『新劇場版 銀魂 吉原大炎上』
監督:安藤尚也
声の出演:杉田智和,阪口大助,釘宮理恵,甲斐田裕子,三瓶由布子,井上喜久子,銀河万丈,日野聡,大塚芳忠,石田彰,千葉進歩,中井和哉,鈴村健一,太田哲治他
大人気らしい“銀魂”も劇場版しか観たことがないのは以前書いたとおり。「新劇場版」って何なのよ、『銀魂 THE FINAL』(2021)って言ってたよねぇと思いながら、来場者特典目当てで公開初日に109シネマズ大阪エキスポシティへ観に行きました。「TVアニメ化もされた名エピソード“吉原炎上篇”を完全新規作画で映画化」と言われてもまったくわからないのですが、そんな私が観ても面白いと思えるのが銀魂の良いところ。冒頭、“鬼滅の刃”のパロディから始まって大ウケ。ファイナルと言っておきながら新作公開に至った言い訳もあります。
地下に広がる遊郭都市・吉原桃源郷。ある日、掏摸を働いた孤児・晴太を捕らえた銀時。新八や神楽もまじえて晴太から事情を聴くと、晴太は吉原一の花魁・日輪(ひのわ)のことを生き別れた母親だと信じており、日輪に会うための金を貯めようとしているらしい。晴太の願いを叶えてやろうと一肌脱ぐことにした銀時たち。しかし吉原桃源郷を牛耳る夜王・鳳仙は決してそれを許そうとせず……。
銀魂ファンでも何でもない私が言うのもなんですが、ホント面白くて暇つぶしに最適な作品です。銀魂を一度も観たことがなくても楽しめる。本作なんてむしろ冒頭のパロディを理解するために“鬼滅の刃”を観ておくほうがいいんじゃないかと思うぐらいです。
銀時、新八、神楽たちメインキャラが面白いのはもちろんのこと、新撰組の面々や桂小五郎(じゃなくて本作では小太郎か)も可笑しいですよねぇ。新撰組のパロディとしても抜群。気がつけば銀魂のファンになっているのですが、劇場版以外も追う時間は到底つくれません。今後も劇場版のみ観る適当なファンでいます。
『FRÉWAKA/フレワカ』
『FRÉWAKA/フレワカ』(原題:FREWAKA)
監督:アシュリン・クラーク
出演:クレア・モネリー,ブリッド・ニ・ニャフテン,アレクサンドラ・ビストルツィトスカヤ,オルガ・ワーリー,ミーホール・オーグ・レーン,ドロシー・ダフィ他
梅田スカイビルで駐車料金1,800円を払うのだから、前述の『メラニア』1本だけで帰るのはもったいない。もう1本、とっても怖そうなアイルランドのホラー作品を観て帰ることにしました。監督はこれが長編2作目となる新鋭アシュリン・クラーク(♀)。モチーフとなっているのはアイルランドの民間伝承で、ケルト神話に宿る「土着の祈り」と「呪い」なのだそうです。と言われてもピンと来ませんけど。
イカれた母親から虐待を受けて育った女性シュー。大人になってからは疎遠になっていたが、ある日、母親が首を吊って自殺したとの報せを受ける。レズビアンのシューは婚約者のミラと共に、母親が暮らしていた部屋へ。あまりに多い物にうんざりしているところへ仕事の斡旋所から連絡が入り、介護ヘルパーとして働く先が見つかる。
母親の部屋の片付けはミラに一任してシューが向かったのは、人里離れた村にひとりで暮らす老婆ペグの家。ペグはなかなかシューを家の中に入れようとしない。家の周囲には馬蹄をはじめとする鉄製品が置かれ、訪問者には塩を振りかけようとするペグ。介護センター職員の話では、ペグには認知症の兆候が見られ、妄想癖もあるとのこと。最初はペグに手を焼くシューだったが、次第にペグではなく村全体がおかしいのだと気づいて……。
冒頭は1973年、若かりし頃のペグの結婚式シーン。結婚を機にこの村へ来たペグには知り合いなんていないのに、勝手に人が集まって来る。ポップな音楽で皆が楽しそうに踊っているところは決して暗くないけれど、新郎であるダヒのもとを離れて外へと出たペグは妊娠しているらしく、つわりのせいで気分が悪い。吐いた後で顔を上げると、そこには1頭のヤギがいます。ここで場面が切り替わって現在へ。年代から考えて、ペグとシューになんらかの関係があることが推察できます。ペグの本当の娘がシュー? いやいや、シューはもっと若いでしょ、ならばシューの母親がペグの娘かな、などと考えていたら、それが当たっていたわけですが。(^^;
明るかったのは冒頭の数分、いや、数十秒間だけで、以降は『ヴィレッジ 声帯切村(コエキリムラ)』と似た雰囲気。ひたすら暗く、不気味です。女性が子孫を残す道具のように扱われる一方で崇められているようにも感じるけれど、こんな因習の残る村には住みたくない。同性婚のシューとミラが男友だちの協力を得て子どもを持つことにしたせいで、ミラは妊娠中。エンドロール途中で「シューを連れて行かないで、何でもするから」と叫ぶミラ。それを言ったが最後、子どもは手放さなくてはならないのでしょう。
