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『ロスト・チルドレン』【リバイバル上映】

『ロスト・チルドレン』(原題:La Cite des Enfants Perdus)
監督:ジャン=ピエール・ジュネ,マルク・キャロ
出演:ロン・パールマン,ジュディット・ヴィッテ,ドミニク・ピノン,ダニエル・エミルフォルク,ジュヌヴィエーヴ・ブリュネ,オディール・マレ,ジャン=クロード・ドレフュス,セルジュ・メルラン,ジョセフ・ルシアン他
声の演出:ジャン=ルイ・トランティニャン

ナナゲイで『「桐島です」』を観た後、シアターセブンで『還暦高校生』を観て、再びナナゲイに戻ったら大盛況。この混雑ぶりは何故かと思ったら、『事実無根』の舞台挨拶がおこなわれるところだったようで。『還暦高校生』を観るよりそっちのほうがよかったかもしれませんが(笑)、『事実無根』は4カ月以上前に京都で鑑賞済みだったもので。ナナゲイのロビーにて本を読みながら本作の開場まで静かに待つ。

ジャン=ピエール・ジュネ監督、大好きです。代表作は『アメリ』(2001)ということになるのでしょうが、私は『デリカテッセン』(1991)とこの『ロスト・チルドレン』(1995)のほうがずっと好きで、DVDも持っています。けれど、劇場で観たことはもしやなかったのではないかと思い、このたびのリバイバル上映に飛びつきました。4Kレストア版を上映している劇場があるようですが、ナナゲイでは残念ながら2K版の上映。「残念ながら」と言っても、そこに歴然とした差があるのかどうか私にはわからんし、本作を劇場で観られるならそれでいいのだ。

幼い子どもが一つ目の強盗団に誘拐される事件が頻発。カーニバルで怪力の見世物に出演していた大男ワンも、幼い弟を連れ去られる。強盗団は子どもたちを海上の石油掘削装置につくられた隠れ家に住まう男クランクに売っていた。科学者に創造されたクランクは、夢を見ることができないせいで異様に速く老化が進み、老化を止めるためには子どもたちから夢を盗まねばならないと考えている。隠れ家にはクランクのほか、やはり科学者に造られた同じ顔の6人の男と小さな女、そして水槽のような容器に入れられた脳だけの男アーヴィンが共に暮らしているが、創造主の科学者が姿を消したため、どうにもできずにいるのだ。弟を探すワンは、ちびっこ窃盗団のリーダー的存在である少女ミエットと出会う。なりゆきで一緒に行動することになったふたり。

知的障害のあるワンと、見た目はまだ子どもでもワンよりずっと精神年齢の高いミエット。彼女はワンのことを放っておけなくなります。ダニエル・エミルフォルクはその容貌がこれ以上ないほどクランクにぴったりでコワ面白い。科学者と6人のクローンを演じるドミニク・ピノンが今も健在なのは嬉しいこと。同じく、ワン役のロン・パールマンも変わらないですよねぇ。ミエットを演じたジュディット・ヴィッテが凄い美少女なんですが、彼女は今どうしているのでしょう。食べることにしか興味がなくてゲップが可愛すぎる弟役ジョセフ・ルシアンのその後も気になります。

この世界観はいま観てもすごい。何度でも観たい作品です。

『還暦高校生』

『還暦高校生』
監督:河崎実
出演:ひかる一平,直江喜一,石田泰誠,戸苅ニコル沙羅,森井信好,長谷摩美,笑福亭鶴光,古谷敏他

このタイトルだし、監督は河崎実だし、観ても大丈夫だろうかという不安が走りました。河崎監督といえば『いかレスラー』(2004)ですからね。しかも主演はひかる一平と来た。えっ、この人まだ役者をしてはったんですか。ひかる一平と聞いて思い出すのは、私が中学生だった頃。『3年B組金八先生』の第2シリーズの放映中で、一番人気の生徒は当然沖田浩之。ヒロくん以外で誰が好きかなんて決める必要もないのに、同級生たちから「ひかる一平にしとき」と言われた私はなぜかひかる一平ファンということにされてしまいました。全然タイプちゃうっちゅうねん。しかしまさかヒロくんがまだ30代で自殺してしまうなんて、あのころ誰が想像したことでしょう。悲しい事件でしたね。

で、まぁ、懐かしさもあって、ナナゲイで『「桐島です」』を観た後、1階下のシアターセブンに移動したのですけれども。もう苦笑いするしかない。わはは。

産休に入った教師の代替で星雲学園に着任した野々山(石田泰誠)にとって「青春」はかけがえのないもの。青春を体感してほしいと生徒にも同僚教師たちにも熱く語る。それを鬱陶しがる不良生徒と殴り合いの喧嘩になっても「青春」だけは譲れない。

彼が担任することになった3年B組には42回ダブって今年還暦を迎えるという高校生・椎名(ひかる一平)がいた。不良の巣窟となっているサッカー部をなんとかしようと顧問に就任した野々山は、その昔、椎名がサッカー部のエースだったと聞き、もう一度サッカーをしようと椎名を誘うのだが……。

