジャッキー・チェン,ラルフ・マッチオ,ベン・ワン,ジョシュア・ジャクソン,セイディ・スタンリー,ミンナ・ウェン,ワイアット・オレフ,アラミス・ナイト他
学年同窓会の打ち合わせがあった日がちょうどファーストデーでした。梅田で21:00前にその打ち合わせが終わって109シネマズ箕面へ向かったら、本作の上映開始に余裕で間に合うじゃあないか。しかし21:55から上映って、遅すぎませんか。こんな時間に劇場で映画が観られるのはありがたいけれど。
「オリジナル版“ベスト・キッド”のラルフ・マッチオが主演したドラマシリーズ“コブラ会”と、ジャッキー・チェンが主演したリブート版それぞれの続編として、ラルフ・マッチオとジャッキー・チェンの初共演で贈る格闘技ドラマ」って、わかるようなわからんような。いずれのことも知らなかったとしても、『ベスト・キッド』(1984)でミスター・ミヤギに鍛えられた少年を演じたのがラルフ・マッチオであることと、ジャッキー・チェンのことを知っている人でさえあれば楽しめると思います。
17歳の高校生男子リー・フォン(ベン・ワン)は医師である母親(ミンナ・ウェン)と北京で暮らしている。ミスター・ハン(ジャッキー・チェン)のもと、リーは兄のボー(オスカー・グー)と共にカンフーを学んでいたが、あるときボーが悲劇に見舞われて他界。それをカンフーのせいだと考える母親は、ボーの死後、リーに戦うことを禁じる。こっそりハンの道場に通い詰めているのがばれ、母親はリーを連れてニューヨークに移住。移民では学校で浮くことも確実かと思われたが、近所のピザ店の一人娘ミア(セイディ・スタンリー)とひょんなことから親しくなる。
ニューヨークの街を歩いているときに気になったのが空手道場。しかしミアはそこには近づかないほうがよいと忠告。勝つためなら手段をいとわないことを教え込む道場で、ミアの元彼でストリートファイトのチャンピオンであるコナー(アラミス・ナイト)がいるうえに、ミアの父親ヴィクター(ジョシュア・ジャクソン)がコナーの師匠オシュア(ティム・ロゾン)から借金をしているらしい。ミアに未練のあるコナーはリーを目の敵にして、会えば喧嘩をふっかけてくるようになり、その強さは半端ではない。殴られて傷をつくるリー。
ピザ店に通ううち、ヴィクターがかつて強豪ボクサーだったことを知る。ミアが生まれたときにボクシングを辞めたが、借金を返すにはもう一度リングに上がって賞金を稼ぐしかない。取り立てに来た輩をリーがカンフー技で撃退するのを見たヴィクターは、リーにカンフーを教えてほしいと言い出し……。
リーはカンフーを教えるだけかいと一瞬思うけれど、そんなはずはない。卑怯な手を使ってヴィクターを病院へ送り込んだ奴らを許せず、敵討ちを誓うリー。そこへやって来るのがジャッキー・チェン演じるハンと、ハンに無理矢理連れて来られた空手の達人ダニエル。ダニエル役がラルフ・マッチオですね。
リーがヴィクターに負けるオチは絶対にないだろうから、安心して観られます。会話もウィットに富んでいるし、あらゆる練習方法が面白くて飽きません。駅の改札を使った練習なんて目からウロコ。リーの練習のみならず、ヴィクターがリーから特訓されるときの練習も面白い。あらゆるものがカンフー。どんなものを使ってもカンフーになり得る。
リー役のベン・ワンは別にイケメンじゃないんです。でも賢そうな顔つきで、憎めない感じ。こんなカンフーを見せてくれると、もう目が惹きつけられてしまうのでした。楽しかった。
『8番出口』
『8番出口』
監督:川村元気
出演:二宮和也,河内大和,浅沼成,花瀬琴音,小松菜奈他
イオンシネマりんくう泉南にて『九龍ジェネリックロマンス』の次に。せっかく関空まで来たのだから1本だけ観て帰るのはもったいなくて。
