MENU
ChatGPT-Image01
previous arrow
next arrow

『ヒグマ!!』

『ヒグマ!!』
監督:内藤瑛亮
出演:鈴木福,円井わん,岩永丞威,上村侑,住川龍珠,占部房子,清水伸,金田哲,宇梶剛士他

昨年11月下旬に公開予定だったところ、クマによる被害があまりに多すぎて延期になっていた作品。日の目を見ることができてよかったけれど、クマに襲われた経験のある人はつらすぎて観られないと思います。TOHOシネマズなんばにて。監督は『先生を流産させる会』(2011)の内藤瑛亮。彼は『嗤う蟲』(2024)や今日から公開されるゆりやんレトリィバァ監督の『禍禍女』の脚本家でもあります。

将来ゲームメーカーになる夢を持つ小山内蒼空(鈴木福)は大学受験に合格。両親も喜んでくれていたのに、その翌日、父親(清水伸)が自殺してしまう。気丈に振る舞う母親(占部房子)は、学費はなんとかするから大学に通うようにと言ってくれるが、なんとかなるとは思えない。大学を諦めて母親のためにもなんとか金を稼ごうと闇バイトに手を出す。

実行役はみんな番号で呼ばれる。66番となった小山内は、同じ仕事を請け負う仲間と共に森の中へ。ターゲットの女性・若林桜子(円井わん)が持っているトルマリンを取り上げるのが今回の仕事だったはずが、いつのまにか若林を殺すことまで要求される。報酬を得るためにはやらねばならないが、自分に人を殺すことなどできるのか。ほかの仲間たちが若林に襲いかかったところ、自衛官上がりだという若林の反撃に遭って苦戦。森の中で闘っていると、そこに巨大なヒグマが現れる。

次々と食い殺される仲間たち。恐怖で立ちすくむ小山内は若林に助けられ、なんとかその場を逃げ出す。すると今度は害獣を駆除する猟師・神崎(宇梶剛士)とバッタリ。頼れる存在に思えて手を組むことにするが、神崎は実はヒグマに殺された人々の所持品を盗む輩だった。若林が持つトルマリンを狙う神崎とバトルすることになって……。

どう見てもCGのヒグマの顔も動き。『コカイン・ベア』(2022)に負けず劣らず徹底してB級です。でもそれなり以上に面白かった。ヒグマから逃げた小山内が逃げ込んだ民家では、ゲーマーの小学生が小山内制作のゲームをしている。「知らない人を家に上げちゃ駄目」と言われていた少年がゲームクリアのコツを小山内から聞いて大喜びするところなど、笑ってしまいます。神崎のことは許せないけれど、クマ退治の日当が8,500円は酷いと思う。

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(2022)以来、見ると嬉しくなる円井わん。今回も不屈の姉御ぶりに勇気づけられました(笑)。大人になっても幼さは抜けないままの福くん、今後どんな俳優になるのでしょう。

『カリギュラ 究極版』

『カリギュラ 究極版』(原題:Caligula: The Ultimate Cut)
監督(1980年版):ティント・ブラス,ジャンカルロ・ルイ
出演:マルコム・マクダウェル,ヘレン・ミレン,テレサ・アン・サヴォイ,グイド・マンナリ,ジョン・スタイナー,ブルーノ・ブリーヴ,ジョン・ギールグッド,ピーター・オトゥール他

ボブ・グッチョーネなる人物が成人向け雑誌『ペントハウス』を創刊したのは1965年のことでした。それより10年以上前にヒュー・ヘフナーが創刊した『プレイボーイ』に対抗してのこと。『プレイボーイ』より売れるエロい雑誌を作るという目標があったそうです。おそらくグッチョーネにとってヘフナーは絶対に倒したいライバルだったのでしょうね。そして、1980年には映画にも手を出す。46億円という巨費を投じて彼が製作したのがアメリカ/イタリア合作の本作。監督にはポルノ映画界の巨匠と呼ばれるイタリア人ティント・ブラスを抜擢。金にモノを言わせて錚々たるキャスティングを目指したようですが、オファーした俳優陣にポルノ映画であることは伏せていたため、大変な騒動になったらしい。