茶番すぎてあらすじもどう書けばいいのか困ってしまいました。けれど、『3年B組金八先生』へのオマージュといえばオマージュで、パロっているシーンがいっぱい。そもそも役名からしてそうなんです。女子生徒の名前は三原だし、椎名のかつての同級生で今はとある設備会社の部長役を演じる直江喜一の名前は伊藤。これは彼が当時演じた加藤をもじってものでしょう。伊藤のやはり同級生で現在は同校で教師を務める森村(森井信義)が、伊藤のことを「腐ったミカン」呼ばわり。罵り合いになって伊藤は森村を連れて放送室に立てこもる。警察が来て伊藤が連行されるシーンでは、中島みゆき『世情』が流れることを期待しましたが、それは流れず。ここは絶対「シュプレヒコールの波♪」でしょ。

野々山が椎名をサッカー部に誘うも椎名は拒否。縋る野々山に出した条件は千本シュートを止めること。サッカー部員500本、不良生徒が400本蹴って、その全部を野々山は止めます。野々山より先に生徒たちがへばって、最後の100本は椎名が蹴り、それも全部止めちゃうんだから、凄いわ、野々山先生(笑)。主演はひかる一平というよりは石田泰誠です。

誰も観ないと思うからネタバレしちゃいますが、野々山が頑なにサッカー部への入部を断っていた理由に笑う。彼は人間じゃなくて宇宙人でしたという、抱腹絶倒のオチ。河崎監督らしく、ビジュアルもちゃんと宇宙人になります。ドン引きの展開がもしかしたら『野球どアホウ未亡人』(2023)のようにカルト化する可能性はあるかもしれませんね。ない!?

ところで、本作は「日本橋三越本店の福袋企画の第2弾」とあるのですが、これってどういう企画ですか。この福袋をもらって嬉しいとは思えないけれど、きっと観る人が少ないから、「観ましたよ」と自慢できるかしらん。自慢にならん?

『「桐島です」』

『「桐島です」』
監督:高橋伴明
出演:毎熊克哉,奥野瑛太,北香那,原田喧太,山中聡,影山祐子,テイ龍進,嶺豪一,和田庵,海空,白川和子,下元史朗,甲本雅裕,高橋惠子他

三連休初日、夙川でランチひとりでワインを1本空けた後で映画を観に行けば睡魔に襲われることは間違いないのに、またやってしまいました(笑)。てか、これは私はやめる気ないですよね。ごはんも映画もどちらも好きだから、どちらもハシゴする機会があるならそうしちゃいますよ。起きていられることもあるし、寝たら寝たでええやないかい、いびきかいて他のお客さんに迷惑をかけたりするのでなければ。と、開き直って阪急電車に乗車、十三の第七藝術劇場へ。

桐島聡は新左翼過激派集団“東アジア反日武装戦線”のメンバー。1954年に広島に生まれ、尾道の高校を卒業後、明治学院大学へ進学。そのときに出会った宇賀神寿一らと共に連続企業爆破事件を起こしました。これが1974年の暮れから1975年の春にかけてのこと。1975年5月にメンバーが次々と逮捕されたのをきっかけに、指名手配された桐島は逃亡。49年間に渡る逃亡生活を続けたのち、2024年に末期癌で入院した彼は偽名を使っていましたが、最期に本名を名乗って息を引き取ったそうです。

高橋伴明監督が『夜明けまでバス停で』(2022)と同じく梶原阿貴と共同で脚本を執筆。桐島役に毎熊克哉、宇賀神役に奥野瑛太というクセ大ありの役者を配し、桐島のミューズとなるキーナ役には『春画先生』(2023)の脱ぎっぷりが印象に残っている北香那。偽名を用いて50年近い日々を送った桐島。まさかあのテロ犯だとは知らずに接していたであろう人々に、おそらく高橋監督は丹念な取材を繰り返したのだと思います。その眼差しは温かく、悲惨なだけの逃亡生活だったようには見えません。

ただ、彼の名前を聞いて私がいつも思い出すのはコロナ下のシネ・ヌーヴォ『狼をさがして』(2020)を観たときのこと。死者を出したテロ事件だというのに、上映が終了すると拍手が沸き起こりました。それは作品に対しての拍手というよりも、テロ犯に対する賞賛の拍手に思えて、物凄い違和感に駆られたことを覚えています。最後の「桐島くん、お疲れさま」という言葉にも、そりゃ疲れてもらわにゃと思ったりもするのでした。

人それぞれ主張を持つことは大事。でもその主張の手段として無差別に殺人を犯す心情は理解できません。悔いていたからこそ最期に名乗ったのだと思いたい。

『遠井さんは青春したい! バカとスマホとロマンスと』

『遠井さんは青春したい! バカとスマホとロマンスと』
監督:まんきゅう
声の出演:ジェル,豊崎愛生,内田雄馬,佐倉綾音,寺島惇太,石見舞菜香,子安武人,岡本信彦他

109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』を観た後、まだまだ混んでいるフロアを横目に見ながら本作も観て帰る。