監督はヒットメーカーの川村元気。この人が関われば何でも間違いなく流行るイメージがあります。始まりはたぶん、企画した『電車男』(2005)。その後も着々と話題性の高い企画を生み出しました。特に印象に残っているのは『告白』(2010)でしょうか。そういえば現在大ヒット中の『国宝』と同じ吉田修一原作の『悪人』(2010)ではプロデュースを担当し、新海誠監督のメガヒット作3本、『君の名は。』(2016)、『天気の子』(2019)、『すずめの戸締まり』(2022)はすべて川村元気のプロデュース。話題作の『怪物』(2023)だって彼の企画とプロデュースで、ホンマになんぼほど儲けるねん、この人と、妬んでしまうほど(笑)。そんな人の久しぶり監督作だからか、公開2日目だったこの日もよく客が入っていました。
“KOTAKE CREATE(コタケクリエイト)”が開発した世界的ヒットゲームなのだそうです。映画化されるゲームが多いですね。実写映画化された作品でいちばん最近観たのは『アンティル・ドーン』。あっちもホラー、こっちもホラー。ホラーがウケるのか。オリジナルのゲームソフトにはストーリーは存在しないところ、この映画版ではストーリーを持たせた作りになっています。ストーリーがなければ映画にならないか。(^^;
満員の地下鉄。ドア付近に立って乗車中の青年(二宮和也)。泣き叫ぶ赤ん坊を抱いた女性をどやしつける男性がいるのを見てなんだかなぁとは思うものの、男性に何か言う勇気などない。周囲の人も同じで、みんな一様にスマホを見つめるだけ。勇気どころか興味すらないのかもしれない。そんな状況に居たたまれなさを感じて下車すると、元カノ(小松菜奈)から電話がかかってくる。彼女とは別れたばかりだが、いま妊娠が判明したと言う。どうするかと尋ねられて、何も答えられない青年。
改札を出て出口に向かうと、地下通路を進んでも進んでも同じところを回っているだけという無限ループに囚われる。壁に掲げられた「ご案内」を読むと、「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」「8番出口から外に出ること」と書かれていて……。
3部構成というほどではないけれど、まず二宮くんが歩き回る様子が第1部の『迷う男』として描かれ、その次は第2部の『歩く男』。第1部ではもはやこの世の者ではないと思われた河内大和演じるオジサンが、第2部では二宮くん同様に迷っています。無限ループに囚われて焦るオジサンは、第2部の中で少年と出会う。どうやら少年も迷っているらしく、放っておけなくなったオジサンは少年を連れて一緒に歩きはじめます。すると女子高生(花瀬琴音)と遭遇。彼女も迷っているのかと思いきや、この世の者ではなさそうな。第3部は『少年』で、浅沼成演じるこの少年と二宮くんが行動を共にします。
以下ネタバレです。少年は迷う男の息子。元カノから妊娠したと聞いて困惑する男は、元カノが授かった命が誕生し成長した姿を無限ループの中でが見せられます。元カノとふたり、海辺で自分たちの子どもである少年がはしゃぐ様子を見て、この命を消してはいけないと思ったはず。そう悟ったときに8番出口が目の前に現れて無限ループから脱出し、元カノに電話をかけてすぐにそちらへ行くと話すところで終わります。
つまらなかったことはないのですが、なぜこうなるのか理解できないところがちょこちょこあります。迷う男が喘息である必要性とか、元の「この世界の住人」がここに閉じ込められた理由とか。 喘息は男のイライラを表していると思ってよいですか。また、オジサンや女子高生も迷う男と同じように何か困惑することがあったと思ってよいですか。迷う男と少年のくだりには少なからず心を掴まれましたし、なんだかんだでさすが川村元気というよりほかありません。
『九龍ジェネリックロマンス』
『九龍ジェネリックロマンス』
監督:池田千尋
出演:吉岡里帆,水上恒司,栁俊太郎,梅澤美波,フィガロ・ツェン,花瀬琴音,諏訪太朗,三島ゆたか,サヘル・ローズ,関口メンディー,山中崇,嶋田久作,竜星涼他
6月に1週間、タイから帰国していたダンナが、どうしてももう一度帰国せねばならない用事ができて、8月の最終土曜日の朝帰国、日曜日の朝にはまたタイに戻るという24時間滞在。同じ週末、向こうが幼稚園児の頃から知っている男子(もう40代半ばだけれど(笑))が来阪中で、わぁ、せっかくダンナの帰国日と重なっているのに、双方忙しくてどうにも都合があわないよねぇと会うのは断念。と思いきや、その男子から「日曜日の朝、関空で会うのは無理ですかね」と再び連絡あり。「それ、ええやん!」と朝7時半すぎに関空で待ち合わせることに。ダンナの帰国時はいつもなら蛍池駅のリムジンバス乗り場まで送るところ、この日は私の運転で関空まで行きました。3人でモーニング。機会は作る気になりゃ作れるものですねぇ。