主人公カリギュラの祖父で第2代皇帝の暴君ティベリウス役のオファーを受けた『市民ケーン』(1941)のオーソン・ウェルズは、彼の俳優人生最高額のギャラを提示されたにもかかわらず、脚本を読んで出演を拒否。その役は結局ピーター・オトゥールが務めました。主演を引き受けたマルコム・マクダウェルも本作への出演をキャリアの汚点だったとして後悔を見せています。こんな曰く付きの作品を今さら復元する必要があったのだろうかと思いますが、だからこそ観たいと思うのも事実で(笑)。なんと、結果的にすべてオリジナル公開版で使用されていない映像のみで仕上げることになったそうです。観たいじゃあないか。同じ気持ちの人が多いようで、キノシネマ心斎橋にはまぁまぁ客が入っています。

カリギュラはローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの曾孫。近親相姦の関係にある実妹ドルシアと結婚したいと思っているが、ドルシアは兄妹は結婚できないのよと笑う。ある日、カプリ島で隠遁生活を送る第2代ローマ皇帝ティベリウスから呼び出されて馳せ参じると、そこには性病に冒されながらも異常性愛に溺れる暴君の姿が。興味を惹かれるカリギュラ。

順当に行けば次の皇帝はカリギュラだが、ティベリウスはカリギュラの弟ゲメッルスに後を継がせたい。カリギュラに毒を盛って殺害を謀るが、それに気づいたカリギュラが回避。その後、カリギュラの腹心マクロが仮死状態となっていたティベリウスにとどめを刺して殺す。こうして第3代皇帝の座に就いたカリギュラ。

ドルシラの勧めで妻を娶ることにしたカリギュラは、ドルシラが連れてきた巫女の中でリヴィアという女性に目をつけるが、彼女にはプロキュラスという婚約者がいるらしい。それならばと次に選んだのが、巫女のうち最も尻軽で離婚歴もあるカエソニア。カエソニアだけはやめたほうがいいというドルシラの忠告を聞かずにカエソニアと結婚。しかしリヴィアを普通に結婚させるのは面白くなくて、リヴィアとプロキュラスの結婚式に乱入すると、処女だったリヴィアを強姦。さらにはプロキュラスのことも強姦する。

書いていて胸クソが悪くなります。マクロも反逆の罪を着せられて殺されてしまうし、その殺し方もまたえぐい。よくも皆さんこんな作品に出演することにしたもんです。3時間の拷問のような鑑賞時間(笑)。

カエソニアを演じているのがヘレン・ミレンなんですよね。誰もが知る名女優がかつてこんなエロエロ役を演じていたなんて、もうビックリ。ガリガリに痩せていると思っていたのに、淫乱なカエソニア役の彼女は豊満ボディで、ドルシラ役のテレサ・アン・サヴォイと3Pまでしちゃいますから。でもこれは本人じゃなくてボディダブルなのでしょうね。

下品だ、うんざりする、史上最悪の映画などと酷評されつつもヒットした本作。二度と観たくはないですが、こうして一度は観ることができてよかったと思います。ヘレン・ミレンが本作への出演を恥じていないところも素晴らしい。

『ジャグラー/ニューヨーク25時』

『ジャグラー/ニューヨーク25時』(原題:Night of the Juggler)
監督:ロバート・バトラー
出演:ジェームズ・ブローリン,クリフ・ゴーマン,ジュリー・カーメン,リチャード・カステラーノ,アビー・ブルーストーン,ダン・ヘダヤ,マンディ・パティンキン,マルコ・セント・ジョン,ドロシー・ライマン,シャロン・ミッチェル,セレナ,ジェラルディン・スミス他

塚口サンサン劇場へ『おくびょう鳥が歌うほうへ』を観に行ったついでにもう1本観て帰ることにしました。ほかに選択肢なく、1週間限定で上映されていた1980年のアメリカ作品を鑑賞。40年前の作品をこうして上映するなんて、どんな有名なんだ、でも私はまったく聞いたことないんだけどなぁなどと思いながら。

ショーン・ボイドは元警察官、現在はトラック運転手。妻と離婚して一人娘のキャシーを引き取り、男手ひとつで育てている。キャシーの15歳の誕生日、放課後一緒にバレエを観に行く約束をしてセントラルパークまで送るが、キャシーが目の前で見知らぬ車に引きずり込まれる。愛娘を助けなければとボイドは必死に後を追うも、事故に遭って病院へ。治療など受けている暇はないと、病院を抜け出したボイドは……。