いつ観ようが割引なしの1,600円の本作がいったい何なのかまったく知らず。まんきゅうって何よ誰よと思ったら、『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』(2019)の監督なのですね。失礼しました。

「すとぷりのジェルが手掛けるショート動画シリーズをアニメ映画化した学園コメディ」とあるのですが、すとぷりが何なのか知らんのです。知らんのですって言うたけど、私、観てるやん、『劇場版すとぷり はじまりの物語 Strawberry School Festival!!!』(2024)。そうかそうか、あれがすとぷりか。余計にワケわからん。(^^;

普通の青春を送るべく高校に入学した女子・遠井さんが、はじけまくりの男子・ジェルに強引に入部させられたのが“青春ロマンス部”。遠井さんの役目はジェルにひたすらツッコミを入れること。……って聞いてもわからなくないですか。書くのにも困る。とにかく、何をするのだかわからない青春ロマンス部の部員になった遠井さんが、後から入部してきた数名と共になんだかんだで毎日を盛り上げて行く話です。

動画の配信を始めたロマンス部は、再生回数UPのために何でも屋を開始。「してほしいこと」を募って、依頼があれば駆けつける。たとえば、イチゴを入荷しすぎたという商店街の果物屋へ走って代わりにイチゴを売りさばいたり、行方不明の飼い犬を探したり、ゴミだらけの海辺を掃除したり。そうしているうちに陸上部女子から入ったある依頼。スター部員がネットで誹謗中傷を受けて不登校になったから解決してほしいというもの。これがまた想定外のドロドロ具合で、真相はこうだったら嫌だなぁという想定内の真相。

ワケがわからなかった最初ら辺はかなり寝ましたが、後半ドロドロになってからは覚醒しました。ハッピーエンドを迎えた頃にはフロアも空いていて(IMAXシアターではまだ鬼滅の最終回上映中でしたけれども)、スイスイの帰り道。

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
監督:外崎春雄
声の出演:花江夏樹,鬼頭明里,下野紘,松岡禎丞,上田麗奈,岡本信彦,櫻井孝宏,小西克幸,河西健吾,早見沙織,花澤香菜, 鈴村健一,関智一,杉田智和他

いや〜、凄いですね、この人気。封切りの何日前でしたっけね、上映スケジュールが発表されたのは。とにかく通常発表されるよりも少し早めに発表された各劇場のスケジュールを見たときには笑いました。本作以外を上映する隙があるのかと思うほどこれだらけ。私も早めに座席を予約して、109シネマズ大阪エキスポシティのIMAXレーザーGT版を鑑賞しました。そのときすでにエグゼクティブシートは埋まっていましたが、この劇場のこのスクリーンで観るときはエグゼクティブシートよりさらに後方の席が断然オススメです。後ろから3列目の中央エリア端っこ席がひとつだけ空いているのを見つけて押さえました。

しかし、私のような人はほかにいるのでしょうか。“鬼滅の刃”を観たのは『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020)が初めてで、それ以外に観たのはたまに劇場で上映していた総集編の類のみ。いまだにTV版は一度も観たことがなく、今回公開初日に劇場へ足を運んだのも決して鬼滅だからというわけではなくて、単に同週公開作品を順番に潰して行こうと思っただけ。こんなに何の思い入れも前知識もないまま、「映画だから観に行こう」というスタンスの人って、私以外にもいますか。

“名探偵コナン”“クレヨンしんちゃん”はTVアニメ版未見でも面白いことは言うまでもありません。そのコナンですら『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』(2024)ではちょっと混乱したけれど、コナンとクレしんを除けば、今までに劇場版のみ観ても物凄く面白いと思えたアニメの双璧が“鬼滅の刃”と“呪術廻戦”でした。そういう意味では、今回の鬼滅は前知識がほぼない私にはちょっと厳しいものだったかもしれません。

なにしろ登場人物をほとんど知らない。劇場版と総集編数本を観て覚えたのは、炭治郎、禰豆子、善逸、ハダカイノシシの伊之助(笑)、そしてしのぶ姉さんのことは亡くなった弟がマグカップを持っていたからわかります。 義勇さんと甘露寺さんも名前と顔は一致するかな。せっかく覚えた煉獄さんも亡き人だし、彼を死に追いやったのが今回のタイトルにもなっている猗窩座だということは上映開始後に思い出したぐらいで。

この程度の知識で存分に楽しめたかというと、すみません、ところどころ寝てしまいました。でも鬼たちが鬼と化した理由がそれぞれにしっかり描かれているのは毎度いいなぁと思います。ほら、切ないでしょ。特に猗窩座の過去は凄絶で、周囲の人が泣いている気持ちもわかるような気がしました。にしても鬼滅素人の私からすれば、えっ、首を斬ったのに再生する!? 猗窩座再来やなくて再生やん!と思ってしまったのでした。

ufotableのアニメーションは綺麗ですね。冒頭、薄陽が射すなか雪が舞うシーンでは息を飲みました。なんにせよ、第二章も観に行きます。その前に私には復習が必要だろうなぁ。