目から血ぃ出さないでよ。怖いってば。
『メラニア』
『メラニア』(原題:Melania)
監督:ブレット・ラトナー
一応観なきゃいけないなぁと思っていたものの、どこの劇場も私に都合の良い時間帯には上映してくれず。この数日前に南座へ出かける前にアップリンク京都で観られそうだと予定を組んでいたのに、当日は大雪。雪がざんざか降るなかで烏丸御池まで回る気力はないやと断念。もう観なくていっか~とさほど残念でもなくあきらめかけていたら、建国記念日の朝にテアトル梅田で上映があるではないですか。この日は目覚ましをかけずに寝ていて、起きたのは8:15頃。ゆっくり朝ごはんを食べて、新聞など読みながらパソコンに向かい、上映スケジュールを開き、9:45に間に合うように出るのは無理やなとまたあきらめる。ところが、便秘知らずの私はその後すぐに催し(笑)、もしかして間に合うんじゃな~い!?となりました。ブログ記事をUPし、オンライン予約して車に飛び乗る。9:42に梅田スカイビルの地下駐車場に入庫。
ドナルド・トランプの3人目の妻メラニア。2005年に結婚し、2006年に息子バロンを出産。そのバロンももう20歳になりました。ユーゴラスラビア(現スロベニア)出身のモデルだったメラニアは、1996年の内戦を機に渡米したそうです。本作はその時期の話はいっさいなく、トランプが大統領に就任する直前の20日間をフィルムに収めたもの。だからって、メラニアのセルフプロデュースですから、彼女が撮られて嫌なシーンはゼロ。すっぴん姿も普段着姿もなし。って、これがもう普段着なのかしら。
本作を観たところで「へ~」「は~」という言葉しか出てきません。あんなピンヒール、ようずっと履いていられるなぁとか、さすがモデルだからデザイナーとの打ち合わせでは「あと何ミリこっちに寄せて」とか言えるんやなぁとか、そんな感想のみ。ホワイトハウスへの引っ越しは、わずか5時間で完了するという話には驚きました。いったいどのくらいの人が関わっているのか。なんぼほど費用がかかるのか(笑)。大統領就任式の様子は観たことがなかったので面白い。前大統領夫妻はあんなふうにヘリコプターで追い出されると知り、なんだか島流しにされそうな雰囲気を感じました。
あれこれ思うというのか、何にも思いはしないものの、里子の支援などいろんな慈善事業に関わっているのを見ると、たとえ偽善であってもしないよりマシだといつも思うことを思います。
トランプが撮られたくない姿ばかりを撮られていた『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』(2024)とはえらく違う趣。少なくとも夫より妻のほうが好感の持てる人間だとは思うけれど、映画の鑑賞料金も一部トランプ夫妻に流れているのかしらと思うとビミョーな気持ちです。(^^;
ちなみに彼女がいちばん好きな歌手はマイケル・ジャクソンで、いちばん好きな曲は“Billie Jean”なのだそうです。ティアーズ・フォー・フィアーズの“Rule The World”、ボニーMの“Sunny”もかかっていました。
『たしかにあった幻』
『たしかにあった幻』(原題:Yakushima’s Illusion)
監督:河瀬直美
出演:ヴィッキー・クリープス,寛一郎,尾野真千子,北村一輝,永瀬正敏,中野翠咲,中村旺士郎,土屋陽翔,吉年羽響,山村憲之介,亀田佳明,光祈,林泰文,中川龍太郎,岡本玲,松尾翠,早織,小島聖,平原テツ,利重剛,中嶋朋子他
イオンシネマ茨木にて、前述の『ツーリストファミリー』の次に。
河瀬直美監督によるフランス/ベルギー/ルクセンブルク/日本作品。世界的に評価の高い監督ではありますが、私はこの「なんとなく高尚な感じ」が苦手です。主演は『エリザベート1878』(2022)のヴィッキー・クリープス。
フランスから来日した移植コーディネーターのコリー(ヴィッキー・クリープス)。神戸の臓器移植医療センターで働きつつ、小児臓器移植医療の促進に取り組んでいるが、思うようには進みそうにない。というのも、日本の死生観や倫理観は西欧のそれとはあまりにも違い、医療現場の体制そのものの改善や医療従事者の意識を改革することは困難を極めるから。無力感にさいなまれながら屋久島を訪れたある日、迅(寛一郎)と出会う。
その後、ふたりはささやかなやりとりを重ねていたが、七夕の日に迅がコリーの部屋に突然やってきてから同棲を開始。迅はコリーの心の支えとなる。しかし、仕事でストレスを抱える彼女と迅が言い合いになり、翌日コリーが帰宅するとそこに迅の姿はなかった。傷心のまま1年が経過したとき、迅が失踪するはるか前に彼の家族から失踪届が提出されていたことを知ったコリーは、彼の実家を訪ねるのだが……。