少女が誘拐されたというのに、ニューヨーク市警はそれよりも事故を起こしたボイドを逃すまいとします。病院を脱出したボイドを逮捕し、取り調べを担当することになったのは、ボイドに私怨を持つバーンズ。取調室に入るや否やボイドに恨みをぶちまけて暴行。それも振り切ってふたたび逃げ出したボイドは、追っ手を交わしつつキャシーを連れ去った犯人に繋がる手がかりを探します。

ボイドを演じるのはジョシュ・ブローリンの父親ジェームズ・ブローリン。ジェームズ・ボンド役の候補に挙がったこともあるそうな。たいしたモテっぷりだったらしい二枚目俳優ですが、胸はだけすぎやと私は思う(笑)。そして恐ろしいのがダン・ヘダヤ演じるバーンズ。逆恨みからボイドを追いかけてニューヨークの街なかでライフルをぶっ放す。いくら警察官でもこんなことは許されないでしょう。(^^;

まさに「活劇」といったイメージで評価が高いのは頷けるけど、私はどうにも好きになれません。クリフ・ゴーマン演じる誘拐犯のガス・ソルティックがキモすぎるから。マザコンロリコンでレイシストのオッサン。母親の服をキャシーに着せるシーンでは思わず「ゲッ」と声が出て、キャシーにキスするシーンでは「キモっ」。退出したくなったほどです。なんなら『サイコ』(1960)のノーマン・ベイツより気持ち悪いんじゃないですかね。

風俗嬢の役で出演しているシャロン・ミッチェルは超有名なポルノ女優だそうで、1990年代にファンから暴行を受けたさいに命の危険を感じてセックス産業から引退したとのこと。後にAV(アダルトビデオ)に出演する俳優が病に冒されていないかの検査を請け負う“アダルト産業医療健康財団”を創設しましたが、検査を受けた俳優の個人情報が流出したことにより訴えられ、破産に至ってしまったそうです。

何十年も前の作品を観ると、この人は今どうしているのだろうなどとついつい調べたくなります。ボイドに手を貸すマリア役のジュリー・カーメンなんてめっちゃ美人なのに、その後たいした作品に出ることなく忘れ去られているなんて残念だなぁ。

『おくびょう鳥が歌うほうへ』

『おくびょう鳥が歌うほうへ』(原題:The Outrun)
監督:ノラ・フィングシャイト
出演:シアーシャ・ローナン,パーパ・エッシードゥ,ナビル・エルーアハビ,イズカ・ホイル,ローレン・ライル,サスキア・リーヴス,スティーヴン・ディレイン他

凄く観たいのにタイミングを逃しそうだと思っていたところ、塚口サンサン劇場で17:40から上映の回がある。時間休を取って父に面会後に向かえばなんとか間に合いそうだと車を走らせました。間に合った。

スコットランドのオークニー諸島出身の作家エイミー・リプトロットのベストセラー回想録を映画化したイギリス/ドイツ作品。主演は『ブルックリン』(2015)、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)のシアーシャ・ローナンで、自らプロデュースも務めています。

生物学の修士を取得していながらそれを生かすことができずにロンドンで荒んだ生活を送る女性ロナ。アルコール依存症に陥り、酒を飲んだときの彼女には誰も手をつけられない。恋人のデイニンは我慢強くそんな彼女と接していたものの、飲酒しては暴言と暴力で人を傷つけるロナにこれ以上つきあっていられないと別れを告げる。デイニンに戻ってきてほしくて断酒会に参加するが、いつも途中で挫折。酔っぱらってついて行った男から暴行を受け、命の危険まで感じたロナは今度こそ断酒すると決め、故郷のスコットランド・オークニー諸島に戻るのだが……。

実家は農場。しかし、両親がここで農場を営んでいるのは、ロナがまだ幼い頃に双極性障害を発症した父親が町を追い出されたから。精神病に罹ると追い出されて島送りにされてしまうんですね。躁状態のときはとても良い父親だけど、鬱状態に陥れば人ではなくなったかのようにじっとしているだけ。幼いロナを抱えて夫をあてにできない母親は信仰に走る。成長したロナが酒に走るのも無理はないかもしれないと同情の念が湧きます。