3人で約3時間しゃべり倒し、それぞれ搭乗口に向かうのを見送って私は帰る。そのまま帰ってもよかったのですけれど、せっかくこんなところまで来たんだから普段は行かない劇場へ行ってみたくなり、イオンシネマりんくう泉南へと向かいました。ここに来なきゃ観られない作品を上映しているわけでもないのに。でもなんか楽しいじゃないですか。そしてたまげたのは、イオンモールりんくう泉南は駐車場代をいっさい取らないということ。もぎりのお姉さんに「駐車サービスはどちらで受ければよいですか」と尋ねたら、「ウチ、駐車場はタダなんで」。ひょえ〜。土日もタダなんすか。精算機すら設置されていないことに驚く。
原作は眉月じゅん(♀)が『週刊ヤングジャンプ』にて2019年から連載中の同名人気漫画。監督は『君は放課後インソムニア』(2023)の池田千尋。『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』で九龍の魅力を見せつけられた私は、タイトルを聞いただけでテンションがあがる。
九龍城砦に暮らす鯨井令子(吉岡里帆)は勤務先も城塞にある不動産屋。なぜか令子にはいっさいの記憶がない。この街のことを何でも知っている先輩社員の工藤発(水上恒司)にあれこれ聞くうち、令子は発に恋をするが、どうも発が令子の中に別の女性を見ているような気がする。そんな折、発と親しいタオ・グエン(栁俊太郎)と知り合いになり、かつて発には令子そっくりの婚約者がいたことを知らされて……。
寝不足で鑑賞に臨んだことを言い訳にします。はい、だいぶ寝ました(笑)。それでも話について行ける程度には起きていたはず。九龍の住人はクローンを作ることができるらしくて、発の婚約者だった令子が死んでしまったときに、令子のクローン“鯨井B”が誕生。普通はオリジナルとクローンがいて、オリジナルが死ぬとクローンも死んでしまうのに、令子の場合はオリジナル不在の状態でクローンが生きている。そこに目をつけたのが美容外科医の蛇沼みゆき(竜星涼)。令子を調べ上げてクローンのみになっても生きられる理由を解き明かそうとしています。
クローンは九龍から一歩出た瞬間に人間の体を失って霧散する。自分がクローンであることを知った令子Bが、クローンであっても発への気持ちは確かなものだからきっと消えることはないと九龍から外へ飛び出します。やっぱり消えちゃったかぁと思った後のエンドロール、そしてその後。きっちり最後までご覧ください。
2回目の『国宝』
観るものがないんだってば。109シネマズ大阪エキスポシティにて『大長編 タローマン 万博大爆発』を観たあと、ハシゴするものはないなぁと思ったけれど、『国宝』は封切り日に観たきり。大ヒット中のこれをもう一度観ることにして、109シネマズ箕面へ。
平日の晩21:40上映開始の回で終了は23:45。私は車だからいいとして、電車で観に来ている人とかいらっしゃるんですかね。終電に間に合わないでしょ。なのに凄い混雑ぶり。『F1/エフワン』の再上映がババ混みなのも嬉しいし、こうして『国宝』が大ヒットを飛ばしているのも嬉しい限り。
2回目になかなか手が出なかったのは、複数回観るには体力を要する作品だと思ったからです。物理的に約3時間の長尺だというだけなら、『国宝』の175分よりも『RRR』(2022)はさらに長い179分だけど18回観たし、そこまで長くはないけれど135分の『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)は31回、131分の『トップガン マーヴェリック』(2022)は36回観ました。今年に入ってからは124分の『ファーストキス 1ST KISS』も6回観ています。『F1/エフワン』だって155分あるのにすでに5回観ていますし。