私にはたぶんこの物語の上っ面を見ることしかできていません。だから些細なことが気にかかる。些細と言っていいのかどうかすらわからないのですが、たとえば、心臓疾患を抱える少年・久志(中村旺士郎)が初めてコリーに会ったときのこと。挨拶するコリーに向かって、久志は「おまえ誰?」「おまえどこから来た?」「嫌なことがあって逃げて来たんだろ」と言います。なんぼ子どもでも大人の女性、しかも今から入院する病院の先生を「おまえ」呼ばわりしますか。それが段階を経ていい子になっていくわけでもなく、入院中の少女・瞳(中野翠咲)と会ってからはいい子になる。また、コリーが話すのはほぼフランス語だけど、通訳もなしにそれをふんふんと聴いている子どもや親の顔を見ると、意味わかるわけないやん、これってファンタジーなのかと思ってしまうのです。迅が出て行った後、写真店でフィルムを現像してもらおうとしたら、カメラにはフィルムが入っていなかったことから何を想像すればいいのかもわからない。“Yakushima’s Illusion”という原題に込められた意味も私には理解不能。
ただ、臓器移植の現状には考えさせられるところが多い。先進国の中で日本の臓器移植率は最低。移植希望者が移植に至るまでの時間も、スペインでは3カ月を切り、日本では4年以上かかる。移植を希望するということは、誰かが死ぬのを待っているように思われるのが日本で、西欧ではそれが贈り物と捉えられるのだということも。これがアメリカとなると『ハート』(1999)みたいな作品もあることですし、また異なるのでしょうか。この監督は好きじゃないでは済ませられない作品ばかりなのが河瀬監督。
『ツーリストファミリー』
『ツーリストファミリー』(原題:Tourist Family)
監督:アビシャン・ジーヴィント
出演:シャシクマール,シムラン,ミドゥン・ジェイ・シャンカル,カマレーシュ・ジャガン,ヨーギ・バーブ,ラメーシュ・ティラク,M・S・バースカル,エランゴ・クマラヴェル,スリージャ・ラヴィ,バガヴァティ・ペルマル,サウンダリヤ・サラヴァナン,ヨガラクシュミ他
本作が長編デビューとなるアビシャン・ジーヴィントによる低予算作品なのに、本国でサプライズヒットを飛ばしてロングランに。それというのも、『RRR』(2022)のS・S・ラージャマウリ監督やインドのスーパースターであるラジニカーントが絶賛する様子が口コミで広がったから。ラージャマウリ監督が「この作品を見逃すな」と言っていると聞けば観たくなりますよね。タミル語作品です。イオンシネマ茨木にて。
経済危機に陥るスリランカを脱出、海を渡ってインドへと密入国した一家、ダースとその妻ワサンティ、長男ニドゥ、次男ムッリの4人家族。インドで面倒を見てくれることになっているワサンティの兄プラカーシュと海辺で落ち合うことになっていたのに、それより先に沿岸警備に当たっていた巡査バイラヴァンに見つかってしまう。不法入国者として捕らえられ、スリランカに送還されることは決定的だったところ、ムッリの機転が効いて、バイラヴァンは「おまえたちを見なかったことにする」と言って一家を逃がしてくれる。
プラカーシュはチェンナイに佇む人づきあいの薄い町に一家を案内し、ある大家から住居の2階を借りる話を取り付ける。スリランカからの不法入国者だとバレないように、くれぐれも近隣住民との交流を退けて言葉も極力交わさないようにとダースたちに言い聞かせる。ところが訪ねてきたご近所さんとワサンティが早速親しくなり、頻繁に行き来する仲に。一方のダースは仕事を見つけようと、近所の富裕な老人リチャードの運転手に応募して……。
「心温まり、抱腹絶倒、素晴らしい脚本、近年稀な映画体験」って、どんな称賛ぶり!? でもその評価に偽りなしと言いたくなる楽しく温かな作品。抱腹絶倒とまでは行かないまでも、ふきだしたシーンがいくつあることか。小学生のムッリは憎めない悪ガキで、めちゃくちゃ賢い。そもそも彼がバイラヴァンを見事に騙したおかげでインドで暮らすことが叶ったわけですが、以降もいいところでムッリが活躍します。
騙されたことを知ったバイラヴァンは怒り狂い、広場で起きた爆発事件の犯人としてダース一家を挙げます。バイラヴァンの上司は囚人を拷問し、今その囚人が死にかけている。もし死ねば上司はクビが飛ぶ。爆発事件の犯人を見つければクビにはならない上司は、バイラヴァンの申告を受けてスリランカ人一家を探しはじめます。こうなったらダースが見つかって拷問される展開かと思いきや。
このオチは最高。人づきあいもいいもんだ、信じられる人がいるっていいもんだと心がぽかぽかする1本です。オススメ。