故郷へ帰っても猛烈に酒を飲みたくなるときがある。どうにかその思いと向き合って、孤島パパイ島で絶滅種の鳥ウズラクイナ(臆病ゆえめったに姿を見せない鳥)の調査チームに加わることにしたロナ。ただ島を回って鳥の鳴き声が聞こえないかチェックするだけの日々を送りますが、人のことを詮索はしないけど温かく接してくれる管理人や断酒経験者である老人の存在がよかった。アザラシすらも温かい。

結局鳥には会えずじまいと思ったときのラスト。ロナの声にニヤリとしてしまう。このラストシーンで何もかもが報われた気持ちになります。

『28年後… 白骨の神殿』

『28年後… 白骨の神殿』(原題:28 Years Later: The Bone Temple)
監督:ニア・ダコスタ
出演:レイフ・ファインズ,アルフィー・ウィリアムズ,ジャック・オコンネル,エリン・ケリーマン,エマ・レアード,サム・ロック,チ・ルイス=パリー,ミレン・マック他

109シネマズ箕面にて。

『28年後…』(2025)に引き続きダニー・ボイルが監督だと思っていたら、本作ではニア・ダコスタに監督を任せて製作に回ったようです。脚本は前作と同じくアレックス・ガーランドが担当。『ウォーフェア 戦地最前線』と同週の公開で、あっちもこっちも脚本を執筆しているガーランドって只者じゃないですよね。

前作『28年後…』で感染者“アルファ”(=ゾンビ)がうようよする外の世界へと飛び出した少年スパイクとその母親アイラは、感染者を救おうと外の世界でただひとり研究を続ける医師ケルソンと知り合います。末期癌に冒されていたアイラを看取った後、ふたたび旅に出たスパイクがアルファに襲われかけていたところを、悪魔崇拝カルト教団“ジミーズ”に救われる。これが前作のラストシーン。

さて、ジミーズの一員として彼らと行動を共にするようになったスパイクですが、リーダーのジミー・クリスタルの残虐性と言ったら吐き気を催すほどで、どうにもついていけません。ジミーは自分が覇王(=悪魔)の息子であり、自分の言うことは絶対だとメンバーに信じさせています。アルファから逃れた人々が密かに暮らす家に押し入ると、人々を吊して臓器を取り出し、皮を剥ぐことをメンバーに強要。スパイクにはどうにもそれができず、ジミーはイライラ。ところが、押し入った家で人々を吊していたところ、ジミーたちは隠れていた妊婦キャシーの反撃に遭い、メンバーのうちの何人かが命を落とします。怒り狂ったジミーはスパイクにキャシーを捕まえるように命じるけれど、スパイクはキャシーを取り逃がしてしまう。スパイクに罰を与えようとするジミーに、メンバーの女性インクが処罰をどうするかは覇王に尋ねるべきだと助け船を出します。彼女が言うには、覇王らしき人物を見かけたと。この人物こそがケルソンで。

ケルソンの存在をインクから教えられて会いに行ったジミーは、メンバーの前では覇王のふりをするようにケルソンに求めます。もしもそうしないならおまえの腸を取り出してぐちゃぐちゃにしてやるぞと脅して。とりあえずジミーに従うことにしたケルソンが、自分は覇王だとジミーズのメンバーが信じるように振る舞うシーンが可笑しい。ネタバレになりますが、ふだんケルソンが聴いているのはデュラン・デュラン。それがジミーズに聴かせるために用意した曲はアイアン・メイデンの“The Number Of The Beast”。ケルソン以外は1980年代の曲なんて知らないから、イントロを聴いて本当に覇王の声だと思う(笑)。

ケルソンの研究が実り、感染前の自分を取り戻したアルファのリーダー、サムソン。ケルソンとサムソンの交流シーンもよかった。人間の言葉をすべて忘れていたサムソンが発した“Moon”。ケルソンの亡き後、サムソンはどうなるのでしょう。ちなみに、“The Number Of The Beast”が収録されたアルバム(邦題は『魔力の刻印』)からアイアン・メイデンに加入したボーカルのブルース・ディッキンソンがその前にいたバンドはサムソン。アルファの名前を適当にサムソンにしたとは思えず、これも監督のお遊びなのでしょうね。なんと楽しい。

キャシーが逃げ出したままだから、次は彼女が主役かしら。スパイクも頑張れ。ノークレジットのキリアン・マーフィにも驚いた。いったいいつまで続くのか、このシリーズ。