『国宝』はなんとなく軽い気持ちでは観られない。日本の伝統芸能ということもあるのかもしれませんが、背筋を張って観なければいけない気持ちに駆られます。2回目は寝るよねぇと思ったのに寝ませんでした。吉沢亮と横浜流星の美しさに魅了されるし、そこにいる誰もが真摯に撮影に臨んだ空気が伝わってきて、見入ってしまいます。
1回目に観たときに好きだったシーンがやっぱり好きです。渡辺謙演じる花井半二郎が事故に遭って入院し、自身の公演『曽根崎心中』の代役に息子の俊介(横浜流星)ではなく喜久雄(吉沢亮)を抜擢したとき、俊介が喜久雄に「泥棒やないか。……とでも言うほうがおもろいんやろうけど」と言う。逆に喜久雄が出て行くことになったときに追いかけてきた俊介に向かって、喜久雄が「結局血ぃやないか。……とでも言うほうがおもろいんやろうけど」と言うやりとり。その後で殴り合いにはなってしまうけれど、このふたりの絆には血以上のものを感じます。
田中泯の凄みに圧倒されるのは言うまでもなく、冒頭だけ登場の永瀬正敏の組長っぷりも圧巻。三浦貴大の役も好きだなぁ。かねてから注目していた見上愛(藤駒役)が本作でブレークした感があって嬉しい。最初は小松菜奈に似ていると思って気になっていただけでしたが、本作をきっかけに違う目で見ることができそうです。
こうして2回目に足を運ぶと弾みがついてまた行こうかなという気になる。観るものがなくなれば検討します。
『大長編 タローマン 万博大爆発』
『大長編 タローマン 万博大爆発』
監督:藤井亮
出演:山口一郎
数カ月前から予告編はさんざん目にしていました。ばーくはつだ、ばーくはつだ♪という歌詞とメロディーが頭にこびりついて離れず、仕事中もよく口ずさんでいたけれど、これがどういう作品なのかさっぱりわからず。109シネマズ大阪エキスポシティでは公開週に舞台挨拶付きの回が上映され、チケットが販売開始となっていることに私が気づいたときにはすでに完売。何この人気!?と思いつつ、普通上映開始になってからでいいやとスルー。割引のある翌週水曜日に観に行きました。
観はじめてからもなんだかよくわからない。予告編にも登場していたサカナクションのフロントマン・山口一郎と本作はどういう関係なんですか。本編前に自己紹介があり、本編終了後にまたお会いしましょうとの台詞。私はどういう姿勢で鑑賞に臨めばよいのか困惑してしまい、結局最後までそんな感じのままでした。もうちょっと予習してから行けばよかったと後悔。
作品自体の色調はレトロ。旧作の再上映なのかなと思ったけれど、鑑賞前に唯一名前を調べていた藤井亮監督は1979年生まれだから、1970年の大阪万博のときにはまだこの世に誕生していない。ならば新しく撮影したモキュメンタリー作品ってことでしょうか。それにしたって出演陣は知らない俳優ばかり。ここに出てくる岡本太郎はご本人なのかしら。わからない~。
で、鑑賞後に調べてようやくわかる。本作自体はやはりモキュメンタリーなわけですね(と言っていいのかどうか自信はないけど)。「太陽の塔をはじめとする岡本太郎の作品群をモチーフにした特撮ヒーロー番組が1970年代に放送されていた」という架空の設定。で、当時放送されていたとする架空の特撮番組を実際に制作し、これまたタローマンマニアという設定の山口一郎が解説を担当する形で放送したのがNHKの『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』。その劇場版が本作なのだそうです。
2025年の未来から1970年の奇獣がやってきます。彼らの目的は2025年の関西万博を消滅をさせること。その阻止に立ち上がったのが地球防衛軍とタローマンらしい。あまりにわからなくて私は寝ちゃったんですが、こうして調べて書いてみてようやくわかりました。わかったうえでもう一度観に行きましょうかね。
居眠りはしたけれど、岡本太郎の金言はわりと心に残ります。そして「でたらめ」であることが時には大切だということも。気を張ってばかりじゃなくて、でたらめに生きてみよう。他人様には迷惑をかけない程度に(笑)。